JP4582366B2 - ピロリジン誘導体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はピロリジン誘導体を製造する方法に関するものである。また本発明の目的は、簡便な手法でかつ効率良くエポキシピロリジン類やピロリジノール類などのようなピロリジン誘導体を得る工業的に優れた手法を提供することにある。エポキシピロリジン類、ジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジン誘導体は、有用な医薬合成中間体として知られる種々のピロリジン類に容易に変換可能な化合物であり、有用な中間体化合物である。
【0002】
【従来の技術】
ピロリン化合物の二重結合部位をエポキシ化し、エポキシピロリジン類を得る手法としては、 トリフルオロ過酢酸によりエポキシ化させるもの(例えば、米国特許第3657274号)、m−クロロ過安息香酸によりエポキシ化させるもの(例えば、テトラヘドロン・レターズ 39、8885、(1998)、テトラヘドロン・レターズ 36、1621、(1995)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 60、398、(1995)など)、ジオキシラン化合物によりエポキシ化させるもの(例えば、テトラヘドロン・レターズ 37、3255、(1996)など)、ピロリン化合物のハロヒドリンを経由して目的物を得るもの(例えば、ヘテロサイクルズ 25、113(1987)など)が知られている。
【0003】
しかしこれらの方法はいずれも、用いる過酸化物の危険性が高いこと、その過酸化物を合成する過程が複雑であるまたはその過程において工業的使用が難しい試薬(例えば90%過酸化水素など)を用いていることなど、工業的には実現しがたい手法である上、ピロリン化合物の窒素上の置換基がt−ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、トシル(Ts基)、ベンゾイル基などに代表される、塩基性の小さいアミドタイプ、カルバメートタイプ、スルファミドタイプのピロリン化合物に制限される。これは、ピロリン化合物の窒素上の置換基が通常のアルキル基、アリール基、アラルキル基などの塩基性を有するピロリン化合物の場合は、窒素部位が酸化されたN−オキサイド化合物が選択的に生成するためである。
【0004】
この上記難点を克服し、塩基性を有するピロリン化合物においてエポキシ化を可能にした例としては、塩酸水溶液中での塩素ガスとの反応およびアルカリ処理により3−ピロリン化合物のクロロヒドリンを経由して目的物を得るもの(米国特許第4230718号)、アセトニトリルと過酸化水素とによりエポキシ化させるもの(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 47、5196、(1982))、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩存在下でジオキシラン化合物によりエポキシ化させるもの(ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー、ケミカル・コミュニケーション 293、(1995))が知られているが、米国特許第4230718号においては3、4−ジクロロピロリジン化合物が、またジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 47、5196、(1982)においてはピロール化合物が副生すること、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー、ケミカル・コミュニケーション 293、(1995)においては三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩およびジオキシラン化合物が高価であることから、やはりこれらの系も工業化の点で選択性やコストの面で不都合な点が多いと言える。
【0005】
一方、ジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジノール類をエポキシピロリジン化合物から合成して得る手法としては、加水分解するもの(例えば、テトラヘドロン・レターズ 39、8885、(1998)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 60、398、(1995)、テトラヘドロン・レターズ 35、7099、(1994)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 47、5196、(1982)など)、アルコーリシス、あるいはアミノリシスするもの(例えば、米国特許第4254135号、独国特許第3906365号)が知られている。
【0006】
しかしこれらの手法は、合成したエポキシピロリジン化合物を一度蒸留、酸析など分離操作を経て単離した後、あらためて誘導化反応を行わなければならないこと、またそのためにトータル収率が低くなることなど、操作性やコスト面で不都合な点が多く、ピロリン化合物から一挙に合成する例は見られない。さらに過硫酸塩を用いたものや、光照射により反応を加速させるものの例は見あたらない。
【0007】
