JP2006313221A - 光デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 精密な温度制御を行わなくても、光デバイスを構成する電気光学材料の温度をほぼ一定に保つことが可能であり、かつ低コスト化を実現可能な光デバイスを提供すること。
【解決手段】 常誘電相と強誘電相との間で相転移を起こすKTN材料を備える光スイッチ10は、交流駆動回路17と、交流駆動回路17に電気的に接続され、位相変調用電極13と位相変調用電極14とに挟まれ、コア12を含む、動作領域の近傍に配置された、加熱用電極15および16とを備える。このような構成において、交流電力を加熱用電極15、16に印加することにより、KTN材料の温度を上昇させ、動作領域の温度を、KTNの相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光信号を制御する光デバイスに関するものである。
近年の高度情報化から、大容量の情報を高速に伝送できる通信システムが望まれており、そのような通信システムとして光通信技術を用いたシステムが有望である。近年はこのような光通信技術の発展により、光素子に対する要求も多様になり、また高度になってきている。
光通信システムの大容量、高速化ならびに高機能化に対して期待されている光デバイスとして、光スイッチや光変調器等があり、それら光デバイスに用いられる材料として、電気光学効果を有する材料(「電気光学材料」とも呼ぶ)が注目されている。最近では、電気光学材料として、高い電気光学定数を有するKTa1−xNb(0<x<1)(KTN)という材料が注目されている。
このKTNという材料は、Nb/(Nb+Ta)比により、強誘電・常誘電転移温度を、−273℃から+470℃まで変えることができる。また、この材料は、この転移温度近傍で大きな誘電率を持ち、またこのとき非常に大きな電気光学定数を有することで知られている。非特許文献1では、従来の、KTNを用いた光スイッチが記載されている。
図1は、非特許文献1に記載された、従来の光スイッチの温度制御の様子を示す図である。
図1において、KTN材料を用いて導波路を形成し、それによってマッハツェンダー型の干渉計を構成して作製された光スイッチ1を挟むように、温度検知素子2とペルチェ素子3とが設けられている。また、温度検知素子2およびペルチェ素子3は、高精度温度制御回路4に導線などを介して電気的に接続(本明細書では、単に「電気的に接続される」とも呼ぶ)されている。図1の構成では、素子全体の温度制御にペルチェ素子3を用いてその温度を精密に制御している。すなわち、温度検知素子2によって検知された温度に関する電気信号に基づいて、高精度温度制御回路4は、ペルチェ素子3を制御する。
このように温度制御を行う理由は、光スイッチ1に用いられるKTN材料では、図2に示すように、相転移温度Tc付近で電位光学係数が高い温度依存性を示すために、KTNの温度を精度良く一定に保たないと、特性がずれてきてしまうためである。実際には、1℃以下で温度制御を行う必要があり、特に、相転移温度近くでは0.1℃程度の制度で温度制御を行う必要がある。
このように、従来では、精密な温度制御を実現するために、精度が高くかつ高速の温度制御を要し、コスト増の要因となっていた。
また、KTN材料などの、デバイスを構成する材料において、結晶の不均一性のために場所によって相転移温度が異なる場合がある。そのような場合に、上記材料において、場所によって適切な温度に設定することが困難である。また、実際の製品に依って、上記材料において相転移温度がばらつく場合、高精度温度制御回路に対してそれぞれの素子に応じた温度に設定する必要があり、調整等に余計なコストが必要であった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、精密な温度制御を行わなくても、光デバイスを構成する電気光学材料の温度をほぼ一定に保つことが可能であり、かつ低コスト化を実現可能な光デバイスを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1記載の発明は、常誘電相と強誘電相との間で相転移を起こす電気光学材料を備え、常誘電相で動作させる光デバイスにおいて、交流駆動回路と、前記交流駆動回路に電気的に接続され、前記光デバイスに設けられ、該交流駆動回路から出力される交流電力により、前記電気光学材料の、少なくとも動作領域を含む領域の温度を上昇させる温度上昇手段とを備え、前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