JP4565859B2 - ポンプ - Google Patents

ポンプ Download PDF

Info

Publication number
JP4565859B2
JP4565859B2 JP2004052113A JP2004052113A JP4565859B2 JP 4565859 B2 JP4565859 B2 JP 4565859B2 JP 2004052113 A JP2004052113 A JP 2004052113A JP 2004052113 A JP2004052113 A JP 2004052113A JP 4565859 B2 JP4565859 B2 JP 4565859B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vortex
ring
shaped
pump
rotor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004052113A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005240689A (ja
Inventor
小沢  修
利彦 井出
俊 北村
洋一 高東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kashiyama Industries Ltd
Original Assignee
Kashiyama Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kashiyama Industries Ltd filed Critical Kashiyama Industries Ltd
Priority to JP2004052113A priority Critical patent/JP4565859B2/ja
Publication of JP2005240689A publication Critical patent/JP2005240689A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4565859B2 publication Critical patent/JP4565859B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04DNON-POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04D17/00Radial-flow pumps, e.g. centrifugal pumps; Helico-centrifugal pumps
    • F04D17/08Centrifugal pumps
    • F04D17/16Centrifugal pumps for displacing without appreciable compression
    • F04D17/168Pumps specially adapted to produce a vacuum
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04DNON-POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04D23/00Other rotary non-positive-displacement pumps
    • F04D23/008Regenerative pumps

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Non-Positive Displacement Air Blowers (AREA)

