JP4581132B2 - 両親媒性有機リン化合物と遷移金属錯体を含有する触媒、及びそれを用いたビアリール化合物の製造法。 - Google Patents

両親媒性有機リン化合物と遷移金属錯体を含有する触媒、及びそれを用いたビアリール化合物の製造法。 Download PDF

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Description

本発明は、水を溶媒に用いたビアリール化合物の製造法、及びそれに用いられる触媒に関し、特に、ポリエチレングリコール構造を有する有機リン化合物と特定の遷移金属錯体を含有する触媒を用いることにより、水を溶媒とする反応を円滑に進行させることができ、かつその後この触媒をリサイクルできる製造方法に関するものである。
従来より、水を反応溶媒とした有機化合物の製造法は、揮発性有機溶剤の使用量削減や分子触媒と生成物との分離を容易にするという観点から注目され、該製造方法に有用な配位子として種々の水溶性有機リン化合物が開発されている。その代表的な配位子には、3,3′,3″−フォスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)ナトリウム塩(TPPTS)、4,4′−(フェニルフォスフィニデン)ビス(ベンゼンスルホン酸)カリウム塩、ジフェニルフォスフィノ安息香酸等があげられる(非特許文献1)。
これらの水溶性有機リン化合物からなる配位子と、パラジウムやロジウム等の遷移金属錯体と混合して得られた触媒は、プロピレンからのブチルアルデヒドの製造(非特許文献2)やブタジエンからのオクタジエノールの製造(非特許文献3)等で工業化された触媒として用いられている。またこの触媒は、反応系において水層に存在することから、油相に溶解している生成物から容易に分離し、再利用できるといった特長を有する。
しかしながら、従来の水溶性有機リン化合物を配位子とする触媒は、原料として水に不要なオレフィンを用いたヒドロホルミル化反応に用いると、触媒性が著しく低下するという欠点があった。本発明者らは、このような事情に鑑み、配位子として、1分子中に親油性構造と水溶性であるポリエチレングリコール構造とを有する特定の両親媒性有機リン化合物、及び、これとロジウム、コバルト、イリジウム等の周期律表第VIII族遷移金属錯体からなる触媒をヒドロホルミル化反応に用いることを提案している(特許文献2)。
一方、ビアリール化合物におけるビアリール骨格は、医農薬中間体や有機電子材料等のファインケミカルズの構造中に多く含まれている。この骨格の構築には、Ullmann反応,Gomberg-Bachmann反応などが利用されてきた。しかしながら,これらの反応は選択性に乏しく、収率も決して高くない。1981年、鈴木らは均一系パラジウム触媒と塩基の存在下、アリールボロン酸とハロゲン化アリールから選択的にビアリール化合物を合成できる反応を報告している(非特許文献4)。この反応は、温和な条件下、高い選択性と収率でビアリール化合物を与え、官能基による制約が少ないため、多方面で利用されている。しかしながら、パラジウム等の貴金属触媒のリサイクルが課題となり製造プロセスによっては、実用化の障害になっている。また、環境保全の立場から有機溶媒を使わないプロセスの適応も期待されている。
このような中で、(1)先に述べたような水溶性配位子TPPTSとパラジウムを触媒に用いたビアリール誘導体の合成法(特許文献1、非特許文献5)、(2)アンモニウム塩を分子内に有するアルキルホスフィンを配位子とした触媒を用いる方法(非特許文献6)、(3)グルコノラクトン由来の水溶性ホスフィンを配位子とした触媒を用いる方法(特許文献3)が知られている。しかしながら、前記(1)、(2)の方法は、溶媒にエタノール、アセトニトリル等の水と混和しやすい有機溶媒の使用が必須であるなどの欠点がある。また(3)の方法は、反応速度が遅く必ずしも満足できるものではなかった。
特開平8−59514号公報 特開2003−261583号公報 特開2004−107271号公報 "Aqueous catalysts for organic reactions" B. Cornils, E. Wiebus, Chemtech, 25, 33-38 (1995) Ruhrchemie:CHEMTECH, 33 (1995) クラレ:日化誌、119 (1993) Synth. Commun., 513 (1981) Tetrahedron Lett., 6523 (2001) Org. Lett., 2757 (2001)
