JP4557322B2 - テトラハロシランからオルガノシロキサンを製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテトラハロシランからオルガノシロキサンを製造する方法に関し、より詳しくはSiX4 (Xはハロゲン原子)で表されるテトラハロシランからSi(−O−)4 の結合種を有するオルガノシロキサンを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハロシラン、特にクロロシランから加水分解重縮合によりシロキサン結合を形成する反応は種々知られており、既に工業的に実施されている。ところが、これら従来法では、反応の際に用いられる塩酸、水、シラノールから副生するハロゲン化水素の回収が必要なだけでなく、耐酸性の製造装置が必要であった。さらに、発生するハロゲン化水素による副反応のため、目的とするオルガノシロキサンの収率が低いという問題があった。特に、Si−H結合を有するシロキサンは強塩基性化合物、ルイス酸または強酸等により容易に分解反応や置換反応を起こすため、限られた製造方法しか適用できなかった。
【0003】
上記(1)で示されるシロキサン形成反応は最も一般的に用いられる方法である。しかし、この方法では水または塩化水素水を用いてハロシランの加水分解を行うため、塩化水素ガスの発生を抑えることができなかった。また、発生する塩化水素のため、製造装置を耐酸性の設備にする必要があるばかりでなく、反応の種類によっては発生する塩化水素によりSi−H結合の加水分解が進み、さらに縮合されるので、低温で反応を進める必要があり、目的とする化合物を選択性よく得ることができないという問題があった。
上記式(2)で示される反応は米国特許第3462386号明細書に記載されているものである。この反応においては反応中にアミン類を加えて発生する塩化水素を塩酸塩の形にすることで縮合反応等の副反応を防止するため、式(1)の方法と比較すると収率に若干の改善がみられる。ところが、この方法は塩化水素の発生という面では式(1)の反応と同様であり、耐酸性の設備が必要で、しかも収率改善効果も満足できるものではなかった。さらに、原料に用いるシラノールは不安定でり、工業原料としては不適切であり、しかもアミン類の塩酸塩の分離、処理も必要である。
また、シロキサン化合物製造の際に、ハロシラン以外に反応系内に硫黄、窒素原子を含有する化合物を加えて反応を行う方法が知られているが、この方法では生成物であるシロキサン中に硫黄化合物や窒素化合物が混入し、続いて反応を行う際にこれらの不純物が触媒毒になる等の不都合があった。さらに、この方法では反応後に大量の硫黄化合物や窒素化合物の廃棄物が生じるため、処理を行い無害化する必要があり、経済的に極めて不利であった。
さらに、上記従来の方法により環状オルガノシロキサンを製造する場合、生成物の収率が低く、しかも一段階で行うことができず、触媒の存在下で長時間の反応を行わなければならないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、塩化水素ガス等のハロゲン化水素等を発生することも、硫黄化合物および窒素化合物等を副生することもなく、工業的に有用なオルガノシロキサン、特に環状または架橋オルガノシロキサンを高収率で、高選択的に、しかも低コストで製造する方法の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため、ハロシランの反応によるオルガノシロキサンの製造方法について鋭意研究した結果、ハロシランとしてテトラハロシランを必須成分として選択し、これを炭酸塩または金属酸化物と直接反応させることにより、塩化水素および塩素にそれぞれ代表されるハロゲン化水素およびハロゲンを発生させることなく、簡便な製造装置を用いて、高い収率で、選択的にオルガノシロキサンを非常に安価に製造し得る方法を見出し、しかもこの方法によると、硫黄化合物や窒素化合物等の有害な副生物を生じることがなく、安全面や環境面でも大幅に改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、次式A:SiX4
(式中、Xは互いに独立してハロゲン原子を表す)で表されるテトラハロシランと
次式B:Hn’R’3−n’SiX’
(式中、n’は0、1、2または3を表し、R’は有機基を表すが、複数個のR’が存在する場合、それらは同じであっても、異なっていてもよく、そしてX’はハロゲン原子を表す)で表されるモノハロシラン、
次式C:Hn”R”2−n”SiX”2
(式中、n”は0、1または2を表し、R”は有機基を表すが、2個のR”が存在する場合、それらは同じであっても、異なっていてもよく、そしてX”は互いに独立してハロゲン原子を表す)で表されるジハロシランおよび
次式D:Hn”’R”’1−n”’SiX”’3
(式中、n”’は0または1を表し、R”’は有機基を表し、そしてX”’は互いに独立してハロゲン原子を表す)で表されるトリハロシランからなる群から選択されるハロシランのうち、Aから選ばれるテトラハロシランを必須成分とし、A、B、CおよびDのハロシランのうち少なくとも1種を炭酸塩と、水またはアミン類の非存在下に、直接反応させることによりオルガノシロキサンを製造する方法に関する。
なお、本発明のオルガノシロキサンを製造する方法においては、出発物質として同種または異種の上記テトラハロシランを用いても、また上記テトラハロシランの少なくとも1種と上記モノハロシラン、上記ジハロシランおよび上記トリハロシランからなる群から選択される少なくとも1種とを組み合わせて用いてもよい。
【0008】
また、本発明の上記のオルガノシロキサンを製造する方法において、炭酸塩として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸フランシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムおよび炭酸ラジウムからなる群から選択されることが好ましい。このように、本発明の方法において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩が使用されることが好ましい。
