JP4579358B2 - 電界効果トランジスタの製造方法 - Google Patents

電界効果トランジスタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電界効果トランジスタ製造方法に関し、より詳しくは、集積回路の基本単位を構成するのに適した電界効果トランジスタを作製する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
LSI(大規模集積回路)の基本単位を構成するMOSFET(電界効果トランジスタ)では、微細化に伴いゲート長が短くなるにつれて、Sファクタ(後述する式(4)で定義される)が劣化する傾向があるため、この対策として、図22に示すようなSOI(シリコン・オン・インシュレータ)型MOSFETが提案されている。このSOI型MOSFETは、シリコン基板801上に埋め込み絶縁体層802を介して低不純物濃度の単結晶シリコンからなる活性層812(厚さt)を備え、この活性層812上に形成されたゲート814(ゲート絶縁膜815およびゲート電極816を含む)と、このゲート814の両側の活性層内に形成されたソース領域803、ドレイン領域804とを有している。ソース領域803は、高濃度ソース領域805と、そこからゲート814の端部直下まで延びるソース側LDD(ライトリ・ドープト・ドレイン)領域807とからなり、同様に、ドレイン領域804は、高濃度ドレイン領域806と、そこからゲート814の端部直下まで延びるドレイン側LDD領域808とからなっている。活性層812の厚さtは薄く、かつ不純物濃度は低く抑えられているので、動作時には、ゲート814の電位による活性層812内への空乏層の延びが埋め込み絶縁体802によって制限され、その結果、ゲート電位のうち、活性層812内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域809の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのスイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、Sファクタを改善できる。同時に、平面型MOSFETと比較した場合、同じオフ電流ではしきい値電圧を小さくできるので、高駆動能力を実現できる。
【0003】
しかし、このSOI型MOSFETは、チャネル領域809を含む活性層812と基板801とが埋め込み絶縁体802で分離されているため、動作時に活性層812中で発生したホットキャリアが基板801へ放出されない。このため、基板浮遊効果によりドレイン耐圧が低下するという問題がある。
【0004】
これに対して、図24(d)に示すような擬(Quasi)SOI型MOSFETが提案されている(Nguyen et.al、IEDM92 Tech. Dig.、pp.341)。この擬SOI型MOSFETでは、活性層1012のうちドレイン側部分(半分)の下方のみに埋め込み絶縁体912が形成され、活性層1012はソース側でエピタキシャルシリコン1013を介してシリコン基板1001と導通している。この擬SOI型MOSFETを作製する場合、典型的には、図24(a)に示すように、まず比抵抗15ΩcmのP型シリコン基板1017上に、熱酸化により厚さ0.6μmの酸化膜1035を形成し、その酸化膜1035に図示のような基板表面1001aに達する2段の溝1036を形成する(なお、上段の開口寸法d2は下段の開口寸法d1の約2倍である。)。次に図24(b)に示すように、枚葉型ランプヒートASMリアクタを用いて、温度900℃、雰囲気圧力15torrで選択エピタキシャル成長法により、2段の溝1036を完全に埋め込むようにエピタキシャルシリコン層1013を形成する。成長レートは60Å/sec程度である。次に図24(c)に示すように、ウエステック(Westech)枚葉ポリッシャである、ナルコ(Nalco)2354を用いてシリコン研磨を行い、エピタキシャルシリコン層1013の表面を平坦に加工する(エピタキシャルシリコン層表面1013aと酸化膜表面1035aとを一致させる。)。エピタキシャルシリコン層1013のうち溝1036の上段を埋めた部分が活性層1012となる。その後、図24(d)に示すように、通常のMOSFETの形成工程を用いて、ゲート絶縁膜1015およびゲート電極1016からなるゲート1014と、高濃度ソース領域1005およびソース側LDD領域1007からなるソース領域1003と、高濃度ドレイン領域1006およびドレイン側LDD領域1008からなるドレイン領域1004とを形成する。
【0005】
この擬SOI型MOSFETでは、活性層1012とシリコン基板1001とが導通しているので、基板浮遊効果によりドレイン耐圧が低下するという現象は生じない。しかし、ソース側とドレイン側とが非対称に構成されているため、電気特性においても非対称性が発現するという問題がある。例えば、この擬SOI型MOSFETのゲート幅を20μm、実効チャネル長を1.2μm、ゲート1014と埋め込み絶縁体1002とのオーバラップ長を0.75μmとする。動作条件としてドレイン電圧を3Vとし、ゲートオーバドライブの値を一定にし、しきい値電圧の差を補正するため、ゲート電圧をしきい値電圧より3V大きく設定したとき、ソースとドレインを入れ換えたときの駆動電流の差が約1mAあった。また、ゲート電圧をしきい値電圧に等しく設定したとき、ソースとドレインとの間の耐圧の差が1.5V以上あった。このため、この擬SOI型MOSFETの用途は、このような非対称性が無視できる回路のみに限定されるという問題がある。
【0006】
別のタイプのMOSFETとして、図23に示すように、チャネル領域1109の中央部下方に埋め込み絶縁体1140を有し、かつ対称的な構造をもつ素子が提案されている(特開平5−206455号公報)。このMOSFETは、シリコン基板1101上に、断面メサ状の絶縁体領域1140と、この絶縁体領域1140の図において左側、右側、上側を取り囲む半導体領域1110,1111,1112と、半導体領域1112上に設けられたゲート1114(ゲート絶縁膜1115およびゲート電極1116を含む)と、半導体領域1110に隣接するソース領域1103と、半導体領域1111に隣接するドレイン領域1104を有している。
【0007】
このMOSFETでは、チャネル領域1109を含む活性領域1112が半導体領域1110,1111を介してシリコン基板1101と導通しているので、基板浮遊効果を防止できる。また、絶縁体領域1140がチャネル領域1109の中央部に接近して形成されており、ドレイン1104からの空乏層の延びを抑制するようになっているので、DIBL(ドレイン・インデュースト・バリア・ロウワリング)とパンチスルーを有効に抑制できる。したがって、ドレイン耐圧を高めることができる。また、ソース、ドレイン間で対称な構造を持つので、このMOSFETは、対称性を必要とする回路にも適用され得る。
【0008】
しかし、絶縁体領域1140がチャネル方向全域ではなく中央部に設けられているのみであるため、動作時に基板(またはウエル)1101、ソース1103、ドレイン1104の少なくとも一つと、ゲート1114との間に電位差が生じるようにしたとき、ゲート1114の電位による活性領域1112内への空乏層の延びを一部(チャネル領域中央部)しか制限できない。このため、Sファクタと駆動能力の望ましい向上が得られないという問題がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、対称性を必要とする回路にも適用でき、高いドレイン耐圧と良好なSファクタと高駆動能力とを同時に実現できる電界効果トランジスタを作製する電界効果トランジスタの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の製造方法によって作製すべき電界効果トランジスタは
半導体基板またはウエル領域内に、互いに離間して設けられたソース領域およびドレイン領域と、上記ソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域を覆うゲートを備え
上記半導体基板またはウエル領域内に、上記ソース領域の下方の位置からチャネル領域の下方を通って上記ドレイン領域の下方の位置まで延在する絶縁体領域を有し
上記ソース領域、ドレイン領域と上記絶縁体領域との間に、それぞれ上記チャネル領域の導電型と同じ導電型を持つ半導体領域を有し
上記チャネル領域と上記半導体基板またはウエル領域とが上記半導体領域を介して連なっているものである。
【0011】
上記電界効果トランジスタは、ソース、ドレイン間で対称な構造を持つので、ソースとドレインとを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲートの電位によるゲートと絶縁体領域との間の領域(以下「活性領域」という。活性領域はチャネル領域を含む。)内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上(オフ電流を抑制しつつ、しきい値電圧を低く抑えられる)して、高駆動能力を実現できる。また、上記ソース領域、ドレイン領域と上記絶縁体領域との間に、それぞれ上記チャネル領域の導電型と同じ導電型を持つ半導体領域を有し、上記チャネル領域と上記半導体基板またはウエル領域とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域と半導体基板またはウエル領域との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域、ドレイン領域にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。
【0012】
なお、熱平衡状態または動作時に、ソース領域またはドレイン領域のいずれか一方から延びる空乏層が上記絶縁体領域に達して上記半導体領域が空乏化されたり、ゲート電位の影響でゲート側から延びる空乏層が上記絶縁体領域に達して上記活性領域が完全に空乏化されたとしても、電荷の移動自体は可能であり、基板浮遊効果が防止される。
【0013】
この発明の電界効果トランジスタの製造方法は、上記電界効果トランジスタを作製する電界効果トランジスタの製造方法であって
下地シリコン基板、絶縁体層および単結晶シリコン層をこの順に有するSOIウエハに対してフォトリソグラフィおよびエッチングを行って、上記SOIウエハに上記単結晶シリコン層から下地シリコン基板まで達する溝を所定の間隔で複数形成して、上記絶縁体層を複数の絶縁体領域に分離する工程と
エピタキシャル成長を行って、上記各溝内をエピタキシャルシリコンで埋め込む工程と
上記SOIウエハの表面側を研磨して、上記単結晶シリコン層の表面と上記溝内のエピタキシャルシリコンの表面とが同一面をなすように平坦化する工程と
上記各絶縁体層上に存在する単結晶シリコン層上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と
ゲート電極をマスクとして上記単結晶シリコン層の表面に不純物をイオン注入するとともにアニールを行って、上記ゲート電極の側方からこのゲート電極の直下でかつ上記絶縁体層の上方の位置まで延在するソース領域、ドレイン領域を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、上記電界効果トランジスタが容易に作製される。しかも、活性領域(チャネル領域を含む)となるのは、エピタキシャルシリコン層ではなく、元のSOIウエハの単結晶シリコン層であるから、欠陥の少ない活性領域が設けられる。なお、活性領域をエピタキシャルシリコンで構成すると、そのエピタキシャルシリコン中の転位や粒界等の欠陥(エピタキシャル成長時に発生する)によって、電流駆動能力の低下が問題となることがある。
【0015】
一実施形態の電界効果トランジスタの製造方法は、上記電界効果トランジスタの製造方法において、上記複数の溝を形成して上記絶縁体層を複数の絶縁体領域に分離する工程で、上記チャネル領域下方を通る絶縁体領域と、この絶縁体領域から離間し、かつ上記ソース領域、ドレイン領域の下部にそれぞれ配置されるべき第二、第三の絶縁体領域とを形成するように、上記溝の間隔を設定することを特徴とする。
【0016】
この一実施形態の電界効果トランジスタの製造方法によれば、いたずらに工程数を増やすことなく、上記一実施形態の電界効果トランジスタが容易に作製される。
【0017】
別の局面では、この発明の電界効果トランジスタの製造方法は
表面に断面凹状の溝を有する半導体基板上に絶縁体を全面に堆積して、上記溝を絶縁体で埋め込む工程と
上記半導体基板の表面側を研磨して、上記半導体基板の表面と上記溝内の絶縁体の表面とが同一面をなすように平坦化する工程と
上記半導体基板に対して上記絶縁体の表面側部分を選択的にエッチングして、上記溝の底部に平坦な表面を持つ絶縁体を残す工程と
エピタキシャル成長を行って、少なくとも上記溝内の絶縁体表面とシリコン側壁とに沿って、略均一な厚さで断面凹状に単結晶シリコン層を成長させる工程と
