JP4582015B2 - アブレーションカテーテル - Google Patents

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本発明は不整脈の治療に使用するアブレーションカテーテルに関する。
余分なリエントリー回路や異常自動能を有する部位が存在するために生じる不整脈は抗不整脈薬という種類の薬でこれらの異常な電気活動を抑制することもできるが、異常な部位そのものを取り去るわけではないので、根本的な治療ではなく、前記薬剤を使用する治療方法に代えて異常な部位の生体組織を小さく焼き切ること、すなわち電気焼灼であるアブレーション治療が行われている。
アブレーション治療は専用のカテーテル(アブレーションカテーテル)を主に足の付け根にある太い血管(大腿静脈ないし大腿動脈)から入れ、そのカテーテルの先には心電図を計測するための電極がついていて、それで心臓の内壁に接触させながら心電図を作成する。この計測によって副伝導路などの異常な部位であるかどうかの作業(マッピング)を行い、このマッピング作業により異常箇所が判明すると、この異常個所を前記電極からの高周波(RF波)等によって目標とする組織部位(頻脈の原因となる箇所)を焼灼させる治療を行う。
しかしながら、一般に現在使用されているアブレーションカテーテルは前記焼灼部位の焼灼面積や焼灼する深さのコントロールは容易では無く、このコントロールはアブレーター(高周波発生装置)の出力(エネルギー)調整だけでは無く、カテーテルの先端電極を積極的に冷却する事によって焼灼効果を上げようとする試みもされている。例えば電極先端に穴をあけておいてそこからスプリンクラーの様に生理食塩水を出し先端電極を冷却する方法(イリゲーションカテーテル)や、カテーテル内に閉鎖式の循環器回路を仕込んでおいてポンプにより電極内に水を循環させ、電極先端を冷却する方法(クールドチップ)がある。これら冷却方法を採用することにより焼灼組織の炭化、水蒸気化、血栓化の危険性を減少させることが可能となっている。
特表2005−518864
しかしながら、これら冷却方式は構造やシステムが複雑になると同時に突然心筋深部で温度が沸点100℃を超え、水蒸気爆発(通常ポップ現象と言う)を起こし組織が断裂して心タンポナーゼを起こす様な現象が発生するリスクもある。
また、高周波アブレーションカテーテルを使用して焼灼を行う場合、生体組織の局所的な温度の急激な温度上昇が生じて組織の炭化現象を生じてしまい、焼灼部位の焼灼の範囲は小さく、かつ焼灼深度も浅くなるという問題があった。
したがって、本発明は前記のような課題を解決したアブレーションカテーテルの提供を目的とする。
本発明は、先端側に生体組織を電気焼灼(以下、アブレーションともいう)可能な電極を有するアブレーションカテーテルにおいて、前記電極部分がアブレーション部分で振動および/または回転可能なものであることを特徴とするアブレーションカテーテルの提供により、前記課題を解決することができた。
すなわち、本発明のアブレーションカテーテルはその先端に設けたアブレーションに使用する電極を従来の冷却方式では無く、該電極をアブレーション部分上で横方向及び縦方向に振動させることによりアブレーション部分と前記電極部の間に新しい血流を通過可能とすることにより焼灼中のアブレーションカテーテルの先端部を血流により冷却することができる。すなわち、前記電極をアブレーション部分上で横方向及び縦方向に振動させることによりアブレーション部分と前記電極部の間に空間部位の形成および/またはアブレーション部分と前記電極部の間に血流を導入させることにより、前記電極の先端部は加熱されていない新しい血液と接触することにより効果的に冷却される。
従来のアブレーションカテーテルの電極もアブレーション部分と接触する箇所以外はそれと接する血流によって冷却されるが、従来のアブレーションカテーテルの電極は、本発明の電極とは異なり電極がアブレーション部分上を振動しないので加熱されたアブレーション部分と接触することにより最も重要な電極の冷却効果が低下してしまっている。これに対して、本発明のアブレーションカテーテルの電極は、該電極が横方向及び縦方向に振動することにより該電極先端部とアブレーション部分の間に加熱されていない血流を導き入れることができ、該電極先端部は加熱されていない血流と接触した状態となるので、上述のように電極自体も効果的に冷却させることができ、かつその先端部に血栓等の形成を防止することができる。従って本発明のアブレーションカテーテルは、このように電極自体が効果的に冷却することができ、かつ血栓の形成等も防止できるので、従来の冷却方式のようにカテーテル自体に該カテーテルの冷却手段設けなくても簡単な構造で、焼灼組織の炭化、水蒸気化、血栓化の危険性、およびポップ現象の危険を減少させることが可能となる、という極めて優れた効果を奏することができるものである。ただし、本発明のアブレーションカテーテルも従来のアブレーションカテーテルのような該カテーテル自体が冷却手段を有していてもよい。
前記アブレーションカテーテルの電極は、その振動により前記電極の先端部が新しい加熱されていない血液と接触状態となり該電極の先端部が冷却可能な状態を形成できるものであればよく、また、その振動数が制御可能なものが好ましい。このような電極付きカテーテルとしては温度検知手段によって検知したアブレーション部分の検知温度、所望のアブレーション部位の幅および/または深さ等に基づいて前記電極の振動数が制御可能なもの、特に該制御を自動的に行うものが挙げられる。特にアブレーション部位の幅を考慮して前記電極を制御する場合には、前記振動数の制御に加えて該電極の振動幅を考慮して制御可能なものが好ましい。
前記電極の振動数としては例えば5〜50Hzである。また、前記電極の振動の方向は横方向および縦方向である。
前記アブレーションカテーテルの電極の制御は、医師のような施術者が焼灼状態を確認(例えば視認によって確認)に基づいて、さらには該確認に加えて前記アブレーション部分の検知温度、所望のアブレーション部位の幅および/または深さ等に基づいて決定できる機能のものであってもよい。
前記アブレーションカテーテル電極の振動の制御は、振動数の変更のみならず、焼灼状態によってはON,OFF制御可能なものであってもよい。例えば、アブレーション治療を前記電極の振動を採用しないOFF状態において開始し、前記のようにアブレーション部分の検知温度および/または施術者のアブレーション部分の確認状態に基づいて該電極の冷却制御が必要であると判断されると該電極の振動をON状態として適当な振動数で開始してアブレーション部分の冷却を行い、この冷却結果に基づいて再度、前記電極の振動数の制御を行ってもよい。
前記アブレーションカテーテルの電極の振動を行う手段としては、該電極を振動させることができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば超小型モータが挙げられる。