【0009】
以下に本発明をより詳細に説明する。
本発明において使用されるテトラハロシランは上記したように次式:SiX4 で表されるものである。
ここで式中のXはハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のいずれであってもよく、一分子中のXは同じでも異なっていてもよい。
【0010】
上記テトラハロシランの具体例として以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
テトラクロロシラン、トリクロロフルオロシラン、トリクロロブロモシラン、ジクロロジフルオロシラン、ジクロロジブロモシラン;
テトラフルオロシラン、トリフルオロクロロシラン、トリフルオロブロモシラン、ジフルオロジクロロシラン、ジフルオロジブロモシラン;
テトラブロモシラン、トリブロモフルオロシラン、トリブロモクロロシラン、ジブロモジフルオロシラン、ジブロモジクロロシラン等。
そして、製造性等の観点から、テトラクロロシラン、テトラフルオロシランおよびテトラブロモシラン等が好ましい。
【0011】
本発明において任意成分の一つであるモノハロシランは上記したように次式:Hn'R’3-n'SiX’で表されるものである。
ここで、n’は0、1、2または3を表し、そしてX’はXと同様ハロゲン原子を表す。
また、R’はケイ素原子に結合した有機基であり、より具体的には、非置換または置換された炭素原子数1ないし30の炭化水素基、例えばアルキル基(例:メチル基,プロピル基,ブチル基,オクチル基,デシル基,イコシル基,トリアコンチル基,それらの異性体等;シクロアルキル基(例:シクロペンチル基,シクロヘキシル基等);アリール基(例:フェニル基,トリル基,ナフチル基等);アルケニル基(例:ビニル基,アリル基等);アルキニル基(例:エチニル基,プロパルギル基等);アラルキル基(例:ベンジル基,フェネチル基、フェニルプロピル基等)の他、含窒素置換基、例えばアミノ基、シアノ基等、含酸素置換基、例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基等、含硫黄置換基、例えばメルカプト基、スルホ基等、含ケイ素置換基、例えばシロキシ基等である。
上記基R’のうち、炭化水素基の少なくとも1つの水素原子は上記したハロゲン原子、含窒素置換基、含酸素置換基、含硫黄置換基および/または含ケイ素置換基により置換されていてもよい。また、上記基R’のうち、含窒素置換基、含酸素置換基、含硫黄置換基および含ケイ素置換基は、可能であれば上記したハロゲン原子および/または炭化水素基により置換されていてもよい。
なお、一分子中に複数個の基R’が存在する場合、それらは同じであっても、異なっていてもよい。
【0012】
上記モノハロシランの具体例として以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
メチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−プロピルクロロシラン、ジ(n−プロピル)クロロシラン、トリ(n−プロピル)クロロシラン、イソプロピルクロロシラン、ジ(イソプロピル)クロロシラン、トリ(イソプロピル)クロロシラン、n−ブチルクロロシラン、ジ(n−ブチル)クロロシラン、トリ(n−ブチル)クロロシラン、第三ブチルクロロシラン、ジ(第三ブチル)クロロシラン、トリ(第三ブチル)クロロシラン、n−ヘキシルクロロシラン、ジ(n−ヘキシル)クロロシラン、トリ(n−ヘキシル)クロロシラン、フェニルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン;
エチルジメチルクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、イソプロピルジメチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、イソブチルジメチルクロロシラン、第三ブチルジメチルクロロシラン、ペンチルジメチルクロロシラン、ヘキシルジメチルクロロシラン、ヘプチルジメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、ノニルジメチルクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、ジ(n−ブチル)メチルクロロシラン、ジ(第三ブチル)メチルクロロシラン、n−ノニルジメチルクロロシラン、n−ヘプチルジメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、ジメチル−n−オクタデシルクロロシラン、n−トリアコンチルジメチルクロロシラン、(3,3−ジメチルブチル)ジメチルクロロシラン;
ビニルメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、フェニルメチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、フェニルビニルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、トリフェニルビニルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、〔2−(3−シクロヘキセニル)エチル〕ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、(p−第三ブチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、第三ブチルジフェニルクロロシラン;
