JP4562329B2 - 階段状トンネル側道用鋼製型枠および階段状トンネル側道の施工方法 - Google Patents

階段状トンネル側道用鋼製型枠および階段状トンネル側道の施工方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル内の側部にトラフ設置等のために設けられる階段状トンネル側道部を施工するための鋼製型枠およびその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トンネルの施工工事では、セグメントによって外周が囲まれたトンネルを施工した後、底盤側にインバートコンクリートを打設し、その後両側部に各種の電線を敷設するためのトラフ(U字溝状部材)を設置したり、および管理用歩廊部を確保するなどのために階段状に構築された側道(以下、階段状トンネル側道という。)が設けられる。
【0003】
従来より前記階段状トンネル側道の施工(3段構造)は、図8に示されるように、先ず下段トラフ台の施工のための側型枠50を設置しその内部にコンクリートを打設した後、その硬化を待ってから脱型を行い、次いで下段トラフ台の上面に中段トラフ台を施工するために側型枠51を設置しその内部にコンクリートを打設した後、その硬化を待ってから脱型を行い、さらに前記中段トラフ台の上面に上段トラフ台を施工するために側型枠52を設置しその内部にコンクリートを打設する手順により施工を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように下段側から順次1段づつコンクリート打設を繰り返す施工方法の場合には、型枠設置、コンクリート打設、コンクリート硬化を待ってからの脱型の工程を繰り返さなければならず、多くの作業手間が掛かるとともに、作業工程が長期化するなどの問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は階段状の鋼製型枠を製作し、複数段分のコンクリート打設を1回で完了させる試みを試験的に行った。なお、型枠を鋼製型枠としたのは転用可能とするためである。
【0006】
しかし、前記鋼製型枠を脱型した際、階段の踏み面に相当する平面部分に空気溜まりが起こり、大きなアバタ状の窪みが散在することが知見された。
【0007】
また、施工の効率化を図るために、鋼製型枠のトンネル方向長さを長くすると、1セットの重量が重くなるため鋼製型枠の盛替えにクレーン等の起重機が必要となり、この盛替え用クレーンがトンネル空間を占有するようになるため、他の作業の障害になるなどの問題も同時に発生した。
【0008】
他方、特開平11-141291号公報では、図9に示されるように、トラフ台の少なくとも2段分のコンクリート型枠を一体的にプレキャスト化し、このプレキャストコンクリート型枠53を所定位置に配置し、複数段分のコンクリート打設を一回で行うトラフ台の施工方法を提案している。この場合には、前記プレキャストコンクリート型枠53は撤去しないためアバタ状の窪みが外部に露出することはないけれども、プレキャストコンクリート型枠53の製作コストが掛かるため、施工費用が嵩むなどの問題が生じることになる。
【0009】
そこで本発明の第1の課題は、階段状トンネル側道を1回のコンクリート打設によって構築しながら、階段の平面部分を平滑に仕上げできる階段状トンネル側道用鋼製型枠を提供することにある。
【0010】
次いで、第2の課題は盛替え用クレーン等を使用することなく、前記階段状トンネル側道用鋼製型枠を順次盛替えしながら階段状トンネル側道を効率的に構築するための施工方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記第1課題を解決するために請求項1に係る本発明として、トンネル内の側部に階段状側道をコンクリート躯体によって構築するための階段状トンネル側道用鋼製型枠であって、
前記階段状トンネル側道用鋼製型枠は、鉛直配置の側型枠と平面配置の塞ぎ型枠とを階段状に連続させた断面形状を成すとともに、少なくともトンネル長手方向の一方側端部に端部型枠を含んで構成され、かつ前記塞ぎ型枠が着脱自在または開閉自在とされ、打設したコンクリートの上面部分が露出可能となっていることを特徴とする階段状トンネル側道用鋼製型枠が提供される。
【0012】
前記第2課題を解決するために請求項2に係る本発明として、前記階段状トンネル側道の上部位置に、トンネル長手方向に沿って適宜の間隔でトンネル内壁面にブラケットを取り付け、これらブラケット群によってトンネル長手方向に沿って移動可能に吊持されたレール部材を設けるとともに、このレール部材の下面側に該レール部材に沿って走行自在とされる1または複数の巻上げ移動装置を設け、
前記レール部材を移動不能に固定した状態で前記巻上げ移動装置によって請求項1記載の階段状トンネル側道用鋼製型枠を吊り上げ、次のコンクリート打設区間に盛替えたならば、該コンクリート打設区間において階段状トンネル側道の施工を行い、
