JP4562231B2 - 熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、民生用及び産業用に供される熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性樹脂組成物硬化製品としては、例えば、貯水槽、排水槽、配管材料、電線用プラスチック碍子、各種容器、各種部品などで使用される各種形状のFRP成形体、樹脂成形体、金属・セラミック部品を含んだ樹脂を主成分とする成形体や、電気用部品や機械用部品など他の部品が主構成要素である成形体などがある。これらの熱硬化性樹脂組成物硬化製品を製造するには、例えば、モータ、小型トランス、ソレノイドのような電気用コイルなどに液状あるいは半硬化した熱硬化性樹脂組成物を含浸し、あるいは基材に液状あるいは半硬化した熱硬化性樹脂組成物を含浸させ板状のプリプレグを作製し、得られた熱硬化性樹脂組成物を含有する被加熱物(以下、ワークと呼ぶことがある。)を規定の温度で一定時間加熱して、熱硬化性樹脂組成物を硬化させて製造される。通常ワークの硬化は、恒温槽の中で加熱した空気を循環させ、充分時間をかけて行なってきた。この場合、ワーク中の熱硬化性樹脂組成物からは一般に有機物の蒸気が発生するために、槽内空気の一部を排出し槽内を爆発限界以下に押さえて加熱していた。
【0003】
しかしこの方法では、空気からワークへの熱移動速度が小さいために時間がかかる。また、熱硬化性樹脂組成物から発生する有機物の恒温槽内濃度を爆発限界以下に押さえるためには、大量の空気を入れ替えなければならず、エネルギー損失が大きくなる。さらに、発生した有機物を大気中に排気するために、触媒燃焼や溶剤回収装置などの付帯設備による処理が必要であるなどの問題点があった。
【0004】
特に、熱硬化性樹脂組成物で処理された電気機器用コイルを加熱する際には、電気機器用コイルに使用されている電磁鋼板等の熱容量が大きいので電気機器用コイルが雰囲気温度に到達するまでに長時間を費やし、熱硬化性樹脂組成物の硬化時間が長くなり、エネルギーコストが増大するという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、これらの問題点を解決し、有機発生ガスの爆発の危険性が無く安全に熱硬化性樹脂組成物を硬化し製造することができるとともに加熱時間の短縮化が図れエネルギー効率の良い熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱部を保温する恒温槽と、恒温の内部に設けられ恒温槽の内部の気体を循環する循環機構及び循環気体を加熱するための電気ヒータと、水蒸気を沸点以上に加熱する過熱器と、水を水蒸気に変え過熱器に供給する蒸発器を備え、沸点以上の過熱水蒸気を含む気体で熱硬化性樹脂組成物を含有する被加熱物を加熱するよう構成したことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の装置を用いた熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造法の全体的なフローの一例を示す説明図である。まず、熱硬化性樹脂組成物単独あるいは熱硬化性樹脂組成物と他の部品、材料を用いて、成形あるいは含浸などの工程を行なうワーク形成ユニットにより被加熱物(ワーク)が形成される。ワークは、前処理が必要な場合には前処理ユニットにより処理されたあと、熱処理ユニットにより加熱硬化され、後処理が必要な場合には後処理ユニットで後処理された後、整列・収納ユニットにより収納される。これらのプロセスは全て自動機械で行なっても良いし、全て人が介在して行なっても良いし、あるいは、一部自動一部手動で行なっても良い。ワーク形成ユニットでは、FRPなどの場合の例では内部補強材となるガラスファイバーなどの材料と熱硬化性樹脂組成物でワークが形成される。粉状材料を成形する場合の例では、材料が金型に充填されプレス機械などによりワークが形成される。機械部品を接着用の熱硬化性樹脂組成物で固定する場合の例では、必要な形状に部品が配列された後、熱硬化性樹脂組成物が注入されたり充填されたりしてワークが形成される。電気用コイルの場合の例では、コイルに熱硬化性樹脂組成物が含浸あるいは滴下されワークが形成される。他の例の場合でも、対象物に最適な方法で熱硬化性樹脂組成物が加えられワークが形成される。
【0008】
