JP4583566B2 - ポリ(p−ジオキサノン)の製造方法、並びに、ポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント及びその製造方法 - Google Patents

ポリ(p−ジオキサノン)の製造方法、並びに、ポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、ポリ(p−ジオキサノン)の製造方法、並びに、ポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント及びその製造方法に関する。詳しくは、機械的特性の保持率が高く、手術用縫合糸として好適に用いられるポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント及びその製造方法、並びに、モノフィラメントの原料として好適に使用し得るポリ(p−ジオキサノン)の製造方法に関する。
【従来の技術】
【0003】
現在、ポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントの市販品としては、米国エチコン社製のPDSII(商品名)があり、非常に優れた耐加水分解性を示すことが知られている。一方、他の化学合成モノフィラメント縫合糸としては、モノクリル(エチコン社製、商品名)、マクソン(ACC社製、商品名)、バイオシン(U.S.サージカル社製、商品名)等が知られている。後者のモノフィラメントは、PDSIIに比べて加水分解が早く、より長い耐加水分解性を保持させるのに有効でなく、短期的な用途にのみ用いられる。さらに長い加水分解性を要する場合には、ポリカプロラクトンモノフィラメント等を使用する必要があった。しかし、実際には耐熱性が不足であり、加水分解性が遅すぎるため、使用実績はほとんど例がない。
【0004】
近年、医療の進歩により、老人の高齢化が進んでいる。しかし、高齢であるが故に治癒、回復に長時間を要し、通常の分解性のモノフィラメント縫合糸では傷口が修復する前に強度が低下するため、結局抜糸を必要とする縫合糸が用いられている。モノフィラメント縫合糸としては、より加水分解しにくく、より安全なものが望まれていた。
【0005】
ドッテイらは、ポリ(p−ジオキサノン)による生体吸収性モノフィラメントを製造している。(例えば、特公昭60−36785号公報、USP−4,052,988号)。また、特開平10−316745号公報には、分子量分布(Mw/Mn)の狭い高分子量のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法が開示されている。前者のポリ(p−ジオキサノン)からなるモノフィラメントは、有機金属触媒の量とモノマー純度とにより分子量を制御して、テトラクロルエタン溶液の溶液粘度が少なくとも0.5dl/g以上の縫合糸が記載されている。しかし、高分子量にするほど含有触媒量が多くなり、使用触媒を除去したとしても安全性の面から決して良好な方法とは言えない。後者のポリ(p−ジオキサノン)に関しても同様に、ジオクタン酸スズの量により分子量の制御を行っており、本発明者の意図している触媒量とは程遠い。また、使用触媒を除去したとしても安全性の面から決して良好な方法とは言えない。
【0006】
一方、特開平8−52205号公報には、高い溶液粘度を有するポリ(p−ジオキサノン)の製造方法、及びヘキサフルオロイソプロパノール溶媒中で2.3〜8.0dl/gの溶液粘度を有する外科用モノフィラメントが開示されている。更に該公報には、高粘度を示すポリマーに適した反応機を用いる1段階重合、又は、低分子量のプレポリマーを2段階の固体状態で重合を行う2段階重合によりポリ(p−ジオキサノン)を製造できることが記載されている。そして、重合を開始した後、ポリマーの粘度が100〜500cpに到達した時点で反応槽の内容物を硬化用トレーに排出したことが記載されている。このような方法で製造されたポリマーは、確かに高分子量であり(固有粘度:2.64dl/g)、分子量を上げることにより、ある程度耐加水分解性を改善することを意図している。しかしながら、具体的なフィラメントの耐加水分解性を示した記載はなく、射出成形品で高分子量であることの効果を示しているに過ぎない。さらに、重合時における攪拌に基づくせん断によるポリマーの劣化等について何ら記載されておらず、液相攪拌重合と固相重合の併用は、むしろ移液時の効率化のためと考えられる。
【0007】
