本発明の実施の形態によるコヒーレント光源について、以下、図面を参照して説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態によるコヒーレント光源1について図1乃至図10に基づき説明する。
本実施の形態のコヒーレント光源1は、図1に示すように、励起光発生部2と、ビーム成形部4と、励起光用反射ミラー6と、パラメトリック光発生・波長選択部8と、光学ファイバー10と、コリメートレンズ12とを備えている。
励起光発生部2は、所望の波長のパルス状の励起光を発生させるためのものである。励起光発生部2は、基本励起レーザ20と、高調波発生素子22と、波長分離器24と、励起光用反射ミラー26と、光ストッパ28とを備えている。
励起光発生部2、ビーム成形部4、及び、励起光用反射ミラー6は、355nmの波長を有し直線偏光であるパルスレーザ光を、励起光としてパラメトリック光発生・波長選択部8へ導くためのものである。
基本励起レーザ20はパルスレーザ光を発生するためのものである。本実施の形態では、基本励起レーザ20はNd−YAGレーザからなり、1064nmの波長のパルスレーザ光を発生する。このパルスレーザ光は直線偏光である。
高調波発生素子22は、基本励起レーザ20で発生されたパルスレーザ光を元にして高調波を発生させるためのものである。本実施の形態では、高調波発生素子22は、1064nmの波長のパルスレーザ光を元にして、532nmの波長のパルスレーザ光(2次光調波)と355nmの波長のパルスレーザ光(3次高調波)とを発生する。
波長分離器24は、複数の誘電体ミラーからなり、所望の波長の光を他の波長の光と分離して所望の波長の光を後段の励起光用反射ミラー26に導くためのものである。本実施の形態では、波長分離器24は、1064nm、532nm、355nmの波長のパルスレーザ光を高調波発生素子22から受け取り、3次高調波である355nmの波長のパルスレーザ光を他の波長のパルスレーザ光と分離して、後段の励起光用反射ミラー26に導く。
励起光用反射ミラー26は、355nmの波長の光を反射すると共に、波長分離器24で分離しきれなかった他の波長の光を透過する。光ストッパ28は、励起光用反射ミラー26を透過した光を捕捉・停止する。
ビーム成形部4は、励起光発生部2から出力されたパルスレーザ光のビーム径を絞り、パルスレーザ光のパワー密度を増大させて、後段のパラメトリック光発生・波長選択部8におけるパラメトリック増幅率を向上させるためのものである。この例では、ビーム成形部4は、図2の(a)に示すように、凸レンズ40と凹レンズ42との組み合せからなる。凸レンズ40と凹レンズ42との間の距離を調節することにより、ビームの集光度合いを調節することができる。
なお、励起光発生部2から出力されたパルスレーザ光が紫外光である場合には、パルスレーザ光は、凸レンズ40や凹レンズ42を通過する際にこれらレンズにより吸収されてしまうおそれがある。また、パルスレーザ光のパルス幅がピコ秒あるいはフェムト秒のオーダーである場合には、パルスレーザ光は、凸レンズ40や凹レンズ42を通過する際に波長分散によってパルス幅が伸長してしまうおそれがある。そこで、これらの場合には、ビーム成形部4は、図2の(b)に示すように、凹面ミラー44と凸面ミラー46との組み合せから構成することが好ましい。凹面ミラー44と凸面ミラー46には、それぞれ、誘電体多層膜からなる反射面が形成されている。
図1に示すように、励起光用反射ミラー6は、ビーム成形部4から出力されたパルスレーザ光を受け取り、そのうち波長355nmのパルスレーザ光を励起光として反射する。なお、励起光用反射ミラー6は、355nm以外の波長の光を透過する。
パラメトリック光発生・波長選択部8は、BBO(β−BaB2O4)結晶30と、励起光反射ミラー34と、光ストッパ35と、波長選択・導光光学系50とを備えている。
BBO結晶30は、非線形光学結晶であり、光パラメトリック増幅素子として機能する。BBO結晶30は、図3に示すように、その光学軸(この場合、c−軸)30aが励起光の偏光成分と同一の平面内にあるように配置されている。この例では、励起光の偏光成分は図3の紙面に平行な面内にあるため、光学軸30aも図3の紙面に平行な面内にある。したがって、励起光はBBO結晶30内で異常光線として伝搬する。また、この例では、BBO結晶30は、光学軸30aから21.7゜傾いた角度φで切り出されている。すなわち、BBO結晶30の入射面30inと出射面30outとは、互いに平行で、これらの法線30nが光学軸30aからφ=21.7゜傾いている。BBO結晶30は、励起光用反射ミラー6に対して、BBO結晶30内を伝搬する励起光の伝搬方向と光学軸30aとのなす角度θが35°となる向きに配置されている。
励起光がBBO結晶30内をこのような方向に伝搬すると、BBO結晶30は、パラメトリック発生光を発生する(非同軸位相整合)。パラメトリック発生光は、可視〜近赤外の波長域を含んだコヒーレントな白色光である。パラメトリック発生光は、図3の紙面に対して垂直な偏光成分を有する直線偏光であり、常光線としてBBO結晶30内を伝搬する。BBO結晶30は、励起光を透過させて出力するのと同時にパラメトリック発生光を出力する。パラメトリック発生光は励起光の出力方向を軸とする円錐状に波長分散をもって出力する。
より詳しくは、BBO結晶30内で発生したパラメトリック発生光は、複数の対のシグナル光とアイドラ光とからなる。各対(j=1,2,・・・)を構成するシグナル光とアイドラ光の角振動数ωs(j)、ωi(j)と波数ベクトルks(j)、ki(j)は、図4に示すように、励起光の角振動数ωpと波数ベクトルkpとに対して、以下の数式(1)、(2)を満足する。
ωp= ωs(j) + ωi(j) ・・・ (1)
kp= ks(j) + ki(j) ・・・ (2)
ここで、ωs(j)はシグナル光の角振動数、ωi(j)はアイドラ光の角振動数であり、ks(j)はシグナル光の波数ベクトル、ki(j)はアイドラ光の波数ベクトルである。
なお、励起光、シグナル光、アイドラ光の波長を、それぞれ、λp、λs(j)、λi(j)、シグナル光、アイドラ光の励起光の伝搬方向に対する角度を、それぞれ、ξs (j)、ξi (j)とすると、式(1)は、λp/np,e=λs(j)/ns,o+λi(j)/ni,oと記載でき、式(2)は、|kp|=|ks(j)|cosξs (j) +|ki(j)|cosξi (j)、及び、|ks(j)|sinξs (j) =|ki(j)|sinξi (j)と記載できる。なお、np,e、ns,o、ni,oは、それぞれ、BBO結晶30の励起光、シグナル光、アイドラ光に対する屈折率である。
また、図5に示すように、シグナル光は、波長域450〜700nm内の波長を有し、BBO結晶30内において、励起光の伝搬方向を軸として当該軸から4°ずれた方向に円錐状に発生する。シグナル光は、BBO結晶30内を伝搬している間は分散しないが、BBO結晶30の出力面から出力する際に分散する。一方、アイドラ光は、波長域719〜1675nm内の波長を有し、励起光の伝搬方向を軸として当該軸から4°ずれた方向から15.4°ずれた方向まで分散しながら円錐状に発生する。なお、アイドラ光の波長は、励起光の伝搬方向から遠ざかる程大きくなる。