Description

本発明は、気体を圧縮して排出するポンプに関し、特に、渦流翼とリング状流路とにより渦流を発生させて圧縮することにより気体を排出するポンプに関する。
本発明のポンプは、排気口圧力を大気圧とするドライ真空ポンプに好適に使用可能である。
気体を圧縮して排気する従来のポンプの中に、リング状に形成された複数の渦流翼を有するリング状渦流翼列を有するロータと、前記リング状渦流翼列に対応して形成された複数のリング状流路を有するステータとからなり、渦流翼間及びリング状流路の気体に渦流を発生させることにより気体を圧縮して排出する渦流ポンプがある。
前記渦流ポンプとして次の技術が公知である。
(J01)特許文献1(特許第3045418号明細書)記載の技術
特許文献1には、円錐状のロータ本体の外周面に階段状に形成されたリング状段差及び各リング状段差の外周の角部に形成された複数の渦流翼(角部渦流翼)により構成された渦流翼列を有する渦流ロータと、ステータ本体の円錐状内周面に階段状に形成されたリング状段差及び前記リング状段差に形成されたリング状流路(渦流溝)を有する渦流ステータと、を有する渦流ポンプが記載されている。特許文献1記載の渦流ポンプの渦流翼は、全て角部渦流翼により構成されている。
(J02)特許文献2(特許第2557495号明細書)記載の技術
特許文献2には、特許文献1と同様の角部渦流翼のみを有する渦流ロータと、リング状流路が形成された渦流ステータとを有する渦流ポンプが記載されている。また、角部渦流翼に替えて、各リング状段差の外周の角部にリング状流路側に突出するように形成された突出渦流翼のみを有する渦流ロータも記載されている。さらに、前記渦流ポンプの気体移送方向上流側に遠心ポンプ(ターボ分子ポンプ)が配置された複合型真空ポンプも記載されている。
(J03)特許文献3(特開平10−89285号公報)記載の技術
特許文献3には、同心円状に複数のリング状流路が形成された円板状のステータと、前記リング状流路に突出して形成された突出渦流翼のみにより構成されたリング状渦流翼列が前記同心円状のリング状流路に対応して複数段形成されたロータと、を有する渦流ポンプが記載されている。また、特許文献3には、渦流ポンプの気体移送方向上流側にホルウェック型の分子吸収ポンプが配置された複合型真空ポンプが記載されている。
(J04)特許文献4(特開平10−288192号公報)記載の技術
特許文献4には、円筒状のステータ本体の内周面にリング状に形成されたリング状溝の外周部に形成された渦流溝を有するステータと、前記リング状溝に対応して配置された複数の円板状ロータ本体の外周部に特許文献1と同様の角部渦流翼が形成されたロータと、を有する渦流ポンプが記載されている。また、特許文献4には、渦流ポンプの気体移送方向上流側にネジ溝式ポンプが配置された複合型真空ポンプが記載されている。
特許第3045418号明細書(第1図、第2図) 特許第2557495号明細書(第1図、第3図、第5図) 特開平10−89285号公報(第1図、第6図) 特開平10−288192号公報(段落番号「0017」、第3図、第9図)
前記特許文献1〜4記載の技術(J01)〜(J04)では、角部渦流翼または突出渦流翼の1種類の渦流翼で構成されている。特許文献1、2、4で使用されている角部渦流翼は圧縮性能が比較的低い。したがって、気体の圧縮率を高め、排気できる真空度を高める場合には、翼列の数(段数)を多くしなければならず、ポンプが大型化してしまうという問題がある。一方、特許文献3に記載されている突出渦流翼は、角部渦流翼に比べて、圧縮性能が比較的高いが、渦流ロータを回転駆動する際に必要な駆動力が大きくなるという特性がある。したがって、突出渦流翼のみでロータを構成する場合、高価で消費電力の大きな大型のモータを使用する必要があるという問題がある。即ち、ポンプのコスト(製造コストや使用時のコスト)が上昇するという問題がある。
また、前記特許文献4に記載された技術(J04)のように、ロータ及びステータが円筒状の構造になっている場合、渦流ポンプが回転軸方向に長くなってしまい、渦流ポンプが大型化してしまう問題がある。さらに、ロータ及びステータを製作する際には、少なくともステータを分割して製作する必要があり、組立作業が複雑になり、部品精度や組立精度、バランス修正などが厳しくなるという問題がある。
前記特許文献1、2記載の技術(J01),(J02)のように、階段状のロータを使用する場合、部品製作や組立は容易となるが、円筒状の構造のため、やはり渦流ポンプが軸方向に長くなり、渦流ポンプが大型化してしまう。
また、前記特許文献3記載の技術のような円板状のロータを使用する場合、翼列の段数に応じて、ロータの外径が大きくなる問題がある。そして、ロータの外径が大きくなると、ロータ回転駆動時にロータ回転軸の軸受部分に発生する応力が大きくなる。それに加えて、特許文献3記載の円板状のロータでは、ロータの下面の中心側(内周側)のリング状の気体流路で最も気体が圧縮され高圧となっており、ロータ上面の高真空領域(低圧領域)との間で圧力差により大きな荷重がかかる。この圧力差による荷重により、ロータの回転軸の軸受には、軸方向に大きな荷重(アキシャル荷重)が作用する。この結果、前記応力やアキシャル荷重等により、ロータの回転軸の軸受の寿命が短くなったり、繰り返し荷重により軸受等の部品寿命が短くなったりするという問題もある。
本発明は、前述の事情に鑑み、次の記載内容(O01),(O02)を技術的課題とする。
(O01)圧縮・排気性能を高め、ロータの駆動力を抑えつつ渦流ポンプを小型化すること。
(O02)製作性、組立性を高め、長寿命のポンプを提供すること。
(本発明)
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施の形態の具体例(実施例)の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために第1発明のポンプ(P,P′,P″)は、下記の構成要件(A01)〜(A04)を備えたことを特徴とする。
(A01)回転駆動する回転軸(1)を回転可能に支持するハウジング(2,72)、
(A02)前記回転軸(1)に固着され且つ前記ハウジング(2,72)に対して回転自在に支持された円板状のロータ本体(104)と、前記ロータ本体(104)の端面に半径の異なる複数の同心円に沿って所定の間隔で配置された複数の渦流翼(111,113)により構成された複数のリング状渦流翼列(112,116)と、を有する渦流ロータ(101、102)、
(A03)前記ハウジング(2,72)に回転不能に支持されたステータ本体(73)と、複数の前記リング状渦流翼列(112,116)に対応して前記ステータ本体(73)に形成された複数のリング状流路(76〜79)とを有し、前記渦流ロータ(101、102)回転時に前記リング状流路(76〜79)内で渦流を発生させることにより気体を圧縮して排出する渦流ステータ(71)、
(A04)前記ロータ本体(104)の端面から前記リング状流路(76)内に突出して形成された板状の突出渦流翼(111)がリング状に配置された第1のリング状渦流翼列(112)と、前記円板状のロータ本体(104)の放射方向に対して内周側に比べて外周側が階段状に低く形成されたリング状の段差部(107〜109)に形成され且つ前記円板状のロータ本体の放射方向に延びる段差部渦流翼(113)がリング状に配置された第2のリング状渦流翼列(116)と、を有する前記複数のリング状渦流翼列(112,116)。
(第1発明の作用)
前記構成要件(A01)〜(A04)を備えた第1発明のポンプ(P,P′,P″)では、渦流ロータ(101、102)のロータ本体(104)は、ハウジング(2,72)に回転自在に支持された回転軸(1)に固着されている。円板状のロータ本体(104)の端面には、半径の異なる複数の同心円に沿って所定の間隔で配置された複数の渦流翼(111,113)により構成されたリング状渦流翼列(112,116)が、複数配置されている。
前記ハウジング(2,72)に回転不能に支持されたステータ本体(73)を有する渦流ステータ(71)は、複数の前記リング状渦流翼列(112,116)に対応して形成された複数のリング状流路(76〜79)とを有する。したがって、前記渦流ロータ(101、102)回転時に前記リング状流路(76〜79)内で渦流が発生し、気体が圧縮されて排出される。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「回転不能に支持された」とは、ハウジングとは別体に構成されたステータ本体がハウジングに支持されている場合だけでなく、ハウジング(72)とステータ本体(73)とが一体に形成され、ステータ本体(73)がハウジング(72)に対して回転不能に構成されている場合も含む
前記複数のリング状渦流翼列(112,116)は、前記リング状流路(76)内に突出して形成された板状の突出渦流翼(111)がリング状に配置された第1のリング状渦流翼列(112)と、前記円板状のロータ本体(104)の放射方向に対して内周側に比べて外周側が階段状に低く形成されたリング状の段差部(107〜109)に形成され且つ前記円板状のロータ本体の放射方向に延びる段差部渦流翼(113)がリング状に配置された第2のリング状渦流翼列(116)と、を有する。
したがって、第1発明のポンプ(P,P′,P″)は、圧縮性能(気体圧縮性能)の高い前記突出渦流翼(111)と、駆動力が小さい段差部渦流翼(113)のそれぞれの特徴を生かした気体圧縮性能を得ることができる。即ち、全てのリング状渦流翼列を、段差部渦流翼(113)よりも駆動抵抗の大きな突出渦流翼(111)の第1のリング状渦流翼列(112)のみで構成した場合に比べ、駆動抵抗を抑えることができる。したがって、駆動抵抗の大きな突出渦流翼(111)のみで構成した場合に必要であった大型のモータ(M)を使用する必要が無く、低コスト化及び低消費電力化(省エネ化)できる。
また、全てのリング状渦流翼列を、圧縮性能が比較的低い段差部渦流翼(113)の第2のリング状渦流翼列(116)のみで構成すると、気体を圧縮するためには多くの段数が必要となっていた。しかしながら、第1発明のポンプ(P,P′,P″)では、段差部渦流翼(113)に比べて圧縮性能が比較的高い突出渦流翼(111)の第1のリング状渦流翼列(112)と組み合わせることにより、段数を減らしても同等の圧縮性能を得ることができる。したがって、第1発明のポンプ(P,P′,P″)は段数を減らすことができるので、ロータの外径を小さくすることができ、ポンプ(P,P′,P″)を小型化できる。
この結果、1種類の渦流翼のみで全てのリング状渦流翼列を構成した従来技術の場合に比べ、圧縮性能・排気性能を高めることができると共に、渦流ロータ(101,102)の回転駆動力を抑えつつポンプ(P,P′,P″)を小型化することができる。また、渦流ロータ(101,102)の外径が小さくなるので、渦流ロータ(101,102)駆動時に回転軸(1)の軸受(P4,36)等にかかる力(応力等)を小さくすることができ、ポンプ(P,P′,P″)を長寿命化することができる。
(発明の形態1)
本発明の発明の形態1のポンプ(P,P′,P″)は、前記構成要件(A01)〜(A04)を備えた第1発明のポンプ(P,P′,P″)において、下記の構成要件(A06)を備えたことを特徴とする。
(A06)同心円状に配置された複数の前記リング状渦流翼列(112,116)の外周側且つ気体移送方向上流側に、前記突出渦流翼(111)を有する前記第1のリング状渦流翼列(112)を配置し、内周側且つ気体移送方向下流側に前記段差部渦流翼(113)を有する前記第2のリング状渦流翼列(116)を配置した前記渦流ロータ(101、102)。
(発明の形態1の作用)
前記構成要件(A06)を備えた発明の形態1のポンプ(P,P′,P″)では、前記リング状渦流翼列(112,116)の外周側且つ気体移送方向上流側には、前記圧縮性能が比較的高く且つ前記駆動抵抗が大きな突出渦流翼(111)を有する前記第1のリング状渦流翼列(112)が配置されている。また、内周側且つ気体移送方向下流側には、前記圧縮性能が比較的低く且つ前記駆動抵抗が小さな段差部渦流翼(113)を有する前記第2のリング状渦流翼列(116)が配置されている。
したがって、周速度が速く外周側に圧縮性能の高い突出渦流翼(111)の第1のリング状渦流翼列(112)を配置することにより外周側における気体圧縮率(圧縮性能)を効率的に高めることができる。そして、周速度が遅いため圧縮性能は高めにくいが、回転駆動力に影響を与えやすい内周側に駆動力が少なくて済む段差部渦流翼(113)を配置することにより、駆動力を効果的に抑えることができる。また、気体分子が多いほど、即ち、気体の圧力が高い方が渦流が発生しやすいので、気体移送方向上流側(外周側)の突出渦流翼(111)で圧縮された気体を、気体移送方向下流側(内周側)の段差部渦流翼(113)でさらに圧縮する場合には、内周側の段差部渦流翼(113)での圧縮性能が効率的に高くなる。この結果、圧縮性能を保ちつつ、駆動力を効果的に小さくすることができる。したがって、圧縮性能及び排気性能を保ちつつ、ポンプ(P,P′,P″)を小型化でき、低コストで低消費電力の小さなモータ(M)を使用することも可能となる。
(発明の形態2)
本発明の発明の形態2のポンプ(P,P′,P″)は、前記第1発明または発明の形態1のポンプ(P,P′,P″)において、下記の構成要件(A07),(A08)を備えたことを特徴とする。
(A07)前記ステータ本体(73)の表裏両端面に形成された前記リング状流路(76〜79)、
(A08)前記ステータ本体(73)の表裏両端面に対向して配置された一対の前記渦流ロータ(101、102)。
(発明の形態2の作用)
前記構成要件(A07),(A08)を備えた発明の形態2のポンプ(P,P′,P″)では、前記リング状流路(76〜79)は、前記ステータ本体(73)の表裏両端面に形成されている。そして、前記渦流ロータ(101、102)は、前記ステータ本体(73)の表裏両端面に対向して配置されている。
したがって、渦流ステータ(71)を分割する必要が無く、渦流ステータ(71)の表裏両端面に対向するように渦流ロータ(101、102)を配置することによりポンプ(P,P′,P″)を組み立てることができるので、ポンプ(P,P′,P″)の製作性及び組立性を高めることができる。
また、渦流ステータ(71)の表裏両端面にリング状流路(76〜79)が形成されているので、例えば、表面側のリング状流路(76a〜79a)の気体移送方向下流端と裏面側のリング状流路(76b〜79b)の気体移送方向上流端とを連結する流路(88)を形成した場合、片面にのみリング状流路(76〜79)が形成されている場合と比較して、リング状流路(76〜79)の全長が2倍以上になり、移送される気体の圧縮性能が高くなる。したがって、渦流ロータ(101、102)の外径を、片面のみにリング状流路(76〜79)が形成されている場合に比べ1/2程度まで小さくしても同等以上の圧縮・排気性能が得られる。
この結果、圧縮性能・排気性能を高めつつ、渦流ロータ(101、102)及び渦流ステータ(71)の外径を小さくできるので、ポンプ(P,P′,P″)を小型化できる。また、渦流ロータ(101、102)の外径を小さくできるので、渦流ロータ(101、102)の回転軸(1)の軸受(P4,36)にかかる力(応力等)を低減することができ、ポンプ(P,P′,P″)を長寿命化することができる。