モノフィラメントの製造方法としては、特開平3−206143号公報、US5294395号、及びUS5451461号等に開示される製造方法が知られている。具体的には、紡糸後に行う未延伸糸の延伸は、融点以上の温度をかけてモノフィラメント表面層を熱暴露させて、外側と中心部分との結晶構造が異なる二層構造にするモノフィラメントの製造方法であり、一般にはゾーン延伸法と呼ばれるものであり、表面がやや溶けて軟らかさを付与させる一方で中心の高い結晶性を維持し、加水分解性を保つことを特徴としている。しかしながら、該方法では、熱分解を部分的に起こしているため、高い分子量のポリ(p−ジオキサノン)を原料とする必要がある。また、工程の煩雑さ、及び特殊な設備を要する等、経済的見地を考慮すると決して優れているとは言い難い。更には、せっかくの耐加水分解性を犠牲にしていることが考えられる。上記理由と考え合わせると、ゾーン延伸を行うために高分子量のポリマーを製造する必要があることが読み取れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の観点に鑑み、PDSII等、従来公知のポリ(p−ジオキサノン)のフィラメントに比べて、耐加水分解性に優れ、より安全なポリ(p−ジオキサノン)のモノフィラメント及びその製造方法を提供すること、及びその原料として有用なポリ(p−ジオキサノン)の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、驚くべきことに、従来液体であると信じられていたジオクタン酸第1スズが、蒸留等により精製を行うと、低温下で固体を形成すること、また、重合触媒として、該精製した高純度のジオクタン酸第1スズを用いて、p−ジオキサノンの液相開環重合を開始し、重合が進行して反応系の粘度(攪拌負荷)が特定値以上増加した時点で攪拌を停止し、重合温度を下げて固相重合に切り替える方法により、未精製のジオクタン酸第1スズを用いた場合と比較して、得られたポリ(p−ジオキサノン)の分子量が同一であるにもかかわらず、それを紡糸して得られるフィラメントが、耐加水分解性に優れていることを見出し、本発明に到った。
【0010】
すなわち、本発明の第1発明は、触媒及び開始剤の存在下でp−ジオキサノンを開環重合するポリ(p−ジオキサノン)の製造方法であって、p−ジオキサノンに対し、0℃において白色結晶を生じるジオクタン酸第1スズ0.002〜0.005モル%、及び開始剤0.01〜0.1モル%を添加し、85〜105℃において攪拌下、p−ジオキサノンの液相開環重合を開始し、攪拌負荷が初期負荷に対し10〜100%増加した時点で攪拌を停止し、且つ、重合温度を65〜85℃に低下させて固相重合を行うことを特徴とするポリ(p−ジオキサノン)の製造方法である。
【0011】
上記第1発明の好ましい態様として、固相重合終了後、温度60〜80℃、圧力10mmHg以下において不活性気体を通気して未反応p−ジオキサノンを除去し、その含有量を0.5重量%以下に制御する前記製造方法、及び、ポリ(p−ジオキサノン)への転化率が95重量%以上に到達するまで重合反応を継続する前記製造方法が挙げられる。いずれの製造方法においても、原料として、水分含有量が150ppm以下のp−ジオキサノンを使用することが好ましい。特に、ジオクタン酸第1スズとして上記特性に加え、融点が−3℃以上であるものを用いること、更に、市販品を蒸留精製して、0.25〜0.3mmHg、塔頂温度180〜200℃の条件における留出物を用いることが好ましい。また、攪拌負荷が初期負荷に対し20〜80%増加した時点で攪拌を停止することが好ましい。上記方法で製造されるポリ(p−ジオキサノン)の固有粘度は、開始剤の量を調節することにより変えることが可能であり、具体的には、25℃において1.8〜2.5dl/gである。
尚、本発明におけるジオクタン酸スズの融点は、後述する実施例に記載した方法により測定することができる。
【0012】
本発明の第2発明は、前記方法によりポリ(p−ジオキサノン)を製造し、次いで、(1)125〜165℃において、得られたポリ(p−ジオキサノン)を溶融紡糸する紡糸工程、(2)60〜110℃において、延伸倍率3〜8で延伸する延伸工程、(3)60〜110℃において、80〜90%緩和させる工程、(4)80〜100℃において、1〜24時間熱処理する工程、を含むことを特徴とするポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントの製造方法である。この方法で製造される延伸モノフィラメントの直径は4〜40ミルである。
【0013】
本発明の第3発明は、前記第2発明により製造されたポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントであって、1回結び引張強度が少なくとも30000psiであり、37℃の生理食塩水に4週間浸漬した後の該引張強度の保持率が58%以上のポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントである。本発明に係るモノフィラメントは、手術用縫合糸として好適に使用される。
【0014】