なお、図示していないが、BBO結晶30の入射面30inにはARコーティング(反射防止膜)が形成されている。ARコーティングは、励起光の透過率を向上させるためのものである。ARコーティングは、例えば、誘電体多層膜で形成されている。図6に、ARコーティングが形成されたBBO結晶30の透過率を、ARコーティングが形成されていないBBO結晶30の透過率と比較して示す。なお、図6において、実線がARコーティングが形成されたBBO結晶30の透過率を示し、破線がARコーティングが形成されていないBBO結晶30の透過率を示す。このグラフより明らかなように、ARコーティングを形成すると励起光の波長(355nm)における透過率が向上する。なお、BBO結晶30の表面全体にARコーティングを形成してもよい。パラメトリック発生光がBBO結晶30から出力する際出射面30outで反射してロスすることが防止できる。また、ARコーティングによりBBO結晶30の表面全体を保護することもできる。
図7に、BBO結晶30から出力されたパラメトリック発生光のスペクトルをマルチチャンネルディテクタにて測定した実験結果を示す。この実験では、波長355nmの励起光をBBO結晶30に対し照射した。励起光のBBO結晶30内での伝搬方向は光学軸30aから35°ずれていた。紫外領域から可視領域を経て近赤外にまで及ぶ広い範囲の波長のパラメトリック発生光がBBO結晶30より出力されるのが確認された。
図1に示すように、励起光反射ミラー34は、BBO結晶30の後段に配置されている。励起光反射ミラー34は、BBO結晶30を透過しBBO結晶30から出力した励起光を除去するためのものである。
励起光反射ミラー34は、波長355nmの光を反射し他の波長を透過するためのものである。励起光反射ミラー34は、合成石英の基板とその表面に蒸着された誘電体多層膜からなる。図8に、励起光反射ミラー34の透過率を示す。図より明らかなように、励起光反射ミラー34は、355nmの波長の光を約97%反射する。
以下、図9の(a)及び(b)を参照して、励起光反射ミラー34を配置する向きについて説明する。なお、図9の(a)では、図3の場合と同様、励起光の偏光方向は図の紙面に平行な面内にあり、BBO結晶30の光学軸30aも紙面に平行な面内にある。このため、パラメトリック発生光の偏光方向は紙面に対して垂直に延びている。一方、図9の(b)では、励起光の偏光方向は図の紙面に対して垂直であり、BBO結晶30の光学軸30aも図の紙面に対して垂直な面内にある。したがって、パラメトリック発生光の偏光方向は紙面に平行な面内にある。なお、図9の(a)及び(b)では、後述する波長選択・導光光学系50を、模式的に図示している。
励起光反射ミラー34は、その法線方向が励起光の伝搬方向に対してブリュースター角になる向きに配置されている。励起光は、励起光反射ミラー34に対しs偏光として入射する。このため、励起光の略100%が励起光反射ミラー34によって反射される。一方、パラメトリック発生光は励起光反射ミラー34に対しp偏光として入射する。このため、パラメトリック発生光の略100%が励起光反射ミラー34を透過する。したがって、励起光とパラメトリック光とは、励起光反射ミラー34により確実に分離される。
なお、励起光反射ミラー34の代わりに励起光吸収ガラスを用いても良い。この場合、励起光吸収ガラスをBBO結晶30の後段に配置する。励起光吸収ガラスは、励起光の波長(この場合、355nm)を吸収し他の波長を透過するガラスである。励起光吸収ガラスによれば、励起光を吸収しパラメトリック光を透過させることができる。励起光吸収ガラスは、例えば、Ti4とCe3+とを含む鉛ガラスからなる色ガラスフィルター(例えば東芝ガラスL39(商品名、東芝(株)製)))からなることが好ましい。この色ガラスフィルターは355nmの波長の光をほぼ吸収することができる。
もしくは、励起光反射ミラー34と励起光吸収ガラスとの両方をBBO結晶30の後段に配置しても良い。すなわち、励起光反射ミラー34と励起光吸収ガラスとを、BBO結晶30から波長選択・導光光学系50へ向かう方向にこの順に配置する。励起光反射ミラー34により励起光吸収ガラスが励起光により損傷するのが防止される。
光ストッパ35は、励起光反射ミラー34で反射された励起光を捕捉・停止するためのものである。
図1に示すように、波長選択・導光光学系50は、励起光反射ミラー34の後段に配置されている。波長選択・導光光学系50は、励起光反射ミラー34を透過したパラメトリック発生光を受け取り、パラメトリック発生光の中から所望の波長の光(シグナル光またはアイドラ光)を抽出して光学ファイバー10に導くためのものである。
波長選択・導光光学系50は、コリメートレンズ52と干渉フィルター60と集光レンズ54とを備えている。コリメートレンズ52は励起光反射ミラー42の後段に設けられている。干渉フィルター60はコリメートレンズ52の後段に設けられている。集光レンズ54は干渉フィルター60の後段に設けられている。コリメートレンズ52と集光レンズ54とは、それらの光軸がBBO結晶30から出力する励起光の伝搬方向と一致するように、配置されている。
コリメートレンズ52は、励起光反射ミラー34を透過したパラメトリック発生光をコリメートして平行光に変換するためのものである。
干渉フィルター60は、コリメートレンズ52により平行光に変換されたパラメトリック発生光のうちから所望の波長の光を集光レンズ54に導くためのものである。
干渉フィルター60は、軸60aを有し、軸60aの周りに回転可能に構成されている。なお、軸60aはコリメートレンズ52の光軸に対し直交している。図1の場合には、コリメートレンズ52の光軸は紙面に平行な面内にあり、軸60aは紙面に対して直交している。干渉フィルター60を軸60aの周りに回転することにより、干渉フィルター60をコリメートレンズ52の光軸に対し任意の角度に傾けることができる。干渉フィルター60は、コリメートレンズ52の光軸に対する傾き角度に対応する波長の光を集光レンズ54に導く。干渉フィルター60の傾きを変えれば、集光レンズ54に導く光の波長を任意に変えることができる。
集光レンズ54は、干渉フィルター60により集光レンズ54に導かれた所望の波長のコリメート光を光学ファイバー10の入射端部10inに集光させるためのものである。
なお、干渉フィルター60の代わりに、エタロン、透過型回折格子、または、反射型回折格子を、コリメートレンズ52と集光レンズ54との間に配置してもよい。エタロン、透過型回折格子、または、反射型回折格子のコリメートレンズ52の光軸に対する傾き角度を変えるだけで、集光レンズ54に導く光の波長を任意に変えることができる。
光学ファイバー10は、入射端部10inと出射端部10outとを有している。光学ファイバー10は、集光レンズ54から入射端部10inに入射した所望の波長の光を出射端部10outまで導く。出射端部10outを所望の位置に配置すれば、所望の波長のコヒーレント光を所望の位置にて出力することができる。
コリメートレンズ12は、光学ファイバー10の出射端部10outの後段に配置されている。コリメートレンズ12は、出射端部10outから発散しながら出射する光をコリメートして平行光に変換するためのものである。ユーザは、出射端部10outから出射する所望の波長のコヒーレント光を平行光として利用することができる。したがって、所望の波長のコヒーレント光を任意の用途に供することができる。
