JP4582993B2 - 動画像合成方法および装置並びにプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像の連続する複数のフレームを統合して、これら複数のフレームよりも高解像度の合成フレームを作成することができる動画像合成方法および装置並びに動画像合成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルビデオカメラの普及により、動画像を1フレーム単位で扱うことが可能となっている。このような動画像のフレームをプリント出力する際には、画質を向上させるためにフレームを高解像度にする必要がある。このため、動画像から複数のフレームをサンプリングし、サンプリングした複数のフレームを統合することにより、これらのフレームよりも高解像度の1の合成フレームを作成する方法が提案されている。
【0003】
動画像の複数のフレームを統合する際に必要とされるのは、動領域における各フレーム間の画素の対応関係を求めることである。これには通常、ブロックマッチング法や勾配法が用いられるが、従来のブロックマッチング法は、ブロック内の動き量が同一方向であることを仮定したものであるため、回転、拡大、縮小、変形といった様々な動きに対応する柔軟性に欠けている上に、処理時間がかかり、実用的ではないという問題がある。一方、勾配法は、従来のブロックマッチング法と比較して安定に解を求めることができないという問題がある。これらの問題を克服した方法としては、統合される複数のフレームのうちの1つのフレームを基準フレームとし、基準フレームに1または複数の矩形領域からなる基準パッチを、基準フレーム以外の他のフレームに基準パッチと同様のパッチを配置し、パッチ内の画像が基準パッチ内の画像と一致するようにパッチを他のフレーム上において移動および/または変形し、移動および/または変形後のパッチおよび基準パッチに基づいて、他のフレーム上のパッチ内の画素と基準フレーム上の基準パッチ内の画素との対応関係を求めて複数フレームを精度よく合成する方法が提案されている(非特許文献1参照)。
【0004】
非特許文献1の方法においては、基準フレームと他のフレームとの対応関係を求め、求めた後、他のフレームと基準フレームとを、最終的に必要な解像度を有する統合画像上に割り当てることにより、高精細な合成フレームを得ることができる。
【0005】
【非特許文献1】
「フレーム間統合による高精細ディジタル画像の獲得」,中沢祐二、小松隆、斉藤隆弘,テレビジョン学会誌,1995年,Vol.49,No.3,p299−308
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非特許文献1に記載された方法においては、動画像から複数のフレームをサンプリングする際に、基準フレームを含むどの範囲のフレーム、すなわち、基準フレームを含む何枚までのフレームを統合に使用するフレームとするかということについては、操作者の手動により設定されることになっている。操作者に画像処理の知識を要求すると共に、手間がかかるという問題がある。また、操作者の手動により設定されるので、操作者の主観が入り、必ずしも客観的に適切な範囲を得ることができず、合成フレームの品質に悪い影響を与えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、動画像の複数のフレームを統合して合成フレームを作成する際に、簡単かつ客観的に適切なフレーム範囲を決定し、品質の良い合成フレームを作成することが可能な動画像合成方法および装置並びにプログラムを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の動画像合成方法は、動画像において連続シーンを示す複数のフレームを検出して連続フレーム群を得、
該連続フレーム群に含まれる前記複数のフレームのうち、基準となる1つの基準フレーム上に1つまたは複数の矩形領域からなる基準パッチを配置し、
該基準パッチと同様のパッチを前記複数のフレームのうちの他のフレーム上に配置し、
該パッチ内の画像が前記基準パッチ内の画像と略一致するように、該パッチを前記他のフレーム上において移動および/または変形し、
該移動および/または変形後のパッチおよび前記基準パッチに基づいて、前記他のフレームの夫々のフレーム上の前記パッチ内の画素と前記基準フレーム上の前記基準パッチ内の画素との対応関係を夫々求め、
求められた各々の前記対応関係に基づいて前記複数のフレームから合成フレームを作成することを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「連続シーン」とは、動画像において、略同様の内容が続いたシーンのことを意味し、「連続フレーム群」とは、1つの連続シーンを構成する複数のフレームのことを意味する。
【0010】
本発明の動画像合成方法は、連続フレームを検出する際に、前記基準フレームから開始し、隣接するフレーム同士間の相関を求め、
前記基準フレームから、前記相関が所定の第1の閾値より低い一対の前記隣接するフレームのうち、前記基準フレームに近いフレームまでの各々のフレームを前記連続フレーム群として検出するようにすることができる。
【0011】
また、本発明の動画像合成方法は、隣接するフレーム間の相関を求める方法として、前記隣接するフレームの夫々のYCC成分のうちの少なくとも1つの成分についてヒストグラムを求め、
前記ヒストグラムを用いて前記隣接するフレーム間の前記成分毎のユーグリッド距離を計算し、
各成分のユーグリッド距離の和を求め、
該ユーグリッド距離の和が所定の第2の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとするようにすることができる。
【0012】
ここでは、「YCC成分のうちの少なくとも1つの成分」とは、輝度色差成分Y,Cb,Crのうちの1つ、または2つ以上の組み合わせを意味し、輝度成分Yのみ、またはY,Cb,Crの3つの組み合わせが好ましい。
【0013】
また、前記YCC成分のうちの使用される各々の成分を、1より大きい値で割ってから前記ヒストグラムを求めるようにしてもよい。
【0014】
本発明の動画像合成方法は、隣接するフレーム間の相関を求める方法として、前記隣接するフレームの対応する各々の画素間の画素値の差分を求め、
前記各々の差分の絶対値の和を求め、
該絶対値の和が所定の第3の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとするようにしてもよい。
【0015】
本発明の動画像合成方法において、フレーム間の相関を求める際に、各フレームの縮小画像または間引き画像を用いてもよい。
【0016】
さらに、本発明の動画像合成方法において、前記連続フレーム群を検出する際に、既に検出されたフレームの数が所定の上限値に到達したとき、前記連続フレーム群を検出する処理を中止することが好ましい。
【0017】
本発明の動画像合成装置は、動画像において連続シーンを示す複数のフレームを検出して連続フレーム群を得る連続フレーム群検出手段と、