逆に、表面側のリング状流路(76a〜79a)と裏面側のリング状流路(76b〜79b)とを接続せず、表面側及び裏面側のリング状流路(76〜79)の気体移送方向上流端を吸気口(2a,74)に接続した場合、渦流ステータ(71)の表裏両端面で気体を排気できるので、片面のみにリング状流路(76〜79)が形成されている場合と比較して排気性能を高めることができる。即ち、従来の渦流ポンプ(P,P′,P″)と比較して、渦流ステータ(71)の外径を小さくしても同等以上の排気性能を備えることが可能となる。この結果、排気性能を高めつつポンプ(P,P′,P″)を小型化できる。そして、渦流ロータ(101、102)の外径を小さくできるので、軸受(P4,36)等に作用する力を抑えることができ、ポンプ(P,P′,P″)を長寿命化することができる。
また、発明の形態2のポンプ(P,P′,P″)では、リング状流路(76〜79)で圧縮された気体の圧力によって、各渦流ロータ(101,102)はそれぞれステータ本体(73)から離れる方向に力を受ける。この力は、一対の渦流ロータ(101,102)が固着された回転軸(1)を支持する軸受(P4,36)にアキシャル荷重として作用する。しかしながら、第2発明のポンプ(P,P′,P″)は、各渦流ロータ(101,102)がステータ本体(73)の表裏両端面に対向して配置されているので、各渦流ロータ(101,102)が受ける力の方向が逆方向になり、回転軸(1)に作用する力が相殺され、アキシャル荷重が低減される。この結果、軸受(P4,36)に作用するアキシャル荷重を低減できるので、軸受(P4,36)を長寿命化でき、ポンプ(P,P′,P″)を長寿命化できる。特に、軸受(P4,36)に作用する応力やアキシャル荷重が大きな大排気量・高速回転のポンプ(P,P′,P″)において、前記アキシャル荷重の低減による長寿命化の効果が大きい。
(発明の形態3)
本発明の発明の形態3のポンプ(P,P′,P″)は発明の形態2のポンプ(P,P′,P″)において、下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする。
(A09)前記ステータ本体(73)の表面及び裏面のいずれか一面側に形成された前記リング状流路(76a,77b,78a,79b)の気体移送方向下流端と、前記ステータ本体(73)の表面及び裏面のいずれか他面側に形成された前記リング状流路(76b,77a,78b,79a)の気体移送方向上流端とを接続する連絡流路(88)を有する前記渦流ステータ(71)。
(発明の形態3の作用)
前記構成要件(A09)を備えた発明の形態3のポンプ(P,P′,P″)では、前記渦流ステータ(71)には、前記ステータ本体(73)の表面及び裏面のいずれか一面側に形成された前記リング状流路(76a,77b,78a,79b)の気体移送方向下流端と、前記ステータ本体(73)の表面及び裏面のいずれか他面側に形成された前記リング状流路(76b,77a,78b,79a)の気体移送方向上流端とを接続する連絡流路(88)が設けられている。
したがって、発明の形態3のポンプ(P,P′,P″)では、一面側のリング状流路(76a,77b,78a,79b)の気体移送方向下流端と他面側のリング状流路(76b,77a,78b,79a)の気体移送方向上流端とを連結する連絡流路(88)が設けられているので、同じ外径で片面にのみリング状流路が形成されている渦流ステータの場合と比較して、リング状流路(76〜79)の全長が2倍以上になるので、圧縮性能を高めることができる。したがって、渦流ロータ(101、102)の外径を小さくしても、片面のみにリング状流路(76〜79)が形成されている場合と同等以上の圧縮性能・排気性能を得ることができる。この結果、圧縮性能・排気性能を高めつつ渦流ロータ(101、102)及び渦流ステータ(71)を小型化できるので、ポンプ(P,P′,P″)を小型化できる。また、渦流ロータ(101、102)の外径を小さくできるので、回転軸(1)の軸受(P4,36)等に作用する力を低減することができ、ポンプ(P,P′,P″)を長寿命化することができる。
(発明の形態4)
本発明の発明の形態4のポンプ(P,P′,P″)は、前記第1発明発明の形態1〜発明の形態3のいずれかのポンプ(P,P′,P″)において、下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする。
(A010)前記ステータ本体(73)内部に配置されたポンプ冷却機構(93)。
(発明の形態4の作用)
前記構成要件(A010)を備えた発明の形態4のポンプ(P,P′,P″)では、ステータ本体(73)内部にポンプ冷却機構(93)が配置されている。したがって、渦流ステータ(71)を直接ポンプ冷却機構(93)で冷却できるので、冷却効率が高くなる。さらに、リング状流路(76〜79)を移送される気体を、リング状流路(76〜79)の壁面から冷却することができるので、気体の体積を減少させることができ、排気性能を向上させることができる。
(発明の形態5)
本発明の発明の形態5のポンプ(P,P′,P″)は、前記第1発明発明の形態1〜発明の形態4のいずれかのポンプ(P,P′,P″)において、下記の構成要件(A011)を備えたことを特徴とする。
(A011)前記リング状流路(76〜79)の気体移送方向上流端に形成された吸気口(74)の気体移送方向上流側に配置されたネジ溝式ポンプ(SP)。
(発明の形態5の作用)
前記構成要件(A011)を備えた発明の形態5のポンプ(P,P′,P″)では、前記吸気口(74)の気体移送方向上流側にネジ溝式ポンプ(SP)が配置されている。したがって、ネジ溝式ポンプ(SP)が組み合わされた複合型ポンプ(P,P′,P″)により、排気できる真空度を高めることができる。
(発明の形態6)
本発明の発明の形態6のポンプ(P,P′,P″)は、前記第1発明発明の形態1〜発明の形態5のいずれかのポンプ(P,P′,P″)において、下記の構成要件(A012)を備えたことを特徴とする。
(A012)前記リング状流路(76〜79)の気体移送方向上流端に形成された吸気口(74)の気体移送方向上流側に配置されたターボ分子ポンプ(TMP)。
(発明の形態6の作用)
前記構成要件(A012)を備えた発明の形態6のポンプ(P,P′,P″)では、前記吸気口(74)の気体移送方向上流側にターボ分子ポンプ(TMP)が配置されている。したがって、ターボ分子ポンプ(TMP)が組み合わされた複合型ポンプ(P,P′,P″)により排気できる真空度を高めることができる。
前述の本発明のポンプは、下記の効果(E01)〜(E05)を奏する。
(E01)圧縮性能及び排気性能を高め、ロータの駆動力を抑えつつ渦流ポンプを小型化することができる。
(E02)製作性、組立性を高め、長寿命のポンプを提供することができる。
(E03)ステータの一面側に形成されたリング状流路と他面側に形成されたリング状流路との間を接続する連絡流路を設けることにより、流路の全長を長くすることができ、圧縮性能を高めつつ外径を小さくすることができる。
(E04)渦流ステータを冷却するポンプ冷却機構により、移送される気体を冷却して体積を減少させることができるので、排気性能を高めることができる。
(E05)気体移送方向上流側に真空ポンプを配置することにより、排気可能な真空度を高めることができる。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、上下方向をZ軸方向とし、矢印Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、上方、下方、または、上側、下側とする。
図1は本発明の実施例1の複合型真空ポンプの断面説明図であり、複合型真空ポンプの気体流路及び冷却水路を説明する断面説明図である。
図2は本発明の実施例1の複合型真空ポンプの断面説明図であり、軸受へのグリス供給路及びパージ用ガス通路を説明する断面説明図である。
図1、図2において、本発明の実施例1のポンプとしての複合型真空ポンプPは、上側(+Z側、気体移送方向上流側)の複合型ターボ分子ポンプ部P1と、複合型ターボ分子ポンプ部P1の下側(−Z側、気体移送方向渦流側)にボルトで連結された渦流ポンプ部P2と、前記渦流ポンプP2の下側にボルトで連結された下部ベアリング支持部材P3とを有している。また、前記複合型真空ポンプPは、前記下部ベアリング支持部材P3のベアリングP4により下端部が回転可能に支持され且つ、前記複合型ターボ分子ポンプ部P1及び渦流ポンプ部P2を貫通する回転軸1を有している。
(複合型ターボ分子ポンプ部の説明)
図1、図2において、前記複合型ターボ分子ポンプ部P1は、上端にポンプ吸気口2aが形成された円筒状のハウジング2を有している。前記ハウジング2の内側には円筒状のインナハウジング3が設けられている。前記インナハウジング3は、上部(+Z側部分、気体移送方向上流側部分)に配置された静翼支持部材3aと、下部(−Z側部分、気体移送方向下流側部分)に配置されたネジ溝式ポンプインナハウジング3bとを有している。そして、前記静翼支持部材3aには、内側に突出する複数の静翼4が支持されている。
前記インナハウジング3の内部には、回転軸1の上端部にボルトにより固定され、回転軸1と一体的に回転駆動する複合型ターボ分子ポンプロータ6が配置されている。前記複合型ターボ分子ポンプロータ6は、前記インナハウジング3の静翼支持部材3a及びネジ溝式ポンプインナハウジング3bに対応して、上部の動翼支持部6aとネジ溝式ポンプロータ部6bとを有している。前記動翼支持部(ターボ分子ポンプロータ部)6aには、前記静翼4の間に入り込むように配置された複数の動翼7が支持されている。
前記ネジ溝式ポンプロータ部6bの外周面には、螺旋状のネジ山8が複数条形成されている。前記ネジ山8の厚さは、通常のネジ溝式ポンプとは異なり、特開2001−248587号公報記載のネジ溝式ポンプと同様に、気体移送方向上流側(+Z方向)は薄く、気体移送方向下流側に行くに連れて厚くなるように構成されている。また、気体移送方向上流側でネジ溝式ポンプロータ部6bの半径が急激に小さくなるように構成されている。なお、前記ネジ山8の厚さや半径は、通常のネジ溝式ポンプと同様に形成することも可能である。
前記複合型ターボ分子ポンプロータ6の内側(回転軸1側)には、ネジ溝式ポンプステータ11が配置されている。前記ネジ溝式ポンプステータ11は、円板状のネジ溝式ポンプステータフランジ部11aと、上下方向に貫通する連結流路12が形成されたステータ本体11bとを有しており、前記ネジ溝式ポンプステータフランジ部11aは複合型ターボ分子ポンプベース部材(後述)にボルト13により固定支持されている。そして、前記ネジ溝式ポンプステータ11の外周面には、前記複合型ターボ分子ポンプロータ6の内周面側に突出する螺旋状のネジ山14が複数条形成されている。
前記静翼支持部材3a、静翼4、動翼支持部(ターボ分子ポンプロータ部)6a及び動翼7等によりターボ分子ポンプTMPが構成されている。また、前記ネジ溝式ポンプインナハウジング3b、ネジ溝式ポンプロータ部6b、ネジ山8、前記複合型ターボ分子ポンプロータ6、ネジ溝式ポンプステータ11、ネジ山14等によってネジ溝式ポンプSPが構成されている。そして、前記ターボ分子ポンプTMP、ネジ溝式ポンプSPにより複合型ターボ分子ポンプFPが構成されている。
したがって、複合型ターボ分子ポンプロータ6が回転すると、前記ターボ分子ポンプTMPの動翼7及び静翼4により、ポンプ吸気口2aから吸気された気体は圧縮されながら上方から下方に移送(搬送)されて、ネジ溝式ポンプSPの気体移送方向上流端に移送される。そして、ネジ溝式ポンプSPネジ山8により、気体はさらに圧縮されながら上方から下方に移送される。そして、ネジ溝式ポンプインナハウジング3bの下端部まで搬送された気体は、前記ネジ溝式ポンプSPのネジ山14により、複合型ターボ分子ポンプロータ6の内周面とネジ溝式ポンプステータ11の外周面との間を圧縮されながら上方に搬送され、前記連結流路12を通って下方に搬送される。
図3は、複合型ターボ分子ポンプ部のベース部材の冷却水路及びガス通路を説明する斜視図である。
図4は、複合型ターボ分子ポンプ部のベース部材の冷却水路及びパージ用ガス通路を説明する平面図である。なお、図3、図4において、グリス供給路の図示は省略している。また、図4において冷却水路及びガス通路以外の部材形状等の図示は省略している。
図1において、前記ハウジング2の下端部には、複合型ターボ分子ポンプベース部材21が複数の連結ボルト22により連結されている。図1〜図4において、前記複合型ターボ分子ポンプベース部材21は、ベース部材本体23を有している。前記ベース部材本体23は、円板状の円板部24と、前記円板部24の中心部に一体に形成された円筒部26とを有している。図1〜図4において、前記円板部24の上面には、前記連結流路12に連結する気体流路溝27が形成されており、気体流路溝27の外端部には、下方に貫通する複合型ターボ分子ポンプ排気口28が形成されている。図1、図3において、前記円板部24の外周部には前記ハウジング2の位置決めをする位置決め部24aが形成されており、前記円筒部26の上面には上部ベアリング支持部材位置決め部26aが形成されている。図1において、前記円筒部26の内部には、回転軸1を回転駆動する排気モータM(図1参照)がモータ支持部材29により固定支持されている。
前記ベース部材本体23の円筒部26の上面には、円筒状の上部ベアリング支持部材31が固定支持されている。前記上部ベアリング支持部材31は、前記ベース部材本体23にボルト32により固定されるフランジ部33と、前記フランジ部33と一体的に形成された上部ベアリング支持部材本体34とを有している。図1において、前記上部ベアリング支持部材本体34の内周面上端部には、回転軸1の上端部を回転可能に支持するベアリング36が支持されている。
また、図1において、前記上部ベアリング支持部材本体34の内周面には、リング状の溝により構成されたラビリンスシール37が複数形成されている。前記ラビリンスシール37により、回転軸1と上部ベアリング支持部材本体34の内周面との間を軸方向に(高圧の下方から低圧の上方に)気体が逆流しないようにシールされる。前記ラビリンスシール37は、ベース部材本体23と回転軸1との間や、ベース部材本体23と渦流ポンプP2のロータ(後述)との間等の回転部材(ロータ等)と固定部材(ステータ等)との間でシールする必要がある部分に形成されている。
図1、図2において、前記上部ベアリング支持部材31の上面にはカバー41がボルト42により固定支持されている。前記カバー41には、ガス排出口43が形成されている。また、図1において、前記カバー41の内周側下面には、ベアリング36の潤滑に使用されて劣化した廃グリスを収容する廃グリス収容室41aが形成されている。前記カバー41と複合型ターボ分子ポンプロータ6との間には、回転軸1に固着されたロータ位置決め部材44が配置されている。
図3、図4において、前記ベース部材本体23の円板部24には、外周から内側に向かって延びる冷却水供給路51、冷却水排出路52及びガス供給路53が形成されており、冷却水供給路51、冷却水排出路52及びガス供給路53の外周端部には外部配管接続用継手が設置されている(図1、図4参照)。
