JP4574625B2 - 竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法 - Google Patents

竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法に関するものである。
下記特許文献1には、上下に対向する1対の砥石を、それぞれ砥石回転用電動モータにより回転駆動するとともに、砥石昇降用モータにより上下方向に移動することによって、ワークの上下被研削面を同時に平面研削する竪型両頭平面研削盤が開示されている。
この種の研削盤では、多数のワークを連続して研削する場合、まず最初に、ワークの被研削面から所定の距離だけ離れた初期位置に、上下の砥石を位置づける作業が行われる。この初期位置の設定作業は、通常、一番最初のワークに対して次の要領で行われる。
まず、一番最初のワークを上下砥石間に挿入し、下側の砥石がワークの下面に接触するまで、該砥石を手動パルサーによって上昇させる。次に、上側の砥石についても、ワークの上面に接触するまで手動パルサーによって下降させる。
そして、ワークに接触した位置から、各砥石をワークから離れる方向に所定量だけ移動させ、この位置を初期位置として研削盤のコントローラに記憶する。
その後の研削作業では、各ワークを上下砥石間に挿入するときに、砥石を初期位置で待機し、挿入した後は、初期位置を起点として砥石を上下移動し、研削を行うようになっている。
特開2002−307270号公報
上記方法による従来の砥石の初期位置設定作業では、砥石を軽く手で回しながら手動パルサーにより上下移動させ、砥石の回転が重くなったり、「シャー」という擦れ音がすることによって、砥石がワークに接触したことを判断していた。すなわち、ワークに対する砥石の接触が、作業者の感覚のみに依存して判断されていたため、作業者によって接触の検出にバラツキが生じ、その結果、砥石の初期位置にもバラツキが生じるという問題があった。
また、砥石の回転や上下移動はほとんどが手動であるため、作業者の労力が大きく、一人での作業が困難で、設定に長時間を要するという問題があった。
本発明は、短時間で簡単に砥石の初期位置を設定できるようにすることを目的とする。また、作業者の感覚に依存することなくワークに対する砥石の接触を検出し、正確な初期位置を設定できるようにすることを目的とする。
請求項1記載の発明は、上下に対向する1対の砥石を、それぞれ砥石回転用電動モータにより回転駆動するとともに、砥石昇降用モータにより上下方向に移動することによって、ワークの上下被研削面を同時に平面研削する竪型両頭平面研削盤において、研削開始前に、砥石の初期位置を設定する方法が、前記砥石を、砥石回転用電動モータにより回転するとともに、ワークの被研削面より上下方向に離れた設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向に、砥石昇降用モータにより上下移動する移動行程と、ワークの被研削面に対する砥石の接触を検出するとともに、該検出に基づいて前記砥石の上下移動を停止する検出行程と、前記砥石を、砥石昇降用モータにより、ワークの被研削面から離れる方向に所定量だけ上下移動する初期位置設定行程と、を含むことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、上下に対向する1対の砥石を、それぞれ砥石回転用電動モータにより回転駆動するとともに、砥石昇降用モータにより上下方向に移動することによって、ワークの上下被研削面を同時に平面研削する竪型両頭平面研削盤において、研削開始前に、一対の砥石の初期位置を設定する方法が、前記一対の砥石を、砥石回転用電動モータにより回転するとともに、ワークの被研削面より上下方向に離れた設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向に、砥石昇降用モータにより上下移動する第1の移動行程と、ワークの被研削面に対する一方の砥石の接触を検出するとともに、該検出に基づいて双方の砥石の上下移動を停止する第1の検出行程と、前記一方の砥石を、砥石昇降用モータによりワークの被研削面から離れる方向に所定量だけ上下移動する第1の初期位置設定行程と、他方の砥石を、砥石昇降用モータにより被研削面に近づく方向に更に上下移動する第2の移動行程と、ワークの被研削面に対する前記他方の砥石の接触を検出するとともに、該検出に基づいて前記他方の砥石の上下移動を停止する第2の検出行程と、前記他方の砥石を、砥石昇降用モータによりワークの被研削面から離れる方向に所定量だけ上下移動する第2の初期位置設定行程と、を含むことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の前記検出行程において、砥石回転用電動モータの電流値が無負荷状態の値から所定量増加することによって、ワークの被研削面に対する砥石の接触が検出されるようになっていることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