また、エポキシピロリジン化合物を介さずピロリン化合物から一挙にビシナルなジヒドロキシル基を有するピロリジン類を得る手法としては、四酸化オズミウムあるいは過マンガン酸カリウムなどの触媒存在下、N−メチルモルホリンN−オキサイド(NMO)によるもの(例えば、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー 60、398、(1995)、テトラヘドロン・レターズ 35、7099、(1994)、テトラヘドロン・レターズ 28、535、(1987)など)が知られているが、これらは生成物のジヒドロキシル基がシス配位でありトランス体を選択的に合成することはできないことに加えて、四酸化オズミウムや過マンガン酸カリウムなどの酸化剤廃液が環境上問題を起こしうる化合物であることなど、工業的な面で課題が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らはこれらの問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、安価でかつ工業的に入手可能な反応剤を用い、簡便かつ効率の良い手法でピロリジン誘導体を製造できることを見い出し本発明に到達した。すなわち本発明は、 酸存在下で過酸化物との反応によりピロリン化合物から一挙にワンポットでエポキシピロリジン類やピロリジノール類などのピロリジン誘導体を製造するというものである。
【0009】
ピロリジン化合物類が有用な医薬合成中間体であることは周知の通りである。これらのピロリジン類を中間体として経由し、種々の有用なピロリジン類に変換することは医農薬分野における意義は大きいものと言える。よって、このエポキシピロリジン類やピロリジノール類を、安価でかつ工業的に入手可能な反応剤を用い、複雑な処理工程を介さず、選択性よく得ることは非常に有用である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)のいずれかで示されるピロリン化合物
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】
【0013】
【化11】
(R1〜R5は水素原子、あるいは炭素数1から10のアルキル基およびアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、および芳香族置換基を有するアルキル基およびアルケニル基を表す。)を、特定の酸の存在下、過酸化物で酸化することを特徴とするピロリジン誘導体の製造法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において反応させるピロリン化合物は、一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)のいづれか
【0015】
【化12】
【0016】
【化13】
【0017】
【化14】
(R1〜R5は水素原子、あるいは炭素数1から10のアルキル基およびアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、および芳香族置換基を有するアルキル基およびアルケニル基を表す。)で示され、窒素原子上およびピロリン環を形成する炭素上に置換基が存在していてもしていなくても良く、さらにピロリン環とR1〜R5のいづれかと縮合したもの、例えば一般式(9)で示されるインドール化合物や一般式(10)で示されるヘキサヒドロインドリリジン化合物なども含まれる。
【0018】
【化15】
(9)
【0019】
【化16】
(10)
また酸化される二重結合部位は、2位、3位、4位のいずれの部位に位置していても構わない。具体例としては、2−ピロリン、3−ピロリン、1−メチル−2−ピロリン、1−メチル−3−ピロリン、1−エチル−2−ピロリン、1−エチル−3−ピロリン、1−プロピル−2−ピロリン、1−プロピル−3−ピロリン、1−ブチル−2−ピロリン、1−ブチル−3−ピロリン、1−シクロプロピル−2−ピロリン、1−シクロプロピル−3−ピロリン、1−シクロブチル−2−ピロリン、1−シクロブチル−3−ピロリン、1−シクロペンチル−2−ピロリン、1−シクロペンチル−3−ピロリン、1−シクロヘキシル−2−ピロリン、1−シクロヘキシル−3−ピロリン、1−シクロヘプチル−2−ピロリン、1−シクロヘプチル−3−ピロリン、1−シクロオクチル−2−ピロリン、1−シクロオクチル−3−ピロリン、1−フルオロメチル−2−ピロリン、1−フルオロメチル−3−ピロリン、1−ジフルオロメチル−2−ピロリン、1−ジフルオロメチル−3−ピロリン、1−トリフルオロメチル−2−ピロリン、1−トリフルオロメチル−3−ピロリン、1−クロロメチル−2−ピロリン、1−クロロメチル−3−ピロリン、1−ジクロロメチル−2−ピロリン、1−ジクロロメチル−3−ピロリン、1−トリクロロメチル−2−ピロリン、1−トリクロロメチル−3−ピロリン、1−ブロモメチル−2−ピロリン、1−ブロモメチル−3−ピロリン、1−ジブロモメチル−2−ピロリン、1−ジブロモメチル−3−ピロリン、1−トリブロモメチル−2−ピロリン、1−トリブロモメチル−3−ピロリン、1−ヨードメチル−2−ピロリン、1−ヨードメチル−3−ピロリン、1−ジヨードメチル−2−ピロリン、1−ジヨードメチル−3−ピロリン、1−トリヨードメチル−2−ピロリン、1−トリヨードメチル−3−ピロリン、1−フルオロエチル−2−ピロリン、1−フルオロエチル−3−ピロリン、1−ジフルオロエチル−2−ピロリン、1−ジフルオロエチル−3−ピロリン、1−トリフルオロエチル−2−ピロリン、1−トリフルオロエチル−3−ピロリン、1−クロロエチル−2−ピロリン、1−クロロエチル−3−ピロリン、1−ジクロロエチル−2−ピロリン、1−ジクロロエチル−3−ピロリン、1−トリクロロエチル−2−ピロリン、1−トリクロロエチル−3−ピロリン、1−ブロモエチル−2−ピロリン、1−ブロモエチル−3−ピロリン、1−ジブロモエチル−2−ピロリン、1−ジブロモエチル−3−ピロリン、1−トリブロモエチル−2−ピロリン、1−