少なくとも上記単結晶シリコン層がつくる凹部の内面に沿って、略均一な厚さで断面凹状に不純物を含む絶縁体を堆積する工程と
上記絶縁体を異方性エッチングして、上記断面凹状の絶縁体の底部を除去し、残された絶縁体からなる側壁の間の隙間に上記単結晶シリコン層を露出させる工程と
酸化を行って、上記隙間に露出した単結晶シリコン層の表面にゲート酸化膜を形成するとともに、上記絶縁体側壁中の不純物をこの絶縁体側壁と接触している上記単結晶シリコン層の内面部分に拡散させてソース領域、ドレイン領域の少なくとも一部を形成する工程と
上記絶縁体側壁の間の隙間を埋めるようにゲート電極を形成する工程を有することを特徴とする。
【0018】
この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、対称性を必要とする回路にも適用でき、高いドレイン耐圧と良好なSファクタと高駆動能力とを同時に実現できる電界効果トランジスタが作製される。すなわち、この発明により作製された電界効果トランジスタは、ソース、ドレイン間で対称な構造を持つので、ソースとドレインとを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲートの電位による活性領域内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、上記単結晶シリコン層の上記内面部分のソース領域、ドレイン領域と上記絶縁体領域との間に、それぞれ上記単結晶シリコン層のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域と上記半導体基板とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域と半導体基板との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域、ドレイン領域にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。
【0019】
また、この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、断面凹状の溝内に絶縁体を形成するとき、フォトリソグラフィを行うことなく、上記溝に対して自己整合的に形成できる。また、ソース領域、ドレイン領域を拡散形成するとき、および、ゲートを形成するときも、フォトリソグラフィを行うことなく、上記溝に対して自己整合的(単結晶シリコン層や絶縁体側壁を介して間接的にではあるが)に形成できる。したがって、上述の電界効果トランジスタを容易に作製できる。
【0020】
さらに別の局面では、この発明の電界効果トランジスタの製造方法は
表面に断面凹状の溝を有する半導体基板に、酸素イオンを所定の注入エネルギで注入して、上記溝の底面から半導体基板中に所定距離だけ入った深さレベルに上記溝の底面と平行に延在する第一の酸素イオン注入領域を形成するとともに、上記溝外で上記溝の下部よりも上方の深さレベルに第二の酸素イオン注入領域を形成する工程と
アニールを行って上記第一、第二の酸素イオン注入領域中の酸素と半導体基板材料とを反応させて、上記第一、第二の酸素イオン注入領域をそれぞれ第一、第二の絶縁体領域に変化させる工程と
上記半導体基板の表面側を研磨して、上記溝の下部を残しながら上記第二の絶縁体領域を除去する工程と
少なくとも上記残された溝の内面に沿って、略均一な厚さで断面凹状に不純物を含む絶縁体を堆積する工程と
上記絶縁体を異方性エッチングして、上記断面凹状の絶縁体の底部を除去し、残された絶縁体からなる側壁の間の隙間に上記溝の底面を露出させる工程と
酸化を行って、上記隙間に露出した溝の底面にゲート酸化膜を形成するとともに、上記絶縁体側壁中の不純物をこの絶縁体側壁と接触している上記溝の内面部分に拡散させてソース領域、ドレイン領域の少なくとも一部を形成する工程と
上記絶縁体側壁の間の隙間を埋めるようにゲート電極を形成する工程を有することを特徴とする。
【0021】
この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、対称性を必要とする回路にも適用でき、高いドレイン耐圧と良好なSファクタと高駆動能力とを同時に実現できる電界効果トランジスタが作製される。すなわち、この発明により作製された電界効果トランジスタは、ソース、ドレイン間で対称な構造を持つので、ソースとドレインとを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲートの電位による活性領域内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、上記溝の内面部分のソース領域、ドレイン領域と上記絶縁体領域との間に、それぞれ半導体基板材料のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域と上記絶縁体領域の下方の半導体基板とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域と上記絶縁体領域の下方の半導体基板との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域、ドレイン領域にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。しかも、活性領域(チャネル領域を含む)となるのは、エピタキシャルシリコン層ではなく、元の半導体基板材料であるから、欠陥の少ない活性領域が設けられる。したがって、さらに電流駆動能力を改善できる。
【0022】
また、この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、断面凹状の溝の下方に絶縁体領域を形成するとき、および、ソース領域、ドレイン領域を拡散形成するとき、フォトリソグラフィを行うことなく、上記溝に対して自己整合的に形成できる。また、ゲートを形成するときも、フォトリソグラフィを行うことなく、上記溝に対して自己整合的(絶縁体側壁を介して間接的にではあるが)に形成できる。したがって、上述の電界効果トランジスタを容易に作製できる。
【0023】
さらに別の局面では、この発明の電界効果トランジスタの製造方法は
表面に断面凹状の溝を有する半導体基板に、フォトリソグラフィを行って上記溝に対応する開口を有するレジストパターンを形成する工程と
上記レジストパターンをマスクとして上記半導体基板の表面に酸素イオンを所定の注入エネルギで注入して、上記溝の底面から半導体基板中に所定距離だけ入った深さレベルに上記溝の底面と平行に延在する酸素イオン注入領域を形成する工程と
アニールを行って上記酸素イオン注入領域中の酸素と半導体基板材料とを反応させて、上記酸素イオン注入領域を絶縁体領域に変化させる工程と
上記レジストパターンを除去した後、少なくとも上記溝の内面に沿って、略均一な厚さで断面凹状に不純物を含む絶縁体を堆積する工程と
上記絶縁体を異方性エッチングして、上記断面凹状の絶縁体の底部を除去し、残された絶縁体からなる側壁の間の隙間に上記溝の底面を露出させる工程と
酸化を行って、上記隙間に露出した溝の底面にゲート酸化膜を形成するとともに、上記絶縁体側壁中の不純物をこの絶縁体側壁と接触している上記溝の内面部分に拡散させてソース領域、ドレイン領域の少なくとも一部を形成する工程と
上記絶縁体側壁の間の隙間を埋めるようにゲート電極を形成する工程を有することを特徴とする。
【0024】
この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、対称性を必要とする回路にも適用でき、高いドレイン耐圧と良好なSファクタと高駆動能力とを同時に実現できる電界効果トランジスタが作製される。すなわち、この発明により作製された電界効果トランジスタは、ソース、ドレイン間で対称な構造を持つので、ソースとドレインとを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲートの電位による活性領域内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、上記溝の内面部分のソース領域、ドレイン領域と上記絶縁体領域との間に、それぞれ半導体基板材料のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域と上記絶縁体領域の下方の半導体基板とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域と上記絶縁体領域の下方の半導体基板との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域、ドレイン領域にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。したがって、さらに電流駆動能力を改善できる。
【0025】
また、この発明の電界効果トランジスタの製造方法によれば、断面凹状の溝の下方に絶縁体領域を形成するとき、および、ソース領域、ドレイン領域を拡散形成するとき、フォトリソグラフィを行うことなく、上記溝に対して自己整合的に形成できる。また、ゲートを形成するときも、フォトリソグラフィを行うことなく、上記溝に対して自己整合的(絶縁体側壁を介して間接的にではあるが)に形成できる。したがって、上述の電界効果トランジスタを容易に作製できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、一実施形態の製造方法によって作製すべき電界効果トランジスタとしてのNMOSトランジスタを示している。このNMOSトランジスタは、p型シリコン基板101上に、互いに離間して設けられたn型ソース領域103およびn型ドレイン領域104と、上記ソース領域103とドレイン領域104との間のp型チャネル領域109を覆うゲート114を備えている。ソース領域103は、図においてゲート114の左側方に離間して設けられた或る接合深さを持つ高濃度ソース領域105と、この高濃度ソース領域105よりも浅い接合深さを持ち、高濃度ソース領域105のゲート側端部からゲート直下の位置まで延在するソース側LDD領域107とからなっている。ドレイン領域104は、ゲート114の右側方に離間して設けられた或る接合深さを持つ高濃度ドレイン領域106と、この高濃度ドレイン領域106よりも浅い接合深さを持ち、高濃度ドレイン領域106のゲート側端部からゲート直下の位置まで延在するドレイン側LDD領域108とからなっている。
【0028】
上記シリコン基板101上には、ソース側LDD領域107の下方の位置からチャネル領域109の下方を通ってドレイン側LDD領域108の下方の位置まで延在する埋めこみ絶縁体領域102が設けられている。絶縁体領域102の上面のレベルは、高濃度ソース領域105、高濃度ドレイン領域106の接合深さよりも浅いレベルにある。これによって、ゲート114と絶縁体領域102との間の活性領域112(チャネル領域を含む。)の厚さtが規定されている。
【0029】
ソース側LDD領域107,高濃度ソース領域105と絶縁体領域102の左上コーナ部との間にp型の半導体領域110a,110bが存在し、ドレイン側LDD領域108,高濃度ドレイン領域106と絶縁体領域102の右上コーナ部との間にp型の半導体領域111a,111bが存在している。この結果、チャネル領域109とシリコン基板101とがそれらと同じ導電型の半導体領域110a,110bおよび111a,111bを介して連なっている。
【0030】
このトランジスタのディメンジョンは次の通りに設定されている。まず、ゲート114長は2μm程度である。なお、このような「程度」という表現は、設定誤差の範囲を示している(以下同様。)。また、ゲート酸化膜115の厚さは100Å程度、活性層112の厚さtは510Å程度、埋め込み絶縁体領域102の厚さは1μm程度、埋め込み絶縁体領域とソース/ドレイン領域との間の半導体領域110a,110bおよび111a,111bの幅dは500Å程度である。高濃度ソース/ドレイン領域105、106の接合深さは1100Å程度、その不純物濃度は3×1020cm-3程度、LDD領域107、108の接合深さは360Å程度、その不純物濃度6×1019cm-3程度である。チャネル領域109の不純物濃度は3×1017cm-3程度に設定されている。
【0031】
このトランジスタでは、半導体領域110a,110bおよび111a,111bのお陰でチャネル領域109とシリコン基板101とが絶縁されることがなく、少なくとも一方の半導体領域を通して、チャネル領域109からホットキャリアを効率良くシリコン基板101に放出することができる。ディメンジョンにおいては、ドレイン耐圧は8V以上あり、高いドレイン耐圧を得ることができる。なお、同じディメンジョンのSOI型MOSFETでは、活性層112中で発生したホットキャリアが基板に放出されず活性層内に蓄積されるため、ドレイン耐圧は4V程度しかない。よって、このトランジスタでは、ドレイン耐圧を4V程度改善できたことになる。
