以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。本発明は、個人の嗜好に左右されずに、多様なコンテンツを広く一様に流通させることができるとともに、コンテンツの重複配信を減少させることができるものである。
[流通システム]
まず、本発明に係る流通システムについて説明する。図1に流通システムの概略構成を示す。図1に示す流通システム100は、複数の利用者端末を自律的に動作させ、繰り返し無線通信を行わせることで多様なコンテンツを広く一様に流通させるものである。
図1に示すように、流通システム100において、アクセスポイント3とサーバ4は、ネットワーク2を通じて通信可能に接続されている。ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。なお、サーバ4は、コンテンツデータベース(以下、「DB」と呼ぶ。)5に接続されている。
また、流通システム100において、アクセスポイント3、利用者端末20及び21は、相互に無線通信可能に接続されている。なお、図1には便宜上、1つのアクセスポイント3と、2つの利用者端末20及び21がそれぞれ記載されているが、流通システム100はこれらに限られるものではなく、複数のアクセスポイント及び複数の利用者端末が構成要素として含まれているものとする。また、無線通信としては、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)を含む各種の方法が使用可能であり、本実施形態ではBluetoothを適用することとする。なお、本発明において無線通信が赤外線通信の場合はアクセスポイントが赤外線ポートとなり、無線通信がICタグの場合はアクセスポイントがICタグリーダライタとなることとする。
まず、本システムによるコンテンツ流通方法の概要を述べておく。流通システム100を構成するアクセスポイント3は、利用者の興味をひく広告などに付随して設置されており、当該広告に関連付けされたコンテンツを複数の利用者端末に配信する情報配信端末である。アクセスポイント3は、通信可能エリア内に利用者端末が存在することを確認した場合、当該利用者端末にコンテンツを配信する。アクセスポイント3は複数設置されており、そこから各種コンテンツが利用者端末へ配信されることとなる。なお、アクセスポイント3は、ネットワーク2を介してサーバ4から各種コンテンツを取得している。サーバ4は、各アクセスポイント3に配信するコンテンツをコンテンツDB5に記憶し、管理している。
利用者端末20は、アクセスポイント3から取得したコンテンツを記憶領域へ記憶する。また、利用者端末20は、通信可能エリア内に他の利用者端末が存在するか否かを検索する。検索の結果、他の利用者端末が複数存在する場合、利用者端末20は、コンテンツの配信履歴や受信履歴と、予め保有している端末選択ルールとに基づいて、記憶領域に記憶されているコンテンツを配信する配信先利用者端末を選択する。さらに、利用者端末20は、コンテンツの配信履歴や受信履歴と、予め保有しているコンテンツ選択ルールとに基づいて、記憶領域に記憶されているコンテンツの中から、実際に配信先利用者端末へ配信する配信コンテンツを選択する。そして、利用者端末20は、配信先利用者端末に配信コンテンツを配信する。
このようにして、利用者端末20は、アクセスポイント3及び他の利用者端末から各種コンテンツを取得する。そして、記憶領域に記憶された全てのコンテンツからコンテンツ選択ルールに基づいて選択した配信コンテンツを、通信可能エリア内に存在しており端末選択ルールに基づいて選択した配信先利用者端末に配信する。この繰り返しにより、流通システム100では、各種コンテンツが利用者端末間でやり取りされることになる。なお、利用者端末20及び21は、詳細は後述するが、コンテンツの配信履歴及び受信履歴を記憶している。
[サーバ]
次に、サーバ4について詳しく説明する。サーバ4は、コンテンツDB5に接続されており、当該コンテンツDB5に記憶された各種コンテンツを、アクセスポイント3を介して利用者端末へ配信する。図2は、コンテンツDB5のデータ構造を模式的に示す図である。図2に示すように、コンテンツDB5は、コンテンツIDをキーとしてコンテンツデータ及び付加情報を記憶し、管理している。ここで、コンテンツデータとは、利用者端末上でコンテンツを閲覧するために必要となるコンテンツ本体の情報である。また、付加情報とは、コンテンツデータに関連付けられた情報であり、詳細は後述する。
[利用者端末]
次に、利用者端末について詳しく説明する。図3は、本発明の流通システム100における利用者端末20の内部構成を示したものである。なお、利用者端末21は、利用者端末20と同様の内部構成であるため、便宜上説明は省略する。
図3に示すように、利用者端末20は、表示機能210、無線通信機能211、端末選択機能212、端末選択ルール記憶機能213、コンテンツ選択機能214、コンテンツ選択ルール記憶機能215、配信機能216、記憶領域217、配信履歴作成機能218及び受信履歴作成機能219を保有している。
表示機能210は、記憶領域217に記憶されたコンテンツを利用者端末20上で表示する機能である。これにより、利用者は、記憶領域217に記憶されたコンテンツを利用者端末20上で自由に表示させ、閲覧することができる。
無線通信機能211は、アクセスポイント3や他の利用者端末21からのコンテンツの受信や、配信先利用者端末21へのコンテンツの配信等を行う機能である。また、無線通信機能211は、利用者端末20の通信可能エリア内に他の利用者端末が存在するか否かの検索を行う機能である。
端末選択機能212は、無線通信機能211が検索した通信可能エリア内における他の利用者端末の中から、後述する配信履歴作成機能218が作成した配信履歴と、受信履歴作成機能218が作成した受信履歴と、端末選択ルール記憶機能213が記憶している端末選択ルールとに基づいて、配信先利用者端末を選択する機能である。
端末選択ルール記憶機能213は、通信可能エリア内に存在する複数の利用者端末の中から、配信先利用者端末を選択する場合の条件を規定した端末選択ルールを記憶する機能である。
コンテンツ選択機能214は、記憶領域217内に記憶されたコンテンツの中から、後述する配信履歴作成機能218が作成した配信履歴と、受信履歴作成機能218が作成した受信履歴と、コンテンツ選択ルール記憶機能215が記憶しているコンテンツ選択ルールとに基づいて、配信コンテンツを選択する機能である。
コンテンツ選択ルール記憶機能215は、記憶領域217に記憶された複数のコンテンツの中から、配信コンテンツを選択する場合の条件を規定したコンテンツ選択ルールを記憶する機能である。
