JP4565060B2 - シャシダイナモメータの性能評価方法とその装置 - Google Patents
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シャシダイナモメータの性能評価に関する文献としては、非特許文献1〜4が公知となっており、また、シャシダイナモメータの負荷状態を模擬するための等価慣性補償が適切に調整されているか否かの検証のための等価慣性補償の評価方法としては、特許文献1が公知となっている。
非特許文献1〜4、及び特許文献1には、車両における目標駆動力と実測駆動力との相関関係や差分を統計的に評価することが記載されている。また、欧州規格ECE15が存在し、総慣性量I=I0+Fi/γ(ただし、I0は固定慣性、Fiは電気慣性、γは加速度)を演算することで等価慣性補償の応答速度や精度を評価している。
平成8年度特定研究成果集「4WD車の排出ガス・燃費評価用シャシダイナモメータの性能要件に関する研究」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行 平成9年度特定研究成果集「4WD車の排出ガス・燃費評価用シャシダイナモメータの性能要件に関する試験調査」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行 平成10年度特定研究成果集「15.4WD車の排出ガス・燃費評価用シャシダイナモメータの性能要件に関する試験調査」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行 平成10年度交通安全公害研究所研究発表会講演概要「4WD車用シャシダイナモメータに関する研究」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行
また、ECE15においては、加速度の割り算が演算内に出現するため、慣性演算値が安定しにくく、特にMT車両などの変速時や車速モードの変極点等、加速度が0クロスする部分では、分母であるγが0となるため安定しなくなる等の問題点を有している。
前記シャシダイナモメータに設けられた速度検出器とトルク検出器により検出された速度検出信号とトルク信号を評価装置に入力し、
入力された検出信号のうち、速度検出信号を前記評価装置が有する最小2乗近似微分演算部に導入して加速度信号に変換し、変換された加速度信号と前記トルク信号、及び予め設定された走行抵抗のパラメータと機械損失信号を前記評価装置の評価値演算部に入力し、
この評価値演算部で車両モード運転状態における駆動力、仕事率、仕事量の何れかを前記評価値演算部にて演算し、求められた演算値に基づいてダイナモメータの負荷状態を評価することを特徴としたものである。
本発明の第2は、前記評価値演算部の出力側に負荷評価部を設け、この負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価することを特徴としたものである。
本発明の第3は、車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、計測のための速度検出器とトルク検出器及び走行抵抗設定部、機械損失設定部を備えたシャシダイナモメータにおいて、
前記シャシダイナモメータに設けられた速度検出器によって検出された信号を導入して速度検出信号Vmに変換する速度信号変換部と、この変換された速度変換信号Vmを導入して加速度信号dVm/dtに変換する最小2乗近似微分演算部と、前記シャシダイナモメータに設けられたトルク検出器にて検出されたトルク信号導入してローラ表面換算値FLCとするトルク信号変換部と、予め設定された値が入力される走行抵抗のパラメータと前記速度検出信号Vmを用いて目標とする走行抵抗FRL*を演算する目標走行抵抗演算部と、車両質量IW*とシャシダイナモメータの車重相当慣性力IMの信号を入力し、各信号にそれぞれ前記加速度信号dVm/dtを乗算してIW*・dVm/dt及びIM・dVm/dt信号を得る演算部と、これらFLC,dVm/dt,FRL*,IW*・dVm/dt,IM・dVm/dt及び入力される機械損失のローラ表面換算値信号FMLをそれぞれ導入して少なくとも車両の駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を演算する評価値演算部を備えたことを特徴とするものである。
本発明の第4は、前記評価値演算部にて演算された駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を評価するためのシャシダイナモメータの負荷評価部を備えたことを特徴としたものである。
本発明の第5は、前記負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価できるよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の第6は、前記性能評価装置は、前記シャシダイナモメータシステムとは別体で構成されることを特徴としたものである。
そして、これら1〜8によってシャシダイナモメータシステム9が構成される。
評価値演算部23においては、シャシダイナモメータから計測される試験車両の駆動力FVは(1)式によって求めることができる。
被試験車の走行に必要なエネルギーは、燃費や排出ガス量と密接に関連する物理量であると考えられることから、単位時間あたりのエネルギー量(仕事率)に注目し、各走行モードを運転したときの被試験車に対する仕事率からシャシダイナモメータの負荷状態がどの程度正確に働いているかを評価しようとするものである。
すなわち、各走行モード、各走行抵抗設定値及び設定慣性量に対する目標仕事量と実測した仕事量とを比較すると、どの走行モード、走行抵抗設定値及び設定慣性量においても、目標値と実測値とがほぼ一致していた場合には、シャシダイナモメータの負荷状態が全体として正確に働いていると推定される。