記温度上昇手段は、前記少なくとも動作領域を含む領域を前記電気光学材料の前記相転移温度よりも高い温度で保持できるように配置された、加熱用電極対であり、前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料自体を発熱させて、該電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記温度上昇手段は、前記少なくとも動作領域を含む領域を前記電気光学材料の前記相転移温度よりも高い温度で保持できるように配置された加熱用抵抗体と、該加熱用抵抗体に直列に接続された電極対とを備え、前記交流電力を前記電極対および前記加熱用抵抗体に印加することにより、前記加熱用抵抗体を発熱させ、該発熱により前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記電気光学材料は、前記相転移温度が環境温度よりも高温になるように組成比が設定されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記光デバイスに設けられたペルチェ素子を更に備え、該ペルチェ素子により前記光デバイスの全体の温度を設定すると共に、前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記電気光学材料は、KTa1−xNb(0<x<1)であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記電気光学材料は、KLi1−xTaNb1−y3(0<x<1,0<y<1)であることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、精密な温度制御を行わなくても、動作領域の温度を、光デバイスを構成する電気光学材料の相転移温度よりも高い温度に一定に保つことが可能となり、低コスト化を図ることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の一実施形態では、常誘電と強誘電との間で相転移を起こす、電気光学材料からなる光デバイスの少なくとも一部分に、少なくとも一対の加熱用電極を形成し、その加熱用電極に交流電力(交流信号)を印加する。これにより、光デバイスを構成する電気光学材料の有する誘電正接(誘電率虚部)のために、結晶は加熱される。すなわち、加熱用電極に交流電力を印加することによって、電気光学材料自体を発熱させる。よって、光デバイスに形成された、加熱用電極対の各電極間の領域である、上記少なくとも一部分は発熱し、該少なくとも一部分から周囲の領域も上記加熱の(上記加熱の温度が伝わる等の)影響により温度が上昇する。このとき、上記発熱によって上記少なくとも一部分およびその周囲の領域の温度が上昇して、強誘電相から常誘電相への相転移温度(本明細書では、単に「相転移温度」とも呼ぶ)を超えると、温度が上昇するほど誘電率虚部は減少する。よって、温度上昇に従って発熱が抑制され、精密な温度制御を行わなくても、上記少なくとも一部分およびその周囲の領域の温度を、相転移温度以上の温度にほぼ一定に保つことが可能となる。また、精密な温度制御を行うための、高精度温度制御回路等が不要となるので、低コスト化を図ることが可能となる。
これにより、温度が相転移温度より若干高い温度に保たれることになり、場所による不均一性が緩和され、また、製品毎に設定温度を変える必要がなくなる。
上記構成において交流電力を印加することによっては、光デバイスの加熱のみが可能であるため、相転移温度が環境温度よりも低い材料や、設定温度が環境温度よりも低い場合では、ペルチェ素子による冷却が別途必要になる場合もある。しかしながら、この場合にあっても、光デバイスの少なくとも一部分およびその周囲の領域をほぼ一定の温度に保つための制御は、誘電率虚部の減少を利用して行うので、従来に比べて精密な温度制御は不要であり、ペルチェ素子を制御する回路としては、より精度が低く、低コストの温度制御回路で済むようになる。
なお、本明細書において、「環境温度」とは、光デバイスの周囲の環境の温度のことを指す。また、「設定温度」とは、相転移温度より高い温度であって、光デバイスの動作時に、光デバイスの動作領域に対して設定する所望の温度を指す。すなわち、設定温度は、光デバイスを構成する電気光学材料やその相転移温度、また光デバイスの設計等に応じて、すなわち、出力したい素子特性に応じて設定される。
また、本明細書において、「(光デバイスの)動作領域」とは、通過した光に対して、位相等の光の状態を変化させる領域であって、例えば、光スイッチや光変調器では、位相変調部分を指す。
