JP4567964B2

JP4567964B2 - 二軸延伸積層フィルム

Info

Publication number: JP4567964B2
Application number: JP2003416477A
Authority: JP
Inventors: 一成南條
Original assignee: Kureha Corp; Unitika Ltd
Current assignee: Kureha Corp; Unitika Ltd
Priority date: 2003-12-15
Filing date: 2003-12-15
Publication date: 2010-10-27
Anticipated expiration: 2023-12-15
Also published as: JP2005169978A

Description

本発明はポリアミド系積層フィルムに関し、ポリアミドフィルムの優れた耐ピンホール性と、ポリグリコール酸フィルムの優れたガスバリア性とを併せ持ち、さらに優れた寸法安定性を有して、食品、医薬品等の包装材料に好適なポリアミド系積層フィルムに関する。

食品、医薬品などの包装材料においては優れた耐ピンホール性、透明性を有するポリアミドフィルムが多く用いられている。そしてガスバリア性が要求される分野においては、ポリアミドフィルムにポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤＣ）を積層したフィルムが用いられてきた。

しかしながら、近年の環境意識の高まりにより、塩素を含有するＰＶＤＣを積層したフィルムは敬遠されるようになり、非塩素系であるポリメタキシリレンジアジパミド（ＭＸＤ６）あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物（ＥＶＯＨ）を積層したフィルムが用いられるようになった。これらの積層フィルムは、ポリアミド単層フィルムに比べて強度が弱く、低温での屈曲や衝撃等に対する耐ピンホール性が不十分であるため、落下または、外部からのあるいは内容物による突き刺しの結果、ピンホールが生じて内容物の漏れ出しなどのトラブルが発生する場合があり、包装材料として機能的に十分満足できるものではなかった。また、これらの積層フィルムは、高湿度下でガスバリア性が大きく低下するという問題があり、水分活性の高い食品の包装用途には使用できないなど用途が限られていた。

一方、高湿度下でガスバリア性が低下しない新しい材料としてポリグリコール酸（ＰＧＡ）が開発されつつあり、ＰＧＡと熱可塑性樹脂との複合フィルムが特許文献１や２に開示されている。しかし、耐ピンホール性とガスバリア性の両方の特性を満足することができるＰＧＡとポリアミドとの積層フィルムは得られていなかった。
特開平１０−８０９９０号公報特開２００３−２０３４４号公報

本発明の課題は、ガスバリア性および耐ピンホール性を兼ね備えた新しいポリアミド系積層フィルムを提供することにある。

本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリアミドとポリグリコール酸を特定の層構成に積層することによって、ポリアミド単層フィルムの優れた耐ピンホール性を損なうことなく、優れたガスバリア性を付与した積層フィルムを提供できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。

主としてポリグリコール酸からなるＸ層と、主としてナイロン６からなるＹ層とを共押出して未延伸積層フィルムを製膜し、温度４０〜１２０℃で、縦横それぞれ２．５〜４．５倍の延伸倍率で同時二軸延伸して得られる二軸延伸積層フィルムであって、総厚みが１０〜５０μｍ、Ｘ層の厚みが総厚みの６〜４０％であり、５℃雰囲気下での１０００回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホールの発生個数が３個以下であることを特徴とする二軸延伸積層フィルム。

本発明の積層フィルムは、ポリアミドフィルムの優れた耐ピンホール性、透明性と、ＰＧＡフィルムの優れたガスバリア性を有する。すなわちＰＧＡ層を特定の厚みにすることにより、フィルムの強度を損なったり、原料コストを上げたりすることなく、耐ピンホール性が改善されたフィルムを得ることが可能となり、これまで制限されていたガスバリア性積層フィルムの使用範囲が大きく広がる。したがって、本発明の積層フィルムは、産業上の利用価値は極めて高いものである。

次に本発明を詳細に説明する。本発明において、Ｘ層の構成成分であるポリグリコール酸とは、繰り返し構造（−Ｏ−ＣＨ₂−ＣＯ−）を６０ｍｏｌ％以上含有する（共）重合体あるいはその混合物であり、好ましくは繰り返し構造（−Ｏ−ＣＨ₂−ＣＯ−）を８０ｍｏｌ％以上含有する（共）重合体あるいはその混合物である。また、Ｘ層のポリグリコール酸には、フィルムの性能を損なわない範囲においてポリ乳酸、ポリオレフィン、エラストマー、アイオノマーなどの樹脂や、滑剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤を配合することもできる。

