JP4573477B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にトリプルウエルを備えた半導体装置の製造方法に関するものである。
本明細書において、第1導電型とはP型又はN型であり、第2導電型とは第1導電型とは逆導電型のN型又はP型である。
【0002】
【従来の技術】
例えばP型の半導体基板(以下、P基板という)にN型のウエル(以下、Nウエルという)を形成し、Nウエル内にP基板とは電気的に分離されたP型のウエル(以下、Pウエルという)を形成する従来技術がある。このようにウエル内にもう一つ別の逆導電型のウエルを作り込んだ状態を「トリプルウエル」又は「二重ウエル」と呼ぶ。「トリプルウエル」とは通常のNウエル及び通常のPウエルに並ぶ3番目のウエルという意味である。トリプルウエルにおいて、通常のウエルとは区別するため、外側のウエルのことを「ディープウエル(ディープPウエル又はディープNウエル)」と呼び、内側のウエルのことを「Iウエル(IPウエル(アイピーウエル)又はINウエル(アイエヌウエル))」と呼ぶ場合が多いので、本明細書においもこの標記で統一する。
【0003】
図12はトリプルウエルを備えた従来の半導体装置を示す断面図である。図12を用いて従来のトリプルウエルについて説明する。
P基板101にディープNウエル(DNW)103が形成されている。ディープNウエル103内にP基板101とは電気的に分離されたIPウエル(IPW)105が形成されている。P基板101には通常のNウエル(NW)107と通常のPウエル(PW)109も形成されている。
【0004】
図12の構造はトリプルウエルを内蔵した半導体装置では広範囲に用いられている。つまり、Nウエル107にPチャネル型MOSトランジスタ(Pチャネル型ゲート絶縁型電界効果トランジスタ、以下Pchトランジスタという)を形成し、IPウエル105及びPウエル109にNチャネル型MOSトランジスタ(以下Nchトランジスタという)をそれぞれ形成することにより、従来からのCMOS(相補型MOS)ロジック回路を構成する。その状態に近年要望が高まっているトリプルウエルを混載した構造が図12に示した構造である。以下、MOSトランジスタを単にトランジスタと称す。
【0005】
トリプルウエルを使用する長所としては以下のことが挙げられる。
1.通常のPウエルはP基板と電気的に接続されているため、ゼロ電位(GND)しか取れない。それに対してIPウエルはP基板と分離されているので電位を独立に設定することができ、回路設計の自由度が向上する。
2.IPウエルをマイナス電位に設定することもできるので、負電圧の取り扱いが可能になって負電源回路の内蔵が実現できる。
3.P基板を伝播するノイズをディープNウエルが吸収するため、アンプ等のノイズを嫌う回路をIPウエル内に形成することで高精度の回路を実現できる。
さらに、ノイズの問題のために従来は不可能だったDC/DCコンバータのオンチップ化が可能となる。
4.周辺部分で発生した電子をディープNウエルが吸収するため、IPウエル内に形成したDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリー)のデータ破壊を防止できる。
【0006】
図13及び図14は、図12の構造の一般的な製造方法を示す工程断面図である。その製造方法について図13及び図14を用いて説明する。
(1)P基板101にシリコン窒化膜111を100nm(ナノメートル)の膜厚で堆積する。写真製版により、ディープNウエル形成領域を画定するためのレジストパターン113をシリコン窒化膜111上に形成する。レジストパターン113をマスクにしてシリコン窒化膜111をエッチングする。レジストパターン113及びシリコン窒化膜111をマスクにして、イオン注入技術を用いて加速エネルギーは160KeV、注入量は2×1013cm-2のイオン注入条件でリン115をイオン注入する(図13(a)参照)。
【0007】
(2)レジストパターン113を除去した後、酸化雰囲気で温度は920度、時間は120分間の条件で熱処理を行なう。これにより、シリコン窒化膜111が開口している領域のP基板101表面に熱酸化膜117が300nmの膜厚に成長し、同時に、P基板101に注入されたリンが熱拡散(ドライブイン)されてディープNウエル(DNW)103が形成される(図13(b)参照)。
【0008】
(3)シリコン窒化膜111を除去した後、シリコン窒化膜119を100nmの膜厚で堆積する。写真製版により、Nウエル形成領域を画定するためのレジストパターン121をシリコン窒化膜119上に形成する。レジストパターン121をマスクにしてシリコン窒化膜119をエッチングする。レジストパターン121及びシリコン窒化膜119をマスクにして、イオン注入技術を用いて加速エネルギーは160KeV、注入量は1×1013cm-2のイオン注入条件でリン123をイオン注入する(図13(c)参照)。
【0009】
(4)レジストパターン121を除去した後、酸化雰囲気で温度は920度、時間は120分間の条件で熱処理を行なう。これにより、シリコン窒化膜119が開口している領域のP基板1表面に熱酸化膜125が膜厚300nmに成長し、同時に、P基板101に注入されたリンが熱拡散され、Nウエル(NW)107が形成される(図13(d)参照)。図13(d)では既に形成されていた熱酸化膜117と一体化する形で熱酸化膜125を図示している。
【0010】
(5)シリコン窒化膜119を除去した後、熱酸化膜125をマスクにして、イオン注入技術を用いてボロン127をP基板101にイオン注入する(図14(e)参照)。その際、熱酸化膜125が注入マスクとして機能するようなイオン注入条件を選択する。イオン注入条件としては、加速エネルギーは30KeV、注入量は1×1013cm-2が適当である。ボロン127のP基板101への注入を熱酸化膜125が遮るために、結果として、熱酸化膜125が形成されている領域以外の領域にボロン127が注入され、Pウエル形成領域が画定される。
【0011】
(6)熱酸化膜125を除去した後、IPウエル形成領域を画定するための写真製版によりレジストパターン129を形成する。レジストパターン129をマスクにして、加速エネルギーは30KeV、注入量は2×1013cm-2のイオン注入条件でボロン131をイオン注入する(図14(f)参照)。ボロン131が注入された領域がIPウエルとなるため、IPウエル形成領域はディープNウエル103内に設定する必要がある。
【0012】
(7)レジストパターン129を除去した後、Pウエル形成用のボロンとIPウエル形成用のボロンの熱拡散させるためのアニール処理を行なう。このアニール処理の条件としては、例えば窒素雰囲気で温度は1150度、時間は60分間の条件が適当である。これにより、IPウエル(IPW)105とPウエル(PW)109がそれぞれ形成される(図14(g)及び図12参照)。
【0013】
上記の製造方法の説明は、トリプルウエル一般的な製造方法を簡略して説明したものであるので細部にこだわる必要はない。例えばディープNウエル103を形成する工程とNウエル107を形成する工程の順番を入れ替えても最終的には図12と同じ構造が得られる。
【0014】
ここで重要な点は、ディープNウエル103、IPウエル105、Nウエル107、Pウエル109の4種類のウエル構造を形成するために合計3回の写真製版工程が必要であるということにある。つまり、▲1▼ディープNウエル103の形成領域を画定するためのレジストパターン113を形成する写真製版工程(図13(a)参照)、▲2▼Nウエル107の形成領域を画定するためのレジストパターン121を形成する写真製版工程(図13(c)参照)、▲3▼IPウエル105の形成領域を画定するためのレジストパターン129を形成する写真製版工程(図14(f)参照)が必要である。
【0015】
一般に良く知られているように、写真製版工程の回数はそのまま製造コストに反映されるため、写真製版工程の回数はできるだけ少ないことが要求される。さらに製品サイクルが年々短くなっていることから、製品を短時間で作り上げることも同時に要求されており、このことも写真製版工程の回数の削減が重要視される要因となっている。
【0016】
ディープNウエル103、IPウエル105、Nウエル107、Pウエル109の4種類のウエル構造の形成には、単純化して考えれば各ウエルを形成するためにそれぞれ1回ずつ写真製版工程を行なって、合計4回の写真製版工程が必要である。図13及び図14を用いて説明した従来技術では、図14(e)に示すように、Pウエル109を形成するためのイオン注入を写真製版工程なしで行なう工夫を取り入れることにより、写真製版工程を1回分少なくしている。