図2は本発明の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置の熱処理ユニットの一例の説明図である。ワーク形成ユニットによって成形された樹脂成形体のワーク1(被加熱物)が、加熱部を保温する恒温槽10内で加熱されている状態を示している。この例では、水タンク2に蓄えられた水が、ポンプ3によって蒸発器7に送られ水蒸気となる。水蒸気は過熱器9によって沸点以上の高温に過熱され恒温槽10内に導入される。導入された水蒸気は内部循環水蒸気と一緒になって、恒温槽10の内部の気体を循環する循環機構である送風機13のファン12によって恒温槽10内を循環し、内部の気体の温度が低い場合は循環気体を加熱するためのヒータ11によって、再度加熱されワーク1を加熱する。加熱されたワーク1からは、ガスが発生する場合があるので、必要な場合は循環蒸気の一部を排気口15より系外に放出する。循環機構は送風機13は必ずしも必要ではなく、過熱水蒸気が循環できるものであればよく、過熱水蒸気を直接ワークに吹きつける装置であってもよい。
【0009】
ここで水タンク2は、必要な量の水を貯めておくことのできる容量を持ったもので、あるレベル以下に水量が減った場合には、自動的に水が供給されることが好ましい。ポンプ3は必要な量の水量を一定量安定に供給できるものである。蒸発器7は、ポンプ3で送られる水を全て蒸気に変える容量を持ったものである。
過熱器9は蒸発器7から供給される水蒸気を所定の温度に過熱できるものである。ここで過熱とは沸点以上の温度に加熱することである。過熱温度は、被過熱物の形状や使用される熱硬化性樹脂組成物の種類、さらに熱処理時間にもよるが、通常110〜450℃が好ましい。本発明の製造装置では高温での被加熱物の加熱が可能であるが、これは過熱水蒸気を使用しているために酸素分圧が低く、被加熱物の酸化の危険性が少なく製品劣化がないからであり、短時間に硬化を完了させることができる。加熱気体中の過熱水蒸気の含有量は、40〜100重量%であることが好ましい。また、被加熱物が加熱により水蒸気を含んでいる蒸気を発生するものであると、水蒸気の恒温槽への導入を不要とすることも可能となり好ましい。また、被加熱物を予備加熱しておくと被加熱物表面での水の凝縮を防止することができ好ましい。過熱器で得られた過熱水蒸気は、恒温槽10内に導入される。導入口は、恒温槽内に過熱水蒸気が分散できる位置で、内部の流れを乱さない位置ならどこでも良い。例えば、送風器13の吸入口近くに設置しても良いが特に規定するものではない。
【0010】
送風機13は、内部にファン12とヒータ11を備えたもので、高温の過熱水蒸気がワーク1を効率よく加熱できるように配置する。ファン12の送風量とヒータ11の熱容量と加熱面積は、循環する水蒸気が規定温度に保たれることが必要である。また、過熱水蒸気の供給量と排気量は、恒温槽内の発生ガスを爆発範囲の下限値以下にすることが必要である。ヒータ端子部は、加熱されかつ水蒸気にさらされるので、恒温槽の外部に出ているか、または恒温槽内部にある場合は耐水蒸気性材料で被覆されていることが好ましい。ヒータ端子部をこのような状態にすることによって、比較的大きな電流を漏電やショートの危険なく安定に流せるからである。被覆に使用する耐水蒸気性材料としては、シリコンゴム系材料、フッ素ゴム系材料などがあるが、耐水蒸気性、耐熱性及び絶縁性などの特性が必要以上であれば特に規定するものではない。ワーク1は、恒温槽内に置かれ所定の時間過水熱蒸気により加熱され硬化する。この処理によって、ワーク1中の熱硬化性樹脂組成物は熱硬化性樹脂組成物硬化物としての特性を持つことができる。さらに、表面処理やバリ取りなどの機械加工が必要な場合は、次の後処理ユニットにより処理されて、この工程の最終形状となり、整列されて収納される。
【0011】
図3は本発明の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置の他の一例を示す説明図であり、図2の装置をさらに安定的に稼動させる機構として、蒸発器7の前にフィルタ4、イオン交換樹脂5、熱交換が可能な凝縮器6及び空気と蒸気の切替器8を設けている。この例のフィルタ4及びイオン交換樹脂5は、蒸発器7で発生するスケールを防止するためのユニットである。さらに、装置の運転開始時に加熱空気で恒温槽内を水の凝縮点以上に加熱する機構を設けている。具体的には、運転開始時には過熱器への水蒸気流入を止め、空気配管16からの空気を流入させ、過熱器9で加熱し、得られた加熱空気を恒温槽10内へ流入させるとともに、通常ヒータ11及びファン12を有する送風機13によって恒温槽10を加熱する。