本発明に係るポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントは、公知の加水分解性ポリエステルフィラメント、例えば、PDSIIよりも加水分解が遅い。すなわち、生理食塩水中で加水分解処理しても、1回結び引張強度等の保持率が高く、耐加水分解性に優れている。そのため、治癒期間の長い外科手術用縫合糸として使用することのできる極めて有用な資材である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、ポリ(p−ジオキサノン)の製造方法について説明する。本発明に係わるポリ(p−ジオキサノン)の製造方法は、触媒及び開始剤の存在下で、p−ジオキサノンの開環重合を行うに際し、触媒として、0℃において白色結晶を生じるジオクタン酸第1スズを用い、特定の温度において攪拌しながら液相開環重合を開始し、反応系の粘度の増加を攪拌負荷で捕らえ、攪拌負荷が特定値以上増加した時点で攪拌を停止して、反応系に対する機械的せん断をなくすると共に、重合温度を低下させて固相開環重合を行う方法である。
【0016】
本発明では触媒としてジオクタン酸第1スズを用いる。ジオクタン酸第1スズは、食品添加物として米国FDAで承認されている。本発明に用いるジオクタン酸第1スズは、0℃において白色結晶を生じるものである。好ましくは融点が−3℃以上のものである。これらの触媒は、市販品を蒸留精製等を行うことにより得られる。市販品としては、日本化学産業(株)製、商品名:ニッカオクチック錫28%、が挙げられる。該品は、温度0℃において淡黄色の液体である。この市販品を蒸留精製して、圧力0.25〜0.3mmHg、塔頂温度180〜200℃における留出物を捕集することにより本発明の目的に合った純度を有する触媒が得られる。上記市販品を上記条件で蒸留すると、上記留出物の回収率は約80重量%である。蒸留精製に際しては、塔頂温度180℃未満の留出物は初留分として除去し、200℃を超えるものは缶出物として除去する。蒸留精製したジオクタン酸第1スズは、常温下、無色で粘性のある液体であり、更に窒素雰囲気下、0℃で白色の結晶であり、融点は−3℃である。更に、H−NMR及びIR測定結果より、蒸留初留物の大部分は、遊離のカルボン酸である。触媒の使用量は、p−ジオキサノンの仕込み量に対して0. 002〜0. 005モル%の範囲が好ましい。
【0017】
開始剤としては以下のものが挙げられる。脂肪族アルコール類、グリコール類、ヒドロキシカルボン酸類、フェノール類等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族飽和アルコール類、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール類、ジエチレングリコール等のグリコール類、乳酸、グリコール酸等のヒドロキシカルボン酸類、アミノフェノール、アセトアミノフェン等のフェノール類等が挙げられる。これらの中で、ラウリルアルコールが好ましく使用される。開始剤の使用量は、後述するp−ジオキサノンの仕込量に対して0. 01〜0. 1モル%の範囲が好ましい。
【0018】
本発明で使用するp−ジオキサノン(モノマー)は、蒸留したもの、或いは蒸留して精製したものでもよいが、水分の少ないものが好ましい。水分の許容範囲は、150ppm以下が望ましい。水分の含有量が150ppmを超えると、水を開始剤としたポリマーの生成が優位となり、加水分解速度の速いポリ(p−ジオキサノン)が多く生成する傾向にある。
【0019】
本発明では重合系に染料を添加してもよい。添加する時期は重合開始時点が好ましい。使用できる染料としては、米国CFR21にて規制されているD&C、Green−No.6(CAS番号:128−80−3)、及び、D&C、Violet−No.2(CAS番号:81−48−1)を挙げることができる。染料の使用量は、モノマーの仕込量に対して、前者が0.21重量%未満、後者が0.3重量%未満の範囲が好ましい。より好ましくは、前者が0.15重量%未満、後者が0.25重量%未満の範囲である。同一の粘度では、添加量が多いと重合時の攪拌によるせん断の影響を受けにくいが、反応時間が長くなり攪拌継続時間が長くなる。逆に少ないと、せん断の影響を受け易く耐加水分解性に良い影響を与えない。
【0020】
本発明では、染料を添加しなくても耐加水分解性に優れたポリマー及びフィラメントが製造できる。即ち、上記の如き精製した触媒を用い、攪拌負荷制御を実施し、且つ、高温における液相反応と低温における固相反応を実施することにより、本発明の目的が達成される。
【0021】
重合反応は、上記触媒、及び開始剤の存在下、必要に応じて、染料も添加した状態で、p−ジオキサノンの開環重合を実施する。開環重合は、攪拌下、85〜105℃、好ましくは90〜100℃において液相で反応を開始する。重合反応が進行し、ポリマーの生成が進むにつれて反応系の粘度が上昇する。本発明ではこの粘度上昇を攪拌負荷の増加で捕らえる。
【0022】