配信機能216は、端末選択機能212が選択した配信先利用者端末に、コンテンツ選択機能214が選択したコンテンツを配信する機能である。
記憶領域217は、無線通信機能211がアクセスポイント3や他の利用者端末から受信したコンテンツを記憶する領域である。記憶領域217に記憶されたコンテンツは、配信機能216により、配信先利用者端末に配信される。つまり、本発明では、利用者端末がコンテンツについて「受信」、「記憶領域に記憶」、「配信」を繰り返すことで複数の利用者端末間でコンテンツが蓄積伝播され、仮想的な流通システムを形成することができる。
配信履歴作成機能218は、配信機能216が配信したコンテンツに関する履歴を作成し、記憶する機能である。
受信履歴作成機能219は、無線通信機能211が受信したコンテンツに関する履歴を作成し、記憶する機能である。
[コンテンツ]
次に、コンテンツについて詳しく説明する。図4は、コンテンツの構成を概念的に示したものである。図4に示すように、コンテンツは、付加情報とコンテンツデータから構成されている。コンテンツデータは、利用者端末上でコンテンツを閲覧する際に必要となるコンテンツ本体の情報である。一方、付加情報は、コンテンツデータに関連付いてタグ付けされた情報であり、コンテンツデータ内のキーワードから自動生成してもよいし、手動でサーバ4やコンテンツ作成者が設定してもよい。付加情報として設定される情報の具体例としては、コンテンツデータを識別するコンテンツID、コンテンツデータを表すキーワード情報、コンテンツデータのジャンル情報、コンテンツデータの期限情報などが挙げられる。また、コンテンツ作成者の電子署名、改竄防止のためのハッシュ値など、コンテンツデータの原本性保証を行うためのデータを付加情報として設定してもよい。
なお、付加情報は、サーバ4やコンテンツ作成者が自動又は手動で設定する情報であり、コンテンツに含ませるか否かは任意である。つまり、コンテンツとしては、図4に示すように、付加情報及びコンテンツデータから構成されるコンテンツと、コンテンツデータのみから構成されるコンテンツの2種類が考えられるが、本発明では、双方のコンテンツを適用することが可能である。
上述のように、利用者端末20のコンテンツ選択機能214は、コンテンツ選択ルールに基づいて記憶領域217に記憶されたコンテンツの中から配信コンテンツを選択する。よって、具体的に、利用者端末20は、記憶領域217に記憶されたコンテンツが、コンテンツ選択ルールに規定された条件に合致するか否かを判定する。判定に際しては、付加情報及びコンテンツデータの双方が利用される。なお、条件に合致するか否かにおいて、利用者端末20は、条件が数字系データの場合は閾値の大小で判定を行い、条件が文字系データ場合は完全一致又は部分一致で判定を行う。
[端末選択処理]
次に、端末選択処理について詳しく説明する。端末選択処理とは、利用者端末が、通信可能エリア内に存在する複数の利用者端末の中から、配信履歴及び受信履歴いずれか1つ以上の集計結果と、端末選択ルールとに基づいて、配信先利用者端末を選択する処理である。
(i)コンテンツIDを利用しない場合
まず、コンテンツIDを利用しない場合における端末選択処理について、図5乃至図8を参照して説明する。図5(a)は、利用者端末Bが利用者端末D乃至Fに対してコンテンツを受配信する際の概略構成を示している。図5(b)は利用者端末Bの配信履歴、図5(c)は利用者端末Bの受信履歴のデータ構成を模式的に示す図である。図6は配信回数を集計する場合における端末選択ルールAを、図7は受信回数を集計する場合における端末選択ルールBを、図8は配信回数と受信回数の両方を集計する場合における端末選択ルールCを模式的に示す図である。なお、コンテンツIDとは、各コンテンツを識別する情報である。
具体的に、図5(a)に示すように構成された利用者端末間でのコンテンツ流通により、利用者端末Bは、図5(b)に示すような配信履歴を作成したとする。配信履歴は、図示のとおり、配信先利用者端末及び配信時刻から構成されている。ここで、配信先利用者端末とは、利用者端末Bが配信コンテンツを配信した先の利用者端末の識別情報であり、図5(b)によれば「D」及び「E」となっている。なお、「D」は利用者端末Dの識別情報であり、「E」は利用者端末Eの識別情報である。また、配信時刻とは、利用者端末Bが配信コンテンツを対応する配信先利用者端末に配信した時刻の情報である。よって、図5(b)に示す配信履歴から、利用者端末Bは、17:03:30に利用者端末Dに対して、及び、17:04:50に利用者端末Eに対してそれぞれ所定の配信コンテンツを配信したことが分かる。
また、具体的に、図5(a)に示すように構成された利用者端末間でのコンテンツ流通により、利用者端末Bは、図5(c)に示すような受信履歴を作成したとする。受信履歴は、図示のとおり、配信元利用者端末及び受信時刻から構成されている。ここで、配信元利用者端末とは、利用者端末Bに対して配信コンテンツを配信した利用者端末の識別情報であり、図5(c)によれば「D」及び「E」となっている。また、受信時刻とは、利用者端末Bが配信コンテンツを対応する配信元利用者端末から受信した時刻の情報である。よって、図5(c)に示す受信履歴から、利用者端末Bは、16:57:10に利用者端末Dから、16:59:00に利用者端末Eからそれぞれ所定の配信コンテンツを受信したことが分かる。
端末選択処理では、図5(b)に示す配信履歴や図5(c)に示す受信履歴を集計した結果と、図6乃至図8に示す端末選択ルールとに基づいて、配信先利用者端末を選択する。ここで、端末選択ルールについて詳しく説明する。端末選択ルールとは、通信可能エリア内に存在する複数の利用者端末の中から、配信先利用者端末を選択する場合の条件を規定している。換言すると、端末選択ルールには、配信先利用者端末の選択を行う際に、どのような基準でどのように順次選択を行っていくかが定義されている。
なお、本発明は、端末選択ルールに基づいて選択した配信先利用者端末に配信コンテンツをPUSH型配信することを特徴とする。よって、利用者端末20の配信機能216は、PULL型配信は行わずに、端末選択ルールに基づいて選択した配信先利用者端末に配信コンテンツのPUSH型配信を行う。PUSH型配信とは、通信可能エリア内に存在する配信先利用者端末に対して、当該配信先利用者端末からコンテンツの要求があるか否かに関わらず配信コンテンツを配信する方法である。一方、PULL型配信とは、他の利用者端末からコンテンツの要求があった場合にのみ、当該要求に該当するコンテンツを配信する方法である。
