JP4576292B2 - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

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本発明は、エアバッグ用ガス発生器に関する。
衝突の衝撃の大小や、乗員の体格などによりエアバッグの展開速度や膨らみ程度を調整し、ガス発生器の小型軽量化を達成する観点からは、デュアルタイプで、固形ガス発生剤を使用するパイロタイプのガス発生器が好ましい。この種のガス発生器では、固形ガス発生剤を隔離された燃焼室に配置し、各々のガス発生剤の着火・燃焼タイミングを調整する方法が採用されている。
また、ガス発生器が搭載される車両や組み合わせるエアバッグ容量(運転席用又は助手席用エアバッグモジュールなど)によって、出力や各々の燃焼室から発生するガス量(モル数)を変化させることで出力パターンを変化させる必要がある。そして、出力パターンを変化させる場合は、各燃焼室に充填されるガス発生剤量や形状も変化させることがある。
しかし、コスト低減や工程・品質管理の観点からは、ガス発生剤の充填量や形状の変化に応じて、部品を使い分けることは好ましいものではない。例えば、燃焼室内部にリテーナを配置して、リテーナの位置を調整することにより、燃焼室の容量をガス発生剤の充填量に応じた適正容量に調整することが考えられるが、ガス発生剤が存在しない無駄な空間が発生するため、ガス発生器の小型・軽量化の要請には反するものとなる。
特開2005−8093号公報
特許文献1には、2つの独立した燃焼室が軸方向に配列したガス発生器で、各燃焼室内部には、ガス発生剤とそれを点火する点火手段が配置されたものが開示されている。燃焼室内のガス発生剤は、リテーナによって保持されている。燃焼室は、充填されるガス発生剤量の違い(即ち、ガス発生剤の仕様の違いに起因する違い)によって充填体積に差が発生することを見込んで大きく形成されており、その中で発生した隙間を前記リテーナの固定位置を変化させることで吸収する(即ち、リテーナーで押圧して隙間をなくすことで、嵩張りをなくし、ガス発生剤を密に充填できる)。しかし、ガス発生剤の充填量が少ないときなど、燃焼室に無駄な空間が発生するため、小出力のガス発生器であってもハウジングの大きさは小さくならない。
本発明は、別部品を付加することなく、第2ガス発生剤の充填量や形状の変更にも容易に対応することができ、小型化もできるエアバッグ用ガス発生器を提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、
周壁に複数の第1ガス排出口を有するカップ形状の第1ハウジングの内部に、燃焼によりガスを発生させる第1ガス発生剤と、前記第1ガス発生剤を着火燃焼させる第1点火手段が配置された第1ガス発生部と、
周壁に複数の第2ガス排出口を有するカップ形状の第2ハウジングの内部に、燃焼によりガスを発生させる第2ガス発生剤と、前記第2ガス発生剤を着火燃焼させる第2点火手段が配置された第2ガス発生部とを有し、
前記第1ガス発生部と前記第2ガス発生部が、前記第2ハウジングの開口部に、前記第1ハウジングが底面側から挿入された状態で一体化されており、
前記第2ハウジング内の前記第2ガス発生剤の充填量に応じて、前記第1ハウジングの挿入長さが調整されている、エアバッグ用ガス発生器を提供する。
カップ状の第2ハウジングの開口部に、同じくカップ状の第1ハウジングを底面側から所定長さだけ挿入することで(即ち、カップ状の第1ハウジングにカップ状の第2ハウジングを被せることで)、第2ハウジングの底面及び周壁と第1ハウジングの底面により、第2ハウジングが囲まれることになるため、前記第1ハウジングの底面の位置により第2ハウジングの容量が調整される。
第1ハウジングの挿入長さ、即ち第2ハウジングの容量は、第2ハウジング内に充填された第2ガス発生剤の量に応じて、第2ガス発生剤が密に充填された状態(外部から加えられる振動により、第2ガス発生剤が動かないような状態)になるように調整される。よって、例えば、ガス発生剤の充填量の違いにより、ガス発生部(即ち燃焼室内)に隙間が生じる場合があるが、第1ハウジングの挿入長さを調整することにより、前記した隙間をなくし、嵩張りもなくすことができる。