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、水を溶媒に用いたビアリール化合物の製造において、円滑に反応を進行させることができ、かつ簡便に触媒のリサイクルができる製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ビアリール化合物の製造において、ポリエチレングリーコール構造を有する両親媒性有機リン化合物を配位子として用いるとともに、これと特定の遷移金属錯体を併用した触媒を用いることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、前述のとおり、本発明者らは、先に、高級アルデヒドの製造方法に用いられるヒドロホルミル化反応においては、1分子中にアルキル等の親油性構造と水溶性構造としてのポリエチレングリコール構造を有する両親媒性有機リン化合物を配位子とし、これとロジウム、コバルト、イリジウムの周期律表第VIII族遷移金属化合物とからなる触媒を用いることを見いだしたが(特許文献2)、更に検討を重ね、ビアリール化合物の製造方法においては、該両親媒性有機リン化合物を配位子として用いると共に、これとパラジウム、ニッケル、白金等の周期律表第10族遷移金属化合物とを併用した触媒を用いることにより、ビアリール化合物の合成反応が円滑に促進することを見出したものである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
1. 下記一般式(1)
PA(CH(OCHCH (1)
(式中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を示し、R及びRは結合して環を形成していてもよく、Rは水酸基又は低級アルコキシ基を示し、Aはフェニレン基、オキシフェニレン基又はメチレン基を示し、nは5〜30、mは3〜300を示す。)で表されるポリエチレングリーコール構造を有する有機リン化合物と周期律表第10族遷移金属錯体を含有することを特徴とするビアリール化合物製造用触媒。
2. 下記一般式(1)
PA(CH(OCHCH (1)
(式中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を示し、R及びRは結合して環を形成していてもよく、Rは、水酸基又は低級アルコキシ基を示し、Aはフェニレン基、オキシフェニレン基又はメチレン基を示し、nは5〜30、mは3〜300を示す。)で表されるポリエチレングリーコール構造を有する有機リン化合物と周期律表第10族遷移金属錯体を含有する触媒を用いて、アリールボロン酸又はそのエステル化合物あるいはその無水物とハロゲン化アリール又はアリールトリフラートとを反応させることを特徴とするビアリール化合物の製造法。
3. 下記一般式(2)
Ar−B(OR (2)
(式中、Arはアリール基を示し、Rは水素又はアルキル基を示し、二つのアルキル基は結合していてもよい。)で表されるアリールボロン酸又はそのエステル化合物あるいはその無水物と、下記一般式(3)
Ar−X (3)
(式中、Arはアリール基を示し、Xはヨウ素、臭素、塩素又はトリフルオロメタンスルフォニルオキシ基を示す。)で表されるハロゲン化アリール又はアリールトリフラートとを反応させ、下記一般式(4)
Ar−Ar (4)
(式中、Ar及びArは、前記したと同意義を有する。)で表されるビアリール化合物を得ることを特徴とする上記2記載のビアリール化合物の製造法。
本発明は、ポリエチレングリーコール構造を有する両親媒性有機リン化合物と第10族遷移金属錯体を混合した触媒を用いることにより、水を溶媒に用いて、ビアリール化合物を効率的に製造し、かつ触媒を簡便な操作でリサイクルできる方法を提供できるものである。また、本発明に係る触媒は、上記特有な成分を含有することから、従来その合成が困難とされていた水に不溶なアリール化合物を用いたとしても他の添加剤を併用することなく対応するビアリール化合物類を高収率で得ることができるものである。
本発明の有機リン化合物は、前記一般式(1)で示される化学構造式から明らかなように、リン原子とポリエチレングリコール親水性部位とが、疎水性基である長鎖アルキレン基、長鎖アルキレンフェニレン基または長鎖アルキレンオキシフェニレン基を介して結合された両親媒性を呈する化合物である。
本発明に係る配位子がビアリール化合物の合成を促進する理由はまだ明確には解っていないが、(1)本化合物の構造上の特徴から明らかなように分子の片末端に親水性基を有し、疎水性基の片末端に触媒を配位するリン原子を有するため、反応系中で触媒が有機層側を向いて存在しやすいこと、(2)本化合物はビアリール合成反応の反応温度下では水への溶解度が低くなり有機層側に存在しやすくなっていること等が考えられる。
前記一般式(1)中のリン原子に結合しているR、Rは、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリーロキシ基を示し、RおよびRは、結合して環を形成していてもよい。このアルキル基には、鎖状もしくは環状のいずれもが包含される。アルキル基の炭素数は1〜10、好ましくは1〜6である。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、アリール基には、炭素環からなるアリール基及び複素環からなるアリール基の両方が包含される。この場合、炭素環としては、ベンゼン環やビフェニル環の他、ナフタレン環、インデン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合環が挙げられる。一方複素環としては、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール等の五員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の六員環等が挙げられる。また、これらのアリール基は、各種の置換基を有していてもよい。
