JP4583641B2 - 冷却貯蔵庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵収納物を冷却して貯蔵する冷却貯蔵庫(冷凍庫や冷蔵ショーケースを含む)に関し、更に詳細には、庫内内装の組み立て性が優れた冷却貯蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷却貯蔵庫の冷却室とその下部に設けられる機械室とは仕切部材によって画成され、機械室には冷却器や冷却器ファン等からなる冷凍装置が設置され、冷却室には、冷蔵収納物が収納される。冷却室内の冷気は冷却器ファンによって冷却室と機械室との間を循環するよう構成されており、冷却器ファンが回転することで、冷却室内の冷気は冷却室の床の前部から機械室内に吸い込まれる。そして、冷却器で熱交換されて冷却された冷気は、冷却室の床の背部開口(=仕切部材の上板背部開口)から冷却室内に吹き出されるようになっている。
【0003】
前記冷却室と機械室との間を仕切る仕切部材の上板(=冷却室の床板)には、冷気吹出口以外の開口は設けられていないため、冷気を機械室内に吸い込む通路を形成するために、仕切部材の前側(冷却貯蔵庫の扉側)に仕切部材とは別の部材(以下、この部材をダクト部材という)を配置して、該ダクト部材における上板に開口(冷気吸込口)を設け、更に、この上板と仕切部材の上板とが同一レベルになるように配置するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ダクト部材は、その上板に設けられた冷気吸込口から冷蔵収納物のカケラやゴミ等が下に落ちるため、その掃除のために容易に取り外せ、また、容易に取り付けることができる構造にする必要がある。また、ダクト部材の上板は、冷却室内では収納物載置台の一部としても機能するため、冷蔵収納物の載置に支障が生じないように、ダクト部材取り付け後にガタツキが生じないようにする必要もある。
【0005】
例えば、従来の冷却貯蔵庫の一種である冷蔵ショーケースでは、冷却室前部開口を開閉可能に閉成するスライド式扉を摺動可能に載置するレール部材が冷却室前部開口の下端縁に沿って取り付けられ、このレール部材に一体かつ平行に長手の溝が成形され、ダクト部材の前端縁をこの溝に嵌合させることで、ダクト部材を取り付ける構造になっている。
【0006】
しかし、一般的に、真空成形で製造される庫内内装品の一つであるダクト部材と、押出成形で製造されるレール部材とでは寸法精度が合わず、ダクト部材をレール部材に取り付けたときのガタツキをなくすのが難しく、またガタツキをなくすように成形するにはコスト的に高く付くという問題がある。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、従来の技術に内在している前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ダクト部材の寸法精度を高精度にしなくても、これを取付相手部材にガタツキなく取り付けることができ、しかも、取り付け/取り外しが容易な冷却貯蔵庫を低コストで提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る冷却貯蔵庫は、
冷却器および冷却器ファンが設置される機械室と冷蔵収納物が収納される冷却室とを画成する仕切部材の前側に隣接して設置され、前記冷却器ファンによって循環されて前記冷却器によって冷却される庫内冷気の吸込口が形成された上板が前側下方と後側下方に夫々屈曲され、その前側下方に屈曲された前板の下端縁が取付相手部材に設けられた前板嵌合溝に装着され、その後側下方に屈曲された後板の下端縁が前記仕切部材に設けられた後板嵌合溝に装着されることで庫内に取り付けられるダクト部材を備える冷却貯蔵庫において、
前記前板嵌合溝に着脱可能に装着される前記前板の下端縁に、装着するとき前記前板嵌合溝を押し広げるテーパ面が形成されると共に、
前記テーパ面に接触する前記前板嵌合溝側に、テーパ面を形成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る冷却貯蔵庫につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る冷蔵ショーケースの正面図である。この冷蔵ショーケース1の冷却室前部開口は、左右に夫々スライドされる2枚の扉2a,2bで開閉可能に閉成されるようになっており、これら扉2a,2bは冷却室前部下縁部分に沿って設けられた取付相手部材としてのレール部材3上にスライド可能に載置されている。