【0032】
また、このトランジスタは、擬SOI型MOSFETとは異なり、左右対称な構造を持つので、電気的にも対称性が保証される。よって、パストランジスタ回路の様に、ソースとドレインを入れ換えて動作するような対称性を必要とする回路にも、良好に適用できる。
【0033】
さらに、活性層112に存在する空乏層は、チャネル領域109に反転層が形成され始めた時には、最大空乏層幅Wmaxに達しており、そのWmaxは次式(1)のように定義される。
【0034】
【数1】
Figure 0004579358
ここで、εSは半導体の比誘電率(Siの場合11.9)、ε0は真空の誘電率(8.85×10-14F/cm)である。kはボルツマン定数(1.38×10-23J/K)、Tは絶対温度、niは真性キャリヤ密度(T=300K,Siの場合1.45×1010cm-3)、qは素電荷(1.60×10-19C)、Naはチャネル不純物濃度である。
【0035】
絶対温度Tとして300K、チャネル不純物濃度Naとしてこの例におけるチャネル領域109の不純物濃度3×1017cm-3を用いると、(1)式より、最大空乏層幅Wmaxは約620Åになる。活性層112の厚さが510Å程度であるから、このトランジスタは、動作時に、活性層112が完全に空乏化している。したがって、ゲート電位のうち、活性層112内の空乏層を延ばす成分が減少し、その分だけチャネル領域109の反転層を形成する成分が増加する。この結果、完全空乏型のデバイス特性が得られ、Sファクタを向上でき、高駆動能力を達成できる。
【0036】
また、完全空乏化するためには、最大空乏層幅Wmaxが510Å以下にならないように、チャネル不純物濃度Naを設定する必要がある。この例のディメンジョンならば、チャネル不純物濃度Naは4.5×1017cm-3以下でなければならない。また、活性層112の厚さを変えた場合は、チャネル不純物濃度Naは、式(1)における最大空乏層幅Wmaxが活性層112の厚さ以下にならない範囲で設定すれば、活性層を完全空乏化することができ、Sファクタを向上でき、高駆動能力を達成できる。
【0037】
この例に示したディメンジョンにおいては、Sファクタは61mV/dec.を達成している。この例のディメンジョンと同様のディメンジョンの平面MOSFETにおいては、Sファクタは、92mV/dec.である。また、この例のディメンジョンと同様のディメンジョンで、完全空乏型SOI型MOSFETにおいては、Sファクタは61mV/dec.である。つまり、このトランジスタは、平面MOSFETに比べて、Sファクタが31mV/dec.も向上しており、また、完全空乏型SOI型MOSFETと同じSファクタを達成している。これは、完全空乏型SOI型MOSFET同様、ソース、および、基板またはウエル、および、ドレインの内のひとつ以上とゲートとの間に電位差が生じるようにした場合、活性層が完全空乏化して、完全空乏型のデバイス特性を得ることができることを示している。
【0038】
ただし、活性層112全域が空乏化していない場合でも、ソース、および、基板またはウエル、および、ドレインの内のひとつ以上とゲートとの間に電位差が生じるようにした場合、もしくは、電位を全く与えてない場合のどちらかの場合に、活性層112に存在し、かつ、ゲートの電位の影響を受ける空乏層が、埋め込み絶縁体102に到達することにより、活性層112内の空乏層の延びが制限される。それによって、Sファクタ向上や、駆動能力の向上が達成される。
【0039】
さらに、高濃度ソース領域105と高濃度ドレイン領域106の間に埋め込み絶縁体領域102が存在するので、ドレイン領域104からの空乏層の延びを効率よく制限できる。それは、DIBLやパンチスルーの抑制に効果が有る。この結果、さらなる微細化を容易に実行できる。
【0040】
また、ゲート電圧の制御とは無関係にソース側の空乏層とドレイン側の空乏層が近づくことによって、パンチスルー電流が流れることがある。このような、ゲート電圧では、制御できない電流を少なく抑えるためには、チャネルのより深い部分での空乏層の延びを抑制することが効果的である。よって、この例のように埋め込み絶縁体102の下面が高濃度ソース領域105および高濃度ドレイン領域106の下面より下になるように形成することによって、パンチスルーを抑制することができ、さらなる微細化を容易に実行できる。
【0041】
また、活性層112の厚さが、高濃度ソース領域105および高濃度ドレイン領域106の接合深さより大きい場合であっても、チャネルのより深い部分での空乏層の延びを抑制するように埋め込み絶縁体を形成する構造であれば、パンチスルーを抑制することができ、さらなる微細化を容易にすることが可能となる。
【0042】
ソース領域103、および、ドレイン領域104から延びる空乏層は、静電容量を持ち、トランジスタのオン/オフの際に、寄生容量となってトランジスタの高速動作を妨げる。しかし、空乏層が埋め込み絶縁体に接する場合は、トータルの静電容量は空乏層容量と埋め込み絶縁体容量との直列の容量となる。したがって、寄生容量を低減できる。ソース領域103およびドレイン領域104から延びる空乏層の幅WSDは、次式(2)のように定義される。
【0043】
【数2】
Figure 0004579358
ここで、ビルトインポテンシャルVbは、
【0044】
【数3】
Figure 0004579358
で定義される。また、εSは半導体の比誘電率(Siの場合11.9)、ε0は真空の誘電率(8.85×10-14F/cm)である。kはボルツマン定数(1.38×10-23J/K)、Tは絶対温度、qは素電荷(1.60×10-19C)である。また、niは真性キャリヤ密度、Naはp型の半導体領域110、111の濃度、Ndはソース/ドレイン領域103、104の濃度、Vはソース電極およびドレイン電極に印可される電圧である。
【0045】
式(2)、(3)にこの例のディメンジョンを代入すると、基板電位に対してソース電極およびドレイン電極に電圧を印可していないときの空乏層幅WSDは、高濃度ソース/ドレイン領域105、106の接合部分で680Å程度であり、LDD領域107、108の接合部分で660Å程度である。
【0046】
また、この例のディメンジョンによると、ソースおよびドレイン領域103、104と埋め込み絶縁体102との間隔は次の通りである。すなわち、高濃度ソース領域105、高濃度ドレイン領域106と埋め込み絶縁体102との間の横方向の間隔、言いかえれば半導体領域110b、111bの横寸法は、最短部で270Å程度であり、ほとんど600Å以下である。また、ソース側LDD領域107、ドレイン側LDD領域108と埋め込み絶縁体102との間の縦方向の間隔、言いかえれば半導体領域110a、111aの縦寸法は150Å程度である。
【0047】
よって、ソースおよびドレイン領域103、104と埋め込み絶縁体102との間に延びる空乏層は、大部分が埋め込み絶縁体102に接しているため、接している部分においては、大幅な寄生容量の低減ができ、トランジスタの高速動作が可能になる。
【0048】
また、寄生容量の低減を図るためには、ソース領域103およびドレイン領域104から延びる空乏層が埋め込み絶縁体102に接している必要があり、そのためには、p型の半導体領域110a、110b、111a、111bの濃度は、2×1018cm-3以下でなければならない。
【0049】
また、埋め込み絶縁体102の位置と、p型の半導体領域110a、110b、111a、111bの濃度と、ソース/ドレイン領域103、104の濃度は、式(2)、(3)のWSDとNa、Ndの関係式より、ソース領域103およびドレイン領域104と埋め込み絶縁体102の間隔が空乏層幅WSD以上にならない範囲内で自由に設定できる。その範囲内であれば、寄生容量が低減され、トランジスタの高速動作が可能になる。
【0050】
この例においてはゲート長を2μmに設定しているが、ゲート長を0.4μmまで短チャネル化しても、Sファクタは65.9mV/dec.であり、短チャネル化による、Sファクタの劣化は抑えられている。また、ゲート長が0.4μmの場合のしきい値電圧とゲート長が2μmの場合のしきい値電圧との差ΔVthは0.03Vに抑えられている。このように、ゲート長が2μmから0.4μmの間では、短チャネル効果によるトランジスタ特性の劣化は低く抑えられている。したがって、短チャネル化を容易に実行できる。さらに、ゲート長をデザインルールに則って短くすることによって、半導体素子の高集積化が達成できる。
【0051】
また、この例においては、ゲート酸化膜115の厚さ、活性層112の厚さを、それぞれ100Å、510Åに設定しているが、Sファクタを向上させるために以下のように変更することも可能である。
【0052】
Sファクタは、次式(4)で定義される。
【0053】
【数4】
Figure 0004579358
ここで、kはボルツマン定数(1.38×10-23J/K)、Tは絶対温度、qは素電荷(1.60×10-19C)である。また、Cdはゲート電位により制御される活性層の空乏層容量であり、Coxはゲート酸化膜容量である。式(4)から、Sファクタを下げるためには、Coxを大きくすることと、Cdを小さくすることが有効であることが分かる。
【0054】
実際には、ゲート酸化膜115の厚さは、トンネル電流が流れない程度である、約30〜50Å程度まで薄くすることが可能である。ゲート酸化膜115の厚さを上述の100Åから実際上の下限である30〜50Å程度に変更すると、Coxが大きくなり、式(4)に基づいてSファクタが向上し、トランジスタの高速動作が可能となる。
【0055】
また、活性層112の厚さを上述の510Åからより薄く変更すると、Cdは小さくなり、式(4)に基づいてSファクタが向上し、トランジスタの高速動作が可能となる。
【0056】
なお、チャネル領域の導電型を半導体基板101の導電型と異なるタイプにしたい場合は、図2に示すように、半導体基板上に直接トランジスタを形成するのではなく、基板101の導電型とは異なる導電型の不純物領域(通常「ウエル領域」と呼ばれる。)129を形成し、そのウエル領域129上にトランジスタを形成する。それにより、半導体基板101の導電型がN型、P型のいずれであっても、所望のチャネルタイプのトランジスタを作製することができる。
【0057】
また、図3に示すように、チャネル領域109下方を通る埋め込み絶縁体102とともに、高濃度ソース領域105および高濃度ドレイン領域106の下部に第二、第三の埋め込み絶縁体102′、102′を形成していても構わない。それにより、高濃度ソース領域105および高濃度ドレイン領域106の接合容量が大幅に減少して、トランジスタの動作速度および消費電力の向上が可能となる。なお、埋め込み絶縁体102と第二、第三の埋め込み絶縁体102′、102′とは、同時に形成しても良いし、別の工程で時期を変えて形成しても良い。
【0058】
また、図4に示すように、図2に示した構造と図3に示した構造とを組み合わせても良い。それにより、半導体基板101の導電型がN型、P型のいずれであっても、所望のチャネルタイプのトランジスタを作製できるとともに、高濃度ソース領域105および高濃度ドレイン領域106の接合容量が大幅に減少して、トランジスタの動作速度および消費電力の向上が可能となる。
【0059】
また、図5に示すように、同一の半導体基板101上に、図3、図4に示した構造を集積化しても良い。これにより、高濃度ソース領域105および高濃度ドレイン領域106の接合容量が大幅に減少し、トランジスタの動作速度および消費電力の向上した集積回路の作製が可能となる。この場合は、各トランジスタにおける埋め込み絶縁体102を、同時に形成することが望ましい。そうすることにより、同時に形成しないときに比べて工程の簡略化ができる。
【0060】
このように、本発明の電界効果トランジスタは、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形することが可能である。
【0061】
図6〜図10を参照して、上記電界効果トランジスタの製造方法を工程ごとにを順を追って説明する。なお、図4に例示したトランジスタと実質的に同じ物を作製するものとする。
【0062】
まず、図6(a)に示すように、下地のN型シリコン基板717上に、絶縁体層としての埋め込み酸化膜719と、単結晶シリコン層730とを有するSOIウエハを用意する。単結晶シリコン層730の厚さは780Å程度、埋め込み酸化膜719の厚さは1μm程度とする。このSOIウエハに対してドライ酸化を行って、単結晶シリコン層730の表面に厚さ200Å程度の注入保護酸化膜727を形成する。次に、図6(b)に示すように、ウエル注入を行って、P型のウエル注入領域729を形成する。このウエル注入では、ホウ素イオンを注入エネルギ150keV程度、注入量1×1015cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。次に、注入保護膜727を除去した後、拡散炉を使用して温度1200℃、時間800分のN2アニール処理を行って、ウエル注入領域729内のホウ素イオンを活性化する。これによって、P型のウエル領域729(簡単のため、活性化前と同じ符号で表す。)を形成することができた。