該連続フレーム群検出手段により検出された前記連続フレーム群に含まれる前記複数のフレームのうち、基準となる1つの基準フレーム上に1つまたは複数の矩形領域からなる基準パッチを配置し、該基準パッチと同様のパッチを前記複数のフレームのうちの他のフレーム上に配置し、該パッチ内の画像が前記基準パッチ内の画像と略一致になるように、該パッチを前記他のフレーム上において移動および/または変形し、該移動および/または変形後のパッチおよび前記基準パッチに基づいて、前記他のフレームの夫々のフレーム上の前記パッチ内の画素と前記基準フレーム上の前記基準パッチ内の画素との対応関係を夫々求める対応関係求出手段と、
該対応関係求出手段により求められた各々の前記対応関係に基づいて前記複数のフレームから合成フレームを作成するフレーム統合手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0018】
前記連続フレーム群検出手段は、前記基準フレームから開始し、隣接するフレーム同士間の相関を求める相関計算手段を備え、
前記基準フレームから、前記相関が所定の第1の閾値より低い一対の前記隣接するフレームのうち、前記基準フレームに近いフレームまでの各々のフレームを前記連続フレーム群として検出するものであることが好ましい。
【0019】
また、前記相関計算手段は、前記隣接するフレームの夫々のYCC成分のうちの少なくとも1つの成分についてヒストグラムを求め、
前記ヒストグラムを用いて前記隣接するフレーム間の前記成分毎のユーグリッド距離を計算し、
各成分のユーグリッド距離の和を求めるものであり、
前記連続フレーム群検出手段が、前記相関計算手段により求められた前記ユーグリッド距離の和が所定の第2の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとするものであることが望ましく、処理を高速化するために、前記ヒストグラムを求める際に、前記YCC成分のうちの使用される各々の成分を、1より大きい値で割ってから前記ヒストグラムを求めることがより望ましい。
【0020】
また、前記相関計算手段は、前記隣接するフレームの対応する各々の画素間の画素値の差分を求め、
前記各々の差分の絶対値の和を求めるものであり、
前記連続フレーム群検出手段が、前記相関計算手段により求められた前記絶対値の和が所定の第3の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとするものであってもよい。
【0021】
本発明の動画像合成装置における前記相関計算手段は、処理を高速にするために、各フレームの縮小画像または間引き画像を用いて隣接するフレーム間の相関を求めるものであることが好ましい。
【0022】
さらに、前記連続フレーム群検出手段により、既に検出されたフレームの数が所定の上限値に到達したとき、前記連続フレーム群検出手段の処理を中止する連続フレーム検出中止手段を備えたことがより好ましい。
【0023】
本発明のプログラムは、動画像において連続シーンを示す複数のフレームを検出して連続フレーム群を得る連続フレーム群検出処理と、
該連続フレーム群に含まれる前記複数のフレームのうち、基準となる1つの基準フレーム上に1つまたは複数の矩形領域からなる基準パッチを配置し、該基準パッチと同様のパッチを前記複数のフレームのうちの他のフレーム上に配置し、該パッチ内の画像が前記基準パッチ内の画像と略一致になるように、該パッチを前記他のフレーム上において移動および/または変形し、該移動および/または変形後のパッチおよび前記基準パッチに基づいて、前記他のフレームの夫々のフレーム上の前記パッチ内の画素と前記基準フレーム上の前記基準パッチ内の画素との対応関係を夫々求める対応関係求出処理と、
求められた各々の前記対応関係に基づいて前記複数のフレームから合成フレームを作成するフレーム統合処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明の動画像合成方法および装置によれば、動画像の複数の連続するフレームから合成フレームを作成する際に、連続シーンを示す複数のフレームを夫々連続フレーム群として検出して、夫々のフレーム群から合成フレームを作成するようにしているので、操作者が手動でフレームのサンプリングをする必要がなく、便利である。また、各連続フレーム群内の複数のフレームが、略同様な内容のシーンを示すものであるので、高品質な合成フレームを作成するのに適切である。
【0025】
本発明の動画像合成方法および装置においては、所定の上限値を設け、連続フレーム群を検出する際に、1つの連続フレーム群に対してフレームの数がこの所定の上限値に到達したとき、この連続フレーム群に対するフレームの検出を中止するようにすることができので、1枚の合成フレームを作成するのに無意味に過多なフレームを用いることを避け、効率の良い処理を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態となる動画像合成装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態による動画像合成装置は、入力された動画像データM0から複数のフレームをサンプリングするサンプリング手段1と、サンプリング手段1によりサンプリングした複数のフレームのうち、基準となる1つの基準フレームの画素および基準フレーム以外の他のフレームの画素の対応関係を求める対応関係求出手段2と、対応関係求出手段2により求められた対応関係に基づいて、基準フレーム以外の他のフレームを夫々基準フレームの座標空間上に座標変換して座標変換済みフレームを取得する座標変換手段3と、対応関係求出手段2において求められた対応関係に基づいて、他のフレームに対して補間演算を施して各フレームよりも解像度が高い第1の補間フレームを取得する時空間補間手段4と、基準フレームに対して補間演算を施して各フレームよりも解像度が高い第2の補間フレームを取得する空間補間手段5と、夫々の座標変換済みフレームと基準フレームとの相関を表す相関値を算出する相関値算出手段6と、第1の補間フレームと第2の補間フレームとを重み付け加算するための重み係数を相関値算出手段6において算出された相関値に基づいて算出する重み算出手段7と、重み算出手段7において算出された重み係数に基づいて第1および第2の補間フレームを重み付け加算して合成フレームFrGを取得する合成手段8とを備える。なお、座標変換手段3と、時空間補間手段4と、空間補間手段5と、相関値算出手段6と、重み算出手段7と、合成手段8とは、請求項記載のフレーム統合手段に当たるものである。
【0028】