アラルキル基には、ベンジル基、フェニルエチル基等があげられる。またアルコキシ基、アリーロキシ基としては炭素数が1〜10を有するものであり、各種の置換基を有していてもよい。このようなアルコキシ基、アリーロキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、ブチルフェニルオキシ基、フルオロフェニルオキシ基等があげられる。
およびRが結合して環を形成している例としては、テトラメチレン基・ペンタメチレン基、ジメチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、ジメチルジメチレンジオキシ基、テトラメチルジメチレンジオキシ基、ジプロピルジメチレンジオキシ基、ジフェニルジメチレンジオキシ基、テトラメチルトリメチレンジオキシ基、フェニレンジオキシ基ジフェニレンジオキシ基等があげられる。
前記一般式(1)のなかのRは、水酸基、低級アルコキシ基を示す。低級アルコキシ基としては炭素数1〜3個のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等があげられる。
前記一般式(1)のなかのnは5〜30を示し、望ましくは9〜20である。またmは3〜300を示し、望ましくは3〜150である。
本発明に係る前記一般式(1)で表される有機リン化合物の代表例としては、例えば、トリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノデシルエーテル、ドデカ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノオクタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジブチルホスフィノデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジエトキシホスフィノウンデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノフェニルデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノフェノキシデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジエチルホスフィノオクタデシルエーテル、ドデカ(エチレングリコール)(イソプロピル)ジシクロヘキシルホスフィノペンタデシルエーテル、等が挙げられる。
前記一般式(1)の有機リン化合物(水溶性配位子化合物)は、上記したように、リン原子とポリエチレングリコール親水性部位とが長鎖アルキレン基、長鎖アルキレンオキシフェニレン基または長鎖アルキレンフェニレン基で結合された両親媒性を呈する化合物であるから、これを第10族遷移金属錯体と混合すると、水溶液中でのビフェニル化合物の合成を円滑に進行する触媒を得ることができる。また、本発明に係る触媒は、上記特有な成分を含有することから、従来その合成が困難とされていた水に不溶なアリール化合物を用いたとしても他の添加剤を併用することなく対応するビアリール類を高収率で得ることができる。
本発明で用いる第10族遷移金属化合物には、その金属塩、水和物およびホモまたはヘテロ複核錯体も包含される。第10族遷移金属化合物として好ましくはパラジウム化合物である。
本発明で用いられる第10族遷移金属錯体として具体的には、アリルクロロパラジウムダイマー、酢酸パラジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、アリル(シクロペンタジエニル)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム、エチレンビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(t−ブチルイソシアニド)ジメチルパラジウム、ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド)ジメチルパラジウム、ジネオペンチル(2,2’−ビピリジル)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム錯体である。
本発明に係る触媒は、反応系中で上記第10族遷移金属化合物と前記一般式(1)で示される有機リン化合物を混合し調整したものを精製してもよいし、精製せずそのまま用いてもよい。
この反応触媒系における遷移金属と有機リン化合物(水溶性配位子化合物)の混合比は、第10族遷移金属原子と有機リン化合物(水溶性配位子化合物)のリン原子の当量比にして第10族遷移金属原子1に対しリン原子1〜100望ましくは2〜30がよい。
本発明に係る触媒は、ビアリール化合物の製造に用いられるものであるが、特に、下記一般式(2)
Ar−B(OR (2)
(式中、Arはアリール基を示し、Rは水素又はアルキル基を示し、二つのアルキル基は結合していてもよい。)で表されるアリールボロン酸又はそのエステル化合物あるいはその無水物と、下記一般式(3)
Ar−X (3)
(式中、Arはアリール基を示し、Xはヨウ素、臭素、塩素又はトリフルオロメタンスルフォニルオキシ基を示す。)で表されるハロゲン化アリール又はアリールトリフラートとを反応させ、下記一般式(4)