図6に、配信履歴に基づいて配信回数を集計する場合における端末選択ルールAの一覧表を示す。端末選択ルールAの一覧表は、図示のとおり、状況、ルール及びルールに基づく処理の例から構成されている。ここで、状況とは、利用者端末20の配信履歴の集計方法や集計結果を便宜上記載したものである。ルールとは、配信先利用者端末の選択を行う際にどのような基準でどのような選択を順次行っていくかが定義されているものである。処理とは、ルールに適合したら、そのルールに対応する処理として何をどうするかが定義されているものである。つまり、図6に示す端末選択ルールAは、配信履歴に基づく配信回数の集計結果により、利用者端末20の端末選択機能212が、通信可能エリア内に存在する複数の利用者端末の中から配信先利用者端末を選択するように規定されている。ここで、図6を参照して、端末選択ルールAの例を具体的に説明する。
端末選択ルールAの状況として、まず、「配信履歴からヒストグラムを作成する場合」が考えられる。この場合、図示のとおり、端末選択機能212は、配信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。また、配信回数が最も少ない利用者端末が複数存在する場合には、その中から無作為に配信先利用者端末を選択することが考えられる。よって、配信履歴から作成したヒストグラムが、利用者端末Dへの配信が1回、利用者端末E及びFへの配信が0回であることを示す場合、端末選択機能212は、利用者端末E及びFの中から無作為に選択した利用者端末を配信先利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、配信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、配信回数が最も少ない利用者端末が複数存在する場合に、その中から最も配信時刻が古い利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、配信履歴から作成したヒストグラムが、利用者端末D乃至Fへの配信がそれぞれ1回ずつであり、利用者端末Dへの配信が17:03:30、利用者端末Eへの配信が17:04:50、利用者端末Fへの配信が17:05:30である場合、端末選択機能212は、最も配信時刻が古い利用者端末Dを配信先利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、配信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、選択基準時刻内の配信履歴のみを評価対象とし、評価対象となっている配信履歴内で配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、配信先利用者端末を発見した時刻が17:07:00であって、3分前(即ち、17:04:00)まで選択基準時刻内として端末選択処理の評価対象とする場合、図示のような状況では、利用者端末Dへの配信は17:03:30は評価対象とはならない。そのため、端末選択機能212は、利用者端末Dへは未配信であるとみなし、利用者端末Dを配信先利用者端末とする。なお、選択基準時刻は予め設定してあるものとする。
また、端末選択機能212は、配信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、選択基準時刻内の配信履歴のみを評価対象とし、評価対象となっている配信履歴内で配信回数が最も少ない利用者端末が複数存在する場合に、その中から無作為に配信先利用者端末を選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
また、端末選択機能212は、配信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、選択基準時刻内の配信履歴のみを評価対象とし、評価対象となっている配信履歴内で配信回数が最も少ない利用者端末が複数存在する場合に、その中から最も配信時刻が古い利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
上述のように、図6に示す端末選択ルールAは、直近でコンテンツを配信した利用者端末への再配信は、配信元利用者端末側の変化も、配信先利用者端末側の変化も比較的少ないと考えられ、冗長な配信になりやすいことを考慮して設定されている。よって、図6に示す端末選択ルールAと、配信履歴とに基づいて配信先利用者端末を選択することで、コンテンツの重複配信を減少させることができる。
図7に、受信履歴に基づいて受信回数を集計する場合における端末選択ルールBの一覧表を示す。端末選択ルールBの一覧表は、上述と同様に、状況、ルール及びルールに基づく処理の例から構成されている。ここで、図7を参照して、端末選択ルールBの例を具体的に説明する。
端末選択ルールBの状況として、「受信履歴からヒストグラムを作成する場合」が考えられる。この場合、図示のとおり、端末選択機能212は、受信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、受信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、受信履歴から作成したヒストグラムが、利用者端末D及びEからの受信が1回、利用者端末Fからの受信0回であることを示す場合、端末選択機能212は、利用者端末Fを配信先利用者端末に選択する。
これは、利用者端末D及びEから既に所定のコンテンツを受信しているということは、利用者端末D及びEに優先して配信を行うと重複する可能性が高いという考えに基づいている。よって、図7に示す端末選択ルールBと、受信履歴とに基づいて配信先利用者端末を選択することで、コンテンツの重複配信を減少させることができる。
図8に、配信履歴及び受信履歴に基づいて、配信回数及び受信回数を集計する場合における端末選択ルールCの一覧表を示す。端末選択ルールCの一覧表は、上述と同様に、状況、ルール及びルールに基づく処理の例から構成されている。ここで、図8を参照して、端末選択ルールCの例を具体的に説明する。
端末選択ルールCの情況として、「受信履歴からヒストグラムを、配信履歴からヒストグラムをそれぞれ作成する場合」が考えられる。この場合、図示のとおり、端末選択機能212は、受信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。また、受信回数が最も少ない利用者端末が複数存在する場合に、その中で配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、受信履歴から作成したヒストグラムが、図示のような状況では、受信回数が最も少ない0回である利用者端末E及びFの中で、配信回数が最も少ない0回である利用者端末Fを配信先利用者端末に選択する。