前記円筒部26には、上下方向に貫通して形成され、排気モータMで発生した熱や気体圧縮時に発生する熱により加熱したネジ溝式ポンプステータ11の熱等を除去する冷却水が流れるモータ冷却水路54が円周方向に等間隔に8本形成されている。前記8本のモータ冷却水路54のうち、1本のモータ冷却水路54aが前記冷却水供給路51に連結しており、前記冷却水供給路51に接続するモータ冷却水路54aに隣接するモータ冷却水路54bが冷却水排出路52に連結している。その他のモータ冷却水路54cの下端部には、円周方向に隣接するモータ冷却水路54cとの間を連結する円弧状連結水路56が形成されている。そして、前記モータ冷却水路54(54a、54b及び54c)の上端は、外側から内側に向かって放射状に形成された放射状水路57に連結されている。なお、前記放射状水路57は、上部ベアリング支持部材31の下面により上方が閉塞される。
図3、図4において、前記上部ベアリング支持部材31の上部ベアリング支持部材本体34には、上下方向に貫通する8本の上下貫通水路58が形成されている。前記各上下貫通水路58の下端(−Z端)は、各放射状水路57の内端に連結している。そして、前記上下貫通水路58の上端(+Z端)は、円周方向に隣接する上下貫通水路58どうしを連結し且つベアリング36で発生する熱等を除去する冷却水が流れる円弧状のベアリング冷却水路59が形成されている。
したがって、図示しない冷却水供給装置によって供給された冷却水は、図4に示すように、前記冷却水供給路51から内部に供給され、モータ冷却水路54aにおいて排気モータM等で発生した熱を除去しつつ、放射状冷却水路57、上下貫通水路58を介してベアリング冷却水路59に流れ、ベアリング36等で発生した熱を除去する。熱を吸収したベアリング冷却水路59の冷却水は、円周方向に隣接する上下貫通水路58、放射状冷却水路57を介して下方のモータ冷却水路54cに流れ再び排気モータMの熱を除去する。これらを繰り返し、冷却水は、排気モータMやベアリング36等で発生した熱を除去しながら、円周方向にほぼ1周して冷却水排出路52から排出される。
前記符号51、52、54〜59が付された水路により複合型ターボ分子ポンプ冷却水路W(図1、図4参照)が構成されている。
図2〜図4において、前記円筒部26には、下端で前記ガス供給路53に連結し且つ、上端で円筒部26上面に放射状に形成された放射状ガス通路61に連結する連結ガス通路62が形成されている。前記上部ベアリング支持部材本体34には、下端で放射状ガス通路61に連結するガス排出路63が形成されている。前記ガス排出路63は、ベアリング36の下方にガスを供給する下方排出路63aと、前記カバー41のガス排出口43にガスを供給する上方排出路63bとを有している。
図2において、前記ガス供給路53から下方に延び、渦流ステータ(後述)及び前記下部ベアリング支持部材P3内部を貫通してベアリングP4の上部近傍にガスを供給する下側ガス供給路64も設けられている。
前記ガス供給路53、連結ガス通路62、放射状ガス通路61及びガス排出路63、下側ガス供給路64等によりパージ用ガス通路GSが構成されている。
したがって、図示しないガス供給装置により供給されたガスは、前記ガス供給路53から内部に供給され、前記各ガス通路61〜63を介してベアリング36の上下近傍(図2参照)に排出される。同様に、下側ガス路64を介してベアリングP4の上部近傍にもガスが排出される。前記複合型ターボ分子ポンプFPにより排気が行われ、吸気口2a側や渦流ポンプの外周側のリング状流路(後述)の真空度が高くなると、ベアリング36で潤滑のために使用されるグリスの油分が、回転部材と固定部材との間の隙間を通って真空側に吸引されてしまう。
したがって、実施例1のポンプPでは、ベアリングP4,36の近傍にガスを供給し、グリスの雰囲気圧力(グリスの周辺の圧力)を高く保つことにより、グリス油分の蒸発・吸引を防止している。なお、実施例1では、前記ガスとして窒素ガスを使用しているが、供給されるガスは、窒素ガスに限定されず適宜変更可能である。
なお、図1、図2において、前記複合型ターボ分子ポンプ冷却水路Wやパージ用ガス通路GS等を工具により形成する際に必要な通路であって、複合型ターボ分子ポンプ冷却水路Wやパージ用ガス通路GSを構成しない通路には、封止栓66が装着されている。
(渦流ポンプ部の説明)
(渦流ステータ)
図5は実施例1の複合型真空ポンプの渦流ポンプ部の説明であり、図5Aは図5BのVA−VA線断面図、図5Bは渦流ポンプ部の縦断面説明図である。
図6は渦流ポンプの渦流ステータの説明図であり、図6Aは平面図、図6Bは図6AのVIB−VIB線断面図である。
図1、図5、図6において、前記渦流ポンプ部P2は、前記下部ベアリング支持部材P3に固定支持された円板状の渦流ステータ71を有している。前記渦流ステータ71は、外周側の渦流ハウジング部72と、前記渦流ハウジング部72と一体的に形成された内周側の渦流ステータ本体73とを有している。前記渦流ハウジング部72の上端面には、前記ベース部材本体23の複合型ターボ分子ポンプ排気口28に連通する渦流ポンプ吸気口74が形成されている。
図1、図5、図6において、渦流ステータ本体73の上端面には外周側から順に上側第1リング状流路76a、上側第2リング状流路77a、上側第3リング状流路78a及び上側第4リング状流路79aが半径の異なる同心円状に形成されている。そして、渦流ハウジング部72の下端面には、前記上側リング状流路76a〜79aと上下対称に形成された下側第1リング状流路76b、下側第2リング状流路77b、下側第3リング状流路78b及び下側第4リング状流路79b(図1、図5B、図6参照)が形成されている。
図6Aにおいて、各リング状流路76〜79には、円弧状の流路寸断部76c〜79cが形成されており、各リング状流路76〜79は無端リング状ではない。したがって、図6Aにおいて時計方向に移送される気体に対して、前記流路寸断部76c〜79cの円周方向両端部で気体移送方向上流端及び下流端が設定される。なお、最外周の流路寸断部76cには、後述する突出渦流翼が通過するための渦流翼通過溝76dが形成されている。
前記第1リング状流路76a,76bと第2リング状流路77a,77bとの間は、第1流路仕切部81a,81bにより仕切られている。第2リング状流路77a,77bと第3リング状流路78a,78bとの間及び第3リング状流路78a,78bと第4リング状流路79a,79bとの間も同様に、第2流路仕切部82a,82b及び第3流路仕切部83a,83bにより仕切られている。各流路仕切部材81〜83の先端面(上端面または下端面)には、前記ラビリンスシール37が形成されている。前記各ラビリンスシール37により、高圧な内周側のリング状流路から低圧な外周側のリング状流路へ、気体が逆流することが防止される。
上側第1リング状流路76aの気体移送方向上流端と、前記渦流ポンプ吸気口74との間は、渦流ロータ(後述)の回転方向に沿って傾斜して形成された吸気路86により接続されており、前記吸気路86の外端部はシール部材(封止栓)87(図1参照)により密閉(シール)されている。上側第1リング状流路76aの気体移送方向下流端と、下側第1リング状流路76bとの間は、ロータ回転方向に沿って傾斜し且つ渦流ステータ本体73を上下方向に貫通する第1連絡流路88aにより接続されている。図7において、下側第1リング状流路76bの気体移送方向下流端と下側第2リング状流路77bの上流端との間は、下側第1流路仕切部材81bを貫通して形成された第1内側移行流路89aにより接続されている。そして、前記下側第2リング状流路77bの下流端と、上側第2リング状流路77aとの間は、ロータ回転方向に沿って傾斜し且つ渦流ステータ本体73を上下方向に貫通する第2連絡流路88bにより接続されている。
同様にして、上側第2リング状流路77aの気体移送方向下流端と上側第3リング状流路78aの気体移送方向上流端との間は上側第2流路仕切部材82aを貫通する第2内側移行流路89bにより接続され、上側第3リング状流路78aの気体移送方向下流端と、下側第3リング状流路78bの気体移送方向上流端との間は第3連絡流路88cにより接続されている。そして、下側第3リング状流路78bの気体移送方向下流端と、下側第4リング状流路79bの気体移送方向上流端との間が第3内側移行流路89cにより接続され、下側第4リング状流路79bの気体移送方向下流端と、上側第4リング状流路79aの気体移送方向上流端との間は第4連絡流路88dにより接続されている。前記第4上側リング状流路79aの気体移送方向下流端は、渦流ステータ本体73及び渦流ハウジング部72内部を内側から外側に向かって貫通する排気路91に連結しており、前記排気路91の下流端には、排気口92が形成されている。
図7は、渦流ステータの各気体流路を気体が流れる順序の説明図である。
したがって、渦流ロータ回転時に前記渦流ポンプ吸気口74から流入した気体は、図7の(1)〜(8)に示す順に、各流路76〜89を流れ、排気口92に排気される。
前記符号76〜91に示す各流路により実施例1の渦流ステータの渦流流路(76〜91)が構成されている。
また、図1において、前記渦流ステータ71の内部には、圧縮された気体から発生する熱やロータ駆動時の摩擦熱等を除去するステータ冷却水路93(渦流ポンプ冷却機構)が設けられている。前記ステータ冷却水路93は、渦流ステータ71の半径方向(放射方向)に延びるステータ冷却水供給パイプ93aと、前記ステータ冷却水供給パイプ93aの内端から延びる図示しない円弧状のパイプと、前記円弧状のパイプに接続するステータ冷却水排出パイプ(図示せず)とを有している。前記各ステータ冷却水供給パイプ93aには、外部から冷却水が供給される。
前記下部ベアリング支持部材P3にも、冷却水を供給する下部ベアリング支持部材冷却水供給路94aと、前記下部ベアリング支持部材冷却水供給路94aに接続し、ロータ駆動時の摩擦熱等を除去するための円弧状の複数の下部ベアリング支持部材冷却水路94bとを有する下部ベアリング支持部材冷却水路94(下部ベアリング支持部材冷却機構)が配置されている。
なお、前記渦流ステータ71等を冷却する構成は、前記各冷却水路(冷却機構)93、94と冷却水による構成に限定されず、従来公知の種々の冷却機構を使用可能であり、各パイプの形状も変更可能である。
(渦流ロータ)
図1において前記渦流ステータ本体73の上下両端面に対向して上下一対の渦流ロータ101、102が配置されている。前記渦流ロータ101、102は、回転軸1に固着されており、上側渦流ロータ101及び下側渦流ロータ102の上下方向の位置は、上側渦流ロータ101及び下側渦流ロータ102間に挿入され、回転軸1に固着された位置決め用スペーサ103により位置決めされている。
図8は渦流ポンプのロータの説明図であり、図8Aは縦断面説明図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIBから見た図、図8Cは図8AのVIIIC−VIIICから見た図である。
図1、図5、図8において、前記渦流ロータ101、102は、円板状のロータ本体104と、前記ロータ本体104の一端面(下面または上面)から前記第1リング状流路76側に突出して形成されたリング状の翼支持部106と、翼支持部106の内周側に同心円状に各リング状流路77〜79側に突出して形成された第1リング状段差部107、第2リング状段差部108及び第3リング状段差部109とを有している。
図9は突出渦流翼の説明図であり、図9Aは要部平面図、図9Bは要部斜視図である。
図8、図9において、前記翼支持部106には、前記第1リング状流路76a、76b内に突出する突出渦流翼(渦流翼)111が支持されている。図8に示すように前記突出渦流翼111は、リング状の翼支持部106上にリング状に複数枚支持されており、前記リング状に配置された複数の突出渦流翼111により突出渦流翼列(リング状渦流翼列)112が構成されている。図9Bに示すように、各突出渦流翼111は、断面弧状の弧状凹面111aを有しており、渦流ロータ101、102の回転方向下流側に前記周凹面111aが面するように配置されている。前記突出渦流翼111による渦流の発生及び気体の圧縮・移送の原理は、従来公知(例えば、特許文献3等参照)なので、詳細な説明は省略する。
なお、本発明者の実験・研究により、突出渦流翼111の形状(流路に対する断面積及び翼厚)や、突出渦流翼111を配置する間隔、突出渦流翼111の数や、突出渦流翼111を配置する位置が最適となる条件が分かった。即ち、(第1リング状流路76の流路断面積/各突出渦流翼断面積)=10〜11に設定し、翼支持部106に沿って隣接して配置された突出渦流翼111どうしの間隔(翼間隔)t1=2.7mm〜3mmに設定することが望ましい。また、1つの突出渦流翼111の翼厚をt2とした時に、(翼間隔t1/翼厚t2)=1.8〜2、(翼外径(回転中心から渦流翼の外周端までの距離)/渦流翼数)=1.33〜1.44に設定することが望ましい。
図10は段差部渦流翼の説明図であり、図10Aは要部平面図、図10Bは要部斜視図である。
図8、図10において、前記第1リング状段差部107、第2リング状段差部108及び第3リング状段差部109には、段差部の放射方向に沿って段差部渦流翼(渦流翼)113が複数形成されている。そして、図10Bに示すように、前記各段差部渦流翼113どうしの間に断面弧状の渦流溝114が形成されている。前記リング状に配置された複数の段差部渦流翼113により段差部渦流翼列(リング状渦流翼列)116が構成されている。前記段差部渦流翼113及び渦流溝114による渦流の発生及び気体の圧縮・移送の原理は、従来公知(例えば、特許文献1や特許文献2等参照)なので、詳細な説明は省略する。
なお、本発明者の実験・研究により、前記段差部渦流翼113及び渦流溝114のサイズ(流路に対する断面積及び翼厚)や、段差部渦流翼113を配置する間隔、段差部渦流翼113の数や、段差部渦流翼113を配置する位置が最適となる条件が分かった。即ち、(各リング状流路77〜79の流路断面積/各渦流溝断面積)=1.5〜2とし、リング状段差部107〜109の円周方向に沿って隣接して配置された段差部渦流翼113どうしの間隔(翼間隔)t1′=6.8mm〜7.8mmに設定することが望ましい。また、各段差部渦流翼113の翼厚をt2′とした時に、(翼間隔t1′/翼厚t2′)=4.6〜5.2、(渦流溝外径(回転中心から渦流溝114(段差部渦流翼113)の外周端までの距離)/渦流翼数)=2.6〜3に設定することが望ましい。
前記渦流ステータ本体73及び渦流ロータ101、102等により渦流ポンプKPが構成されている。そして、前記渦流ポンプKP及び複合型ターボ分子ポンプFP等により、実施例1の複合型真空ポンプPが構成されている。
(グリス供給装置の説明)
図2において、前記渦流ステータ71及び下部ベアリング支持部材P3には、渦流ステータ71及び下部ベアリング支持部材P3の内部を貫通して下側のベアリングP4まで延びる下側グリス供給路G1が形成されている。前記下側グリス供給路G1は、下側のベアリングP4にグリスを供給するグリス排出口G1aと、グリス供給路G1内にグリスが供給されるグリス補給口G1bとを有する。同様に、前記渦流ステータ71、ベース部材本体23及び上部ベアリング支持部材本体34には、各部材(71、23、34)の内部を貫通して上側のベアリング36まで延びる上側グリス供給路G2が形成されている。前記上側グリス供給路G2も、グリス排出口G2aと、グリス補給口2b(後述の図11参照)とを有している。