(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルクロロシラン、(ジクロロメチル)メチルクロロシラン、(ジクロロメチル)ジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、(3−クロロプロピル)ジメチルクロロシラン、クロロブチルジメチルクロロシラン、ジ(クロロメチル)メチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン;
ジメチルメトキシクロロシラン、(2−アセトキシエチル)ジメチルクロロシラン、(3−アセトキシプロピル)ジメチルクロロシラン、メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3−(4−メトキシフェニル)プロピルジメチルクロロシラン、トリ(第三ブトキシ)クロロシラン、(10−カルボメトキシデシル)ジメチルクロロシラン、(2,4,6−トリ−第三ブチルフェノキシ)ジメチルクロロシラン;
(N,N−ジメチルアミノ)ジメチルクロロシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノ)メチルクロロシラン、(3−イソシアネートプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−シアノプロピル)ジメチルクロロシラン、〔3−(トリメチルシロキシ)プロピル〕ジメチルクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン;
トリメチルフルオロシラン、トリフェニルフルオロシラン、ジメチルフルオロシラン、ジフェニルフルオロシラン、ジメチルフェニルフルオロシラン、ジフェニルメチルフルオロシラン;
トリメチルブロモシラン、トリフェニルブロモシラン、ジメチルブロモシラン、ジフェニルブロモシラン、ジメチルフェニルブロモシラン、ジフェニルメチルブロモシラン等。
【0013】
本発明において好ましいモノハロシランは、その製造の容易さの点から、基R’がアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等である化合物であり、そのような具体的化合物としては以下のものを挙げることができるが、それらに限定されない:
ジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ(n−プロピル)クロロシラン、トリ(n−ブチル)クロロシラン、n−ヘキシルクロロシラン、トリ(n−ヘキシル)クロロシラン、ジフェニルクロロシラン;
エチルジメチルクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、イソプロピルジメチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、ヘキシルメチルクロロシラン、ジ(n−ブチル)メチルクロロシラン、n−デシルメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、ジメチル−n−オクタデシルクロロシラン、n−トリアコンチルジメチルクロロシラン;
ビニルメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、トリフェニルビニルクロロシラン;
(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルクロロシラン;
トリメチルフルオロシラン、トリフェニルフルオロシラン、ジメチルフルオロシラン、ジフェニルフルオロシラン、ジメチルフェニルフルオロシラン、ジフェニルメチルフルオロシラン;
トリメチルブロモシラン、トリフェニルブロモシラン、ジメチルブロモシラン、ジフェニルブロモシラン、ジメチルフェニルブロモシラン、ジフェニルメチルブロモシラン等。
【0014】
本発明において別の任意成分であるジハロシランは上記したように次式:Hn"R”2-n"SiX”2 で表されるものである。
ここで、n”は0、1または2を表し、R”は基R’に対して定義されたものと同じ意味を表すが、2個のR”が存在する場合、それらは同じであっても、異なっていてもよく、そしてX”はXと同様ハロゲン原子を表す。
【0015】
本発明において使用され得るジハロシランの具体例として以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、n−プロピルジクロロシラン、ジ(n−プロピル)ジクロロシラン、イソプロピルジクロロシラン、ジ(イソプロピル)ジクロロシラン、n−ブチルジクロロシラン、ジ(n−ブチル)ジクロロシラン、第三ブチルジクロロシラン、ジ(第三ブチル)ジクロロシラン、n−ヘキシルジクロロシラン、ジ(n−ヘキシル)ジクロロシラン、n−オクタデシルジクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、シクロトリメチレンジクロロシラン、シクロテトラメチレンジクロロシラン、シクロペンタメチレンジクロロシラン、ジメシチルジクロロシラン、ジ(p−第三ブチルフェニル)ジクロロシラン;
エチルメチルジクロロシラン、n−プロピルメチルジクロロシラン、イソプロピルメチルジクロロシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、第三ブチルメチルジクロロシラン、ペンチルメチルジクロロシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘプチルメチルジクロロシラン、オクチルメチルジクロロシラン、ノニルメチルジクロロシラン、デシルメチルジクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、n−ドデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−ドコシルメチルジクロロシラン、n−トリアコンチルメチルジクロロシラン、(2,3−ジメチルプロピル)メチルジクロロシラン、(3,3−ジメチルブチル)メチルジクロロシラン;