また、端末選択機能212は、受信回数と配信回数の合計回数を集計し、合計回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、受信履歴から作成したヒストグラムと、配信先利用者端末から作成したヒストグラムとの集計結果が、図示のような状況では、合計回数が最も少ない0回である利用者端末Fを配信先利用者端末に選択する。
このように、図8に示す端末選択ルールBは、配信履歴及び受信履歴の集計結果に基づいて配信先利用者端末を選択することができるため、コンテンツの重複配信を減少させることができる。
(ii)コンテンツIDを利用する場合
次に、コンテンツIDを利用する場合における端末選択処理について、図9乃至図13を参照して説明する。図9(a)は、利用者端末Bが利用者端末D乃至Fに対してコンテンツを受配信する際の概略構成を示している。図9(b)は利用者端末BのコンテンツIDが対応付けされた配信履歴、図9(c)は利用者端末BのコンテンツIDが対応付けされた受信履歴のデータ構成を模式的に示す図である。図10は配信回数を集計する場合における端末選択ルールDを、図11は配信回数の逆数を集計する場合における端末選択ルールEを模式的に示す図である。図12は配信履歴に基づいて経過時間を集計する場合の集計方法を説明する図であり、図13は経過時間を集計する場合における端末選択ルールEを模式的に示す図である。
具体的に、図9(a)に示すように構成された利用者端末間でのコンテンツ流通により、利用者端末Bは、図9(b)に示すような配信履歴を作成したとする。配信履歴は、図示のとおり、配信先利用者端末、配信時刻及びコンテンツIDから構成されている。ここで、配信先利用者端末及び配信時刻は、上述した図5(b)と同様であるため、便宜上説明は省略する。コンテンツIDとは、利用者端末Bが対応する配信先利用者端末に配信した配信コンテンツの識別情報である。よって、図9(b)に示す配信履歴から、利用者端末Bは、利用者端末Fに対しコンテンツID「Z01」のコンテンツを16:58:10に配信していることが分かる。
また、具体的に、図9(a)に示すように構成された利用者端末間でのコンテンツ流通により、利用者端末Bは、図9(d)に示すような受信履歴を作成したとする。受信履歴は、図示のとおり、配信元利用者端末、受信時刻及びコンテンツIDから構成されている。ここで、配信元利用者端末及び受信時刻は、上述した図9(b)と同様であるため、便宜上説明は省略する。コンテンツIDとは、利用者端末Bが対応する配信元利用者端末から受信した配信コンテンツの識別情報である。よって、図9(c)に示す受信履歴から、利用者端末Bは、利用者端末DからコンテンツID「Z01」のコンテンツを16:59:00に受信していることが分かる。
端末選択処理では、図9(b)に示す配信履歴や図9(c)に示す受信履歴を集計した結果と、図10、図11及び図13に示す端末選択ルールとに基づいて、配信先利用者端末を選択する。
図10に、配信履歴に基づいて配信回数を集計する場合における端末選択ルールDの一覧表を示す。端末選択ルールDの一覧表は、図示のとおり、ルール及びルールに基づく処理の例から構成されている。ここで、ルール及び処理の例は、上述の「(i)コンテンツIDを利用しない場合」と同様であるため、便宜上説明は省略する。
まず、図10を参照して、端末選択ルールDの例を具体的に説明する。端末選択ルールDにより、端末選択機能212は、配信履歴から作成したヒストグラムに基づいて、配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。また、配信回数が最も少ない利用者端末が複数存在する場合には、その中から無作為に配信先利用者端末を選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
また、端末選択機能212は、配信履歴の集計に基づいて、のべ配信コンテンツ数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、図9(b)に示す配信履歴によれば、利用者端末Bは、利用者端末Fへ1個、利用者端末Dへ2回に渡り4個、利用者端末Eへ2回に渡り5個のコンテンツを配信していることが分かる。よって、端末選択機能212は、のべ配信コンテンツ数が最も少ない利用者端末Fを配信利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、配信履歴の集計に基づいて、配信コンテンツ種類の最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、図9(b)に示す配信履歴によれば、利用者端末Bは、利用者端末Fへ1種類、利用者端末Dへ2種類、利用者端末Eへ3種類のコンテンツを配信していることが分かる。よって、端末選択機能212は、配信コンテンツ種類の最も少ない利用者端末Fを配信利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、前回の配信利用者端末以外の利用者端末を端末選択処理の評価対象とし、その中で配信コンテンツ種類の最も少ない利用者端末を優先して配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、図9(b)に示す配信履歴によれば、前回の配信利用者端末は利用者端末Eである。よって、端末選択機能212は、利用者端末E以外の利用者端末D及びFの中で、配信コンテンツ種類が最も少ない利用者端末Fを配信利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、前回無線通信機能211が検出した利用者端末の中で選択しなかった利用者端末を端末選択処理の評価対象とし、その中で配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、前回無線通信機能211が利用者端末E乃至Gを検出した場合、図9(b)に示す配信履歴によれば、前回の配信利用者端末は利用者端末Eである。よって、端末選択機能212は、利用者端末E以外の利用者端末D及びFの中で、配信回数が最も少ない利用者端末Fを配信先利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、配信コンテンツ種類の最も少ない利用者端末が複数存在する場合に、その中から最も前回配信時刻が古い利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、配信履歴により、利用者端末Bが、利用者端末Dへ1種類、利用者端末Eへ3種類、利用者端末Fへ1種類のコンテンツを配信していたとする。この場合、端末選択機能212は、配信コンテンツ種類の最も少ない利用者端末D及びFの中で、最も前回配信時刻が古い利用者端末を配信先利用者端末とする。