恒温槽10内が水の凝縮点以上の温度に加熱されたら、供給ガスを切替器8により水蒸気に切り替え、過熱器9で水蒸気を過熱し、得られた過熱水蒸気を恒温槽10内へ流入させる。必要に応じて、ヒータ11からの熱供給を止める。このような機構は、過熱水蒸気が恒温槽10内に流入を開始しても、水蒸気が凝縮することがないため好ましい。また、ワーク1の熱容量が表面積に対して大きい場合には、恒温槽10内にワーク1が搬入された段階で、ワーク1表面で水蒸気の凝縮が起こる。これを防ぐことが必要な場合には、加熱気体の一部を空気で置き替えると良い。この方法としては、切替器8を空気の混合器として空気を一定量混合した水蒸気を送り込むことで可能となる。また、恒温槽10内の酸素分圧が問題になる場合は、ワーク1を予備加熱することによって、ワーク1表面での水蒸気の凝縮を防止することができる。なお、過熱器9は別置ではなく、恒温槽10本体内部に組み込んでも良い。
【0012】
本発明において使用される熱硬化性樹脂組成物を含有する被過熱物の熱硬化性樹脂組成物は、加熱により硬化するものであれば特に限定されないが、不飽和ポリエステル樹脂を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物、酸硬化型エポキシ樹脂を含有する酸硬化型エポキシ樹脂組成物、アルキッド樹脂を含有するアルキッド樹脂組成物が好ましく用いられる。
【0013】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステルが架橋性モノマーに溶解されたものである。不飽和ポリエステルは、不飽和二塩基酸を必須成分とする酸成分とアルコール成分を反応させて得られる。
【0014】
不飽和二塩基酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが用いられ、これらは単独で用いても併用してもよい。酸成分としては、通常は、不飽和二塩基酸のほかに飽和酸が酸成分中に含まれる不飽和基の量を調節して可とう性、耐熱性、耐薬品性などの性質を付与するために併用される。飽和酸としては、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の飽和二塩基酸などが挙げられる。これらは単独で用いても併用してもよい。不飽和二塩基酸の量は、全酸成分中50〜90当量%の範囲で選択されることが好ましい。
【0015】
アルコール成分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等、エーテル結合を有する多価アルコールが好ましく用いられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
【0016】
アルコール成分としては、エーテル結合を有するアルコール成分の他に、エーテル結合を持たないアルコール成分を用いてもよい。このようなアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオールなどが用いられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
【0017】
エーテル結合を有するアルコールを使用することにより、可とう性を改善することができるため、好ましい。このために、エーテル結合を有するアルコール成分の量は、全アルコール成分中30〜100当量%の範囲で使用することが好ましく、70〜90当量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0018】
不飽和ポリエステルは、酸成分とアルコール成分を混合して190〜200℃に昇温させ、脱水縮合反応させて得ることができる。
【0019】
全酸成分1当量に対して全アルコール成分は1〜1.3当量の範囲で使用することが好ましく、また、ジシクロペンタジエニルモノマレートを、全酸成分中3〜30当量%の範囲で使用することが好ましく、また、ジシクロペンタジエニルモノマレート又はジシクロペンタジエンを使用することにより樹脂に耐熱性を付与することができるが、多すぎると可とう性が低下する傾向がある。
【0020】
架橋性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類などが挙げられる。
【0021】
不飽和ポリエステルと架橋性モノマーの配合比は、不飽和ポリエステルと架橋性モノマーの合計量を100重量部として、不飽和ポリエステル20〜80重量部、架橋性モノマー80〜20重量部とすることが好ましく、特に不飽和ポリエステル30〜70重量部、架橋性モノマー70〜30重量部とすることが好ましい。