記検出行程における、砥石回転用電動モータの電流値の、無負荷状態からの増加量が、ワークを研削する際の電流値の、無負荷状態からの増加量よりも、小さく設定されていることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の前記移動行程において、設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の最大移動量が、所定に制限されていることを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の前記移動行程において、設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の上下移動速度が、ワークを研削する際の上下移動速度よりも速く設定されていることを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の前記移動行程において、前記設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の移動速度が、ワークを研削する際の移動速度よりも速く設定され、前記設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の最大移動量が、所定に制限されていることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、砥石の初期位置設定を行う場合に、砥石の回転や上下移動が、それぞれ砥石回転用電動モータ、砥石昇降用モータによって自動で行われるようになっているため、作業者の労力を軽減することができ、短時間で簡単に設定作業を行うことができる。
請求項2の発明によれば、砥石の初期位置設定を行う場合に、砥石の回転や上下移動がそれぞれ砥石回転用電動モータ、砥石昇降用モータによって自動で行われるようになっているため、作業者の労力を軽減することができ、短時間で簡単に砥石の設定作業を行うことができる。また、上下の砥石が、同時にワークに接触することがほとんどなくなり、一方の砥石の接触によるワークの撓み等によって、他方の砥石の接触位置が変動するのを防止することができ、ワークに対する砥石の接触を正確に検出することができる。
請求項3の発明によれば、ワークに対する砥石の接触を、砥石回転用電動モータの電流値の増加により自動で検出することができ、作業者によって検出にばらつきを生じることもないため、正確な初期位置の設定を行うことができる。
請求項4の発明によれば、ワークに対する砥石の接触を検出する際に、砥石がワークを必要以上に削り込むことがなくなり、検出感度を高めることができる。
請求項5の発明によれば、砥石で過度にワークを削ったり、砥石とワークが衝突等によって破損することを防止することができる。
請求項6の発明によれば、迅速な初期位置設定作業が可能となる。
請求項7の発明によれば、砥石の上下移動速度を研削作業の際よりも速くすることで、迅速な初期位置設定作業が可能となり、上下移動速度が速くても、最大の移動量が制限されているので、砥石で過度にワークを削ったり、砥石とワークが衝突等によって破損することを防止することができる。
本発明を適用した竪型両頭平面研削盤の側面図である。 ワーク固定治具の側面断面図である。 砥石昇降機構並びに砥石回転機構、及びそれらの制御機構の一例を示す側面略図である。 砥石の初期位置設定作業の際の、砥石の動きを示す説明図である。
符号の説明
2 上側砥石
3 下側砥石
41 砥石昇降用ACサーボモータ
46 砥石回転用モータ
50 電流検知器
〔竪型両頭平面研削盤の全体構成〕
図1は、本発明を適用した竪型両頭平面研削盤の側面図である。本体ケース1内には、上下に対向する1対の環状の砥石2,3が収納されており、上下の砥石2,3は、同一の垂直軸心O3上に配置された上下の砥石軸4,5にそれぞれ固着され、両砥石軸4,5はそれぞれ上下スライド筒6,6に回転可能かつ一体的に昇降可能に支持されている。
本体ケース1に隣接してワーク供給装置10が設置されており、ワーク供給装置10は、垂直なテーブル駆動軸11の上端に固定された回転テーブル12を備え、テーブル駆動軸11は、支持ケース13に軸受を介して回転自在に支持されるとともに、図示しない駆動モータに連動連結している。
回転テーブル12上には、1対のワーク固定治具15,15と、ワークWを上方から固定するクランプ装置16とが備えられている。
クランプ装置16は、下方へ伸張可能なクランプロッド17を有する1対のシリンダ18,18を備えており、各シリンダ18,18は、それぞれワーク固定治具15,15の回転軸心O4と同一軸心上に配置され、回転テーブル12の上面に固定されたブラケット19に固定されている。クランプロッド17を下降することにより、ワーク固定治具15上のワークWを押さえつけ、しかも、ワークWを押さえつけた状態で、クランプロッド17は、ワークWと共にワークW固定治具15の軸心O4回りに回転できるようになっている。