図2は、図1に示す動画像合成装置におけるサンプリング手段1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、サンプリング手段1は、動画像データM0に対して縮小処理を施して縮小動画像データを得る縮小手段12と、縮小手段12により得られた縮小動画像データに対して、基準フレーム(ここでは、動画像データM0における基準フレームと区別するために、縮小基準フレームという。なお、縮小基準フレーム以外のフレームについても、動画像データM0におけるフレームと区別して縮小フレームという)から開始し、隣接する縮小フレーム同士間の相関を求める相関取得手段14と、相関取得手段14により相関が求められた縮小フレームの数を監視し、この数が所定の上限値に到達したとき、相関取得手段14の処理を中止させる中止手段16と、中止手段16により相関取得手段14の処理が中止されていないとき、相関取得手段14により取得した各隣接する縮小フレーム同士間の相関に基づいて、縮小基準フレームから、この相関が所定の閾値より低い1対の隣接する縮小フレームのうち、縮小基準フレームに近い縮小フレームまでの範囲をサンプリング範囲とし、動画像データM0においてこの範囲に対応する範囲内のフレームをサンプリングする一方、中止手段16により相関取得手段14の処理が中止されたとき、縮小基準フレームフレームから、中止されたときの縮小フレームまでの範囲をサンプリング範囲とし、動画像データM0においてこの範囲に対応する範囲内のフレームをサンプリングするサンプリング実行手段18とを備えてなるものである。なお、縮小基準フレームから、隣接する縮小フレーム同士間の相関を求める際に、縮小基準フレームを先頭にして、基準フレーム以降の隣接する縮小フレーム同士間の相関を求めるようにしてもよいし、縮小基準フレームを末端にして、縮小基準フレーム以前の隣接する縮小フレーム同士間の相関を求めるようにしてもよい。さらに、縮小基準フレームの前後相互にして夫々隣接する縮小フレーム間の相関を求めるようにして、縮小基準フレームを内包した前述のサンプリング範囲を検出してもよい。本実施形態において、例として、縮小基準フレームを先頭にしてサンプリング範囲を検出する。
【0029】
また、本実施形態における相関取得手段14は、各縮小フレームの輝度成分Yについてヒストグラムを求め、このヒストグラムを用いて隣接する縮小フレーム間のユーグリッド距離を算出して隣接する縮小フレーム間の相関値とするものである。また、サンプリング実行手段18は、中止手段16により相関取得手段14の処理が中止されていないとき、相関取得手段14により取得した各隣接する縮小フレーム同士間の相関に基づいて、縮小基準フレームから、この相関が所定の閾値より低い(すなわち、ユーグリッド距離からなる相関値が所定の閾値より高い)1対の隣接する縮小フレームのうち、縮小基準フレームに近い縮小フレームまでの範囲をサンプリング範囲とし、動画像データM0においてこの範囲に対応する範囲内のフレームをサンプリングする一方、中止手段16により相関手段14の処理が中止されたとき、縮小基準フレームから、中止されたときの縮小フレームまでの範囲をサンプリング範囲とし、動画像データM0においてこの範囲に対応する範囲内のフレームをサンプリングするものである。
【0030】
サンプリング手段1は、サンプリングした複数枚(S枚とする)のフレームを対応関係求出手段2に出力し、対応関係求出手段2は、このS枚のフレームのうちの基準フレームの画素および他のフレームの画素の対応関係を求める。ここで対応関係求出手段2の動作を説明する。なお、動画像データM0はカラーの動画像を表すものであり、各フレームはY,Cb,Crの輝度色差成分からなるものとする。また、以降の説明において、Y,Cb,Crの各成分に対して処理が行われるが、行われる処理は全ての成分について同様であるため、本実施形態においては輝度成分Yの処理について詳細に説明し、色差成分Cb,Crに対する処理については説明を省略する。
【0031】
サンプリング手段1から出力されてきたS枚のフレームは、例として1つの基準フレームFrNを先頭にして、基準フレームFrNに近い順からFrN+1,FrN+2...FrN+(S−1)のように連続して並んだものである。ここで、フレームFrN+1と基準フレームFrNとを例にして対応関係求出手段2の動作を説明する。なお、以降では、作成しようとする合成フレームFrGはサンプリングしたフレームの縦横それぞれ2倍(倍率が4倍となる)の画素数を有する場合について説明するが、n倍(n:正数)の画素数を有するものであってもよい。
【0032】
対応関係求出手段2は、以下のようにしてフレームFrN+1と基準フレームFrNとの対応関係を求める。図3はフレームFrN+1と基準フレームFrNとの対応関係の求出を説明するための図である。なお、図3において、基準フレームFrNに含まれる円形の被写体が、フレームFrN+1においては図面上右側に若干移動しているものとする。
【0033】
まず、対応関係求出手段2は、基準フレームFrN上に1または複数の矩形領域からなる基準パッチP0を配置する。図3(a)は、基準フレームFrN上に基準パッチP0が配置された状態を示す図である。図3(a)に示すように、本実施形態においては、基準パッチP0は4×4の矩形領域からなるものとする。次いで、図3(b)に示すように、フレームFrN+1の適当な位置に基準パッチP0と同様のパッチP1を配置し、基準パッチP0内の画像とパッチP1内の画像との相関を表す相関値を算出する。なお、相関値は下記の式(1)により平均二乗誤差として算出することができる。また、座標軸は紙面左右方向にx軸、紙面上下方向にy軸をとるものとする。
【0034】
【数1】
但し、E:相関値
pi,qi:基準パッチP0,P1内にそれぞれ対応する画素の画素値
N:基準パッチP0およびパッチP1内の画素数
次いで、フレームFrN+1上のパッチP1を上下左右の4方向に一定画素±Δx,±Δy移動し、このときのパッチP1内の画像と基準フレームFrN上の基準パッチP0内の画像との相関値を算出する。ここで、相関値は上下左右方向のそれぞれについて算出され、各相関値をそれぞれE(Δx,0),E(−Δx,0),E(0,Δy),E(0,−Δy)とする。
【0035】
そして、移動後の4つの相関値E(Δx,0),E(−Δx,0),E(0,Δy),E(0,−Δy)から相関値が小さく(すなわち相関が大きく)なる勾配方向を相関勾配として求め、この方向に予め設定した実数値倍だけ図3(c)に示すようにパッチP1を移動する。具体的には、下記の式(2)により係数C(Δx,0),C(−Δx,0),C(0,Δy),C(0,−Δy)を算出し、これらの係数C(Δx,0),C(−Δx,0),C(0,Δy),C(0,−Δy)から下記の式(3),式(4)により相関勾配gx,gyを算出する。
【0036】
【数2】
そして、算出された相関勾配gx,gyに基づいてパッチP1の全体を(−λ1gx,−λ1gy)移動し、さらに上記と同様の処理を繰り返すことにより、図3(d)に示すようにパッチP1がある位置に収束するまで反復的にパッチP1を移動する。ここで、λ1は収束の速さを決定するパラメータであり、実数値をとるものとする。なお、λ1をあまり大きな値とすると反復処理により解が発散してしまうため、適当な値(例えば10)を選ぶ必要がある。
【0037】