【0011】
図2は、図1のA―A線断面図であり、庫内冷却室の床部分の平面図でもある。冷蔵ショーケース1の冷却室5を画成する内装6と外装7との間には断熱発泡材8が充填されており、冷却室5は外気の熱と遮断されている。冷却室5の前部開口は前記扉2a,2bで開閉可能に閉成され、冷却室5の床には、仕切部材10と、この仕切部材10の前側(扉2a,2b側)に隣接して配置されたダクト部材11とが設置されている。仕切部材10の下側(冷蔵ショーケース1の底側)には、当該仕切部材10によって機械室14が画成される。
【0012】
図3は、図1のB―B線断面図であり、冷却室5と機械室14の境目部分の断面図である。前記仕切部材10によって冷却室5から画成された機械室14内には、冷却器12や冷却器ファン13等からなる冷凍装置が設置され、冷却器ファン13が回転駆動されることで、冷却室5内の冷気は、ダクト部材11の上板11aに多数形成された冷気吸込口(吸込口)11b(図2参照)から上板11a下部のダクト室15内に吸い込まれ、更に冷却器12のフィン間を通って冷却された後、仕切部材10における上板10aの背部に設けられた冷気吹出口10bから冷却室5内に戻されるよう循環する。
【0013】
図4は、仕切部材10の平面図であり、図5は、図4のC―C線断面図であり、図7(a)は図4の矢印D方向から見た仕切部材10の左側面図である。仕切部材10は、上板10aと、この上板10aに一体に連設されて前側(冷蔵ショーケース1の扉2a,2b側)で下方に屈曲する前板10cと、この前板10cと平行に上板10aの中間位置から下方に垂下する中板10dとを備え、上板10aの背部には、冷気吹出口10bが設けられている。
【0014】
前記上板10aは、開口のない一枚板で構成され、その表面(上面)には、背部側から前側に延びる幾条もの突条10eが幅方向に離間して平行に突設されている。また、前記前板10cには、図3に示すダクト室15内の冷気を吸い込む吸込口10fが多数穿設されたダクト部が設けられており、図3に示す冷却器12と冷却器ファン13本体は、上板10a下部の前板10cと中板10dの間に配置されるようになっている。なお、吸込口10fが設けられる前板10cのダクト部上縁には、図4および図7(a)に示す如く、後板嵌合溝10gが幅方向に成形されている。また、前板10cの下端と中板10dの下端には夫々フランジ10h,10iが成形されており、これらフランジ10h,10iが冷蔵ショーケース1の内装6に接するように、当該仕切部材10が冷蔵ショーケース1内に設置される。
【0015】
図6は、ダクト部材11の平面図であり、図7(b)は図6の矢印E方向から見たダクト部材11の左側面図である。ダクト部材11は、上板11aと、この上板11aに一体に連設されて前側(冷蔵ショーケース1の扉2a,2b側)で下方向に屈曲する前板11cと、背部側で下方向に屈曲する後板11dとを備える。前記上板11aには、実施例では2列に配列された多数の冷気吸込口11bが設けられており、隣接する冷気吸込口11b,11b間には、仕切部材10の上板10aに設けられた突条10eに整列する突条11eが設けられている。
【0016】
前記ダクト部材11は、後板11dの下端縁11fが、図7(a)に示す仕切部材10の後板嵌合溝10gに装着され、前板11cの下端縁11gが、扉2a,2bがスライド可能に載置される前記レール部材3に一体成形された後述する前板嵌合溝3cに装着されるようになっている。
【0017】
図8は、図3に示す断面図の中におけるダクト部材の箇所の拡大図である。図1に示す扉2a,2bが載置されるレール部材3には、扉2a,2bのレール3a,3bに平行に前板嵌合溝3cが一体成形されており、この前板嵌合溝3c内に、ダクト部材11の下端縁11gが装着される。この下端縁11gには、図8に示す如く、テーパ面11hが形成されており、ダクト部材11の下端縁11gが前板嵌合溝3c内に挿入されるとき、前板嵌合溝3cの一方の壁3dにこのテーパ面11hが摺接し、その挿入力によってテーパ面11hが前板嵌合溝3cを押し広げる力をおよぼし、ダクト部材11の下端縁11gはその反力によって前板嵌合溝3c内にガタツキなく挟持される。すなわち、テーパ面11hを設けこの部分を前板嵌合溝3c内に挿入することで前板嵌合溝3cの一方の壁3dを撓ませて弾性力を生じさせ、この弾性力によってダクト部材11の下端縁11gを挟持させるものである。