【0017】
なお、図12から図14を用いて説明した従来技術はP基板を用いた場合のものであるが、N基板を用いた場合でもN型とP型を入れ替えることによりトリプルウエルを形成できる。ただし、N基板を用いた場合でもトリプルウエルを形成するには合計3回の写真製版工程が必要である、という事情は同じである。
【0018】
また、特開平5−283629号公報に、トリプルウエルに関してIPウエル下部のディープNウエル濃度を局所的に濃くする方法が開示されている。ディープNウエル濃度を局所的に濃くすることにより、IPウエルからの空乏層の延びが抑制され、IPウエルについてP基板との電気的分離耐性が向上する。
また、ディープNウエル濃度を局所的に濃くするためのイオン注入を高エネルギーイオン注入で行なうこと、又はIPウエルの形成を2回以上のイオン注入により行なうことにより、横方向の濃度勾配を急峻なものにでき、微細化が可能であると説明している。
【0019】
しかし、特開平5−283629号公報に記載の方法では、ディープNウエルとIPウエルを形成するために2回の写真製版工程が必要である。図12に示した構造と同様の構造を形成するには、NウエルとPウエルを形成するために、さらに1回(又は2回)の写真製版工程の追加となり、合計で3回(又は4回)の写真製版工程が必要となってしまう。
【0020】
また、特開平11−297853号公報に、ディープNウエルの底面部分と側面部分について別々の工程で形成する方法が開示されている。ディープNウエルの底面部分と側面部分を別々に形成する際、底面部分と側面部分が確実にオーバーラップするように、斜めイオン注入を利用して底面部分を形成することを提案している。また、1回の写真製版工程で形成したフォトレジストパターンを利用して、ディープNウエルの底面部分を形成するためのイオン注入と、IPウエルを形成するためのイオン注入を行なうことも提案している。
【0021】
しかし、特開平11−297853号公報に記載の方法を採用しても、図12に示した構造と同様の構造を形成するには、写真製版工程は、Pウエルを画定するために1回、NウエルとディープNウエルの側面部分を画定するために1回、ディープNウエルの底面部分とIPウエルを画定するために1回、すなわち最低3回の写真製版工程が必要である。
【0022】
以上のように、いずれの方法を採用しても、最低でも3回の写真製版工程が必要であるという状況は解決されていない。その結果、依然としてコスト高や製造工期の増大を招くという問題があった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記の問題点を鑑み、少ない写真製版工程回数でトリプルウエルを形成することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
参考例の半導体装置は、第1導電型の半導体基板に、第2導電型のディープウエルと、上記ディープウエル内に形成された第1導電型のIウエルを備えた半導体装置であって、上記Iウエルの形成領域において、上記ディープウエルの底面が部分的に浅くなっているものである。
【0025】
本発明の半導体装置の製造方法は、以下の工程(A)から(D)を含む。
(A)第1導電型の半導体基板上に、第2導電型のディープウエルの形成領域に対応して開口部をもち、上記開口部内に第1導電型のIウエルの形成領域に対応して島状パターンをもつマスクパターンを形成し、そのマスクパターンをマスクにして、上記半導体基板にディープウエル形成用の第2導電型不純物を選択的にイオン注入する工程、
(B)上記マスクパターンを残した状態で熱酸化処理を施して、露出している上記半導体基板の表面に選択的に環状の熱酸化膜を形成し、続けてアニール処理を施して第2導電型不純物を熱拡散させて上記島状パターンの下部全面に第2導電型のディープウエルを形成する工程、
(C)上記マスクパターンを除去した後、上記環状の熱酸化膜をマスクにして、上記半導体基板及び上記ディープウエルに、Iウエル及び通常ウエル形成用の第1導電型不純物を選択的にイオン注入する工程、
(D)アニール処理を施して、上記ディープウエルに第1導電型のIウエルと、上記半導体基板に第1導電型の通常ウエルを同時に形成する工程。
【0026】
本発明の製造方法では、ディープウエルの形成領域に対応して開口部をもち、その開口部内にIウエルの形成領域に対応して島状パターンをもつマスクパターンをマスクにして、半導体基板にディープウエル形成用の第2導電型不純物をイオン注入した後(工程(A))、マスクパターンを残した状態で熱酸化処理を施して半導体基板の表面に選択的に環状の熱酸化膜を形成し、さらにアニール処理を施してディープウエル形成用に注入した第2導電型不純物を熱拡散させて島状パターンの下部全面に不純物の横方向拡散によってディープウエルを形成する(工程(B))。ここで、島状パターン下の領域(Iウエル形成領域)は不純物の横方向拡散によって形成されるので、Iウエル形成領域においてディープウエルの底面が部分的に浅くなる。上記マスクパターンを除去した後、選択的に形成した上記環状の熱酸化膜をIウエル形成用のイオン注入時のマスクとして用いる(工程(C))。
【0027】
従来技術の製造方法では、ディープウエル形成領域とIウエル形成領域を別々のマスクパターンにより画定しているが、本発明の製造方法では、上記マスクパターンにより、ディープウエル形成領域とIウエル形成領域の両方を画定することができる。これにより、従来技術よりも少ない写真製版工程回数(1回の写真製版工程)でトリプルウエルを形成することができる。
【0028】
さらに、上記工程(C)では、上記環状の熱酸化膜をマスクにして半導体基板に第1導電型不純物をイオン注入することにより、環状の熱酸化膜で囲まれたIウエル形成領域以外の領域の半導体基板に、第1導電型の通常ウエル形成用のイオン注入を同時に行なう。その後、アニール処理を施して、第1導電型のIウエル及び通常ウエルを同時に形成する(工程(D))。これにより、1回の写真製版工程で、トリプルウエルに加えて、第1導電型の通常ウエルも同時に形成することができる。
【0029】
参考例の半導体装置を構成するディープウエルは、Iウエル形成領域において底面が部分的に浅くなっている。このようなディープウエルは不純物の横方向拡散により形成されたものである。Iウエル形成領域におけるディープウエルが不純物の横方向拡散により形成されていることから、Iウエル形成領域におけるディープウエルのウエル濃度プロファイルは完全には平坦ではない。さらに、そのようなディープウエルの領域に形成されるIウエルもウエル濃度プロファイルは完全には平坦ではない。
【0030】
本発明の製造方法により製造されるトリプルウエルの(A)シミュレーション結果のウエル分布及び(B)IPウエルのウエル濃度プロファイルを図3に示す。(B)のウエル濃度プロファイルは(A)の直線A位置でのものである。ここでは、第1導電型としてP型、第2導電型としてN型を用い、P基板にN型のディープNウエルを形成し、ディープNウエル内にP型のIPウエルを形成した。
P型不純物としてボロン、N型不純物としてリンを用いた。
【0031】
(A)において、濃い線33はIPウエル(IPW)5とディープNウエル(DNW)3の間のPN接合を示し、濃い線35はP基板1とディープNウエル3の間のPN接合を示す。P基板1とIPウエル5の間にディープNウエル3が存在し、P基板1とIPウエル5が電気的に分離されているのがわかる。ディープNウエル3はリンの横方向拡散により形成されているので、IPウエル形成領域6において底面が部分的に浅くなっている。
【0032】
(B)において、波形37は実効的なウエル濃度を示すNet Doping、波形38はリン濃度、波形39はボロン濃度を示す。IPウエル形成領域6には、IPウエル形成領域6の周囲に注入されたリンが横方向拡散して存在している。波形38に示されるように、IPウエル形成領域6でのリンの濃度プロファイルは中心側が薄い谷形状になる。リンの濃度プロファイルが谷形状になっていることを反映して、実効的なウエル濃度は波形37に示されるようにIPウエル形成領域6の中心部から周辺部に向かうにしたがって薄くなっている。
【0033】
このように、参考例の半導体装置において、Iウエルのウエル濃度プロファイルは完全には平坦ではない。このようなIウエルに同じ構成の複数のトランジスタを形成する場合、トランジスタを形成する位置に応じてトランジスタのしきい値、すなわちトランジスタの電気的特性を変えることができるので、汎用性が増す。
