JP4562663B2 - ミルク感増強方法 - Google Patents
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Description
しかし、ミルク感は、加熱処理などの飲食品の加工工程で大きく損なわれることがある。この場合、乳固形分をあらかじめ多めに含有させることや、乳固形分をさらに添加することも可能であるが、乳固形分の飲食品中の含有量に制限がある場合は、他の手段でミルク感を増強させる必要がある。また、ミルク感が損なわれない場合であっても、手軽にミルク感を増強できる方法があれば好ましい。
(1) ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物を乳固形分を含有する飲食品に添加することを特徴とする、乳固形分を含有する飲食品のミルク感増強方法。
(2) ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物が、分子量1000〜5000のペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物である、上記(1)の方法。
(3) ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物を有効成分として含有するミルク感増強剤。
(4) ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物が、分子量1000〜5000のペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物である、上記(3)のミルク感増強剤。
(5) 上記(3)または(4)のミルク感増強剤を添加してなる飲食品。
(6) ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物を乳固形分を含有する飲食品の素材に添加することを特徴とする、乳固形分を含有する飲食品の製造方法。
(7) ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物が、分子量1000〜5000のペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物である、上記(6)の製造方法。
植物蛋白質としては、大豆蛋白質、小麦蛋白質、とうもろこし蛋白質等の種子蛋白質などがあげられる。
動物蛋白質としては、ホエー蛋白質、カゼイン等の乳蛋白質、卵白蛋白質、卵黄蛋白質等の卵蛋白質、血漿蛋白質、血球蛋白質等の血液蛋白質、食肉蛋白質、魚肉蛋白質等の筋肉蛋白質などがあげられる。
蛋白質としては、上記蛋白質に化学処理、酵素処理、物理処理等を施した蛋白質、例えばゼラチン、プラクアルブミン、メタプロテイン、プロテオース、ペプトン等を用いてもよい。
蛋白質としては、大豆蛋白質、小麦蛋白質、ホエー蛋白質、カゼイン、血漿蛋白質、卵白蛋白質、ゼラチンまたは酵母菌体由来の蛋白質が好適に用いられる。
蛋白質分解酵素としては、エンドペプチダーゼ(プロテイナーゼともいう)およびエキソペプチダーゼがあげられるが、エンドペプチダーゼを用いることが好ましい。エンドペプチダーゼとしては、エキソペプチダーゼ活性を有するエンドペプチダーゼを用いることが好ましい。エキソペプチダーゼ活性が低いエンドペプチダーゼを用いる場合、エキソペプチダーゼを別途混合して使用してもよい。
市販されているエンドペプチダーゼとしては、例えばトリプシン、キモトリプシン、ペプシン、スミチウムLP(新日本化学社製)、ビオプラーゼ(長瀬産業社製)、アルカラーゼ(ノボザイムズ社製)等があげられる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、クエン酸等の有機酸が用いられる。
蛋白質分解酵素の使用量は、使用する酵素や蛋白質の種類等によって異なるため特に限定はないが、加水分解処理する蛋白質の0.05〜10%(w/w)であることが好ましく、0.1〜7%(w/w)であることがより好ましく、1〜5%(w/w)であることが特に好ましい。
pHは、塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リン酸等の飲食品に許容される酸、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の飲食品に許容されるアルカリを添加することによって調整することができる。
加水分解処理後、反応液をそのまま次の処理に供することもできるが、加熱処理、酸処理等によって酵素を失活させた後に次の処理に供することもできる。
還元糖としては、単糖、還元性をもつ二糖以上の多糖類糖があげられる。
単糖としては、トリオース、テトラオース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース等があげられ、ペントースまたはヘキソースが好適に用いられる。
ヘキソースとしては、D−グルコース、D−フルクトース、D−ガラクトース、D−マンノース等があげられ、D−グルコースまたはD−フルクトースが好適に用いられる。
還元糖をもつ二糖以上の多糖類とは、単糖が二個以上結合してできたカルボニル基をもつ多糖類であり、かつアルカリ性でフェーリング溶液を還元するものをいい、例えばマルトース、ラクトース、イソマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース等があげられる。
アルデヒド化合物としては、飽和アルデヒド、不飽和アルデヒド等があげられる。
飽和アルデヒドとしては、プロパナール、ヘキサナール、オクタナール、ノナナール等があげられ、ヘキサナールまたはノナナールが好適に用いられる。
アミノ−カルボニル反応工程について、以下に例示する。
ペプチドを水性媒体中に1〜60%(w/v)、好ましくは1〜10%(w/v)、また、カルボニル化合物を0.05〜30%(w/v)、好ましくは0.1〜10%(w/v)となるように溶解し、混合水溶液を調製する。