【0018】
このように、前板嵌合溝3cの一方の壁3dに弾性力を生じさせるには、テーパ面11hに摺接する部分をより狭くすると効果的である。そこで、この実施形態では、前板嵌合溝3cのテーパ面11hに摺接する壁3dの上端部側に、テーパ面11hに整合するテーパ面3eを設けている。これにより、壁3dの根本部は細く、前板嵌合溝3cは拡開しやすくなると共に、弾性力が発生しやすく構成してある。
【0019】
前記ダクト部材11に設けるテーパ面11hは、下端縁全長に亘って設けても良いが、全長に亘ってテーパ面11hを設けると、ダクト部材11の取り付け時に壁3dから受ける弾性力の反力が大きくなり過ぎ、前板嵌合溝3c内への挿入に大きな力が必要になる。また、ダクト部材11を取り外すときも大きな力が必要となる。そこで、本実施形態では、テーパ面11hは、下端縁に沿って離散的な位置にだけ設ける。例えば、両端と中央の3箇所だけ、あるいは更に端と中央との間の中間1箇所づつの計5箇所だけテーパ面11hを設ける等、適宜の数および間隔を選択可能である。このようにすると、より小さな力でダクト部材11を前板嵌合溝3c内に装着でき、また、取り外すことができ、しかも、ダクト部材11を取り付けたときのガタツキ防止の効果が低減することもない。
【0020】
前記ダクト部材11の前側を、上述のようにして前板嵌合溝3c内にガタツキなく装着することで、ダクト部材11の後側の下端縁11fは、単に、仕切部材10の後板嵌合溝10g内に載置するだけでもよい。しかし、本実施形態では、この後板11dの下端縁11fにも、下端縁11に沿った離散的な位置にテーパ面11iを設け、このテーパ面11iで後板嵌合溝10gを押し開き、該嵌合溝10gの弾性力によって後板11dも挟持する構成にしている。このように、ダクト部材11の前側と後側の両方が夫々の嵌合溝内に挟持される構成とすることで、ダクト部材11をより安定して庫内に装着することが可能となる。
【0021】
【実施例の作用】
次に、前述した本実施形態に係る冷蔵ショーケースの作用につき以下説明する。前記冷蔵ショーケース1において庫内の清掃を行なう場合、前記扉2a,2bを開け、ダクト部材11の両端を持ち上げたり、冷気吸込口11b内にフックなどを差し込んで持ち上げると、後板11dの下端縁11fが後板嵌合溝10gから抜け、また、前板11cの下端縁11gが前板嵌合溝3cから抜けるため、ダクト部材11を庫外に取り出すことができる。この状態で、ダクト室15内に落下したゴミ等を清掃する。
【0022】
前記ダクト部材11を再び庫内に装着するときは、後板11dの下端縁11fを仕切部材10の後板嵌合溝10g内に挿入する。この挿入動作の挿入初期には、下端縁11fの先端の厚さは薄いため簡単に後板嵌合溝10g内に入り、挿入が進むに従ってテーパ面11iが後板嵌合溝10gの一方の壁に摺接するため抵抗力を受ける。この抵抗力に抗して、若干、力を込めて更に挿入すると、テーパ面11iが後板嵌合溝10gを押し広げながら挿入が進み、下端縁11fの下端面が嵌合溝10gの底面に当接し、挿入が終了する。
【0023】
次に、ダクト部材11の前板11cの下端縁11gを、レール部材3の前板嵌合溝3c内に挿入する。この挿入動作も、その挿入初期には、下端縁11gの先端の厚さは薄いため簡単に前板嵌合溝3c内に入り、挿入が進むに従ってテーパ面11hが前板嵌合溝3cの一方の壁3(この実施形態ではテーパ面3e)に摺接するため抵抗力を受ける。この抵抗力に抗して、若干、力を込めて更に挿入すると、テーパ面11hが前板嵌合溝3cを押し広げながら挿入が進み、下端縁11gの下端面が溝3cの底面に当接し、挿入が終了する。
【0024】