トリブロモエチル−3−ピロリン、1−ヨードエチル−2−ピロリン、1−ヨードエチル−3−ピロリン、1−ジヨードエチル−2−ピロリン、1−ジヨードエチル−3−ピロリン、1−トリヨードエチル−2−ピロリン、1−トリヨードエチル−3−ピロリン、1−フェニル−2−ピロリン、1−フェニル−3−ピロリン、1−トリル−2−ピロリン、1−トリル−3−ピロリン、1−クロロフェニル−2−ピロリン、1−クロロフェニル−3−ピロリン、1−ブロモフェニル−2−ピロリン、1−ブロモフェニル−3−ピロリン、1−ヨードフェニル−2−ピロリン、1−ヨードフェニル−3−ピロリン、2−[3−クロロ−4−(2−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸、2−[3−クロロ−4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸、2−[3−クロロ−4−(2−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸メチル、2−[3−クロロ−4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸メチル、2−[3−クロロ−4−(2−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸エチル、2−[3−クロロ−4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸エチル、2−[3−クロロ−4−(2−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸プロピル、2−[3−クロロ−4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸プロピル、2−[3−クロロ−4−(2−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸ブチル、2−[3−クロロ−4−(3−ピロリン−1−イル)フェニル]−プロピオン酸ブチル、1−ナフチル−2−ピロリン、1−ナフチル−3−ピロリン、1−ベンジル−2−ピロリン、1−ベンジル−3−ピロリン、1−ナフチルメチル−2−ピロリン、1−ナフチルメチル−3−ピロリン、2−メチル−2−ピロリン、2−メチル−4−ピロリン、2、3−ジメチル−2−ピロリン、2、4−ジメチル−2−ピロリン、2、5−ジメチル−2−ピロリン、3、4−ジメチル−2−ピロリン、3、5−ジメチル−2−ピロリン、4、5−ジメチル−2−ピロリン、2、3、4−トリメチル−2−ピロリン、2、3、5−トリメチル−2−ピロリン、2、4、5−トリメチル−2−ピロリン、3、4、5−トリメチル−2−ピロリン、3、4、4−トリメチル−2−ピロリン、3、5、5−トリメチル−2−ピロリン、4、4、5−トリメチル−2−ピロリン、4、5、5−トリメチル−2−ピロリン、2、3、4、5−テトラメチル−2−ピロリン、2、4、4、5−テトラメチル−2−ピロリン、2、4、5、5−テトラメチル−2−ピロリン、3、4、4、5−テトラメチル−2−ピロリン、3、4、5、5−テトラメチル−2−ピロリン、2−メチル−3−ピロリン、4、4、5、5−テトラメチル−2−ピロリン、2、3、4、4、5−ペンタメチル−2−ピロリン、2、3、4、5、5−ペンタメチル−2−ピロリン、2、3、4、4、5、5−ヘキサメチル−2−ピロリン、1、2−ジメチル−2−ピロリン、1、2−ジメチル−4−ピロリン、1、2、3−トリメチル−2−ピロリン、1、2、4−トリメチル−2−ピロリン、1、2、5−トリメチル−2−ピロリン、1、3、4−トリメチル−2−ピロリン、1、3、5−トリメチル−2−ピロリン、1、4、5−トリメチル−2−ピロリン、1、2、3、4−テトラメチル−2−ピロリン、1、2、3、5−テトラメチル−2−ピロリン、1、2、4、5−テトラメチル−2−ピロリン、1、3、4、5−テトラメチル−2−ピロリン、1、3、4、4−テトラメチル−2−ピロリン、1、3、5、5−テトラメチル−2−ピロリン、1、4、4、5−テトラメチル−2−ピロリン、1、4、5、5−テトラメチル−2−ピロリン、1、2、3、4、5−ペンタメチル−2−ピロリン、1、2、4、4、5−ペンタメチル−2−ピロリン、1、2、4、5、5−ペンタメチル−2−ピロリン、1、3、4、4、5−ペンタメチル−2−ピロリン、1、3、4、5、5−ペンタメチル−2−ピロリン、1、4、4、5、5−ペンタメチル−2−ピロリン、1、2、3、4、4、5−ヘキサメチル−2−ピロリン、2、3、4、5、5−ヘキサメチル−2−ピロリン、2、3、4、4、5、5−ヘプタメチル−2−ピロリン、2−メチル−3−ピロリン、3−メチル−3−ピロリン、2、3−ジメチル−3−ピロリン、2、4−ジメチル−3−ピロリン、2、5−ジメチル−3−ピロリン、3、4−ジメチル−3−ピロリン、2、3、4−トリメチル−3−ピロリン、2、3、5−トリメチル−3−ピロリン、2、2、5−トリメチル−3−ピロリン、2、3、4、5−テトラメチル−3−ピロリン、2、2、3、4−テトラメチル−3−ピロリン、2、2、5、5−テトラメチル−3−ピロリン、1、2−ジメチル−3−ピロリン、1、3−ジメチル−3−ピロリン、1、2、3−トリメチル−3−ピロリン、1、2、4−トリメチル−3−ピロリン、1、2、5−トリメチル−3−ピロリン、1、3、4−トリメチル−3−ピロリン、1、2、3、4−テトラメチル−3−ピロリン、1、2、3、5−テトラメチル−3−ピロリン、1、2、2、5−テトラメチル−3−ピロリン、1、2、3、4、5−ペンタメチル−3−ピロリン、1、2、2、3、4−ペンタメチル−3−ピロリン、