かつ前記階段状トンネル側道の施工を行っている間に、後方側ブラケットを順次前方側に盛替えしながら、前記レール部材を次の打設区間まで移動しておき、
前記階段状トンネル側道の構築を終えたならば、前記レール部材を移動不能に固定した状態で前記巻上げ移動装置によって前記階段状トンネル側道用鋼製型枠を吊り上げ、次のコンクリート打設区間に盛替える手順を繰り返すことにより前記階段状トンネル側道を順次、トンネル長手方向に沿って延長することを特徴とする階段状トンネル側道の施工方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0014】
図1はトンネル内に構築される階段状トンネル側道1,1を示すトンネル横断面図、図2はその要部拡大図(図1のA部拡大図)、図3は本発明に係る鋼製型枠4の平面図及び正面図、図4は図3のIV−IV線矢視図、図5は図3のV−V線矢視図である。
【0015】
図1に示されるように、シールド工法等により外周がセグメント2により囲まれたトンネルを施工した後、底盤側にインバートコンクリート3を打設し、その後両側または一方側に、各種の電線を敷設するためのトラフ(U字溝)を設置したり、管理用歩廊部を確保するなどのために階段状トンネル側道1,1がコンクリート躯体によって構築される。図示される階段状トンネル側道1,1は3段の場合の構造例であり、下段および中段にトラフが設置され、上段は管理用歩廊部として使用されるようになっている。
【0016】
前記階段状トンネル側道1,1を構築するために、図2〜図5に示される鋼製型枠4が使用される。この鋼製型枠4は、鉛直配置の側型枠5A、5B、5Cと平面配置の塞ぎ型枠6A、6Bとを階段状に連続させた断面形状を成すとともに、少なくともトンネル長手方向の一方側端部に端部型枠(図示せず)とを含んで構成される。なお、前記端部型枠が一方側で足りるのは、他方側端部は構築済み階段状トンネル側道1の端面に連続させるためである。
【0017】
本発明では、特に前記塞ぎ型枠6A、6Bが図4に示されるように、着脱自在に構成され、打設したコンクリートの上面部分が露出可能となっている。コンクリートを打設した後、半硬化の状態で前記塞ぎ型枠6A、6Bを撤去し、コンクリート上面部分をコテ等で均すことによって平滑に仕上げることが可能となっている。
【0018】
前記塞ぎ型枠6A、6Bは、両側に設けられた立ち上がり壁6a、6bに形成された通孔と、一方がわ側型枠5A、5Bの上部と他方がわ側型枠5B、5Cの下部に設けられた立ち上がり壁5a、5bに形成された通孔とを貫く塞ぎ型枠設置用挿入棒7によって型枠の上面開口位置に着脱自在に固定保持されている。
【0019】
前記鋼製型枠4の端部は、図5に示されるように、立ち上がり壁9A〜9Cが階段形状に沿って設けられるとともに、適所にボルト通孔9a、9a…が設けられ、隣接して配置される鋼製型枠4とボルト接合できるようになっている。後述の階段状トンネル側道1,1の施工要領では、図3に図示される長さLの前記鋼製型枠4,4…を10個連設したものを使用するようにしている。
【0020】
なお、本例では前記塞ぎ板6A、6Bを着脱自在の構造としたが、コンクリート上面部分が露出可能であれば良いため、回動によって開閉自在の構造としてもよい。
【0021】
前記鋼製型枠4をトンネル側部に位置決めするには、図2に示されるように、セグメント2のボルト連結用ボルトボックス2aに平板12をボルト固定するとともに、この平板12にセパレータ13の一端を溶接等によって連結し、他方端側を下段側型枠5Aに貫通させるとともに、横端太パイプ14,14を側型枠5Aの外面側に横方向通しで配設し、リブ座15により固定するとともに、このリブ座15を前記セパレータ13によって締結するようにする。一方、上部側は図3及び図4に示されるように、上段側型枠5Cの上部にボルト締結板部17を固定するとともに、一端がセグメント2に固定され、他端が前記ボルト締結板部17にナット固定されたセパレートボルト8によって堅固に固定を図るようにしている。
【0022】
一方、前記階段状トンネル側道1,1の上部位置には型枠盛替え設備10が設けられている。この型枠盛替え設備10は、詳細には図6に示されるように、トンネル長手方向に沿って適宜の間隔でトンネル内壁面にブラケット18,18…を取り付け、これらブラケット18、18…群によってトンネル長手方向に沿って移動可能に吊持されたレール部材19を設けるとともに、このレール部材19下面側に該レール部材19に沿って走行自在とされる1または複数の、本例では2つのホイスト20(巻上げ移動装置)を設けるようにしている。具体的には、前記ブラケット18の先端部分に左右一対のローラ支持部18A、18Bを設け、レール部材19の上フランジ19aを下面側から支持するようにし、かつ前記レール部材19の下フランジ19b上面をレール面として走行自在のホイスト20を設けるようにした。