加熱用電極対の各電極間が発熱領域になるので、加熱用電極対の配置は、所望の発熱領域を含むように形成すればよい。なお、本明細書において、「所望の発熱領域」とは、該領域を発熱させることによって、少なくとも動作領域を含む領域についても温度を上昇させることができ、相転移温度よりも高い温度まで温度を上昇させ、かつ該温度に保つことができる領域のことを指す。例えば、加熱用電極対を動作領域の近傍に配置する等して、加熱用電極対の各電極間の領域が動作領域を含まない場合は、その領域を発熱させることにより、相転移温度よりも高い温度まで温度を上昇させ、該温度に保つことができる、発熱領域の周囲の領域に動作領域が含まれるような領域が、所望の発熱領域となる。すなわち、加熱用電極対によって電界が印加される領域を発熱させることによって、その熱が伝わり、該伝わった熱によって、相転移温度よりも高い温度まで温度を上昇させ、該温度に保つことができる領域に動作領域が含まれるようにするのである。
本発明の一実施形態では、交流駆動回路からの交流電力を加熱用電極対に印加して所望の発熱領域に電界を印加することにより所望の発熱領域およびその周囲を発熱させる。すなわち、加熱用電極対によって所望の発熱領域およびその周囲を加熱するのである。その発熱(加熱)領域の熱が動作領域に伝わることで、動作領域の温度が上昇する。
よって、加熱用電極対の各電極対の間に動作領域を含まない場合は、加熱用電極対による光デバイスの加熱によって動作領域の温度が上昇、および一定に保たれるのではなく、その加熱による熱が伝わることによって動作領域の温度が上昇、および一定に保たれるのである。
また、本発明の一実施形態では、加熱用電極対の各電極の間の領域に、少なくとも動作領域の一部が含まれるように加熱用電極を配置しても良い。この場合は、所望の発熱領域は加熱用電極対の間の領域となる。よって、この場合は、加熱用電極対による光デバイスの加熱によって動作領域の温度が上昇、および一定に保たれる。
上述から分かるように、本発明の一実施形態で重要なことは、加熱用電極対に交流電力を印加することによって所望の発熱領域を発熱させ、その発熱によって動作領域の温度を上昇させ、一定の温度に保つことである。
なお、本発明の一実施形態では、加熱用電極の代わりに加熱用抵抗体を設けても良い。すなわち、本発明の一実施形態では、電気光学材料からなる光デバイスの少なくとも一部分に、交流電力により上記少なくとも一部分およびその周囲の領域を発熱させ、該発熱によって動作領域の温度を上昇させ、かつ一定の温度に保たせる手段を設けることが重要であって、そのために、加熱用電極や加熱用抵抗体を用いるのである。
なお、加熱用抵抗体を用いる場合は、抵抗体の発熱によって光デバイスの少なくとも一部分の温度を上昇させることになるので、該領域の発熱ではなく、抵抗体の発熱によって上記所望の発熱領域の温度は上昇することになる。
また、本発明の本質は、光デバイスの少なくとも一部分(例えば、動作領域)の温度を設定温度にほぼ一定に保つことであるので、光デバイスの種類は本質ではない。よって、本発明の一実施形態では、光デバイスは、例えば、光スイッチ、光変調器、光フィルタ、位相シフタ、Qスイッチ、デフレクタ等、動作領域を含む構成であればいずれの構成であっても良い。
また、本発明の一実施形態に係る光デバイスを構成する、常誘電と強誘電との間で相転移を起こす電気光学材料は、KTNを用いることができる。また、KTNに限らず、KTNと同じ挙動を示す材料であればいずれであっても良く、例えば、KLi1−xTaNb1−y3(0<x<1,0<y<1)(KLTN)であっても良い。
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態に係る、光デバイスの断面を示す図である。
図3において、光スイッチ10は、KTN材料からなるクラッド11と、クラッド11に埋め込まれ、クラッド11よりも高い屈折率を有するKTN材料からなるコア12とを備えている。クラッド11上には、コア12の長手方向に対して略平行になるように、位相変調用電極13および14がコア12を挟むように配置されている。図3では、位相変調用電極13および14の間の、コア12を含む領域が、動作領域となる。