該混合水溶液をpH3〜9、好ましくはpH5〜7に調整し30〜180℃、好ましくは60〜120℃で、1時間〜数ヶ月、好ましくは1〜6時間反応させることにより、アミノ−カルボニル反応ペプチドが調製される。
本発明において乳固形分とは、牛乳等の乳における水分以外の乳成分である乳脂肪または無脂乳固形分をいう。
乳固形分を含有する飲食品としては、乳固形分を0.1〜50重量%、好ましくは、0.5〜40重量%含有する飲食品であればいずれの飲食品でもよく、例えば、コーンスープ、クラムチャウダーなどのスープ類、ホワイトソース、クリームなどのソース類、バター、アイスクリーム等の乳加工品、缶コーヒー等の飲料、グラタン等の調理食品、チョコレート等の菓子があげられ、乳固形分を含有するスープ類およびソース類が好ましくあげられる。
ペプチドを水性媒体中に1〜60%(w/v)、好ましくは1〜10%(w/v)、また、カルボニル化合物を0.05〜30%(w/v)、好ましくは0.1〜10%(w/v)となるように溶解し混合水溶液を調製する。該混合水溶液をpH3〜9、好ましくはpH5〜7に調整した後、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理などを行い、乾燥粉末を得る。得られた乾燥粉末を、相対湿度50〜90%、好ましくは60〜80%に調整し、30〜180℃、好ましくは60〜120℃で、数時間〜数ヶ月間、好ましくは3〜10日間反応させることにより、アミノ−カルボニル反応ペプチドが調製される。
本発明のミルク感増強方法としては、例えばアミノ−カルボニル反応ペプチドをそのまま、またはミルク感増強剤として上記の乳固形分を含有する飲食品を製造する際に該飲食品の素材の一部として添加する方法、製品となっている乳固形分を含有する飲食品を加熱調理、電子レンジ調理、真空調理等の調理する際または摂食の際に添加する方法等があげられる。なお、本発明において、ミルク感を増強するとは、乳固形分を含有する飲食品の乳、好ましくは牛乳の風味を強くし、味をなめらかでまろやかにすることをいう。
また、本発明のミルク感増強剤は、乳固形分を、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%含有させてミルク感増強用の調味料として用いてもよい。
アミノ−カルボニル反応ペプチドの乳固形分を含有する飲食品またはその素材への添加量は、該飲食品中のアミノ−カルボニル反応ペプチドが、好ましくは0.001〜1%(w/w)、さらに好ましくは0.001〜0.5%(w/w)、特に好ましくは、0.05〜0.2%(w/w)となる量が好ましい。
アミノ−カルボニル反応ペプチドを、そのまま、または本発明のミルク感増強剤として、該飲食品中のアミノ−カルボニル反応ペプチドの含有量が好ましくは上記の範囲内となる量添加する以外は通常の飲食品の製造方法があげられる。
以下に本発明の実施例を示す。
反応終了後、塩酸でpHを6に調整し、85〜90℃で20分間加熱して酵素を失活させた後、遠心分離した。得られた上清をろ過し、透明な液を得た。該液を限外ろ過(分画分子量1000〜5000の限外ろ過膜を使用)に供し、分子量1000〜5000の画分を得た。得られた画分を凍結乾燥させて粉末を得た。
また、24gのスイートコーンパウダー、2gの食塩、0.1gのホワイトペッパー末、3.9gのチキンエキス〔ハイクックチキンA(協和発酵フーズ社製)〕、および乳固形分を含有する素材〔50gのオルコックポタージュベースDX(協和発酵フーズ社製)および20gのニューラクトNMB(和光堂社製)〕を混合し、コーンスープベースを調製した。該コーンスープベース100gを910gの湯に溶解し、乳固形分を約4重量%含有するコーンスープを調製した。
官能評価は14名の熟練したパネルにより行った。メイラードペプタイドを添加したコーンスープとメイラードペプタイドを添加しないコーンスープとを各項目について比較し、強く感じた方を1点、弱く感じた方を2点とした。各パネルの評点の合計値を各評価区の評点とした。
結果を第1表に示す。なお、数値の低い方が、評価が高いことを示す。
第1表に示されるとおり、メイラードペプタイドを添加したコーンスープでは、明らかにミルク感が増強されていた。
なお、上記の分子量1000〜5000の画分を凍結乾燥させて得られた粉末、およびキシロースをそれぞれ、コーンスープに添加し、同様の官能評価を行ったところ、いずれの試験区においても、ミルク感の有意な増強は認められなかった。
結果を第2表に示す。
第2表に示されるとおり、メイラードペプタイドを添加したホワイトソースでは、明らかにミルク感が増強されていた。
Claims (4)
- ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物を乳固形分を含有する飲食品に添加することを特徴とする、乳固形分を含有する飲食品のミルク感増強方法。
- ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物が、分子量1000〜5000のペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物である、請求項1記載の方法。
- ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物を乳固形分を含有する飲食品の素材に添加することを特徴とする、乳固形分を含有する飲食品の製造方法。
- ペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物が、分子量1000〜5000のペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物である、請求項3記載の製造方法。
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