300mlの反応器(内径:87mm、深さ:170mm)を用いて、反応液の液深を90%、反応器内径(D)に対する攪拌羽の長さ(L)の比、L/D:0.6〜0.7の攪拌羽根を用いた場合を例として、攪拌負荷について説明する。反応開始時の攪拌負荷が0.006V(攪拌機の最高負荷:5V、その時のトルク:10kgf・cm)で攪拌を開始して、攪拌負荷が例えば0.008Vを超えた時点を粘性が発生した時点、即ち、攪拌負荷が増加した時点と定義づける。この時の負荷増加分は、0.002Vであり、初期負荷に比べて33%増加したこととなる。この時の重合温度は85〜105℃である。好ましくは90〜100℃の範囲である。
【0023】
本発明では、開環重合を開始し、粘性が発生して攪拌負荷が特定値増加した後、攪拌を停止する。同時に重合温度を低下して固相重合へ切り替える。固相重合へ切り替える際の攪拌負荷の増加度合いの目途は、初期の攪拌負荷に対して10〜100%増加した時点である。好ましくは20〜80%増加した時点である。
固相重合の重合温度は、65〜85℃である。好ましくは70〜80℃の範囲である。
【0024】
重合反応は、モノマーの転化率が95重量%以上に達するまで継続することが好ましい。重合時間は、温度、触媒量及び開始剤量により変化するが、通常、攪拌下の液相反応の反応時間は2〜24時間程度であることが好ましい。より好ましくは6〜12時間程度である。この間、粘性が発生し攪拌負荷の増加を自動的に検知して、自動的に攪拌を停止し、且つ、自動的に固相重合へ切り替える制御システムを組み込むことにより作業性を大幅に改善することができる。固相重合の重合時間は3〜6日間程度であることが好ましい。それ以上の日数では、作業性及び経済的見地より効率が低く、且つ3日未満では、目的とする転化率に到達しないことがあり、ポリ(p−ジオキサノン)ポリマーを紡糸して所望の特性を有するモノフィラメントを得ることが困難となる。また、加熱媒体は限定されず、オイル浴でも乾燥機でも良いが、効率的な方法を考慮すると、乾燥機が好ましい。
【0025】
上記方法により製造されるポリ(p−ジオキサノン)の固有粘度は、25℃において1.8〜2.5dl/gである。好ましくは約1.9〜2.4dl/gの範囲である。1. 8dl/g未満の場合は、成形する際の溶融粘度が低くなり、形状のよいフィラメントが得難くなる。また、2.5dl/gを超える場合は、成形時に溶融粘度が高くなり過ぎ、良好な成形性が得難くなる。更には紡糸時の温度を上げる必要があり、良好な耐加水分解性を保持できなくなる。
【0026】
触媒の純度に関しては、市販品を精製せずそのまま用いた場合に比べて、精製した触媒を用いることにより開始剤に対するモノマーのモル比(以下、M/Iという)が同じ値であっても、固有粘度の高い、すなわち高分子量のポリ(p−ジオキサノン)が得られる(実施例1及び2と比較例1との比較又は比較例4と比較例2との比較)。さらに、市販品を精製せずそのまま用いた場合に比べて、精製した触媒を用いて得られたポリ(p−ジオキサノン)を紡糸して得られるフィラメントは、ポリ(p−ジオキサノン)の固有粘度が同じであっても、耐加水分解性に優れている。また、攪拌負荷制御に関しては、M/Iが同じであり、且つ、蒸留精製した触媒を用いた場合において、攪拌負荷が所定値増加した時点で攪拌を停止し、且つ、重合温度を所定値まで下げて重合を実施したものの方が、固有粘度の高い高分子量のポリ(p−ジオキサノン)が得られる(実施例1〜3と比較例3、4との比較)。
【0027】
また、染料の添加効果については、攪拌負荷制御を実施せずに、M/I値を同条件とした場合について比較すると、得られたポリ(p−ジオキサノン)の固有粘度の差はほとんど認められなかった(比較例3と比較例4参照)。染料添加によるゲル化防止等の可塑化効果が認められる。
【0028】
本発明において、分子量の制御は、開始剤等の添加量により一義的に決定される。ここで、開始剤等とは、水分及開始剤を意味する。モノマーの全モル数を開始剤等のモル数で除したM/I値をその指標とする。モノマーの水分を測定した後、あらかじめ作成した検量線から、加えるべき開始剤の量を決定する。
次いで、上記方法により製造されたポリ(p−ジオキサノン)を用いる、ポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントの製造方法について説明する。フィラメントを紡糸する前にポリマー中に含まれるモノマーの除去、及びポリマー乾燥を行う。ポリ(p−ジオキサノン)は、できる限り不純物を除去したものが望ましい。即ち、水分及びモノマー等加水分解を助長する物質を極力少なくすることが好ましい。ポリ(p−ジオキサノン)中のモノマーの含有量は0.5重量%以下、より好ましくは0.1%以下が望ましい。
【0029】