なお、図10に示す端末選択ルールは、所定の端末選択ルールと任意に組み合わせて利用することができる。
また、配信履歴の代わりに、図9(c)に示すような受信履歴の集計結果に基づいて、上述のような端末選択処理を行うこととしても構わない。さらに、配信履歴と受信履歴双方の集計結果に基づいて、上述のような端末選択処理を行うこととしても構わない。ここで、配信履歴と受信履歴の集計について説明する。例えば、配信履歴から、利用者端末Bは、利用者端末Eに1個、利用者端末Fに1個のコンテンツを配信したことが分かり、受信履歴から、利用者端末Bは、利用者端末Dから2個、利用者端末Fから1個のコンテンツを受信したことが分かったとする。この場合、集計結果として、利用者端末Bは、利用者端末Dと2個、利用者端末Eと1個、利用者端末Fと1個のコンテンツをやり取りしたことが分かる。
次に、図11を参照して、端末選択ルールEの例を具体的に説明する。図11に示すような端末選択ルールEにより、端末選択機能212は、配信履歴に基づいて、配信回数の逆数に比例して確率的に配信先利用者端末を選択することが考えられる。例えば、配信履歴により、利用者端末Bによる利用者端末Dへの配信が2回、利用者端末Eへの配信が3回、利用者端末Fへの配信が1回であったとする。この場合、端末選択機能212は、各配信回数の逆数に比例して、利用者端末D、E及びFをそれぞれ1/2、1/3及び1/1の割合で確率的に配信先利用者端末に選択する。なお、配信回数が0回の場合、該当する利用者端末を「無条件で配信先利用者端末に選択する」や「配信回数を1回と擬制する」等の方法により補正する。
また、端末選択機能212は、配信履歴の集計に基づいて、配信コンテンツ数の逆数に比例して確率的に配信先利用者端末を選択することが考えられる。例えば、配信履歴により、利用者端末Bが、利用者端末Dへ2個、利用者端末Eへ3個、利用者端末Fへ1個のコンテンツを配信していたとする。この場合、端末選択機能212は、各配信コンテンツ数の逆数に比例して、利用者端末D、E及びFをそれぞれ1/2、1/3及び1/1の割合で確率的に配信先利用者端末に選択する。
また、端末選択機能212は、配信履歴の集計に基づいて、配信コンテンツ種類の逆数に比例して確率的に配信先利用者端末を選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
また、端末選択機能212は、選択基準時刻内の配信履歴のみを評価対象とし、評価対象となっている配信履歴の集計に基づいて、配信コンテンツ種類の逆数に比例して確率的に配信先利用者端末を選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
また、端末選択機能212は、配信履歴の集計に基づいて、配信回数の逆数のn乗に比例して確率的に配信先利用者端末を選択することが考えられる。「n」は予め任意に設定されている。例えば、配信履歴により、利用者端末Bによる利用者端末Dへの配信が2回、利用者端末Eへの配信が3回、利用者端末Fへの配信が1回であったとする。この場合、端末選択機能212は、各配信回数の逆数のn乗に比例して、利用者端末D、E及びFをそれぞれ(1/2)のn乗、(1/3)のn乗及び(1/1)のn乗の割合で確率的に配信先利用者端末に選択する。なお、「n」は0以上を基本とする。「n」が0未満の場合、配信回数が多い利用者端末への配信が増加してしまい、結果的に重複配信を減少させるという本発明の目的から離れてしまうからである。また、配信回数が0回の場合、該当する利用者端末を「無条件で配信先利用者端末に選択する」や「配信回数を1回と擬制する」等の方法により補正する。
なお、本発明は上述の方法に限らず、配信履歴の代わりに受信履歴の集計結果を利用する方法、配信履歴及び受信履歴双方の集計結果を利用する方法、ルールに合致するか否かを受信履歴の集計結果で判定した後、配信履歴の集計結果による判定をする方法等を適用することができる。
次に、図12及び図13を参照して、端末選択ルールFの例を具体的に説明する。図13に示すような端末選択ルールFにより、端末選択機能212は、配信履歴に基づいて、各利用者端末の配信待ちの経過時間を集計し、最も経過時間が長い利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、図9(b)に示す配信履歴に基づいて、利用者端末Bが通信可能エリア内に利用者端末D乃至Fを17:07:00に発見したとする。この場合、各端末における配信待ちの経過時間は、それぞれ利用者端末Dが90秒、利用者端末Eが20秒、利用者端末Fが530秒となる。よって、端末選択機能212は、最も経過時間が長い利用者端末Fを配信先利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、各コンテンツの配信待ちの経過時間を集計し、最も経過時間が長い利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。例えば、図9(b)に示す配信履歴に基づいて、利用者端末Bが通信可能エリア内に利用者端末D乃至Fを17:07:00に発見したとする。この場合、各コンテンツの配信待ちの経過時間は、図12(a)に示すようになる。図12(a)は、各コンテンツの配信待ちの経過時間を、利用者端末毎にまとめたものである。なお、履歴が存在しない場合は、例えば図12(a)に示すように、無条件で10000秒とする等、任意に補正することができる。
そして、端末選択機能212は、図12(b)に示すように、利用者端末毎に各コンテンツの配信待ちの経過時間を合計する。この場合、各端末におけるコンテンツの配信待ち経過時間の合計は、それぞれ利用者端末Dが10180秒、利用者端末Eが60秒、利用者端末Fが20530秒となる。よって、端末選択機能212は、最も経過時間が長い利用者端末Fを配信先利用者端末とする。
また、端末選択機能212は、各利用者端末の配信待ちの経過時間を集計し、最も経過時間が長い利用者端末を選択した上で、このような利用者端末が複数存在する場合には、その中から経過時間に比例して確率的に配信先利用者端末を選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
また、端末選択機能212は、各利用者端末の配信待ちの経過時間を集計し、最も経過時間が長い利用者端末を選択した上で、このような利用者端末が複数存在する場合には、その中から無作為に配信先利用者端末を選択することが考えられる。この場合の処理については、図示のとおりであるため、便宜上説明は省略する。