【0063】
もちろん、下地がP型シリコン基板であるようなSOIウエハを用いた場合は、ウエル領域729を形成する必要はない。
【0064】
次に、図6(c)に示すように、フォトリソグラフィを行って、埋め込み酸化膜719を複数の絶縁体領域に分離するためのレジストパターン725を設ける。そして、レジスト725をマスクとして異方性のシリコンエッチングを行い、レジストパターンに応じた溝733を形成して、単結晶シリコン層730を複数の領域に分離する。
【0065】
なお、後の工程において、単結晶シリコン層730からなる活性層712中にチャネル領域を形成するようになる。トランジスタ特性を決定する上で重要なチャネル領域を元のSOIウエハの単結晶シリコン層内に形成するので、チャネル領域をエピタキシャルシリコン層で形成する擬SOI型MOSFETの場合に問題となる、成長時の粒界等の欠陥による電流駆動能力の低下を回避することができる。
【0066】
次に、図7(d)に示すように、さらにレジスト725をマスクとして異方性の酸化膜エッチングを行い、シリコン基板717(ウエル領域729)に達するまで溝733を深く形成して、埋め込み酸化膜719を複数の領域に分離する。
【0067】
なお、後の工程で、この溝733に、チャネル領域と同導電型の半導体領域を形成することにより、チャネル領域とシリコン基板またはウエル領域との間でその半導体領域を介して電荷の移動が可能となる。また、後の工程で、この溝733にエピタキシャルシリコンを成長させる。そのため、この溝733が、エピタキシャルシリコンで埋め込まれるように充分アスペクト比を小さくするため、溝733の幅を或る程度確保する必要がある。この例では、溝733の幅を2μm程度とする。しかし、横方向成長の抑えられた選択エピタキシャル成長法を用いた場合は、溝733の幅を2μm以下とすることが可能である。
【0068】
次に、図7(e)に示すように、選択エピタキシャル成長法により、この上にホウ素を含有した単結晶シリコン層(エピタキシャルシリコン層)713を厚さ1.5μm程度成長させる。これにより、各溝733内をエピタキシャルシリコンで埋め込む。ここでは、エピタキシャルシリコン層713の不純物濃度は、ウエル領域729の不純物濃度と同じく、4×1015cm-3程度とする。この際、埋め込み酸化膜719の両側面ではエピタキシャル成長は生じない。よって、基板シリコン717から成長するエピタキシャルシリコンと埋め込み酸化膜719との間に、ファセットが生じる場合が有る。また、同様に、単結晶シリコン層730から成長するエピタキシャルシリコンと埋め込み酸化膜719との間にも、ファセットが生じる場合がある。それによって、選択エピタキシャル成長後、埋め込み酸化膜719の両側面とエピタキシャルシリコン層713との間に隙間が生じるようになる。しかし、その隙間は、埋め込み酸化膜719と同様に絶縁体として働くため、埋め込み酸化膜の働きを妨げるものではない。また、ソース/ドレイン領域や、チャネル領域に隙間が到達するほど大きい形状の隙間ができる恐れはない。したがって、目的とする電界効果トランジスタを作製するにあたって、障害にはならない。
【0069】
次に、図7(f)に示すように、CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)を行って、エピタキシャルシリコン層713の表面を平坦に加工する。この際、エピタキシャルシリコン層713を最上部の表面から1.5μm程度研磨して、単結晶シリコン層730の表面が露出した時点で、研磨を終了する。これにより、単結晶シリコン層730の表面とエピタキシャルシリコン層713とが同一面をなし、連続した単結晶シリコン層730とエピタキシャルシリコン層713との中に、酸化膜719が埋め込まれた状態にする。この埋め込み酸化膜719よりも上方の単結晶シリコン層730が、チャネル領域を含む活性層712となる。
【0070】
次に、図8(g)に示すように、活性層712の表面に、窒化膜形成の際の下地として必要になる酸化膜735を厚さ100〜300Å程度形成し、続いて、LPCVD法により、LOCOS形成の際の耐酸化膜として用いる窒化膜736を厚さ1500Å程度、均一に堆積する。この窒化膜736の厚さは、LOCOSを形成する際に問題となるバーズビークを抑える観点からは厚くする必要があるが、LOCOS酸化の際にシリコン基板に発生する結晶欠陥を少なくする観点からは薄くする必要がある。結局、双方のトレードオフを考慮して、この窒化膜736の厚さは500〜3000Å程度の範囲で、最適な厚さを選択すると良い。次に、フォトリソグラフィを行って、LOCOSを形成すべき領域がレジストの開口部となるようにレジスト(図示せず)を設け、そのレジストをマスクとして、異方性の窒化膜エッチングを行って、LOCOSを形成すべき領域が開口部となるように窒化膜736をパターン加工する。次に、上記レジストを除去した後、図8(h)に示すように、ウエット酸化を行って、厚さ1500〜6000Å程度のLOCOS酸化膜737を形成する。その後、耐酸化用窒化膜736および酸化膜735を完全に除去する。次に、ドライ酸化を行って、厚さ100Å程度の注入保護酸化膜727を形成する。
【0071】
次に、チャネル注入(チャネル領域のしきい値電圧設定のためのイオン注入)を行って、P型のチャネル注入領域739(図8(h)中にのみ示す)を形成する。このチャネル注入では、ホウ素イオンを注入エネルギ15keV程度、注入量1×1012cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。
【0072】
次に、注入保護膜727を除去した後、図8(i)に示すように、厚さ100Å程度のゲート酸化膜738を形成する。なお、既に述べたように、ゲート酸化膜115の厚さを上述の100Åから実際上の下限である30〜50Å程度に変更すると、Coxが大きくなり、式(4)に基づいてSファクタが向上し、トランジスタの高速動作が可能となる。
【0073】
次に、図9(j)に示すように、ゲート酸化膜738上に、LPCVD法により、不純物を含むポリシリコンを厚さ1000〜6000Å程度、均一に堆積させる。フォトリソグラフィを行って、ゲート電極を形成すべき領域にパターニングレジスト(図示せず)を形成する。この例においては、パターニングレジスト幅は、2μm程度とする。次に図9(k)に示すように、上記レジストをマスクとして、開口部のみ異方性ポリシリコンエッチングを行ったのち、そのレジストを除去する。これによって、ゲート酸化膜738上に、ゲート電極716が形成された。次に図9(l)に示すように、ゲート電極716をマスクとしてイオン注入を行って、活性層712のうちゲート電極の両側に相当する部分に、N型のLDD領域707、708を形成する。このイオン注入では、ヒ素イオンを注入エネルギ5keV程度、注入量2×1014cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。
【0074】
次に、LPCVD法により、酸化膜を全面に厚さ1400Å程度、均一に堆積させ、図10(m)に示すように、異方性のエッチングを行って、ゲート電極716の両側に上記酸化膜の一部からなる側壁酸化膜734を形成する。次に、図10(n)に示すように、ゲート電極716および側壁酸化膜734をマスクとしてイオン注入を行って、活性層712のうちゲート電極716の側方に相当する領域に、N型の高濃度ソース/ドレイン領域707、708を形成する。コのイオン注入では、ヒ素イオンを注入エネルギ40keV程度、注入量5×1015cm-2程度注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。次に、温度800℃、時間10分程度の活性化アニールを行って、高濃度ソース/ドレイン領域707、708を活性化する。
【0075】
ここで、高濃度ソース領域707および高濃度ドレイン領域708の注入エネルギは40keV程度、注入量は5×1015cm-2程度としたが、知られているように、ソース領域およびドレイン領域の不純物濃度は、薄いほど接合容量を小さくできる。また、接合深さが浅いほど、パンチスルーを抑えることができる。よって、それらを考慮した、注入エネルギおよび注入量の変更は可能である。
【0076】
このようにトランジスタを作製した場合、活性層712のうち高濃度ソース領域707と高濃度ドレイン領域708の間にある部分がチャネル領域709となる。すなわち、トランジスタ特性を決定する上で重要なチャネル領域709は、結晶性がよいSOIウエハの単結晶シリコン層730で形成される。この結果、チャネル領域をエピタキシャルシリコン層で形成する擬SOI型MOSFETの場合に問題となる、成長時の粒界等の欠陥による、電流駆動能力の低下を回避することができる。
【0077】
なお、この後、周知の層間膜形成工程および配線形成工程を行って、電界効果トランジスタを完成させる。
【0078】
(第2実施形態)
図11〜図14を参照して、別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を説明する。
【0079】
まず、図11(a)に示すように、フォトリソグラフィを行って、P型シリコン基板217の表面217aに、溝形成用の開口部を有するレジスト(図示せず)を設け、そのレジストをマスクとして異方性シリコンエッチングを行って、シリコン基板217に断面凹状の溝223を形成する。なお、エッチング後に上記レジストを除去する。ここで、断面凹状の溝223の幅は、目標とするゲート長よりも0.34μm程度大きく設定しておく。本実施形態においては、目標ゲート長を0.40μm程度とするので、溝223の幅を0.74μm程度とする。また、溝223の深さは、1.15μm程度とする。
【0080】
この断面凹状の溝223のお陰で、後の工程の、埋め込み酸化膜形成工程、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて自己整合的に行うことができる。それによって、厳密な位置合わせを必要とするフォトリソグラフィ工程を省略することができ、工程を簡略化できる。ただし、後で述べるようにLDD領域形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程においては、ソース側とドレイン側の拡散領域が接続されないようにするために、フォトリソグラフィを行う必要がある。
【0081】
次に、図11(b)に示すように、被覆性のよいLPCVD法により、シリコン基板217上に、埋め込み絶縁体の材料となる酸化膜219を全面に均一に堆積する。最終的には膜厚1.5μm程度堆積するまで成長時間をかけて、溝223を酸化膜219で完全に埋め込む。埋め込み絶縁体の材料として、ここでは、酸化膜を例に挙げて説明するが、窒化膜や酸窒化膜等のような空乏層の延びを制限できる物質であれば良い。次に、図11(c)に示すように、CMPを行って、酸化膜219の表面を平坦に加工する。この場合、酸化膜219を最上部の表面から1.5μm程度研摩して、シリコン基板表面217aが露出した時点で、研摩を終了する。続いて、図11(d)に示すように、シリコン基板に対して酸化膜を選択的に異方性エッチングして、酸化膜219の表面部分を1500Å程度分だけ除去する。これにより、溝223の底部223bに、平坦な表面を持つ酸化膜219が厚さ1μm程度残された状態にする。
【0082】
このようにして埋め込み酸化膜219を、溝223に対して自己整合的に完全に左右対称な構造に形成することができる。さらに、厳密な位置合わせを必要とするフォトソグラフィ工程を必要としないため、工程を簡略化できる。また、溝223の形状は、残されているため、後の工程のLDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて自己整合的に形成することができる。また、それによって、当該各工程において、フォトリソグラフィ工程を省略できるため、工程を簡略化できる。ただし、後で述べるようにLDD領域形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程においては、ソース側とドレイン側の拡散領域が接続されないようにするために、フォトリソグラフィを行う必要がある。
【0083】
次に、図12(e)〜(f)に示すように、シリコン基板217の表面217a、溝内のシリコン側壁223aおよび埋め込み酸化膜219の表面219aに沿って、厚さ700Å程度の均一な厚さで単結晶シリコン層213を設ける。
【0084】
