JP4558217B2 - 金属試料の特性を光学的に測定する方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属からなる試料あるいは金属を主材料とする試料の特性を測定するための新しい光学的方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体の構造・組成などの特性を外部から非破壊的に知る方法として従来は、粒子線や赤外線よりも大きなエネルギーを持つ短波長の電磁波を用いた回折的手法、及び赤外分光あるいはラマン分光などの光を用いた光学的手法が主に用いられてきた。これらの方法は、工業製品等のさまざまな物品の検定や検査に応用されている。
【0003】
このうち光学的方法は、高分子化合物、半導体など、光の侵入長が大きい物質に盛んに用いられている。しかし金属においては、薄膜の膜厚評価などにエリプソメトリーが用いられているのみで、光学的手法が用いられることはほとんどない。これは、金属がその自由電子による強い光吸収を示すため、その光学的性質により金属光沢を持ち、照射された光をほとんど(可視光で98%以上)反射してしまうからである。したがって、光は金属内に十分な深さまで浸透せず、目的の金属固体内部から十分な分光学的情報を得ることはできないことは当然の理である。そのため一般の光学的方法では、金属固体の情報は得られず、金属の構造・組成評価には、主として回折法のみが用いられてきた。たとえば中性子回折による格子振動数の評価などがこれに当たる。このような常識がひろく受け入れられているため、光学的手法を金属内部の解析に積極的に適用しようという試みがなされることがほとんどなく、その結果として金属の光学的測定が成功することはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
金属光沢を持つ金属でも、光学的探査手段をもって非破壊的に構造・組成についての情報を得ることができれば、様々な新しい情報を得ることができ、評価方法などへの広い応用も望まれる。しかしながら、金属光沢による反射により光が物質内に浸透しないため、通常の方法によっては一般的に極端に弱い物質の応答を測定することは困難である。
【0005】
本発明は、これまでの常識では不可能と考えられていた金属試料の特性の光学的測定方法を提供しようとするものである。
本明細書において、金属とはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびAl,Ga,In,Tl,Sn,Pb、およびそれらの合金をいう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、大きな電場刺激を作ることのできる超短パルスレーザーを分光探査方法の光源として用い、金属に大量に含まれる自由電子を直接刺激し、励起−探査法により金属固体表面の時間分解反射率変化を測定することによって、固体格子振動の振動スペクトルが測定可能となることを実験的に見出し、本発明を完成するに至った。この方法によると、金属光沢を有し光の浸透しにくい金属固体について、格子振動数や格子振動の減衰時間など格子振動に関する測定が可能となり、格子構造の乱れや不純物元素の量に関する情報を得ることができる。本発明によると従来不可能と考えられていた常識を超える極めて良好な信号−雑音比で金属の特性の高精度な光学的測定が可能である。
【0007】
すなわち、本発明による金属試料の特性を光学的に測定する方法は、金属試料に当該金属試料の格子振動周期より短い第1の方向に直線偏光した励起パルス光を照射する第1ステップと、第1の方向と直交する第2の方向に直線偏光した金属試料の格子振動周期より短い探査パルス光を励起パルス光より時間遅延させて金属試料の励起パルス光照射位置に照射する第2ステップと、金属試料によって反射された探査パルス光の第2の方向への偏光成分を検出する第3ステップとを含み、遅延時間を変化させて前記第1から第3のステップを反復し、金属試料の格子振動に関する情報を収集することを特徴とする。
【0008】
本発明による金属試料の特性を光学的に測定する方法は、また、金属試料に当該金属試料の格子振動周期より短い第1の方向に直線偏光した励起パルス光を照射する第1ステップと、第1の方向と直交する第2の方向に直線偏光した金属試料の格子振動周期より短い探査パルス光を励起パルス光より時間遅延させて金属試料の励起パルス光照射位置に照射する第2ステップと、金属試料によって反射された探査パルス光の第1と第2の方向にそれぞれ45゜をなす互いに直交する2方向への偏光成分の差を検出する第3ステップとを含み、遅延時間を変化させて第1から第3のステップを反復し、金属試料の格子振動に関する情報を収集することを特徴とする。
