JP4574867B2 - モノマーおよび重合法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明の分野
本発明は、水性および水分散性のモノマーおよび樹脂ならびに水性樹脂組成物の製法に関する。
【0002】
本発明の背景
水性樹脂組成物は、塗料、インク、洗浄剤、プラスチック用の添加剤、水処理、製紙および石油分野の製造および精製を含む多くの分野で幅広く使用されている。特に、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミドのコポリマーは、水性である非イオンポリマーまたはカチオンポリマーとして傑出している。アクリルアミドモノマーの使用と関連する工業的衛生問題の理由から、アクリルアミドの代用物が長い間求められてきた。N−置換アクリルアミドモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド)のような変種が提唱されていた。しかし、アクリルアミドおよび変性アクリルアミドモノマーを用いて製造されたポリマーは、それらを不所望にする他の欠点を有する。例えば、アクリルアミドの反応性の官能基だけが不飽和であるので、重合されたアクリルアミド単位は架橋または更なる変性のための部位を提供しない。アクリルアミド単位の架橋または他の変性は、適当な時間でホモポリマーまたはコポリマーの感水性を減少させるのに有効である。
【0003】
従って、アクリルアミドの変わりに使用でき、アクリルアミドと関連する工業的衛生問題が無く、かつ水溶性モノマーから製造されるポリマーの感水性を好適に減少させる場合に変性できる水溶性モノマーを提供するのが望ましい。
【0004】
本発明の要約
改善された水性樹脂組成物の製法を発明した。前記樹脂は、β−ヒドロキシカルバメートモノマーを使用することにより製造される。β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、重合して水溶性ホモポリマーを形成するか、または1種以上のコモノマーとの混合物として重合した場合には、水中で可溶性または分散性であるコポリマーが形成される。本発明のβ−ヒドロキシカルバメートモノマーは、アクリルアミドの代用物として、特に水性樹脂組成物を製造するために使用できる。β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、架橋または重合後に他の反応のための反応部位を提供する利点を与える。
【0005】
本発明に関して使用される場合には、用語“カルバメート基”は、構造
【0006】
【化13】
Figure 0004574867
【0007】
[式中、RはHまたはアルキルである]
を有する基を意味する。有利には、RはHまたは1〜約4個の炭素原子のアルキルであり、より有利にはRはHである。
【0008】
重合されたときに、本発明のモノマーは、ポリマーの架橋または他の変性のための2つの反応部位、すなわちヒドロキシル基および反応性のカルバメート基を提供する。
【0009】
本発明の詳細な説明
β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、エチレン性不飽和基およびβ−ヒドロキシカルバメート基を有する。有利には、エチレン性不飽和基とβ−ヒドロキシカルバメート基との間には、1〜約4個の炭素がある。本発明によるβ−ヒドロキシカルバメートモノマーは、次の構造により表される:
【0010】
【化14】
Figure 0004574867
【0011】
[式中、Rはそれぞれ水素であるか、または一方のRは水素であり、もう一方のRはメチルであり、nは1〜約4、有利には1であり、かつYとZのうち一方はOHであり、かつYとZのうちもう一方は
【0012】
【化15】
Figure 0004574867
【0013】
(式中、RはHまたはアルキルである)である]。有利には、RはHまたは1〜約4個の炭素原子のアルキルであり、より有利には、RはHである。β−ヒドロキシカルバメートモノマーの一般的な合成において、反応速度論は、化合物(YがヒドロキシルでありZがカルバメート基である)と化合物(ZがヒドロキシルでありYがカルバメート基である)との混合物である生成物を生じる。
【0014】