このようにして第1ハウジングを第2ハウジングに挿入することにより、余分な部品を使用せずにガス発生剤を密に充填できるとの効果のほか、エアバッグ用ガス発生器全体の長さをより短くすることができる。
第1ハウジングの外径と第2ハウジングの内径は、第1ハウジングを第2ハウジングに挿入するとき、第1ハウジングの外壁面が第2ハウジングの内壁面に接した状態又は僅かな間隙をおいた状態で挿入できるような関係になるように調整されている。
第1点火手段及び第2点火手段は、公知の電気式点火器を用いることができ、必要に応じて、公知の伝火薬を併用してもよい。第1点火手段及び第2点火手段は、それぞれ必要に応じて樹脂を用い、第1点火器カラー及び第2点火器カラーに嵌め込んで固定されている。
第1ハウジング及び第2ハウジング内には、ガス発生剤の性質(燃焼残渣量が多いか少ないか等)により、必要に応じて、ろ過機能及び冷却機能を有するクーラントフィルタ(好ましくは筒状のクーラントフィルタ)を配置してもよい。
例えば、第1ハウジング内に第1クーラントフィルタを配置し、第2ハウジング内に第2クーラントフィルタを配置したときは、第1及び第2クーラントフィルタの内側に第1及び第2ガス発生剤を充填することができ、第1及び第2クーラントフィルタの外周面が、第1及び第2ガス排出口の間に間隙をおいて正対するようにしてもよい。また、第2クーラントフィルタの一端面が第1ハウジングの底面に当接されるようにしてもよい。このようにすることで、第2クーラントフィルタの軸方向長さは、第1ハウジングの挿入位置に応じて、第1ハウジングの挿入を阻害しないように調整することができる。
第1ガス排出口と第2ガス排出口は、湿気の侵入を防止するため、アルミニウムやステンレスのような金属製粘着テープで内側から閉塞されている。
本発明は、課題の解決手段として、前記第1点火手段が前記第1ハウジングの開口部に固定された第1点火器カラーに取り付けられ、前記第2点火手段が前記第2ハウジングの底面に固定された第2点火器カラーに取り付けられている、エアバッグ用ガス発生器を提供する。なお、第2点火手段は、第2点火器カラーを使用しないで、第2ハウジングの底面に直接取り付けることができる。
第1点火器カラーは、溶接又はかしめにより、第1ハウジングに固定されており、第2点火器カラーは、溶接又はかしめにより、第2ハウジングに固定されている。
本発明は、課題の解決手段として、前記第1ハウジングの底面から所定長さの範囲が縮径されており、前記第1ハウジングの縮径部が前記第2ハウジングの開口部に挿入されている、請求項1又は2記載のエアバッグ用ガス発生器を提供する。
カップ状の第1ハウジングは、底面から所定長さ部分の径が残部の径よりも小さくなるように調整されている。第1ハウジングを第2ハウジング内に挿入するとき、径の小さな部分(縮径部)だけを第2ハウジングに挿入すると、ガス発生器ハウジングの外径を小さくすることができる。
第1ハウジングの縮径部の外径と残部の外径の差を第2ハウジングの厚みと同等にすると、ガス発生器ハウジングの外径を小さくできると共に、段差のない平坦な外周面にすることができる。
本発明は、課題の解決手段として、前記第1ハウジング内に充填する前記第1ガス発生剤の量に応じて、前記第1点火器カラーの固定位置を調整する、請求項2又は3記載のエアバッグ用ガス発生器を提供する。
第1ハウジングの容量を第1点火器カラーの固定位置により調整するものである。例えば、第1ハウジング内の第1ガス発生剤の充填量が少ない場合、第1点火器カラーを押し込むことで、第1ハウジングの容量を小さくして、第1ガス発生剤が密に充填されるようにする。このとき、第1点火器カラーは、第1ハウジングの開口部側をかしめると共に、溶接乃至は第1ハウジングを外側から加圧して凹部(内側には凸部)を形成することで、前記したかしめと溶接又は凹部により、固定される。
本発明は、課題の解決手段として、