本発明において、Ｙ層の構成成分として、ポリカプラミド（ナイロン６）を用いる。また、Ｙ層のナイロン６には、フィルムの性能を損なわない範囲においてタルク、シリカ、アルミナ、マグネシア、炭酸カルシウム、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸カルシウム等の滑剤や、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤を配合することもできる。

本発明の二軸延伸積層フィルムは、Ｘ層、Ｙ層の少なくとも２種の層から構成されるが、代表的な層構成としては、得られる積層フィルムの強度・ガスバリア性等の物性や、フィルム製造時のフィルム破断やＰＧＡの低ガラス転移温度に起因するトラブルを回避するために、ＰＧＡからなるＸ層を外部表面層としないほうが望ましい。具体的には、Ｙ／Ｘ／Ｙの３層構成であることが好ましく、さらに、接着剤からなるＺ層を用いて、Ｙ／Ｚ／Ｘ／Ｚ／Ｙの５層構成であることが好ましい。Ｚ層として用いる樹脂は、Ｘ層とＹ層との層間密着性が高いものであればよく、例えば、変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリウレタン、エポキシ樹脂等のポリマーが挙げられる。Ｚ層の厚みは、０．５〜４μｍ、好ましくは０．５〜２μｍの範囲である。この厚みが０．５μｍ未満では、接着性が不充分となるおそれがあり、塗布も困難である。この厚みが４μｍを超えると、コスト高であり経済的面から不利である。

また、Ｘ層の厚みは総厚みの６〜４０％であることが必要であり、１０〜３０％であることが好ましい。Ｘ層の厚みが総厚みの６％未満の場合、ガスバリア性が十分でなくなり、また、４０％を超えると耐ピンホール性が低下する。本発明の二軸延伸積層フィルムの厚み（総厚み）は１０〜５０μｍである。厚みがこの範囲より薄いと耐ピンホール性とガスバリア性の両立が困難となり、厚みがこの範囲より厚いと透明性や耐ピンホール性が低下する。

本発明の二軸延伸積層フィルムは、未延伸積層フィルムを二軸延伸することによって製造することができる。未延伸積層フィルムの製膜方法としては、各層を構成する数種の樹脂を別々の押出機中で溶融し、フィードブロック内で多層構造に重ね合わせた後、ダイスより押出す方法（モノマニホールドタイプ）や、溶融した数種の樹脂をダイス中にて多層構造に重ね合わせて押出すマルチマニホールド法等を用いることができるが、各層の厚み精度が高いことからマルチマニホールド法が好ましい。ダイスより共押出した後、冷却ロール上で急冷することにより未延伸積層フィルムが得られる。

未延伸積層フィルムの延伸方法としては、フラット式逐次二軸延伸、フラット式同時二軸延伸、チューブラ法等の方法を用いることができるが、フィルム厚み精度が良く、フィルム巾方向の物性が均一であることからフラット式同時二軸延伸法が最適である。フラット式同時二軸延伸法では、未延伸積層フィルムの端部をクリップで把持して温度４０〜１２０℃で、縦横それぞれ２．５〜４．５倍程度の延伸倍率で同時二軸延伸し、フィルム幅方向に１〜８％の弛緩率で温度１２０〜２２０℃で熱処理することにより、所望の厚みの二軸延伸積層フィルムを得ることができる。

本発明の二軸延伸積層フィルムは、主としてポリグリコール酸からなるＸ層と、主としてポリアミドからなるＹ層とを有する少なくとも２層からなり、Ｘ層の厚みが総厚みの６〜４０％であるので、５℃雰囲気下での１０００回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホールの発生個数を３個以下とすることができる。このような積層フィルムを包装用途に用いると、落下や突き刺しによってピンホールが生じ内容物が漏れ出すなどのトラブル発生を回避することができる。

また、本発明の二軸延伸積層フィルムは、上記構成からなるので、２０℃、１００％ＲＨ雰囲気下での酸素透過度を１００ｍｌ／（ｍ²・ｄａｙ・ＭＰａ）（／１枚厚み）以下とすることができる。酸素透過度がこの範囲であれば、この積層フィルムは、ガスバリア性が要求される食品、医薬品などの包装用途に用いることができる。