なお、本発明は上述の方法に限らず、配信履歴の代わりに受信履歴の集計結果を利用する方法、配信履歴及び受信履歴双方の集計結果を利用する方法、ルールに合致するか否かを受信履歴の集計結果で判定した後、配信履歴の集計結果による判定をする方法等を適用することができる。
上述のように、図13に示す端末選択ルールFは、受信履歴に基づいて1度も自端末にコンテンツを配信してきていない利用者端末や、長期間自端末にコンテンツを配信してきていない利用者端末ほど、自端末の保有するコンテンツを配信したときに重複が少ないことを考慮して設定されている。よって、図13に示す端末選択ルールFと、配信履歴及び受信履歴とに基づいて配信先利用者端末を選択することで、コンテンツの重複配信を減少させることができる。
[コンテンツ選択処理]
次に、コンテンツ選択処理について詳しく説明する。コンテンツ選択処理とは、利用者端末20が、記憶領域内に記憶された複数のコンテンツの中から、配信履歴及び受信履歴いずれか1つ以上の集計結果と、コンテンツ選択ルールとに基づいて、配信コンテンツを選択する処理である。また、コンテンツ選択処理とは、例えばすれ違いざまに配信している場合、どれだけの容量のコンテンツを配信先利用者端末に配信することができるかは事前に把握できないため、「配信コンテンツの選択」以外に重複配信の可能性が低い順に「コンテンツの配信順番決定」を行う処理である。
コンテンツ選択処理では、図9(b)に示す配信履歴や図9(c)に示す受信履歴を集計した結果と、図14に示すコンテンツ選択ルールとに基づいて、配信コンテンツを選択する。よって、ここで、図14を参照してコンテンツ選択処理について詳しく説明する。図14は、コンテンツ選択ルールを模式的に示す図である。
なお、利用者端末20のコンテンツ選択機能214は、予め設定してあるコンテンツ選択ルールに基づいてコンテンツ選択処理を行うが、この設定は、途中でルール変更の指示が示された制御用コンテンツを受信することで変更することとしてもよい。
コンテンツ選択ルールは、図示のとおり、ルール及びルールに基づく処理の例から構成されている。ここで、ルールとは、配信コンテンツの選択や配信順番の決定を行う際にどのような基準でどのような選択を順次行っていくかが定義されているものである。処理とは、ルールに適合したらそのルールに対応する処理として何をどうするかが定義されているものである。つまり、図14に示すコンテンツ選択ルールは、配信履歴や受信履歴に基づく集計結果により、利用者端末20のコンテンツ選択機能214が、記憶領域内に記憶されている複数のコンテンツの中から配信コンテンツを選択するように規定されている。
図示のとおり、コンテンツ選択機能214は、まず、基本設定として全てのコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。この場合、配信順番はランダムに決定されることになる。
また、コンテンツ選択機能214は、未配信のコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。この場合、コンテンツ選択機能214は、配信履歴上配信記録がないコンテンツのみを配信コンテンツに選択する。なお、未配信のコンテンツが複数ある場合、配信順番はその中でランダムに決定されることになる。
また、コンテンツ選択機能214は、未受信のコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。この場合、コンテンツ選択機能214は、受信履歴上受信履歴がないコンテンツのみを配信コンテンツに選択する。具体的に、利用者端末Bが配信先利用者端末Dに対して配信するコンテンツを選択する場合、受信履歴に利用者端末DからコンテンツID「Z01、Z03」のコンテンツを受信したことがあると示されていれば、当該コンテンツを配信することは冗長な配信となる可能性が高いことを考慮し、当該コンテンツ以外のコンテンツを配信コンテンツに選択する。なお、未受信のコンテンツが複数ある場合、配信順番はその中でランダムに決定されることになる。
また、コンテンツ選択機能214は、一定時間を過ぎて以降未配信であるコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。よって、配信履歴上配信記録がないコンテンツ及び配信履歴上設定時間よりも前に配信されているコンテンツのみを配信コンテンツとして選択する。なお、一定時間を過ぎて以降未配信であるコンテンツが複数ある場合、配信順番はその中でランダムに決定されることになる。
また、コンテンツ選択機能214は、一定時間を過ぎて以降未配信である一定個数のコンテンツの中で、配信履歴が最も古いコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。このとき、配信順番は、配信履歴が古い順となる。よって、コンテンツ選択機能214は、配信履歴上配信記録がないコンテンツ及び配信履歴上設定時間よりも前に配信されているコンテンツの中で、配信時刻が古い順に一定個数のコンテンツをランダムに配信コンテンツとして選択する。また、コンテンツ選択機能214は、配信時刻が古い順にコンテンツの配信順番を決定する。なお、配信履歴上配信記録がないコンテンツ及び配信履歴上設定時間よりも前に配信されているコンテンツは最も古いコンテンツとなる。
また、コンテンツ選択機能214は、一定時間を過ぎて以降未配信であるコンテンツを、一定のコンテンツ総容量に達するまで無作為に選択することが考えられる。このとき、配信順番は、配信履歴が古い順となる。よって、コンテンツ選択機能214は、配信履歴上配信記録がないコンテンツ及び配信履歴上設定時間よりも前に配信されているコンテンツの中から、配信時刻が古い順に配信コンテンツを選択し、予め設定されている総容量分配信を行う。なお、配信履歴上配信記録がないコンテンツ及び配信履歴上設定時間よりも前に配信されているコンテンツは最も古いコンテンツとなる。また、総容量は、例えば「1メガ」等予め各利用者端末に設定されているものとする。
また、コンテンツ選択機能214は、受信時刻が新しいコンテンツの中から、一定個数のコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。このとき、配信順番は、一定個数のコンテンツの中でランダムに決定する方法、受信時刻が新しい順に決定する方法等種々の方法が適用可能である。なお、一定個数は、例えば「5個」等予め各利用者端末に設定されているものとする。
また、コンテンツ選択機能214は、一定のコンテンツ総容量に達するまで、受信時刻が新しいコンテンツから順に配信コンテンツに選択することが考えられる。よって、コンテンツ選択処理214は、受信履歴上受信時刻が新しいコンテンツから順に配信コンテンツを選択し、予め設定されている総容量分配信を行う。なお、総容量は、例えば「1メガ」等予め各利用者端末に設定されているものとする。