Ar−Ar (4)
(式中、Ar及びArは、前記したと同意義を有する。)で表されるビアリール化合物を製造するに好ましく用いられる。
前記一般式(2)ないし(4)において、Ar及びArで表されるアリールボロン酸又はそのエステル化合物と、一般式(3)で表されるハロゲン化アリール化合物のアリール基には、炭素環からなるアリール基及び複素環からなるアリール基の両方が包含される。この場合、炭素環としては、ベンゼン環やビフェニル環の他、ナフタレン環、インデン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合環が挙げられる。複素環としては、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール等の五員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の六員環等が挙げられる。また、これらのアリール基は、各種の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む各種のもの、例えばヒドロキシ基、メトキシ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、エトキシカルボニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、塩素、フッ素等が挙げられる。アリール基の具体的例としては、例えばフェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、アニシル基、ホルミルフェニル基、アセトフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、アミノフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
前記一般式(2)において、Rは、水素又はアルキル基を示し、二つのアルキル基は結合していてもよい。このようなアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基であり、R同士が結合して環を形成している例としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチルジメチレン基等があげられる。
本発明に係る触媒を用いてビアリール化合物を製造する方法において、通常、反応溶媒は水のみを用いればよいが、一般的な有機溶媒を一緒に用いてもよい。有機溶媒を用いる場合には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族飽和炭化水素類等が挙げられる。
反応後の生成物の分離は、生成物である有機層を、触媒を含む水層から分離後、蒸留・再結晶・クロマトグラフィー等の通常の精製単離法によって容易に実施される。また、触媒を含む水層はそのままつぎのビアリール化合物の合成に使用することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお各実施例において、得られた反応生成物はカラムクロマトグラフィー又は再結晶によって容易に単離された。また収率は、t−ブチルトルエンを内部標準物質として用い、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
下記式で示される数平均分子量991のポリ(エチレングリコール)(メチル)ジフェニルホスフィノフェノキシデシルエーテル(配位子A)155.6mgとアリルパラジウムクロライドダイマー4.5mgを水26.2mlに溶解させ触媒溶液Aを作成した。
PhPCO(CH)10(OCHCH)OMe(n=12.3) (配位子A)
反応管にフェニルボロン酸335.5mg、ブロモ安息香酸エチル579.5mg、炭酸カリウム865.2mg、内部標準物質600.4mg、水1mlを混合したところへ、先に作成した触媒溶液Aを1ml加え、100℃、1時間反応させるとフェニル安息香酸エチルが95%収率で得られた。上澄みを取り除いた水層に新たにフェニルボロン酸346.4mg、ブロモ安息香酸エチル586.4mgと内部標準600.8mgを加え同様な条件下で反応を行うとフェニル安息香酸エチルが86%収率で得られた。さらに上澄みを取り除いた後、水層にフェニルボロン酸343.4mg、ブロモ安息香酸エチル589.8mgと内部標準582.4mgを加え同様な条件下で反応を行うとフェニル安息香酸エチルが83%収率で得られた。
この実施例1の結果から、本発明の触媒を用いると、ビアリール化合物が効率よく得られるとともに、使用した触媒を簡単にリサイクルできるばかりでなく、リサイクルした触媒を用いた場合もビアリール化合物を効率よく得ることができることがわかる。
反応管にフェニルボロン酸341.2mg、ブロモニトロベンゼン505.0mg、炭酸カリウム864.0mg、内部標準物質504.0mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Aを1ml加え、100℃で0.5時間反応させるとニトロビフェニルが98%収率で得られた。