図11はグリス供給装置の断面説明図である。
図2、図11において、前記渦流ステータ71の側部には、前記ベアリングP4,36にグリスを供給するグリス供給装置GPが配置されている。前記グリス供給装置GPは、渦流ステータ71にボルト(図示せず)により固定支持するためのフランジ部121aが形成されたグリス収容容器121を有している。前記グリス収容容器121は、下側のベアリングP4潤滑用のグリスを収容する第1グリス収容部122と、上側のベアリング36潤滑用のグリスを収容する第2グリス収容部123と、前記第1グリス収容部122及び第2グリス収容部123の間に上下方向(Z軸方向)に貫通して形成されたネジ溝124とを有している。
前記各グリス収容部122、123の上端部(+Z端部)には、それぞれ下側グリス供給路G1、上側グリス供給路G2のグリス補給口G1b,G2bに連通する第1グリス供給口126及び第2グリス供給口127が形成されている。図11に示すように、前記各グリス供給口126、127には逆止弁128、128が配置されており、グリスがグリス収容部122、123側に逆流することを防止すると共に、ベアリングP4、36側の真空度が高くなった場合にグリス収容部122、123内のグリスがグリス供給路G1,G2側に吸引されることを防止する。また、前記各グリス供給口126、127の外周部には、グリスが漏れ出すことを防止するためのOリング129が配置されている。
図11において、前記各グリス収容部122、123にはピストン(グリス押出し部材)131、132が嵌合している。前記各ピストン131、132の上端部にはグリスを上方に押し出すキャップ133、133がネジにより固着されている。そして、ピストン131、132の外周面にはグリス収容部122、123とピストン131、132との間からグリスが漏れ出すことを防止するためのOリング134、134が配置されている。なお、前記グリス収容部122、123内周面の下端部には、ピストン131,132が移動する際の摩擦を低減するための潤滑部材135が設けられている。
前記ピストン131、132の下端部(−Z端部)には、連結部材136が配置されている。前記連結部材136は、各ピストン131、132の下端部にネジ止めされている。前記連結部材136には、下方に湾曲して形成されたモータ支持ブラケット136aが取り付けられている。モータ支持ブラケット136aの下面には、グリス供給モータMGが固定支持されている。前記グリス供給モータMGは回転軸137を有しており、前記回転軸137は円筒の一部が切り欠かれた略半月状の断面を有している。
図11において、前記グリス収容容器121のネジ溝124には、ネジ(ネジ山形成部材)138が螺合しており、前記グリス供給モータMGの回転軸137は、ネジ138のネジ頭138aに連結されている。前記ネジ頭138aには回転止め装着孔138bが形成されており、回転止め装着孔138bには回転止め138cが装着されている。前記回転止め138cは、回転軸137の切り欠き部分に係合しており、回転軸137とネジ138は、一体的に回転可能となっている。そして、前記ネジ頭138aの上端面(+Z端面)は前記連結部材136に当接しており、前記連結部材136の当接部分には、ネジ138回転時の摩擦を低減するための低摩擦部材136bが配置されている。
したがって、前記グリス供給モータMGを駆動すると、回転軸137とネジ138とが回転し、ネジ138が螺合するネジ溝124に沿って上方に移動する。前記ネジ138及び回転軸137の移動に伴い、一体的に前記ピストン131、132が上方に移動し、グリス収容部122、123に収容されたグリスがグリス供給口126、127からグリス供給路G1,G2に供給される。
前記ネジ溝124、ネジ138及びグリス供給モータMG等によってグリス自動供給部材139が構成されている。
したがって、作業者が注射器等を使用してグリスを手作業で補給する場合と比較して、容易にグリスを補給することができると共に、グリス供給モータMGの回転量を制御することにより補給量を容易且つ精度良く調節することができる。
(実施例1の複合型真空ポンプPの制御部の説明)
図12は実施例1の複合型真空ポンプの制御部が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
図12において、複合型真空ポンプPのコントローラCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有するマイクロコンピュータ等により構成されており、前記ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
(前記コントローラCに接続された信号入力要素)
前記コントローラCは、制御パネル(コンソールパネル)CPやその他の信号入力要素からの信号が入力されている。
前記制御パネルCPは、複合型真空ポンプPの主電源である電源スイッチSW1と、複合型真空ポンプPの排気開始・排気停止用の排気スイッチSW2等を備えており、それらが入力されたことを検出して、その検出信号をコントローラCに入力する。
(前記コントローラCに接続された制御要素)
また、コントローラCは、排気モータ駆動回路D1、グリス供給モータ駆動回路D2、冷却水供給装置駆動回路D3、ガス供給装置駆動回路D4や図示しない電源回路、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
前記排気モータ駆動回路D1は、排気モータMを介して回転軸1を所定の回転速度(例えば、毎分1万回転)で回転駆動する。
前記グリス供給モータ駆動回路D2は、グリス供給モータMGを介してピストン131、132を移動させる。
前記冷却水供給装置駆動回路D3は、前記複合型ターボ分子ポンプ冷却水路W用の冷却水供給装置(図示せず)や、ステータ冷却水路(ポンプ冷却機構)93、下部ベアリング支持部材冷却水路94(下部ベアリング支持部材冷却機構)に冷却水を供給する冷却水供給装置等を作動させる。
前記ガス供給装置駆動回路D4は、ガス供給装置(図示せず)を作動させる。
(前記コントローラCの機能)
前記コントローラCは、前記各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能(制御手段)を有している。前記コントローラCの機能(制御手段)を次に説明する。
C1:排気モータ回転制御手段
排気モータ回転制御手段C1は、前記排気モータ駆動回路を介して、排気モータMの回転駆動を制御する。
C2:グリス供給モータ制御手段
グリス供給モータ制御手段C2は、排気モータ駆動時間カウントタイマTM1と、グリス供給開始判別時間記憶手段C2Aと、グリス供給開始判別手段C2Bと、グリス供給モータ回転量記憶手段C2Cとを有する。そして、前記グリス供給モータ制御手段C2は、前記グリス供給モータ駆動回路D2を介して前記グリス供給モータMGの駆動を制御する。
TM1:排気モータ駆動時間カウントタイマ
排気モータ駆動時間カウントタイマTM1は、前記排気スイッチSW1のオン・オフに応じて、排気モータMが回転駆動した時間のカウント値(積算値)t1をカウントする。なお、前記カウント値t1は、不揮発性メモリに記憶され、リセット(初期化)されない限り、複合型真空ポンプPの電源スイッチSW1がオフになっても記憶されている。
C2A:グリス供給開始判別時間記憶手段
グリス供給開始判別時間記憶手段C2Aは、グリス供給を開始する時期になったか否かを判別するための閾値であるグリス供給開始判別時間taを記憶する。
C2B:グリス供給開始判別手段
グリス供給開始判別手段C2Bは、前記排気モータ駆動時間カウントタイマTM1のカウント値t1と、前記グリス供給開始判別時間taとに基づいて、グリス供給を開始する時期になったか否かを判別する。
C2C:グリス供給モータ回転量記憶手段
グリス供給モータ回転量記憶手段C2Cは、グリス供給を行う際に前記グリス供給モータMGが回転駆動する回転量(グリス供給モータ回転量)を記憶する。前記回転量には、1度に供給される設定されたグリスの供給量に対応するグリス供給モータMGの回転量が設定されている。
C3:冷却水供給装置制御手段
冷却水供給装置制御手段C3は、前記冷却水供給装置駆動回路D3を介して前記冷却水路W,93、94に冷却水を供給する冷却水供給装置(図示せず)等の作動を制御する。なお、実施例1の冷却水供給装置制御手段C3は、排気スイッチSW2がオンになると冷却水供給装置のバルブを開放して給水を行い、排気スイッチSW2がオフになるとバルブを閉じるように制御する。なお、実施例1では、ポンプPによる排気が開始されると自動的に冷却水の供給が開始されるが、例えば、冷却水路W,93、94を水道の蛇口に接続し、作業者が栓をあけることにより手動で給水を開始するように構成することも可能である。
C4:ガス供給装置制御手段
ガス供給装置制御手段C4は、前記ガス供給装置駆動回路D4を介して前記ガス供給装置(図示せず)の作動を制御する。なお、実施例1のガス供給装置制御手段C4は、排気スイッチSW2がオンになるとガス供給装置のバルブを開放して所定量のガスの供給を行い、排気スイッチSW2がオフになるとバルブを閉じるように制御する。なお、実施例1では、排気開始時に自動的にガスの供給が実行されるが、作業者がバルブの開閉を行って手動でガスの供給を行うように構成することも可能である。また、実施例1では所定量のガスの供給を行ったが、例えば、グリスの雰囲気圧力が低下するのに応じて、ガスの供給量を増やすように制御することも可能である。
(フローチャートの説明)
(メインフローチャートの説明)
図13は本発明の実施例1の複合型真空ポンプのグリス供給処理のフローチャートである。
図13のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラCのROMやハードディスクに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複合型真空ポンプPの他の各種処理(排気モータ回転制御処理等)と並行して実行される。
図13に示すフローチャートは複合型真空ポンプPの電源スイッチSW1がオンにより開始される。
図13のST1において、制御パネルCPの排気スイッチSW2がオンになったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、排気モータ駆動時間カウントタイマTM1による計時(時間のカウント)を開始する(再開する)。そして、ST3に移る。
ST3において、排気スイッチSW2がオフになったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に移り、ノー(N)の場合はST5に移る。
ST4において、排気が終了したので排気モータ駆動時間カウントタイマTM1による計時を終了する(中断する)。そして、ST1に戻る。
ST5において、排気モータ駆動時間カウントタイマTM1のカウント値t1が、グリス供給開始判別時間ta以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に移り、ノー(N)の場合はST3に戻る。
ST6において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST3に戻る。
(1)排気モータ駆動時間カウントタイマTM1のカウント値t1をリセットする。
(2)グリス供給モータMGをグリス供給モータ回転量だけ回転駆動する。
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複合型真空ポンプPでは、排気モータMにより回転軸1が回転駆動すると、ターボ分子ポンプロータ部6a、ネジ溝式ポンプロータ部6b及び渦流ロータ101、102等が回転駆動する。そして、ポンプ吸気口2aが連通する真空室内部の気体が、ターボ分子ポンプTMPの部分で動翼7及び静翼4により圧縮されながら下方に移送され、ネジ溝式ポンプSPのネジ山8によりさらに下方に圧縮・移送される。そして、ネジ溝式ポンプSPのネジ山14により、前記複合型ターボ分子ポンプロータ6とネジ溝式ポンプステータ11との間を圧縮されながら上方に移送され、最終的に複合型ターボ分子ポンプ排気口28に移送される。前記複合型ターボ分子ポンプ排気口28まで移送された気体は、渦流ポンプ吸気口74から流入し、渦流流路(76〜91)を順次圧縮されながら移送され、排気口92から排気される。
実施例1の複合型真空ポンプPでは、前記渦流ロータ101、102には、気体圧縮性の高い突出渦流翼111の渦流翼列112と、駆動力が小さくて済む段差部渦流翼113の渦流翼列116とが配置されている。したがって、例えば、突出渦流翼111の渦流翼列112のみで構成した場合(前記特許文献3等の場合)に比べ、渦流ロータ101、102を回転駆動する際の駆動力を低減することができ、小型且つ低消費電力の排気モータMを使用することができる。また、例えば、段差部渦流翼113の渦流翼列116のみで構成した場合(前記特許文献1、2等の場合)に比べ、渦流ロータ101、102の外径を大きくして段数を増やすことなく気体の圧縮性能を高めることができる。したがって、実施例1の複合型真空ポンプPは、圧縮性能等を高めつつ小型化、省エネルギー化することができる。また、圧縮性能等を高めつつ渦流ロータ101、102を小型化できるので、渦流ロータ101、102の駆動により回転軸1の軸受(ベアリングP4、36)に作用する力(応力やアキシャル荷重等)を低減することができる。この結果、ベアリングP4,36等の部材の寿命を長くすることができる。
また、実施例1の複合型真空ポンプPでは、前記突出渦流翼111の渦流翼列112が最外周に配置され、段差部渦流翼113の渦流翼列116が内周側に3段配置されている。したがって、外周側に配置されているため周速度が速く圧縮性能の高い突出渦流翼111のリング状渦流翼列112により、外周側の気体圧縮性能を効率的に高めることができる。そして、周速度が遅いため圧縮性能は高めにくいが、モータの回転駆動力に影響を与えやすい内周側に駆動力が少なくて済む段差部渦流翼113のリング状渦流翼列116を配置することにより、回転駆動力を効果的に抑えることができる。この結果、駆動力のあまり大きくないモータを使用することができ、複合型真空ポンプPを小型化、低コスト化、低消費電力化することができる。
さらに、実施例1の複合型真空ポンプPでは、前記渦流ステータ本体73の上下両端面(表裏両端面)にリング状流路76〜79が形成され、前記リング状流路に対応して、渦流ステータ本体73の上下に渦流ロータ101、102が対向して配置されている。したがって、複合型真空ポンプP製造時に、渦流ステータ本体73を分割して製造する必要が無く、渦流ロータ101、102で上下から挟み込むように組み立てることができる。したがって、渦流ポンプKPの製作性及び組立性を高めることができる。