動作領域の近傍、すなわち、位相変調用電極14の近傍には、位相変調用電極14に対して略平行になるように、グランド電極としての加熱用電極15が配置されている。また、加熱用電極15の近傍には、該加熱用電極15に対して略平行になるように、高周波印加電極としての加熱用電極16が配置されている。加熱用電極15および16はそれぞれ、高周波駆動する交流駆動回路17に電気的に接続されている。図3では、加熱用電極15および16の間の領域が所望の発熱領域である。すなわち、加熱用電極15および16は、それらの電極間の領域を交流電力によって発熱させることにより、少なくとも動作領域を含む領域を、KTN材料の相転移温度よりも高い温度まで発熱させ、かつ該温度に保つことができるように配置されている。
なお、本実施形態では、動作領域を含む領域を発熱させるために、一対の加熱用電極15および16を用いているが、複数の加熱用電極対を用いても良い。その場合は、例えば、動作領域を囲むように各加熱用電極対を配置したり、列状に各加熱用電極対を並べる等して、少なくとも動作領域を発熱させるように、複数の加熱用電極対を配置する。
このような構成において、交流駆動回路17により、加熱用電極15および16に対して、振幅Vの交流信号を印加して、加熱用電極15および16の間の領域を加熱し、動作領域を加熱する。
振幅=Vを一定とすると、電流は以下のように示される。
=V/R
ここで、Iは電流振幅、RはKTNの抵抗成分(容量の虚部の寄与を含む)である。すると、発熱は以下のように記述できる(容量成分もあるが、発熱に寄与しないので無視する)。
P=V*I=V /R
ここで、直流成分が無視できる通常の場合を考えると、Rは誘電率虚部Cと角周波数ωとを用いて以下のように記述できる。
1/R=ωC
P=V *ωC
つまり、消費電力(発熱)Pは、容量の虚部で決まることになる。
ところが、KTNの誘電率虚部は、図4のような温度依存性を有する。従って、交流によって加熱を行った場合、誘電率虚部が放熱と釣り合うよう小さくなるまで動作領域の温度は上昇し続け、相転移温度よりも高い温度で一定の温度に保持される。
動作領域の温度上昇速度dT/dtは以下のように記述される。
発熱Pと、放熱A=BΔT(B;KTNの熱抵抗、ΔT;動作領域の温度と環境温度との温度差)を用いて、以下のようにかける。
dT/dt=P−A=P−BΔT
=V *ωC−BΔT (式1)
つまり、十分大きな角周波数ωを用いれば、温度は、Cが十分に小さくなるまで上昇し続けることになる。そして、
*ωC=BΔT (式2)
となる温度で、加熱用電極15および16の間の領域(所望の発熱領域)、つまり、動作領域において一定の温度が保持されることになる。
つまり、動作領域の温度が、材料の特性に応じて自律的にある一定の温度に落ち着くことになる。相転移温度からどの程度高い温度で落ち着くかは、V、ω、Bによって決まることになるため、V、ωによって調整することが可能である。すなわち、常誘電相で動作するように、設定温度をKTNの相転移温度よりも高くなるように設定された振幅および角周波数の交流信号を、交流駆動回路17は発生する。
本実施形態では、電気光学効果を用いた光デバイスとして、KTNを用いた光スイッチについて説明したが、上記光デバイスとして、KTNの常誘電相を用いた他のデバイスである、光フィルタ、Qスイッチ、デフレクタ等であっても良い。
なお、動作領域を設定温度にほぼ一定に保つためには、(式1)および(式2)から分かるように、放熱させることが重要である。本実施形態は、加熱機構だけを有するため、設定温度において放熱を起こさせるためには、動作時の素子の設定温度Tsetの範囲は、環境温度Tenvの範囲よりも高い必要がある(常に、Tenv<Tset)。このような温度の関係を満たすように、KTN材料(電気光学材料)の組成比を設定すればよい。
また、光デバイスを常誘電相で用いるためには、相転移温度Tについては、設定温度よりも多少低い程度の温度(T<Tset)である必要がある。通常は、Tsetは、T〜T+20℃程度の範囲に設定する。
このように、本実施形態によれば、精密な温度制御を行わなくても、動作領域の温度を、相転移温度以上の温度にほぼ一定に保つことが可能となる。また、精密な温度制御を行うための、高精度温度制御回路等が不要となるので、低コスト化を図ることが可能となる。
なお、本実施形態では、加熱用電極15、16を、動作領域の近傍に配置しているが、この配置に限定されず、加熱用電極15、16を動作領域を含むように配置しても良い。すなわち、加熱用電極15、16を、位相変調用電極13、14が形成されている、クラッド10の面に対向する面で、加熱用電極15、16の間の領域が動作領域を含むように配置しても良いし、また、位相変調用電極13,14を挟むように配置しても良い。また、加熱用電極15、16の間の領域が動作領域の一部を含むように、加熱用電極15、16を配置しても良い。
(第2の実施形態)
図5は、本実施形態に係る、光デバイスの断面を示す図である。