さらに、パッチP1の格子点を座標軸に沿った4方向に一定画素移動させる。このとき、移動した格子点を含む矩形領域は例えば図4に示すように変形する。そして、変形した矩形領域について基準パッチP0の対応する矩形領域との相関値を算出する。この相関値をそれぞれE1(Δx,0),E1(−Δx,0),E1(0,Δy),E1(0,−Δy)とする。
【0038】
そして、上記と同様に、変形後の4つの相関値E1(Δx,0),E1(−Δx,0),E1(0,Δy),E1(0,−Δy)から相関値が小さく(すなわち相関が大きく)なる勾配方向を求め、この方向に予め設定した実数値倍だけパッチP1の格子点を移動する。これをパッチP1の全ての格子点について行い、これを1回の処理とする。そして格子点の座標が収束するまでこの処理を繰り返す。
【0039】
これにより、パッチP1の基準パッチP0に対する移動量および変形量が求まり、これに基づいて基準パッチP0内の画素とパッチP1内の画素との対応関係を求めることができる。
【0040】
対応関係求出手段2は、このようにしてサンプリング手段1から出力されてきたフレームに対して対応関係を求める。
【0041】
座標変換手段3などからなるフレーム統合手段は、対応関係求出手段2により求められた対応関係に基づいて、サンプリング手段1から出力されてきたS枚のフレームを用いて合成フレームを作成するものである。説明上の便宜のため、まず、Sを2として、すなわち、サンプリング手段1によりサンプリングしたフレームは、基準フレームFrNおよびFrN+1のみであると仮定して、フレーム統合手段の動作を説明する。
【0042】
座標変換手段3は以下のようにしてフレームFrN+1を基準フレームFrNの座標空間に座標変換して座標変換済みフレームFrT0を取得する。なお、以降の説明においては、基準フレームFrNの基準パッチP0内の領域およびフレームFrN+1のパッチP1内の領域についてのみ変換、補間演算および合成が行われる。
【0043】
本実施形態においては、座標変換は双1次変換を用いて行うものとする。双1次変換による座標変換は、下記の式(5),(6)により定義される。
【0044】
【数3】
式(5),(6)は、2次元座標上の4点(xn,yn)(1≦n≦4)で与えられたパッチP1内の座標を、正規化座標系(u,v)(0≦u,v≦1)によって補間するものであり、任意の2つの矩形内の座標変換は、式(5),(6)および式(5),(6)の逆変換を組み合わせることにより行うことができる。
【0045】
ここで、図5に示すように、パッチP1(xn,yn)内の点(x,y)が対応する基準パッチP0(x′n,y′n)内のどの位置に対応するかを考える。まずパッチP1(xn,yn)内の点(x,y)について、正規化座標(u,v)を求める。これは式(5),(6)の逆変換により求める。そしてこのときの(u,v)と対応する基準パッチP0(x′n,y′n)を元に、式(5),(6)から点(x,y)に対応する座標(x′,y′)を求める。ここで、点(x,y)が本来画素値が存在する整数座標であるのに対し、点(x′,y′)は本来画素値が存在しない実数座標となる場合があるため、変換後の整数座標における画素値は、基準パッチP0の整数座標に隣接する8近傍の整数座標に囲まれた領域を設定し、この領域内に変換された座標(x′,y′)の画素値の荷重和として求めるものとする。
【0046】
具体的には、図6に示すように基準パッチP0上における整数座標b(x,y)について、その8近傍の整数座標b(x−1,y−1),b(x,y−1),b(x+1,y−1),b(x−1,y),b(x+1,y),b(x−1,y+1),b(x,y+1),b(x+1,y+1)に囲まれる領域内に変換されたフレームFrN+1の画素値に基づいて算出する。ここで、フレームFrN+1のm個の画素値が8近傍の画素に囲まれる領域内に変換され、変換された各画素の画素値をItj(x°,y°)(1≦j≦m)とすると、整数座標b(x,y)における画素値It(x^,y^)は、下記の式(7)により算出することができる。なお、式(7)においてφは荷重和演算を表す関数である。
【0047】
【数4】
但し、Wi(1≦j≦m):画素値Itj(x°,y°)が割り当てられた位置における近傍の整数画素から見た座標内分比の積
ここで、簡単のため、図6を用いて8近傍の画素に囲まれる領域内にフレームFrN+1の2つの画素値It1,It2が変換された場合について考えると、整数座標b(x,y)における画素値It(x^,y^)は下記の式(8)により算出することができる。
【0048】
【数5】
但し、W1=u×v、W2=(1−s)×(1−t)
以上の処理をパッチP1内の全ての画素について行うことにより、パッチP1内の画像が基準フレームFrNの座標空間に変換されて、座標変換済みフレームFrT0が得られる。
【0049】
時空間補間手段4は、フレームFrN+1に対して補間演算を施して第1の補間フレームFrH1を取得する。具体的には、まず図7に示すように、最終的に必要な画素数を有する統合画像(本実施形態においては、フレームFrN,FrN+1の縦横それぞれ2倍の画素数を有する場合について説明するが、n倍(n:正数)の画素数を有するものであってもよい)を用意し、対応関係求出手段2において求められた対応関係に基づいて、フレームFrN+1(パッチP1内の領域)の画素の画素値を統合画像上に割り当てる。この割り当てを行う関数をΠとすると、下記の式(9)によりフレームFrN+1の各画素の画素値が統合画像上に割り当てられる。
【0050】
【数6】
但し、I1N+1(x°,y°):統合画像上に割り当てられたフレームFrN+1の画素値
FrN+1(x,y):フレームFrN+1の画素値
このように統合画像上にフレームFrN+1の画素値を割り当てることにより画素値I1N+1(x°,y°)を得、各画素についてI1(x°,y°)(=I1N+1(x°,y°))の画素値を有する第1の補間フレームFrH1を取得する。
【0051】
ここで、画素値を統合画像上に割り当てる際に、統合画像の画素数とフレームFrN+1の画素数との関係によっては、フレームFrN+1上の各画素が統合画像の整数座標(すなわち画素値が存在すべき座標)に対応しない場合がある。本実施形態においては、後述するように合成時において統合画像の整数座標における画素値を求めるものであるが、以下、合成時の説明を容易にするために統合画像の整数座標における画素値の算出について説明する。
【0052】
統合画像の整数座標における画素値は、統合画像の整数座標に隣接する8近傍の整数座標に囲まれた領域を設定し、この領域内に割り当てられたフレームFrN+1上の各画素の画素値の荷重和として求める。
【0053】
すなわち、図8に示すように統合画像における整数座標p(x,y)については、その8近傍の整数座標p(x−1,y−1),p(x,y−1),p(x+1,y−1),p(x−1,y),p(x+1,y),p(x−1,y+1),p(x,y+1),p(x+1,y+1)に囲まれる領域内に割り当てられたフレームFrN+1の画素値に基づいて算出する。ここで、フレームFrN+1のk個の画素値が8近傍の画素に囲まれる領域内に割り当てられ、割り当てられた各画素の画素値をI1N+1i(x°,y°)(1≦i≦k)とすると、整数座標p(x,y)における画素値I1N+1(x^,y^)は、下記の式(10)により算出することができる。なお、式(10)においてΦは荷重和演算を表す関数である。