以上のように、本実施の形態のコヒーレント光源1によれば、BBO結晶30は励起光に対し非同軸位相整合位置に配置されている。このため、BBO結晶30は、励起光の入射に応じて、波長が互いに異なる複数のパラメトリック発生光を励起光の出力方向の周りの互いに異なる複数の発散方向に同時に出力する。波長選択・導光光学系50は、これら複数のパラメトリック発生光のうちから、所望の少なくとも1つの波長のパラメトリック発生光を選択し、光学ファイバー10の入射端部10inに集光する。光学ファイバー10はこのパラメトリック発生光を所望の位置まで導きその出射端部10outから出射する。したがって、所望の波長のコヒーレント光を容易に所望の位置にて出力することができる。選択しようとする波長を変更する場合にも、干渉フィルター60の傾きを変更するだけでよく、BBO結晶30の向きや温度を変更する必要がない。
非同軸位相整合位置に配置されたBBO結晶30は、広い波長範囲(可視領域)のシグナル光と広い波長範囲(近赤外領域)のアイドラ光とを同時に発生する。このため、コヒーレント光源1は、非常に広いスペクトル分布の光を一度に出力する。こうして得られた光は白色スペクトルでありながらコヒーレンシー(可干渉性)が高く、数十μmから100μmの干渉距離を有する。しかも、かかる光から任意の波長の光を選択し選択した光を光学ファイバー10にて導光できるので、所望の波長の光を任意の遠距離位置まで伝送できる。
なお、波長選択・導光光学系50から干渉フィルター60を除去し、干渉フィルター60をコリメートレンズ12の後段に設けてもよい。この場合には、パラメトリック発生光全体がコリメートレンズ52と集光レンズ54とにより光学ファイバー10の入射端部10inに導かれる。光学ファイバー10の出射端部10outから出射しコリメートレンズ12でコリメートされたパラメトリック発生光のうちの所望の波長の光が干渉フィルター60により選択される。この場合でも、干渉フィルター60の代わりに、エタロン、透過型回折格子、または、反射型回折格子をコリメートレンズ12の後段に設けてもよい。
また、コリメートレンズ12は設けなくてもよい。もしくは、用途に合わせて、コリメートレンズ12の代わりに他の光学素子を出射端部10outの後段に設けても良い。
また、光学ファイバー10も設けなくてもよい。もしくは、用途に合わせて、光学ファイバー10の代わりに他の導光部材を集光レンズ54の後段に設けても良い。
上記説明では、BBO結晶30内の励起光の伝搬方向とBBO結晶30の光軸(c−軸)とのなす角度θが35゜となるように励起光をBBO結晶30に入射させ、非同軸位相整合を発現させた。しかしながら、角度θは35゜でなくてもよい。角度θは、非同軸位相整合を生じさせるための所定のしきい値より大きな角度であればよい。ここで、図10に示すように、励起光の波長が355nmである場合には、所定のしきい値は32.94゜である。したがって、BBO結晶30内の励起光の伝搬方向とBBO結晶30の光軸(c−軸)とのなす角度θが32.94゜より大きくなるように励起光をBBO結晶30内に入射させると、非同軸位相整合が発現する。一方、角度θが32.94゜以下となるように励起光をBBO結晶30内に入射させると、同軸位相整合が発現する。
例えば、波長355nmの励起光を角度θが30.06゜となるようにBBO結晶30に入射させると、波長500nmのシグナル光と波長1220nmのアイドラ光とが励起光と同軸方向に発生する。角度θが大きくなり31.57゜になると、波長550nmのシグナル光と波長999nmのアイドラ光とが励起光と同軸方向に発生する。角度θが更に大きくなりしきい値32.94゜に達すると、波長が710nmであるシグナル光と波長が710nmであるアイドラ光とが励起光と同軸方向に発生する。このように、角度θがしきい値と等しい場合には、シグナル光とアイドラ光の波長は等しくなる。角度θをさらに大きくしていくと、シグナル光とアイドラ光とはもはや同軸上には位相整合せず、非同軸上に位相整合するようになる。
なお、非同軸位相整合を発現させるためには、角度θが所定のしきい値(この例では、32.94°)より大きな角度となるように、励起光をBBO結晶30に対し入射させればよい。ただし、角度θとしきい値との差が小さいほどBBO結晶30から出力されるパラメトリック発生光の角度分散が小さくなり、角度θとしきい値との差が大きいほどパラメトリック発生光の角度分散が大きくなる。ここで、パラメトリック発生光の角度分散は、パラメトリック発生光全体がコリメートレンズ52によって十分コリメートできる程度に小さく、しかも、干渉フィルター60の傾きの変更により集光レンズ54に導く波長を変更できる程度に大きい必要がある。そこで、角度θは、角度θとしきい値との差が決定する角度分散が所望の大きさになるような値(この例では35°)に設定されている。
なお、非同軸位相整合を発現させるためのしきい値は励起光の波長によって異なる。例えば、励起光の波長が395nmである場合には、図10に示すように、しきい値は29.39゜である。
また、上記説明では、シグナル光とアイドラ光の偏光方向が同一平行であるタイプ−Iの位相整合方法による位相整合を発現させたが、別のタイプ(例えば、シグナル光とアイドラ光の偏光方向が直交するタイプ−II)の位相整合方法による位相整合を発現させてもよい。その場合には、励起光とBBO結晶30の光軸(c−軸)とのなす角度を、当該位相整合方法のタイプに応じたしきい値、つまり、シグナル光とアイドラ光の波長が一致してかつシグナル光とアイドラ光とが励起光と同軸方向に伝搬する角度より大きな角度に設定すればよい。
BBO結晶30の切り出し角度φは21.7°でなくても良い。
また、上記の説明では、BBO結晶30の入射面30inと出力面30outとは互いに平行であった。したがって、光学軸30aと入射面30inとのなす角度及び光学軸30aと出力面30outとのなす角度とは互いに等しかった。しかしながら、入射面30inと出力面30outとは平行でなくても良い。
次に、図11及び図12を参照して、パラメトリック光発生・波長選択部8の第1の変更例について説明する。
本変更例のパラメトリック光発生・波長選択部108は、図11に示すように、波長選択・導光光学系50の代わりに、波長選択・導光光学系150を備えている。波長選択・導光光学系150は、干渉フィルター60の代わりに、可動スリット素子62と光カットフィルタ64とを備えている。したがって、本変更例の波長選択・導光光学系150は、コリメートレンズ52と、集光レンズ54と、可動スリット素子62と、光カットフィルタ64とからなる。可動スリット素子62と光カットフィルタ64とは、コリメートレンズ52と集光レンズ54との間に配置されている。可動スリット素子62と光カットフィルタ64とは、コリメートレンズ52から集光レンズ54へ向かう方向にこの順に並んで配置されている。
図12に示すように、可動スリット素子62は円盤形状を有し、その中心62cがコリメートレンズ52の光軸上に位置している。可動スリット素子62にはスリット62aが形成されている。スリット62aは中心62cの周りを円周方向に延びている。可動スリット素子62は、スリット62aの半径方向の位置、すなわち、中心62cからの距離が任意に変更できるように構成されている。スリット62aの半径方向の位置をパラメトリック発生光のうち所望の波長の光の発散角に対応した位置に設定することで、当該所望の波長の光にスリット62aを通過させる。ここで、BBO結晶30は2つの波長の光を同一の発散方向に出力している可能性がある。具体的には、ある波長のシグナル光と別の波長のアイドラ光とが同一の方向に出力している可能性がある。そのため、互いに異なる2つの波長の光がスリット62aを通過している可能性がある。光カットフィルタ64は、スリット62aを通過した2つの波長の光のうち所望の波長の光を透過してこれを集光レンズ54に導く。