1、2、2、5、5−ペンタメチル−3−ピロリン、インドール、インドール−2−アセトアミド、インドール−3−アセトアミド、2−ホルミルインドール、3−ホルミルインドール、2−シアノインドール、3−シアノインドール、2−ヒドロキシメチルインドール、3−ヒドロキシメチルインドール、インドール−2−カルボン酸、インドール−3−カルボン酸、2−インドールグリオキシル酸、3−インドールグリオキシル酸、2−インドリル酢酸、3−インドリル酢酸、2−インドリルアセトニトリル、3−インドリルアセトニトリル、3、5、6、7、8、8a−ヘキサヒドロインドリリジンなどが挙げられるが、中でも好ましいのは2−ピロリン、3−ピロリン、1−ベンジル−2−ピロリン、1−ベンジル−3−ピロリン、1−シクロヘキシル−2−ピロリン、1−シクロヘキシル−3−ピロリン、インドール、3、5、6、7、8、8a−ヘキサヒドロインドリリジンであり、さらに好ましいのは、1−ベンジル−3−ピロリン、1−シクロヘキシル−3−ピロリンである。
【0020】
本発明において、使用する酸は、硫酸、あるいは一般式(4)で示されるスルホン酸
【0021】
【化17】
(R6は炭素数1から10のアルキル基およびアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、および芳香族置換基を有するアルキル基およびアルケニル基を表す。)である。具体例としては、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリブロモメタンスルホン酸、トリヨードメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、 o−フルオロベンゼンスルホン酸、m−フルオロベンゼンスルホン酸,p−フルオロベンゼンスルホン酸、o−クロロベンゼンスルホン酸、m−クロロベンゼンスルホン酸,p−クロロベンゼンスルホン酸、 o−ブロモベンゼンスルホン酸、m−ブロモベンゼンスルホン酸,p−ブロモベンゼンスルホン酸、 o−ヨードベンゼンスルホン酸、m−ヨードベンゼンスルホン酸,p−ヨードベンゼンスルホン酸、ジフルオロベンゼンスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、ジブロモベンゼンスルホン酸、ジヨードベンゼンスルホン酸、トリフルオロベンゼンスルホン酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、トリブロモベンゼンスルホン酸、トリヨードベンゼンスルホン酸、 o−ニトロベンゼンスルホン酸、m−ニトロベンゼンスルホン酸,p−ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、トリニトロベンゼンスルホン酸、 o−シアノベンゼンスルホン酸、m−シアノベンゼンスルホン酸,p−シアノベンゼンスルホン酸、ジシアノベンゼンスルホン酸、トリシアノベンゼンスルホン酸、 o−トリルスルホン酸、m−トリルスルホン酸,p−トリルスルホン酸、ジメチルフェニルスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、o−フルオロベンジルスルホン酸、m−フルオロベンジルスルホン酸,p−フルオロベンジルスルホン酸、o−クロロベンジルスルホン酸、m−クロロベンジルスルホン酸,p−クロロベンジルスルホン酸、 o−ブロモベンジルスルホン酸、m−ブロモベンジルスルホン酸,p−ブロモベンジルスルホン酸、o−ヨードベンジルスルホン酸、m−ヨードベンジルスルホン酸,p−ヨードベンジルスルホン酸、ジフルオロベンジルスルホン酸、ジクロロベンジルスルホン酸、ジブロモベンジルスルホン酸、ジヨードベンジルスルホン酸、トリフルオロベンジルスルホン酸、トリクロロベンジルスルホン酸、トリブロモベンジルスルホン酸、トリヨードベンジルスルホン酸、 o−ニトロベンジルスルホン酸、m−ニトロベンジルスルホン酸,p−ニトロベンジルスルホン酸、ジニトロベンジルスルホン酸、トリニトロベンジルスルホン酸、o−シアノベンジルスルホン酸、m−シアノベンジルスルホン酸,p−シアノベンジルスルホン酸、ジシアノベンジルスルホン酸、トリシアノベンジルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などである。中でも硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、メシチレンスルホン酸が好ましく、特に硫酸が好ましい。また、使用量については、 ピロリン化合物1モルに対し、1.0〜3.0モル用いるのが好ましい。この範囲において反応を効率良くかつ経済的に行うことができる。
【0022】
本発明において使用する過酸化物としては、一般式(5)で示される過一硫酸およびその塩
【0023】
【化18】
(Mはアルカリ金属(周期表1A族)類、アルカリ土類金属(周期表2A族)類、周期表3A族類、および一般式(7)で示されるアンモニウム類を表し、 X、Y、ZはX+Y=2Zを満たす0〜3の整数を表す。)
または一般式(6)で示される過二硫酸およびその塩
【0024】
【化19】
(Mはアルカリ金属(周期表1A族)類、アルカリ土類金属(周期表2A族)類、周期表3A族類、および一般式(7)で示されるアンモニウム類を表し、 X、Y、ZはX+Y=2Zを満たす0〜3の整数を表す。)
【0025】
【化20】
(R7〜R10は水素原子、炭素数1から20のアルキル基およびアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、および芳香族置換基を有するアルキル基およびアルケニル基を表す。)あるいは、一般式(8)で示される過安息香酸誘導体