【0022】
硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドなど一般に用いられている有機過酸化物が用いられる。硬化剤は、少ないと硬化に長時間を有し、多いと硬化が速すぎて作業性が悪くなるので(タンクライフが短くなるので)、不飽和ポリエステルと架橋性モノマーの総量に対して0.2〜4重量%の範囲で適宜選定される。
【0023】
酸硬化型エポキシ樹脂は、酸無水物及びエポキシ樹脂を含むものである。酸無水物としては、特に制限はないが、常温で液体のものが好ましく、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレン無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。市販品としては、HN−5500、HN−2200、MHAC−P(日立化成工業(株)製、商品名)、GH−200(日本ゼオン(株)製、商品名)などが挙げられる。
これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0024】
酸無水物の硬化促進剤としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール等のイミダゾール及びその誘導体、トリスジメチルアミノフェノール、ベンジルジメチルアミン等の第3級アミン類などが挙げられる。市販品としては、2E4MZ(四国化成工業(株)製、商品名)、BDMA(花王(株)製、商品名)などが挙げられる。硬化促進剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの硬化促進剤の配合量は、酸無水物100重量部当たり0.1〜10重量部が反応性の点で好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。
【0025】
酸硬化型エポキシ樹脂に含まれるエポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が用いられるが、エポキシ当量が100〜4,000のものが好ましく、エポキシ当量が150〜1,000のものがより好ましく、特に、エポキシ当量が170〜500のものが好ましい。
【0026】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、セバチン酸、ドデカン二酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステル、ポリブタジエンのポリエポキシ化物などが用いられる。これらの樹脂としては、特に制限はないが、常温で液状のものが好ましく、市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ(株)製、商品名)、GY−260(チバガイギー社製、商品名)、DER−331(ダウケミカル日本(株)製、商品名)などが挙げられる。これらは単独で又は併用して用いることができる。
【0027】
また、エポキシ樹脂として、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等の反応性希釈剤となる低分子量エポキシ樹脂を使用する場合には、それよりも高分子量のものを併用することが好ましい。
【0028】
さらに、エポキシ樹脂として、1分子中にエポキシ基を1個だけ有するエポキシ化合物を含んでもよい。このようなエポキシ化合物は、エポキシ樹脂全量に対して0〜40重量%の範囲で使用することが好ましく、0〜20重量%の範囲で使用することが好ましい。このようなエポキシ化合物としては、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどがある。また、メチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物を使用することもできる。
【0029】
これらエポキシ樹脂の配合量は、酸無水物100重量部に対して70〜170重量部であるのが好ましく、90〜150重量部がより好ましく、100〜140重量部がさらに好ましい。エポキシ樹脂が少なすぎても多すぎても、酸無水物とエポキシ樹脂のバランスが崩れて、十分に硬化が進まない。
【0030】
また、エポキシ樹脂の骨格中に含まれる水酸基をアミンで変性して水溶化樹脂とし、水に溶解後メラミン樹脂を混合したエポキシ樹脂等も用いられる。