モノマーを除去する方法としては、以下の方法が挙げられるが、加熱媒体を通気させて減圧下に充填容器を加熱しうるもので有れば何ら問題ない。▲1▼容器表面を加熱した充填塔カラムにポリ(p−ジオキサノン)を充填し、減圧吸引下、カラム下部方向より加熱乾燥窒素等を用いてストリッピングを行う方法。▲2▼減圧吸引下、容器表面を加熱した回転型コニカルドライヤーにて、加熱乾燥窒素等を通気させながらストリッピングを行う方法等が挙げられる。スケールが小さい場合は、▲1▼の方法が効果的で便利である。5kg以上のスケールの場合は、▲2▼の方法を用いることが効果的である。これらの方法により、モノマーを除去したポリ(p−ジオキサノン)を得ることができる。加熱温度は60〜80℃の範囲で実施される。より好ましくは60〜70℃の範囲である。窒素等の不活性気体の流量は、真空ポンプの排気能力及び容器の大きさによるが、余り流量が大きいと真空度が上がらず、初期の目標を達成することが出来ない。好ましくは0.5リットル/min以下の流量で行う。より好ましくは0.3リットル/min.程度で行うことが望ましい。減圧・吸引時の圧力は10mmHg以下が好ましい。かくして得られたモノマー除去したポリ(p−ジオキサノン)は、紡糸原料として好ましく供することができる。
【0030】
本発明に係るモノフィラメントは、上述のポリ(p−ジオキサノン)を紡糸し、更に、延伸することにより製造される。紡糸には、公知の紡糸方法を採用することができる。また、延伸についても同様である。溶融紡糸によりモノフィラメントを製造する場合、紡糸温度は125〜165℃であることが好ましい。125℃未満では、ポリ(p−ジオキサノン)の溶融粘度が高すぎて、紡糸が困難である。また、165℃を超えると、ポリ(p−ジオキサノン)が分解し、得られるモノフィラメントの強度が低下する。ポリ(p−ジオキサノン)の溶液を調製し、溶液紡糸することも可能である。その場合、溶媒にはテトラクロルエタン等の溶媒が使用できる。この場合には溶媒の沸点以下の温度にて紡糸を行う。溶液濃度は通常10〜30重量%が好ましい。しかしながら、経済的見地を考慮すると前者の溶融紡糸法が好ましい。
【0031】
紡糸により未延伸糸を製造し、得られた未延伸糸を延伸することにより、直線引張り強度50, 000psi以上の強度を有するモノフィラメントが得られる。好ましい延伸条件は、延伸温度60〜110℃、延伸倍率3〜8倍の範囲である。延伸方法は2段延伸が好ましい。その場合、1段延伸及び2段延伸の合計延伸倍率が上記範囲となるように延伸する。延伸倍率が3倍未満の場合、十分な引張強度が得られない。また、8倍を超えると、延伸の際に白化現象が発生して充分な強度を引き出すことができない。更には延伸の際に、モノフィラメントが切れることがあり好ましくない。
【0032】
本発明に係るモノフィラメントは、上記条件で延伸した後、60〜110℃において、80〜90%緩和される。次いで、熱処理される。熱処理温度は、80℃〜ポリ(p−ジオキサノン)の融点未満の温度範囲が好ましい。具体的には、80〜100℃程度である。処理時間は1〜24時間程度が好ましい。通常、例えば、ボビン等に巻き付けた状態で適度の緊張下で実施する。上記条件で得られたモノフィラメントは、加水分解試験に供される。染料添加したモノフィラメントは、同じ固有粘度有するエチコン社製のモノフィラメント(商品名:PDSII)と比較すると明らかに耐加水分解性が優れていることが示される。
【0033】
本発明に係るモノフィラメントは、直線引張り強度が50, 000psi以上、好ましくは60, 000psi以上である。1回結び引張り強度は30, 000psi以上、好ましくは40, 000psi以上である。ヤング率は290, 000psi以下、好ましくは220, 000psi以下である。伸長率は60%以下、好ましくは40%以下である。また、モノフィラメントの径は4〜40ミルである。37℃の生理食塩水に浸漬した場合の1回結び引張り強度の4週間後の保持率は58%以上である。かかる特性を有するモノフィラメントは、例えば、生体吸収性の外科手術用縫合糸、特に治癒期間が長期の傷口修復手術用縫合糸として好適に用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。また、実施例に記載した物性値は、以下の方法により測定した。
【0035】
1.残存モノマー量(重量%)
あらかじめ、濃度既知のモノマーの検量線を作成した後、得られた共重合体0.3gをヘキサフルオルイソプロパノール(以下、HFIPと称する)10mlに溶解し、ガスクロマトグラフィー〔(株)日立製作所製、163型ガスクロ装置、キャピラリーカラム:cp−sil 5CB、50m×0. 32mmφ、カラム温度:170℃)を用いて、残存モノマーを定量する。
【0036】
2.固有粘度(dl/g)
得られた共重合体0. 025gをHFIP25mlに溶解し、0. 1g/dlのHFIP溶液を調製した後、ウベローデ(1B型)粘度計を用いて、25℃にて溶液粘度を測定し、固有粘度(η:dl/g)を下記数式(1)
η=(lnt/to)/C ・・・(1)
(但し、式中、tはポリマー溶液の落下時間〔s〕、to は溶媒の落下時間〔s〕、Cは溶液濃度〔g/dl〕である)により算出する。
【0037】