図5において、光スイッチ10は、加熱用電極16の近傍に配置された温度検知素子18と、位相変調用電極13、14、加熱用電極15、16、および温度検知素子17が形成された、クラッド11の面に対向する面に形成されたペルチェ素子19をさらに備えている。温度検知素子18およびペルチェ素子19はそれぞれ、低精度温度制御回路20に電気的に接続されている。
このような構成において、温度検知素子18から出力された検知温度に関する電気信号に基づいて、低精度温度制御回路20はペルチェ素子19を制御して、光スイッチ10が設定温度よりも低い所定の温度を保つようにする。このようにすることによって、設定温度Tsetが環境温度envよりも低い場合であっても、ペルチェ素子19により、光スイッチ10の温度を設定温度Tsetよりも低い温度まで冷却してから、交流電力による動作領域の発熱(加熱)を行うことによって、動作領域は設定温度Tsetに保たれる。すなわち、交流駆動回路17および加熱用電極15、16により、動作領域の温度の上昇および保持を行い、温度検知素子18、ペルチェ素子19および低精度温度制御回路20により、光スイッチ10の冷却を行う。
このように、本実施形態では、第1の実施形態の光スイッチと同様に、交流駆動回路17を用いて材料自体を発熱させる。それに加えて、補助的に低精度の温度制御回路20を備えている。これにより、第一の実施形態とは異なり、設定温度Tsetは必ずしも環境温度Tenvよりも高い必要がなく、環境温度に関係なく設定温度を自由に設定できる。
本実施形態では、第1の実施形態に加えて、温度制御回路(低精度温度制御回路20)が余計に必要になるが、素子の実際の温度は、交流駆動回路17による発熱で決まるため、この温度制御回路は、従来のように0.1℃の高速・高精度のものは必要でなく、5℃〜10℃程度の範囲で低速でおおまかな温度を設定するものであれば良く、低コスト化が可能となる。
(第3の実施形態)
図6は、本実施形態に係る、光デバイスの断面を示す図である。
図6において、光スイッチ21は、KTN材料からなるクラッド22と、クラッド22に埋め込まれ、クラッド22よりも高い屈折率を有するKTN材料からなるコア23とを備えている。クラッド22上には、コア23の長手方向に対して略平行になるように、位相変調用電極24および25がコア23を挟むように配置されている。図6では、位相変調用電極24および25の間の、コア23を含む領域が、動作領域となる。
動作領域の近傍、すなわち、位相変調用電極25の近傍には、位相変調用電極14に対して略平行になるように、加熱用抵抗体26が配置されている。また、加熱用抵抗体26の近傍には、該加熱用抵抗体26に対して略平行になるように、電極27が配置されており、該電極27の近傍には、電極27に略平行になるように電極28が配置されている。加熱用抵抗体26と電極27とは電気的に接続されている。また、加熱用抵抗体26および電極28はそれぞれ、低周波駆動する交流駆動回路29に電気的に接続されている。このような構成において、加熱用抵抗体26は抵抗として機能し、電極27および28はキャパシタンスとして機能して、加熱用電極26、電極27および28を直列に接続した等価回路30を構成する。
図6では、加熱用抵抗体26が配置されている領域が所望の発熱領域である。すなわち、加熱用抵抗体26は、それらの電極間の領域を交流電力によって発熱することにより、少なくとも動作領域を含む領域の温度を、KTN材料の相転移温度よりも高い温度まで上昇させ、かつ該温度に保つことができるように配置されている。
なお、本実施形態では、動作領域を含む領域を発熱させるために、1個の加熱用抵抗体を用いているが、複数の加熱用抵抗体を用いても良い。
本実施形態では、第1および第2の実施形態のように、誘電率虚部を用いた動作領域の発熱ではなく、抵抗体を用いて動作領域を加熱する。
具体的には、図6のように、加熱用抵抗体26を、電気光学材料に形成した電極27および28に直列に接続して交流で駆動する場合を考える。このとき、電極27と電極28との間には、容量の実部と虚部が寄与する。第1および第2の実施形態では、電気光学材料自体の発熱を考えたので容量の実部は無視したが、本実施形態では、加熱用抵抗体26からの発熱を考えるため、容量の実部と虚部との双方が寄与する。しかし、実際の電気光学材料では装用が寄与する場合、実部のほうが虚部よりもはるかに大きいので、実部のみを考えれば十分である。
従って、このとき(加熱用抵抗体26を、キャパシタンスとしての電極27および28に直列に接続して交流で駆動した場合)流れる電流は、加熱用抵抗体26の抵抗をRとし、KTN材料の誘電率実部をCとすると、