【0034】
本明細書において、水平方向とは半導体基板表面の平面内の方向を示し、鉛直方向とは半導体基板表面に直交する方向を示す。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において、上記島状パターンの水平方向での最短寸法は上記ディープウエルの深さの2倍よりも小さく設定されていることが好ましい。
本発明の製造方法では、工程(A)で形成するレジストパターンに関してIウエル形成領域に形成する島状パターンの水平方向での最短寸法が余りにも大きいと、ディープウエル形成用の第2導電型不純物がIウエル側に横方向拡散しても島状パターンの下部全面にディープウエルが完全には形成されない場合が起こりうる。
【0036】
不純物の横方向拡散の概念図を図4に示す。ここでは、第1導電型としてP型、第2導電型としてN型を用い、P基板にN型のディープNウエルを形成するためのN型不純物としてリンを注入した例を説明する。
P基板1上に、ディープNウエル形成領域に対応して開口部11bをもち、IPウエル形成領域6に対応して開口部11b内に島状パターン11aをもつマスクパターンとしてのシリコン窒化膜11が形成されている。マスクパターン11が存在しない領域のP基板1表面に熱酸化により環状の熱酸化膜17が形成されている。図4に示す状態は、マスクパターン11をマスクにしてP基板1に注入されたリンがアニール処理により熱拡散してディープNウエル3を形成する過程を示している。図中の寸法Lは島状パターン11aの水平方向での最短寸法を示し、距離Dは深さ方向の拡散長を示し、距離Hは横方向拡散長を示す。
【0037】
不純物の横方向拡散長(距離H)は、不純物の種類や拡散時の雰囲気、温度、時間などの影響を受けるが、一般に深さ方向の拡散長(距離D)、すなわち接合深さとほぼ等しいことが知られている。このことから、IPウエル形成領域6を完全にディープNウエル3にするためには、島状パターン11aの最短寸法Lは少なくともディープNウエル3の接合深さの2倍より小さいことが要求される。
そこで、島状パターンの水平方向での最短寸法をディープウエルの深さの2倍よりも小さく設定することにより、Iウエル底部付近にディープウエルを確実に形成ことができ、半導体基板とは電気的に分離されたIウエルを形成することができる。
【0038】
参考例の半導体装置において、1つの上記Iウエル又は同じウエル濃度分布をもつ複数の上記Iウエル内に同じ構成の複数のトランジスタが形成されており、これらの複数のトランジスタはIウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置にそれぞれ形成されていることが好ましい。
Iウエルは水平方向にウエル濃度分布をもつので(図3(B)参照)、トランジスタが形成される位置に応じてトランジスタの電気的特性が異なる。しかし、1つのIウエル又は同じウエル濃度分布をもつ複数のIウエルにおいて、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置では、ディープウエル形成用の第2導電型不純物の濃度が同じなので、Iウエル表面の実効的なウエル濃度は同じである。したがって、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置に同じ構成の複数のトランジスタを備えることにより、同じ電気的特性をもつ同じ構成の複数のトランジスタを備えることができる。
【0039】
参考例の半導体装置において、1つの上記Iウエル又は同じウエル濃度分布をもつ複数の上記Iウエル内に同じ構成の複数のトランジスタが形成されており、これらの複数のトランジスタはIウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置にそれぞれ形成されていることが好ましい。
Iウエルは水平方向にウエル濃度分布をもつ(図3(B)参照)。1つの上記Iウエル又は同じウエル濃度分布をもつ複数のIウエル上に形成する同じ構成の複数のトランジスタに関し、意図的にIウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置に配置すれば、Iウエルの実効的なウエル濃度の違いが反映されて、トランジスタの電気的特性が違ったものになる。配置する位置ごとのトランジスタの電気的特性を事前に把握しておけば、チャネルドープなどの追加の工程なしで、異なる電気的特性をもつ同じ構成の複数のトランジスタを備えることができる。
【0040】
参考例の半導体装置において、上記半導体基板の上記ディープウエルの形成領域とは異なる領域に、上記Iウエルと同程度のウエル濃度をもつ第1導電型の通常ウエルをさらに備えていることが好ましい。その結果、Iウエルと通常ウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタについて電気的特性を同じにすることができ、回路設計が簡単になる。
【0041】
参考例の半導体装置において、上記半導体基板の上記ディープウエルの形成領域とは異なる領域に、上記Iウエルとは異なるウエル濃度をもつ第1導電型の通常ウエルをさらに備えていることが好ましい。その結果、Iウエルと通常ウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタについて電気的特性を異ならせることができ、回路設計の自由度を向上させ、高機能の集積回路を実現できる。
【0042】
参考例の半導体装置において、水平方向の寸法が異なる複数の上記Iウエルを備えていることが好ましい。
Iウエルの水平方向の寸法が異なると、下層のディープウエルのウエル濃度プロファイルが異なり、延いてはIウエルのウエル濃度プロファイルが異なる。これにより、水平方向の寸法が異なる複数のIウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタについて電気的特性を異ならせることができ、回路設計の自由度を向上させ、高機能の集積回路を実現できる。
【0043】
参考例の半導体装置において、上記ディープウエル内に上記Iウエルとは電気的に分離された第1導電型の第2Iウエルをさらに備えていることが好ましい。
Iウエルと第2Iウエルが同程度の第1導電型不純物濃度をもつ場合、Iウエルと第2Iウエルでは、ディープウエル形成用の第2導電型不純物の水平方向での濃度分布に起因して実効的なウエル濃度が異なる。これにより、これらのIウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタについて電気的特性を異ならせることができ、回路設計の自由度を向上させ、高機能の集積回路を実現できる。
また、Iウエルと第2Iウエルが異なる第1導電型不純物濃度をもつ場合であっても、両Iウエルの実効的なウエル濃度を異ならせることができる。
【0044】
上記第2Iウエルを備えた参考例の半導体装置において、上記第2Iウエルは上記Iウエル形成領域よりも第2導電型不純物濃度が濃い領域に形成されており、上記Iウエルに低電圧で動作するトランジスタを備え、上記第2Iウエルに高電圧で動作するトランジスタを備えていることが好ましい。
Iウエルと第2Iウエルが同程度の第1導電型不純物濃度をもつ場合、及びIウエルが第2Iウエルよりも濃い第1導電型不純物濃度をもつ場合、Iウエル形成領域は第2Iウエル形成領域に比べてディープウエル形成用の第2導電型不純物濃度が薄いため、Iウエルの実効的なウエル濃度は第2Iウエルよりも濃くなる。そこで、Iウエルと第2Iウエルの実効的なウエル濃度の違いを利用して、実効的なウエル濃度が比較的濃いIウエルには低電圧で動作するトランジスタを備え、実効的なウエル濃度が比較的薄い第2Iウエルには高電圧で動作するトランジスタを備えることにより、必要とされる仕様に応じて最も適したウエルを選択することができ、回路全体の性能を向上させることができ、製品の高性能化を実現できる。
【0045】
本発明の製造方法において、同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成された上記Iウエル内の、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成する工程を含むことが好ましい。