3.引張強度及び一回結び引張強度(kpsi)
引張試験機(オリエンテック(株)製、形式;テンシロンRTA−100)を用いて、EUROPEAN PHARMACOPOEIA COMMISSIONに規定される方法に従い、チャック幅130mm、クロスヘッドスピード250mm/分で測定する。1回結び引張強度は、フィラメントに1回結びを形成した後、その結び目がクランプの中央に位置するように取り付け、それを試料とする。ヤング率は得られた応力−ひずみ曲線の初期直線的弾性領域の勾配より次式により算出する。測定より得られた引張強度及びヤング率の単位は、〔kg/mm〕であるが、〔kpsi〕に換算した値を示す。
ヤング率=(tanθ×L×C×S)/(H×A)
上記数式において、θ:応力−ひずみ曲線の初期直線とx軸(ひずみ軸)との角度〔度〕、L:チャック間距離〔mm〕、C:チャートスピード〔mm/分〕、S:y軸(応力軸)1目盛り当たりの荷重〔kg/mm〕、H:クロスヘッドスピード〔mm/分〕、A:フィラメントの初期断面積〔mm〕を示す。
【0038】
4.1回結び引張強度の保持率(%)
37℃の生理食塩溶液(塩化ナトリウム9.0gを蒸留水に溶解し、全量を1000mlにした溶液)に試料を7、14、21、28日間それぞれ浸漬し、前項記載の方法により1回結び引張強度を測定し、未浸漬試料に対する保持率を算出する。
【0039】
5.触媒の融点(℃)
アルミパンに試料6.8〜7.0mgを秤量して包装し、−5℃の冷凍庫に1昼夜静置する。DSC(RIGAKU(株)製、形式:DSC−8230)の最初の温度を−67℃に設定して試料を入れ測定を開始する。昇温速度5℃/minで−67〜100℃まで測定する。融解ピークトップが現れる温度を融点とする。尚、標準物質としてAlを用いる。
【0040】
調製例1<ジオクタン酸第1スズの蒸留精製>
温度計サック及び窒素導入キャピラリーの付いた100mlの四つ口フラスコに109gの市販のジオクタン酸第1スズ(日本化学産業(株)製、商品名:ニッカオクチック錫28%)を入れ、減圧下、単蒸留にて蒸留を実施した。減圧度は0.25〜0.3mmHgとした。塔頂温度、留出量及びその重量%は以下の通りである。第1留分:93〜95℃、9.5g、8.7重量%、第2留分:180〜200℃、88.2g、80.9重量%、釜残分:7.0g、6.4重量%。第2留分は0℃において白色結晶を生じた。また、上記方法により融点を測定した結果、融点は−3℃であった。以下、第2留分を精製触媒という。
【0041】
実施例1
蒸留して水分27.7ppmのp−ジオキサノン(以下、PDOという)298.2g(2.921モル)を300mlの反応フラスコに水分が更に混入しないように両末端カット注射針にて窒素雰囲気下に加え、精製触媒0. 004モル%(0.6gの精製触媒を高速液体クロマトグラフ用トルエン(和光純薬製)2mlに加えた溶液0.21ml)、ラウリルアルコール0. 068モル%(水分のモル数を考慮、M/I=1200に相当)を添加した。攪拌機付反応フラスコ(攪拌機:EYELA製、形式:MAZELA Z−1310、攪拌最大負荷:10kgf・cm)を室温にて、回転数60rpmで攪拌させながら、圧力1mmHg以下で60分放置した。その後、減圧下、室温〜60℃まで昇温させた後、減圧を解除した。窒素雰囲気下、同回転数にて攪拌しながら、さらに昇温を95℃まで行い、攪拌の回転数を5rpmに切り替えて重合を開始させた。内温を室温〜95℃まで上げるのに2時間を要した。この時記録計(横河電機製、型式μR100)の攪拌初期の負荷値は0.006Vであった(5Vで10kgf・cmの値に相当)。粘性による負荷上限値を0.008V(初期負荷の33%増加)に設定し、これ以上の負荷が発生したときには攪拌を停止させるように制御した。更に、温度調節計(理科学工業(株)製、形式:REX−P100)にて攪拌停止信号発生時に次の設定パターンに置き換わる様切替制御した自動制御にて重合温度を管理した。95℃に到達した時点を重合開始時とし、重合開始時点から4時間後に攪拌を停止した。攪拌を停止した状態で、更に、80℃にて固相重合を6日間行い重合を終了させた。
【0042】
その後、液体窒素にて急冷して反応器からポリ(p−ジオキサノン)を取り出し、森田式粉砕機(JC−2型)で冷凍粉砕した。真空乾燥機で12時間、室温下乾燥して粉砕品290gを得た。更に、脱モノマー操作を以下の方法で実施した。粉砕品を容積400mlのカラムに装入して、8mmHgの減圧下、温度63℃でカラムを加熱保温し、同温度にて加熱窒素を200ml/分流して脱モノマー操作を36時間実施した。脱モノマー実施後の未反応モノマーの含有量は0.1重量%以下であった。得られたポリ(p−ジオキサノン)の固有粘度(η)は2.31〔dl/g〕であった。得られたポリ(p−ジオキサノン)の量は280gであった。釜付着物、粉砕及び後処理時等のポリマーロス分は12.3gであり、ポリマーへの転化率は98重量%であった。ポリマーの融点は115℃であった。