【0026】
【化21】
(R11〜R15は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、あるいは炭素数1から10のアルキル基およびアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、および芳香族置換基を有するアルキル基およびアルケニル基を表す。)が挙げられ、具体的には過酸化水素、過酢酸、過一硫酸、過一硫酸塩、過二硫酸、過二硫酸塩、過安息香酸誘導体などが挙げられる。中でも過一硫酸塩、過二硫酸塩、過安息香酸誘導体が好ましい。過一硫酸塩の具体例としては、過一硫酸ナトリウム、過一硫酸カリウム、過一硫酸バリウム、過一硫酸ルビジウム、過一硫酸アンモニウム、過一硫酸テトラメチルアンモニウム、過一硫酸テトラエチルアンモニウム、過一硫酸テトラプロピルアンモニウム、過一硫酸テトラブチルアンモニウム、過一硫酸テトラペンチルアンモニウム、過一硫酸テトラヘキシルアンモニウム、過一硫酸テトラヘプチルアンモニウム、過一硫酸テトラオクチルアンモニウム、過一硫酸テトラノニルアンモニウム、過一硫酸テトラデシルアンモニウム、過一硫酸テトラウンデシルアンモニウム、過一硫酸テトラドデシルアンモニウム、過一硫酸テトララウリルアンモニウム、過一硫酸テトラベンジルアンモニウム、過一硫酸ベンジルトリメチルアンモニウム、過一硫酸ベンジルトリエチルアンモニウム、過一硫酸ベンジルトリブチルアンモニウム、過一硫酸ラウリルトリメチルアンモニウム、過一硫酸ラウリルトリエチルアンモニウム、過一硫酸ラウリルトリブチルアンモニウム、、過一硫酸水素ナトリウム、過一硫酸水素カリウム、過一硫酸水素アンモニウム、過一硫酸水素テトラメチルアンモニウム、過一硫酸水素テトラエチルアンモニウム、過一硫酸水素テトラプロピルアンモニウム、過一硫酸水素テトラブチルアンモニウム、過一硫酸水素テトラペンチルアンモニウム、過一硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム、過一硫酸水素テトラヘプチルアンモニウム、過一硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、過一硫酸水素テトラノニルアンモニウム、過一硫酸水素テトラデシルアンモニウム、過一硫酸水素テトラウンデシルアンモニウム、過一硫酸水素テトラドデシルアンモニウム、過一硫酸水素テトララウリルアンモニウム、過一硫酸水素テトラベンジルアンモニウム、過一硫酸水素ベンジルトリメチルアンモニウム、過一硫酸水素ベンジルトリエチルアンモニウム、過一硫酸水素ベンジルトリブチルアンモニウム、過一硫酸水素ラウリルトリメチルアンモニウム、過一硫酸水素ラウリルトリエチルアンモニウム、過一硫酸水素ラウリルトリブチルアンモニウムなどが挙げられ、中でも過一硫酸水素カリウムが好ましく用いられる。過二硫酸塩の具体例としては、過二硫酸ナトリウム、過二硫酸カリウム、過二硫酸バリウム、過二硫酸ルビジウム、過二硫酸アンモニウム、過二硫酸テトラメチルアンモニウム、過二硫酸テトラエチルアンモニウム、過二硫酸テトラプロピルアンモニウム、過二硫酸テトラブチルアンモニウム、過二硫酸テトラペンチルアンモニウム、過二硫酸テトラヘキシルアンモニウム、過二硫酸テトラヘプチルアンモニウム、過二硫酸テトラオクチルアンモニウム、過二硫酸テトラノニルアンモニウム、過二硫酸テトラデシルアンモニウム、過二硫酸テトラウンデシルアンモニウム、過二硫酸テトラドデシルアンモニウム、過二硫酸テトララウリルアンモニウム、過二硫酸テトラベンジルアンモニウム、過二硫酸ベンジルトリメチルアンモニウム、過二硫酸ベンジルトリエチルアンモニウム、過二硫酸ベンジルトリブチルアンモニウム、過二硫酸ラウリルトリメチルアンモニウム、過二硫酸ラウリルトリエチルアンモニウム、過二硫酸ラウリルトリブチルアンモニウム、過二硫酸水素ナトリウム、過二硫酸水素カリウム、過二硫酸水素アンモニウム、過二硫酸水素テトラメチルアンモニウム、過二硫酸水素テトラエチルアンモニウム、過二硫酸水素テトラプロピルアンモニウム、過二硫酸水素テトラブチルアンモニウム、過二硫酸水素テトラペンチルアンモニウム、過二硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム、過二硫酸水素テトラヘプチルアンモニウム、過二硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、過二硫酸水素テトラノニルアンモニウム、過二硫酸水素テトラデシルアンモニウム、過二硫酸水素テトラウンデシルアンモニウム、過二硫酸水素テトラドデシルアンモニウム、過二硫酸水素テトララウリルアンモニウム、過二硫酸水素テトラベンジルアンモニウム、過二硫酸水素ベンジルトリメチルアンモニウム、過二硫酸水素ベンジルトリエチルアンモニウム、過二硫酸水素ベンジルトリブチルアンモニウム、過二硫酸水素ラウリルトリメチルアンモニウム、過二硫酸水素ラウリルトリエチルアンモニウム、過二硫酸水素ラウリルトリブチルアンモニウムなどが挙げられ、中でも過二硫酸ナトリウム、過二硫酸アンモニウムが好ましく用いられる。
【0027】