図2は、ワーク固定治具の側面断面図である。ワークWは、たとえば、車両用のブレーキディスクであり、ハブ20とハブの上端フランジに固着された環状のディスク22から構成されている。
ワーク固定治具15は、回転テーブル12の上壁に垂直姿勢で固定された筒状の治具本体24と、治具本体24内に軸受25,26を介して回転自在且つ軸方向移動不能に支持された回転軸27を備え、回転軸27の上端面には、固定治具軸心と同一軸心で上方に突出する位置決めピン28が立設されるとともに、環状ワーク取付台29が固定されており、環状ワーク取付台29は、ワークWのハブ20が挿入できる中心孔30を有している。位置決めピン28の直径は、ワークWのハブ20が嵌合する寸法となっている。
ワーク固定治具15よりテーブル中心側の回転テーブル12上には、ワーク回転用の電動モータ32が取り付けられ、電動モータ32のモータ軸33と回転軸27の下端とに各減速ギヤ34,35が設けられ、該減速ギヤ34,35が互いに回転テーブル12内で噛み合っている。電動モータ32の回転により、ワーク固定治具15の回転軸27を回転し、これにより、環状ワーク取付台29にクランプロッド17で固定されたワークWを、固定治具15軸心回りに回転するようになっている。
〔砥石昇降機構及び砥石回転機構〕
図3は、砥石昇降機構並びに砥石回転機構、及びそれらの制御機構の一例を示す側面略図である。上側砥石軸4は、上下スライド筒6内に軸受を介して回転可能に支持されると共に、上下スライド筒6と一体的に上下方向に移動可能となっており、上下スライド筒6はボールねじ機構37のトラベルナット38に固定されており、該トラベルナット38は、ボールを介して垂直な送りねじ39に昇降可能に螺合し、送りねじ39はウォームギヤ機構40を介して上側砥石昇降用ACサーボモータ41に連動連結している。したがって、砥石昇降用ACサーボモータ41の回転により、ウォームギヤ機構40及びボールねじ機構37を介して上下スライド筒6と共に上側砥石軸4及び上側砥石2を昇降するようになっている。
砥石昇降用ACサーボモータ41にはロータリエンコーダ42が連結されており、ロータリエンコーダ42で上側砥石昇降用ACサーボモータ41の回転角度を検出することにより、上側砥石2の上下方向位置及び上下方向の移動量(昇降量)を検出するようになっている。
上側砥石軸4の上端部にはスプライン部43が形成されており、該スプライン部43は、内周スプラインを有するスプロケット44に上下方向摺動自在にスプライン嵌合し、スプロケット44は、ベルト伝動機構45を介して上側砥石回転用電動モータ46に連動連結している。したがって、上側砥石回転用電動モータ46の回転により、ベルト伝動機構45、スプロケット44、スプライン嵌合部分を介して上側砥石軸4及び上側砥石2を回転し、かつ、上側砥石軸4及び上側砥石2の上下方向の移動は許容するようになっている。上側砥石回転用電動モータ46には、ワークWに対する上側砥石2の接触位置等を検知するために、上側砥石回転用電動モータ内を流れる電流値を計測する上側電流検知器47が備えられている。
下側の砥石軸5の砥石昇降機構及び砥石回転機構は、上側砥石軸4用の砥石昇降機構及び砥石回転機構と、上下対称に配置されているだけで基本的構造は同様であり、同じ機能の部品には同じ符号を付してある。
上下の各砥石回転用電動モータ46及び砥石昇降用ACサーボモータ41のオンオフ、正逆回転切替及び回転速度を、それぞれ個別に制御するため、各モータ46,41はマイコン、メモリ等を内蔵するコントローラ50に接続され、該コントローラ50の入力部には、上下の電流検知器47及び上下のロータリーエンコーダ42等が接続され、各電流検知器47により検出された上下の各砥石回転用電動モータ46の各電流値と、各ロータリーエンコーダ42により検知された砥石昇降用ACサーボモータ41の各回転角度検知信号が入力されるようになっている。
コントローラ50内では、各ロータリーエンコーダ42により検知した砥石昇降用ACサーボモータ41の回転角及び回転数により、上下の各砥石2,3の上下方向の位置及び昇降量をそれぞれ算出するようになっており、そして、各電流検知器47から入力された電流値が無負荷回転時の値(たとえば、20〜30アンペア)に対して所定量(たとえば、1〜1.5アンペア)増加したときに、各砥石2,3が研削開始位置に到ったと判断し、各研削開始位置からの移動量を研削量(所定取り代)としてロータリーエンコーダ42で計測するように設定されている。
〔砥石の初期位置設定作業〕
次に、研削を開始する前に、砥石2,3の初期位置を設定する作業について説明する。図4は、砥石の初期位置を設定する際の砥石の動きを示している。
この砥石2,3の初期位置は、例えば、多数のワークWを連続して研削する場合に、各ワークWを上下砥石2,3間に挿入するときの、砥石2,3の待機位置でもあり、その設定は、通常、一番最初のワークWを研削する前に一回だけ行われる。
初期位置設定を行うに先立ち、まず、一番最初のワークWをワーク固定治具15に装着し、該ワークWを上下砥石2,3間に挿入する。そして、上下の砥石2,3を、手動パルサー等を用いて上下移動し、設定開始位置Q1に位置づけておく。