また、コンテンツ選択機能214は、特定のジャンルから一定個数のコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。ここで、ジャンルとは、各コンテンツの種別を示す情報であり、例えば「グルメ」や「映画」等が挙げられる。ジャンルを識別する情報として、本実施形態では、ジャンルIDが各コンテンツに付与されているものとする。よって、コンテンツ選択機能214は、特定のジャンルIDが付与された一定個数のコンテンツを配信コンテンツに選択する。これによれば、例えば「グルメ」ジャンルに属する全てのコンテンツを配信コンテンツとして選択し、他のジャンルに属するコンテンツは受信履歴が新しい5個のコンテンツを配信コンテンツとして選択する等、ジャンルを考慮した配信コンテンツの選択を行うことができる。
また、コンテンツ選択機能214は、一定のコンテンツ総容量に達するまで、特定のジャンルに属するコンテンツを配信コンテンツに選択することが考えられる。よって、コンテンツ選択機能214は、特定のジャンルIDが付与されたコンテンツを配信コンテンツとして選択し、一定のコンテンツ総容量分配信を行う。これによれば、例えば「グルメ」ジャンルに属する全てのコンテンツを配信コンテンツとして選択し、他のジャンルに属するコンテンツは受信履歴が新しいコンテンツを総容量が「1メガ」の範囲内で配信コンテンツとして選択する等、ジャンルを考慮した配信コンテンツの選択を行うことができる。
なお、コンテンツ選択ルールに規定された総容量やコンテンツ数は、それぞれ各利用者端末に設定されていてもよいし、制限テーブルとしてまとめて各利用者端末に設定されていてもよい。
このように、配信履歴及び受信履歴いずれか1つ以上の集計結果と、コンテンツ選択ルールとに基づいて配信コンテンツを選択することで、重複配信の可能性を減少させることができる。
[履歴処理]
次に、履歴処理について詳しく説明する。履歴処理とは、配信コンテンツを配信利用者端末に配信した後、利用者端末20の配信履歴作成機能218が配信履歴を作成する処理である。また、履歴処理とは、他の利用者端末から配信コンテンツを受信した後、利用者端末20の受信履歴作成機能219が受信履歴を作成する処理である。
ここで、配信履歴を作成する処理について図15を参照して説明する。図15は、利用者端末Bの配信履歴が作成される過程を模式的に示す図である。
まず、配信履歴が配信先利用者端末及び配信時刻から構成されている場合について図15(a)を参照して説明する。利用者端末Bが利用者端末Hに対して、17:07:00にコンテンツを配信した場合、図示のように、利用者端末Bの配信履歴作成機能218は、配信先利用者端末の識別情報「H」及び配信時刻17:07:00が記録されたレコードを、既に存在している配信履歴に加える。このように、配信履歴作成機能218は、コンテンツを配信する度に、配信先利用者端末及び配信時刻の情報を配信履歴に加えていく。
一方、配信履歴が配信先利用者端末、配信時刻及びコンテンツIDから構成されている場合について図15(b)を参照して説明する。利用者端末Bが利用者端末Gに対して、17:09:10に、コンテンツID「Z01、Z02」のコンテンツを配信した場合、図示のように、利用者端末Bの配信履歴作成機能218は、配信先利用者端末の識別情報「G」、配信時刻17:09:10及び配信コンテンツのコンテンツID「Z01、Z02」が記録されたレコードを、既に存在している配信履歴に加える。このように、配信履歴作成機能218は、コンテンツを配信する度に、配信先利用者端末、配信時刻及び配信コンテンツの情報を配信履歴に加えていく。
次に、受信履歴を作成する処理について図16を参照して説明する。図16は、利用者端末Bの受信履歴が作成される過程を模式的に示す図である。
まず、受信履歴が配信元利用者端末及び受信時刻から構成されている場合について図16(a)を参照して説明する。利用者端末Bが利用者端末Aから、16:58:00にコンテンツを受信した場合、図示のように、利用者端末Bの受信履歴作成機能219は、配信元利用者端末の識別情報「A」及び受信時刻16:58:00が記録されたレコードを、既に存在している受信履歴に加える。このように、受信履歴作成機能219は、コンテンツを受信する度に、配信元利用者端末及び受信時刻の情報を受信履歴に加えていく。
次に、受信履歴が配信元利用者端末、受信時刻及びコンテンツIDから構成されている場合について図16(b)を参照して説明する。利用者端末Bが利用者端末Cから16:59:00に、コンテンツID「Z02、Z03」のコンテンツを配信した場合、図示のように、利用者端末Bの受信履歴作成機能219は、配信元利用者端末の識別情報「C」、受信時刻16:59:00及び受信したコンテンツのコンテンツID「Z02、Z03」が記録されたレコードを、既に存在している受信履歴に加える。このように、受信履歴作成機能219は、コンテンツを受信する度に、配信元利用者端末、受信時刻及びコンテンツの情報を受信履歴に加えていく。
なお、履歴処理においては、レコードの追加が原則であるが、無制限に履歴が残ることは記憶容量の面で問題が生じる。そのため、利用者端末に配信履歴又は受信履歴の最大レコード数を予め設定しておき、古いレコードから順に削除することとしてもよい。また、レコードを付与する際の制限は、最大レコード数の設定以外にも、一定時刻を越えたレコードを削除する時刻による制限方法、配信履歴を構成するレコードの総容量が一定量を超えた場合に古いレコードから順にレコードを削除する容量による制限方法等任意の方法を適用することができる。つまり、履歴処理においては、必要に応じてレコードの追加以外に、整理のためのレコードの削除を行う場合がある。
また、上述の履歴処理では記載していないが、必要に応じて配信履歴にジャンルIDを記録することとしてもよい。
このような履歴処理により作成される配信履歴及び受信履歴の集計結果と、端末選択ルールと、コンテンツ選択ルールとに基づいて、本発明の流通システムは、コンテンツの重複配信を減少させることができる。
[配信処理]
次に、上記流通システム100により実行される利用者端末20の配信処理について説明する。図17は、配信処理のフローチャートである。
図17に示す配信処理において、利用者端末20は、まず、通信可能エリア内に存在する他の利用者端末から接続要求があるか否かを判定する(ステップS1)。接続要求がある場合(ステップS1;Yes)、利用者端末20は、要求している他の利用者端末から所定のコンテンツを受信する(ステップS2)。そして、利用者端末20は、履歴処理を行い、受信履歴を作成する(ステップS3)。