過安息香酸誘導体の具体例としては、過安息香酸、o−クロロ過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、p−クロロ過安息香酸、o−ブロモ過安息香酸、m−ブロモ過安息香酸、p−ブロモ過安息香酸、o−ヨード過安息香酸、m−ヨード過安息香酸、p−ヨード過安息香酸、ジクロロ過安息香酸、トリクロロ過安息香酸、ジブロモ過安息香酸、トリブロモ過安息香酸、ジヨード過安息香酸、トリヨード過安息香酸、o−ニトロ過安息香酸、m−ニトロ過安息香酸、p−ニトロ過安息香酸、 ジニトロ過安息香酸、トリニトロ過安息香酸、o−メチル過安息香酸、m−メチル過安息香酸、p−メチル過安息香酸、ジメチル過安息香酸、トリメチル過安息香酸、o−シアノ過安息香酸、m−シアノ過安息香酸、p−シアノ過安息香酸、 ジシアノ過安息香酸、トリシアノ過安息香酸などが挙げられ、中でもm−クロロ過安息香酸が好ましく用いられる。これらの過酸化物は単一で用いてもあるいは混合して用いても構わない。またオキソン(OXON デュポン社製 KHSO5/KHSO4/K2SO4 = 2/1/1混合物)のように、過酸化物の安定化をはかるために当該反応において不活性な無機塩類が混合されていてもよい。使用量については、ピロリン化合物1モルに対し、1.0〜2.0モル用いるのが好ましい。この範囲において反応を効率良くかつ経済的に行うことができる。
【0028】
本発明において光を照射する場合の光源は、その分光分布が、紫外から可視光(200nm〜400nm)の波長領域に存在するものであれば任意に選ぶことができる。具体例としては、アルゴン共鳴ランプ、エキシマ・レーザ、フラッシュ紫外ランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、重水素ランプ、クセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプなどが挙げられ、中でも高圧水銀ランプ、クセノンランプが好ましい。これらを任意に選び用いることにより当該反応速度を加速させることができるが、希望する反応時間により照射時間、照射強度を変えたり、場合によっては非照射条件下で反応を行うことも差し支えない。
【0029】
本発明において、ジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジノール類を合成する際に求核剤として使用されるものは、水、アルコール類、アミン類である。
アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、トリクロロフェノール、ブロモフェノール、ジブロモフェノール、トリブロモフェノール、ヨードフェノール、ジヨードフェノール、トリヨードフェノール、カテコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられ、アミン類の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリルアミン、ホモアリルアミン、ベンジルアミン、アニリン、クロロアニリン、ブロモアニリン、トルイジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジアリルアミン、ビス(ホモアリル)アミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、 N−メチルクロロアニリン、 N−メチルブロモアニリン、ベンジルメチルアミンなどが挙げられる。中でも水、メタノール、エタノール、アンモニア、アリルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンが好ましい。
【0030】
これら求核剤は、ピロリン化合物の酸化反応終了後の溶液に投入する、あるいはピロリン化合物の酸化反応時に酸や過酸化物などといっしょに投入する、どちらも可能である。いずれの手法も連続的にワンポットで反応を行うことにより目的のジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジノール類を得ることができる。また、エポキシピロリジン類を合成する場合には、これら求核剤は必ずしも必要というわけではなく、温度コントロールにより反応に不活性な溶媒類として用いることもできる。
【0031】
本発明において光を照射する場合の光源は、その分光分布が、紫外から可視光(200nm〜400nm)の波長領域に存在するものであれば任意に選ぶことができる。具体例としては、アルゴン共鳴ランプ、フラッシュ紫外ランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、重水素ランプ、クセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプなどが挙げられ、中でも高圧水銀ランプ、クセノンランプが好ましい。これらを任意に選び用いることにより当該反応速度を加速させることができるが、希望する反応時間により照射時間や照射強度を変えたり、場合によっては非照射条件下で反応を行うことも差し支えない。
【0032】
本発明において使用される溶媒は任意に選ぶことができる。具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルメトン、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
これら溶媒は単一で用いてもあるいは混合して用いてもいいし、また無溶媒でもよい。また、具体例に挙げた溶媒類のうち、水、メタノール、エタノール、プロパノールなどに関し、目的のジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジノール類を合成する際に求核剤として使用されるものと重複しているものについては、反応温度のコントロールにより、反応に不活性な溶媒類として作用させることも求核剤として作用させることも可能である。
【0033】