【0031】
アルキッド樹脂としては水溶性アルキッド樹脂が好ましく用いられる。水溶性アルキッド樹脂は、多塩基酸と多価アルコールからなる混合物を脱水縮合反応させ、酸価が30〜150となった後、アミンで中和させた樹脂が好ましく用いられ、本発明においては、これをグリコールエーテル及び水に溶解し、硬化剤としてメラミン樹脂を混合した水溶性アルキッド樹脂組成物としたものが好ましく用いられる。
【0032】
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物には、着色剤、無機質充填剤の沈降防止剤等を組み合わせて含有させることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の記述において部は重量部をあらわす。
【0034】
実施例1
水溶性アルキッド樹脂組成物の作製
(1)アルキッド樹脂の作製:イソフタル酸664部、無水フタル酸444部、トリメリット酸384部、エチレングリコール124部、グリセリン184部、ネオペンチルグリコール624部を反応釜に仕込み、窒素ガス気流中で200〜220℃に昇温後、常法により脱水縮合反応させ、酸価が60となったところで冷却し、N,N−ジメチルエタノールアミン200部を添加後、撹拌混合させて、アミン中和オイルフリーアルキッドを得た。
(2)メラミン樹脂の作製:メラミン126部、37.5%ホルマリン480部、水1200部、水酸化ナトリウム50部を反応釜に仕込み、窒素ガス気流中で60〜80℃に昇温後、30分攪拌混合により付加反応させてメチロール化物を得る。次に、これをメタノール4500部が仕込んである別の反応釜に投入し、p−トルエンスルホン酸30部を添加して、30℃で24時間攪拌混合させてエーテル化し、徐々に170〜190℃まで昇温させて、脱アルコール及び脱水を行い、メラミン樹脂を得た。
(3)水溶性アルキッド樹脂組成物の作製:上記(1)で得られたアミン中和アルキッド200部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル50部、水600部、上記(2)で得られたメラミン樹脂100部を撹拌混合させて水溶性のアルキッド樹脂組成物を調製した。
【0035】
図4はこの実施例の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置を用いた熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造法を説明するための説明図である。18の部品供給予熱ユニットから供給されたワークであるステータコイル1(重量860g)は、60℃に予熱されており、19の含浸ユニットで水溶性アルキッド樹脂組成物(ワニス)が含浸される。ステータコイル1は3分に1個の割合で部品供給予熱ユニットから供給される。ワニス含浸されたステータコイル1は、20の熱処理ユニットで加熱硬化処理される。この間ステータコイル1は、含浸後の45℃から150〜155℃に加熱され90分間保持される。ステータコイル1に含浸付着した水溶性アルキッド樹脂組成物は硬化して液状から樹脂硬化物となる。ステータコイル1は、熱処理後放冷により冷却され、整列・収納ユニット21により取り出される。図4の例では、詳細は略したが各ユニットはコンベアによって連結されており、ステータコイル1はこの上に乗って搬送される。
【0036】
熱処理ユニット20には、蒸気発生・過熱器17から200℃の過熱水蒸気が供給されている。蒸気発生・過熱器17は、水タンク2から図では省略されたポンプにより送水され、蒸発器7、過熱器9によって200℃に過熱された過熱水蒸気を1000リットル/分の流量で恒温槽10内に供給する。本発明の装置は水を蒸気に変える蒸発器7を持っているので排気口15より排気されるガスの一部を排気して、恒温槽内の発生ガス濃度上昇を押え、残りの水蒸気を蒸発器7に戻し再加熱すれば、装置自体としては排出ガスの少ない装置を得ることができる。過熱水蒸気はファン12を有する送風機13に導入され、ステータコイル1を加熱する。また、800リットル/分の過熱水蒸気が、水溶性アルキッド樹脂組成物から出る発生ガスと共に排気口15より排気され、その一部は蒸発器7にもどされ、再度過熱蒸気として利用される。熱処理ユニット20中の酸素濃度は、2%以下であり爆発限界にならない量であった。コンベアは間欠駆動であり、1ワークピッチずつ移動する。恒温槽10の出入口は、シャッタ機構が付いており、ワークの搬入搬出時のみ開閉し通常は閉じている。このため恒温槽内の水蒸気流出防止に役立っている。