次に、図13を参照して、パラメトリック光発生・波長選択部8の第2の変更例について説明する。
本変更例のパラメトリック光発生・波長選択部208には、励起光反射ミラー34は設けられていない。また、波長選択・導光光学系50の代わりに、波長選択・導光光学系250が設けられている。波長選択・導光光学系250は、BBO結晶30の後段に配置されている。
波長選択・導光光学系250は、波長選択・導光光学系50と異なり、コリメートレンズ52の代わりに穴あき凸レンズ252を備え、集光レンズ54の代わりに別の穴あき凸レンズ254を備え、更に、光ストッパ235を備えている。したがって、波長選択・導光光学系250は、穴あき凸レンズ252と光ストッパ235と干渉フィルター60と穴あき凸レンズ254とからなる。穴あき凸レンズ252と光ストッパ235と干渉フィルター60と穴あき凸レンズ254とは、BBO結晶30と光学ファイバー10との間にBBO結晶30から光学ファイバー10へ向かう方向にこの順に配置されている。穴あき凸レンズ252、254は、それぞれ、その光軸上に貫通穴を備えている。穴あき凸レンズ252、254は、これらの光軸がBBO結晶30から出力された励起光の伝搬方向に一致するように配置されている。光ストッパ235は、穴あき凸レンズ252,254の光軸上に配置されている。このため、励起光は、穴あき凸レンズ252の貫通穴を通過し光ストッパ235により遮断される。一方、パラメトリック発生光は、励起光の光軸の周りに円錐状に発散しているため、穴あき凸レンズ252の貫通穴の周りに到達し穴あき凸レンズ252によりコリメートされ、干渉フィルター60にて波長選択された後、穴あき凸レンズ254により光学ファイバー10の入射端部10inに集光される。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態によるコヒーレント光源301について図14に基づき説明する。
第1の実施の形態のコヒーレント光源1は、パラメトリック発生光の広帯域から所望の1つの波長を選択して出力した。これに対して本実施の形態のコヒーレント光源301は、パラメトリック発生光の広帯域から赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの波長を同時に選択する。
具体的には、コヒーレント光源301は、第1の実施の形態のコヒーレント光源1と以下の点で異なっている。すなわち、コヒーレント光源301は、パラメトリック光発生・波長選択部8の代わりにパラメトリック光発生・波長選択部308を備えている。コヒーレント光源301は、単一の光学ファイバー10の代わりに、赤(R)用、緑(G)用、青(B)用の3つの光学ファイバー10r、10g、10bを備えている。コヒーレント光源301は、単一のコリメートレンズ12の代わりに、赤(R)用、緑(G)用、青(B)用の3つのコリメートレンズ12r、12g、12bを備えている。
パラメトリック光発生・波長選択部308は、第1の実施の形態のパラメトリック光発生・波長選択部8と異なり、波長選択・導光光学系50の代わりに、波長選択・導光光学系350を備えている。波長選択・導光光学系350は、波長選択・導光光学系50と異なり、干渉フィルター60の代わりに、位相変調型空間光変調装置68と反射ミラー66とを備えている。すなわち、波長選択・導光光学系350は、コリメートレンズ52と集光レンズ54と位相変調型空間光変調装置68と反射ミラー66とを備えている。位相変調型空間光変調装置68と反射ミラー66とは、コリメートレンズ52と集光レンズ54との間にコリメートレンズ52から集光レンズ54へ向かう方向にこの順に配置されている。光学ファイバー10r、10g、10bの入射端部10rin,10gin、10binは、集光レンズ54の後段の互いに異なる位置に並列に配置されている。コリメートレンズ12r、12g、12bは、それぞれ、光学ファイバー10r、10g、10bの出射端部10rout、10gout、10boutの後段に配置されている。
位相変調型空間光変調装置68は、位相変調モジュール70とレーザダイオード78とレンズ79とからなる。レーザダイオード78とレンズ79と位相変調モジュール70とはこの順に配置されている。位相変調モジュール70は、透過型LCD71とレンズ72と反射型PAL−SLM(平行配向型液晶空間光変調器(Parallel Aligned Liquid crystal Spatial Light Modulator))74とを備えている。透過型LCD71とレンズ72と反射型PAL−SLM74とはこの順に配置されている。反射型PAL−SLM74は読み出し面74aと書き込み面74bとを備えている。LCD71にはコンピュータ76が接続されている。位相変調モジュール70は、反射型PAL−SLM74の読みだし面74aがコリメートレンズ52と反射ミラー66とに対向し、透過型LCD71がレンズ79に対向するように、配置されている。位相変調モジュール70としては、例えば、SLMM X7550(商品名、浜松ホトニクス株式会社製)を用いることが好ましい。
BBO結晶30から出射したパラメトリック発生光は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの波長の光を含んでいる。これら赤(R)、緑(G)、青(B)の光は、BBO結晶30から、励起光の伝搬方向の周りに互いに異なる3つの角度方向に発散しながら円錐状に出射する。したがって、赤(R)、緑(G)、青(B)の光は、反射型PAL−SLM74の読みだし面74a上の互いに異なる3つの位置に入射する。反射型PAL−SLM74は、これら赤(R)、緑(G)、青(B)の光を互いに異なる方向に回折するための屈折率グレーティングとして機能する。
より詳しくは、コンピュータ76は、LCD71に対し、この屈折率グレーティングに対応した強度パターンを記録する。レーザダイオード78からの光がレンズ79及びLCD71を透過してPAL−SLM74の書き込み面74bに入射すると、屈折率グレーティングがPAL−SLM74に記録される。PAL−SLM74は、赤(R)、緑(G)、青(B)の光が読みだし面74a上に入射すると、これらを互いに異なる方向に回折する。赤(R)、緑(G)、青(B)の光は、反射ミラー66及び集光レンズ54を経て、対応する互いに異なる方向に伝搬する。光学ファイバー10r、10g、10bの入射端部10rin、10gin、10binは、それぞれ、この対応する方向に配置されている。このため、赤(R)、緑(G)、青(B)の光は、それぞれ、対応する光学ファイバー10r、10g、10bに入射する。各色の光は、対応する光学ファイバー10r、10g、10bにより導光され、対応するコリメートレンズ12r、12g、12bによってコリメートされる。コリメートレンズ12r、12g、12bを透過したRGBのコリメート光は、例えば、カラー映像やカラーホログラム映像を生成するのに用いられる。
以上のように、本実施の形態のコリメート光源301はRGBの3つの光を同時に発生することができる。このため、RGBを発生するために3つのレーザを用意する必要がなくなる。
なお、コンピュータ76がLCD71に記録する強度パターンを変更すれば、RGB以外の任意の3つの波長の光を選択して光学ファイバー10r、10g、10bに導くことができる。したがって、3原色の波長を可変できるカラー画像生成装置、例えば、カラープリンターを構成することができる。
さらに、任意の個数の光学ファイバー10を予め用意し、コンピュータ76がLCD71に記録する強度パターンを調整すれば、任意の複数の波長の光を選択して光学ファイバー10に導くこともできる。非同軸位相整合条件にあるBBO結晶30から発生するパラメトリック発生光はシグナル光(可視)のみならずアイドラ光(近赤外)をも含み非常に広いスペクトル分布を有している。その中から任意の複数の光を選択して出力することができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態によるコヒーレント光源401について図15乃至図17の(b)に基づき説明する。
本実施の形態のコヒーレント光源401は、所望の波長のパラメトリック発生光を選択的に増幅して出力するためのものである。本実施の形態のコヒーレント光源401は、第1の実施の形態のコヒーレント光源1に対し、図15に示すように、シード光発生用光源80とシード光・励起光結合光学系82とが追加されている点を除き、コヒーレント光源1と同一である。なお、図15,図16では、波長選択・導光光学系50を模式的に図示しているが、波長選択・導光光学系50は、第1の実施の形態同様、コリメートレンズ52と集光レンズ54と干渉フィルター60とから構成されている。
シード光発生用光源80は、増幅させたい所望の波長のシード光を発生させるためのレーザである。なお、所望の波長とは、BBO結晶30から非同軸位相整合にて発生する複数対のシグナル光及びアイドラ光のうちのシグナル光またはアイドラ光の波長である。
シード光発生用光源80は、連続発振レーザでも良く、パルス発振レーザでも良い。シード光発生用光源80がパルス発振である場合には、シード光発生用光源80のパルス発振タイミングを調整して、パルス励起光がBBO結晶30に入射する直前にシード光をBBO結晶30に照射すれば良い。
シード光・励起光結合光学系82は、シード光と励起光との両方をBBO結晶30に入射させるためのものである。
シード光・励起光結合光学系82は、図16に示すように、光学ファイバー84、脱着用治具86、コリメートレンズ88、偏光板90、集光レンズ92、及び、励起光透過・シード光反射用ミラー94からなる。なお、図16では、BBO結晶30の光学軸30aと励起光の偏光成分とは共に図の紙面に平行な面内にあり、BBO結晶30で発生するパラメトリック光の偏光成分は図の紙面に対して直交している。
光学ファイバー84は、シード光発生用光源80から出力されたシード光を導くためのものである。脱着用治具86は、光学ファイバー84の出射端部がコリメートレンズ88に対向するように、光学ファイバー84を固定するためのものである。コリメートレンズ88は、光学ファイバー84から出射したシード光をコリメートする。偏光板90は、コリメートレンズ88を透過したシード光の偏光方向をパラメトリック発生光の偏光成分と平行になるように調整する。この例では、偏光板90は、シード光を、紙面の向きに垂直な直線偏光に変換する。なお、偏光板90の代わりに、波長板を用いてもよい。
集光レンズ92は、偏光板90を透過したシード光をBBO結晶30の入射表面30inに集光するためのものである。
励起光透過・シード光反射用ミラー94は、図15に示すように、励起光用反射ミラー6からの励起光を透過して励起光をBBO結晶30に入射させると共に、集光レンズ92からのシード光を反射することによって、シード光を励起光の光軸に沿ってBBO結晶30に入射させるためのものである。
ここで、集光レンズ92の焦点距離について図17を参照して説明する。
シード光は、集光レンズ92にてBBO結晶30の入射面30in上に収束されながら入射する。シード光は、BBO結晶30の入射面30in上で励起光と交差し、BBO結晶30内にて励起光の伝搬方向の周りに円錐状に発散する。シード光のBBO結晶30の入射面30in上への収束角度、及び、BBO結晶30内での発散角度δθSEED,inは集光レンズ92の焦点距離に依存する。本実施の形態では、集光レンズ92の焦点距離は、シード光のBBO結晶30内での発散角度δθSEED,inが所望の波長の光を含む一対のシグナル光及びアイドラ光の発散角度ξs (j)及びξi (j)より大きくなるような値に設定されている。なお、図17においても、励起光の偏光方向は図の紙面に平行な面内にあり、シード光、シグナル光、アイドラ光の偏光方向は紙面に対して直交している。
かかる構成のもと、シード光発生用光源80は、励起光発生部2がBBO結晶30に励起光を入射する前に、増幅させたい所望の波長の光をシード光としてBBO結晶30に入射させる。シード光がBBO結晶30に入射している状態で、励起光発生部2が励起光をBBO結晶30に入射させる。BBO結晶30内において、シード光と励起光とは交差する。すなわち、シード光は、励起光の光軸の周りに、発散角度δθSEED,inにて発散している。BBO結晶30内では、複数対のシグナル光とアイドラ光とが発生し、励起光の伝搬方向の周りに発散する。ここで、増幅させたい所望の波長の光を含む一対のシグナル光及びアイドラ光は、発散しているシード光の内側で発散する。このため、これらシグナル光及びアイドラ光は、シード光のうち当該シグナル光及びアイドラ光の伝搬方向と平行に伝搬している成分により増幅される。したがって、BBO結晶30は、所望の波長の光及び対応する波長の光を強度の大きい状態にて出力する。
例えば、BBO結晶30から出力される一対のシグナル光とアイドラ光である波長650nmのシグナル光と波長781nmのアイドラ光のうち650nmのシグナル光を選択して増幅したいとする。この場合には、シード光発生用光源80は650nmの半導体レーザからなる。集光レンズ92はこの650nmのレーザ光をシード光としてBBO結晶30に入射させる。また、集光レンズ92の焦点距離は、シード光がBBO結晶30内で発散する発散角度δθSEED,inが波長650nmのシグナル光の発散角度ξsと波長781nmのアイドラ光の発散角度ξiより大きくなるような値に設定されている。その結果、BBO結晶30内では、波長650nmのシグナル光と波長781nmのアイドラ光とが共にシード光により増幅される。波長選択・導光光学系50によって650nmの光を選択し光学ファイバー10に導光すれば、大強度の650nmのコヒーレント光を出力することができる。
図18の(a)に、650nmのシード光を上記の条件にてBBO結晶30に入射した場合にBBO結晶30から出力されるスペクトルをマルチチャンネル計測器で測定した実験結果を示す。なお、比較例として、図18の(b)に、BBO結晶30にシード光を入射させなかった場合にBBO結晶30から出力されるスペクトルを示す。650nmのシード光をBBO結晶30に入射させると、650nm及び781nmの光が増幅されることがわかる。
以上のように、本実施の形態によれば、所望の波長のシード光をBBO結晶30にあらかじめ注入しておくことにより、その波長の光、及び、その波長の光と対になっている光を選択的に増幅し出力することができる。
なお、上記説明では、シード光発生用光源80は、増幅させたい所望の波長のシード光を発生させていた。上記の例では、650nmのシグナル光と781nmのアイドラ光のうち650nmのシグナル光を増幅させたい場合に、650nmの光をシード光としてBBO結晶30に入射させていた。しかしながら、シード光発生用光源80は、増幅させたい所望の波長の光と対になっている光の波長のシード光を発生させてもよい。すなわち、シード光発生用光源80は、増幅させたい所望の波長と対になっている波長のシード光を発生させるように構成しても良い。例えば、650nmのシグナル光と781nmのアイドラ光のうち650nmのシグナル光を増幅させたい場合に、781nmの光をシード光としてBBO結晶30に入射させるようにしても良い。集光レンズ92の焦点距離を、このシード光がBBO結晶30内で発散する発散角度δθSEED,inが波長650nmのシグナル光の発散角度ξsと波長781nmのアイドラ光の発散角度ξiより大きくなるような値に設定していれば良い。波長650nmのシグナル光と波長781nmのアイドラ光とが共にシード光により増幅される。
また、上記説明では、集光レンズ92の焦点距離を、シード光のBBO結晶30内での発散角度δθSEED,inが所望の波長のシグナル光(またはアイドラ光)の発散角度ξsとそれと対になっているアイドラ光(またはシグナル光)の発散角度ξiより大きくなるような値に設定していた。しかしながら、シード光の発散角度δθSEED,inは所望の波長のシグナル光(またはアイドラ光)の発散角度ξsとそれと対になっているアイドラ光(またはシグナル光)の発散角度ξiのうちの少なくとも一つより大きければ良い。所望の波長のシグナル光(またはアイドラ光)、及び、それと対になっているアイドラ光(またはシグナル光)の両方をシード光により増幅することができる。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態によるコヒーレント光源501について図19乃至図21の(b)に基づき説明する。
図19に示すように、本実施の形態のコヒーレント光源501は、第1の実施の形態のコヒーレント光源1とは異なり、パラメトリック光発生・波長選択部8の代わりにパラメトリック光発生・波長選択部508を備えている。パラメトリック光発生・波長選択部508は、パラメトリック光発生・波長選択部8とは異なり、2つのBBO結晶30(以下、「第1のBBO結晶30−1」、及び、「第2のBBO結晶30−2」という)を備えている。第1のBBO結晶30−1、及び、第2のBBO結晶30−2は、励起光用反射ミラー6から励起光反射ミラー34に向かってこの順にカスケードに配置されている。波長選択・導光光学系50は、第2のBBO結晶30−2の後段に配置されている。波長選択・導光光学系50は、第1及び第2のBBO結晶30−1,30−2から出力されたパラメトリック発生光のうち所望の波長の光を選択して光学ファイバー10に導光する。以上の点を除けば、本実施の形態のコヒーレント光源501は第1の実施の形態のコヒーレント光源1と同一である。なお、図19では、第3の実施の形態の図15同様、波長選択・導光光学系50を模式的に図示しているが、波長選択・導光光学系50は、第1の実施の形態同様、コリメートレンズ52と集光レンズ54と干渉フィルター60とから構成されている。
第1のBBO結晶30−1と第2のBBO結晶30−2とは、図20の(a)に示すように、第1の実施の形態のBBO結晶30と同一の形状及び同一の寸法を有している。なお、BBO結晶30−1の光学軸30−1aは図の紙面に平行な面内にある。励起光の偏光成分は図の紙面に平行な面内にある。このため、BBO結晶30−1で生じるパラメトリック発生光の偏光成分は図の紙面に対し直交している。また、BBO結晶30−2の光学軸30−2aも図の紙面に平行な面内にある。このため、BBO結晶30−2で生じるパラメトリック光の偏光成分も図の紙面に対し直交している。
より詳しくは、BBO結晶30−1の入射面30−1inと出射面30−1outとは平行に形成されている。また、BBO結晶30−2の入射面30−2inと出射面30−2outとは平行に形成されている。BBO結晶30−1の入射面30−1inと出射面30−1outとは、切り出し角度φ1で切り出されており、BBO結晶30−2の入射面30−2inと出射面30−2outは、切り出し角度φ2で切り出されている。切り出し角度φ1と切り出し角度φ2とは互いに等しい。この例では、φ1=φ2=21.7゜である。
また、第1のBBO結晶30−1は、第1の実施の形態のBBO結晶30と同様、第1のBBO結晶30−1内を伝搬する励起光と光学軸(c軸)30−1aとのなす角度θ1が35゜であるように配置されている。第2のBBO結晶30−2も、第2のBBO結晶30−2内を伝搬する励起光と光学軸(c軸)30−2aとのなす角度θ2が35゜であるように配置されている。すなわち、θ1=θ2=35゜である。
励起光用反射ミラー6がビーム成形部4から受け取った励起光を反射する方向(以下、「励起光用反射ミラー光軸6a」という)と、光学軸30−1a、30−2aと、BBO結晶30−1、30−2内での励起光の伝搬方向と、BBO結晶30−1の入射面30−1in及び出力面30−1outの法線30−1nと、BBO結晶30−2の入射面30−2in及び出力面30−2outの法線30−2nとは、すべて、同一平面(図20の(a)の紙面に平行な面)内にある。しかも、光学軸30−1aと光学軸30−2aとは、BBO結晶30−1,30−2内の励起光の伝搬方向に対して反対方向に同一角度θ1,θ2だけ傾いている。ここで、BBO結晶30−1内部での励起光の伝搬方向と光軸6aとのなす角度γ1と、BBO結晶30−2内部での励起光の伝搬方向と光軸6aとのなす角度γ2とは互いに等しい。すなわち、γ1=γ2である。法線30−1nと法線30−2nとは、光軸6aに対して反対方向に同一角度(θ1−φ1+γ1)、(θ2−φ2+γ2)だけ傾いている。励起光は、BBO結晶30−1を出射した後BBO結晶30−2に入射するまでの間光軸6aに平行な方向に伝搬し、BBO結晶30−2から出射した後も光軸6a上を再び伝搬する。
このように、光学軸30−1a、30−2aの向きは、光軸6a及びBBO結晶30−1、30−2内での励起光の伝搬方向に対して互いに逆方向に向いている。したがって、図20の(b)に示すように、BBO結晶30−1で発生した複数対のシグナル光、アイドラ光のうちの多くの光が、BBO結晶30−2内を伝搬する際、その伝搬方向がBBO結晶30−2内で発生する同一波長のシグナル光、アイドラ光の発散方向と平行となる。このため、BBO結晶30−1で発生したパラメトリック発生光のうちの多くの光が、BBO結晶30−2内においてシード光として機能する。
ここで、BBO結晶30−1、30−2の光学軸30−1a、30−2aの向きが光軸6aや励起光伝搬方向に対し逆方向でなく同一方向となるように配置されたと仮定する。その場合には、BBO結晶30−1から発生したパラメトリック光のうちいずれか1つの組のシグナル光・アイドラ光しか、BBO結晶30−2内を伝搬する際、その伝搬方向がBBO結晶30−2で発生する対応する組の伝搬方向と一致しない。したがって、BBO結晶30−2は、ある一組のシグナル光・アイドラ光の波長だけしか増幅することができない。
しかしながら、本実施の形態では、BBO結晶30−1、30−2は、その光学軸の向きが励起光に対し互いに逆方向となるように配置されている。このため、BBO結晶30−1から発生したパラメトリック発生光のうちの多くの組のシグナル光・アイドラ光のBBO結晶30−2内での伝搬方向がBBO結晶30−2で発生する対応する組のシグナル光・アイドラ光の伝搬方向と一致する。BBO結晶30−1から発生したパラメトリック光のうちの多くの組のシグナル光・アイドラ光が、BBO結晶30−2においてシード光として機能する。BBO結晶30−2において広い波長範囲にて増幅が行われる。