また、実施例1の複合型真空ポンプPでは、渦流ポンプ吸気口74から流入した気体は、図7に示すように、吸気路86→上側第1リング状流路76a→第1連絡流路88a→下側第1リング状流路76b→第1内側移行流路89a→前記下側第2リング状流路77b→第2連絡流路88b→上側第2リング状流路77a→第2内側移行流路89b→上側第3リング状流路78a→第3連絡流路88c→下側第3リング状流路78b→第3内側移行流路89c→下側第4リング状流路79b→第4連絡流路88d→前記第4上側リング状流路79a→排気路91を順次通過して、排気口92から排気される。したがって、渦流ステータ本体73の上下両端面に形成されたリング状流路76〜79を通過するので、同じ外径で表面または裏面にのみリング状流路が形成されている場合と比較して、流路の長さが2倍以上になり、圧縮性能が高くなる。したがって、渦流ステータ本体73及び渦流ロータ101、102の外径を、片面のみにリング状流路が形成されている場合に比べ1/2程度まで小さくしても、同等以上の圧縮性能・排気性能を得ることができる。したがって、気体の圧縮性能・排気性能を高めつつ、渦流ステータ本体73及び渦流ロータ101、102の外径を小さくすることができる。この結果、渦流ポンプKP及び複合型真空ポンプPを小型化することができる。
さらに、渦流ステータ71の上下に対向して配置された渦流ロータ101、102は回転駆動するので、上側渦流ロータ101の上面と、複合型ターボ分子ポンプベース部材21やモータ支持部材29の下面との間や、下側渦流ロータ102の下面と下部ベアリング支持部材P3の上面との間には狭い隙間がある。この隙間(ラビリンスシール37が配置された部分)には、最外周の上側第1リング状流路76aまたは下側第1リング状流路76bの気体が漏れて流入するため、この隙間の圧力は第1リング状流路76a,76bの圧力とほぼ同じまたはそれより低い圧力となる。上側渦流ロータ101では、内周側のリング状流路の方が気体が圧縮されて圧力が高くなるので、最外周の第1リング状流路76aの圧力以下の渦流ロータ101の上面と、圧力が高い渦流ロータ101の下面との間で圧力差が生じる。
この結果、上側渦流ロータ101では下方(高圧)から上方(低圧)に向かう力が作用し、下側渦流ロータ102では上方(高圧)から下方(低圧)に向かう力が作用する。この力は回転軸1のベアリングP4,36に作用するが、上側渦流ロータ101に作用する力の方向と、下側渦流ロータ102に作用する力の方向が逆方向であるため、回転軸1のベアリング36、P4において軸方向に作用する荷重(アキシャル荷重)が相殺される。
したがって、従来技術(特許文献3等参照)ではアキシャル荷重や繰り返し加重によりベアリング寿命が短くなる問題があったが、実施例1の複合型真空ポンプPでは、ベアリング36,P4に作用する力が相殺されて小さくなるので、ベアリング36,P4の寿命を長くすることができる。
また、実施例1の複合型真空ポンプPでは、渦流ステータ本体73において、上面側のリング状流路76a、78aから下面側のリング状流路76b、78b、または下面側のリング状流路77b、79bから上面側のリング状流路77a、79aに気体が移送される際に、連絡流路88a〜88dを気体が通過する。従来の渦流ポンプ(特許文献1〜4参照)では、上側のリング状流路から下側のリング状流路に順次気体が移送される階段状の流路を有するステータや、外周側から内周側に気体が移送されるステータを使用しているので、隣接する流路の間で、ステータとロータとの隙間から気体が逆流(気体の漏れや戻り)する問題があった。しかしながら、実施例1の渦流ステータ本体73では、前記連絡流路88a〜88dでは気体が逆流しないので、流路全体で見た時に、従来技術と比較して逆流が発生する可能性を低減することができる。
また、外径を小さくすることができるので、回転駆動力の小さな排気モータMを使用することも可能になると共に、回転駆動時にベアリング(軸受)P4,36にかかる荷重も低減することができる。この結果、渦流ポンプKP及び複合型真空ポンプPを長寿命化することができる。
さらに、実施例1の複合型真空ポンプPでは、ステータ冷却水路(ポンプ冷却機構)93を流れる冷却水により、リング状流路76〜79で圧縮された気体から発生する熱や、渦流ロータ101、102回転駆動時の渦流翼111、113と気体との摩擦による摩擦熱等を除去し、渦流ステータ本体73を直接冷却することができる。この結果、渦流ステータ本体73や渦流ロータ101、102等の部材の熱膨張等による寸法の変化によって排気性能が変化することを防止できる。また、渦流ステータ本体73が冷却されるので、リング状流路76〜79の壁面を介して、リング状流路76〜79を移送される気体を冷却することができる。気体が冷却されると気体の体積が減少するので、排気効率が高まり、排気性能を向上させることができる。
また、実施例1の複合型真空ポンプPは、渦流ポンプKPの気体移送方向上流側に、中真空領域での圧縮・排気性能が高いネジ溝式ポンプSPが配置され、さらに気体移送方向上流側に高真空領域での圧縮・排気性能が高いターボ分子ポンプTMPが配置されている。したがって、ターボ分子ポンプTMPにより、ネジ溝式ポンプSPでの排気性能が高い中真空領域程度まで気体を圧縮し、ネジ溝式ポンプSPにより渦流ポンプKPでの圧縮性能が高い低真空領域まで気体を圧縮して、渦流ポンプKPにより大気圧程度まで気体を圧縮して排気することも可能である。この結果、他のポンプ(前段ポンプ、バックポンプ)を必要とせず、実施例1の複合型真空ポンプPにより、吸気口2aが連通する真空室(真空チャンバ)を高真空領域まで排気することができる。
(実施例1の変更例)
実施例1の渦流ポンプKPでは、渦流ステータ本体73のリング状流路76〜79により、上面側→下面側→下面側→上面側→…のように気体が移送されたが、第1リング状流路76a、76bには気体圧縮性能の高い突出渦流翼111が配置されているため、上側第1リング状流路76a、76bでの気体の圧縮性能が高くなる。したがって、隣接する上側第1リング状流路76aの気体の圧力と、上側第2リング状流路77aの気体の圧力との差(圧力差)は大きくなる。この結果、第1流路仕切部材81aのラビリンスシール37部分から排気気体が戻る可能性が大きくなることがあり、第1流路仕切部81aと渦流ロータ101との間の隙間を通じて上側第2リング状流路77a側から上側第1リング状流路76aに気体が戻る(逆流する)ことがある。
図14は、実施例1の変更例の渦流ステータの各気体流路を気体が流れる順序の説明図であり、前記図7に対応する図である。
従って、実施例1の変更例の渦流ポンプKPでは、図14に示すような順序で気体が移送されるように、渦流ステータ本体73及び渦流ロータ101、102の構成が変更されている。即ち、上側第2リング状流路77aを省略し、下側第2リング状流路77bから第2内側移行流路89b′を介して下側第3リング状流路78bに気体を移送するよう構成されている。これに伴い、下流側の流路が、下側第3リング状流路78b→第3連絡流路88c→上側第3リング状流路78a→第3内側移行流路89c→上側第4リング状流路79a→第4連絡流路88d→下側第4リング状流路79b→排気路91に変更されている。
したがって、上側第1リング状流路76aと上側第2リング状流路77aとの距離に比べ、上側第1リング状流路76aと上側第3リング状流路78aとの間の距離が広くなっている。したがって、この間の隙間にラビリンスシール37を多く配置することにより、実施例1の場合よりも逆流の発生を低減することができる。
図15は本発明の実施例2の複合型真空ポンプの説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
実施例2の複合型真空ポンプP′では、実施例1のターボ分子ポンプTMP(静翼4、動翼7等)が省略されている。
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の複合型真空ポンプP′では、ターボ分子ポンプTMPが省略されているので、実施例1の複合型真空ポンプPに比べ、高真空領域における圧縮・排気性能が低下している。即ち、ユーザのニーズや使用環境により、高真空領域まで排気する必要が無く、中真空領域程度まで排気できれば良い場合には、ターボ分子ポンプTMPを省略することにより、製造コストやメンテナンスコストを抑えることができる。その他の渦流ポンプKP部分に関しては、実施例2の複合型真空ポンプP′は、実施例1の複合型真空ポンプPと同様の作用効果を奏する。
図16は本発明の実施例3の複合型真空ポンプの説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
なお、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成されている。
実施例3のポンプP″では、実施例1のターボ分子ポンプTMP(静翼4、動翼7等)及びネジ溝式ポンプSP(ネジ山8、14等)が省略されている。
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3のポンプP″では、ターボ分子ポンプTMP及びネジ溝式ポンプSPが省略されているので、実施例1の複合型真空ポンプPに比べ、高真空領域及び中真空領域における圧縮・排気性能が低下している。即ち、ユーザのニーズ等により、低真空領域程度まで排気できれば良い場合や、大気圧よりも低圧に排気したい場合(即ち、真空ポンプではなく、通常の排気ポンプとして使用する場合)には、ターボ分子ポンプTMP及びネジ溝式ポンプSPを省略することにより、製造コストやメンテナンスコストを抑えることができる。その他の渦流ポンプKP部分に関しては、実施例3のポンプP″は、実施例1の複合型真空ポンプPと同様の作用効果を奏する。なお、実施例3のポンプP″において、複合型ターボ分子ポンプ部P1をさらに省略し且つ、回転軸1の長さを短く調節して、渦流ポンプ吸気口(吸気口)74を直接、排気対象の排気室(または真空室)に接続することも可能である。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、渦流ステータ本体73には、4段のリング状流路76〜79が形成されているが、段数は適宜変更可能である。
(H02)前記各実施例において、第1リング状流路76に対応する部分だけ突出渦流翼111の渦流翼列112で構成したが、最外周だけでなく、外周側の数段分、例えば、第1リング状流路76及び第2リング状流路77に対応する部分に突出渦流翼111の渦流翼列112を設けることも可能である。
(H03)前記各実施例において、渦流ポンプKPの気体移送方向上流側にネジ溝式ポンプSPやターボ分子ポンプTMPを配置したが、これらのポンプに限定されず、遠心ポンプやクライオポンプ等の任意のポンプを組み合わせることも可能である。なお、渦流ポンプKPがドライポンプであるため、上流側に接続するポンプもドライポンプである方が好ましい。
(H04)前記各実施例において、ベアリングP4,36はグリスにより潤滑する転がり軸受を使用したが、磁気軸受等の従来公知の軸受に変更可能である。
(H05)前記各実施例において、グリス自動供給部材139に替えて、従来公知のグリス自動供給装置を使用することも可能である。また、自動供給に限定されず、例えば、作業者が注射器等を使用してグリスを手作業で補給したり、グリス供給モータMGを省略し、手動でネジ138を回転させてグリスを供給するグリス供給部材を使用することも可能である。
(H06)前記各実施例において、渦流翼として、突出渦流翼111と段差部渦流翼113の2種類の渦流翼を使用したが、これらに限定されず、その他の形状の渦流翼を使用することができる。例えば、前記段差部渦流翼113に替えてタービン羽根形状の渦流翼の渦流翼列(リング状段差部に半径方向の長さが短いタービン羽根(渦流翼、動翼7参照)を固着して形成した渦流翼列)を配置したり、3種類以上の渦流翼を組み合わせて使用することも可能である。
(H07)前記各実施例において、リング状流路76〜79の深さや断面形状等及び渦流翼111,113のサイズや形状等を適宜変更して、各段の圧縮性能等を変更することも可能である。したがって、例えば、形状等を調節して圧縮性能の高い段差部渦流翼を外周側に配置し、内周側に駆動抵抗を小さく調節された突出渦流翼を配置することも可能である。
(H08)前記各実施例において、各リング状流路76〜79を上側→下側→下側→上側→…の順に接続したが、接続する順序は適宜変更可能である。例えば、上側のリング状流路76a〜79aを外周側から内周側に順次接続すると共に、下側のリング状流路76b〜79bを外周側から内周側に順次接続し、上側のリング状流路76a〜79aで圧縮された気体を下側のリング状流路76b〜79bでさらに圧縮するように構成することも可能である。
(H09)前記実施例1、2において、複合型ターボ分子ポンプ排気口28が直接渦流ポンプ吸気口74に接続されているが、パイプ等を介して接続することも可能である。
図1は本発明の実施例1の複合型真空ポンプの断面説明図である。 図2は本発明の実施例1の複合型真空ポンプの断面説明図であり、軸受へのグリス供給路及びパージ用ガス供給路を説明する断面説明図である。 図3は、複合型ターボ分子ポンプ部のベース部材の冷却水路及びガス通路を説明する斜視図である。 図4は、複合型ターボ分子ポンプ部のベース部材の冷却水路及びパージ用ガス通路を説明する平面図である。 図5は実施例1の複合型真空ポンプの渦流ポンプ部の説明であり、図5Aは図5BのVA−VA線断面図、図5Bは渦流ポンプ部の縦断面説明図である。 図6は渦流ポンプの渦流ステータの説明図であり、図6Aは平面図、図6Bは図6AのVIB−VIB線断面図である。 図7は、渦流ステータの各気体流路を気体が流れる順序の説明図である。 図8は渦流ポンプのロータの説明図であり、図8Aは縦断面説明図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIBから見た図、図8Cは図8AのVIIIC−VIIICから見た図である。 図9は突出渦流翼の説明図であり、図9Aは要部平面図、図9Bは要部斜視図である。 図10は段差部渦流翼の説明図であり、図10Aは要部平面図、図10Bは要部斜視図である。 図11はグリス供給装置の断面説明図である。 図12は実施例1の複合型真空ポンプの制御部が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。 図13は本発明の実施例1の複合型真空ポンプのグリス供給処理のフローチャートである。 図14は、実施例1の変更例の渦流ステータの各気体流路を気体が流れる順序の説明図であり、前記図7に対応する図である。 図15は本発明の実施例2の複合型真空ポンプの説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。 図16は本発明の実施例3の複合型真空ポンプの説明図であり、実施例1の図1に対応する図である。
符号の説明
1…回転軸、
2,72…ハウジング、
2a,74…吸気口、
92…排気口、
71…渦流ステータ、
73…ステータ本体、
76〜79,76a,76b,77a,77b,78a,78b,79a,79b…リング状流路、
88…連絡流路、
93…ポンプ冷却水路、
101、102…渦流ロータ、
104…ロータ本体、
107〜109…リング状段差部、
111…突出渦流翼、
111,113…渦流翼、
112,116…リング状渦流翼列、
113…段差部渦流翼、
P,P′,P″…ポンプ、
SP…ネジ溝式ポンプ、
TMP…ターボ分子ポンプ。