設定開始位置Q1は、上下砥石2,3とワークWの上下被研削面WU,WLとの距離が、所定の距離L1内に収まるような位置とされており、この距離L1は、初期位置設定作業を行う際の、砥石2,3の最大移動距離である。距離L1は、後述するデータ設定において可変設定可能となっている。
図4の行程#1は、上下の砥石2,3を、砥石昇降用ACサーボモータ41(図3)により同時に設定開始位置Q1からワークWに近づく方向へ上下移動する行程である(移動行程#1)。この際、上下の砥石2,3は、砥石回転用電動モータ46(図3)により回転され、同時に冷却水が供給される。また、ワークWも、電動モータ32(図2)によって回転されるようになっている。
上下一方の砥石が先にワークWに接触すると、該接触を検出し、双方の砥石2,3の上下移動を停止する(検出行程#2)。図4では、上側の砥石2が先にワークWの被研削面WUに接触し、下側の砥石3は、ワークWの被研削面WLに到っていない。図4中のQ2は、上下砥石2,3の停止位置(上側砥石2の接触位置)を示す。
その後、行程#3において、上側の砥石2をワークWから離れる方向へ上下移動し、初期位置Q3に位置づける(初期位置設定行程#3)。初期位置Q3は、砥石2がワークWに接触した位置Q2から、所定の距離L2(例えば、1.5mm)だけ離れた位置である。この初期位置Q3はコントローラ50(図3)に記憶される。この行程#3の間、下側の砥石3の上下移動は、停止したままとなる。
上側の砥石2を初期位置Q3に位置づけたあと、行程#4において、下側の砥石3を、更にワークWに近づく方向へ上下移動する(移動行程#4)。そして、下側の砥石3がワークWに接触すると、該接触を検出し、該下側の砥石3の上下移動を停止する(検出行程#5)。図中Q2’は、下側の砥石3の停止位置(下側砥石3の接触位置)を示す。
その後、行程#6において、下側の砥石3を、ワークWから離れる方向へ上下移動し、初期位置Q3に位置づける(初期位置設定行程#6)。この位置Q3はコントローラ50に記憶される。
以上により砥石2,3の初期位置設定の作業は終了し、研削作業を開始できる状態になる。
上記設定作業において、砥石2,3の上下移動は、砥石昇降用ACサーボモータ41により行われるため、従来のように、作業者が手動パルサー等を用いて砥石を上下移動する操作が不要となる。また、砥石2,3の回転は、砥石回転用電動モータ46により行われるため、作業者が手で砥石を回転する操作が不要となる。したがって、作業者の労力が軽減され、簡単に設定作業を行えるようになっている。
上記検出行程#2、#5において、ワークWに対する砥石2,3の接触は、次のように検出される。すなわち、図3に示すように、初期位置設定作業中、砥石回転用電動モータ46の電流値を常に電流検知器47により計測しておき、コントローラ50において、砥石2,3がワークWに接触する前の無負荷の状態から、砥石2,3がワークWに接触して負荷が加わったときの電流値の増加を監視する。そして、その増加量が所定に達すると、砥石2,3がワークWに接触したと判断し、砥石昇降用ACサーボモータ46を停止する。
したがって、ワークWに対する砥石2,3の接触が、作業者の感覚ではなく、砥石回転用電動モータ46の電流値の変化に基づいて自動で検出されるため、作業者によってバラツキが生じることもなく、正確な検出が可能になっている。
次に、初期位置設定に関するデータ設定について説明する。このデータ設定は、初期位置の設定作業の前に行うものであり、例えば、研削盤の表示装置にデータ設定画面を表示させ、上下砥石2,3がワークWに接触したときの、上下砥石回転用電動モータ46の電流値の増加量と、初期位置設定を行う場合の砥石2,3の最大移動量L1と、砥石2,3の上下移動速度等を設定する。
各データの設定値は、例えば、電流値の増加量を0.5Aとし、砥石の最大移動量L1を5mmとし、砥石の移動速度を100〜200μm/sとすることができる。
砥石2,3がワークWに接触したときの電流値の増加量は、研削を行うときの電流値の増加量(例えば、1〜1.5A)よりも、小さい値に設定するのが好ましい。これにより、ワークWをほとんど削ることなく高感度で砥石2,3の接触を検出できる。
初期位置の設定作業を行う際の、砥石2,3の最大移動量L1を所定に制限することによって、砥石2,3が過度にワークWを削り込むことを防止することができる。
最大移動量L1を5mmに設定した場合、設定開始位置Q1は、ワークWの被研削面WU,WLから5mm以内、例えば、2〜3mmの距離だけ離れた位置にすればよい。これにより、初期位置設定作業の際に、砥石2,3がワークWに必ず接触することになり、未接触によるエラーが生じなくなる。設定開始位置Q1の位置設定は、被研削面WU,WLからの距離が上記5mmの範囲内に収まれば足り、しかも、当該距離を上下の砥石2,3で全く同じする必要もないため、技術や熟練を要することなく作業者の目視によって簡単に手動で行うことができる。