I=V/(R+1/(iωC))となり、発熱Pは、
P=R|I|=RV(R+1/(ωC
となる。
すなわち、容量Cが大きいほど、電流が増加して発熱Pも増える。ここで、図7に電気光学材料の誘電率実部の温度依存性を示す。図7に示される通り、相転移温度以上では、温度の上昇に従って誘電率実部が減少する。従って、誘電率実部に比例する電気容量Cも減少する。そのため、電流が増加したとき、相転移点を越えた後は電気容量の減少に伴って発熱Pは減少する。その結果、第1および第2の実施形態と同様に、相転移温度より高い一定の温度で、材料の特性(相転移温度)に応じて自律的にある一定の温度に落ち着くことになる。
本実施形態では、素子の内部の相転移温度分布に従って加熱はできないが、製品毎の相転移のばらつきには対応した加熱が可能となる。また、加熱用抵抗体の抵抗値の設定を変えることにより、交流駆動電源を比較的自由に設計することができる。
従来技術による光スイッチの図である。 KTNの電気光学係数の温度依存性を示した図である。 本発明の第1の実施形態に係る、光デバイスを示す図である。 KTNの誘電率虚部の温度依存性を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る、光デバイスを示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る、光デバイスを示す図である。 KTNの誘電率実部の温度依存性を示す図である。
符号の説明
10、21 光スイッチ
11、22 クラッド
12、23 コア
13、14、25、26 位相変調用電極
15、16 加熱用電極
17、29 交流駆動回路
18温度検知素子
19 ペルチェ素子
20 低精度温度制御回路
26 加熱用抵抗体
27、28 電極
30 等価回路

Claims (7)

  1. 常誘電相と強誘電相との間で相転移を起こす電気光学材料を備え、常誘電相で動作させる光デバイスにおいて、
    交流駆動回路と、
    前記交流駆動回路に電気的に接続され、前記光デバイスに設けられ、該交流駆動回路から出力される交流電力により、前記電気光学材料の、少なくとも動作領域を含む領域の温度を上昇させる温度上昇手段とを備え、
    前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする光デバイス。
  2. 前記温度上昇手段は、前記少なくとも動作領域を含む領域を前記電気光学材料の前記相転移温度よりも高い温度で保持できるように配置された、加熱用電極対であり、
    前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料自体を発熱させて、該電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
  3. 前記温度上昇手段は、前記少なくとも動作領域を含む領域を前記電気光学材料の前記相転移温度よりも高い温度で保持できるように配置された加熱用抵抗体と、該加熱用抵抗体に直列に接続された電極対とを備え、
    前記交流電力を前記電極対および前記加熱用抵抗体に印加することにより、前記加熱用抵抗体を発熱させ、該発熱により前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
  4. 前記電気光学材料は、前記相転移温度が環境温度よりも高温になるように組成比が設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光デバイス。
  5. 前記光デバイスに設けられたペルチェ素子を更に備え、
    該ペルチェ素子により前記光デバイスの全体の温度を設定すると共に、前記交流電力を前記温度上昇手段に印加することにより、前記電気光学材料の温度を上昇させ、前記動作領域の温度を、前記相転移を起こす相転移温度よりも高い温度にほぼ一定に保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光デバイス。
  6. 前記電気光学材料は、KTa1−xNb(0<x<1)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光デバイス。
  7. 前記電気光学材料は、KLi1−xTaNb1−y3(0<x<1,0<y<1)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光デバイス。
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