Claims (7)

  1. 下記の構成要件(A01)〜(A04)を備えたことを特徴とするポンプ、
    (A01)回転駆動する回転軸を回転可能に支持するハウジング、
    (A02)前記回転軸に固着され且つ前記ハウジングに対して回転自在に支持された円板状のロータ本体と、前記ロータ本体の端面に半径の異なる複数の同心円に沿って所定の間隔で配置された複数の渦流翼により構成された複数のリング状渦流翼列と、を有する渦流ロータ、
    (A03)前記ハウジングに回転不能に支持されたステータ本体と、複数の前記リング状渦流翼列に対応して前記ステータ本体に形成された複数のリング状流路とを有し、前記渦流ロータ回転時に前記リング状流路内で渦流を発生させることにより気体を圧縮して排出する渦流ステータ、
    (A04)前記ロータ本体の端面から前記リング状流路内に突出して形成された板状の突出渦流翼がリング状に配置された第1のリング状渦流翼列と、前記円板状のロータ本体の放射方向に対して内周側に比べて外周側が階段状に低く形成されたリング状の段差部に形成され且つ前記円板状のロータ本体の放射方向に延びる段差部渦流翼がリング状に配置された第2のリング状渦流翼列と、を有する前記複数のリング状渦流翼列。
  2. 下記の構成要件(A06)を備えたことを特徴とする請求項1記載のポンプ、
    (A06)同心円状に配置された複数の前記リング状渦流翼列の外周側且つ気体移送方向上流側に、前記第1のリング状渦流翼列を配置し、内周側且つ気体移送方向下流側に前記段差部渦流翼を有する前記第2のリング状渦流翼列を配置した前記渦流ロータ。
  3. 下記の構成要件(A07),(A08)を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のポンプ、
    (A07)前記ステータ本体の表裏両端面に形成された前記リング状流路、
    (A08)前記ステータ本体の表裏両端面に対向して配置された一対の前記渦流ロータ。
  4. 下記の構成要件(A09)を備えたことを特徴とする請求項3記載のポンプ、
    (A09)前記ステータ本体の表面及び裏面のいずれか一面側に形成された前記リング状流路の気体移送方向下流端と、前記ステータ本体の表面及び裏面の他面側に形成された前記リング状流路の気体移送方向上流端とを接続する連絡流路を有する前記渦流ステータ。
  5. 下記の構成要件(A010)を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載のポンプ、
    (A010)前記ステータ本体内部に配置されたポンプ冷却機構。
  6. 下記の構成要件(A011)を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のポンプ、
    (A011)前記リング状流路の気体移送方向上流端に形成された吸気口の気体移送方向上流側に配置されたネジ溝式ポンプ。
  7. 下記の構成要件(A012)を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載のポンプ、
    (A012)前記リング状流路の気体移送方向上流端に形成された吸気口の気体移送方向上流側に配置されたターボ分子ポンプ。
JP2004052113A 2004-02-26 2004-02-26 ポンプ Expired - Fee Related JP4565859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004052113A JP4565859B2 (ja) 2004-02-26 2004-02-26 ポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004052113A JP4565859B2 (ja) 2004-02-26 2004-02-26 ポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005240689A JP2005240689A (ja) 2005-09-08
JP4565859B2 true JP4565859B2 (ja) 2010-10-20