砥石2,3の上下移動速度は、一般的な研削時の上下移動速度(例えば、5〜20μm/s)よりも高速(100〜200μm/s)に設定するのが好ましい。これにより、初期位置設定作業を迅速に行うことができる。また、上下移動速度を速くしても、上下移動量が所定L1に制限されているので、勢い等によってワークWを過度に削り込むことがなく、また、ワークWや砥石2,3が破損するのを防止することができる。
行程#2〜#5では、上側の砥石2がワークWに接触したときに上下双方の砥石2,3の上下移動を停止し、上側の砥石2を先に初期位置Q3まで移動させることによってワークWから離反させ、その後、下側の砥石3をワークWに接触させている。これにより、上下の砥石2,3が同時にワークWに接触することがなく、一方の砥石の接触でワークWが撓むことにより、他方の砥石の接触位置が不正確になるのを防止している。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、図4において、上側砥石2の行程#3を、下側砥石3の行程#4,#5を終えた後に、行程#6と同時に行うことも可能である。また、上側砥石2の行程#3と、下側砥石3の#4以降の行程を同時に行うこともできる。これらの場合、下側の砥石3を位置Q2で停止させることなく位置Q2’まで連続して移動させることができる。
本発明は、竪型両頭平面研削盤によって多数のワークWを連続して研削する場合に、その前段階の作業として有効に利用できる。

Claims (6)

  1. 上下に対向する1対の砥石を、それぞれ砥石回転用電動モータにより回転駆動するとともに、砥石昇降用モータにより上下方向に移動することによって、ワークの上下被研削面を同時に平面研削する竪型両頭平面研削盤において、
    研削開始前に、前記一対の砥石の初期位置を設定する方法が、
    前記一対の砥石を、砥石回転用電動モータにより回転するとともに、ワークの被研削面より上下方向に離れた設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向に、砥石昇降用モータにより上下移動する第1の移動行程と、
    ワークの被研削面に対する一方の砥石の接触を検出するとともに、該検出に基づいて双方の砥石の上下移動を停止する第1の検出行程と、
    他方の砥石の上下移動を停止したまま、前記一方の砥石を、砥石昇降用モータによりワークの被研削面から離れる方向に所定量だけ上下移動する第1の初期位置設定行程と、
    前記他方の砥石を、砥石昇降用モータにより被研削面に近づく方向に更に上下移動する第2の移動行程と、
    ワークの被研削面に対する前記他方の砥石の接触を検出するとともに、該検出に基づいて前記他方の砥石の上下移動を停止する第2の検出行程と、
    前記他方の砥石を、砥石昇降用モータによりワークの被研削面から離れる方向に所定量だけ上下移動する第2の初期位置設定行程と、
    を含むことを特徴とする、竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法。
  2. 前記検出行程において、砥石回転用電動モータの電流値が無負荷状態の値から所定量増加することによって、ワークの被研削面に対する砥石の接触が検出されるようになっている、請求項2記載の竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法。
  3. 前記検出行程における、砥石回転用電動モータの電流値の無負荷状態からの増加量が、ワークを研削する際の電流値の無負荷状態からの増加量よりも、小さく設定されている、請求項3記載の竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法。
  4. 前記移動行程において、設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の最大移動量が、所定に制限されている、請求項2に記載の竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法。
  5. 前記移動行程において、設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の移動速度が、ワークを研削する際の移動速度よりも速く設定されている、請求項2記載の竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法。
  6. 前記移動行程において、前記設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の移動速度が、ワークを研削する際の移動速度よりも速く設定され、前記設定開始位置からワークの被研削面に近づく方向への砥石の最大移動量が、所定に制限されている、請求項2に記載の竪型両頭平面研削盤における砥石の初期位置設定方法。
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