詳しくは、まず、図12(e)に示すように、エピタキシャル成長法により、シリコン基板217の表面217aと溝内のシリコン側壁223aとに単結晶シリコン層241を成長させるとともに、溝内の埋め込み酸化膜220表面に非晶質シリコン層242を成長させる。各層の厚さはそれぞれ10〜100Å程度とする。次に、レーザや電子ビームをレンズによりビーム径を1〜100μm程度に集束して、図示の単結晶シリコン層241の外側から非晶質シリコン層242内へ、つまりトランジスタ形成領域外からトランジスタ形成領域内へスキャンする。これにより、単結晶シリコン層241から横方向に結晶化を進めて、非晶質シリコン層242を単結晶シリコン化させる。
【0085】
なお、電子ビームを使用する場合は、レンズとして、電位を与えた複数のコンデンサ状の導体板の組み合わせを用いても良い。さらに、レーザや電子ビームをアパーチャにより任意のビーム形状にして、非晶質シリコン層242にパルス照射することにより、単結晶シリコン化させても良い。さらに、効果的に非晶質シリコン層を単結晶化するために、レンズかアパーチャの少なくともひとつ以上の組み合わせを使用しても良い。その際、非晶質シリコン層に対するスキャン照射かパルス照射を必要に応じて選択してもよい。
【0086】
次に、図12(f)に示すように、エピタキシャル成長法により、形成された単結晶シリコン層より、単結晶エピタキシャルシリコンを厚さ400〜490Å程度成長させる。
【0087】
このようにして、シリコン基板217の表面217a、溝内のシリコン側壁223aおよび埋め込み酸化膜219の表面219aに沿って、厚さ700Å程度の均一な厚さで単結晶シリコン層213が形成される。単結晶シリコン層213のうち溝223内の部分は、溝223の形状を反映して断面凹状に形成される。この結果、活性層となる単結晶シリコン層213によって、溝223の下部に酸化膜219が埋め込まれる。
【0088】
次に、図12(g)に示すように、通常の素子分離LOCOS形成工程により、溝223の両側に相当するシリコン基板217の表面217aにLOCOS(局所酸化膜)237を形成する。
【0089】
次に、図13(h)に示すように、LPCVD法により、単結晶シリコン層213の凹部213a,213bおよび平坦面213c上に、不純物を含む酸化膜218を厚さ1000Å程度、均一に堆積させる。不純物含有酸化膜218のうち単結晶シリコン層213の凹部213a,213b内に堆積した部分は、その凹部の形状を反映して断面凹状に形成される。ここでは、不純物含有酸化膜218として、リンが1×1020cm-3程度ドープされたPSGを用いる。次に、図13(i)に示すように、異方性エッチングを行って、不純物含有酸化膜218のうち単結晶シリコン層213の凹部底面213bおよび平坦面213c上の部分を除去する。これにより、単結晶シリコン層213の凹部側面213a,213aに、残された不純物含有酸化膜からなる側壁218,218(簡単のため、元の酸化膜と同じ符号で表す)を形成する。この側壁218,218の間の隙間は、元の溝より幅の狭くなった新たな溝224を構成する。側壁218の厚さは堆積させた膜厚とほぼ等しくなることから、この新しい溝224の幅は、CVD膜厚により精度良く制御される。後の工程で、この新しい溝224を埋めるようにゲート電極を形成する際、新しい溝224の下端の幅がゲート長となる。なお、一般にゲート電極を形成する場合、フォトリソグラフィ工程の最小加工線幅の物理的限界によって、最小ゲート長が規定される。しかし、本実施形態によれば、新しい溝224の幅と深さのアスペクト比を最適化することによって、フォトリソグラフィ工程の最小加工線幅の物理的限界以下のゲート長の形成が可能となる。
【0090】
さて、このでは、側壁218,218中の不純物をこの側壁と接触している単結晶シリコン層213の内面部分に拡散して、LDD領域を形成することを予定している。その場合、ソース側とドレイン側のLDD領域の接続を、パターン上で回避する必要がある。図20(a)にこの段階での平面パターンを示す(図11〜図14は図20(a)におけるA−A線断面に相当する。Lはゲート長である。)。図20(a)から分かるように、ソース側とドレイン側のLDD領域の接続を回避する必要があるのは、側壁218が、チャネルを挟んで矩形の枠状につながっているからである。そこで、図20(b)に示すように、フォトリソグラフィを行って、チャネルの幅方向両端部226を除いて素子領域(LOCOSパターン237aで囲まれている)の主要部を覆うように矩形のレジスト225を設ける。そして、図20(c)に示すように、レジスト225をマスクとして異方性エッチングを行って、不純物含有酸化膜218の両端部を除去する。そうすることにより、側壁218からの固層拡散によりLDD領域を形成した際、ソース側とドレイン側のLDD領域が接続されるのを防止できる。
【0091】
また、トランジスタ動作時に、チャネル領域に反転層を形成した際、チャネル幅方向両端部226で、そこに延在するゲート電極によってゲート酸化膜を介して反転層が形成されることにより、2段階のしきい電圧が起こる可能性が有る。それを避けるため、チャネル幅方向両端部226に、チャネル領域の濃度より高濃度のイオン注入を45度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行って注入する。ここでは、ホウ素イオンを注入エネルギ15keV程度、注入量1×1014〜5×1015cm-2程度で注入し、45度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。その後、レジスト225を除去する。
【0092】
次に、図13(j)に示すように、ウエット酸化を温度800℃、時間21分程度行って、溝224の底部に露出した単結晶シリコン層213の凹部底面213b、平坦面213cに、チャネル注入保護膜の働きをする酸化膜227を厚さ100Å程度形成する。その際、側壁酸化膜218に含まれる不純物がこの側壁酸化膜218と接触している単結晶シリコン層213の内面部分に拡散して、LDD領域207、208が形成される。ただし、この後にもLDD領域を拡散させる工程があるため、この工程でLDD領域の接合深さが決定されるものではない。
【0093】
次に、図14(k)に示すように、チャネル注入を行って、単結晶シリコン層213のうち側壁218の間に相当する部分に、P型のチャネル領域209を形成する。このチャネル注入では、ホウ素イオンを注入エネルギ15keV程度、注入量1×1012cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。その後、注入保護膜227を除去する。
【0094】
次に、ウエット酸化を温度800℃、時間21分程度行って、チャネル領域209上に厚さ100Å程度のゲート酸化膜215を形成する。その際、側壁酸化膜218に含まれる不純物が拡散することにより、LDD領域207、208の接合深さが深くなる。ただし、この後にもLDD領域を拡散させる工程があるため、この工程でLDD領域の接合深さが決定されるものではない。
【0095】
次に、LPCVD法により、この上に不純物を含むポリシリコンを均一性良く成長させて、側壁絶縁体218の間の溝224をポリシリコン228で埋め込むとともに、ほぼ平坦な表面が得られるようにポリシリコン228を厚さ2000〜6000Å程度堆積する。次に、図14(l)に示すように、酸化膜に対して選択比の高い異方性エッチングを行って、ポリシリコン228を全面エッチングして、溝224内にそのポリシリコンの一部をゲート電極216として残す。その際、ゲート酸化膜形成時に形成されたエピタキシャルシリコン層平坦面213c上の酸化膜215′(図14(k)参照)が露出し、さらに、ポリシリコン228とソース/ドレイン領域が不純物含有酸化膜218により隔てられることにより、完全に絶縁されるようになるまでオーバエッチをかける。ただし、ソース/ドレイン領域上の酸化膜215′が一部でも除去され、ソース/ドレイン領域のシリコン表面をエッチングすると、表面の荒れが生じて、コンタクト抵抗が上昇することがある。このため、オーバエッチの際は、より酸化膜と選択比の高い異方性エッチングに切り替えるなどの工夫が必要である。
【0096】
このようにして、ゲート電極216を溝224に対して自己整合的に形成することができる。それによって、厳密な位置合わせを必要とする、フォトリソグラフィ工程を省略することができ、工程を簡略化できる。
【0097】
次に、図21(d)に示すこの段階の平面パターンに対して、図21(e)に示すように、フォトリソグラフィを行って、高濃度ソース/ドレイン領域形成のための注入保護用レジスト231を形成する。このレジスト231のパターンは、既述のLDD領域形成工程で不純物含有酸化膜218をエッチングした時に使用したパターン225(図20(b)参照)よりも内側に開口部(幅W)を有するものとする。その後、図14(m)に示すように、イオン注入を行って、N型高濃度ソース/ドレイン領域205、206を形成する。このイオン注入では、ヒ素イオンを注入エネルギー40keV程度、注入量5×1015cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。次に、高濃度ソース/ドレイン領域205、206を活性化するために、活性化アニールを温度800℃、時間10分程度行う。その際、側壁酸化膜218に含まれる不純物が拡散することにより、LDD領域207、208の接合深さが深くなる。この後は、拡散工程がないため、この工程でLDD領域の接合深さが決定される。本実施形態では、LDD領域207、208の最終的な接合深さは、側壁酸化膜218との接触面から300Å程度になる。このようにして、シリコン基板217の表面に最初に形成した溝223(図11(a)参照)の形状に基づいて、単結晶シリコン層213と側壁酸化膜218とを介して自己整合的に、完全に左右対称にLDD領域207、208を形成することができる。
【0098】
なお、この後、周知の層間膜形成工程および配線形成工程を行って、電界効果トランジスタを完成させる。
【0099】
以上のように、埋め込み酸化膜形成工程、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて溝223に対して自己整合的に行うことができ、ソース/ドレイン方向に完全に左右対称な電界効果トランジスタを作製することができる。
【0100】
作製された電界効果トランジスタは、ソース203、ドレイン204間で対称な構造を持つので、ソース203とドレイン204とを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲート216の電位による活性領域209、213内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域219によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域209、213内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域209の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、ソース側LDD領域207、ドレイン側LDD領域208と絶縁体領域219との間に、それぞれ単結晶シリコン層213のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域209とシリコン基板217とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域209、213とシリコン基板217との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域203、ドレイン領域204にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。
【0101】
また、作製された電界効果トランジスタは、ゲート214が溝内に埋め込まれた、いわゆるグルーブ構造となり、ソース/ドレイン領域がゲート電極216の左右に側壁絶縁体218を介して存在している。一般に、このようなグルーブ構造の電界効果トランジスタでは、ゲート電極とソース/ドレイン領域間の寄生容量が問題となっている。しかし、この例では、側壁絶縁体218の幅が0.1μmあるため、ゲート電極とソース/ドレイン領域との間の寄生容量を十分に低減することができる。それにより、トランジスタの高速動作が可能となる。
【0102】
(第3実施形態)
上記第2実施形態の製造方法では、ゲート長が短い場合、ゲート電極とメタル(配線)とをコンタクトホールを介して接続する際に、コンタクトホールとゲート電極との目合わせ(位置合わせ)余裕が非常に小さくなる。このため、メタルコンタクト形成時にゲート電極とコンタクトホールとの目合わせがずれることによって、メタルとゲート電極との接続面積の低下が起こり、その結果、コンタクト抵抗が高くなるおそれがある。その問題を回避するため、ゲート電極を、トランジスタの形成されていないシリコン表面まで引き出し、大型の引き出し電極を作ることが有用である。本実施形態では、図15を参照して、そのような製造方法を説明する。なお、図15では、図14中の構成要素と対応する要素を100だけ増加した符号で表している。