【0009】
本発明による金属試料の特性を光学的に測定する方法は、また、金属試料に当該金属試料の格子振動周期より短い第1の方向に直線偏光した励起パルス光を照射する第1ステップと、第1の方向と90゜以外の角度で交差する第2の方向に長軸が平行となるように楕円偏光した金属試料の格子振動周期より短い探査パルス光を励起パルス光より時間遅延させて金属試料の励起パルス光照射位置に照射する第2ステップと、金属試料によって反射された探査パルス光の第2の方向と直交する方向の偏光成分を検出する第3ステップとを含み、遅延時間を変化させて第1から第3のステップを反復し、金属試料の格子振動に関する情報を収集することを特徴とする。
格子振動に関する情報は格子振動の振動周期及び/又は格子振動の減衰時間である。
【0010】
本発明による金属試料の特性を光学的に測定する装置は、金属試料を保持する試料保持手段と、金属試料の格子振動周期より短いパルス光を発生するパルスレーザ光源と、パルスレーザ光源から発生されたパルスレーザ光を励起光と探査光とに分割する光分割手段と、励起光と探査光を金属試料上の同一領域に照射するための集光光学系と、パルスレーザ光源から金属試料に至る励起光と探査光の相対的光路長を変化させるための光学遅延装置と、金属試料によって反射された探査光を検出するための光検出器と、励起光と金属試料に照射される探査光の偏光状態と光検出器が検出する探査光の偏光成分を決定するための偏光調整手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
偏光調整手段は、励起光と金属試料に照射される探査光とを互いに直交する方向の直線偏光となし、光検出器が金属試料に照射される探査光の偏光方向と平行な方向の偏光成分を検出するようにするものとすることができる。
偏光調整手段は、また、励起光と金属試料に照射される探査光とを互いに直交する方向の直線偏光となし、光検出器が励起光及び金属試料に照射される探査光の偏光方向とそれぞれ45゜をなす互いに直交する2方向への偏光成分の差を検出できるようにするものとしてもよい。
偏光調整手段は、更に、金属試料に照射される探査光の光路中に挿入された第1の偏光子及び1/4波長板と、金属試料で反射された探査光が光検出器に至る光路中に配置された前記第1の偏光子と偏光方向が直交する第2の偏光子とを備えるものとしてもよい。
【0012】
本発明の方法によって金属の光学的測定が可能になる理由は現在のところ必ずしも明らかではないが、以下のようなことが考えられる。本発明で用いる超短パルスレーザーは、極短時間内に高強度の電場を物質中に作ることができるので、金属表面に照射したときに、金属内に大量に存在する自由電子を瞬間的に揺動させることができる。これは、電子の光学的励起の一種と考えられるので、仮に「励起」と呼ぶ。金属の自由電子は、たとえば銅では数10フェムト秒の短い時間に、最大数10nm程度移動できる移動度を有するので、レーザーパルス時間以内に多数の格子点に存在する原子核の近傍に達して、相互作用することが可能である。レーザー光は金属表面から深く浸透はしないものの、表面のごく近傍で起こるこの多数の電子の励起によって、揺動された金属の表面近傍の格子原子は、励起に追随する形で数フェムト秒から数ピコ秒遅れて一斉に振動を始める。この格子原子の振動は、数ピコ秒から長い場合には数100ピコ秒の間、位相の揃った状態で続く(コヒーレントフォノン)。すなわち金属においては、多数の自由電子が存在して、大きな自由度で移動することができるため、コヒーレントフォノン生成に有利である。格子原子が位相の揃った振動を続けている間に、金属の反射率や反射光の偏光に微小な変化を与え、格子振動の様子が実時間変化としてとらえられる。(以下、これを振動プロフィールと呼ぶことにする。)この反射光を用いた探査方法は特に光の浸透しにくい金属において高感度な検出を行うことで有利である。
【0013】
この振動の時間変化には様々な情報が含まれているので、以下のような手法で解析する。まず信号の振動周期は格子振動の振動周期そのものである。これを、一般的な格子振動の単位(cm-1、THz)に変換することで、フォノン振動数を得ることができる。フォノン振動数を得るために、あるいはスペクトルを解釈しやすくするために、信号にフーリエ変換を施し、その解であるパワースペクトルを得て、赤外吸収スペクトルやラマンスペクトル及び中性子回折スペクトルと比較可能な振動スペクトルに直接変換してもよい。しかしながら、本発明の方法では振動プロフィールを最初に直接的に観測するので、フーリエ変換前であれば、フーリエ変換後に比較してより高精度に振動数の微小な変化を観測できる特徴を有する。振動数の微小な変化を高精度に観測するためには、振動プロフィールが長い時間継続することが望ましい。