なお、光学軸30−1aと30−2aとは、光軸6a及びBBO結晶30−1,30−2内の励起光の伝搬方向と同一平面内にあり、かつ、光軸6a及び励起光の伝搬方向に対し互いに反対側を向いていればよい。BBO結晶30−1で発生したパラメトリック光のうちの多くのBBO結晶30−2内での伝搬方向が、BBO結晶30−2内で発生した同一波長のパラメトリック光の伝搬方向と平行となるからである。したがって、光学軸30−1aとBBO結晶30−1内の励起光の伝搬方向とのなす角度θ1は光学軸30−2aとBBO結晶30−2内の励起光の伝搬方向とのなす角度θ2と異なっていてもよい。光学軸30−1aと光軸6aとのなす角度(θ1+γ1)も光学軸30−2aと光軸6aとのなす角度(θ2+γ2)と異なっていてもよい。したがって、BBO結晶30−2のBBO結晶30−1に対する相対角度位置の許容範囲が広がり、BBO結晶30−2をBBO結晶30−1に対し配置しやすい。
BBO結晶30−1,30−2の切り出し角度φ1,φ2は21.7°には限られない。なお、切り出し角度φ1,φ2の値によっては、法線30−1n、30−2nが光軸6aと一致するようにBBO結晶30−1,30−2を配置し、角度γ1、γ2を0°にすることもできる。
また、上記説明では、BBO結晶30−1、30−2の切り出し角φ1,φ2は互いに同一であったが、異なっていてもよい。たとえば、1〜2°の相違があってもよい。
上記の説明では、BBO結晶30−1の出力面30−1outと入射面30−1inとは互いに平行であり、BBO結晶30−2の出力面30−2outと入射面30−2inとは互いに平行であった。しかしながら、出力面30−1outと入射面30−1inとは平行でなくてもよく、また、出力面30−2outと入射面30−2inとは平行でなくてもよく。ただし、出力面30−1outと入射面30−1inとのなす角度、及び、出力面30−2outと入射面30−2inとのなす角度が大きすぎると、図20の(c)に示すように、BBO結晶30−1で発生したパラメトリック発生光の伝搬方向とBBO結晶30−2で発生したパラメトリック発生光との伝搬方向がBBO結晶30−2内において大きくずれてしまい、十分な増幅効果が得られない。
なお、BBO結晶30−1とBBO結晶30−2とは互いに隣接していれば良い。BBO結晶30−1、30−2が隣接していないと、BBO結晶30−1から出力されたパラメトリック発生光が円周状に大きく広がりすぎてしまい、強度が弱くなり、シード光として役立たなくなってしまう。
なお、BBO結晶30−1、30−2は、互いに接着されていてもよいが、接着されていなくてもよい。
また、図示しないが、第1のBBO結晶30−1と第2のBBO結晶30−2の表面全体にはARコーティングが形成されており、BBO結晶30−1,30−2の表面を保護している。したがって、表面を傷つけることなく2つの結晶30−1、30−2の間の距離を短くすることができる。
かかる構成の本実施の形態のコヒーレント光源501によれば、BBO結晶30−1は、励起光の入射により複数組のシグナル光とアイドラ光とからなるパラメトリック発生光を生成する。BBO結晶30−1で発生したパラメトリック発生光は、複数の波長のシード光として、励起光と共に、BBO結晶30−2に入射する。その結果、BBO結晶30−2は、複数の波長に亘って増幅された高強度のパラメトリック光を発生する。
図21の(a)に、BBO結晶30−1と30−2とを上述のようにカスケード配置した場合に得られる出力スペクトルをマルチチャンネル計測器で測定した結果を示す。なお、比較例として、単一のBBO結晶30から得られる出力スペクトルを測定した結果を図21の(b)に示す。2個のBBO結晶30をカスケード配置すれば、1個のBBO結晶30のみを使用した場合の100倍以上の増強効果が複数の波長に亘って得られることがわかる。
以上のように、本実施の形態によれば、BBO結晶30を複数個カスケード配置させて励起することによって、広い波長範囲に亘って極めて大きいエネルギ増強を達成することができる。
なお、上述の説明では、結晶30−1内における励起光伝搬方向と光学軸30−1aとのなす角度、及び、結晶30−2内における励起光伝搬方向と光学軸30−2aとのなす角度とは、共に35゜に設定されており、非同軸位相整合を発現させていた。しかしながら、BBO結晶30−1は、結晶30−1内における励起光伝搬方向と光学軸30−1aとのなす角度が非同軸整合条件を満たすしきい値32.94°より大きくなるような向きに配置されていればよい。また、BBO結晶30−2のBBO結晶30−1に対する向き(角度位置)は、光学軸30−2aの結晶30−2内での励起光伝搬方向に対する向きが光学軸30−1aの結晶30−1内での励起光伝搬方向に対する向きとは逆向きで、かつ、光学軸30−2aと結晶30−2内での励起光伝搬方向とのなす角度が非同軸整合条件を満たす所定のしきい値32.94°より大きければよい。BBO結晶30−1で発生したパラメトリック発生光の多くがBBO結晶30−2内でシード光として機能する。このため、BBO結晶30−2のBBO結晶30−1に対する相対角度位置の許容範囲が広く、BBO結晶30−2のBBO結晶30−1に対する向きの自由度が高く、これら結晶を配置しやすい。
なお、上記の説明では、2個のBBO結晶30をカスケードに配置したが、より多くの数のBBO結晶30をカスケードに配置し多段増幅を行うようにしても良い。
次に、図22を参照して、パラメトリック光発生・波長選択部508の変更例について説明する。
本変更例のパラメトリック光発生・波長選択部608では、パラメトリック光発生・波長選択部508と異なり、BBO結晶30−1とBBO結晶30−2との間にフィルタ99が配置されている。フィルタ99はシグナル光を遮断するためのものである。フィルタ99にはBBO結晶30−1で生成されたパラメトリック発生光が入射する。フィルタ99は、入射したパラメトリック発生光のうちアイドラ光のみを透過させてBBO結晶30−2へ入射させる。BBO結晶30−2には、励起光とアイドラ光とが入射し、アイドラ光はシード光として機能する。
上述のように、BBO結晶30−1では、励起光の入射に応じて、シグナル光(この例では可視光)とアイドラ光(この例では近赤外光)とが同時に発生する。ここで、シグナル光はBBO結晶30−1内を伝搬する際、屈折率の波長分散により、そのパルス幅が大きくなっていく。一方、アイドラ光はBBO結晶30−1内を伝搬するにつれそのパルス幅が圧縮されていく。より詳しくは、図5を参照して説明したように、BBO結晶の非同軸位相整合ではアイドラ光の分散角度は大きい。しかも、波長が長い程励起光の光軸から離れる。このため、アイドラ光は、波長が長い程、BBO結晶30−1内を通過する経路長が長くなり、BBO結晶30−1から出射する時間が遅れる。その一方、光は媒質中では波長が長い程媒質中を速く進む。このため、パラメトリック発生光がBBO結晶30−1から出射しBBO結晶30−2に入射する時点では、シグナル光のパルス幅は伸長しており、一方、アイドラ光のパルス幅は圧縮されている。
そこで、本変更例では、BBO結晶30−1で発生したパラメトリック発生光のうちシグナル光をフィルタ99により遮断しアイドラ光のみをBBO結晶30−2へ入射させる。したがって、狭パルスのシード光を第2のBBO結晶30−2に入射させることができる。BBO結晶30−2内では、BBO結晶30−2内で発生したパラメトリック発生光が狭パルスのシード光にて増幅されるため、狭パルスの高強度パラメトリック発生光が発生する。