【0054】
【数7】
但し、Mi(1≦i≦k):画素値I1N+1i(x°,y°)が割り当てられた位置における近傍の整数画素から見た座標内分比の積
ここで、簡単のため、図8を用いて8近傍の画素に囲まれる領域内にフレームFrN+1の2つの画素値I1N+11,I1N+12が割り当てられた場合について考えると、整数座標p(x,y)における画素値I1N+1(x^,y^)は下記の式(11)により算出することができる。
【0055】
【数8】
但し、M1=u×v、M2=(1−s)×(1−t)
そして、統合画像の全ての整数座標について、フレームFrN+1の画素値を割り当てることにより画素値I1N+1(x^,y^)を得ることができる。この場合、第1の補間フレームFrH1の各画素値I1(x^,y^)はI1N+1(x^,y^)となる。
【0056】
なお、上記ではフレームFrN+1に対して補間演算を施して第1の補間フレームFrH1を取得しているが、フレームFrN+1とともに基準フレームFrNをも用いて第1の補間フレームFrH1を取得してもよい。この場合、基準フレームFrNの画素は、統合画像の整数座標に補間されて直接割り当てられることとなる。
【0057】
空間補間手段5は、基準フレームFrNに対して、統合画像上のフレームFrN+1の画素が割り当てられた座標(実数座標(x°,y°))に画素値を割り当てる補間演算を施すことにより、第2の補間フレームFrH2を取得する。ここで、第2の補間フレームFrH2の実数座標の画素値をI2(x°,y°)とすると、画素値I2(x°,y°)は下記の式(12)により算出される。
【0058】
【数9】
但し、f:補間演算の関数
なお、補間演算としては、線形補間演算、スプライン補間演算等の種々の補間演算を用いることができる。
【0059】
また、本実施形態においては、合成フレームFrGは基準フレームFrNの縦横それぞれ2倍の画素数であるため、基準フレームFrNに対して縦横方向に画素数を2倍とする補間演算を施すことにより、統合画像の画素数と同一の画素数を有する第2の補間フレームFrH2を取得してもよい。この場合、補間演算により得られる画素値は統合画像における整数座標の画素値であり、この画素値をI2(x^,y^)とすると、画素値I2(x^,y^)は下記の式(13)により算出される。
【0060】
【数10】
相関値算出手段6は、座標変換済みフレームFrT0と基準フレームFrNとの相対応する画素同士の相関値d0(x,y)を算出する。具体的には下記の式(14)に示すように、座標変換済みフレームFrT0と基準フレームFrNとの対応する画素における画素値FrT0(x,y),FrN(x,y)との差の絶対値を相関値d0(x,y)として算出する。なお、相関値d0(x,y)は座標変換済みフレームFrT0と基準フレームFrNとの相関が大きいほど小さい値となる。
【0061】
【数11】
なお、本実施形態では座標変換済みフレームFrT0と基準フレームFrNとの対応する画素における画素値FrT0(x,y),FrN(x,y)との差の絶対値を相関値d0(x,y)として算出しているが、差の二乗を相関値として算出してもよい。また、相関値を画素毎に算出しているが、座標変換済みフレームFrT0および基準フレームFrNを複数の領域に分割し、領域内の全画素値の平均値または加算値を算出して、領域単位で相関値を得てもよい。また、画素毎に算出された相関値d0(x,y)のフレーム全体についての平均値または加算値を算出して、フレーム単位で相関値を得てもよい。また、座標変換済みフレームFrT0および基準フレームFrNのヒストグラムをそれぞれ算出し、座標変換済みフレームFrT0および基準フレームFrNのヒストグラムの平均値、メディアン値または標準偏差の差分値、もしくはヒストグラムの差分値の累積和を相関値として用いてもよい。また、基準フレームFrNに対する座標変換済みフレームFrT0の動きを表す動きベクトルを基準フレームFrNの各画素または小領域毎に算出し、算出された動ベクトルの平均値、メディアン値または標準偏差を相関値として用いてもよく、動ベクトルのヒストグラムの累積和を相関値として用いてもよい。
【0062】
重み算出手段7は、相関値算出手段6により算出された相関値d0(x,y)から第1の補間フレームFrH1および第2の補間フレームFrH2を重み付け加算する際の重み係数α(x,y)を取得する。具体的には、図9に示すテーブルを参照して重み係数α(x,y)を取得する。なお、図9に示すテーブルは、相関値d0(x,y)が小さい、すなわち座標変換済みフレームFrT0および基準フレームFrNの相関が大きいほど、重み係数α(x,y)の値が1に近いものとなる。なお、ここでは相関値d0(x,y)は8ビットの値をとるものとする。
【0063】
さらに、重み算出手段7は、フレームFrN+1を統合画像上に割り当てた場合と同様に重み係数α(x,y)を統合画像上に割り当てることにより、フレームFrN+1の画素が割り当てられた座標(実数座標)における重み係数α(x°,y°)を算出する。具体的には、空間補間手段5における補間演算と同様に、重み係数α(x,y)に対して、統合画像上のフレームFrN+1の画素が割り当てられた座標(実数座標(x°,y°))に画素値を割り当てる補間演算を施すことにより、重み係数α(x°,y°)を取得する。
【0064】
なお、統合画像の上記実数座標における重み係数α(x°,y°)を補間演算により算出することなく、基準フレームFrNを統合画像のサイズとなるように拡大または等倍して拡大または等倍基準フレームを取得し、統合画像におけるフレームFrN+1の画素が割り当てられた実数座標の最近傍に対応する拡大または等倍基準フレームの画素について取得された重み係数α(x,y)の値をその実数座標の重み係数α(x°,y°)として用いてもよい。
【0065】
さらに、統合画像の整数座標における画素値I1(x^,y^),I2(x^,y^)が取得されている場合には、統合画像上に割り当てた重み係数α(x°,y°)について上記と同様に荷重和を求めることにより、統合画像の整数座標における重み係数α(x^,y^)を算出すればよい。
【0066】
合成手段8は、第1の補間フレームFrH1および第2の補間フレームFrH2を重み算出手段7により算出された重み係数α(x°,y°)に基づいて重み付け加算するとともに荷重和演算を行うことにより、統合画像の整数座標において画素値FrG(x^,y^)を有する合成フレームFrGを取得する。具体的には、下記の式(15)により第1の補間フレームFrH1および第2の補間フレームFrH2の対応する画素の画素値I1(x°,y°),I2(x°,y°)を重み係数α(x°,y°)により重み付け加算するとともに荷重和演算を行い合成フレームFrGの画素値FrG(x^,y^)を取得する。
【0067】
【数12】