【0043】
実施例2
PDO、LAOH及び精製触媒の装入量、並びに、PDOの水分を表−1(表1)に記載した通りに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。再現性を確認した。
【0044】
実施例3
PDO、LAOH及び精製触媒の装入量、並びに、PDOの水分を表−1(表1)に記載した通りに代え、且つ、染料〔D&C Violet No.2(CASNo81−48−1)〕をPDOに対して0.13重量%添加した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。
【0045】
実施例4〜6
PDO、LAOH及び精製触媒の装入量、並びに、PDOの水分を表−1(表1)に記載した通りに代えた以外は実施例3と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。
【0046】
比較例1
市販のジオクタン酸第1錫(日本化学産業(株)製、商品名:ニッカオクチック錫28%、以下、未精製触媒という)を用い、PDO、LAOHの装入量、及びPDOの水分を表−2(表2)に記載した通りに替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。
【0047】
比較例2
未精製触媒を用い、PDO、LAOHの装入量、並びに、PDOの水分を表−2(表2)に記載した通りに替え、且つ、重合開始時から12時間攪拌を継続し、その後攪拌を停止(攪拌負荷の増加率:3300%)して重合温度を低下した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。
【0048】
比較例3
PDO、LAOH及び精製触媒の装入量、並びに、PDOの水分を表−2(表2)に記載した通りに代え、且つ、重合温度及び攪拌負荷の制御(攪拌負荷の増加率:3500%)を比較例2と同様に実施した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。
【0049】
比較例4
PDO、LAOH、精製触媒、及び染料D&C Violet No.2(CASNo81−48−1)の装入量、並びに、PDOの水分を表−2(表2)に記載した通りに替え、且つ、重合温度及び攪拌負荷の制御(攪拌負荷の増加率:2300%)を比較例2と同様に実施した以外は、実施例3と同様の操作を行い、ポリ(p−ジオキサノン)を得た。
実施例1〜6の結果を表−1(表1)、比較例1〜4の結果を表−2(表2)にそれぞれ示す。
【0050】
【表1】
Figure 0004583566
【0051】
【表2】
Figure 0004583566
【0052】
実施例7
実施例1で得られたポリ(p−ジオキサノン)を押出温度155℃にて紡糸し、モノフィラメント未延伸糸を作成した。押出機のノズルの口径は1. 0mmのものを用いた。得られた未延伸糸を延伸温度90℃にて、延伸倍率4. 0倍に延伸し、更に110℃にて延伸倍率1.5倍延伸した。更に、得られた延伸糸を110℃にて90%緩和を実施した後、90℃で6時間熱処理を行った。熱処理後の延伸モノフィラメントの直線引張強度、1回結び引張強度、伸度、ヤング率を測定し表−3(表3、4)に示した。
【0053】
実施例8〜9及び比較例5〜8
表−3(表3、4)に記載したポリ(p−ジオキサノン)を用いた以外は、実施例1と同様の紡糸・延伸・緩和・熱処理操作を行った。得られた結果を表−3(表3、4)に示す。
【0054】
比較例9〜10
市販縫合糸であるPDSII(エチコン社製、商品名、染料含有品)について、実施例1と同様にして物性を評価した。得られた結果を表−3(表3、4)示す。
【0055】
比較例11
市販縫合糸であるPDSII(エチコン社製、商品名、染料を含まないclear品)について、実施例1と同様にして物性を評価した。得られた結果を表−3(表3、4)示す。
【0056】
【表3】
Figure 0004583566
【0057】
【表4】
Figure 0004583566
【0058】
実施例9と比較例9を比較すると、フィラメントの固有粘度が殆ど同じ、つまり、殆どポリマーの分子量が変わらないにもかかわらず、実施例9のフィラメントの耐加水分解性が向上していることがわかる。
また、実施例7、8と比較例11を比較すると、フィラメントの固有粘度が殆ど同じ、つまり、殆どポリマーの分子量が変わらないにもかかわらず、実施例7と8のフィラメントの耐加水分解性が向上していることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係わる製造方法により得られたポリ(p−ジオキサノン)を用いて紡糸・延伸して製造されるモノフィラメントは、既存のポリ(p−ジオキサノン)のモノフィラメントよりも加水分解が遅く、治癒期間が長期の傷口修復手術用縫合糸として優れている。従って、本発明の製造方法で得られるポリ(p−ジオキサノン)は、モノフィラメントの形態で生体吸収性の手術用縫合糸として極めて有用な資材である。