アクリロニトリルとは異なり、本発明のモノマーは、他のアクリルモノマーに匹敵する反応率を有する。このモノマーは重合してホモポリマーを形成できる。重合は、水中または水を含む混合物中で実施できる。本発明のモノマーは、アクリル、メタクリル、ビニルおよびアリルモノマーを含む他のモノマーと一緒に、さらに有利には水性媒体中で共重合させることもできる。好適なコモノマーの特定の例は、次に限定されることはないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、これらの酸のエステル、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどを含む。他の官能性モノマーは、次に限定されることはないが、酸−および無水−官能性モノマー、例えば、既に挙げた;ヒドロキシル−官能性モノマー、例えば、ヒドロキシルアクリレートおよびメタクリレート、アミノ官能性アクリルモノマー、例えば、t−ブチルアミノエチルメタクリレートおよびt−ブチルアミノエチルアクリレート;エポキシド官能性モノマー、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびアリルグリシジルエーテル;他のカルバメート官能性モノマーなどを含むβ−ヒドロキシカルバメートモノマーと一緒に共重合されていてもよい。
【0015】
本発明のβ−ヒドロキシカルバメートモノマーを製造する1つの方法は、重合可能なモノマー含有のグリシジル基をはじめに二酸化炭素と反応させ、オキシラン基を環状カルボネート基に変換し、次にアンモニアまたは第1アミンと反応させて環状カルボネート基をβ−ヒドロキシカルバメート基に変換させることである。好適なオキシラン基含有の重合可能なモノマーの例は、次に限定されることはないが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネートおよびアリルグリシジルエーテルを含む。オキシラン基は、COと反応させてはじめに環状カルボネート基に変換させることによりカルバメート基に変換させることができる。これは、大気圧から超臨界までの任意のCO圧で実施できるが、有利には高められた圧力(例えば、60〜150psi)下での実施である。この反応のための温度は、有利には60〜150℃である。有用な触媒は、オキシラン環を活性化する任意のもの、例えば、第3アミンまたは第4アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムブロミド)、複合オルガノハロゲン化スズとアルキルハロゲン化ホスホニウムの組合せ物(例えば、(CHSnI、BuSnI、BuPIおよび(CHPI)、カリウム塩(例えば、KCO、KI)有利には、クラウンエーテル、スズオクテート、カルシウムオクテート等との組合せ物を含む。
【0016】
環状カルボネート基は、アンモニアまたは第1アミンと反応する。第1アミンは、例えばメチルアミンのように有利には4個までの炭素を有する。有利には、環状カルボネートをアンモニアと反応させる。アンモニアは水性アンモニアであってよい(すなわちNHOH)。反応は環状カルボネートを開環させて本発明によるβ−ヒドロキシカルバメートモノマーを形成する。
【0017】
β−ヒドロキシカルバメートモノマーは水溶性である。本発明の1つの態様では、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは重合してホモポリマーを形成する。このホモポリマーは水溶性である。β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、ラジカル開始剤の存在またはレドックス開始剤系を用いて重合させることもできる。有用な開始剤およびレドックス開始剤系は周知である。重合は、溶剤を用いずに実施するかまたは有機媒体もしくは水性媒体中で実施する。有利な態様では、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは水性媒体中、有利には有機溶剤を用いずに重合させるか、または少量(水性媒体の約10質量%まで)の極性溶剤、例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、または他の水溶性もしくは水と混合可能な溶剤を用いて重合させる。β−ヒドロキシカルバメートモノマーは開始系と一緒に水中で溶解させてもよく、かつ開始系に好適な温度で重合させてもよい。
【0018】
選択的に、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、1種以上のコモノマーとの混合物として重合させてもよい。選択されるコモノマーならびにβ−ヒドロキシカルバメートモノマーと他のコモノマーとの割合に応じて、コポリマーは水溶性または水分散性であってよい。本明細書中で“分散性”または“水分散性”と使用されているものは、分散性の(固体)コポリマーだけではなく、乳化性または水乳化性コポリマーを包含する。すなわち、コポリマーは液体であり、そのTは室温より下であるため、エマルションを形成する。