一方、ステップS1において接続要求がない場合(ステップS1;No)、利用者端末20は、通信可能エリア内に他の利用者端末が存在するか否かを検索する(ステップS4)。検索の結果、他の利用者端末が存在しない場合(ステップS5;No)、利用者端末20は、ステップS1に戻って処理を行う。一方、検索の結果、他の利用者端末が存在する場合(ステップS5;Yes)、配信履歴及び受信履歴のいずれか1つ以上を集計する(ステップS6)。そして、利用者端末20は、集計結果と端末選択ルールとに基づいて端末選択処理を行い、配信先利用者端末を選択する(ステップS7)。さらに、利用者端末20は、集計結果とコンテンツ選択ルールとに基づいてコンテンツ選択処理を行い、配信コンテンツを選択する(ステップS8)。そして、利用者端末20は、ステップS7において選択した配信先利用者端末に、ステップS8において選択した配信コンテンツを配信する(ステップS9)。さらに、利用者端末20は、履歴処理を行い、配信履歴を作成する(ステップS10)。これにより、配信処理は完了する。
本発明では、利用者端末20がコンテンツの受配信を行った際に配信履歴及び受信履歴を作成することとし、当該履歴の集計結果と、端末選択ルールとに基づいて配信利用者端末を選択することで、既に受信済のコンテンツを受信したり、既に配信済のコンテンツを配信したりする確率を減少させることができる。具体的には、複数のコンテンツを一度に配信する際に、新しいコンテンツの受信機会が多い利用者端末を選択するようにルールを設定等により、コンテンツの重複配信を減少させ、効率的な配信をすることができる。
[第1変形例]
上記の実施形態では、基本的に1対1のPUSH型コンテンツ配信を想定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1対多のPUSH型コンテンツ配信に適用することも可能である。この場合、複数の利用者端末から構成されるグループ単位で、受信履歴や配信履歴が作成され、端末選択ルールが適用されることになる。
1対多のPUSH型コンテンツ配信の場合、端末選択ルールは「配信回数の最も少ないグループを選択」等のように、上述の端末選択ルールA乃至Fにおける利用者端末をグループと置換して適用されることになる。
具体的に、端末選択機能212は、グループ単位で作成された配信履歴に基づいて、配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、利用者端末Gの配信履歴が、利用者端末A乃至Cから構成されるグループαへの配信が2回、利用者端末D乃至Fから構成されるグループβへの配信が4回であることを示す場合、端末選択機能212は、最も配信回数の少ないグループαを配信先利用者端末グループに選択する。このとき、利用者端末Bによる配信コンテンツの配信は、グループαを構成する利用者端末A乃至Cの全てにマルチキャストで配信する方法、グループαを構成する利用者端末の1つに配信する方法等種々の方法を適用することができる。グループαを構成する利用者端末の1つに配信した場合、当該利用者端末がグループαの他の利用者端末に配信コンテンツを配信することになる。
また、利用者端末が属するグループの識別情報(例えば、グループID等)を表として保有しておき、事前に利用者端末の設定に基づいて、特定のグループ内でのみ有効なルールを設定しておくことも可能である。この場合、配信履歴や受信履歴には、グループIDも対応付けて記憶しておく必要がある。
具体的に、端末選択機能212は、特定のグループ(例えば、グループα)を端末選択処理の評価対象とし、当該グループを構成する利用者端末の中で配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。よって、グループαが利用者端末A乃至Cから構成されている場合、端末選択機能212は、3つの利用者端末A、B及びCを端末選択処理の評価対象とする。そして、利用者端末Gの配信履歴が、利用者端末Aへの配信が2回、利用者端末Bへの配信が2回、利用者端末Cへの配信が1回であることを示す場合、端末選択機能212は、最も配信回数の少ない利用者端末Cを配信先利用者端末に選択する。
また、各コンテンツにジャンルを示すジャンルIDを付与しておき、事前に利用者端末の設定に基づいて、特定のジャンル内でのみ有効なルールを設定しておくことも可能である。ここで、ジャンルとは、各コンテンツの種別を示す情報であり、例えば「グルメ」や「映画」等が挙げられる。
具体的に、端末選択機能212は、ジャンルID「J01」のコンテンツを端末選択処理の評価対象とし、当該コンテンツを配信する場合には、配信回数が最も少ない利用者端末を配信先利用者端末に選択することが考えられる。
[第2変形例]
なお、上記実施形態では記載されていないが、記憶領域は、ユーザ領域及び共通領域から構成されていることとしてもよい。図18は、第2変形例における流通システムの概略構成を示す。
まず、図18に示すような流通システムにおける、コンテンツ流通方法の概要を述べておく。なお、上記の実施形態との相違点であるユーザ領域、共通領域及び蓄積ルールについて詳細に説明し、上記の実施形態と同様の部分については、便宜上説明を省略する。
利用者端末20は、アクセスポイント3等から取得したコンテンツを共通領域へ記憶する。さらに、利用者端末20は、利用者が予め設定した蓄積ルールに基づいて、当該コンテンツを複製し、ユーザ領域へ記憶するか否かの判定を行う。そして、利用者端末20は、蓄積ルールに合致すると判定されたコンテンツのみをユーザ領域へ記憶する。
ここで、共通領域とは、アクセスポイント3や他の利用者端末21から受信したコンテンツを記憶する領域である。一方、ユーザ領域とは、利用者の嗜好に合致したコンテンツを記憶する領域である。共通領域に記憶されたコンテンツと異なり、ユーザ領域に記憶されたコンテンツは、利用者による操作編集が行われる。つまり、利用者により、ユーザ領域に記憶されたコンテンツの複製や表示といった操作が行われる。また、蓄積ルールとは、共通領域に記憶されたコンテンツを複製し、前記ユーザ領域に記憶する場合の条件を規定したものである。
このように、第2変形例における流通システムにおいて記憶領域は、他の利用者端末に配信するためのコンテンツが記憶されている共通領域と、利用者が自由に編集・閲覧することができるコンテンツが記憶されているユーザ領域とから構成されている。
本発明は、このような流通システムにも適用することができる。この場合、コンテンツ選択処理において、コンテンツ選択機能214は、共通領域に記憶されているコンテンツの中から、履歴の集計結果及びコンテンツ選択ルールに基づいて配信コンテンツを選択する。