Iウエルは水平方向にウエル濃度分布をもつ(図3(B)参照)。同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成されたIウエル内のIウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置では、ディープウエル形成用の第2導電型不純物の濃度が同じなので、Iウエル表面の実効的なウエル濃度は同じである。したがって、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成することにより、同じ電気的特性をもつ同じ構成の複数のトランジスタを形成することができる。
【0046】
本発明の製造方法において、同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成された上記Iウエル内の、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成する工程を含むことが好ましい。
Iウエルは水平方向にウエル濃度分布をもつ(図3(B)参照)。同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成されたIウエル内のIウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置ではIウエル表面の実効的なウエル濃度は異なる。Iウエル内に同じ構成の複数のトランジスタを形成する際、意図的にIウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置にトランジスタをそれぞれ配置すれば、実効的なウエル濃度の違いが反映されて、トランジスタの電気的特性が違ったものになる。配置する位置ごとのトランジスタの電気的特性を事前に把握しておけば、チャネルドープなどの追加の工程なしで、異なる電気的特性をもつ同じ構成の複数のトランジスタを形成することができる。
【0047】
本発明の製造方法において、上記Iウエルと上記通常ウエルが同程度のウエル濃度をもつように上記工程(C)のイオン注入条件を設定することが好ましい。
本発明の製造方法においては、Iウエル形成用のイオン注入と通常ウエル形成用のイオン注入を1回のイオン注入工程により行なう(工程(C))。ここで、第1導電型のIウエルは第2導電型不純物が存在するディープウエル内に形成されるため、実効的なウエル濃度は通常ウエルよりも若干ながら薄くなる。イオン注入条件によってはこの差が無視できない場合があり、Iウエルと通常ウエルに同じ構成のトランジスタを形成してもトランジスタの電気的特性が異なってしまい、回路設計が複雑化する。これを回避するにはIウエルと通常ウエルを形成するためのイオン注入量を濃くすればよい。これにより、Iウエルと通常ウエルの不純物濃度はほぼ同じになり、Iウエルと通常ウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタに関してトランジスタの電気的特性を同じにすることができ、回路設計を簡単にすることができる。
【0048】
本発明の製造方法において、上記Iウエルと上記通常ウエルが異なるウエル濃度をもつように上記工程(C)のイオン注入条件を設定することが好ましい。
上記で説明したように、本発明の製造方法においては、Iウエル形成用のイオン注入と通常ウエル形成用のイオン注入を1回のイオン注入工程により行なうので(工程(C))、イオン注入条件によってはIウエルの実効的なウエル濃度は通常ウエルよりも若干ながら薄くなる。そこで、Iウエルと通常ウエルの実効的なウエル濃度の違いを積極的に利用して、トランジスタの電気的特性を異ならせることができる。これにより、同じ構成のトランジスタであってもチャネルドープなどの工程を追加することなく、トランジスタの電気的特性を異ならせることができる。
【0049】
本発明の製造方法において、上記マスクパターンとして、複数の上記開口部間で、上記島状パターンの水平方向での寸法が異なっているものを用いることが好ましい。
Iウエル形成領域において、Iウエル形成領域の周囲に注入された第2導電型不純物の横方向拡散の結果としてディープウエルに転ずることから、島状パターンの水平方向での寸法を変えることにより、Iウエル形成領域におけるディープウエル形成用の第2導電型不純物の濃度分布を変えることができる。例えば島状パターンの水平方向での最短寸法を小さくするとディープウエルの第2導電型不純物濃度が高くなり、大きくすると第2導電型不純物濃度が低くなる。ディープウエルの第2導電型不純物濃度の違いはIウエルの実効的なウエル濃度に反映され、さらにIウエルに作り込むトランジスタの電気的特性に反映される。これにより、水平方向での寸法が異なる複数の島状パターンに基づいて形成された複数のIウエル間で、実効的なウエル濃度分布を異ならせることができ、同じ構成のトランジスタであっても、チャネルドープなどの工程を追加することなく、トランジスタの電気的特性を異ならせることができる。
【0050】
本発明の製造方法において、上記ディープウエル内に上記Iウエルとは電気的に分離された第1導電型の第2Iウエルを形成する工程を含むことが好ましい。
Iウエルと第2Iウエルを同程度のイオン注入条件でそれぞれ形成した場合、Iウエルと第2Iウエルでは、ディープウエル形成用の第2導電型不純物の水平方向での濃度分布に起因して実効的なウエル濃度が異なる。これにより、これらのIウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタについて電気的特性を異ならせることができ、回路設計の自由度を向上させ、製品の高機能化を実現できる。また、Iウエルと第2Iウエルを異なるイオン注入条件でそれぞれ形成した場合も、両Iウエルの実効的なウエル濃度を異ならせることができる。
【0051】
第2Iウエルを形成する工程を含む本発明の製造方法において、上記第2Iウエルを上記Iウエル形成領域よりも第2導電型不純物濃度が濃い領域に形成し、上記Iウエルに低電圧で動作するトランジスタを形成し、上記第2Iウエルに高電圧で動作するトランジスタを形成する工程を含むことが好ましい。
Iウエルと第2Iウエルを同程度のイオン注入条件でそれぞれ形成した場合、及びIウエルを第2Iウエルよりも大きい注入量のイオン注入条件で形成した場合、Iウエル形成領域は第2Iウエル形成領域に比べてディープウエル形成用の第2導電型不純物の濃度が薄いため、Iウエルの実効的なウエル濃度は第2Iウエルよりも濃くなる。そこで、Iウエルと第2Iウエルの実効的なウエル濃度の違いを利用して、実効的なウエル濃度が比較的濃いIウエルには低電圧で動作するトランジスタを形成し、実効的なウエル濃度が比較的薄い第2Iウエルには高電圧で動作するトランジスタを形成することにより、必要とされる仕様に応じて最も適したウエルを選択することができ、回路全体の性能を向上させることができ、製品の高性能化を実現できる。
【0052】
【実施例】
図5は半導体装置の一参考例を示す断面図である。図5を用いてこの参考例を説明する。
P基板1にN型のディープウエル(ディープNウエル(DNW))3が形成されている。ディープNウエル3はIPウエル形成領域6の周囲に注入されたリンの横方向拡散によって形成されたものであり、IPウエル形成領域6において底面が部分的に浅くなっている。IPウエル形成領域6では、中心側ほどディープNウエル3形成用のリン濃度が薄くなっている。
【0053】
ディープNウエル3のIPウエル形成領域6に、P基板1とは電気的に分離されたP型のIウエル(IPウエル(IPW))5が形成されている。IPウエル5の実効的なウエル濃度は、図3に示したように、IPウエル形成領域6の中心側ほどリン濃度が薄くなっている谷形状になっていることを反映して、IPウエル形成領域6の中心部から周辺部に向かうにしたがって薄くなっている。
【0054】
IPウエル5の表面側に、N型の拡散層からなるソース5sとドレイン5dが互いに間隔をもって形成されている。ソース5s、ドレイン5d間のIPウエル5上にゲート酸化膜5oxを介してゲート電極5gが形成されている。ソース5s、ドレイン5d、ゲート酸化膜5ox及びゲート電極5gはNchトランジスタを構成する。
【0055】
P基板1にはN型の通常ウエル(Nウエル(NW))7も形成されている。Nウエル7の表面側に、P型の拡散層からなるソース7sとドレイン7dが互いに間隔をもって形成されている。ソース7s、ドレイン7d間のNウエル7上にゲート酸化膜7oxを介してゲート電極7gが形成されている。ソース7s、ドレイン7d、ゲート酸化膜7ox及びゲート電極7gはPchトランジスタを構成する。
【0056】