好適なコモノマーの例は、次に限定されることはないが、3〜5個の炭素原子を含有するα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸ならびにこれらの酸のエステル;4〜6個の炭素原子を含有するα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ならびにこれらの酸の無水物、モノエステルおよびジエステル;ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトンおよび芳香族または複素環式脂肪族ビニル化合物を含む。アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸の好適なエステルの代表的な例は、次に限定されることはないが、1〜20個の炭素原子含有の飽和脂肪族アルコールおよび脂環式アルコールとの反応からの前記のエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、ステアリル、スルホエチル、およびイソボルニルアクリレート、メタクリレートおよびクロトネート;ならびにポリアルキレングリコールアクリレートおよびメタクリレートを含む。別のエチレン性不飽和の重合可能なモノマーの代表的な例は、次に限定されることはないが、無水フマル酸、無水マレイン酸および無水イタコン酸、およびアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールおよびt−ブタノールとのモノエステルおよびジエステルのような化合物を含む。重合ビニルモノマーの代表的な例は、次に限定されることはないが、酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビニルエーテル、例えば、ビニルエチルエーテル、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン、およびビニルエチルケトンのような化合物を含む。芳香族または複素環式脂肪族ビニル化合物の代表的な例は、次に限定されることはないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンおよび2−ビニルピロリドンのような化合物を含む。コモノマーを任意の組合せで使用してもよい。
【0019】
β−ヒドロキシカルバメートモノマー含有の水溶液を、ラジカル開始剤の存在で中温、例えば、約20〜約90℃の間の温度で重合させてもよい。コポリマーが乳化重合された場合には、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、重合工程の間にモノマーエマルションを安定化させるのに十分な量で使用するのが有利である。一般的には、モノマーはβ−ヒドロキシカルバメートモノマー約2〜100質量%、有利には約5〜100質量%、より有利には約20〜100質量%を含む。
【0020】
好適なラジカル開始剤は、次に限定されることはないが、過酸化物、過硫酸塩、レドックスカップル、アゾ化合物ならびに超音波、紫外線、電離放射線などを含む非化学的手段を含む。連鎖移動剤を含めることもできる。有用な開始剤の特定の例は、次に限定されることはないが、過酸化水素、過硫酸アンモニウムならびにレドックス系、例えば、SO のような還元型とFe+3のような酸化剤との組合せ物またはFe+3のような酸化剤によるチオ尿素の酸化を含む。連鎖移動剤の特定の例は、イソプロパノール、チオール、例えば、オクタンチオールまたはメルカプトエタノール、オルガノハロゲン化物、例えば、クロロホルム、ジアセトンアルコールならびにα−メチルスチレンの二量体を含む。
【0021】
β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、エチレン性不飽和モノマーに好適な他の方法により重合させることもできる。例えば、次に限定されることはないが、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、有機溶剤、特に水と混合可能な溶剤中で重合させることができる。従って、β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーまたはコポリマーは、水で希釈するかまたは場合により有機溶剤の蒸留またはストリッピングを用いて水に転化してもよい。水溶性または水分散性ポリマーを有機媒体から水性媒体へ転化する方法は公知である。
【0022】
選択的な態様では、β−ヒドロキシカルバメート単位を含むホモポリマーまたはコポリマーは、相応する環状カルボネートモノマーを含有させ、かつカルボネート基からカルバメート基を相応する環状カルボネートモノマーの重合の間にしばらく形成することにより製造してもよい。例えば、第1アミンまたはアンモニアは、重合反応器中に装填でき、かつ環状カルボネート基と重合の間に反応する。反応器はアンモニアまたはガス状第1アミン用に加圧することができる。アンモニアおよび第1アミンは重合反応の間に添加してもよい。