【0103】
まず、第2実施形態と同様に、図14(k)に示したポリシリコンのCVD成長工程まで行う。次に、図15(a)に示すように、フォトリソグラフィを行って、ポリシンコン328の表面で溝224に対応する領域に、ゲート電極形成のためのパターニングレジスト325を設ける。その際、後の工程でゲート電極がソース/ドレイン領域と短絡しないように位置合わせを注意しながら、ゲート電極を溝324内からトランジスタの形成されていないシリコン表面まで引き出すためのパターンと、大型引き出し電極パターンとを同時にパターニングする。次に、図15(b)に示すように、レジスト325をマスクとして異方性ポリシリコンエッチングを行って、断面略T字形のゲート電極316を形成する。この後、レジスト325を除去する。こうして、大型引き出し電極パターンにより、コンタクトホールと、ゲート電極の目合わせ余裕を大きくとることができるので、コンタクト抵抗の高い半導体装置になるおそれを回避できる。この後、第2実施形態と同様に、ゲート電極316の側方にN型高濃度ソース/ドレイン領域305、306を形成する。さらに、周知の層間膜形成工程および配線形成工程を行って、電界効果トランジスタを完成させる。
【0104】
この第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、埋め込み酸化膜形成工程、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて溝324に対して自己整合的に行うことができ、ソース/ドレイン方向に完全に左右対称な電界効果トランジスタを作製することができる。
【0105】
作製された電界効果トランジスタは、第2実施形態と同様に、ソース303、ドレイン304間で対称な構造を持つので、ソース303とドレイン304とを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲート316の電位による活性領域309、313内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域319によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域309、313内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域309の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、単結晶シリコン層313の内面部分のソース側LDD領域307、ドレイン側LDD領域308と絶縁体領域319との間に、それぞれ単結晶シリコン層313のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域309とシリコン基板317とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域309、313とシリコン基板317との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域303、ドレイン領域304にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。
【0106】
(第4実施形態)
図16〜図17参照して、別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を工程ごとにを順を追って説明する。
【0107】
まず、図16(a)に示すように、フォトリソグラフィを行って、P型シリコン基板417の表面417aに、溝形成用の開口部を有するレジスト(図示せず)を設け、そのレジストをマスクとして異方性シリコンエッチングを行って、シリコン基板417に断面凹状の溝423を形成する。なお、エッチング後に上記レジストを除去する。ここで、断面凹状の溝423の幅は、目標とするゲート長よりも0.20μm程度大きく設定しておく。本実施形態においては、目標ゲート長を0.40μm程度とするので、溝223の幅を0.60μm程度とする。また、溝223の深さは、1.23μm程度とする。
【0108】
次に、このシリコン基板417上に、酸素イオンを注入エネルギ180keV程度、注入量3〜4.5×1017cm-2程度注入する。これにより、溝423の底面からシリコン基板中に所定距離だけ入った深さレベルにその溝底面と平行に延在する第一の酸素イオン注入領域419を形成するとともに、溝423外で溝下部よりも上方の深さレベルに第二の酸素イオン注入領域422を形成する。ここで、酸素イオンの注入量を、これまでのSIMOX(セパレーション・バイ・インプランティド・オキシゲン)ウエハにおいて実用化されていた、1.2×1018cm-2以上の注入量より低い注入量に設定しているので、転移などの欠陥が多数発生するという問題を回避することができる。次に、温度1300℃程度の高温アニールを行って、結晶性を回復させるとともに上記第一、第二の酸素イオン注入領域419、422中の酸素とシリコン基板材料とを反応させて、上記第一、第二の酸素イオン注入領域をそれぞれ第一、第二の絶縁体領域(簡単のため、注入領域と同じ符号で表す)419、422に変化させる。この第一の絶縁体領域(埋め込み酸化膜)419上のシリコン基板材料が活性層412となる。この後、活性層412の厚さを更に薄くするために、温度800〜1000℃程度、時間20〜70分程度のウエット酸化を行い、続いて、表面酸化膜を全面除去する。これにより、活性層412の厚さtを700Å程度、埋め込み絶縁体419の厚さを1μm程度とする。なお、上記ウエット酸化の代わりに、結晶性回復のための高温アニールと同時にドライまたはウエットのいずれかの方法で酸素原子を炉内に導入して、シリコン表面を酸化しても良い。
【0109】
次に、図16(b)に示すように、シリコン基板417の表面側を研摩して、溝423の下部を残しながら、溝523外の領域に存在するシリコン基板材料421および第二の絶縁体領域422を除去する。
【0110】
このようにして、シリコン基板417の溝423に対して自己整合的に、溝423の下方に溝底面と平行に延在する埋め込み絶縁体419を完全に左右対称に形成することができる。また、この溝423のお陰で、後の工程の、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて自己整合的に形成することができる。また、それによって、当該各工程において、フォトリソグラフィ工程を省略できるため、工程を簡略化できる。ただし、後で述べるようにLDD領域形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程においては、ソース側とドレイン側の拡散領域が接続されないようにするために、フォトリソグラフィを行う必要がある。
【0111】
次に、通常の素子分離LOCOS形成工程により、溝423の両側に相当するシリコン基板417の表面にLOCOS437を形成する。
【0112】
次に、LPCVD法により、溝423の底面、側面および溝423外の平坦面417a上に、不純物を含む酸化膜(ここでは、リンが1×1020cm-3程度ドープされたPSGを用いる。)を厚さ1000Å程度、均一に堆積させる。その不純物含有酸化膜のうち溝423内に堆積した部分は、その凹部の形状を反映して断面凹状に形成される。次に、図16(c)に示すように、異方性エッチングを行って、その不純物含有酸化膜のうち溝423の底面423bおよび溝外の平坦面417a上の部分を除去する。これにより、溝423の側面413a,413aに、残された不純物含有酸化膜からなる側壁418,418を形成する。この側壁418,418の間の隙間は、元の溝より幅の狭くなった新たな溝424を構成する。側壁418の厚さは堆積させた膜厚とほぼ等しくなるので、この新しい溝424の幅は、CVD膜厚により精度良く制御される。後の工程で、この新しい溝424を埋めるようにゲート電極を形成する際、新しい溝424の下端の幅がゲート長となる。なお、一般にゲート電極を形成する場合、フォトリソグラフィ工程の最小加工線幅の物理的限界によって、最小ゲート長が規定される。しかし、本実施形態によれば、新しい溝424の幅と深さのアスペクト比を最適化することによって、フォトリソグラフィ工程の最小加工線幅の物理的限界以下のゲート長の形成が可能となる。
【0113】
次に、第2実施形態で述べたのと同様に、ソース側とドレイン側のLDD領域の接続を回避すべく、平面パターン(図20参照)において矩形の枠状につながっている側壁418のうち、チャネル幅方向両端部に相当する部分を除去する。また、チャネル領域反転層を形成した際、チャネル幅方向両端部226で、そこに延在するゲート電極によってゲート酸化膜を介して反転層が形成されるのを回避するため、チャネル幅方向両端部に、チャネル領域の濃度より高濃度のイオン注入を行う。
【0114】
次に、図17(d)に示すように、ウエット酸化を温度800℃、時間21分程度行って、溝424の底部に露出した底面413b、平坦面417aに、チャネル注入保護膜の働きをする酸化膜427を厚さ100Å程度形成する。その際、側壁酸化膜418に含まれる不純物がこの側壁酸化膜418と接触している溝の内面部分423b,423aに拡散して、LDD領域407、408が形成される。ただし、この後にもLDD領域を拡散させる工程があるため、この工程でLDD領域の接合深さが決定されるものではない。
【0115】
次に、チャネル注入を行って、活性層412のうち側壁418の間に相当する部分に、P型のチャネル領域409を形成する。このチャネル注入では、ホウ素イオンを注入エネルギ15keV程度、注入量1×1012cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。その後、注入保護膜427を除去する。
【0116】
次に、図17(e)に示すように、ウエット酸化を温度800℃、時間21分程度行って、チャネル領域409上に厚さ100Å程度のゲート酸化膜415を形成する。その際、側壁酸化膜418に含まれる不純物が拡散することにより、LDD領域407、408の接合深さが深くなる。ただし、この後にもLDD領域を拡散させる工程があるため、この工程でLDD領域の接合深さが決定されるものではない。
【0117】
次に、LPCVD法により、この上に不純物を含むポリシリコン(図示せず)を均一性良く成長させて、側壁絶縁体418の間の溝424をポリシリコンで埋め込むとともに、ほぼ平坦な表面が得られるようにポリシリコンを厚さ2000〜6000Å程度堆積する。次に、酸化膜に対して選択比の高い異方性エッチングを行って、そのポリシリコンを全面エッチングして、溝424内にそのポリシリコンの一部をゲート電極416として残す。その際、ポリシリコンとソース/ドレイン領域が不純物含有酸化膜418により隔てられることにより、完全に絶縁されるようになるまでオーバエッチをかける。ただし、ソース/ドレイン領域のシリコン表面をエッチングすると、表面の荒れが生じて、コンタクト抵抗が上昇することがある。このため、オーバエッチの際は、より酸化膜と選択比の高い異方性エッチングに切り替えるなどの工夫が必要である。
【0118】
このようにして、ゲート電極416を溝424に対して自己整合的に形成することができる。それによって、厳密な位置合わせを必要とする、フォトリソグラフィ工程を省略することができ、工程を簡略化できる。
【0119】
次に、第2実施形態と同様に、フォトリソグラフィを行って、高濃度ソース/ドレイン領域形成のための注入保護用レジストを形成する(図21(e)参照)。その後、イオン注入を行って、N型高濃度ソース/ドレイン領域405、406を形成する。このイオン注入では、ヒ素イオンを注入エネルギー40keV程度、注入量5×1015cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。次に、高濃度ソース/ドレイン領域405、406を活性化するために、活性化アニールを温度800℃、時間10分程度行う。その際、側壁酸化膜418に含まれる不純物が拡散することにより、LDD領域407、408の接合深さが深くなる。この後は、拡散工程がないため、この工程でLDD領域の接合深さが決定される。本実施形態では、LDD領域407、408の最終的な接合深さは、側壁酸化膜418との接触面から300Å程度になる。このようにして、シリコン基板417の表面に最初に形成した溝423(図16(a)参照)の形状に基づいて、側壁酸化膜418を介して自己整合的に、完全に左右対称にLDD領域407、408を形成することができる。
【0120】
なお、この後、周知の層間膜形成工程および配線形成工程を行って、電界効果トランジスタを完成させる。
【0121】