前記第1ハウジングの底面には、閉塞部材で閉塞された連通孔が設けられており、
前記第2ハウジングは、前記第2ガス排出口とクーラントフィルタを有しておらず、
前記第2ガス発生剤の燃焼により発生したガスは、閉塞部材の破壊により開放された前記連通孔を通って前記第1ハウジング内に流入し、前記第1ガス排出口から排出される、請求項1〜4のいずれかに記載のエアバッグ用ガス発生器を提供する。
第2ハウジング内にクーラントフィルタを配置する必要がないため、第1ハウジングを第2ハウジング内に挿入するとき、クーラントフィルタを考慮する必要がなくなる。また、クーラントフィルタを用いないため、軽量化することができる。
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、別部品を付加することなく、第2ガス発生剤の充填量の変化に対応して、第2ガス発生剤が存在する空間(燃焼室)の容量を容易に調整することができるほか、小型化も容易である。
(1)図1のエアバッグ用ガス発生器
図1により、本発明のエアバッグ用ガス発生器を説明する。図1は、エアバッグ用ガス発生器100の軸方向の断面図である。
エアバッグ用ガス発生器100は、第1ガス発生部10と第2ガス発生部20が一体にされたものである。
第1ガス発生部10は、カップ形状の第1ハウジング11の内部に、燃焼によりガスを発生させる第1ガス発生剤12と、第1ガス発生剤12を着火燃焼させる第1点火器(電気式点火器)13と、筒状の第1クーラントフィルタ14が配置されている。第1ハウジング11の内部の第1ガス発生剤12が充填された空間が第1燃焼室10aとなる。
第1ハウジング11は、周壁15と底面16を有しており、周壁15には、複数の第1ガス排出口17が設けられている。第1ガス排出口17は、湿気の侵入防止のため、内側からアルミニウムテープ18が貼り付けられている。
第1点火器13は公知の電気式点火器で、第1点火器カラー19に嵌め込んだ状態で固定されている。第1点火器カラー19は、第1ハウジング11の開口部に溶接で固定されている。第1点火器13は、図示していないリードワイヤを介して、バッテリーに接続される。
筒状の第1クーラントフィルタ14は、金網を圧縮積層して形成されたような公知のものであり、一端面が第1ハウジング11の底面16に当接され、他端面が第1点火器カラー19に当接されており、底面16と第1点火器カラー19で挟み付けられるようにして両方向から押圧されることで固定されている。第1クーラントフィルタ14の外周面と第1ガス排出口17(アルミニウムテープ18)は接触しておらず、間隙が存在している。
第2ガス発生部20は、カップ形状の第2ハウジング21の内部に、燃焼によりガスを発生させる第2ガス発生剤22と、第2ガス発生剤22を着火燃焼させる第2点火器(電気式点火器)23と、筒状の第2クーラントフィルタ24が配置されている。第2ハウジング21の内部の第2ガス発生剤22が充填された空間が第2燃焼室20aとなる。
第2ハウジング21は、周壁25と底面26を有しており、周壁25には、複数の第2ガス排出口27が設けられている。第2ガス排出口27は、湿気の侵入防止のため、内側からアルミニウムテープ28が貼り付けられている。
第2点火器23は公知の電気式点火器で、第2点火器カラー29に嵌め込んだ状態で固定されている。第2点火器カラー29は、第2ハウジング21の底面26に溶接で固定されている。第2点火器23は、図示していないリードワイヤを介して、バッテリーに接続される。
筒状の第2クーラントフィルタ24は、金網を圧縮積層して形成されたような公知のものであり、一端面が第2点火器カラー29に当接され、他端面が第1ハウジング11の底面16に当接されており、第2点火器カラー29と底面16で挟み付けられるように両方向から押圧されることで固定されている。第2クーラントフィルタ24の周壁外面と第2ガス排出口27(アルミニウムテープ28)は接触しておらず、間隙が存在している。