【0023】
β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーおよびコポリマーは、約5000〜100万以上の重量平均分子量を有していてもよい。最も望ましい重量平均分子量はポリマーの用途目的に応じる。β−ヒドロキシカルバメートモノマーが特定のアプリケーションのためのアクリルアミドの代用物として使用される場合には、含有されるβ−ヒドロキシカルバメートモノマーの量およびそこから製造されるポリマーの有利な重量平均分子量は、前記アプリケーションのためのアクリルアミドポリマーに相当する値に一致する。
【0024】
β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーおよびコポリマーは、塗料組成物、特にトップコートを含む水上輸送の塗料において使用できる。β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーおよびコポリマーは、他のアプリケーション、特に、アクリルアミドポリマーが使用されてきたアプリケーション、例えば、次に限定されることはないが、革処理、織物加工、作物保護用途、例えば、種子コーティングならびに遷移およびインクの製造において使用することもできる。β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーは、水性組成物の製造において、他のポリマーのための分散剤または乳化剤として使用してもよい。特に、β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーまたはコポリマーは、疎水性樹脂およびポリマーを水性組成物中に組み込むために使用してもよい。例えば、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、Grandheeにより米国特許第5569715号明細書および5786420およびMartin等により米国特許第5071904号明細書中で開示されている方法で使用してもよく、前記の3個の特許は全て例を用いてここに導入されている。
【0025】
本発明の1つの態様で、β−ヒドロキシカルバメートモノマーは、塩になる場合に水中でカチオン基を形成できる少なくとも1種のモノマーと共重合する。このようなカチオン形成モノマーの例は、芳香族基、有利には塩化ベンジルとアミノモノマー、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートならびにジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの反応により得られる第4アンモニウム塩を有するものを含む。カチオンコポリマーは、水処理、製紙、石油分野の製造および精製用途において有効である。
【0026】
他の有利な態様では、β−ヒドロキシカルバメートモノマーのホモポリマーおよびコポリマーは、塗料を製造するために使用される。塗料は、有利にはさらにβ−ヒドロキシカルバメートモノマーのヒドロキシルおよびカルバメート官能性のうち1つまたは両方と反応性の硬化剤または架橋剤を含む。硬化剤は、平均して少なくとも約2個の反応性の官能基を有する。官能基は、1つ以上の種類であってもよく、その際、それぞれの種類はヒドロキシルおよびカルバメート基のうち1つまたは両方と反応性である。
【0027】
有用な硬化剤は、活性メチロールまたはメチルアルコキシ基を有する物質、例えば、アミノプラスト架橋剤またはフェノール/ホルムアルデヒド付加物;イソシアネート基を有する硬化剤、特にブロックトイソシアネート硬化剤、エポキシド基、アミン基、酸基、シロキサン基、環状カルボネート基および無水物基を有する硬化剤;ならびにそれらの混合物を含む。有利な硬化剤化合物の例は、次に限定されることはないが、メラミンホルムアルデヒド樹脂(モノマーおよびポリマーのメラミン樹脂および部分的にまたは完全にアルキル化されたメラミン樹脂を含む)、ブロックされたまたはブロックされていないポリイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート、MDI、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット、アロファネートならびにこれらのイソシアヌレート、これは、例えば、アルコール、ピラゾール化合物またはオキシムによりブロックされていてもよい)、尿素樹脂(例えば、メチロール尿素、例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルコキシ尿素、例えば、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂)、ポリ無水物(例えば、ポリ無水コハク酸)、およびポリシロキサン(例えば、トリメトキシシロキサン)を含む。他の好適な架橋剤は、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(Cytec工業から商品名TACTで入手可能)である。硬化剤は、これらの組合せ物、特にアミノプラスト架橋剤を含む組合せ物であってもよい。アミノプラスト樹脂、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂は特に有利である。
【0028】
トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンとメラミンホルムアルデヒド樹脂および/またはブロックトイソシアネート硬化剤との組合せ物は、同様に好適でありかつ望ましい。成分(b)は、成分(a)のカルバメート基と反応性の基、例えば、重合されたイソブトキシメチルアクリルアミド基含有のアクリルポリマーを含んでいてもよい。
【0029】
カルバメートまたはヒドロキシル以外の反応基を有するモノマーがコポリマー中に含有されている場合には、その反応基に好適な架橋剤を組成物中に含有させることができる。
【0030】
調整された揮発性有機化合物不含である水性塗料が有利であるにもかかわらず、本発明を実施する際に使用される塗料中で場合により溶剤を利用することができる。一般的には、溶剤は、有機溶媒および/または水であってよい。もう1つの有利な態様では、溶剤は極性有機溶剤である。より有利には、溶剤は極性脂肪族溶剤または極性芳香族溶剤から選択される。さらに有利には、前記溶剤はケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、非プロトン性アミンまたはこれらの任意の組合せ物である。有用な溶剤の例は、次に限定されることはないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素の配合物ならびにこれらの混合物を含む。他の有利な態様では、溶剤は水または水と少量の共溶剤との混合物である。
【0031】
本発明を実施する際に使用される塗料は、触媒を含有して硬化反応を促進させてもよい。例えば、アミノプラスト化合物、特にモノマーのメラミンを硬化剤として使用する場合には、強酸触媒を利用して硬化反応を促進させてもよい。このような触媒は当業者に周知であり、次に限定されることはないが、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェートおよびヒドロキシホスフェートエステルを含む。強酸触媒は、しばしば例えばアミンでブロックされる。本発明の組成物中で有用である他の触媒は、ルイス酸、亜鉛塩およびスズ塩を含む。
【0032】
本発明の有利な態様では、有機溶剤は、塗料中に0質量%〜約99質量%、有利には0質量%〜約70質量%、より有利には約1質量%〜約20質量%の量で存在する。より有利な態様では、塗料は水性であり、かつ水を約0.01質量%〜約99質量%、有利には約5質量%〜約80質量%、より有利には約20質量%〜約70質量%の量で含有する。
【0033】
塗料は、当業者に公知の多数の技術により製品に塗布することができる。これらには、吹付塗り、浸漬被覆、ロール塗布、流し塗りなどが含まれる。自動車のボディーパネルには、吹付塗りが有利である。
【0034】
本発明の塗料には、エレクトロコートプライマー組成物、プライマーサーフェーサー組成物および単層の着色トップコート組成物を含むトップコート組成物、ならびに二層トップコート組成物のクリヤコートおよびベースコート層のどちらか一方または両方が含まれる。本発明の樹脂を水性組成物中で利用する場合には、該樹脂は、塩になる基、すなわち酸基またはアミン基を有するモノマーを含んでいてもよい。エレクトロコートプライマー組成物の場合には、酸基またはアミン基をアノードまたはカソード上に樹脂を被覆させるために使用する。
【0035】
付加的な薬剤、例えば、界面活性剤、充填剤、安定剤、湿潤剤、分散剤、定着剤、UV吸収体、ヒンダードアミン光安定剤などを塗料に組込んでもよい。一方で、このような添加剤は先行技術において周知であるが、使用量は塗料特性に不利に影響しないように制御すべきである。
【0036】
本発明による塗料は、高光沢塗料中および/または色塗料−プラス−透明複合塗料のクリヤコートとして使用するのが有利である。ここで使用される高光沢塗料は、20゜光沢(ASTM D523-89)または少なくとも80のDOI(ASTM E430−91)を有する塗料である。
【0037】