以上のように、埋め込み酸化膜形成工程、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて溝423に対して自己整合的に行うことができ、ソース/ドレイン方向に完全に左右対称な電界効果トランジスタを作製することができる。
【0122】
作製された電界効果トランジスタは、ソース403、ドレイン404間で対称な構造を持つので、ソース403とドレイン404とを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲート416の電位による活性領域409、412内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域419によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域409、412内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域409の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、ソース側LDD領域407、ドレイン側LDD領域408と絶縁体領域419との間に、それぞれ活性層412のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域409とシリコン基板417とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域409、412とシリコン基板417との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域403、ドレイン領域404にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。
【0123】
また、作製された電界効果トランジスタは、ゲート414が溝内に埋め込まれた、いわゆるグルーブ構造となり、ソース/ドレイン領域がゲート電極416の左右に側壁絶縁体418を介して存在している。一般に、このようなグルーブ構造の電界効果トランジスタでは、ゲート電極とソース/ドレイン領域間の寄生容量が問題となっている。しかし、この例では、側壁絶縁体418の幅が0.1μmあるため、ゲート電極とソース/ドレイン領域との間の寄生容量を十分に低減することができる。それにより、トランジスタの高速動作が可能となる。
【0124】
しかも、エピタキシャルシリコン層ではなく、元のシリコン基板材料で活性領域409、412を構成しているので、欠陥の少ない活性領域409、412が設けられる。したがって、さらに電流駆動能力を改善できる。
【0125】
(第5実施形態)
図18〜図19参照して、別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を工程ごとにを順を追って説明する。
【0126】
まず、図18(a)に示すように、フォトリソグラフィを行って、P型シリコン基板517の表面517aに、溝形成用の開口部を有するレジスト525を設け、そのレジスト525をマスクとして異方性シリコンエッチングを行って、シリコン基板517に断面凹状の溝523を形成する。なお、エッチング後に、次の酸素イオン注入工程のために上記レジスト525を残しておく。ここで、断面凹状の溝523の幅は、目標とするゲート長よりも0.20μm程度大きく設定しておく。本実施形態においては、目標ゲート長を0.40μm程度とするので、溝223の幅を0.60μm程度とする。また、溝223の深さは、0.15μm程度とする。
【0127】
次に、図18(b)に示すように、上記レジスト525をマスクとして、このシリコン基板517上に、酸素イオンを注入エネルギ180keV程度、注入量3〜4.5×1017cm-2程度注入する。これにより、溝523の底面からシリコン基板中に所定距離だけ入った深さレベルにその溝底面と平行に延在する酸素イオン注入領域519を形成する。ここで、酸素イオンの注入量を、これまでのSIMOX(セパレーション・バイ・インプランティド・オキシゲン)ウエハにおいて実用化されていた、1.2×1018cm-2以上の注入量より低い注入量に設定しているので、転移などの欠陥が多数発生するという問題を回避することができる。次に、図18(c)に示すように、レジスト525を除去した後、温度1300℃程度の高温アニールを行って、結晶性を回復させるとともに上記酸素イオン注入領域519中の酸素とシリコン基板材料とを反応させて、上記酸素イオン注入領域をそれぞれ絶縁体領域(簡単のため、注入領域と同じ符号で表す)519に変化させる。この絶縁体領域(埋め込み酸化膜)519上のシリコン基板材料が活性層512となる。この後、活性層512の厚さを更に薄くするために、温度800〜1000℃程度、時間20〜70分程度のウエット酸化を行い、続いて、表面酸化膜を全面除去する。これにより、活性層512の厚さtを780Å程度、埋め込み絶縁体519の厚さを1μm程度とする。なお、上記ウエット酸化の代わりに、結晶性回復のための高温アニールと同時にドライまたはウエットのいずれかの方法で酸素原子を炉内に導入して、シリコン表面を酸化しても良い。
【0128】
なお、第4実施形態では、酸素イオン注入工程でレジストを用いず、注入後に研磨を行って、溝外の領域に存在するシリコン基板材料および第二の絶縁体領域を除去したため、シリコン基板表面の荒れがおこり、後の工程において、ソース/ドレインとメタルコンタクトの接触不良が発生するおそれがある。また、研磨によるダストが、溝の底面に付着し、ゲート酸化膜形成の際に、異常酸化が起こる原因になる恐れがある。しかし、本実施形態では、研磨を用いずに埋め込み絶縁体を形成するため、良好なソース/ドレインとメタルのコンタクトを形成でき、また、良好なゲート酸化膜を形成できる。
【0129】
このようにして、シリコン基板517の溝523に対して自己整合的に、溝523の下方に溝底面と平行に延在する埋め込み絶縁体519を完全に左右対称に形成することができる。また、この溝523のお陰で、後の工程の、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて自己整合的に形成することができる。また、それによって、当該各工程において、フォトリソグラフィ工程を省略できるため、工程を簡略化できる。ただし、後で述べるようにLDD領域形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程においては、ソース側とドレイン側の拡散領域が接続されないようにするために、フォトリソグラフィを行う必要がある。
【0130】
次に、通常の素子分離LOCOS形成工程により、溝523の両側に相当するシリコン基板517の表面にLOCOS537を形成する。
【0131】
次に、LPCVD法により、溝523の底面、側面および溝523外の平坦面517a上に、不純物を含む酸化膜(ここでは、リンが1×1020cm-3程度ドープされたPSGを用いる。)を厚さ1000Å程度、均一に堆積させる。その不純物含有酸化膜のうち溝523内に堆積した部分は、その凹部の形状を反映して断面凹状に形成される。次に、図19(d)に示すように、異方性エッチングを行って、その不純物含有酸化膜のうち溝523の底面523bおよび溝外の平坦面517a上の部分を除去する。これにより、溝523の側面513a,513aに、残された不純物含有酸化膜からなる側壁518,518を形成する。この側壁518,518の間の隙間は、元の溝より幅の狭くなった新たな溝524を構成する。側壁518の厚さは堆積させた膜厚とほぼ等しくなるので、この新しい溝524の幅は、CVD膜厚により精度良く制御される。後の工程で、この新しい溝524を埋めるようにゲート電極を形成する際、新しい溝524の下端の幅がゲート長となる。なお、一般にゲート電極を形成する場合、フォトリソグラフィ工程の最小加工線幅の物理的限界によって、最小ゲート長が規定される。しかし、本実施形態によれば、新しい溝524の幅と深さのアスペクト比を最適化することによって、フォトリソグラフィ工程の最小加工線幅の物理的限界以下のゲート長の形成が可能となる。
【0132】
次に、第2実施形態で述べたのと同様に、ソース側とドレイン側のLDD領域の接続を回避すべく、平面パターン(図20参照)において矩形の枠状につながっている側壁518のうち、チャネル幅方向両端部に相当する部分を除去する。また、チャネル領域反転層を形成した際、チャネル幅方向両端部226で、そこに延在するゲート電極によってゲート酸化膜を介して反転層が形成されるのを回避するため、チャネル幅方向両端部に、チャネル領域の濃度より高濃度のイオン注入を行う。
【0133】
次に、図19(e)に示すように、ウエット酸化を温度800℃、時間21分程度行って、溝524の底部に露出した底面513b、平坦面517aに、チャネル注入保護膜の働きをする酸化膜527を厚さ100Å程度形成する。その際、側壁酸化膜518に含まれる不純物がこの側壁酸化膜518と接触している溝の内面部分523b,523aに拡散して、LDD領域507、508が形成される。ただし、この後にもLDD領域を拡散させる工程があるため、この工程でLDD領域の接合深さが決定されるものではない。
【0134】
次に、チャネル注入を行って、活性層512のうち側壁518の間に相当する部分に、P型のチャネル領域509を形成する。このチャネル注入では、ホウ素イオンを注入エネルギ15keV程度、注入量1×1012cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。その後、注入保護膜527を除去する。
【0135】
次に、図19(f)に示すように、ウエット酸化を温度800℃、時間21分程度行って、チャネル領域509上に厚さ100Å程度のゲート酸化膜515を形成する。その際、側壁酸化膜518に含まれる不純物が拡散することにより、LDD領域507、508の接合深さが深くなる。ただし、この後にもLDD領域を拡散させる工程があるため、この工程でLDD領域の接合深さが決定されるものではない。なお、既に述べたように、本実施形態では、研磨を用いずに埋め込み絶縁体を形成しているため、良好なゲート酸化膜を形成できる。
【0136】
次に、LPCVD法により、この上に不純物を含むポリシリコン(図示せず)を均一性良く成長させて、側壁絶縁体518の間の溝524をポリシリコンで埋め込むとともに、ほぼ平坦な表面が得られるようにポリシリコンを厚さ2000〜6000Å程度堆積する。次に、酸化膜に対して選択比の高い異方性エッチングを行って、そのポリシリコンを全面エッチングして、溝524内にそのポリシリコンの一部をゲート電極516として残す。その際、ポリシリコンとソース/ドレイン領域が不純物含有酸化膜518により隔てられることにより、完全に絶縁されるようになるまでオーバエッチをかける。ただし、ソース/ドレイン領域のシリコン表面をエッチングすると、表面の荒れが生じて、コンタクト抵抗が上昇することがある。このため、オーバエッチの際は、より酸化膜と選択比の高い異方性エッチングに切り替えるなどの工夫が必要である。
【0137】
このようにして、ゲート電極516を溝524に対して自己整合的に形成することができる。それによって、厳密な位置合わせを必要とする、フォトリソグラフィ工程を省略することができ、工程を簡略化できる。
【0138】
次に、第2実施形態と同様に、フォトリソグラフィを行って、高濃度ソース/ドレイン領域形成のための注入保護用レジストを形成する(図21(e)参照)。その後、イオン注入を行って、N型高濃度ソース/ドレイン領域505、506を形成する。このイオン注入では、ヒ素イオンを注入エネルギー40keV程度、注入量5×1015cm-2程度で注入し、チャネリング防止のため7度程度の注入角で回転注入かステップ注入を行う。次に、高濃度ソース/ドレイン領域505、506を活性化するために、活性化アニールを温度800℃、時間10分程度行う。その際、側壁酸化膜518に含まれる不純物が拡散することにより、LDD領域507、508の接合深さが深くなる。この後は、拡散工程がないため、この工程でLDD領域の接合深さが決定される。本実施形態では、LDD領域507、508の最終的な接合深さは、側壁酸化膜518との接触面から300Å程度になる。このようにして、シリコン基板517の表面に最初に形成した溝523(図18(a)参照)の形状に基づいて、側壁酸化膜518を介して自己整合的に、完全に左右対称にLDD領域507、508を形成することができる。
【0139】
なお、この後、周知の層間膜形成工程および配線形成工程を行って、電界効果トランジスタを完成させる。
【0140】
以上のように、埋め込み酸化膜形成工程、LDD領域形成工程、チャネル領域形成工程、ゲート電極形成工程、および、ソース/ドレイン領域形成工程をすべて溝523に対して自己整合的に行うことができ、ソース/ドレイン方向に完全に左右対称な電界効果トランジスタを作製することができる。
【0141】