このようにダクト部材11の庫内への装着が終わると、ダクト部材11の前板11c,後板11dは、夫々嵌合溝3c,10gに弾性力を持って挟持される。このため、ダクト部材11と嵌合相手部材3,10との製造方法の違いによる寸法精度が異なっても、ダクト部材11は庫内にガタツキなく固定され、上板11a上に安定良く冷蔵収納物が載置可能となる。なお、仕切部材10およびダクト部材11における収納物載置部となる上板10a,11aには、複数の突条10e,11eが突設されているから、瓶等の重量のあるものが載置されたときの衝撃にも耐え、また滑りを良くして収納しやすくなる。しかも、表面傷が目立たなくなると共に、成形時のひけ等も目立なくなる利点がある。
【0025】
なお、ダクト部材11の庫内への装着時のかたさは、ダクト部材11の下端縁11g,11fに沿って離散的に設けるテーパ面11h,11iの個数によって調整することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上に述べた如く、本発明に係る冷却貯蔵庫によれば、ダクト部材は、前板の下端縁を前板嵌合溝に装着するとき、下端縁のテーパ面が嵌合溝内に摺接状態で入る構成としたから、テーパ面部分、すなわち前板下端部分が嵌合溝内に挟着され、ガタツキがなくなる。従って、ダクト部材とこのダクト部材を固定する取付相手部材との製造方法が異なっても、その寸法精度の違いを吸収してダクト部材の庫内への確実な取り付けが可能となり、しかも、取り付けた後のダクト部材のガタツキもなくなる。すなわち、両部材の寸法精度を高くする必要はないから、製造コストを低廉に抑えることができる。
【0027】
また、ダクト部材の後板においても同様の構成とすることで、当該ダクト部材のガタツキのない良り確実な庫内への装着が達成される。なお、テーパ面を下端縁に沿って離散的位置にだけ設けることで、テーパ面部分が差し込まれることで押し広げられる溝からの反力が強くならないようにでき、ダクト部材の嵌合溝への装着と取り外しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷蔵ショーケースの正面図である。
【図2】図1のA―A線断面図である。
【図3】図1のB―B線断面図である。
【図4】図2に示す仕切部材の平面図である。
【図5】図4のC―C線断面図である。
【図6】図2に示すダクト部材の平面図である。
【図7】(a)は仕切部材の左側面図であり、(b)はダクト部材の左側面図である。
【図8】図3に示す断面図の中のダクト部材の部分の拡大図である。
【符号の説明】
3 レール部材(取付相手部材),3c 前板嵌合溝,3e テーパ面
5 冷却室,10 仕切部材,10g 後板嵌合溝,11 ダクト部材
11a 上板,11b 冷気吸込口(吸込口),11c 前板,11d 後板
11h,11i テーパ面,12 冷却器,13 冷却器ファン,14 機械室
Claims (4)
- 冷却器(12)および冷却器ファン(13)が設置される機械室(14)と冷蔵収納物が収納される冷却室(5)とを画成する仕切部材(10)の前側に隣接して設置され、前記冷却器ファン(13)によって循環されて前記冷却器(12)によって冷却される庫内冷気の吸込口(11b)が形成された上板(11a)が前側下方と後側下方に夫々屈曲され、その前側下方に屈曲された前板(11c)の下端縁が取付相手部材(3)に設けられた前板嵌合溝(3c)に装着され、その後側下方に屈曲された後板(11d)の下端縁が前記仕切部材(10)に設けられた後板嵌合溝(10g)に装着されることで庫内に取り付けられるダクト部材(11)を備える冷却貯蔵庫において、
前記前板嵌合溝(3c)に着脱可能に装着される前記前板(11c)の下端縁に、装着するとき前記前板嵌合溝(3c)を押し広げるテーパ面(11h)が形成されると共に、
前記テーパ面(11h)に接触する前記前板嵌合溝(3c)側に、テーパ面(3e)を形成した
ことを特徴とする冷却貯蔵庫。 - 前記テーパ面(11h)は、前記前板(11c)の下端縁に沿って離散的位置に設けられている請求項1記載の冷却貯蔵庫。
- 前記後板嵌合溝(10g)に着脱可能に装着される前記後板(11d)の下端縁に、装着するとき前記後板嵌合溝(10g)を押し広げるテーパ面(11i)が形成されている請求項1または2記載の冷却貯蔵庫。
- 前記後板(11d)の下端縁に設けられる前記テーパ面(11i)は、該下端縁に沿って離散的位置に設けられている請求項3記載の冷却貯蔵庫。
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