次に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例の評価に用いた原料および測定方法は次のとおりである。

（１）原料
ナイロン６：ユニチカ社製Ａ１０３０ＢＲＦ
ＰＧＡ：呉羽化学工業社製ホモポリマー
接着剤：住友化学工業社製ボンドファースト２Ｂ
ＥＶＯＨ：クラレ社製エバールＥＰ−Ｆ１０１ＢＺ（エチレン共重合率３２モル％、けん化度９９．５％以上）
ＭＸＤ６：三菱瓦斯化学社製ＭＸナイロンＳ６００７

（２）測定法

耐ピンホール性：
ＭＩＬ−Ｂ−１３１Ｆに示されるＦｅｄ．ＴｅｓｔＭｅｔｈｏｄＳｔｄ．１０１ＣのＭｅｔｈｏｄ２０１７に従い、１２インチ×８インチのサンプルを直径３．５インチの円筒状に把持し、初期把持間隔７インチ、最大屈曲時の把持間隔１インチとして、ゲルボテスター（理学工業社製）で５℃の条件下で１０００回屈曲を与えた後のピンホール数により評価した。

酸素透過度：
ＭｏｄｅｒｎＣｏｎｔｒｏｌ社製のＯＸ−ＴＲＡＮ２／２０を使用し、２０℃、８５％ＲＨおよび１００％ＲＨの条件で測定した。（単位：ｍｌ／（ｍ²・ｄａｙ・ＭＰａ）（／１枚厚み））

実施例１
２種３層用共押出Ｔダイを用いて、第１押出機よりナイロン６を２５０℃で押出し（Ｙ層）、第２押出機よりＰＧＡを、温度２５０℃で押出し（Ｘ層）、マルチマニホールドタイプのダイスにてＹ／Ｘ／Ｙの順に積層したフィルムを、表面温度１０℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、各層の厚みがＹ／Ｘ／Ｙ＝６０／３０／６０μｍで総厚み１５０μｍの未延伸積層フィルムを得た。得られた未延伸積層フィルムを同時二軸延伸し、厚さ１５μｍの二軸延伸積層フィルムを得た。なお延伸条件は温度６０℃にて縦方向に３倍、横方向に３．３倍であり、熱処理条件は、温度２００℃、弛緩率５％である。得られたフィルムの耐ピンホール性、酸素透過度を測定し、表１に示した。

実施例２、比較例１〜４
Ｘ層の樹脂、層構成を表１のように変更した以外は実施例１と同様に行った。ただしＥＶＯＨの押出し温度は２１０℃とした。

実施例３
３種５層用共押出Ｔダイを用いて、第１押出機よりナイロン６を２５０℃で押出し（Ｙ層）、第２押出機よりＰＧＡを、温度２５０℃で押出し（Ｘ層）、第３押出機より接着剤を、温度２５０℃で押出し（Ｚ層）、マルチマニホールドタイプのダイスにてＹ／Ｚ／Ｘ／Ｚ／Ｙの順に積層したフィルムを、表面温度１０℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、各層の厚みがＹ／Ｚ／Ｘ／Ｚ／Ｙ＝５０／１０／３０／１０／５０μｍで総厚み１５０μｍの未延伸積層フィルムを得た。得られた未延伸積層フィルムを同時二軸延伸し、厚さ１５μｍの二軸延伸積層フィルムを得た。なお延伸条件は温度６０℃にて縦方向に３倍、横方向に３．３倍であり、熱処理条件は、温度２００℃、弛緩率５％である。得られたフィルムの耐ピンホール性、酸素透過度を測定し、表１に示した。

Claims

主としてポリグリコール酸からなるＸ層と、主としてナイロン６からなるＹ層とを共押出して未延伸積層フィルムを製膜し、温度４０〜１２０℃で、縦横それぞれ２．５〜４．５倍の延伸倍率で同時二軸延伸して得られる二軸延伸積層フィルムであって、総厚みが１０〜５０μｍ、Ｘ層の厚みが総厚みの６〜４０％であり、５℃雰囲気下での１０００回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホールの発生個数が３個以下であることを特徴とする二軸延伸積層フィルム。
２０℃、１００％ＲＨ雰囲気下での酸素透過度が１００ｍｌ／（ｍ^２・ｄａｙ・ＭＰａ）（／１枚厚み）以下である請求項１記載の二軸延伸積層フィルム。