【0014】
振動プロフィールは多くの試料では一定時間(典型的には10ピコ秒程度)内に減衰する。この減衰は、固体の格子の乱れが大きいほど速く、小さいほど遅いという一般的性質を有する。したがって、振動プロフィールの減衰時間から結晶状態の乱れ、多結晶区分などの大きさ、イオン打ち込み及びドープなどによる部分的欠陥の導入量、合金に代表される混合系における結晶状態、非晶質(アモルファス)の乱れ状況の情報などを得ることができる。具体的手法としては、適当な標準試料における基準測定ないしは検量線作成の後に任意の試料に対して非破壊的に探査することにより、定量的な情報を獲得することが可能である。
【0015】
さらに本法は、レーザー分光方法であるので、共焦点顕微鏡などを用い、直径数ミクロン程度のごく小さな領域を探査することができる。したがって、試料を適当な微動装置を用いてスキャンすることにより、各微小領域における試料情報を試料の位置情報と関連付けて取り出すことができる。またこれを画像化することも可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
試料金属は低振動モードを有すると思われる重原子からなる金属(亜鉛など)の方が測定が容易であるが、結晶質(単結晶、多結晶を問わない)、非結晶質、純物質でも混合物でも金属を主体とする物質あるいは物体であれば測定可能である。表面処理をして、研磨による測定面の平滑化、光学的平面度の確保などにより、より強い信号を得ることができる。また、数100nm程度以上の厚さを持つ蒸着膜などの金属薄膜でも測定可能である。
【0017】
光源としては、チタンサファイアレーザーなど、100フェムト秒以下のパルス幅を持つ、高繰り返し数(数十MHz)のパルスレーザーを用いる。このパルス光をビームスプリッター等を用いて2つに分割し、一方を励起光、他方を探査光として用いる。これら2つのレーザー光を金属試料表面上の同一点に集光する。集光スポットの大きさは直径数十μmから数百μm程度が望ましい。ただし、集光した光の強度が金属試料を破壊あるいは改質するおそれのない程度とする。探査光ビームの金属表面による反射光の強度を検出記録する。励起光と探査光の試料への到達時間を、光学遅延装置を用いることにより相対的に変化させ、励起−探査(ポンプ−プローブ)分光を行う。この測定方法を基本とするが、励起光の強大な反射光の影響を除去するために、試料の状況に応じて図1から図3に示す3種の偏光選別光学系(消光比の高い偏光プリズムを用いることが望ましい)を用いて信号の増大及び高感度化を計る。ただし、図1から図3には、説明に必要な最低限の光学素子のみを図示した。
【0018】
図1は、直線偏光過渡反射型の偏光選別光学系を示す説明図である。直線偏光した励起光PU及び探査光PR1の偏光方向を互いに直交するよう設定しておき、両者を試料S上の一点で集光する。試料Sから反射された探査光PR2を探査光の偏光方向に平行なプリズムPを通過させ、光検出器Dによってこの反射光強度を信号として取得する。探査光が励起光と直交する偏光に設定してあることにより、励起光ビームの反射ならびに散乱光を効果的に除去することができる。
【0019】
図2は、直線偏光反射電光型の偏光選別光学系を示す説明図である。図1の場合と同様、励起光PU及び探査光PR1の偏光方向を互いに直交するように設定するが、試料Sから反射された探査光PR2のうち、このどちらに対しても45度の直線偏光をもつ成分の変化を、分析用偏光プリズムPで取り出して、その光強度を信号として取得する。この際、偏光プリズムPの2つの窓から放出される互いに直角をなす偏光成分を光検出器D1,D2で検出し、その強度の差を必要に応じて増幅して記録する。この測定においても、特にレーザービームを良質な偏光精度にするために、図示した以外に偏光プリズムを用いてもかまわない。
【0020】
図3は、楕円偏光過渡反射型の偏光選別光学系を示す説明図である。励起光PU及び探査光PR1の偏光方向を互いに適当な角度(0゜より大きく90゜未満、45度が最も適当)になるよう設定する。探査光ビームについて、試料Sへの照射の前後で直交偏光配置の偏光プリズムP1,P2を通過させる。偏光プリズムP1は探査光PR1の偏光方向に設定するが、直交プリズムの高い偏光除去精度を得るために2つのプリズムを用いなくてはならない。信号としては、光検出器Dにより、第2の偏光プリズムP2を通過してきた探査光PR2の偏光解消成分を取得する。なお、第1の偏光プリズムP1のあとに1/4波長板Qを置き、投入する探査光PR1に一部楕円偏光を混入することにより、信号を増幅すると効果的である。
【0021】
以上示した3種類の偏光選別光学系のいずれを用いる場合にも、励起光と探査光の相対到達時間を光路の長さの差で変化させ、必要に応じてロックインアンプやオシロスコープによる積算などの処理を経た信号を記録する。その際、2つの光検出器を用いて、励起光と反射探査光、または入射探査光と反射探査光の強度を検出し、その差を信号として取得する電気回路を用いることにより、信号雑音比を改善することが望ましい。
【0022】
光検出器の応答信号から、以下の情報を得ることができる。第1に振動信号の周期は、格子振動の時間周期に直接対応している。この時間振動信号をフーリエ変換することにより、他の方法では測定できない金属試料の格子振動の振動スペクトルを得ることができる。これから格子の構造や、格子欠陥の量、合金状態などの情報を得ることができる。第2に信号の減衰速度は、格子の乱れの度合いを反映し、乱れが大きいほど減衰が速い。したがって、結晶性純度の定性、不純物の定量、欠陥の定量、腐食の進行状況を把握することが可能である。第3に、この信号は固体内のキャリアと呼ばれる励起の輸送現象に直接関係しているので、電気伝導度、熱伝導度に代表される輸送現象の状況を反映している。これらの情報は、他の物質に関してはラマン・赤外分光測定で得られる情報とほぼ等価であるが、金属の場合は、ラマン・赤外分光を適用することはできず、今まで得られなかった情報である。
【0023】
図4は、本発明による測定システムの一例を示す概略図である。超短パルスレーザー1からのレーザー光は、ビームスプリッター2によって励起光3と探査光4に分割される。励起光3と探査光4の偏光は、1/2波長板10,12及び偏光子11,13によって設定する。励起光3は光変調器8によって振幅変調を与えられ、探査光4は光学遅延装置9によって励起光との間に試料到達時間差が与えられる。励起光と探査光の光路はその後、平行にされ、レンズ14によって試料7に集光される。試料7は、並進ステージを用いた試料保持手段により保持されている。試料7からの反射光のうち、励起光は遮光板16で遮り、探査光の反射光のみを偏光素子15を通過させた後、第1の光検出器6に取り込む。探査光の一部を、試料入射前にビームスプリッター17によって分割し、第2の光検出器5に取り込む。それら2つの光検出器からの信号の差をロックイン増幅装置18に送り、光変調器8からの変調周波数に同期した信号成分のみを増幅した後、コンピューター19で記録する。
【0024】
超短パルスレーザー1としては、モードロック・チタン・サファイアレーザーを用い、その中心波長は800nm、パルス幅は60フェムト秒である。また励起光3、探索光4の強度はそれぞれ、200mW、10mWに設定した。光変調器8の変調周波数は2kHz、レンズ14の焦点距離は10cmである。
【0025】
図5に、図4に示した測定システムを用いて記録した金属の格子振動の測定例を示す。図5の横軸は探査光と励起光の間の試料到達時間差(以下、遅延時間と呼ぶ)、縦軸は入射探査光に対する反射探査光の比(以下、反射率変化と呼ぶ)を表す。試料は遷移金属の亜鉛(Zn)の単結晶(001)面である。偏光選別光学系としては、図3に示した楕円偏光過渡反射型を用いた。測定された格子振動の周期は、約470フェムト秒であり、これは格子振動の周期に対応する。格子振動の減衰速度は2.5ピコ秒である。この振動波形をフーリエ変換して得られたパワースペクトルを、図5の挿入図として示す。このように、本発明によると、通常ならば得ることが困難である金属の格子振動を実時間で測定できる。
【0026】
図6は、本発明による測定系で構成した走査型共焦点顕微分光装置の一例の概略図である。試料保持の並進ステージの代わりに微動ステージを、集光レンズの代わりに対物レンズを用いて、図4の測定系を構築し、試料をステージで走査することによって、格子乱れや組成など空間分布の二次元的な顕微情報を得ることができる。本法における空間分解能は、時間分解能に関係して変化するが、10フェムト秒程度の時間分解能を有する測定系では、理論の上では最高数ミクロン程度にまで達する。
【0027】
本発明による測定方法は、金属の格子振動を光学的手法で把握し、金属の格子乱れや組成を光学的手法により非破壊的に評価することができる現在唯一の方法である。光学的手法は、試料固体を非破壊的に検査できる特徴を有する。この方法を利用することにより、金属固体や薄膜の不純物の検査方法、結晶構造の評価方法、合金状態の評価方法、材料表面の腐食、エッチング、蒸着状態の検査方法がもたらされる。また、レーザー分光法であってリモートセンシングや自動測定に容易に用いることができるので、金属固体、金属薄膜、金属デバイスの製造プロセスにおける品質管理方法を与える。また、試料走査型顕微分光装置を用いて、この測定方法によって得られた信号の空間分布を測定することにより、結晶の乱れや合金の状態を二次元画像として得ることが可能になる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によると、金属の格子振動を光学的手法で測定することができ、格子振動の振動数や減衰時間などの情報を得ることにより、金属試料の非破壊的な検査・評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直線偏光過渡反射型の偏光選別光学系を示す説明図。
【図2】直線偏光反射電光型の偏光選別光学系を示す説明図。
【図3】楕円偏光過渡反射型の偏光選別光学系を示す説明図。
【図4】本発明による測定システムの一例を示す概略図。
【図5】金属の格子振動の測定例を示す図。
【図6】本発明による測定系で構成した走査型探査装置の一例の概略図。
【符号の説明】
1…超短パルスレーザー、2…ビームスプリッター、3…励起光、4…探索光、5…第2の光検出器、6…第1の光検出器、7…試料、8…光変調器、9…光学遅延装置、10…1/2波長板、11…偏光子、12…1/2波長板、13…偏光子、14…レンズ、15…偏光素子、16…遮光板、17…ビームスプリッター、18…ロックイン増幅装置、19…コンピューター、D,D1,D2…光検出器、P,P1,P2…偏光プリズム、PU…励起光、PR1,PR2…探査光、Q…1/4波長板、S…試料
Claims (5)
- 金属試料に当該金属試料の格子振動周期より短い第1の方向に直線偏光した励起パルス光を照射する第1ステップと、
前記第1の方向と直交する第2の方向に直線偏光した前記金属試料の格子振動周期より短い探査パルス光を前記励起パルス光より時間遅延させて金属試料の前記励起パルス光照射位置に照射する第2ステップと、
金属試料によって反射された前記探査パルス光の前記第1と第2の方向にそれぞれ45゜をなす互いに直交する2方向への偏光成分の差を検出する第3ステップとを含み、
前記遅延時間を変化させて前記第1から第3のステップを反復し、金属試料の格子振動に関する情報を収集することを特徴とする金属試料の特性を光学的に測定する方法。 - 金属試料に当該金属試料の格子振動周期より短い第1の方向に直線偏光した励起パルス光を照射する第1ステップと、
前記第1の方向と90゜以外の角度で交差する第2の方向に長軸が平行となるように楕円偏光した前記金属試料の格子振動周期より短い探査パルス光を前記励起パルス光より時間遅延させて金属試料の前記励起パルス光照射位置に照射する第2ステップと、
金属試料によって反射された前記探査パルス光の前記第2の方向と直交する方向の偏光成分を検出する第3ステップとを含み、
前記遅延時間を変化させて前記第1から第3のステップを反復し、金属試料の格子振動に関する情報を収集することを特徴とする金属試料の特性を光学的に測定する方法。 - 請求項1又は2記載の金属試料の特性を光学的に測定する方法において、前記格子振動に関する情報は格子振動の振動周期及び/又は格子振動の減衰時間であることを特徴とする金属試料の特性を光学的に測定する方法。
- 金属試料を保持する試料保持手段と、
金属試料の格子振動周期より短いパルス光を発生するパルスレーザ光源と、
前記パルスレーザ光源から発生されたパルスレーザ光を励起光と探査光とに分割する光分割手段と、
前記励起光と前記探査光を金属試料上の同一領域に照射するための集光光学系と、
前記パルスレーザ光源から金属試料に至る前記励起光と前記探査光の相対的光路長を変化させるための光学遅延装置と、
金属試料によって反射された探査光を検出するための光検出器と、
前記励起光と金属試料に照射される探査光の偏光状態と前記光検出器が検出する探査光の偏光成分を決定するための偏光調整手段とを含み、
前記偏光調整手段は、前記励起光と金属試料に照射される探査光とを互いに直交する方向の直線偏光となし、前記光検出器が前記励起光及び金属試料に照射される探査光の偏光方向とそれぞれ45゜をなす互いに直交する2方向への偏光成分の差を検出できるようにするものであることを特徴とする金属試料の特性を光学的に測定する装置。 - 請求項4記載の金属試料の特性を光学的に測定する装置において、前記偏光調整手段は、金属試料に照射される探査光の光路中に挿入された第1の偏光子及び1/4波長板と、金属試料で反射された探査光が前記光検出器に至る光路中に配置された前記第1の偏光子と偏光方向が直交する第2の偏光子とを備えることを特徴とする金属試料の特性を光学的に測定する装置。
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