作製された電界効果トランジスタは、ソース503、ドレイン504間で対称な構造を持つので、ソース503とドレイン504とを入れ換えて動作させるような対称性を必要とする回路にも適用され得る。また、動作時に、ゲート516の電位による活性領域509、512内への空乏層の延びが、チャネル方向全域にわたって絶縁体領域519によって制限されるので、ゲート電位のうち、活性領域509、512内へ空乏層を延ばす成分が減少して、その分だけチャネル領域509の反転層を形成する成分が増加する。したがって、トランジスタのSファクタを改善でき、スイッチング特性を決めるサブスレッショルド特性が向上して、高駆動能力を実現できる。また、ソース側LDD領域507、ドレイン側LDD領域508と絶縁体領域519との間に、それぞれ活性層512のうち不純物が拡散されていない部分(半導体領域)が残り、チャネル領域509とシリコン基板517とが上記半導体領域を介して連なっているので、活性領域509、512とシリコン基板517との間で電荷の移動が可能となる。したがって、基板浮遊効果が生じることがなく、高いドレイン耐圧を実現できる。その結果、ソース領域503、ドレイン領域504にその分だけ高電圧を印加でき、高速動作が可能となる。
【0142】
また、作製された電界効果トランジスタは、ゲート514が溝内に埋め込まれた、いわゆるグルーブ構造となり、ソース/ドレイン領域がゲート電極516の左右に側壁絶縁体518を介して存在している。一般に、このようなグルーブ構造の電界効果トランジスタでは、ゲート電極とソース/ドレイン領域間の寄生容量が問題となっている。しかし、この例では、側壁絶縁体518の幅が0.1μmあるため、ゲート電極とソース/ドレイン領域との間の寄生容量を十分に低減することができる。それにより、トランジスタの高速動作が可能となる。
【0143】
しかも、エピタキシャルシリコン層ではなく、元のシリコン基板材料で活性領域509、512を構成しているので、欠陥の少ない活性領域509、512が設けられる。したがって、さらに電流駆動能力を改善できる。
【0144】
なお、以上の実施の形態では、主としてNMOSトランジスタの場合について説明したが、当然ながらこれに限られるものではない。この発明は、PMOSトランジスタやCMOSトランジスタについても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の製造方法によって作製すべき電界効果トランジスタの断面構造を示す図である。
【図2】 図1の電界効果トランジスタの変形例を示す図である。
【図3】 図1の電界効果トランジスタの変形例を示す図である。
【図4】 図1の電界効果トランジスタの変形例を示す図である。
【図5】 図3と図4の電界効果トランジスタを同一基板上に設けた例を示す図である。
【図6】 この発明の一実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図7】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図8】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図9】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図10】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図11】 この発明の別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図12】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図13】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図14】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図15】 この発明の別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図16】 この発明の別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図17】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図18】 この発明の別の実施形態の電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図19】 上記電界効果トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図20】 この発明の実施形態の製造方法におけるチャネル幅方向両端部のパターン処理を説明する図である。
【図21】 この発明の実施形態の製造方法におけるソース/ドレイン注入前のパターン処理を説明する図である。
【図22】 従来のSOI型MOSFETの断面構造を示す図である。
【図23】 チャネル領域中央部下方に絶縁体領域を有する従来のMOSFETの断面構造を示す図である。
【図24】 従来の擬SOI型MOSFETの製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
101、217、317、417、517、717 シリコン基板
102、219、319、419、519、719 埋め込み酸化膜
103、203、303、403、503、703 ソース領域
104、204、304、404、504、704 ドレイン領域
105、205、305、405、505、705 高濃度ソース領域
106、206、306、406、506、706 高濃度ドレイン領域
107、207、307、407、507、707 ソース側LDD領域
108、208、308、408、508、708 ドレイン側LDD領域
109、209、309、409、509、709 チャネル領域
112、412、512、712 活性層
213、313 エピタキシャルシリコン層
114、214、414、514 ゲート
115、215、315、415、515、738 ゲート絶縁膜
116、216、316、416、516、716 ゲート電極

Claims (5)

  1. 電界効果トランジスタを作製する電界効果トランジスタの製造方法であって、
    上記電界効果トランジスタは、
    半導体基板またはウエル領域内に、互いに離間して設けられたソース領域およびドレイン領域と、上記ソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域を覆うゲートを備え、
    上記半導体基板またはウエル領域内に、上記ソース領域の下方の位置からチャネル領域の下方を通って上記ドレイン領域の下方の位置まで延在する絶縁体領域を有し、
    上記ソース領域、ドレイン領域と上記絶縁体領域との間に、それぞれ上記チャネル領域の導電型と同じ導電型を持つ半導体領域を有し、
    上記チャネル領域と上記半導体基板またはウエル領域とが上記半導体領域を介して連なっているものであり、
    下地シリコン基板、絶縁体層および単結晶シリコン層をこの順に有するSOIウエハに対してフォトリソグラフィおよびエッチングを行って、上記SOIウエハに上記単結晶シリコン層から下地シリコン基板まで達する溝を所定の間隔で複数形成して、上記絶縁体層を複数の絶縁体領域に分離する工程と、
    エピタキシャル成長を行って、上記各溝内をエピタキシャルシリコンで埋め込む工程と、
    上記SOIウエハの表面側を研磨して、上記単結晶シリコン層の表面と上記溝内のエピタキシャルシリコンの表面とが同一面をなすように平坦化する工程と、
    上記各絶縁体層上に存在する単結晶シリコン層上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
    ゲート電極をマスクとして上記単結晶シリコン層の表面に不純物をイオン注入するとともにアニールを行って、上記ゲート電極の側方からこのゲート電極の直下でかつ上記絶縁体層の上方の位置まで延在するソース領域、ドレイン領域を形成する工程とを有することを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
  2. 請求項に記載の電界効果トランジスタの製造方法において、
    上記複数の溝を形成して上記絶縁体層を複数の絶縁体領域に分離する工程で、上記チャネル領域下方を通る絶縁体領域と、この絶縁体領域から離間し、かつ上記ソース領域、ドレイン領域の下部にそれぞれ配置されるべき第二、第三の絶縁体領域とを形成するように、上記溝の間隔を設定することを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
  3. 表面に断面凹状の溝を有する半導体基板上に絶縁体を全面に堆積して、上記溝を絶縁体で埋め込む工程と、
    上記半導体基板の表面側を研磨して、上記半導体基板の表面と上記溝内の絶縁体の表面とが同一面をなすように平坦化する工程と、
    上記半導体基板に対して上記絶縁体の表面側部分を選択的にエッチングして、上記溝の底部に平坦な表面を持つ絶縁体を残す工程と、
    エピタキシャル成長を行って、少なくとも上記溝内の絶縁体表面とシリコン側壁とに沿って、略均一な厚さで断面凹状に単結晶シリコン層を成長させる工程と、
    少なくとも上記単結晶シリコン層がつくる凹部の内面に沿って、略均一な厚さで断面凹状に不純物を含む絶縁体を堆積する工程と、
    上記絶縁体を異方性エッチングして、上記断面凹状の絶縁体の底部を除去し、残された絶縁体からなる側壁の間の隙間に上記単結晶シリコン層を露出させる工程と、
    酸化を行って、上記隙間に露出した単結晶シリコン層の表面にゲート酸化膜を形成するとともに、上記絶縁体側壁中の不純物をこの絶縁体側壁と接触している上記単結晶シリコン層の内面部分に拡散させてソース領域、ドレイン領域の少なくとも一部を形成する工程と、
    上記絶縁体側壁の間の隙間を埋めるようにゲート電極を形成する工程を有することを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
  4. 表面に断面凹状の溝を有する半導体基板に、酸素イオンを所定の注入エネルギで注入して、上記溝の底面から半導体基板中に所定距離だけ入った深さレベルに上記溝の底面と平行に延在する第一の酸素イオン注入領域を形成するとともに、上記溝外で上記溝の下部よりも上方の深さレベルに第二の酸素イオン注入領域を形成する工程と、
    アニールを行って上記第一、第二の酸素イオン注入領域中の酸素と半導体基板材料とを反応させて、上記第一、第二の酸素イオン注入領域をそれぞれ第一、第二の絶縁体領域に変化させる工程と、
    上記半導体基板の表面側を研磨して、上記溝の下部を残しながら上記第二の絶縁体領域を除去する工程と、
    少なくとも上記残された溝の内面に沿って、略均一な厚さで断面凹状に不純物を含む絶縁体を堆積する工程と、
    上記絶縁体を異方性エッチングして、上記断面凹状の絶縁体の底部を除去し、残された絶縁体からなる側壁の間の隙間に上記溝の底面を露出させる工程と、
    酸化を行って、上記隙間に露出した溝の底面にゲート酸化膜を形成するとともに、上記絶縁体側壁中の不純物をこの絶縁体側壁と接触している上記溝の内面部分に拡散させてソース領域、ドレイン領域の少なくとも一部を形成する工程と、
    上記絶縁体側壁の間の隙間を埋めるようにゲート電極を形成する工程を有することを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
  5. 表面に断面凹状の溝を有する半導体基板に、フォトリソグラフィを行って上記溝に対応する開口を有するレジストパターンを形成する工程と、
    上記レジストパターンをマスクとして上記半導体基板の表面に酸素イオンを所定の注入エネルギで注入して、上記溝の底面から半導体基板中に所定距離だけ入った深さレベルに上記溝の底面と平行に延在する酸素イオン注入領域を形成する工程と、
    アニールを行って上記酸素イオン注入領域中の酸素と半導体基板材料とを反応させて、上記酸素イオン注入領域を絶縁体領域に変化させる工程と、
    上記レジストパターンを除去した後、少なくとも上記溝の内面に沿って、略均一な厚さで断面凹状に不純物を含む絶縁体を堆積する工程と、
    上記絶縁体を異方性エッチングして、上記断面凹状の絶縁体の底部を除去し、残された絶縁体からなる側壁の間の隙間に上記溝の底面を露出させる工程と、
    酸化を行って、上記隙間に露出した溝の底面にゲート酸化膜を形成するとともに、上記絶縁体側壁中の不純物をこの絶縁体側壁と接触している上記溝の内面部分に拡散させてソース領域、ドレイン領域の少なくとも一部を形成する工程と、
    上記絶縁体側壁の間の隙間を埋めるようにゲート電極を形成する工程を有することを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
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