なお、式(15)において、kは合成フレームFrGすなわち統合画像の整数座標(x^,y^)の8近傍の整数座標に囲まれる領域に割り当てられたフレームFrN+1の画素の数であり、この割り当てられた画素がそれぞれ画素値I1(x°,y°),I2(x°,y°)および重み係数α(x°,y°)を有するものである。
【0068】
本実施形態においては、基準フレームFrNと座標変換済みフレームFrT0との相関が大きいほど、第1の補間フレームFrH1の重み付けが大きくされて、第1の補間フレームFrH1および第2の補間フレームFrH2の重み付け加算が行われる。
【0069】
なお、統合画像の全ての整数座標に画素値を割り当てることができない場合がある。このような場合は、割り当てられた画素値に対して前述した空間補間手段5と同様の補間演算を施して、割り当てられなかった整数座標の画素値を算出すればよい。
【0070】
また、上記では輝度成分Yについての合成フレームFrGを求める処理について説明したが、色差成分Cb,Crについても同様に合成フレームFrGが取得される。そして、輝度成分Yから求められた合成フレームFrG(Y)および色差成分Cb,Crから求められた合成フレームFrG(Cb),FrG(Cr)を合成することにより、最終的な合成フレームが得られることとなる。なお、処理の高速化のためには、輝度成分Yについてのみ基準フレームFrNとフレームFrN+1との対応関係を求め、色差成分Cb,Crについては輝度成分Yについて求められた対応関係に基づいて処理を行うことが好ましい。
【0071】
また、統合画像の整数座標について画素値を有する第1の補間フレームFrH1および第2の補間フレームFrH2並びに整数座標の重み係数α(x^,y^)を取得した場合には、下記の式(16)により第1の補間フレームFrH1および第2の補間フレームFrH2の対応する画素の画素値I1(x^,y^),I2(x^,y^)を重み係数α(x^,y^)により重み付け加算して合成フレームFrGの画素値FrG(x,y)を取得すればよい。
【0072】
【数13】
図10は、本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは統合画像のフレームFrN+1の画素が割り当てられた実数座標について第1の補間フレームFrH1、第2の補間フレームFrH2および重み係数α(x°,y°)を取得するものとして説明する。図10に示すように、本実施形態の動画像合成装置の動作は、動画像データM0が入力される(S2)ことから始まる。動画像データM0から合成フレームを作成するため、サンプリング手段1の縮小手段12は、動画像データM0に対して縮小処理を施して縮小動画像データを得る(S4)。サンプリング実行手段18は、相関取得手段14により取得した各縮小フレームと縮小基準フレームとの相関に基づいて、縮小基準フレームから、この相関が所定の閾値より低い1対の隣接する縮小フレームのうち、基準フレームに近い縮小フレームまでの範囲をサンプリング範囲とし、動画像データM0においてこの範囲に対応する範囲内のフレームをサンプリングする一方、中止手段16により相関手段14の処理が中止されたとき、縮小基準フレームフレームから、中止されたときの縮小フレームまでの範囲をサンプリング範囲とし、動画像データM0においてこの範囲に対応する範囲内のフレームをサンプリングして、サンプリングして得たS枚のフレームを対応関係求出手段2に出力する(S6)。対応関係求出手段2は、基準フレームFrN上に基準パッチを配置する(S8)と共に、フレームFrN+1上に基準パッチと同様のパッチを配置して、パッチ内の画像と、基準パッチ内の画像との相関値Eが収束するまで、パッチを移動および変形する(S12、S14)。そして、対応関係求出手段2は、フレームFrN+1と基準フレームFrNとの対応関係を求める(S18)。対応関係求出手段2は、ステップS12からステップS18までの処理を、サンプリング手段1によりサンプリングしたS枚のフレームのうち、基準フレームを除く全てのフレームに対して行う(S0:Yes、S25)。
【0073】
ステップS30からステップS40までは、座標変換手段などからなるフレーム統合手段の動作を示している。ここでも、説明上の便宜のため、例として、対応関係求出手段2からフレームFrN+1のみについて基準フレームFrNとの対応関係が求められたとして説明をする。
【0074】
対応関係求出手段2により求められた対応関係に基づいて、座標変換手段3によりフレームFrN+1が基準フレームFrNの座標空間に変換されて座標変換済みフレームFrT0が取得される(S30)。そして、相関値算出手段6により座標変換済みフレームFrT0と基準フレームFrNとの対応する画素の相関値d0(x,y)が算出される(S32)。さらに、相関値d0に基づいて重み算出手段7により重み係数α(x°,y°)が算出される(S34)。
【0075】
一方、求められた対応関係に基づいて、時空間補間手段4により第1の補間フレームFrH1が取得され(S36)、空間補間手段5により第2の補間フレームFrH2が取得される(S38)。
【0076】
なお、S36〜S38の処理を先に行ってもよく、ステップS30〜S34の処理およびステップS36〜S38の処理を並列に行ってもよい。
【0077】
そして、合成手段8において上記式(15)により第1の補間フレームFrH1の画素I1(x°,y°)と第2の補間フレームFrH2の画素I2(x°,y°)とが合成されて、画素FrG(x^,y^)からなる合成フレームFrGが取得され(S40)、処理を終了する。
【0078】
上述において、説明上の便宜のため、サンプリング手段1により基準フレームFrNとFrN+1のみサンプリングされ、フレーム統合手段は、基準フレームFrNとFrN+1との2つのフレームを用いて合成フレームを作成することについて説明したが、例えばT個(T≧3)のフレームFrN+t′(0≦t′≦T−1)から合成フレームFrGを取得する場合(すなわち、サンプリング手段1により3つ以上のフレームがサンプリングされた場合)、基準フレームFrN(=FrN+0)以外の他のフレームFrN+t(1≦t≦T−1)について、統合画像上に画素値を割り当てて複数の第1の補間フレームFrH1tを得る。なお、第1の補間フレームFrH1tの画素値をI1t(x°,y°)とする。
【0079】
また、基準フレームFrNに対して、統合画像上のフレームFrN+tの画素が割り当てられた座標(実数座標(x°,y°))に画素値を割り当てる補間演算を施すことにより、フレームFrN+tに対応した第2の補間フレームFrH2tを取得する。なお、第2の補間フレームFrH2tの画素値をI2t(x°,y°)とする。
【0080】
さらに、求められた対応関係に基づいて、対応する第1および第2の補間フレームFrH1t,FrH2tを重み付け加算する重み係数αt(x°,y°)を取得する。
【0081】