本発明における反応温度については、反応を完了させたい時間に左右されるが、0℃〜100℃が好ましい。特にピロリジン類としてエポキシピロリジン類を得る場合には、反応を0℃〜30℃で行うことが好ましく、またジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジノール類を得る場合には、反応を30℃〜100℃以上で行うことが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。なお、ここで用いている試薬類のメーカーグレードは、いずれも1級レベルに相当するものである。
実施例1
1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジン
1−ベンジル−3−ピロリン15.9g(0.1mol)、98%硫酸12.0g(0.12mol)、水15.0g、アセトン60.0gを反応容器に加えて溶液を均一にした後、m−クロロ過安息香酸31.1g(0.13mol;東京化成社製純度70%)を加え室温かつ光非照射条件下で10時間反応させた。反応終了後、アセトンの減圧留去した残液をアルカリで中和した後、トルエン抽出、濃縮を行うことにより1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンを17.0g(収率97.0%)得た。
実施例2
アセトンの代わりにメタノールを用いて実施例1と同様に反応を行ったところ、得られた1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンは16.9g(収率96.7%)であった。
実施例3
98%硫酸の代わりにメタンスルホン酸(東京化成社製1級試薬)を用いて実施例1と同様に反応を行ったところ、得られた1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンは16.6g(収率94.7%)であった。
実施例4
98%硫酸の代わりにp−クロロベンゼンスルホン酸(東京化成社製1級試薬)を用いて実施例1と同様に反応を行ったところ、得られた1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンは16.8g(収率95.9%)であった。
実施例5
98%硫酸の代わりにメシチレンスルホン酸(アルドリッチ社製)を用いて実施例1と同様に反応を行ったところ、得られた1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンは16.6g(収率94.7%)であった。
実施例6
1−ベンジル−3−ピロリン15.9g(0.1mol)、98%硫酸12.0g(0.12mol)、水15.0g、アセトン60.0gをパイレックス製反応容器に加えて溶液を均一にした後、過二硫酸アンモニウム45.6g(0.20mol;三菱ガス化学社製)を加え、500Wクセノンランプ(ウシオ電機社製;UXL-500D)照射条件下、室温にて10時間反応させた。反応終了後、アセトンの減圧留去した残液をアルカリで中和した後、トルエン抽出、濃縮を行うことにより1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンを4.9g(収率28.0%)、原料1−ベンジル−3−ピロリンを11.9g(回収率75.0%)得た。
実施例7
過二硫酸アンモニウムの代わりに過二硫酸ナトリウム(三菱ガス化学社製) を用いて実施例6と同様に反応を行ったところ、 1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンを4.5g(収率23.3%)、原料1−ベンジル−3−ピロリンを11.9g(回収率75.0%)得た。
実施例8
パイレックス製反応容器の代わりに石英ガラス製反応容器を用いて実施例6と同様に反応を行ったところ、 1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンを10.5g(収率54.4%)、原料1−ベンジル−3−ピロリンを6.4g(回収率40.0%)得た。
実施例9
反応時間を10時間から5日間に伸ばして実施例6と同様に反応を行ったところ、 得られた1−ベンジル−3、4−エポキシピロリジンは16.6g(収率94.7%)であった。
実施例10
1−ベンジル−3−ピロリン15.9g(0.1mol)、98%硫酸12.0g(0.12mol)、水15.0g、アセトン60.0gを反応容器に加えて溶液を均一にした後、m−クロロ過安息香酸31.1g(0.13mol;東京化成社製純度70%)を加え40℃、光非照射条件下で10時間反応させた。反応終了後、一連の単離操作によりトランス−1−ベンジル−3、4−ジヒドロキシピロリジンを17.4g(収率90.0%)得た。
実施例11
98%硫酸の代わりにメタンスルホン酸(東京化成社製1級試薬)を用いて実施例10と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−3、4−ジヒドロキシピロリジンは16.6g(収率85.9%)であった。
実施例12
98%硫酸の代わりにp−クロロベンゼンスルホン酸(東京化成社製1級試薬)を用いて実施例10と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−3、4−ジヒドロキシピロリジンは16.8g(収率86.9%)であった。
実施例13
98%硫酸の代わりにメシチレンスルホン酸(アルドリッチ社製)を用いて実施例10と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−3、4−ジヒドロキシピロリジンは16.6g(収率85.9%)であった。
実施例14