本発明により、構造やシステムが簡単で、かつ心タンポナーゼを起こす様な現象が発生するリスクや生体組織の局所的な温度の急激な温度上昇による組織の炭化現象を生じることがなく、かつ焼灼部位の焼灼の範囲や焼灼深度を簡単にコントロール可能なアブレーションカテーテルを提供することができた。
先端電極が回転可能な本発明のアブレーションカテーテルを示す図である。
符号の説明
1 アブレーションカテーテル
2 アブレーションカテーテルの近位電極
3 アブレーションカテーテルの先端電極
4 アブレーション部分

Claims (3)

  1. 先端側に生体組織を電気焼灼(以下、アブレーションともいう)可能な電極(以下、アブレーション電極と言う)を有する心臓内に留置させて不整脈の治療に使用するアブレーションカテーテルにおいて、前記アブレーション電極が不整脈の治療中に横方向及び縦方向に振動し、血流によって冷却されるものであることを特徴とするアブレーションカテーテル。
  2. アブレーション部分の焼灼状態の確認結果に基づいてアブレーション電極の振動の制御が可能なものであることを特徴とする請求項1記載のアブレーションカテーテル。
  3. アブレーション部分の温度検知手段を有し、該温度検知手段によるアブレーション部分の検知温度に基づいてアブレーション電極の振動の制御可能なものであることを特徴とする請求項1または2に記載のアブレーションカテーテル。
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