P基板1にはP型の通常ウエル(Pウエル(PW))9も形成されている。Nウエル9の表面側に、N型の拡散層からなるソース9sとドレイン9dが互いに間隔をもって形成されている。ソース9s、ドレイン9d間のNウエル9上にゲート酸化膜9oxを介してゲート電極9gが形成されている。ソース9s、ドレイン9d、ゲート酸化膜9ox及びゲート電極9gはNchトランジスタを構成する。
【0057】
図1は、製造方法の一実施例を示す工程断面図である。図2は、図1(a)の状態を示す平面図である。図1(a)は図2のA−B位置での断面を示す。図1、図2及び図5を用いてこの実施例を説明する。
【0058】
(1)P基板1にシリコン窒化膜11を例えば100nmの膜厚で堆積する。写真製版により、シリコン窒化膜11上に、ディープNウエル形成領域及びIPウェル形成領域6を画定するためのレジストパターン13を形成する。ここで重要な点は、図2に示すように、レジストパターン13の開口部13bが環状であることにある。つまり、レジストパターン13の開口部13b内に、IPウエル形成領域6に対応して、レジストパターン13の一部を構成する島状のレジストパターン13aが存在する。ここでレジストパターン13aのA−B方向の寸法をLとする。寸法Lは例えば6μmである。
【0059】
レジストパターン13,13aをマスクにして、シリコン窒化膜11をエッチングし、パターニングする。パターニングされたシリコン窒化膜11は本発明の製造方法で用いるマスクパターンを構成する。シリコン窒化膜11にはレジストパターン13の開口部13bに対応して開口部11bが形成され、レジストパターン13aに対応して島状のシリコン窒化膜(島状パターン)11aが形成される。
レジストパターン13,13a及びシリコン窒化膜11,11aをマスクにして、イオン注入技術を用いて、例えば加速エネルギーは160KeV、注入量は2×1013cm-2のイオン注入条件で、P基板1にリン15をイオン注入する(図1(a)参照)。
【0060】
(2)レジストパターン13,13aを除去した後、例えば酸化雰囲気で温度は920度、時間は120分間の条件で熱酸化処理を行なう。これにより、シリコン窒化膜11,11aが開口している領域のP基板1表面に環状の熱酸化膜17が300nmの膜厚に成長する。続けて、周辺雰囲気を窒素雰囲気に変えて、P基板1に注入したリンを熱拡散させるために、例えば温度は1180度、時間は5時間の条件でアニール処理を行なう。このアニール処理によってリンは深さ方向に拡散し、同時に横方向にも拡散する。拡散する距離は深さ方向に約6μm、横方向に約5μmである。これにより、ディープNウエル(DNW)3が形成され、IPウエル形成領域6のシリコン窒化膜11aの下部全面にもディープNウエル3が形成される(図1(b)参照)。
【0061】
図1(a)に示すように、シリコン窒化膜11a下部のIPウエル形成領域6にはディープNウエル3を形成するためのリンは元々は注入されていない。にもかかわらず、図1(b)に示すように、IPウエル形成領域6にディープNウエル3が形成される理由は、1つはアニール処理が高温でかつ長時間であるために横方向拡散が大きいこと、もう1つはIPウエル形成領域6の周囲は全てリンが注入された領域で囲まれていることにある。つまり、レイアウトが重要である。
【0062】
(3)シリコン窒化膜11,11aを除去した後、シリコン窒化膜19を100nmの膜厚で堆積する。写真製版により、通常のNウエル形成領域を画定するためのレジストパターン21を形成する。レジストパターン21をマスクにしてシリコン窒化膜19をエッチングする。レジストパターン21及びシリコン窒化膜19をマスクにして、イオン注入技術を用いて加速エネルギーは160KeV、注入量は1×1013cm-2のイオン注入条件でリン23をP基板1にイオン注入する(図1(c)参照)。
【0063】
(4)レジストパターン21を除去した後、例えば酸化雰囲気で温度は920度、時間は120分間の条件で熱酸化処理を行なう。これにより、シリコン窒化膜19が開口している領域のP基板1表面に熱酸化膜25が300nmの膜厚に成長する。それと同時にP基板1に注入されたリンが熱拡散され、Nウエル(NW)7が形成される(図1(d)参照)。図1(d)では既に形成されていた環状の熱酸化膜17と一体化する形で熱酸化膜25を図示している。
【0064】
(5)シリコン窒化膜19を除去した後、熱酸化膜17,25をマスクにして、イオン注入技術を用いてボロン27をP基板1にイオン注入する。その際、熱酸化膜17,25が注入マスクとして機能するようなイオン注入条件を選択する。
イオン注入条件としては、例えば加速エネルギーは30KeV、注入量は1×1013cm-2が適当である。ボロン27のP基板1への注入を熱酸化膜17及び熱酸化膜25が遮るため、結果として、熱酸化膜17及び熱酸化膜25以外の領域のP基板1にボロン27が注入されることになる。ボロン27が注入される領域は、ディープNウエル3内のIPウエル形成領域6と、IPウエル形成領域6及び熱酸化膜17,25以外のPウエル形成領域の2種類がある。本発明の製造方法では、IPウエル形成領域6とPウエル形成領域に同時にボロン注入を行なう(図1(e)参照)。
従来の製造方法では、図14(e)及び(f)を参照して説明したように、Pウエル形成用のイオン注入とIPウエル形成用のイオン注入を別々の工程で行なっている。それに対して、本発明の製造方法ではIPウエル形成領域6とPウエル形成領域の両方にボロン27を同時に注入をすることができる。
【0065】
(6)熱酸化膜17,25を除去した後、IPウエル形成領域6及びPウエル形成領域に注入したボロンを熱拡散させるためのアニール処理を行なう。アニール処理の条件としては、例えば窒素雰囲気で温度は1150度、時間は60分間の条件が適当である。これにより、IPウエル形成領域6及びPウエル形成領域に注入されたボロンが拡散する。ディープNウエル3内のIPウエル形成領域6に注入されたボロンは熱拡散してP型のウエルを形成する。ここで、そのウエルは周囲を全てディープNウエル3に囲まれていることからIPウエルそのものである。すなわちIPウエル形成領域6に注入されたボロンはIPウエル(IPW)5を形成する。また、Pウエル形成領域に注入されたボロンはこのアニール処理でPウエル(PW)9を形成する。このようにして、IPウエル5とPウエル9を写真製版工程なしで同時に形成する(図1(f)参照)。
【0066】
IPウエル5、Nウエル7及びPウエル9の領域を含むP基板1上全面にゲート酸化膜5ox,7ox,9ox用の酸化膜を形成し、さらにその上にゲート電極用のポリシリコン膜を形成する。そのポリシリコン膜をパターニングして、IPウエル5、Nウエル7及びPウエル9上にゲート電極5g,7g,9gを形成する。
ゲート電極5g,9gをマスクにして、IPウエル5及びPウエル9にリン又はヒ素をイオン注入して、IPウエル5にN型のソース5s及びドレイン5dを形成し、Pウエル9にN型のソース9s及びドレイン9dを形成する。ゲート電極7gをマスクにして、Nウエル7にボロン又はBF2をイオン注入して、P型のソース7s及びドレイン7dを形成する。これにより、IPウエル5及びPウエル9にそれぞれNchトランジスタを形成し、Nウエル7にPchトランジスタを形成する(図5参照)。
【0067】
本発明の製造方法によれば、ディープNウエル3、IPウエル5、Nウエル7及びPウエル9の4種類のウエル構造を合計2回の写真製版工程で形成できる。
つまり、▲1▼ディープNウエル3の形成領域及びIPウエル5の形成領域6を画定するためのレジストパターン13を形成する写真製版工程(図1(a)参照)、▲2▼Nウエル7の形成領域を画定するためのレジストパターン21を形成する写真製版工程(図1(c)参照)である。Pウエル9は熱酸化膜17,25を用いることにより写真製版工程なしで形成する。
本発明の製造方法によれば、従来技術では解決できなかった写真製版工程回数の削減が可能になり、コスト低減と短工期化に対して大きく貢献する。
【0068】
本発明の製造方法では、IPウエル形成領域6に形成するレジストパターン13a及びシリコン窒化膜11aの寸法Lが非常に重要である。すなわち寸法Lが余りに大きいと、IPウエル形成領域6が完全にはディープNウエル3にならない場合が起こりうる。この様子を表したものを図6に示す。
【0069】
図6は本発明の製造方法におけるディープウエル形成後の状態を示す断面図であり、(a)は良品、(b)は不具合を含むものを示す。
(a)では、IPウエル形成領域6の全領域にディープNウエル3が形成されている。しかし、(b)では、IPウエル形成領域6を画定するためのシリコン窒化膜11aの寸法L’が大きいため、IPウエル形成領域6に完全にはディープNウエル3が形成されていない。この現象は、ディープNウエル3を形成するためのリンの横方向拡散がIPウエル形成領域6の中心部まで到達できないことに起因している。