1−ベンジル−3−ピロリン15.9g(0.1mol)、98%硫酸12.0g(0.12mol)、水15.0g、アセトン60.0gを石英ガラス製反応容器に加えて溶液を均一にした後、過二硫酸アンモニウム45.6g(0.20mol;三菱ガス化学社製)を加え、500Wクセノンランプ(ウシオ電機社製;UXL-500D)照射条件下、40℃にて5日間反応させた。反応終了後、一連の単離操作によりトランス−1−ベンジル−3、4−ジヒドロキシピロリジンを17.4g(収率90.0%)得た。
実施例15
1−ベンジル−3−ピロリン15.9g(0.1mol)、98%硫酸12.0g(0.12mol)、メタノール60.0gを石英ガラス製反応容器に加えて溶液を均一にした後、過二硫酸アンモニウム45.6g(0.20mol;三菱ガス化学社製)を加え、500Wクセノンランプ(ウシオ電機社製;UXL-500D)照射条件下、室温にて5日間反応させた。その後続けて38%NaOMeメタノール溶液57.88g(0.30mol;片山化学社製)を投入し、還流条件下で5時間反応させた。終了後、溶媒を減圧留去した残液を水、トルエン抽出、濃縮を行うことにより1−ベンジル−4―メトキシ―3−ピロリジノールを15.8g(収率76.0%)得た。
実施例16
1−ベンジル−3−ピロリン15.9g(0.1mol)、98%硫酸12.0g(0.12mol)、水15.0g、アセトン60.0gを石英ガラス製反応容器に加えて溶液を均一にした後、過二硫酸アンモニウム45.6g(0.20mol;三菱ガス化学社製)を加え、500Wクセノンランプ(ウシオ電機社製;UXL-500D)照射条件下、室温にて5日間反応させた。さらに続けてその反応溶液にベンジルアミン32.1g(0.30mol;片山化学社製)を加えて100℃、5時間反応させた。終了後、溶媒を減圧留去した残液を水、トルエン抽出、濃縮を行うことにより1−ベンジル−4―ベンジルアミノ―3−ピロリジノールを20.9g(収率74.0%)得た。
実施例17
ベンジルアミンの代わりにジエチルアミン21.9g(0.30mol;片山化学社製)を用いて実施例16と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−4−ジエチルアミノ−3−ピロリジノールは18.4g(収率73.9%)であった。
実施例18
ベンジルアミンの代わりにベンゼンチオール13.2g(0.12mol;アルドリッチ社製)を用いて実施例16と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−4−フェニルチオ−3−ピロリジノールは20.2g(収率70.9%)であった。
実施例19
ベンジルアミンの代わりにメタンチオール14.4g(0.30mol;アルドリッチ社製)を用いて実施例16と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−4−メチルチオ−3−ピロリジノールは14.3g(収率63.9%)であった。
実施例20
ベンジルアミンの代わりに1.0mol/Lメチルリチウム ジエチルエーテル溶液300mL(0.30mol;関東化学社製)を用いて氷浴中約5℃で5時間、実施例16と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−4−メチル−3−ピロリジノールは14.5g(収率76.0%)であった。
実施例21
ベンジルアミンの代わりに1.0mol/Lフェニルリチウム シクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液300mL(0.30mol;関東化学社製)を用いて氷浴中約5℃で5時間、実施例16と同様に反応を行ったところ、得られたトランス−1−ベンジル−4−フェニル−3−ピロリジノールは19.3g(収率76.3%)であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の製法は、安価でかつ工業的に入手可能な反応剤を用い、複雑な処理工程を介さず、穏和な条件で、かつ効率良くピロリジン誘導体が得られる経済的に有利な製造法である。また、得られるエポキシピロリジン類、ジヒドロキシピロリジン類、アミノピロリジノール類、アルコキシピロリジノール類などのようなピロリジン誘導体は、種々の合成中間体として利用でき、医農薬分野において有用である。
Claims (6)
- 一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)のいずれかで示されるピロリン化合物を、酸の存在下、過酸化物で酸化してエポキシピロリジン類またはビシナル トランス−ジヒドロキシピロリジン類またはビシナル トランス−アミノピロリジノール類またはビシナル トランス−アルコキシピロリジノール類を製造することを特徴とするピロリジン誘導体の製造法
であって、酸が、一般式(4)で示されるスルホン酸、
または、硫酸であるピロリジン誘導体の製造法。 - 過酸化物が、一般式(5)で示される過一硫酸およびその塩、または一般式(6)で示される過二硫酸およびその塩であることを特徴とする請求項1に記載のピロリジン誘導体の製造法。
- 過安息香酸誘導体が、m−クロロ過安息香酸であることを特徴とする請求項3記載のピロリジン誘導体の製造法。
- N−置換−3−ピロリン化合物の酸化を、光照射条件下で行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載のピロリジン誘導体の製造法。
- 照射する光の分光分布が、紫外から可視光(200nm〜400nm)の波長領域に存在することを特徴とする請求項5記載のピロリジン誘導体の製造法。
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