励起光のパルス幅がフェムト秒レベル、特に、数十フェムト秒以下である場合には、BBO結晶30−1の屈折率の波長分散により、BBO結晶30−1で発生するシグナル光のパルス幅は励起光のパルス幅の数10%から数倍に大きくなる。しかしながら、BBO結晶30−1で発生したパラメトリック発生光のうちアイドラ光のみをシード光として使用すれば、シグナル光とアイドラ光の両方をシード光として使用するのに比べ、BBO結晶30−2で得られるパラメトリック発生光のパルス幅を小さくすることができる。
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態によるコヒーレント光源501について図23〜図25に基づいて説明する。
図23に示すように、本実施の形態のコヒーレント光源701は、第4の実施の形態のコヒーレント光源501と異なり、パラメトリック光発生・波長選択部508の代わりに、パラメトリック光発生・波長選択部708を備えている。パラメトリック光発生・波長選択部708は、載置台95と回転台96とを備えている。回転台96は回転軸96aを有しており、回転軸96aの周りに回転可能になっている。載置台95は回転台96上に配置されている。本実施の形態では、BBO結晶30−1とBBO結晶30−2と励起光反射ミラー34と光ストッパ35と波長選択・導光光学系50と光学ファイバー10の入射端部10inとは、載置台95上に配置されている。回転台96には取っ手98が設けられており、ユーザが取っ手98を握って回転台96を回転軸96aの周りに回転させることができる。
以下、パラメトリック光発生・波長選択部708について図24及び図25を参照して詳細に説明する。
図24に示すように、回転台96は、回転軸96aが励起光用反射ミラー6の光軸6aと垂直に交差するように、励起光用反射ミラー6に対して配置されている。なお、図24において、励起光用反射ミラー6の光軸6aは図の紙面に平行な面内にある。回転軸96aは図の紙面に対して直交している。
載置台95上には、BBO結晶30−1とBBO結晶30−2と励起光反射ミラー34と波長選択・導光光学系50と光学ファイバー10の入射端部10inとが所定の基準軸95aに沿ってこの順に配置・固定されている。基準軸95aは載置台95上に延びている。なお、図24において、載置台95及び基準軸95aは図の紙面に平行な面内に延びている。載置台95は、回転軸96aがBBO結晶30−1とBBO結晶30−2との間の中心位置において基準軸95aと直交するように、回転台96上に配置されている。
ここで、BBO結晶30−1とBBO結晶30−2とは、以下の条件を満足するように、配置されている。
すなわち、光学軸30−1aと光学軸30−2aと法線30−1n(入射面30−1in及び出射面30−1outの法線)と法線30−2n(入射面30−2in及び出射面30−2outの法線)と基準軸95aとが同一平面内(図24の紙面に平行な面内)にある。光学軸30−1aと光学軸30−2aとは、基準軸95aに対して反対方向に同一角度だけ傾いている。法線30−1nと法線30−2nとは、基準軸95aに対して反対方向に同一角度だけ傾いている。
ユーザが取っ手98を握って回転台96を回転軸96aの周りに回転させると、基準軸95aが回転軸96aの周りに回転し、基準軸95aと光軸6aとのなす角度αが変化する。例えば、図25に示すように、基準軸95aと光軸6aとのなす角度αが0°になった場合には、基準軸95aと光軸6aとが一致する。このように、回転台96を回転軸96aの周りに回転させることにより、光軸6aに沿って伝搬されてくる励起光のBBO結晶30−1及びBBO結晶30−2への入射角度を変化させることができる。その結果、BBO結晶30−1、30−2内で増幅される波長域が変化し、波長選択・導光光学系50で選択される所望の波長の光の強度が変動する。そこで、回転台96を回転軸96aの周りに回転させながらコリメートレンズ12から出力される光の出力の変動をモニターすれば、所望の波長の光の出力が最も強力となる回転台96の角度位置(αの値)を決定することができる。
さらに、波長選択・導光光学系50内に設けられた干渉フィルター60の傾きを変更し出力波長を変更するたびに回転台96を回転軸96aの周りに回転させ出力が最大となる角度位置を探すことにより、所望の波長の光を常に高強度で出力することができる。
また、所望の波長の出力が強力となるBBO結晶の角度位置が環境温度等の変化により変化しても、回転台96を回転するだけで、所望の波長の出力を強力とすることができる。
このように、BBO結晶30−1から光学ファイバー10の入射端部10inまでの光学素子を一体化して回転台96上に配置して全体を回転させることにより、所望の波長の光を強力に発生させることができる。
なお、光学軸30−1aと基準軸95aとのなす角度は光学軸30−2aと基準軸95aとのなす角度とは異なっていてもよい。法線30−1nと基準軸95aとのなす角度も法線30−2nと基準軸95aとのなす角度と異なっていてもよい。光学軸30−1aと光学軸30−2aとが基準軸95aに対して互いに逆方向に向いていればよい。
また、波長選択・導光光学系50から干渉フィルター60を除去し、干渉フィルター60を光学ファイバー10の出射端部10outの後段に設けてもよい。
本発明によるコヒーレント光源は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
例えば、上述の実施の形態のコヒーレント光源では、BBO結晶30を使用していた。このため、紫外領域から可視領域を経て近赤外にまで及ぶ波長の中から任意の波長を選択して出力することができた。しかしながら、BBO結晶30の代わりに、LBO(LiB3O5)、CLBO(CsLiB6O10)、KDP(KH2PO4)、及び、KD*P(KD2PO4) 等の非線形光学結晶を配置しても良い。BBO結晶を使用した場合と同様に、紫外領域から可視領域を経て近赤外にまで及ぶ波長の中から任意の波長を選択して出力することができる。
なお、近赤外領域のみの中から任意の波長を選択して出力すればよい場合には、BBO結晶30の代わりに、LN(LiNbO3)、KTP(KTiOPO4)、及び、KN(KNbO3) 等の非線形光学結晶を配置すれば良い。
更に、中赤外領域のみの中から任意の波長を選択して出力すればよい場合には、BBO結晶30の代わりに、AgGaS2、AgGaSe2等の非線形光学結晶を配置すれば良い。
BBO結晶30の代わりに、LN、LT(LiTaO3)、KTP等の周期分極構造結晶を使用しても良い。
BBO結晶30の代わりにBBO結晶以外の結晶を用いる場合にも、結晶内の励起光の伝搬方向と結晶の光学軸とのなす角度を所定のしきい値より大きな角度に選択することで、非同軸位相整合を発現させることができる。この場合のしきい値は、結晶固有の屈折率の波長分散特性と励起光の波長に応じて定まる。なお、第4、第5の実施形態の場合においては、BBO結晶30−1,30−2の代わりに、他の互いに同一な材料の結晶を2つカスケード配置すればよい。
波長選択・導光光学系50は上述以外の構成でもよい。1つ以上の所望の波長の光を選択し光学ファイバー10まで導光できればよい。シード光・励起光結合光学系82も上述以外の構成でもよい。シード光を励起光と共にBBO結晶30に導き、シード光のBBO結晶30内での発散方向が所望の波長のシグナル光(あるいはアイドラ光)及びそれと対となっているアイドラ光(あるいはシグナル光)の発散角度を含んでいればよい。
励起光発生部2や、ビーム成形部4も、上述の構成に限られない。
ビーム成形部4や励起光用反射ミラー6は備えなくても良い。
励起光発生部2は、パルス状の励起光を発生させるのではなく、連続発振励起光を発生させるのでもよい。