そして、互いに対応する第1および第2の補間フレームFrH1t,FrH2tを重み係数αt(x°,y°)により重み付け加算するとともに荷重和演算を行うことにより、統合画像の整数座標において画素値FrGt(x^,y^)を有する中間合成フレームFrGtを取得する。具体的には、下記の式(17)により第1の補間フレームFrH1tおよび第2の補間フレームFrH2tの対応する画素の画素値I1t(x°,y°),I2t(x°,y°)を対応する重み係数αt(x°,y°)により重み付け加算するとともに荷重和演算を行い、中間合成フレームFrGtの画素値FrGt(x^,y^)を取得する。
【0082】
【数14】
なお、式(17)において、kは中間合成フレームFrGtすなわち統合画像の整数座標(x^,y^)の8近傍の整数座標に囲まれる領域に割り当てられたフレームFrN+tの画素の数であり、この割り当てられた画素がそれぞれ画素値I1t(x°,y°),I2t(x°,y°)および重み係数αt(x°,y°)を有するものである。
【0083】
そして、中間合成フレームFrGtを加算することにより合成フレームFrGを取得する。具体的には、下記の式(18)により中間合成フレームFrGtを対応する画素同士で加算することにより、合成フレームFrGの画素値FrG(x^,y^)を取得する。
【0084】
【数15】
なお、統合画像の全ての整数座標に画素値を割り当てることができない場合がある。このような場合は、割り当てられた画素値に対して前述した空間補間手段5と同様の補間演算を施して、割り当てられなかった整数座標の画素値を算出すればよい。
【0085】
また、3以上の複数のフレームから合成フレームFrGを取得する場合、統合画像の整数座標について画素値を有する第1の補間フレームFrH1tおよび第2の補間フレームFrH2t並びに整数座標の重み係数αt(x^,y^)を取得してもよい。この場合、各フレームFrN+t(1≦t≦T−1)について、各フレームFrN+tの画素値FrN+t(x,y)を統合座標の全ての整数座標に割り当てて画素値I1N+t(x^,y^)すなわち画素値I1t(x^,y^)を有する第1の補間フレームFrH1tを取得する。そして、全てのフレームFrN+tについて割り当てられた画素値I1t(x^,y^)と第2の補間フレームFrH2tの画素値I2t(x^,y^)とを加算することにより複数の中間合成フレームFrGtを取得し、これらをさらに加算して合成フレームFrGを取得すればよい。
【0086】
具体的には、まず、下記の式(19)に示すように、全てのフレームFrN+tについて、統合画像の整数座標における画素値I1N+t(x^,y^)を算出する。そして、式(20)に示すように、画素値I1t(x^,y^)と画素値I2t(x^,y^)とを重み係数α(x^,y^)により重み付け加算することにより中間合成フレームFrGtを得る。そして、上記式(19)に示すように、中間合成フレームFrGtを加算することにより合成フレームFrGを取得する。
【0087】
【数16】
なお、3以上の複数のフレームから合成フレームFrGを取得する場合、座標変換済みフレームFrT0は複数取得されるため、相関値および重み係数もフレーム数に対応して複数取得される。この場合、複数取得された重み係数の平均値や中間値を対応する第1および第2の補間フレームFrH1,FrH2を重み付け加算する際の重み係数としてもよい。
【0088】
このように、本実施形態の動画像合成装置において、サンプリング手段1は、動画像から合成フレームを作成する際に、連続シーンを示す複数のフレームを連続フレーム群として検出して、このフレーム群から合成フレームを作成するようにしているので、操作者が手動でフレームのサンプリングをする必要がなく、便利である。また、連続フレーム群内の複数のフレームが、略同様な内容のシーンを示すものであるので、高品質な合成フレームを作成するのに適切である。
【0089】
また、本実施形態の動画像合成装置において、所定の上限値を設け、連続フレーム群を検出する際に、1つの連続フレーム群に対してフレームの数がこの所定の上限値に到達したとき、この連続フレーム群に対するフレームの検出を中止するようにしているので、1枚の合成フレームを作成するのに無意味に過多なフレームを用いることを避け、効率の良い処理を図ることができる。
【0090】
上述において、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を変えない限り、種々の変更、増減をすることができる。
【0091】
例えば、図1に示す実施形態において、サンプリング手段1の相関取得手段14は、各隣接する縮小フレーム同士間の輝度成分Yについてのユーグリッド距離を相関値として求めているが、Y,Cb,Crの3つの成分について夫々ユーグリッド距離を求め、この3つのユーグリッド距離の和を相関値としてもよく、隣接する縮小フレームの、各々の相互に対応する画素間の画素値の差分を計算し、各々の差分の絶対値の和を相関値として求めるようにしてもよい。
【0092】
さらに、輝度成分Y(またはY,Cb,Crの3つ成分)について求めたユーグリッド距離(またはユーグリッド距離の和)を相関値として求める際に、予め輝度成分Y(またはY,Cb,Crの3つの成分)を、1より大きい値で割ってからヒストグラムを求め、処理の高速化を図るようにしてもよい。
【0093】
また、図1に示す実施形態において、サンプリング手段1の相関取得手段14は、動画像データM0の縮小画像データを用いて相関値を求めているが、動画像データM0そのものまたは動画像データM0を間引きして得た動画像データを用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による動画像合成装置の構成を示すブロック図
【図2】図1に示す動画像合成装置のサンプリング手段1の構成を示すブロック図
【図3】フレームFrN+1と基準フレームFrNとの対応関係の求出を説明するための図
【図4】パッチの変形を説明するための図
【図5】パッチP1と基準パッチP0との対応関係を説明するための図
【図6】双1次内挿を説明するための図
【図7】フレームFrN+1の統合画像への割り当てを説明するための図
【図8】統合画像における整数座標の画素値の算出を説明するための図
【図9】重み係数を求めるテーブルを示す図
【図10】図1に示す動画像合成装置において行われる処理を示すフローチャート
【符号の説明】
1 サンプリング手段
2 対応関係求出手段
3 座標変換手段
4 時空間補間手段
5 空間補間手段
6 相関値算出手段
7 重み算出手段
8 合成手段
12 縮小手段
14 相関取得手段
16 中止手段
18 サンプリング実行手段
Claims (13)
- 動画像中に任意に設定された所定の基準フレームおよび該基準フレームの近傍のフレームのうちの少なくとも一部のフレームについて、フレーム間の画像情報の相関を計算し、該相関に基づいて該基準フレームと内容的特徴が類似するフレームを検出して、検出されたフレームと前記基準フレームとからなる連続するフレーム群を得、
該連続するフレーム群に含まれる前記複数のフレームのうち、前記基準フレーム上に1つまたは複数の矩形領域からなる基準パッチを配置し、