反応管にフェニルボロン酸341.7mg、ブロモアニリン428.1mg、炭酸カリウム863.7mg、内部標準物質419.0mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Aを1ml加え、100℃で2時間反応させるとアミノビフェニルが78%収率で得られた。
反応管にフェニルボロン酸340.0mg、ブロモピリジン393.7mg、炭酸カリウム850.0mg、内部標準物質361.0mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Aを1ml加え、100℃で0.5時間反応させるとフェニルピリジンが98%収率で得られた。
反応管にフェニルボロン酸343.6mg、クロロベンゾニトリル344.2mg、炭酸カリウム864.0mg、内部標準物質341.9mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Aを1ml加え、100℃で14時間反応させるとシアノビフェニルが53%収率で得られた。
反応管にトリルボロン酸370.0mg、ブロモ安息香酸エチル580.8mg、炭酸カリウム865.1mg、内部標準物質579.1mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Aを1ml加え、100℃で1時間反応させるとトリル安息香酸エチルが95%収率で得られた。
先に示した配位子A30.5mgとアリルパラジウムクロライドダイマー2.0mgを水10.3mlに溶解させ触媒溶液Bを作成した。
反応管にフェニルボロン酸342.3mg、ブロモアニソール460.8mg、炭酸カリウム863.7mg、内部標準物質467.5mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Bを1ml加え、100℃で7時間反応させるとメトキシビフェニルが31%収率で得られた。
反応管にフェニルボロン酸343.0mg、ブロモトルエン425.5mg、炭酸カリウム864.0mg、内部標準物質424.7mg、水1mlを混合したところへ先に作成した触媒溶液Bを1ml加え、100℃で7時間反応させるとメチルビフェニルが48%収率で得られた。
比較例1
代表的な水溶性配位子3,3′,3″−フォスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)ナトリウム塩511.0mgとアリルパラジウムクロライドダイマー26.6mgを水150mlに溶解させ触媒溶液Cを作成した。
反応管にフェニルボロン酸342.0mg、ブロモ安息香酸エチル571.3mg、炭酸カリウム864.0mg、内部標準物質600mg、水1mlを混合したところへ、先に作成した触媒溶液Cを1ml加え、100℃、1時間反応させると、フェニル安息香酸エチルが1%収率で得られた。さらに反応を続け、24時間後でも収率は40%であった。
本発明で得られるビアリール化合物は、医農薬中間体や有機電子材料等のファインケミカルズの中間体として用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    PA(CH(OCHCH (1)
    (式中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を示し、R及びRは結合して環を形成していてもよく、Rは水酸基又は低級アルコキシ基を示し、Aはフェニレン基、オキシフェニレン基又はメチレン基を示し、nは5〜30、mは3〜300を示す。)で表されるポリエチレングリーコール構造を有する有機リン化合物と周期律表第10族遷移金属錯体を含有することを特徴とするビアリール化合物製造用触媒。
  2. 下記一般式(1)
    PA(CH(OCHCH (1)
    (式中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を示し、R及びRは結合して環を形成していてもよく、Rは、水酸基又は低級アルコキシ基を示し、Aはフェニレン基、オキシフェニレン基又はメチレン基を示し、nは5〜30、mは3〜300を示す。)で表されるポリエチレングリーコール構造を有する有機リン化合物と周期律表第10族遷移金属錯体を含有する触媒を用いて、アリールボロン酸又はそのエステル化合物あるいはその無水物とハロゲン化アリール又はアリールトリフラートとを反応させることを特徴とするビアリール化合物の製造法。
  3. 下記一般式(2)
    Ar−B(OR (2)
    (式中、Arはアリール基を示し、Rは水素又はアルキル基を示し、二つのアルキル基は結合していてもよい。)で表されるアリールボロン酸又はそのエステル化合物あるいはその無水物と、下記一般式(3)
    Ar−X (3)
    (式中、Arはアリール基を示し、Xはヨウ素、臭素、塩素又はトリフルオロメタンスルフォニルオキシ基を示す。)で表されるハロゲン化アリール又はアリールトリフラートとを反応させ、下記一般式(4)
    Ar−Ar (4)
    (式中、Ar及びArは、前記したと同意義を有する。)で表されるビアリール化合物を得ることを特徴とする請求項2に記載のビアリール化合物の製造法。
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