【0070】
図2(B)に示すような状態でIPウエルの形成を行なうと、IPウエルをディープNウエル内に完全には作り込むことができなくなる。
IPウエル形成領域の一部分にディープNウエルが形成されていない領域が存在する状態(図6(b)参照)からIPウエルを形成した場合のシミュレーション結果のウエル分布図を図7に示す。
図7中の濃い線31はPN接合を示す。IPウエル5の底面にPN接合が形成されていない部分が存在し、P基板1とIPウエル5とが電気的につながっているのがわかる。この状態では、トリプルウエルの長所がなくなってしまう。
【0071】
図4を参照して説明したように、不純物の横方向拡散長(距離H)は、深さ方向の拡散長(距離D)、すなわち接合深さとほぼ等しいことから、IPウエル形成領域6を完全にディープNウエル3にするためには、シリコン窒化膜11aの最短寸法Lは、少なくともディープNウエル3の接合深さの2倍より小さいことが要求される。
【0072】
IPウエル形成領域の全領域に十分な深さのディープNウエルが形成されている状態(図2(A)参照)からIPウエルを形成した場合のシミュレーション結果のウエル分布図は、図3(A)に示したものと同じである。P基板1とIPウエル5の間にディープNウエル3が存在し、P基板1とIPウエル5が電気的に分離されているのがわかる。
【0073】
図5において、上記で図3(B)を参照して説明したのと同様に、IPウエル形成領域6のリンの濃度プロファイルは完全には平坦ではないので(波形38参照)、IPウエル5の実効的なウエル濃度プロファイルは完全には平坦ではない(波形37参照)。IPウエル5の実効的なウエル濃度はIPウエル形成領域6の中心部から周辺部に向かうにしたがって薄くなっている。
【0074】
トランジスタの電気的特性は、トランジスタのチャネル領域が形成される領域の濃度プロファイルを反映することが知られている。図5ではIPウエル5に1つのNchトランジスタのみを図示しているが、IPウエル5内に同じ構成の複数のトランジスタを形成する場合、IPウエル5は平面方向に実効的なウエル濃度の分布をもっているので、トランジスタを形成するIPウエル5の位置、すなわちIPウエル5の表面からディープNウエル3の底面までの鉛直方向の距離に応じてトランジスタの電気的特性が変動することが考えられる。それを回避するためには、同一又は異なるIPウエル5上に形成する、特性を同じにしたい同じ構成の複数のトランジスタに関し、IPウエル5の表面からディープNウエル3の底面までの鉛直方向の距離を揃えるように配置すればよい。これにより、IPウエル5の実効的なウエル濃度プロファイルが完全には平坦ではなくても、同じ電気的特性をもつ同じ構成のトランジスタを形成することができる。
【0075】
一方、同一又は異なるIPウエル5上に形成する同じ構成の複数のトランジスタに関し、意図的にIPウエル5の表面からディープNウエル3の底面までの鉛直方向の距離が異なる位置に配置すれば、IPウエル5のウエル濃度プロファイルの違いが反映されて、トランジスタの電気的特性が違ったものになる。配置する位置ごとのトランジスタの電気的特性を事前に把握しておけば、同じ構成の複数のトランジスタに関して、チャネルドープなどの追加の工程なしで電気的特性を異ならせることができる。
【0076】
本発明の製造方法においては、図1(e)及び(f)に示すように、IPウエル5とPウエル9を同時に形成する。
しかし、IPウエル5はディープNウエル3内に形成されるため、IPウエル5の実効的なウエル濃度はPウエル9よりも若干ながら薄くなる。イオン注入条件によってはこの差が無視できない場合があり、IPウエル5とPウエル9のそれぞれに同じ構成のトランジスタを形成しても電気的特性が異なってしまい、回路設計が複雑化する。
【0077】
これを回避するにはIPウエル5とPウエル9を形成するためのボロンの注入量を濃くすればよい。イオン注入条件としては、例えば加速エネルギーは30KeV、注入量は1×1013cm-2が適当である。これにより、IPウエル5及びPウエル9の実効的なウエル濃度はほぼ同じになり、IPウエル5とPウエル9のそれぞれに形成された同じ構成のトランジスタに関して電気的特性を同じにすることができる。
【0078】
また、IPウエル5とPウエル9の不純物濃度の違いを積極的に利用してトランジスタの電気的特性を異ならせることもできる。これにより、同じ構成の複数のトランジスタに関し、チャネルドープなどの工程を追加することなく、電気的特性が異なるトランジスタを形成することが可能となり、回路全体の性能が向上する。
【0079】
IPウエル形成領域6において、IPウエル形成領域6の周囲に注入されたリンの横方向拡散の結果としてディープNウエル3に転ずることから、IPウエル形成領域6の大きさを変えることで、IPウエル形成領域6におけるリン濃度を異ならせることができる。このことは上記で説明した図3からも明らかであり、寸法Lを変えることでリン濃度が変わることが理解できる。例えば寸法Lを小さくするとIPウエル形成領域6におけるリン濃度が高くなり、大きくするとリン濃度が低くなる。IPウエル形成領域6におけるリン濃度の違いはIPウエル5に作り込むトランジスタの電気的特性にそのまま反映されるため、IPウエル形成領域6の大きさを変えることによりトランジスタの電気的特性を異ならせることができる。
【0080】
島状パターンの寸法を小さくしてトリプルウエルを製造したときの(A)シミュレーション結果のウエル分布及び(B)IPウエルのウエル濃度プロファイルを図8に示す。(B)のウエル濃度プロファイルは(A)の直線A位置でのものである。製造工程は図1を参照して説明した実施例と同様である。ここでは島状パターンの寸法Lを4μmに設定した。
【0081】
(A)において、濃い線33aはIPウエル5とディープNウエル3の間のPN接合を示し、濃い線35はP基板1とディープNウエル3の間のPN接合を示す。島状パターンの寸法Lが6μmのときの図3(A)に比べ、IPウエル形成領域6においてディープNウエル3の底面が深くなっていることがわかる。
【0082】
(B)において、波形37aは実効的なウエル濃度を示すNet Doping、波形38aはリン濃度、波形39aはボロン濃度を示す。IPウエル形成領域6には、IPウエル5の周囲に注入されたリンが横方向拡散して存在している。波形38aに示されるように、IPウエル形成領域6でのリンの濃度プロファイルは谷形状になる。島状パターンの寸法Lが6μmのときの図3(B)でのリンの濃度プロファイル(波形38)に比べると、島状パターンの寸法Lが4μmのときはリンの濃度プロファイルの谷形状は小さくなり、IPウエル形成領域6におけるリン濃度が濃くなっている。これを反映して、IPウエル5の実効的なウエル濃度は、島状パターンの寸法Lが6μmのときよりも4μmのときの方が小さくなっている。
このように、島状パターンの寸法を異ならせることにより、IPウエルの実効的なウエル濃度分布を異ならせることができ、同じ構成のトランジスタであっても、チャネルドープなどの工程を追加することなく、トランジスタの電気的特性を異ならせることができる。
【0083】
上記の実施例は図5の構成を基本として説明した。本発明の製造方法を用いることで従来技術よりも少ない写真製版工程回数でトリプルウエルを形成することができるが、IPウエル形成領域6はリンの横方向拡散を利用した領域であるため、IPウエル5下部でディープNウエル3の接合深さが部分的に浅くなる。接合深さが浅くなるとその部分でP基板1とIPウエル5の分離耐性が低下するため、P基板1とIPウエル5の絶縁性が悪くなってしまう。
【0084】
これを回避するには、ディープNウエル3の接合深さが均一な領域に、もう一つ別のIPウエル(第2IPウエル)を形成すればよい。これにより、設計の自由度が向上し製品の高機能化が実現できる。その参考例を図9に示す。
図9は半導体装置の他の参考例を示す断面図である。図5と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。
【0085】
P基板1にディープNウエル3、IPウエル5、Nウエル7及びPウエル9が形成されている。IPウエル5にはソース5s、ドレイン5d、ゲート酸化膜5ox及びゲート電極5gからなるNchトランジスタが形成されている。Nウエル7にはソース7s、ドレイン7d、ゲート酸化膜7ox及びゲート電極7gからなるPchトランジスタが形成されている。Pウエル9にはソース9s、ドレイン9d、ゲート酸化膜9ox及びゲート電極9gからなるNchトランジスタが形成されている。符号6はIPウエル形成領域である。