該基準パッチと同様のパッチを前記複数のフレームのうちの他のフレーム上に配置し、
該パッチ内の画像が前記基準パッチ内の画像と略一致するように、該パッチを前記他のフレーム上において移動および/または変形し、
該移動および/または変形後のパッチおよび前記基準パッチに基づいて、前記他のフレームの夫々のフレーム上の前記パッチ内の画素と前記基準フレーム上の前記基準パッチ内の画素との対応関係を夫々求め、
求められた各々の前記対応関係に基づいて前記複数のフレームから合成フレームを作成することを特徴とする動画像合成方法。 - 前記基準フレームから開始し、隣接するフレーム同士間の相関を求め、
前記基準フレームから、前記相関が所定の第1の閾値より低い一対の前記隣接するフレームのうち、前記基準フレームに近いフレームまでの各々のフレームを前記連続するフレーム群として検出することを特徴とする請求項1記載の動画像合成方法。 - 前記隣接するフレームの夫々のYCC成分のうちの少なくとも1つの成分についてヒストグラムを求め、
前記ヒストグラムを用いて前記隣接するフレーム間の前記成分毎のユーグリッド距離を計算し、
各成分のユーグリッド距離の和を求め、
該ユーグリッド距離の和が所定の第2の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとすることを特徴とする請求項2記載の動画像合成方法。 - 前記隣接するフレームの対応する各々の画素間の画素値の差分を求め、
前記各々の差分の絶対値の和を求め、
該絶対値の和が所定の第3の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとすることを特徴とする請求項2記載の動画像合成方法。 - 各フレームの縮小画像または間引き画像を用いて前記相関を求めることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の動画像合成方法。
- 前記連続するフレーム群を構成する複数のフレームを検出する際に、既に検出されたフレームの数が所定の上限値に到達したとき、該連続するフレーム群に対するフレームの検出の処理を中止することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の動画像合成方法。
- 動画像中に任意に設定された所定の基準フレームおよび該基準フレームの近傍のフレームのうちの少なくとも一部のフレームについて、フレーム間の画像情報の相関を計算し、該相関に基づいて該基準フレームと内容的特徴が類似するフレームを検出して、検出されたフレームと前記基準フレームとからなる連続するフレーム群を得る連続フレーム群検出手段と、
該連続フレーム群検出手段により検出された前記連続するフレーム群に含まれる前記複数のフレームのうち、前記基準フレーム上に1つまたは複数の矩形領域からなる基準パッチを配置し、該基準パッチと同様のパッチを前記複数のフレームのうちの他のフレーム上に配置し、該パッチ内の画像が前記基準パッチ内の画像と略一致になるように、該パッチを前記他のフレーム上において移動および/または変形し、該移動および/または変形後のパッチおよび前記基準パッチに基づいて、前記他のフレームの夫々のフレーム上の前記パッチ内の画素と前記基準フレーム上の前記基準パッチ内の画素との対応関係を夫々求める対応関係求出手段と、
該対応関係求出手段により求められた各々の前記対応関係に基づいて前記複数のフレームから合成フレームを作成するフレーム統合手段とを備えてなることを特徴とする動画像合成装置。 - 前記連続フレーム群検出手段が、前記基準フレームから開始し、隣接するフレーム同士間の相関を求める相関計算手段を備え、
前記基準フレームから、前記相関が所定の第1の閾値より低い一対の前記隣接するフレームのうち、前記基準フレームに近いフレームまでの各々のフレームを前記連続するフレーム群として検出するものであることを特徴とする請求項7記載の動画像合成装置。 - 前記相関計算手段が、前記隣接するフレームの夫々のYCC成分のうちの少なくとも1つの成分についてヒストグラムを求め、
前記ヒストグラムを用いて前記隣接するフレーム間の前記成分毎のユーグリッド距離を計算し、
各成分のユーグリッド距離の和を求めるものであり、
前記連続フレーム群検出手段が、前記相関計算手段により求められた前記ユーグリッド距離の和が所定の第2の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとするものであることを特徴とする請求項8記載の動画像合成装置。 - 前記相関計算手段が、前記隣接するフレームの対応する各々の画素間の画素値の差分を求め、
前記各々の差分の絶対値の和を求めるものであり、
前記連続フレーム群検出手段が、前記相関計算手段により求められた前記絶対値の和が所定の第3の閾値より大きいとき、前記隣接するフレーム間の相関が前記所定の第1の閾値より低いとするものであることを特徴とする請求項8記載の動画像合成装置。 - 前記相関計算手段が、各フレームの縮小画像または間引き画像を用いて前記相関を求めることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項記載の動画像合成装置。
- 前記連続フレーム群検出手段により、前記連続するフレーム群を構成する複数のフレームを検出する際に、既に検出されたフレームの数が所定の上限値に到達したとき、該連続するフレーム群に対するフレームの検出の処理を中止する連続フレーム検出中止手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7から11のいずれか1項記載の動画像合成装置。
- 動画像中に任意に設定された所定の基準フレームおよび該基準フレームの近傍のフレームのうちの少なくとも一部のフレームについて、フレーム間の画像情報の相関を計算し、該相関に基づいて該基準フレームと内容的特徴が類似するフレームを検出して、検出されたフレームと前記基準フレームとからなる連続するフレーム群を得る連続フレーム群検出処理と、
該連続するフレーム群に含まれる前記複数のフレームのうち、前記基準フレーム上に1つまたは複数の矩形領域からなる基準パッチを配置し、該基準パッチと同様のパッチを前記複数のフレームのうちの他のフレーム上に配置し、該パッチ内の画像が前記基準パッチ内の画像と略一致になるように、該パッチを前記他のフレーム上において移動および/または変形し、該移動および/または変形後のパッチおよび前記基準パッチに基づいて、前記他のフレームの夫々のフレーム上の前記パッチ内の画素と前記基準フレーム上の前記基準パッチ内の画素との対応関係を夫々求める対応関係求出処理と、
求められた各々の前記対応関係に基づいて前記複数のフレームから合成フレームを作成するフレーム統合処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
Priority Applications (6)
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