JP4579762B2 - 光デバイス - Google Patents
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Description
図1において、KTN材料を用いて導波路を形成し、それによってマッハツェンダー型の干渉計を構成して作製された光スイッチ1を挟むように、温度検知素子2とペルチェ素子3とが設けられている。また、温度検知素子2およびペルチェ素子3は、高精度温度制御回路4に導線などを介して電気的に接続(本明細書では、単に「電気的に接続される」とも呼ぶ)されている。図1の構成では、素子全体の温度制御にペルチェ素子3を用いてその温度を精密に制御している。すなわち、温度検知素子2によって検知された温度に関する電気信号に基づいて、高精度温度制御回路4は、ペルチェ素子3を制御する。
本発明の一実施形態では、常誘電と強誘電との間で相転移を起こす、電気光学材料からなる光デバイスの少なくとも一部分に、少なくとも一対の加熱用電極を形成し、その加熱用電極に交流電力(交流信号)を印加する。これにより、光デバイスを構成する電気光学材料の有する誘電正接(誘電率虚部)のために、結晶は加熱される。すなわち、加熱用電極に交流電力を印加することによって、電気光学材料自体を発熱させる。よって、光デバイスに形成された、加熱用電極対の各電極間の領域である、上記少なくとも一部分は発熱し、該少なくとも一部分から周囲の領域も上記加熱の(上記加熱の温度が伝わる等の)影響により温度が上昇する。このとき、上記発熱によって上記少なくとも一部分およびその周囲の領域の温度が上昇して、強誘電相から常誘電相への相転移温度(本明細書では、単に「相転移温度」とも呼ぶ)を超えると、温度が上昇するほど誘電率虚部は減少する。よって、温度上昇に従って発熱が抑制され、精密な温度制御を行わなくても、上記少なくとも一部分およびその周囲の領域の温度を、相転移温度以上の温度にほぼ一定に保つことが可能となる。また、精密な温度制御を行うための、高精度温度制御回路等が不要となるので、低コスト化を図ることが可能となる。
図3は、本実施形態に係る、光デバイスの断面を示す図である。
図3において、光スイッチ10は、KTN材料からなるクラッド11と、クラッド11に埋め込まれ、クラッド11よりも高い屈折率を有するKTN材料からなるコア12とを備えている。クラッド11上には、コア12の長手方向に対して略平行になるように、位相変調用電極13および14がコア12を挟むように配置されている。図3では、位相変調用電極13および14の間の、コア12を含む領域が、動作領域となる。
振幅=V1を一定とすると、電流は以下のように示される。
I1=V1/Rp
ここで、I1は電流振幅、RpはKTNの抵抗成分(容量の虚部の寄与を含む)である。すると、発熱は以下のように記述できる(容量成分もあるが、発熱に寄与しないので無視する)。
P=V1*I1=V1 2/Rp
ここで、直流成分が無視できる通常の場合を考えると、Rpは誘電率虚部Ciと角周波数ωとを用いて以下のように記述できる。
1/Rp=ωCi
P=V1 2*ωCi
つまり、消費電力(発熱)Pは、容量の虚部で決まることになる。
発熱Pと、放熱A=BΔT(B;KTNの熱抵抗、ΔT;動作領域の温度と環境温度との温度差)を用いて、以下のようにかける。
dT/dt=P−A=P−BΔT
=V1 2*ωCi−BΔT (式1)
つまり、十分大きな角周波数ωを用いれば、温度は、Ciが十分に小さくなるまで上昇し続けることになる。そして、
V1 2*ωCi=BΔT (式2)
となる温度で、加熱用電極15および16の間の領域(所望の発熱領域)、つまり、動作領域において一定の温度が保持されることになる。
図5は、本実施形態に係る、光デバイスの断面を示す図である。
図5において、光スイッチ10は、加熱用電極16の近傍に配置された温度検知素子18と、位相変調用電極13、14、加熱用電極15、16、および温度検知素子17が形成された、クラッド11の面に対向する面に形成されたペルチェ素子19をさらに備えている。温度検知素子18およびペルチェ素子19はそれぞれ、低精度温度制御回路20に電気的に接続されている。
図6は、本実施形態に係る、光デバイスの断面を示す図である。
図6において、光スイッチ21は、KTN材料からなるクラッド22と、クラッド22に埋め込まれ、クラッド22よりも高い屈折率を有するKTN材料からなるコア23とを備えている。クラッド22上には、コア23の長手方向に対して略平行になるように、位相変調用電極24および25がコア23を挟むように配置されている。図6では、位相変調用電極24および25の間の、コア23を含む領域が、動作領域となる。
具体的には、図6のように、加熱用抵抗体26を、電気光学材料に形成した電極27および28に直列に接続して交流で駆動する場合を考える。このとき、電極27と電極28との間には、容量の実部と虚部が寄与する。第1および第2の実施形態では、電気光学材料自体の発熱を考えたので容量の実部は無視したが、本実施形態では、加熱用抵抗体26からの発熱を考えるため、容量の実部と虚部との双方が寄与する。しかし、実際の電気光学材料では装用が寄与する場合、実部のほうが虚部よりもはるかに大きいので、実部のみを考えれば十分である。
I=V/(R+1/(iωCp))となり、発熱Pは、
P=R|I|2=RV2(R2+1/(ωCp)2) −1
となる。
11、22 クラッド
12、23 コア
13、14、25、26 位相変調用電極
15、16 加熱用電極
17、29 交流駆動回路
18温度検知素子
19 ペルチェ素子
20 低精度温度制御回路
26 加熱用抵抗体
27、28 電極
30 等価回路
Claims (6)
- 常誘電相と強誘電相との間で相転移を起こす電気光学材料を備え、常誘電相で動作させる光デバイスにおいて、
交流駆動回路と、
前記交流駆動回路に電気的に接続され、前記光デバイスに設けられ、該交流駆動回路から出力される交流電力により、前記電気光学材料の、少なくとも動作領域を含む領域の温度を上昇させる温度上昇手段とを備え、
前記光デバイスは、前記電気光学材料に前記交流電力を印加して前記電気光学材料の相転移温度Tcよりも高温まで前記電気光学材料を加熱するとともに、前記電気光学材料から放熱することによって、前記電気光学材料を前記Tcよりも高い温度で一定温度に保持することができ、
前記電気光学材料の電気光学係数と、誘電率虚部と、誘電率実部とは、前記Tcまでは温度上昇とともに上昇し、前記Tcを超えると温度上昇とともに下降し、前記Tc付近で高い温度依存性を示し、
前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする光デバイス。 - 前記温度上昇手段は、前記少なくとも動作領域を含む領域を前記電気光学材料の前記相転移温度よりも高い温度で保持できるように配置された、加熱用電極対であり、
前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料自体を発熱させて、該電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする請求項1記載の光デバイス。 - 前記温度上昇手段は、前記少なくとも動作領域を含む領域を前記電気光学材料の前記相転移温度よりも高い温度で保持できるように配置された加熱用抵抗体と、該加熱用抵抗体に直列に接続された電極対とを備え、
前記交流電力を前記電極対および前記加熱用抵抗体に印加することにより、前記加熱用抵抗体を発熱させ、該発熱により前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする請求項1記載の光デバイス。 - 前記電気光学材料は、前記相転移温度が環境温度よりも高温になるように組成比が設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光デバイス。
- 前記光デバイスに設けられたペルチェ素子を更に備え、
該ペルチェ素子により前記光デバイスの全体の温度を設定すると共に、前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光デバイス。 - 前記電気光学材料は、KTa1−xNbxO3(0<x<1)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光デバイス。
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