Claims (14)

  1. 触媒及び開始剤の存在下でp−ジオキサノンを開環重合するポリ(p−ジオキサノン)の製造方法であって、p−ジオキサノンに対し、0℃において白色結晶を生じるジオクタン酸第1スズ0.002〜0.005モル%、及び脂肪族アルコール類、グリコール類、ヒドロキシカルボン酸類、フェノール類から選択される開始剤0.01〜0.1モル%を添加し、85〜105℃において攪拌下、p−ジオキサノンの液相開環重合を開始し、攪拌負荷が初期負荷に対し10〜100%増加した時点で攪拌を停止し、且つ、重合温度を65〜85℃に低下して固相重合を行うことを特徴とするポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  2. 水分含有量が150ppm以下のp−ジオキサノンを使用することを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  3. ジオクタン酸第1スズの融点が−3℃以上であることを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  4. ジオクタン酸第1スズが、市販品を蒸留精製した、0.25〜0.3mmHg、塔頂温度180〜200℃の条件における留出物であることを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  5. 攪拌負荷が初期負荷に対し20〜80%増加した時点で攪拌を停止することを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  6. 固相重合終了後、温度60〜80℃、圧力10mmHg以下において不活性気体を通気して未反応p−ジオキサノンを除去し、その含有量を0.5重量%以下に制御することを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  7. ポリ(p−ジオキサノン)への転化率が95重量%以上に到達するまで重合反応を継続することを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  8. ポリ(p−ジオキサノン)の固有粘度が25℃において1.8〜2.5dl/gであることを特徴とする請求項1記載のポリ(p−ジオキサノン)の製造方法。
  9. ポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントを製造する方法であって、請求項1〜8のいずれかに記載の方法によりポリ(p−ジオキサノン)を製造し、次いで、(1)125〜165℃において、得られたポリ(p−ジオキサノン)を溶融紡糸する紡糸工程、(2)60〜110℃において、延伸倍率3〜8で延伸する延伸工程、(3)60〜110℃において、80〜90%緩和させる工程、(4)80〜100℃において、1〜24時間熱処理する工程、を含むことを特徴とするポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントの製造方法。
  10. 延伸モノフィラメントの直径が4〜40ミルであることを特徴とする請求項9記載のポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントの製造方法。
  11. 請求項9記載の方法により得られたポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントであって、1回結び引張強度が少なくとも30000psi(21.09kg/mm2)、37℃の生理食塩水に浸漬した後4週間後の該引張強度の保持率が58%以上であるポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント。
  12. 請求項10記載の方法により得られたポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメントであって、1回結び引張強度が少なくとも30000psi(21.09kg/mm2)、37℃の生理食塩水に浸漬した後4週間後の該引張強度の保持率が58%以上であるポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント。
  13. モノフィラメントが手術用縫合糸である請求項11記載のポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント。
  14. モノフィラメントが手術用縫合糸である請求項12記載のポリ(p−ジオキサノン)モノフィラメント。
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