【0037】
加熱処理されたステータコイルを用いて、下記のベアリング発錆試験を行い、結果を表1に示した。
ベアリングの錆試験:1000mlガラスビーカにワニス(熱硬化性樹脂組成物)処理したステータコイル、ベアリング、イオン交換水50gを入れて、密封し、80℃に保管してベアリング表面の発錆性を観察した。
【0038】
比較例1
実施例1の装置で過熱水蒸気の替わりに加熱空気でステータコイル1を加熱した。具体的には過熱器9の供給配管に蒸発器7の替わりに空気配管を継いだ。過熱器9で毎分1000リットル/分の空気を200℃に加熱し、熱処理ユニット20の送風機13に導入した。ステータコイル1は実施例1と同一条件で、予熱及びワニス含浸されて熱処理ユニット20に送り加熱した。熱処理ユニット20内の酸素濃度は20%であり、ワーク1下部の最もガスが発生する付近で発生蒸気濃度を測定すると、爆発下限界値1.1%に対して0.8%と危険な状態であった。
【0039】
加熱処理されたステータコイルを用いて、実施例1と同様のベアリング発錆試験を行い、結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0004562231
実施例1は比較例1よりもベアリングの錆試験結果が良好なことより、実施例1の方が比較例1よりも硬化度が高いことを示している。
【0041】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置によれば、熱硬化性樹脂組成物を短時間で効率良く硬化し製造することができる。さらに、恒温槽を通った温度の下がった過熱蒸気(発生ガスを含む)を一部蒸発器に戻して再過熱して、恒温槽にもどす機構を有することで、装置外に出す排出ガスを低減した環境に配慮した処理システムを得ることが出来る。また、空気を加熱の主媒体としないために、装置内の酸素濃度が低く、そのため有機発生ガスの爆発の危険性が無く安全に樹脂を硬化し製造することができるとともに、製品劣化が少ないので従来より高温短時間で熱処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置を用いた製造法の全体的なフローの一例を示す説明図である。
【図2】本発明の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置の熱処理ユニットの一例の説明図である。
【図3】本発明の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置の他の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置とこれを用いた熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 ワーク
2 水タンク
3 ポンプ
4 フィルタ
5 イオン交換樹脂
6 凝縮器
7 蒸発器
8 切替器
9 過熱器
10 恒温槽
11 ヒータ
12 ファン
13 送風機
14 蒸気導入口
15 排気口
16 空気配管
17 蒸気発生・過熱器
18 部品供給予熱ユニット
19 含浸ユニット
20 熱処理ユニット
21 整列・収納ユニット

Claims (3)

  1. 加熱部を保温する恒温槽と、恒温の内部に設けられ恒温槽の内部の気体を循環する循環機構及び循環気体を加熱するための電気ヒータと、水蒸気を沸点以上に加熱する過熱器と、水を水蒸気に変え過熱器に供給する蒸発器を備え、沸点以上の過熱水蒸気を含む気体で熱硬化性樹脂組成物を含有する被加熱物を加熱するよう構成したことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置。
  2. 循環気体を加熱するための電気ヒータが、ヒータ端子部が恒温槽の外に出ているか、又はヒータ端子部が恒温槽外壁の内側にあって、端子部が耐熱性でかつ耐水蒸気性の材料で被覆され、蒸気に対して露出していないものである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置。
  3. 装置の運転開始時には過熱器への水蒸気流入を止め空気を流入させ、装置加熱部内壁が水の凝縮点以上に加熱された後に水蒸気流入を可能にする制御装置を備えた請求項1又は2記載の熱硬化性樹脂組成物硬化製品の製造装置。
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