本発明の塗料を高光沢着色ペイント塗料としてまたはベースコート−クリヤコート複合塗料のベースコートとして使用する場合には、該顔料は任意の有機または無機化合物または着色材料、充填剤、金属または他の無機フレーク材料、例えば、マイカまたはアルミニウムフレーク、ならびにこのような塗料中に当業者が通常含有する他のタイプの材料であってよい。顔料および他の不溶性の粒状化合物、例えば充填剤は、一般的には結合剤成分の全固体質量に対して1%〜100%の量で組成物中で使用される(すわなち、顔料対結合剤の割合0.1対1)。
【0038】
本発明による塗料がベースコート−クリヤコート複合塗料のクリヤコートまたはベースコートとして使用される場合には、複合塗料のもう一方の層を形成する組成物は、当業者に周知の多くのタイプのものであってよいが、ここで詳説する必要はない。クリヤコートおよびベースコート組成物中で有用であることが当業者に公知のポリマーには、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリカルボネート、ポリエステル、アルキド樹脂およびポリシロキサンが含まれる。有利なポリマーには、アクリル樹脂およびポリウレタンが含まれる。本発明の有利な1態様では、ベースコート組成物はカルバメート官能性アクリルポリマーも利用できる。ベースコートポリマーは、熱可塑性であってもよいが、しかし、架橋可能でかつ1つ以上の架橋可能な官能基のタイプを有するのが有利である。このような基は、例えば、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シランおよびアセトアセテート基を含む。これらの基は、所望の硬化条件下、一般的には高温でブロックされずかつ架橋反応が可能であるように、マスクまたはブロックされていてもよい。
【0039】
有用な架橋可能な官能基は、ヒドロキシ、エポキシ、酸、無水物、塩類およびアセトアセテート基を含む。有利な架橋可能な官能基は、ヒドロキシ官能基およびアミノ官能基を含む。
【0040】
ここで記載される塗料は、コーティング層を硬化するような条件を与えるのが有利である。種々の硬化法を使用できるが、熱硬化が有利である。一般的には、熱硬化は被覆した製品を、主に放射熱源により提供される高温にさらすことにより行われる。硬化温度は、架橋剤中で使用される特定のブロック基に応じて変化するが、しかし、これらは一般的には90℃〜180℃の範囲内で変化する。本発明による第1の化合物は、有利には比較的に低い硬化温度でさえも反応性である。従って、有利な態様では、硬化温度はブロックされた酸触媒系に関して有利には115℃〜150℃の間の温度、より有利には115℃〜140℃の間の温度である。ブロックされていない酸触媒系に関しては、硬化温度は80℃〜100℃の間の温度が有利である。硬化時間は使用される特定の成分、かつ物理パラメーター、例えば層の厚さに応じて変化するが、しかし、通常の硬化時間は、ブロックされた酸触媒系に関しては15〜60分間の範囲、有利には15〜25分間であり、ブロックされていない酸触媒系に関しては10〜20分間である。
【0041】
本発明を以下の実施例においてさらに説明する。この実施例は単なる実例であり、いずれにせよ記載ならびに請求されたように本発明の範囲を限定するものではない。特記されない限り、全ての部は質量部である。
【0042】
例1.β−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレートの製造
グリシジルメタクリレートの環状カルバメートのメタノール性溶液(Dow Corp., Midland, MIから入手可能)は、グリシジルメタクリレートの環状カルボネート1095.4gをメタノール1140g中に溶解することにより製造した。溶解したモノマーを無水アンモニアと反応させ、これを約2.75時間にわたり前記溶液中に気泡導入した。初期温度は、約17℃であり、かつ発熱量は約30℃で最高点に達し、反応器を冷却浴中で保持することにより制御した。アンモニアの添加が終了した後に、反応器を閉じた。フラスコの内容物をさらに5時間撹拌した。赤外線分析が残存するカルボネートを示さなくなったときに、MEHQ 0.1gを添加してモノマーを安定化しかつメタノールおよび未反応のアンモニアを真空下で蒸留し、MEHQに由来する薄い桃色を呈した固体生成物が生じた。
【0043】
固体生成物(1147g)を水751.8g中に溶解させ、不揮発性溶液60.4%が生じた。
【0044】
例2.β−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレートのホモポリマーの製造
反応器を脱イオン水193.4gで装填し、かつ窒素雰囲気下で80華氏度に加熱した。水が80℃に達した後に、例1の溶液306.2gと過硫酸アンモニウム11.2gとの混合物を1時間にわたり添加した。脱イオン水10g中の過硫酸アンモニウム0.9gの溶液を約15分にわたり添加した。反応混合物を約45分間長く保持し、かつ冷却した。生成物は、弱い曇り度を有するポリマー水溶液であった。
【0045】
例3.β−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレートのホモポリマー含有塗料の製造
例2のホモポリマー水溶液21.3gとヘキサメトキシメチル化メラミン6.1gおよび酸触媒0.2g(ドデシルベンゼンスルホン酸の70%溶液)を混合することにより塗料を製造した。この混合物を、エレクトロコートプライマーで下塗りしたスチールパネル上に7mm厚さに延伸した。ドローダウン(drawdown)コーティング層を水の蒸発を促進するために180華氏度で10分間フラッシュした。コーティング層を285華氏度で30分間焼いた。得られた硬化フィルムは硬くかつメチルエチルケトンを用いる200 double rubs溶剤耐性試験および1分間のメチルエチルケトン中の浸漬に合格した。
【0046】
例3の塗料を、285華氏度で30分間硬化させた次の表に示されている基材上で7ミル(mil)のドローダウンに関して試験した。
【0047】
【表1】
Figure 0004574867
【0048】
例4.β−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレートの製造
脱イオン水50.7質量部中のグリシジルメタクリレートの環状カルボネート200質量部の混合物を反応容器中に装填し、かつ濃水酸化アンモニウム59.6質量部(28〜32%アンモニア)をゆっくりと添加した。2相系を、カルボネートモノマーが反応してβ−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレート生成物を形成するようにゆっくりと単相に変換させた。
【0049】
例5.β−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレートのコポリマーのエマルションの製造
次の材料:ポリウレタンポリマー1062質量部(ポリエステル1507部の反応生成物80%NV質量(理論OH当量748)、ネオペンチルグリコール158質量部、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル83質量部、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネート1012質量部およびトリメチロールプロパン288質量部)、メチルメタクリレート747質量部、ブチルアクリレート356質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート118質量部、ブチルメタクリレート237質量部、脱イオン水2010質量部およびABEX EP 110 264質量部(Rhodia Corp.から入手可能)を米国特許第5786420号明細書および第5569715号明細書に記載された技術を使用して、Microfluidizer(登録商品)(Microfluidics Corporation)を用いて8000PSIにおける2回の試行で均質化し、均質化されたされたモノマー混合物を形成した。
【0050】
好適な反応器中で、脱イオン水360質量部を不活性雰囲気下に82℃まで加熱した。均質化したモノマー混合物を全部で756質量部および脱イオン水45質量部中の硫酸アンモニウム0.81質量部の溶液を1.5時間にわたり並行して添加した。
【0051】
両方の溶液の添加が完了したときに、メチルメタクリレート135質量部、ブチルアクリレート101質量部、例4のβ−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレート水溶液75質量部、ブチルメタクリレート56質量部、メタクリル酸11.8質量部およびIgepal CO850(Rhodia社製)1.5質量部の混合物を2時間にわたり添加した。次に該混合物を85℃で2時間保持した。最終生成物は、測定された不揮発分46.3質量%および粒度215nmを有していた。
【0052】
例6.β−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレートのコポリマーの乳化剤の製造
この例は、例5と同様であるが、しかし2−ヒドロキシエチルメタクリレートモノマーを重合に含めなかった。
【0053】
次の材料:例5に記載のポリウレタンポリマー176質量部、メチルメタクリレート86質量部、ブチルアクリレート64質量部、ブチルメタクリレート43質量部、例4のβ−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレート水溶液48質量部、脱イオン水364質量部およびABEX EP 110 48質量部を、米国特許第5786420号明細書および同第5569715号明細書に記載された技術を使用してMicrofluidizer(登録商品)(Microfluidics Corporation)を用いて8000PSIにおける2回の試行で均質化し、均質化されたモノマー混合物を形成した。
【0054】
好適な反応器中で、脱イオン水365質量部を不活性雰囲気下に82℃まで加熱した。均質化したモノマー混合物を全部で770質量部および脱イオン水44質量部と硫酸アンモニウム0.81質量部との混合物を1.5時間にわたり並行して添加した。
【0055】
両方の溶液の添加が完了したときに、メチルメタクリレート145質量部、ブチルアクリレート100質量部、例4のβ−ヒドロキシカルバメートプロピルメタクリレート水溶液74質量部、ブチルメタクリレート55質量部およびIgepal CO-850(Rhodia社製)1.5質量部の混合物を2時間にわたり添加した。次に該反応混合物を82℃で2時間保持した。最終生成物は、測定された不揮発性分44質量%および粒度181nmを有していた。
【0056】
比較例A
次の材料:例5に記載のポリウレタンポリマー1062質量部、メチルメタクリレート107質量部、ブチルアクリレート64質量部、ブチルメタクリレート43質量部、脱イオン水363.1質量部およびABEX EP 110 48質量部を、米国特許第5786420号明細書および同第5569715号明細書に記載された技術を使用して、Microfluidizer(登録商品)(Microfluidics Corporation)を用いて8000PSIにおける2回の試行で均質化し、均質化されたモノマー混合物を形成した。
【0057】
好適な反応器中で、脱イオン水369質量部を不活性雰囲気下に82℃まで加熱した。均質化したモノマー混合物を全部で774質量部および脱イオン水46質量部中の硫酸アンモニウム0.83質量部の溶液0.83質量部を1.5時間にわたり並行して添加した。
【0058】
両方の溶液の添加が完了したときに、メチルメタクリレート173質量部、ブチルアクリレート104質量部、ブチルメタクリレート57質量部およびIgepal CO-850 1.5質量部の混合物を2時間にわたり添加した。次に該混合物を82℃で2時間保持した。最終生成物は、測定された不揮発性物45.4質量%および粒度220nmを有していた。
【0059】
硬化性組成物
例5、例6および比較例Aのエマルションコポリマーを熱硬化性組成物に調製し、かつ硬化特性を試験した。硬化プロフィールは、グラススライド上で8ミルドローダウン(drawdown)を用いて、かつ285華氏度で30分間硬化させて設定した。システムは、メチルエチルケトンを用いて200 double rubsを使用して硬化に関して評価した。
【0060】
【表2】
Figure 0004574867
【0061】
上の表の結果は、本発明のモノマーが熱硬化性組成物中の架橋に有用な基を提供することを示している。
【0062】
本発明をその有利な態様に関して詳説した。しかし、本発明ならびに請求項に従った意図および範囲内で、変化および改良させることができることを理解されたい。

Claims (7)

  1. 構造
    Figure 0004574867
    [式中、Rはそれぞれ水素であるか、または一方のRは水素であり、もう一方のRはメチルであり、nは1〜4であり、かつYとZのうち一方はOHであり、かつYとZのうちもう一方は
    Figure 0004574867
    (式中、RはHまたはアルキルである)である]
    を有するβ−ヒドロキシカルバメート化合物を重合させ、コポリマーの製造の場合には少なくとも1種のコモノマーと重合させる工程を含み、
    重合の工程を水性媒体中で行い、
    その際、水性媒体とは、水または水と極性溶剤との混合物であり、この極性溶剤は水性媒体の10質量%までの量で含まれる、ホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法。
  2. がHである、請求項に記載の方法。
  3. β−ヒドロキシカルバメート化合物の少なくとも2質量%が重合されている、請求項に記載の方法。
  4. β−ヒドロキシカルバメート化合物の少なくとも5質量%が重合されている、請求項に記載の方法。
  5. β−ヒドロキシカルバメート化合物の少なくとも20質量%が重合されている、請求項に記載の方法。
  6. β−ヒドロキシカルバメート化合物を、塩になる場合に水中でカチオン基を形成できる少なくとも1種のモノマーと重合させる、請求項に記載の方法。
  7. β−ヒドロキシカルバメート化合物を、重合可能な二重結合に加えて、重合可能な二重結合とは異なる官能性を有する少なくとも1種のモノマーと重合させる、請求項に記載の方法。
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