【0023】
階段状トンネル側道1の施工に当たっては、図7(A)に示されるように、前記レール部材19を移動不能に固定した状態で前記ホイスト20、20によって前記鋼製型枠4を10個連設した連設型枠4を吊り上げ、次のコンクリート打設区間まで移動したならば、図7(B)に示されるように、前記連設型枠4を吊り降ろし所定の位置に位置決めし前述した要領によって固定を図る。そして、連設型枠4内に生コンクリートを天端まで一気に打設し、半硬化状態(2〜3時間後)になったならば、塞ぎ板6A、6Bを撤去し、コンクリートの上面部分を露出させ、該コンクリート上面部分をコテによって平らに仕上げるようにする。
【0024】
一方、前記階段状トンネル側道1の施工を行っている間に、レール部材19を次施工区間まで移動する作業を行う。前記レール部材19の移動は、図7(B)に示されるように、後方側ブラケット18を順次前方側に盛替えしながら、前記レール部材19を所定距離づつ前進させるようにする。
【0025】
その後、前記区間長分の階段状トンネル側道1,1の構築を終えたならば、図7(C)に示されるように、前記レール部材19を移動不能に固定した状態で前記ホイスト20,20によって前記連設型枠4を吊り上げ、次のコンクリート打設区間に盛替えるようにする。以上の手順を繰り返すことにより前記階段状トンネル側道1,1を順次、トンネル長手方向に沿って延長するようにする。
【0026】
【発明の効果】
以上詳説のとおり請求項1記載の本発明によれば、階段状トンネル側道を1回のコンクリート打設によって構築しながら、階段の平面部分を平滑に仕上げできるようになる。
【0027】
また、請求項2記載の本発明によれば、盛替え用クレーン等を使用することなく、前記階段状トンネル側道用鋼製型枠を順次盛替えしながら階段状トンネル側道を効率的に構築できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル内に構築される階段状トンネル側道1,1を示すトンネル横断面図である。
【図2】その要部拡大図である。
【図3】階段状トンネル側道用鋼製型枠4を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視図である。
【図5】図3のV−V線矢視図である。
【図6】ブラケット18、レール部材19およびホイスト20による型枠盛替え設備10を示す正面図である。
【図7】 (A)〜(C)は型枠盛替え要領を示す手順図である。
【図8】 (A)〜(C)は従来の階段状トンネル側道の施工要領(その1)を示す手順図である。
【図9】従来の階段状トンネル側道の施工要領(その2)を示す横断面図である。
【符号の説明】
1…階段状トンネル側道、2…セグメント、3…インバートコンクリート、4…鋼製型枠、5A〜5C…側型枠、6A・6B…塞ぎ型枠、7…塞ぎ型枠設置用挿入棒、8…セパレートボルト、10…型枠盛替え設備、18…ブラケット、19…レール部材、20…ホイスト(巻上げ移動装置)

Claims (2)

  1. トンネル内の側部に階段状側道をコンクリート躯体によって構築するための階段状トンネル側道用鋼製型枠であって、
    前記階段状トンネル側道用鋼製型枠は、鉛直配置の側型枠と平面配置の塞ぎ型枠とを階段状に連続させた断面形状を成すとともに、少なくともトンネル長手方向の一方側端部に端部型枠を含んで構成され、かつ前記塞ぎ型枠が着脱自在または開閉自在とされ、打設したコンクリートの上面部分が露出可能となっていることを特徴とする階段状トンネル側道用鋼製型枠。
  2. 前記階段状トンネル側道の上部位置に、トンネル長手方向に沿って適宜の間隔でトンネル内壁面にブラケットを取り付け、これらブラケット群によってトンネル長手方向に沿って移動可能に吊持されたレール部材を設けるとともに、このレール部材の下面側に該レール部材に沿って走行自在とされる1または複数の巻上げ移動装置を設け、
    前記レール部材を移動不能に固定した状態で前記巻上げ移動装置によって請求項1記載の階段状トンネル側道用鋼製型枠を吊り上げ、次のコンクリート打設区間に盛替えたならば、該コンクリート打設区間において階段状トンネル側道の施工を行い、
    かつ前記階段状トンネル側道の施工を行っている間に、後方側ブラケットを順次前方側に盛替えしながら、前記レール部材を次の打設区間まで移動しておき、
    前記階段状トンネル側道の構築を終えたならば、前記レール部材を移動不能に固定した状態で前記巻上げ移動装置によって前記階段状トンネル側道用鋼製型枠を吊り上げ、次のコンクリート打設区間に盛替える手順を繰り返すことにより前記階段状トンネル側道を順次、トンネル長手方向に沿って延長することを特徴とする階段状トンネル側道の施工方法。
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