図2は、評価演算部23にて求めた目標駆動力と実測駆動力による1次回帰の図、図3は、目標仕事率と実測仕事率による1次回帰の図である。駆動力及び仕事率における1次回帰評価項目としては、標準偏差や相関係数、回帰直線の傾き及び回帰直線y切片等が考慮されており、例えば、相関係数と回帰直線傾きについては、試験時におけるエンジンの状態がホット状態か、コールド状態かによって区分されて図2,3上にプロットされ、回帰直線傾きと一致するか否かで負荷状態の良否が判断される。
プロットのばらつきと標準偏差で負荷状態の応答性が評価でき、回帰直線の傾斜と相関係数で性能が判断される。
図5は駆動力、図6は仕事率で、各図における(a)は電気慣性応答を0.1sとした場合、(b)図は電気応答を0.5sとした場合、(c)図は電気応答を1sとした場合をそれぞれ示し、且つ破線イ、ロは車両モード運転中にリアルタイムによる評価を可能とするために負荷評価部に表示させたバンド幅で、プロットがこのバンド幅に入っている場合は良とし、外れた場合には否とする。
すなわち、図4(a)における電気慣性応答0.1s時には、目標値−実測駆動値による差値は、最大でも500N以内にはいっているが、電気慣性応答0.5s以上では500Nを大きく超えている。破線イ、ロで示すバンド幅は、例えば500Nに相当する幅で設定される。したがって、図5、図6から明らかなように、電気慣性応答が0.1s時のプロットが最も回帰直線の傾きと一致し、且つバンド幅内に入っており、電気慣性応答時間が遅くなるほどプロットのばらつきが多くてバンド幅からはみ出た状態となっている。この結果からシャシダイナモメータの負荷要素の一つである電気慣性の応答性の確認が可能となる。
以上のように本発明によれば、駆動力、仕事率の観念を導入し、それらの1次回帰式を求めて統計的に評価を行うことで、負荷吸収機能の正確なる評価が実行できるものである。
2…速度検出器
3…トルク検出器
4…走行抵抗設定部
5…機械損失設定部
6…電気慣性設定部
7…加算部
8…トルク制御部
10…評価装置
11,15…エリアジングフィルタ
12,16…A/D変換部
14…最小2乗微分演算部
17、18、21、22…乗算部
23…評価値演算部
24…負荷評価部
Claims (6)
- 車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、このシャシダイナモメータに車両を搭載し、速度検出器とトルク検出値により検出された信号を評価装置に入力して目標値と比較し、シャシダイナモメータから車両に与える負荷を評価装置によって評価するものにおいて、
前記シャシダイナモメータに設けられた速度検出器とトルク検出器により検出された各信号を評価装置に入力し、
入力された検出信号のうち、速度検出信号を前記評価装置が有する最小2乗近似微分演算部に導入して加速度信号に変換し、変換された加速度信号と前記トルク信号、及び予め設定された走行抵抗のパラメータと機械損失信号を前記評価装置の評価値演算部に入力し、
この評価値演算部で車両モード運転状態における駆動力、仕事率、仕事量の何れかを前記評価値演算部にて演算し、求められた演算値に基づいてダイナモメータの負荷状態を評価することを特徴としたシャシダイナモメータの性能評価方法。 - 前記評価値演算部の出力側に負荷評価部を設け、この負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価することを特徴とした請求項1記載のシャシダイナモメータの性能評価方法。
- 車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、計測のための速度検出器とトルク検出器及び走行抵抗設定部、機械損失設定部を備えたシャシダイナモメータにおいて、
前記シャシダイナモメータに設けられた速度検出器によって検出された信号を導入して速度検出信号Vmに変換する速度信号変換部と、この変換された速度変換信号Vmを導入して加速度信号dVm/dtに変換する最小2乗近似微分演算部と、前記シャシダイナモメータに設けられたトルク検出器にて検出されたトルク信号導入してローラ表面換算値FLCとするトルク信号変換部と、予め設定された値が入力される走行抵抗のパラメータと前記速度検出信号Vmを用いて目標とする走行抵抗FRL*を演算する目標走行抵抗演算部と、車両質量IW*とシャシダイナモメータの車重相当慣性力IMの信号を入力し、各信号にそれぞれ前記加速度信号dVm/dtを乗算してIW*・dVm/dt及びIM・dVm/dt信号を得る演算部と、これらFLC,dVm/dt,FRL*,IW*・dVm/dt,IM・dVm/dt及び入力される機械損失のローラ表面換算値信号FMLをそれぞれ導入して少なくとも車両の駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を演算する評価値演算部を備えたことを特徴とするシャシダイナモメータの性能評価装置。 - 前記評価値演算部にて演算された駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を評価するためのシャシダイナモメータの負荷評価部を備えたことを特徴とした請求項3記載のシャシダイナモメータの負荷状態評価装置。
- 前記負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価できるよう構成したことを特徴とした請求項4記載のシャシダイナモメータの性能評価装置。
- 前記性能評価装置は、前記シャシダイナモメータシステムとは別体で構成されることを特徴とした請求項3乃至5記載のシャシダイナモメータの性能評価装置。
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