第2ハウジング21の開口部には、第1ハウジング11が底面16側から挿入され、第1ハウジングの周壁15と第2ハウジング21の周壁25が重なり合った部分(図中のLの範囲)において溶接接合され、全体としてエアバッグ用ガス発生器100のガス発生器ハウジングが形成されている。
第1ハウジング11の外径と第2ハウジング21の内径は、第2ハウジング21内に第1ハウジング11を挿入でき、かつ第1ハウジング11の周壁外面が第2ハウジング21の周壁内面に接した状態になるように設定されている。
第1燃焼室10a内において、第1点火器13から最も離れた位置に存在する第1ガス発生剤12と、第2燃焼室20a内において、第2点火器23から最も離れた位置に存在する第2ガス発生剤22の着火燃焼性を高めるため、第1ハウジング11及び第2ハウジング21は、軸方向長さが外径長さの1.5倍以下に設定されていることが好ましい。
第1ハウジング11の挿入長さLは、第2ハウジング21(第2燃焼室20a)内の第2ガス発生剤22の充填量に応じて決定される。第2ガス発生剤22の充填量が多ければLは小さくなり、充填量が少なければLは大きくなる。挿入長さLに応じて、第2クーラントフィルタ24の長さも調整されている。なお、挿入長さLが短すぎると、第1ハウジング11と第2ハウジング21との溶接面積が小さくなり、溶接強度が低下するため、挿入長さLは、この点も考慮して決定することが望ましい。
このようにエアバッグ用ガス発生器100では、第1ハウジング11により、第2ハウジング21の容量(第2燃焼室20aの容量)が調整されているため、リテーナーのような別部材を用いる必要がなくなるほか、製造も容易である。また、第1ハウジング11を挿入するため、エアバッグ用ガス発生器100の長さも短くすることができる。
次に、図1により、自動車の乗員保護システムにエアバッグ用ガス発生器100を組み込んだ場合の動作を説明する。以下においては、先に第1点火器13が作動し、僅かに遅れて第2点火器23が作動する場合について説明する。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、コントロールユニットからの作動信号を受け、第1点火器13が作動点火して、第1ガス発生剤12を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、第1クーラントフィルタ14を通って、冷却及びろ過された後、第1ガス排出口17から排出され、エアバッグを膨張させる。
第1点火器13の作動点火から僅かに遅れて第2点火器23が作動点火して、第2ガス発生剤22を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、第2クーラントフィルタ24を通って、冷却及びろ過された後、第2ガス排出口27から排出され、エアバッグを更に膨張させる。
このようにエアバッグ用ガス発生器100では、第1燃焼室10a内の第1ガス発生剤12と、第2燃焼室20a内の第2ガス発生剤22を独立して着火燃焼させることができるため、公知のデュアルタイプのガス発生器と同様に、各ガス発生剤の着火燃焼のタイミングを調整することで、エアバッグ膨張用ガスの発生状態を制御することができる。
(2)図2のエアバッグ用ガス発生器
図2により、本発明のエアバッグ用ガス発生器を説明する。図2は、エアバッグ用ガス発生器200の軸方向の断面図である。図2のエアバッグ用ガス発生器200は、図1のエアバッグ用ガス発生器100と同一構造を含むため、同一部分は同じ番号を付して説明を略し、異なる部分のみを説明する。
第1ハウジング11の底面16から所定長さの範囲(L)の周壁15の外径は、残部の外径よりも小さくなった(図中の2×dだけ小さくなった)縮径部31が設けられている。dは、第2ハウジング21の肉厚寸法と一致させることが好ましい。
第1ガス排出口17は、縮径部31を除く周壁15に設けられている。縮径部31の周壁内面と第1クーラントフィルタ14の外周面との間には間隙が設けられている。
図2では、第1ハウジング11は、縮径部31の一部のみが第2ハウジング21内に挿入されているが、縮径部31の全部が第2ハウジング21内に挿入されていてもよい。このときの第1ハウジング11の挿入長さは、図1のエアバッグ用ガス発生器100と同様の理由から調整される。