ディープNウエル3の接合深さがほぼ均一な領域に、P型の第2Iウエル(第2IPウエル)39が形成されている。第2IPウエル39にはソース39s、ドレイン39d、ゲート酸化膜39ox及びゲート電極39gからなるNchトランジスタが形成されている。
【0086】
図10は、製造方法の他の実施例の工程の一部を示す工程断面図である。この実施例において、P基板1にディープNウエル3、IPウエル5、Nウエル7及びPウエル9を形成する工程は図1を参照して説明した実施例と同じなので説明は省略する。図9及び図10を参照してこの実施例を説明する。
【0087】
P基板1にディープNウエル3、IPウエル5、Nウエル7及びPウエル9を形成した後(図1(f)参照)、写真製版により、第2IPウエルの形成領域を画定するためのレジストパターン41を形成する。レジストパターン41をマスクにして、例えば加速エネルギーは30KeV、注入量は3×1013cm-2のイオン注入条件でボロン43をディープNウエル3にイオン注入する(図10(a)参照)。
【0088】
レジストパターン41を除去した後、第2IPウエル形成領域に注入したボロンを熱拡散させるためのアニール処理を行なう。アニール処理の条件としては例えば窒素雰囲気で温度は1150度、時間は60分間の条件が適当である。これにより、ボロンが拡散して第2IPウエル39が形成される(図10(b)参照)。
【0089】
IPウエル5、Nウエル7、Pウエル9及び第2IPウエル39の領域を含むP基板1上全面にゲート酸化膜5ox,7ox,9ox,39ox用の酸化膜を形成し、さらにその上にゲート電極用のポリシリコン膜を形成する。そのポリシリコン膜をパターニングして、IPウエル5、Nウエル7、Pウエル9及び第2IPウエル39上にゲート電極5g,7g,9g,39gを形成する。ゲート電極5g,9g,39gをマスクにして、IPウエル5、Pウエル9及び第2IPウエル39にリン又はヒ素をイオン注入して、IPウエル5にN型のソース5s及びドレイン5dを形成し、Pウエル9にN型のソース9s及びドレイン9dを形成し、第2IPウエル39にN型のソース39s及びドレイン39dを形成する。ゲート電極7gをマスクにして、Nウエル7にボロン又はBF2をイオン注入して、P型のソース7s及びドレイン7dを形成する。これにより、IPウエル5及びPウエル9にNchトランジスタを形成し、Nウエル7にPchトランジスタを形成する(図9参照)。
【0090】
この実施例ではIPウエル5とPウエル9を形成するためのアニール処理を行なった後、第2IPウエル形成領域に注入したボロンを熱拡散させるためのアニール処理を行なっているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばIPウエル形成領域6及びPウエル形成領域にボロン注入を行なった後、アニール処理を行なわずに、第2IPウエル形成領域にボロン注入を行ない、その後アニール処理を行なってボロンを熱拡散させて、IPウエル5、Pウエル9及び第2IPウエル39を同時に形成するようにしてもよい。
【0091】
図9に示したIPウエル5と第2IPウエル39の相違点を考える。
IPウエル5と第2IPウエル39が同程度のボロン濃度を持つ場合、IPウエル形成領域6はディープNウエル3形成用のリン濃度が第2IPウエル39の形成領域に比べて薄いため、IPウエル5の実効的なウエル濃度は第2IPウエル39に比べて濃くなる。IPウエル5と第2IPウエル39の実効的なウエル濃度の差はそのままトランジスタの電気的特性の違いとなる。しがたって、IPウエル5と第2IPウエル39の実効的なウエル濃度の違いを利用して、同じ構成のトランジスタの電気的特性を異ならせることができる。
【0092】
IPウエル5はリン濃度が比較的薄い、すなわち実効的なウエル濃度が比較的濃いので、低い電圧帯の制御回路の構成に向いている。一方、第2IPウエル39はリン濃度が比較的濃い、すなわち実効的なウエル濃度が比較的薄いので、高い電圧帯の制御回路の構成に向いている。必要とされる仕様に応じて最も適したIPウエル5、Pウエル9又は第2IPウエル39を選択することにより、回路全体の性能が向上し製品の高性能化が実現できる。例えば、IPウエル5内に低電圧で動作することを目的とするトランジスタを作り込み、第2IPウエル39内に高電圧で動作することを目的とするトランジスタを作り込む。ただし、本発明の半導体装置及び製造方法はこれに限定されるものではない。
【0093】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、多様な形態で実現が可能である。
例えば、上記の実施例ではP基板を用いているが、N基板であっても導電型を入れ替えることで同様に適用できる。
【0094】
また、膜厚や材質は明瞭性を強調するためのものであって、これらに限定されるものではない。例えばウエル領域を画定するためのマスクパターンとしてシリコン窒化膜を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、下層がシリコン酸化膜、上層がシリコン窒化膜の積層膜など、他の材料からなるマスクパターンであってもよい。
また、ウエルを形成するための不純物としてはリン及びボロンを用いて説明したが、これらはヒ素やBF2であってもよい。
また、注入条件としてはエネルギーと注入量のみ説明したが注入角度などは特に限定せず、例えば斜めイオン注入を適用してもよい。
【0095】
また、上記の実施例ではマスクパターンの島状パターンは単純な長方形により形成されているが、本発明の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば図11に示すような多角形の島状のレジストパターン45をマスクとして形成した多角形の島状パターンなど、他の形状であってもよい。
また、上記の実施例ではトランジスタとしてシングルドレイン構造のものを形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、トランジスタの構造はLDD(Lightly Doped Drain)構造など、他の構造であってもよい。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0104】
【発明の効果】
請求項1に記載の製造方法では、ディープウエル形成領域に対応して開口部をもち、その開口部内にIウエル形成領域に対応して島状パターンをもつマスクパターンをマスクにして、半導体基板にディープウエル形成用の第2導電型不純物をイオン注入し(工程(A))、マスクパターンを残した状態で熱酸化処理を施して半導体基板の表面に選択的に環状の熱酸化膜を形成し、さらにアニール処理を施してディープウエル形成用に注入した第2導電型不純物を熱拡散させて島状パターンの下部全面にも不純物の横方向拡散によってディープウエルを形成し(工程(B))、マスクパターンを除去した後、選択的に形成した環状の熱酸化膜をIウエル形成用のイオン注入時のマスクとして用いてIウエル及び通常ウエル形成用の第1導電型不純物をイオン注入し(工程(C))、アニール処理を施して、ディープウエルに第1導電型のIウエルと、半導体基板に第1導電型の通常ウエルを同時に形成するようにしたので(工程(D))、共通のマスクパターンによってディープウエル形成領域とIウエル形成領域の両方を画定することができ、従来技術よりも少ない写真製版工程回数でトリプルウエルを形成することができる。さらに、1回の写真製版工程で、トリプルウエルに加えて、第1導電型の通常ウエルも同時に形成することができる。
【0105】
請求項2に記載の製造方法では、島状パターンの水平方向での最短寸法はディープウエルの深さの2倍よりも小さく設定されているようにしたので、Iウエル底部付近にディープウエルを確実に形成ことができ、半導体基板とは電気的に分離されたIウエルを形成することができる。
【0106】
請求項3に記載の製造方法では、同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成されたIウエル内の、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成する工程を含むようにしたので、同じ電気的特性をもつ同じ構成の複数のトランジスタを形成することができる。
【0107】