Family

ID=35022688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004052113A Expired - Fee Related JP4565859B2 (ja) 2004-02-26 2004-02-26 ポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4565859B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2010229821A1 (en) 2009-03-25 2011-11-17 Caitin, Inc. Supersonic cooling system
US8505322B2 (en) 2009-03-25 2013-08-13 Pax Scientific, Inc. Battery cooling
US8365540B2 (en) 2009-09-04 2013-02-05 Pax Scientific, Inc. System and method for heat transfer
JP2020023949A (ja) * 2018-08-08 2020-02-13 エドワーズ株式会社 真空ポンプ、及びこの真空ポンプに用いられる円筒部、並びにベース部

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002039092A (ja) * 2000-07-25 2002-02-06 Shimadzu Corp ターボ形ドライポンプ
JP2004353647A (ja) * 2003-05-28 2004-12-16 Asuka Japan:Kk 渦流形流体機械

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5474909U (ja) * 1977-11-08 1979-05-28
JPS61226596A (ja) * 1985-03-29 1986-10-08 Hitachi Ltd タ−ボ分子ポンプ
JPS63266191A (ja) * 1987-04-24 1988-11-02 Osaka Shinku Kiki Seisakusho:Kk 真空ポンプ
JPH01267390A (ja) * 1988-04-18 1989-10-25 Daikin Ind Ltd 渦流形真空ポンプ
GB9609281D0 (en) * 1996-05-03 1996-07-10 Boc Group Plc Improved vacuum pumps

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002039092A (ja) * 2000-07-25 2002-02-06 Shimadzu Corp ターボ形ドライポンプ
JP2004353647A (ja) * 2003-05-28 2004-12-16 Asuka Japan:Kk 渦流形流体機械

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005240689A (ja) 2005-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0568069B1 (en) Turbomolecular vacuum pumps
US5466134A (en) Scroll compressor having idler cranks and strengthening and heat dissipating ribs
JP3825372B2 (ja) ターボ圧縮機
US5759020A (en) Scroll compressor having tip seals and idler crank assemblies
US20020039540A1 (en) Scroll type compressor and method for compressing gas
JP2001207984A (ja) 真空排気装置
JP4565859B2 (ja) ポンプ
JPH11132197A (ja) 位置決め駆動機構及びバックラッシ調整機構
JP2006132530A (ja) スクロール圧縮機
US7789641B2 (en) Rotary blade compressor with eccentric axial biasing
KR102239812B1 (ko) 터보 압축기
JP5178612B2 (ja) スクリュー圧縮機
CN218030611U (zh) 压缩机构和涡旋压缩机
US4389170A (en) Rotary vane pump with passage to the rotor and housing interface
JPH11182480A (ja) 回転式圧縮機
JPH02176187A (ja) 流体圧縮機
JP2005240690A (ja) 真空ポンプ
WO2018142486A1 (ja) 回転式容積型圧縮機
JP2003176793A (ja) スクロール圧縮機
JPH02264196A (ja) ターボ真空ポンプ
US20020085937A1 (en) Scroll type compressor and method of making the same
US6644912B2 (en) Gas friction pump
JP2001165075A (ja) 圧縮機
JPH0752392Y2 (ja) スクロール流体機械
JP2002285987A (ja) 小型真空ポンプ

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060828

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100223

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100727

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100803

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4565859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130813

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees