以下、図面を参照してこの発明を実施の形態により詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る不揮発性メモリチップ内部の全体の構成を示すブロック図である。この不揮発性メモリチップは例えばNANDフラッシュメモリチップである。
チップ内には、メモリセルアレイ11、アドレスバッファ12、カラムデコーダ13、ロウデコーダ14、センスアンプ15、ラッチ回路16、入出力バッフア17、パワーオンリセット回路18、制御回路19及び電圧生成回路20等が設けられている。
メモリセルアレイ11は、データを格納する通常のメモリセル領域11aの他に、メモリセルアレイ11に存在する不良セルを他の冗長用セルに置き換えるための置換データや、タイマ調整や各種電圧調整のためのトリミングデータ等、電源投入後に読み出す必要のある各種データ(ヒューズデータ)を格納するROM領域11bを有している。
アドレスバッフア12に入力されたアドレスのうちカラムアドレスがカラムデコーダ13に入力されてデコードされ、ロウアドレスがロウデコーダ14に入力されてデコードされ、指定されたアドレスに基づいてメモリセル領域11aにおけるメモリセルへのデータ書き込みまたはメモリセルからのデータ読み出しが行われる。データが読み出される時は、センスアンプ15、カラムデコーダ13及び入出力バッフア17を介して読み出しデータが出力される。データが書き込まれる時は、読み出し時とは逆の経路で、書き込みデータがメモリセルアレイ11に供給される。また、ROM領域11bに格納されているヒューズデータは、センスアンプ15及びカラムデコーダ13を介してラッチ回路16に送られ、保持される。
電圧生成回路20は、外部から供給された電源電圧VCCを用いて、参照用の基準電圧Vrefやプログラム電圧Vpg等の各種内部電圧を生成する。
パワーオンリセット回路18は、電源が投入されて電源電圧が所定の電圧レベルに達するまでの間は“L”レベルとなり、所定の電圧レベルに達した後は“H”レベルとなるパワーオンリセット信号を発生し、制御回路19に出力する。
制御回路19は、このパワーオンリセット信号に基づいて、アドレスバッファ12、カラムデコーダ13、ロウデコーダ14、センスアンプ15、ラッチ回路16及び電圧生成回路20それぞれを初期化するための制御信号を出力する。
また、制御回路19は、上記各回路の初期化と共に、ROM領域11bに格納されているヒューズデータを読み出してラッチ回路16にセットするための制御に使用される制御信号を出力する。なお、ROM領域11bに格納されているヒューズデータを読み出してラッチ回路16にセットする動作はROMリード動作と呼ばれる。
ここで、図1に示すようなメモリチップを例えば4個使用し、これら4個のメモリチップを同一パッケージ内に収納して大容量の不揮発性メモリを構成する場合には、図2に示すように、電源パッド(VCC)、/CE(チップイネーブル信号)、/WE(ライトイネーブル信号)、/RE(リードイネーブル信号)などの制御信号やコマンド入力用の各種パッド、I/Oなどの入出力パッドが、4個のメモリチップで共通の配線によって相互に結線される。
また、上記各パッドの他に、4個の各メモリチップにはそれぞれ、後述するように、チップアドレス指定用の2ビットのアドレスCADD0、CADD1を入力するための2個のパッドP0、P1が設けられる。そして、各2個のチップアドレス指定用のパッドに対し、ボンディングワイヤによりそれぞれのチップアドレスに対応した電圧を接続することで、各々のメモリチップがどのチップアドレスに対応しているかを認識する。
外部から個々のメモリチップにアクセスするには、1個のメモリチップのみが設けられている場合と同様に、コマンドやアドレス、データの入出力が行われる。アドレスは、1個のメモリチップのみが設けられている場合の4倍のアドレス空間で入力される。複数のメモリチップは同時にこのアドレスを受け取り、受け取ったアドレスがどのメモリチップに該当しているが個々のメモリチップで判断され、該当チップのみが動作する。
いま、例えば読み出しを行うことを考える。読み出しを行うために外部から読み出しコマンドが入力され、続いてアドレスが入力される。仮に各メモリチップ内にはそれぞれ1K本(1K=1024)のワード線が設けられているとすると、1024は2の10乗であるため、10ビットのロウアドレスを入力することになる。しかし、4個のメモリチップが設けられる場合を想定しているので、アドレス空間はその4倍で、ロウアドレスは4K通りになるから、アドレスは10ビット+2ビットの12ビットで表される。このとき追加された2ビットはまさにチップアドレスを示している。従って、入力された2ビットのロウアドレスを、ボンディングによって決定された2ビットのチップアドレスCADD0、CADD1と比較し、一致したメモリチップのみが動作するようにすれば、複数個のメモリチップが実装されているにもかかわらず、あたかもパッケージの外から見たら4倍のメモリ容量のメモリチップ1個が動作しているかのように実現できる。
なお、このチップアドレス指定用のパッドは2個に限られるものではなく、例えば、同一パッケージ内に8個のメモリチップを収納する場合にはチップアドレス指定用のパッドは3個設けられ、16個のメモリチップを収納する場合にはチップアドレス指定用のパッドは4個設けられる。
図3は、図2に示すように同一パッケージ内に4個のメモリチップが収納する場合の、図1に示されるメモリチップ中のパワーオンリセット回路18と制御回路19の内部構成を示すブロック図である。
パワーオンリセット回路18は、電源電圧を検知してパワーオンリセット信号を出力するパワーオンレベル検知回路18aと、パワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号を遅延する遅延回路18bとから構成されている。
遅延回路18bにはチップアドレス指定用の2個のパッドP0、P1が接続されており、遅延回路18bにおける遅延時間はこの2個のパッドに供給されるチップアドレスCADD0、CADD1に応じて制御される。
パワーオンリセット信号を遅延する理由は、チップ内に設けられている定電流回路や基準電圧回路の動作が安定するために要する時間を確保するためであり、特に電源が高速で立ち上がるような場合に必要となる。
制御回路19は、図1中のアドレスバッファ12、カラムデコーダ13、ロウデコーダ14、センスアンプ15、ラッチ回路16及び電圧生成回路20それぞれを初期化するための制御信号を出力する初期化制御回路19aと、ROMリード動作を制御するための制御信号を出力するROMリード制御回路19bとから構成されている。
図4は、図2に示した4個のメモリチップのチップアドレス指定用の2個のパッドP0、P1に供給されるチップアドレスCADD0、CADD1と、遅延回路18bにおける遅延時間の一例をまとめて示したものである。これによれば、チップアドレス(CADD0、CADD1)は、メモリチップ1では(“L”、“L”)にされ、遅延時間はt1μsにされ、メモリチップ2では(“L”、“H”)にされ、遅延時間はt2μsにされ、メモリチップ3では(“H”、“L”)にされ、遅延時間はt3μsにされ、さらに、メモリチップ4では(“H”、“H”)にされ、遅延時間はt4μsにされている。ただし、t1〜t4の間には、t1<t2<t3<t4の関係が成立している。
次に、上記構成でなる不揮発性メモリの動作を図5のタイミングチャートを参照して説明する。
電源電圧VCCが立ち上がり、その値がパワーオン検知レベルに達すると、各メモリチップ内のパワーオンレベル検知回路18aからパワーオンリセット信号が出力される。なお、図5では、パワーオンリセット信号が“L”レベルとなっているパワーオンリセット期間が「パワーオン」として示されている。また、図5では、このパワーオンリセット期間は、4個のメモリチップ相互間で差がない状態で示されている。この後、パワーオンリセット信号が遅延回路18bで所定時間、遅延される。図5ではこの遅延期間は「Delay」で示されている。ここで、遅延回路18bにおける遅延時間はチップアドレスCADD0、CADD1のパッドに供給されている2ビットの信号により制御され、パワーオンリセット信号のタイミングが各チップでシフトする。そして、上記遅延期間が終了すると、ROMリード制御回路19bからROMリード動作を制御するための制御信号が出力されてROMリード動作が起動される。
ここで、遅延回路18bの遅延時間は、メモリチップ1ではt1μs、メモリチップ2ではt2μs、メモリチップ3ではt3μs、メモリチップ4ではt4μsというように順次シフトしているので、4個のメモリチップにおけるROMリード動作の起動タイミングも順次シフトする。このため、個々のメモリチップで、ROMリード時の消費電流の値がピークを示すタイミングがずれ、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。これにより、パワーオン直後における電源電圧の値が低下する可能性を排除することができ、システムの電源供給能力の圧迫を避けることができる。
図6は、図3中の遅延回路18bの詳細回路の一例を示している。遅延回路18bは、図6(a)に示すクロック信号生成回路31と、図6(b)に示すカウンタ回路32及びデコーダ回路33とから構成されている。
クロック信号生成回路31は、図3中のパワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号PORとデコーダ回路33からの出力信号OUTとを受け、パワーオンリセット信号PORが“H”レベルになった後に動作して一定周期のクロック信号CLKを生成し、信号OUTが“H”レベルになった後に動作を停止するものである。
クロック信号生成回路31は、具体的には以下のように構成されている。
パワーオンリセット信号POR及びデコーダ回路33からの出力信号OUTはNANDゲート41に供給される。NANDゲート41の出力信号はインバータ回路42で反転される。遅延回路43、44はそれぞれ遅延時間DL0、DL1を有し、両遅延回路43、44の出力信号はインバータ回路45、46でそれぞれ反転される。インバータ回路42、46の出力信号はNANDゲート47に供給され、NANDゲート47の出力信号はインバータ回路48を介してSR型のフリップフロップ回路(SR−F/F)49のリセット入力端Rnに供給される。フリップフロップ回路49のセット入力端Snにはインバータ回路45の出力信号が供給される。フリップフロップ回路49のQ出力端の信号はインバータ回路42の出力信号TMRSTnと共にNANDゲート50に供給され、Qn出力端の信号は信号TMRSTnと共にNANDゲート51に供給される。NANDゲート50の出力信号はインバータ回路52を介して遅延回路44及びインバータ回路53に供給される。NANDゲート51の出力信号はインバータ回路54を介して遅延回路43に供給される。そして、クロック信号CLKはインバータ回路53から出力される。
このような構成のクロック信号生成回路31は以下のように動作する。パワーオンリセット信号PORが“H”レベルになる前は、デコーダ回路33の出力信号OUTは“H”レベルになっているとする。そして、信号PORが“H”レベルになると、NANDゲート41の出力信号が“L”レベル、信号TMRSTnが“H”レベルになり、NANDゲート47、50、51が開く。
また、パワーオンリセット信号PORが“H”レベルになる前は、遅延回路444の出力信号は“L”レベル、インバータ回路46の出力信号“H”レベルになっている。従って、インバータ回路48の出力信号は“L”レベルになり、フリップフロップ回路49がリセットされる。
リセットにより、Q出力端の信号は“L”レベル、Qn出力端の信号は“H”レベルとなる。この状態で信号PORが“H”レベルになり、信号TMRSTnが“H”レベルとなってNANDゲート51が開くことで、NANDゲート51及びインバータ回路54を介して“H”レベルの信号が遅延回路43に入力される。そして、遅延回路43における遅延時間DL0が経過した後、フリップフロップ回路49がセットされ、Q出力端の信号が“H”レベルに、Qn出力端の信号が“L”レベルにそれぞれ反転する。この後、NANDゲート50及びインバータ回路52を介して“H”レベルの信号が遅延回路44に入力される。そして、遅延回路44における遅延時間DL1が経過した後、フリップフロップ回路49がリセットされ、Q出力端の信号は“L”レベルに、Qn出力端の信号は“H”レベルにそれぞれ反転する。以下、信号OUTが“L”レベルになるまで同様な動作が繰り返し行われることで、インバータ回路53からは(DL0+DL1)を1周期とするクロック信号CLKが出力される。
信号OUTが“L”レベルになると、NANDゲート41の出力信号が“H”レベル、信号TMRSTnが“L”レベルになり、NANDゲート47、50、51が閉じて、クロック信号CLKは出力されなくなる。
カウンタ回路32は、パワーオンリセット信号PORが“H”レベルになった後に動作してクロック信号CLKを分周カウントし、2進数からなる複数ビット(iビット)のカウント信号TMiを出力するものである。
デコーダ回路33は、カウンタ回路32から出力されるカウント信号TMiと2ビットのチップアドレスCADD0、CADD1とを比較し、始めは“H”レベルとなっている出力信号OUTを、両値が所定の関係を満たした後に“L”レベルに反転させるものである。
デコーダ回路33の具体的な回路例を図7に示す。このデコーダ回路33は、カウンタ回路32がクロック信号CLKを12個から15個の範囲内の任意の数だけカウントした後に、出力信号OUTが“L”レベルに反転する場合の例である。
カウンタ回路32のカウント信号TMi(本例ではTM0〜TM3の4ビット)のうち最下位ビットのカウント信号TM0は下位ビットのチップアドレスCADD0と共に排他的論理和ゲート61に供給される。同様に、信号TM0よりも1ビット上位のカウント信号TM1は上位ビットのチップアドレスCADD1と共に排他的論理和ゲート62に供給される。上記両排他的論理和ゲート61、62の出力信号はインバータ回路63、64のそれぞれを介してNANDゲート65に供給され、さらにNANDゲート65の出力信号はインバータ回路66を介してNANDゲート67の一方入力端に供給される。NANDゲート67の他方入力端には電源電圧VCCが供給されている。信号TM1よりも上位ビットのカウント信号TM2、TM3は共にNANDゲート68に供給される。そして、上記両NANDゲート67、68の出力信号は共にNORゲート69に供給される。そして、出力信号OUTは、NORゲート69の出力信号を反転するインバータ回路70から出力される。
このような構成のデコーダ回路33において、チップアドレスCADD0、CADD1が例えば共に“L”レベルに設定されていれば、カウント信号(TM0、TM1、TM2、TM3)が(“L”、“L”、“H”、“H”)のとき、つまり、カウンタ回路32でクロック信号CLKを12個カウントした後に出力信号OUTが“L”レベルに反転する。また、チップアドレスCADD0、CADD1の組み合わせが上記の状態から10進数で1づつ増加すると、それに伴ってカウンタ回路32でクロック信号CLKをカウントした後に出力信号OUTが“L”レベルに反転する際のクロック信号CLKの個数が1個つづ増加するようになる。
ここで、クロック信号CLKの基本周期を2μsとし、デコーダ回路33の出力信号OUTが“L”レベルに反転する際のカウンタ回路32のカウント数が、メモリチップ1では12カウント、メモリチップ2では13カウント、メモリチップ3では14カウント、メモリチップ4では15カウントとなるようにチップアドレスCADD0、CADD1が設定されているとすると、図4及び図5中の遅延時間t1は24μs、t2は26μs、t3は28μs、t4は30μsとなる。
図8は、図3中の遅延回路18bの他の詳細回路例を示している。この遅延回路は、定電流回路81、オペアンプ82及びラッチ回路83等から構成されている。なお、この遅延回路18bは、例えば特開平8-190798号公報に開示されているものを使用することができる。また、図9は、図8に示す遅延回路における要部の信号波形を示している。
いま、パワーオンリセット信号PORが“H”レベルになると、定電流回路81内のPMOSトランジスタM1がオンし、可変抵抗回路84を介してNMOSトランジスタM2に定電流Irefが流れる。この定電流Irefは、NMOSトランジスタM2とゲートが共通に接続されたNMOSトランジスタM3によってミラーされ、予め可変キャパシタ回路85に充電されていた電荷がこの定電流Irefで放電される。可変キャパシタ回路85の一端のノードN1はオペアンプ82の一方の入力ノードに接続されている。この放電によりノードN1の電位が低下していき、オペアンプ82の他方の入力ノードであるノードN0の電位よりも低くなったことがオペアンプ82で検知され、その検知結果がラッチ回路83でラッチされる。つまり、出力信号OUTは、パワーオンリセット信号PORが“H”レベルになってから所定時間が経過した後に“H”レベルとなる。
出力信号OUTが“H”レベルになると、ノードN1に接続されているNMOSトランジスタM4がオンして、可変キャパシタ回路85の電荷が全て排出される。
パワーオンリセット信号PORが“L”レベルになると、この遅延回路18bはリセットされ、出力信号OUTは直ちに“L”レベルになる。つまり、ラッチ回路83の入力ノードN2に接続されているPMOSトランジスタM5がオンし、ノードN2に電源電圧VCCが与えられて、ラッチ回路83の出力信号である信号OUTが“L”レベルになる。また、ノードN1に接続されているPMOSトランジスタM6がオンし、このPMOSトランジスタM6を介して可変キャパシタ回路85の充電が開始される。
このように、図8に示された遅延回路は、パワーオンリセット信号PORが“H”レベルに立ち上がる時にだけ信号PORを遅延する単方向型の遅延回路として動作する。そして、定電流Irefの値は、NMOSトランジスタM2の閾値電圧をVthn、可変抵抗回路84の抵抗値をRとすると、次の(1)式で与えられる。
Iref=(VCC−Vthn)/R …(1)
一方、可変キャパシタ回路85の放電が開始されてから、ノードN1の電位がノードN0の電位(VCC−Vthn)と一致するまでの遅延時間をTとし、可変キャパシタ回路85の容量値をCとすると、次の(2)式が成立する。
Iref・T=(VCC−Vthn)・C …(2)
ここで、(2)式に(1)式を代入してまとめると、T=R・Cが得られる。
従って、図8中の可変抵抗回路84の抵抗値R及び可変キャパシタ回路85の容量値Cのいずれか一方または両方を、2ビットのチップアドレスCADD0、CADD1に応じて変化させることで遅延時間Tを制御することができる。
次に、図8中の可変抵抗回路84及び可変キャパシタ回路85の具体回路例について説明する。
図10(a)及び(b)は可変抵抗回路84の異なる回路例を示している。図10(a)に示す可変抵抗回路は、抵抗91及びNMOSトランジスタ92からなる直列回路を必要な回路数分並列接続して構成されている。図10(b)に示す可変抵抗回路は、図10(a)のものと比べ、NMOSトランジスタ92の替わりにPMOSトランジスタ93を用いるようにした点が異なる。
このような構成の可変抵抗回路において、2ビットのチップアドレスCADD0、CADD1に応じ、同時にオン状態にさせるNMOSトランジスタ92もしくはPMOSトランジスタ93の個数を変化させることで、あるいは抵抗91の抵抗値を異ならせた上でNMOSトランジスタ92もしくはPMOSトランジスタ93を選択的にオン状態にすることで、抵抗値Rを制御することができる。
図11は可変キャパシタ回路85の具体回路例を示している。この可変キャパシタ回路は、NMOSトランジスタ94及びPMOSトランジスタ95を並列接続したCMOSトランスファゲートに対してキャパシタ96を直列接続した回路を、必要な回路数分並列接続して構成されている。
このような構成の可変キャパシタ回路では、2ビットのチップアドレスCADD0、CADD1に応じ、同時にオン状態にさせるCMOSトランスファゲートの個数を変化させることで、あるいはキャパシタ96のキャパシタンスを異ならせた上でCMOSトランスファゲートを選択的にオン状態にすることで、容量値Cを制御することができる。
なお、図8に示す遅延回路内の可変抵抗回路84及び可変キャパシタ回路85の替わりにそれぞれ値が固定された抵抗回路及びキャパシタ回路を設けることで、図6中の遅延回路43、44として使用することができる。
また、図6や図8に示すような遅延回路の他に、インバータ回路と抵抗及びキャパシタよって構成される通常用いられる簡易な遅延回路を使用し、抵抗及びキャパシタの値やインバータ回路のサイズをチップアドレスに応じて制御する構成としてもよい。
(第2の実施の形態)
次にこの発明の第2の実施の形態を説明する。
図12は、図1中のパワーオンリセット回路18の詳細な回路構成を示している。このパワーオンリセット回路は、VCCを電源とする回路と、VCCから昇圧された昇圧電圧VINTを電源とする回路とを含んでいる。
発振回路(オシレータ)101、昇圧回路102及びVINT−VCC短絡回路103等は、それぞれVCCを電源として動作する。
昇圧回路102はVCCよりも高い昇圧電圧PMPVINTを出力する。昇圧回路102の出力側にはローパスフィルタ(LPF)104及び昇圧電圧安定化用の容量105が設けられている。
ローパスフィルタ104は、例えば抵抗とキャパシタとから構成され、昇圧電圧PMPVINTの電位の揺れを抑え、平滑化させる働きを有する。
容量105は、昇圧電圧VINTの揺れを抑えるとともに、昇圧電位を蓄える働きを有する。
昇圧電圧VINTは、定電流回路106、基準電圧回路(BGR)107及びVCC検知回路108に電源として供給される。
VINT検知回路109は、電圧PMPVINTをモニタし、その値がある程度の電圧レベルになったことを検知してパワーオン検知信号PORINTを生成する。このパワーオン検知信号PORINTは、定電流回路106、基準電圧回路107及びVCC検知回路108等の動作を制御するために使用される。
定電流回路106で生成されるバイアス用の定電圧BIASNはVCC検知回路108に供給されるとともに、図1中の他の回路に供給される。
基準電圧回路107は、昇圧電圧VINTを電源として動作して基準電圧VREFを生成する。この基準電圧VREFはVCC検知回路108に供給されるとともに、図1中の他の回路に供給される。
VCC検知回路108は、VCCをモニタし、VCCが所定の電圧以上になったことを基準電圧VREFとの比較により検知し、パワーオンリセット信号POR´を生成する。このパワーオンリセット信号POR´は発振回路101及びVINT−VCC短絡回路103等に供給される。
発振回路101は、後述するパワーオン検知回路110でVCC電源の立ち上がりが検知され、信号PWONRSTnが出力されることにより、発振動作を開始してクロックパルスを生成し、VCC検知回路108から出力されるパワーオンリセット信号POR´が“H”レベルになると発振動作を停止する。
昇圧回路102は、クロックパルスを受けて昇圧動作を行い、VCCから昇圧電圧PMPVINTを生成する。これにより、定電流回路106、基準電圧回路107等の回路の電源電圧をある程度高い電圧レベルに維持できる。
さらに、図12に示すパワーオンリセット回路には、パワーオン検知回路110、SR型のフリップフロップ回路111、遅延回路112、113、3個のNANDゲート114〜116及び4個のインバータ回路117〜121が設けられている。
パワーオン検知回路110は、パワーオン時に電源電圧VCCが所定の電圧以上になったことを検知してパワーオン検知信号PWONRSTnを生成する。なお、このパワーオン検知回路110における検知レベルは、VCC検知回路108における検知レベルよりも低い。パワーオン検知信号PWONRSTnは、フリップフロップ回路111のリセット入力端Rnに供給されるとともにNANDゲート114に供給される。
VINT検知回路109で生成されるパワーオン検知信号PORINTは、インバータ回路117を介して、フリップフロップ回路111のセット入力端Snに供給されるとともにNANDゲート115に供給される。フリップフロップ回路111の出力信号はインバータ回路118に供給される。このインバータ回路118の出力信号BGRrstnは、ローパスフィルタ104、定電流回路106、基準電圧回路107及びVCC検知回路108にリセット信号として供給されるとともに遅延回路112に供給される。遅延回路112は、信号BGRrstnを予め定められた一定時間だけ遅延する。遅延回路112の出力信号BGRenbは、パワーオンリセット信号POR´とともにNANDゲート116に供給される。NANDゲート116の出力信号はインバータ回路121を介して遅延回路113に供給されるとともに、NANDゲート114に供給される。NANDゲート114の出力信号はインバータ回路119に供給される。インバータ回路119の出力信号EQVCCnはNANDゲート115に供給されるとともにVINT−VCC短絡回路103に供給される。NANDゲート115の出力信号はインバータ回路120に供給される。インバータ回路120の出力信号は発振動作を制御するための信号OSCenbとして発振回路101に供給される。
VINT−VCC短絡回路103は、信号EQVCCnが入力されるインバータ回路122と、インバータ回路122の出力信号がゲートに供給され、ソース・ドレイン間の電流通路がVCCのノードとPMPVINTのノードとの間に挿入されたDタイプのMOSトランジスタ123とから構成されている。
図12に示すパワーオンリセット回路の動作は以下のとおりである。すなわち、パワーオン検知回路110により、遅延回路112、113やNANDゲート114〜116及びインバータ回路117〜122等からなるロジック回路が動作するための最低の電圧VCCminが検知され、定電流回路106、基準電圧回路107及びVCC検知回路108等からなるアナログ回路で使用する電圧VINTの昇圧が開始される。VINTのレベルがアナログ回路のVCCminよりも高くなったことがVINT検知109で検知されると、信号BGRrstnにより、定電流回路106、基準電圧回路107及びVCC検知回路108のリセット状態が解除され、その後、遅延回路112における遅延時間の間だけアナログ回路の出力(BIASN、VREF)の値が安定するのを待つ。定電流回路106で生成される定電流及び基準電圧回路107で生成される基準電圧の値が安定した後、VCC検知回路108によりVCCが検知されてパワーオンリセット信号POR´が解除される(リセットが解除される)。
信号POR´が解除された後は、NANDゲート114、インバータ回路119、NANDゲート115及びインバータ回路120からなる経路で信号OSCenbが非活性化され、発振回路101の発振動作が停止して昇圧回路102における昇圧動作が停止する。さらに、インバータ回路119の出力信号EQVCCnによってVINT−VCC短絡回路103内のMOSトランジスタ122がオン状態にされ、VINTと電源VCCとが短絡される。さらに、VINTとVCCの短絡による電圧の揺れの影響をなくすために、遅延回路113による遅延時間の後にパワーオンリセット信号PORのリセット状態が解除される。そして、このパワーオンリセット信号PORが図1中の制御回路19に入力されることによって、ROMリード動作が起動される。
ここで、パワーオンリセット信号PORを出力する遅延回路113は、遅延時間が、複数のパッドに供給される複数ビットのチップアドレスCADDiに応じて変化できるように構成されている。
従って、図12に示すパワーオンリセット回路が設けられたメモリチップを複数個設け、個々のチップに異なるチップアドレスCADDiを与えることで、チップアドレスに応じてパワーオンリセット信号PORが解除されるタイミングが異なるようになる。この結果、ROMリード動作の起動タイミングが順次シフトし、第1の実施の形態の場合と同様に、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。
なお、遅延時間が制御できる遅延回路113としては、図6及び図8に示す構成のものを使用することができる。
(第3の実施の形態)
次にこの発明の第3の実施の形態を説明する。
図13は、図1中のパワーオンリセット回路18の詳細な回路構成を示している。このパワーオンリセット回路は図12に示すものと構成が一部が異なるだけなので、図12と異なる箇所のみを説明し、図12と対応する箇所については説明は省略する。
図12に示すパワーオンリセット回路では、遅延回路113の遅延時間をチップアドレスCADDiに応じて変化させるようにしていたが、この実施の形態では、信号BGRrstnを遅延する遅延回路112の遅延時間をチップアドレスCADDiに応じて変化させるようにしたものである。
このような構成において、VCC検知回路108によりVCCが検知されてパワーオンリセット信号POR´のリセット状態が解除されても、NANDゲート116の出力信号は、遅延回路112の出力信号であるBGRenbが“H”レベルにならなければ“H”レベルにならない。
すなわち、この実施の形態の場合にも、パワーオンリセット信号PORのリセット状態が解除されるタイミングは、チップアドレスCADDiに応じて変化するようになる。
従って、図13に示すパワーオンリセット回路が設けられたメモリチップを複数個設け、個々のチップに異なるチップアドレスCADDiを与えることで、チップアドレスに応じてパワーオンリセット信号PORが解除されるタイミングが異なるようになる。この結果、ROMリード動作の起動タイミングが順次シフトし、第2の実施の形態の場合と同様に、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。
なお、この実施の形態では、パワーオンリセット信号POR´とともにNANDゲート116に供給される信号BGRenbを出力する遅延回路112における遅延時間を制御するので、電源が高速に立ち上がるような場合に特に効果を発揮する。
また、この場合にも、遅延時間が制御できる遅延回路112として、図6及び図8に示す構成のものを使用することができる。
図14及び図15は、図12及び図13のパワーオンリセット回路で用いられている定電流回路106及び基準電圧回路107の詳細な回路構成の一例を示している。
図14は定電流回路106の構成を示している。昇圧電圧VINTのノードと接地電圧ノードとの間に、ゲート・ドレイン相互が接続されたPMOSトランジスタ131、NMOSトランジスタ132及びダイオード133が直列に接続されている。また、VINTノードと接地電圧ノードとの間に、PMOSトランジスタ134、ドレイン・ゲート相互が接続されたNMOSトランジスタ135及び抵抗136が直列に接続されている。PMOSトランジスタ131及び134のゲート同士が接続されており、NMOSトランジスタ132及び135のゲート同士が接続されている。さらに、VINTノードと接地電圧ノードとの間に、PMOSトランジスタ137及びドレイン・ゲート相互が接続されたNMOSトランジスタ138が直列に接続されている。PMOSトランジスタ137は、ゲートがPMOSトランジスタ131のドレインに接続されており、NMOSトランジスタ138のゲートからバイアス用の定電圧BIASNが出力される。
定電流回路106から出力される定電圧BIASNが、VCC検知回路108内等に設けられ、上記NMOSトランジスタ138と共にカレントミラー回路を構成するNMOSトランジスタのゲートに供給されることで、このNMOSトランジスタに一定の電流を流すことができる。
図15は基準電圧回路107の構成を示している。基準電圧VREFのノードと接地電圧ノードとの間に抵抗141及びダイオード142が直列接続されている。また、基準電圧VREFのノードには抵抗143の一端が接続されており、この抵抗143の他端には抵抗144の一端が接続されている。さらに、この抵抗144の他端と接地電圧ノードとの間には複数個のダイオード145が並列に接続されている。
差動増幅器146は、抵抗141とダイオード142の接続ノードにおける電圧VAと、2個の抵抗143、144の接続ノードにおける電圧VBとを比較するものであり、その出力信号は、VINTノードと基準電圧VREFのノードとの間にソース・ドレイン間が挿入されたPMOSトランジスタ147のゲートに供給される。
ちなみに、上記差動増幅器146内に設けられたNMOSトランジスタ148のゲートには、図14に示す定電流回路106から出力される定電圧BIASNが供給され、このNMOSトランジスタ148は図14中のNMOSトランジスタ138と共にカレントミラー回路を構成している。従って、NMOSトランジスタ148は、一定の電流を流す定電流源として作用する。
この基準電圧回路では、抵抗143、144の抵抗比、抵抗141、143の抵抗比及び並列接続されたダイオード145の個数によって決まる温度特性でダイオード142の温度特性を補償することにより、温度依存性のない基準電圧VREFが得られる。
(第4の実施の形態)
次にこの発明の第4の実施の形態を説明する。
図16は、図1に示されるメモリチップ中のパワーオンリセット回路18と制御回路19の内部構成を示すブロック図である。
パワーオンリセット回路18は、図3の場合と同様に、パワーオンレベル検知回路18aと遅延回路18bとから構成されている。
制御回路19は、図3の場合と同様に、初期化制御回路19aとROMリード制御回路19bとから構成されている。
前述した第1ないし第3の実施の形態では、遅延回路18bにおける遅延時間をチップアドレスに応じて制御することでROMリード動作の起動タイミングをずらしていた。これに対し、この第4の実施の形態では、パワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルを、外部から入力されるチップアドレスに応じて異ならせることで同様の効果が得られるようにしたものである。
このため、パワーオンレベル検知回路18aは、電源電圧の検知レベルが、パッドに入力される信号に応じて制御できるような構成を有する。この場合、チップアドレスとしてCADD0、CADD1の2ビットが使用されている。つまり、この第4の実施の形態では、同一パッケージ内に収納されるメモリチップが4個(22 個)の場合を示している。
これら4個のメモリチップ内に設けられたパワーオンレベル検知回路18aは、チップアドレスCADD0、CADD1が供給される2個のパッドP0、P1にそれぞれ接続されている。そして、各パワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルは、それぞれのチップに与えられるチップアドレスCADD0、CADD1に応じて、順次異なるように設定されている。例えば、図4に示すように、チップアドレス(CADD0、CADD1)が(“L”、“L”)のメモリチップ1のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルはV1、(“L”、“H”)のメモリチップ2のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルはV2、(“H”、“L”)のメモリチップ3のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルはV3、(“H”、“H”)のメモリチップ4のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルはV4にそれぞれ設定され、これら検知レベルの間には、V1>V2>V3>V4の関係が成立しているとする。
なお、遅延回路18bにおける遅延時間は各メモリチップで同じであり、メモリチップ相互間で実質的な差異はない。
次に、図16に示すような構成のパワーオンリセット回路18及び制御回路19を有する不揮発性メモリチップを4個設けた不揮発性メモリの動作を、図17のタイミングチャートを参照して説明する。
電源電圧VCCが立ち上がり、その値がメモリチップ1のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルV1に達すると、メモリチップ1内のパワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号のリセット状態が解除される。なお、図5の場合と同様に、図17では、パワーオンリセット信号が“L”レベルとなっているパワーオンリセット期間が「パワーオン」として示されている。
次に、電源電圧VCCの値がメモリチップ2のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルV2に達すると、メモリチップ2内のパワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号のリセット状態が解除される。
以下、同様にして、電源電圧VCCの値がメモリチップ3、4のパワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルV3、V4に達すると、メモリチップ3、4内のパワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号のリセット状態が解除される。
ここで、パワーオンレベル検知回路18aにおける検知レベルは、チップアドレスCADD0、CADD1のパッドに供給されている2ビットの信号により制御されており、パワーオンリセット信号が解除されるタイミングが各チップで順次シフトする。
各パワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号は、各遅延回路18bで同じ時間だけ遅延される。図5の場合と同様にこの遅延期間は「Delay」で示されている。そして、上記遅延期間が終了すると、ROMリード制御回路19bからROMリード動作を制御するための制御信号が出力されてROMリード動作が起動されるが、パワーオンリセット信号が解除されるタイミングが各チップで順次シフトしているので、ROMリード動作が起動されるタイミングも順次シフトする。このため、ROMリード時の消費電流の値がピークを示すタイミングがずれ、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。これにより、パワーオン直後における電源電圧の値が低下する可能性を排除することができ、システムの電源供給能力の圧迫を避けることができる。
図18は、図16中のパワーオンレベル検知回路18aの回路構成の一例を示す。
このパワーオンレベル検知回路は、VCCノードと接地電圧ノードとの間に直列接続された2個の抵抗151、152と、抵抗151、152の直列接続ノードAにゲートが接続され、ソースがVCCノードに接続されたPMOSトランジスタ153と、PMOSトランジスタ153のドレインと接地電圧ノードとの間に接続された抵抗素子154と、VCCを動作電源とし、縦続接続された偶数個のインバータ回路からなり初段のインバータ回路にPMOSトランジスタ153のドレインと抵抗154との直列接続ノードBの電位が入力する波形整形回路155とからなり、後段のインバータ回路からパワーオンリセット信号PORが出力される。
ここで、上記構成のパワーオンレベル検知回路の動作を説明する。なお、2個の抵抗151、152の抵抗値をR11、R12、PMOSトランジスタ153の閾値電圧の絶対値をVthpとする。
パワーオン直後は、トランジスタ153はオフ状態であり、ノードBの電位は“L”レベル、パワーオンリセット信号PORも“L”レベルである。
VCCが上昇し、VCCがパワーオン検知レベルVi(Vi=(R11+R12)Vthp/R11に達すると、トランジスタ153がオン状態になり、ノードBの電位が“H”レベルに反転し、パワーオンリセット信号PORも“H”レベルに反転してリセット状態が解除される。
ここで、このパワーオンレベル検知回路の検知レベルをチップアドレスに応じて変えるには、直列接続されている2個の抵抗151、152の抵抗比を変えればよい。例えば、抵抗152の抵抗値R12は固定とし、抵抗151として先の図10(a)、(b)に示すような可変抵抗回路を用いることで、検知レベルを変えることができる。
(第5の実施の形態)
次にこの発明の第5の実施の形態を説明する。
図19は、図1中のパワーオンリセット回路18の詳細な回路構成を示している。このパワーオンリセット回路は、図12や図13に示すような構成のパワーオンリセット回路において、VCCを検知してパワーオンリセット信号POR´を出力するVCC検知回路108における検知レベルをチップアドレスに応じて変えることにより、複数個のメモリチップを使用した不揮発性メモリにおいて、個々のメモリチップのROMリード動作が起動されるタイミングを順次シフトするようにしたものである。
従って、図12や図13に示すパワーオンリセット回路と比べて異なる箇所のみを説明し、図12や図13と対応する箇所については説明を省略する。
すなわち、図12の場合には遅延回路113における遅延時間を、図13の場合には遅延回路112における遅延時間をそれぞれチップアドレスに応じて変えるようにしていた。これに対し、この第5の実施の形態では、VCC検知回路108にチップアドレスCADDiを供給し、その検知レベルをチップアドレスに応じて変えるようにしている。
この第5の実施の形態では、VCCを検知するタイミングがメモリチップ毎に変わり、パワーオンリセット信号POR´が解除されるタイミングがメモリチップ毎に変わる。これにより、ROMリード時の消費電流の値がピークを示すタイミングがずれ、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。これにより、パワーオン直後における電源電圧の値が低下する可能性を排除することができ、システムの電源供給能力の圧迫を避けることができる。
図20は、図19中のVCC検知回路108の回路構成の一例を示す。
このVCC検知回路は、VCCを分割する抵抗161、162と、昇圧電圧VINTを動作電源とし、抵抗161、162による分割電圧と基準電圧VREFとを比較するオペアンプ163と、このオペアンプ163内の電流源をスイッチ制御するNMOSトランジスタ164と、昇圧電圧VINTを動作電源とし、オペアンプ163の出力が供給されるインバータ回路165と、VCCを動作電源とし、インバータ回路165の出力が供給されるレベルシフタ166とから構成されている。
このVCC検知回路は、VCCをモニタし、VCCが所定のレベルに達したことを検知してパワーオンリセット信号POR´を“H”レベルにする。
ここで、このVCC検知回路の検知レベルをチップアドレスに応じて変えるには、例えば、直列接続されている2個の抵抗161、162の抵抗比を変えればよい。例えば、抵抗162の抵抗値は固定とし、抵抗161として先の図10(a)、(b)に示すような可変抵抗回路を用いることで、検知レベルを変えることができる。
(第6の実施の形態)
次にこの発明の第6の実施の形態を説明する。
図21は、図2に示すように同一パッケージ内に4個のメモリチップが収納される不揮発性メモリにおいて、図1に示される各メモリチップ中のパワーオンリセット回路18及び制御回路19の内部構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、遅延回路18bにおける遅延時間を制御するために、遅延回路18bにチップアドレス用のパッドを接続し、これらのパッドに対し、ボンディングワイヤによりそれぞれのチップアドレスに対応した電圧を接続することで、チップアドレスCADD0、CADD1を遅延回路18bに供給する場合を説明した。
これに対し、この第6の実施の形態では、チップアドレス用のパッドを設けることなく、その代わりに、図21に示すように、パワーオンリセット回路18内に、チップアドレス用のヒューズデータCADD0、CADD1を記憶し、パワーオン時にこのヒューズデータを読み出して遅延回路18bに供給するヒューズデータ回路が追加されている。
ヒューズデータ回路は、図21に示すように2個のヒューズ回路18c、18dからなる。なお、ヒューズデータ回路内には、同一パッケージ内に収納されるメモリチップの個数に応じた数のヒューズ回路が設けられる。例えば、上記のように同一パッケージ内に4個のメモリチップが収納される場合にヒューズ回路は2個設けられ、8個の場合にヒューズ回路は3個設けられ、16個の場合にヒューズ回路は4個設けられる。
そして、2個のヒューズ回路18c、18dでは、メモリチップそれぞれのチップアドレスに応じてヒューズデータが予めプログラムされ、パワーオン直後にこのヒューズデータが読み出されて遅延回路18bに供給される。
図22は、図21中のヒューズ回路18c、18dそれぞれの詳細な回路構成を示している。
ヒューズ回路は、ヒューズ素子171と、リセット用のPMOSトランジスタ172と、ヒューズデータ読み出し用のNMOSトランジスタ173と、ヒューズデータをラッチするラッチ回路174と、ラッチ回路174の出力を波形整形する縦続接続された2個のインバータ回路からなる波形整形回路175とから構成されている。
ヒューズ素子171として、例えば、レーザー光の照射によって溶断できるレーザヒューズや、トランジスタ素子やキャパシタ素子を電気的に破壊することで電流の導通状態を制御する電気ヒューズ等を使用することができる。
PMOSトランジスタ172はVCCノードとラッチ回路174の入力ノードとの間に挿入されている。NMOSトランジスタ173はラッチ回路174の入力ノードとヒューズ素子171との間に挿入されている。また、PMOSトランジスタ172及びNMOSトランジスタ173の各ゲートには、VCCを検知することによって得られ、パワーオン時にVCCが所定のレベルに達する前では“L”レベル、所定のレベルに達した際に“H”レベルとなるようなパワーオンリセット信号PORnが供給される。なお、パワーオンリセット信号PORnが“H”レベルとなるようなVCCの検知レベルは、図21中のパワーオンレベル検知回路18aにおけるVCCの検知レベルよりも低い。
このような構成でなるヒューズ回路は次のように動作する。
パワーオン時に、パワーオンリセット信号PORnが“H”レベルになる前は、リセット用のPMOSトランジスタ172がオン状態になり、ラッチ回路174の入力ノードが“H”レベルにリセットされる。次に、パワーオンリセット信号PORnが“H”レベルになると、リセット用のPMOSトランジスタ172がオフし、ヒューズデータ読み出し用のNMOSトランジスタ173がオン状態になり、ヒューズ素子171のデータがラッチ回路174に供給される。
ここで、予め、電流が流れないようにヒューズ素子171がプログラムされていれば、ラッチ回路174の入力ノードのリセット状態がそのまま維持され、ラッチ回路174には“L”のデータが読み出されることになり、ラッチ後に“L”のヒューズデータが出力される。
他方、電流が流れるようにヒューズ素子171がプログラムされていれば、ラッチ回路174の入力ノードは“L”レベルに放電され、ラッチ回路174には“H”のデータが読み出されることになり、ラッチ後に“H”のヒューズデータが出力される。
そして、それぞれ2ビットのヒューズデータが遅延回路18bに供給されることで、遅延回路18bにおける遅延時間が、各メモリチップ毎に異なるように制御される。なお、遅延回路18bとしては図6や図8に示すものをそのまま使用することができる。
また、パワーオンリセット信号PORnが“H”レベルとなるようなVCCの検知レベルが、パワーオンレベル検知回路18aにおけるVCCの検知レベルよりも低くされているので、ヒューズデータ回路からヒューズデータが読み出される前に、パワーオンレベル検知回路18aから出力されるパワーオンリセット信号PORが“H”レベルになることがなく、遅延回路18bで確実に遅延時間の制御を行うことができる。
このように、この第6の実施の形態においても、パワーオンリセット信号PORの遅延時間を変えることで、パワーオンリセット信号が解除されるタイミングがメモリチップ毎に変わる。これにより、ROMリード時の消費電流の値がピークを示すタイミングがずれ、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。これにより、パワーオン直後における電源電圧の値が低下する可能性を排除することができ、システムの電源供給能力の圧迫を避けることができる。
(第7の実施の形態)
次にこの発明の第7の実施の形態を説明する。
図23は、図2に示すように同一パッケージ内に4個のメモリチップが収納される不揮発性メモリにおいて、図1に示される各メモリチップ中のパワーオンリセット回路18及び制御回路19の内部構成を示すブロック図である。
第1ないし第6の各実施の形態では、パワーオン時に自動的にROMリード動作が起動される場合を説明したが、この第7の実施の形態ではROMリード動作起動用のパッドに供給される信号に応じてROMリード動作を起動し、かつ複数個のメモリチップにおけるROMリード動作の起動タイミングが互いに異なるようにしたものである。
この第7の実施の形態では、図23に示すように、パワーオンリセット回路18内の遅延回路18bにおける遅延時間は、チップアドレスに応じて変えられることがなく、固定されており、パワーオンリセット回路18内には新たにパルス生成回路18eと遅延回路18fとが追加されている。
パルス生成回路18eには、ROMリード動作を起動するためのROMリード起動用の制御信号ROMRDSTTが供給されるパッドPRが接続されている。そして、パルス生成回路18eは、この制御信号ROMRDSTTが“L”レベルから“H”レベルに、または“H”レベルから“L”レベルに変化した際にパルス信号を生成する。このパルス信号は遅延回路18fに供給される。
遅延回路18fは上記パルス信号を遅延する。さらに、この遅延回路18fにはチップアドレス指定用の2個のパッドP0、P1が接続されており、遅延回路18fにおける遅延時間はこの2個のパッドに供給されるチップアドレスCADD0、CADD1に応じて制御される。
ここで、図2に示した4個のメモリチップのチップアドレス指定用の2個のパッドP0、P1に供給されるチップアドレスCADD0、CADD1と、各メモリチップ内に設けられた遅延回路18fにおける遅延時間との関係は、例えば図4に示した場合と同様にされている。
遅延回路18fの出力信号はROMリード制御回路19bに供給される。この信号はROMリード動作の起動信号として使用される。
なお、図23に示すように、遅延時間が固定された遅延回路18bからの出力もROMリード制御回路19bに供給されているが、この信号はリード制御回路19b内に設けられているラッチ回路をリセットする目的のために入力されているのであり、ROMリード動作の起動信号とはならない。
次に、上記構成でなる不揮発性メモリの動作を図24のタイミングチャートを参照して説明する。
電源電圧VCCが立ち上がり、その値がパワーオン検知レベルに達すると、各メモリチップ内のパワーオンレベル検知回路18aからパワーオンリセット信号が出力される。図24では、パワーオンリセット信号が“L”レベルとなっているパワーオンリセット期間が「パワーオン」として示されている。この後、パワーオンリセット信号が遅延回路18bで遅延される。遅延回路18bにおける遅延時間は全てのメモリチップで同じであり、この遅延期間は「Delay」で示されている。そして、上記遅延期間が終了すると、初期化制御回路19aから初期化動作を制御するための制御信号が出力されて、チップ内部回路の初期化が行われる。さらにROMリード制御回路19b内に設けられているラッチ回路がリセットされる。すなわち、パワーオン時にはROMリード動作は起動されない。
パワーオン後、電源電圧VCCの値が安定している時に、パッドPRに供給される信号ROMRDSTTが“L”レベルから“H”レベルに、または“H”レベルから“L”レベルに変化した後に、パルス生成回路18eからパルス信号が出力される。このパルス信号は遅延回路18fで遅延されるが、その遅延時間はパッドP0、P1に供給されている2ビットのチップアドレスCADD0、CADD1により制御され、4個のメモリチップで互いに異なるようになる。そして、この遅延回路18fの出力によってROMリード制御回路19bにおけるROMリード動作が起動されるので、図24に示すように、ROMリード動作の起動タイミングが各チップでシフトする。
このため、個々のメモリチップで、ROMリード時の消費電流の値がピークを示すタイミングがずれ、複数個の不揮発性メモリチップを使用する場合でもパワーオン直後における消費電流の増大を防ぐことができる。これにより、パワーオン直後における電源電圧の値が低下する可能性を排除することができ、システムの電源供給能力の圧迫を避けることができる。
なお、この発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば、不揮発性メモリチップがNANDフラッシュメモリチップである場合について説明したが、これはその他にNOR型、DINOR型、AND型等のフラッシュメモリチップであってもよい。
11…メモリセルアレイ、12…アドレスバッファ、13…カラムデコーダ、14…ロウデコーダ、15…センスアンプ、16…ラッチ回路、17…入出力バッフア、18…パワーオンリセット回路、18a…パワーオンレベル検知回路、18b…遅延回路、18c、18d…ヒューズ回路、18e…パルス生成回路、18f…遅延回路、19…制御回路、19a…初期化制御回路、19b…ROMリード制御回路、20…電圧生成回路、31…クロック信号生成回路、32…カウンタ回路、33…デコーダ回路、108…VCC検知回路、110…パワーオン検知回路、112、113…遅延回路。