請求項4に記載の製造方法では、同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成されたIウエル内の、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成する工程を含むようにしたので、チャネルドープなどの追加の工程なしで、異なる電気的特性をもつ同じ構成の複数のトランジスタを形成することができる。
【0108】
請求項5に記載の製造方法では、Iウエルと通常ウエルが同程度のウエル濃度をもつように工程(C)のイオン注入条件を設定するようにしたので、Iウエルと通常ウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタに関して電気的特性を同じにすることができ、回路設計を簡単にすることができる。
【0109】
請求項6に記載の製造方法では、Iウエルと通常ウエルが異なるウエル濃度をもつように工程(C)のイオン注入条件を設定するようにしたので、同じ構成のトランジスタであってもチャネルドープなどの工程を追加することなく、トランジスタの電気的特性を異ならせることができる。
【0110】
請求項7に記載の製造方法では、マスクパターンとして、複数の開口部間で、島状パターンの水平方向での寸法が異なっているものを用いるようにしたので、Iウエル形成領域におけるディープウエル形成用の不純物の濃度分布を異ならせることができ、延いてはIウエルの実効的なウエル濃度分布を異ならせることができ、同じ構成のトランジスタであっても、チャネルドープなどの工程を追加することなく、電気的特性を異ならせることができる。
【0111】
請求項8に記載の製造方法では、ディープウエル内にIウエルとは電気的に分離された第1導電型の第2Iウエルを形成する工程を含むようにしたので、Iウエルと第2Iウエルでは実効的なウエル濃度が異なり、これらのIウエルにそれぞれ形成する同じ構成のトランジスタについて電気的特性を異ならせることができ、回路設計の自由度を向上させ、製品の高機能化を実現できる。
【0112】
請求項9に記載の製造方法では、第2Iウエルをディープウエル内のIウエル形成領域よりも第2導電型不純物濃度が濃い領域に形成し、Iウエルに低電圧で動作するトランジスタを形成し、第2Iウエルに高電圧で動作するトランジスタを形成する工程を含むようにしたので、Iウエルと第2Iウエルの実効的なウエル濃度の違いを利用して、実効的なウエル濃度が比較的濃いIウエルには低電圧で動作するトランジスタを形成し、実効的なウエル濃度が比較的薄い第2Iウエルには高電圧で動作するトランジスタを形成することにより、必要とされる仕様に応じて最も適したウエルを選択することができ、回路全体の性能を向上させることができ、製品の高性能化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造方法の一実施例を示す工程断面図である。
【図2】 図1(a)の状態を示す平面図である。
【図3】 本発明の製造方法により製造されるトリプルウエルの(A)シミュレーション結果のウエル分布及び(B)IPウエルのウエル濃度プロファイルを示す図である。
【図4】 不純物の横方向拡散を説明するための概念図である。
【図5】 半導体装置の一参考例を示す断面図である。
【図6】 本発明の製造方法におけるディープウエル形成後の状態を示す断面図であり、(a)は良品、(b)は不具合を含むものを示す。
【図7】 IPウエル形成領域の一部分にディープNウエルが形成されていない領域が存在する状態からIPウエルを形成した場合のシミュレーション結果を示すウエル分布図である。
【図8】 本発明の製造方法において、島状パターンの寸法を小さくしてトリプルウエルを製造したときの(A)シミュレーション結果のウエル分布及び(B)IPウエルのウエル濃度プロファイルを示す図である。
【図9】 半導体装置の他の参考例を示す断面図である。
【図10】 製造方法の他の実施例の工程の一部を示す工程断面図である。
【図11】 製造方法で用いるマスクパターンを構成する島状パターンの他の形状を形成するためのレジストパターンを示す平面図である。
【図12】 トリプルウエルを備えた従来の半導体装置を示す断面図である。
【図13】 従来の製造方法の前半を示す工程断面図である。
【図14】 従来の製造方法の後半を示す工程断面図である。
【符号の説明】
1 P型の半導体基板(P基板)
3 ディープNウエル
5 P型のIウエル(IPウエル)
5d,7d,9d,39d ドレイン
5g,7g,9g,39g ゲート電極
5ox,7ox,9ox,39ox ゲート酸化膜
5s,7s,9s,39s ソース
7 N型の通常ウエル(Nウエル)
9 P型の通常ウエル(Pウエル)
11 マスクパターン(シリコン窒化膜)
11a 島状パターン(シリコン窒化膜)
11b 開口部
13,13a,21 レジストパターン
13b 開口部
15,23 リン
17 環状の熱酸化膜
19 シリコン窒化膜
25 熱酸化膜
27 ボロン
39 P型の第2Iウエル(第2IPウエル)
Claims (9)
- 以下の工程(A)から(D)を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(A)第1導電型の半導体基板上に、第2導電型のディープウエルの形成領域に対応して開口部をもち、前記開口部内に第1導電型のIウエルの形成領域に対応して島状パターンをもつマスクパターンを形成し、そのマスクパターンをマスクにして、前記半導体基板にディープウエル形成用の第2導電型不純物を選択的にイオン注入する工程、
(B)前記マスクパターンを残した状態で熱酸化処理を施して、露出している前記半導体基板の表面に選択的に環状の熱酸化膜を形成し、続けてアニール処理を施して第2導電型不純物を熱拡散させて前記島状パターンの下部全面に第2導電型のディープウエルを形成する工程、
(C)前記マスクパターンを除去した後、前記環状の熱酸化膜をマスクにして、前記半導体基板及び前記ディープウエルに、Iウエル及び通常ウエル形成用の第1導電型不純物を選択的にイオン注入する工程、
(D)アニール処理を施して、前記ディープウエルに第1導電型のIウエルと、前記半導体基板に第1導電型の通常ウエルを同時に形成する工程。 - 前記島状パターンの水平方向での最短寸法は前記ディープウエルの深さの2倍よりも小さく設定されている請求項1に記載の製造方法。
- 同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成された前記Iウエル内の、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が等しい位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成する工程を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
- 同じ寸法、形状及び配置の開口パターン及び島状パターンにより形成された前記Iウエル内の、Iウエル表面からディープウエル底面までの鉛直方向の距離が異なる位置に同じ構成の複数のトランジスタを形成する工程を含む請求項1、2又は3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記Iウエルと前記通常ウエルが同程度のウエル濃度をもつように前記工程(C)のイオン注入条件を設定する請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記Iウエルと前記第通常ウエルが異なるウエル濃度をもつように前記工程(C)のイオン注入条件を設定する請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記マスクパターンとして、複数の前記開口部間で、前記島状パターンの水平方向での寸法が異なっているものを用いる請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記ディープウエル内に前記Iウエルとは電気的に分離された第1導電型の第2Iウエルを形成する工程を含む請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第2Iウエルを前記Iウエル形成領域よりも第2導電型不純物濃度が濃い領域に形成し、前記Iウエルに低電圧で動作するトランジスタを形成し、前記第2Iウエルに高電圧で動作するトランジスタを形成する工程を含む請求項8に記載の製造方法。
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