エアバッグ用ガス発生器200では、第1ハウジング11が縮径部31を有しており、縮径部31が第2ハウジング21内に挿入されていることにより、ガス発生器ハウジング自体の最大外径は、図1のエアバッグ用ガス発生器100と比べると小さくなっている。
(3)図3のエアバッグ用ガス発生器
図3により、本発明のエアバッグ用ガス発生器を説明する。図3は、エアバッグ用ガス発生器300の軸方向の断面図である。図3のエアバッグ用ガス発生器300は、図1のエアバッグ用ガス発生器100と同一構造を含むため、同一部分は同じ番号を付して説明を略し、異なる部分のみを説明する。
第2ハウジング21内に充填する第2ガス発生剤22の量の変化に応じて、第1ハウジング11に挿入長さ(L)を調節すれば、第2ハウジング21の容量を調整することができる。
一方、第1ハウジング11内に充填する第1ガス発生剤12の量の変化に応じて、第1ハウジング11の容量を調整する場合は、長さの異なる第1ハウジング11を用意する必要がある。しかし、第1ガス発生剤12の量の変化に応じて長さの異なる第1ハウジング11を用意することは煩雑であり、製造コストの上昇にもつながる。そこで、図3の実施形態にすることで、長さの異なる第1ハウジング11を用意することなく、第1ガス発生剤12の充填量の変化に対応できるようになる。
例えば、図1における第1ガス発生剤12の充填量を最大とすると、そこから第1ガス発生剤12の充填量を減少させた場合、第1ガス発生剤12の充填密度が低下して隙間が生じるため、外部から加えられる振動により、第1ガス発生剤12同士が擦れ合う結果、粉化してしまうおそれがある。
そこで、図3に示すように、第1点火器カラー19を奥に押し込み、第1ハウジング11の容量(第1燃焼室10aの容量)を小さくし、第1ガス発生剤12を押圧して密に充填することにより、隙間が消滅して粉化の発生が防止される。なお、第1クーラントフィルタ14の軸方向長さは、第1点火器カラー19の押し込み長さに応じて調整される。
第1点火器カラー19は、第1ハウジング11の開口部周縁をかしめ(かしめ部35)、第1ハウジング11の外周面を連続乃至は不連続の環状に加圧して凹部(内側に凸部)36を形成することで、固定されている。
(4)図4のエアバッグ用ガス発生器
図4により、本発明のエアバッグ用ガス発生器を説明する。図4は、エアバッグ用ガス発生器400の軸方向の断面図である。図4のエアバッグ用ガス発生器400は、図1のエアバッグ用ガス発生器400と同一構造を含むため、同一部分は同じ番号を付して説明を略し、異なる部分のみを説明する。
第1ハウジング11の底面16には、連通孔41が設けられており、連通孔41は閉塞部材(アルミニウムテープやステンレステープなど)42で閉塞されており、連通孔41を覆うようにして、リテーナ45が取り付けられている。リテーナ45は、第1点火器13に正対する側には孔がなく、側面に設けられた孔により、ガスの流通が可能な構造になっている。リテーナ45の存在により、閉塞部材42と第1ガス発生剤12は接触していない。
第2ハウジング21には、図1に示すような第2ガス排出口27と第2クーラントフィルタ24はない。よって、図1のガス発生器100と比べると、第2クーラントフィルタ24がない分だけ第2ハウジング21の容量(第2燃焼室20aの容量)が増加しているため、図1のガス発生器100の第2ガス発生剤22と同じ充填量であれば、第2ハウジング21の軸方向長さを短くすることができる。また、第2クーラントフィルタ24の質量は、閉塞部材42及びリテーナ45の合計質量よりも大きいため、その差だけ軽量化することができる。
次に、図4により、自動車の乗員保護システムにエアバッグ用ガス発生器400を組み込んだ場合の動作を説明する。以下においては、先に第1点火器13が作動し、僅かに遅れて第2点火器23が作動する場合について説明する。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、コントロールユニットからの作動信号を受け、第1点火器13が作動点火して、第1ガス発生剤12を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。このとき、リテーナ45が取り付けられているため、閉塞部材45が破壊されることはない。燃焼ガスは、第1クーラントフィルタ14を通って冷却及びろ過された後、第1ガス排出口17から排出され、エアバッグを膨張させる。
第1点火器13の作動点火から僅かに遅れて第2点火器23が作動点火して、第2ガス発生剤22を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。第2ハウジング21(第2燃焼室20a)内の圧力上昇により、閉塞部材42が破壊され、連通孔41が開放される。このとき、リテーナ45が取り付けられているため、閉塞部材42の破壊が未燃焼の第1ガス発生剤12により阻害されることはない。
第2ハウジング21内の燃焼ガスは、開放された連通孔41を通って第1ハウジング11内に流入し、第1クーラントフィルタ14を通って冷却及びろ過された後、第1ガス排出口から排出され、エアバッグを更に膨張させる。
エアバッグ用ガス発生器の軸方向断面図。 他実施形態のエアバッグ用ガス発生器の軸方向断面図。 他実施形態のエアバッグ用ガス発生器の軸方向断面図。 他実施形態のエアバッグ用ガス発生器の軸方向断面図。
符号の説明
100、200、300、400 エアバッグ用ガス発生器
10 第1ガス発生部
10a 第1燃焼室
11 第1ハウジング
12 第1ガス発生剤
13 第1点火器
14 第1クーラントフィルタ
17 第1ガス排出口
19 第1点火器カラー
20 第2ガス発生部
20a 第2燃焼室
21 第2ハウジング
22 第2ガス発生剤
23 第2点火器
24 第2クーラントフィルタ
27 第2ガス排出口
29 第2点火器カラー

Claims (5)

  1. 周壁に複数の第1ガス排出口を有するカップ形状の第1ハウジングの内部に、燃焼によりガスを発生させる第1ガス発生剤と、前記第1ガス発生剤を着火燃焼させる第1点火手段が配置された第1ガス発生部と、
    周壁に複数の第2ガス排出口を有するカップ形状の第2ハウジングの内部に、燃焼によりガスを発生させる第2ガス発生剤と、前記第2ガス発生剤を着火燃焼させる第2点火手段が配置された第2ガス発生部とを有し、
    前記第1ガス発生部と前記第2ガス発生部が、前記第2ハウジングの開口部に、前記第1ハウジングが底面側から挿入された状態で一体化されており、
    前記第2ハウジング内の前記第2ガス発生剤の充填量に応じて、前記第1ハウジングの挿入長さが調整されている、エアバッグ用ガス発生器。
  2. 前記第1点火手段が前記第1ハウジングの開口部に固定された第1点火器カラーに取り付けられ、前記第2点火手段が前記第2ハウジングの底面に固定された第2点火器カラーに取り付けられている、請求項1記載のエアバッグ用ガス発生器。
  3. 前記第1ハウジングの底面から所定長さの範囲が縮径されており、前記第1ハウジングの縮径部が前記第2ハウジングの開口部に挿入されている、請求項1又は2記載のエアバッグ用ガス発生器。
  4. 前記第1ハウジング内に充填する前記第1ガス発生剤の量に応じて、前記第1点火器カラーの固定位置を調整する、請求項2又は3記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 前記第1ハウジングの底面には、閉塞部材で閉塞された連通孔が設けられており、
    前記第2ハウジングは、前記第2ガス排出口とクーラントフィルタを有しておらず、
    前記第2ガス発生剤の燃焼により発生したガスは、閉塞部材の破壊により開放された前記連通孔を通って前記第1ハウジング内に流入し、前記第1ガス排出口から排出される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアバッグ用ガス発生器。
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