ビニルメチルジクロロシラン、ビニルエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、オクテニルメチルジクロロシラン、7−オクテニルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルエチルジクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)メチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)メチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルビニルジクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、フェニルビニルジクロロシラン、フェニルアリルジクロロシラン、〔2−(3−シクロヘキセニル)エチル〕メチルジクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、(p−第三ブチルフェネチル)メチルジクロロシラン、第三ブチルフェニルジクロロシラン;(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン、(ジクロロメチル)メチルジクロロシラン、2−クロロエチルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、ブロモメチルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、n−プロピル(3−クロロプロピル)ジクロロシラン、(クロロフェニルエチル)メチルジクロロシラン、フェニル(3−クロロプロピル)ジクロロシラン、クロロブチルメチルジクロロシラン、ジ(クロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロフェニル)ジクロロシラン;
メチルメトキシジクロロシラン、(2−アセトキシエチル)メチルジクロロシラン、(3−アセトキシプロピル)メチルジクロロシラン、メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−(4−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、ジ(第三ブトキシ)ジクロロシラン、(10−カルボメトキシデシル)メチルジクロロシラン、(2,4,6−トリ−第三ブチルフェノキシ)メチルジクロロシラン、(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルジクロロシラン;(N,N−ジメチルアミノ)メチルジクロロシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノ)ジクロロシラン、(3−イソシアネートプロピル)メチルジクロロシラン、(3−シアノプロピル)メチルジクロロシラン、〔3−(トリメチルシロキシ)プロピル〕メチルジクロロシラン、ビス(トリメチルシロキシ)ジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン;
メチルジフルオロシラン、ジメチルジフルオロシラン、メチルフェニルジフルオロシラン、フェニルジフルオロシラン、ジフェニルジフルオロシラン;
メチルジブロモシラン、ジメチルジブロモシラン、メチルフェニルジブロモシラン、フェニルジブロモシラン、ジフェニルジブロモシラン;
ジメチルクロロフルオロシラン、メチルエチルクロロブロモシラン、メチルフルオロブロモシラン等。
【0016】
本発明において好ましいジハロシランは、その製造の容易さの点から、基R”がアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等である化合物であり、そのような具体的化合物としては以下のものを挙げることができるが、それらに限定されない:
ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジ(n−プロピル)ジクロロシラン、ジ(n−ブチル)ジクロロシラン、ジ(n−ヘキシル)ジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン;
エチルメチルジクロロシラン、n−プロピルメチルジクロロシラン、イソプロピルメチルジクロロシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、n−ヘキシルメチルジクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、n−ドデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−ドコシルメチルジクロロシラン;
ビニルメチルジクロロシラン、ビニルエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルビニルジクロロシラン、フェニルアリルジクロロシラン、第三ブチルフェニルジクロロシラン;
(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン;
ジメチルジフルオロシラン、メチルフェニルジフルオロシラン、ジフェニルジフルオロシラン;
ジメチルジブロモシラン、メチルフェニルジブロモシラン、ジフェニルジブロモシラン。
【0017】
本発明においてもう一つの任意成分であるトリハロシランは次式:Hn"' R”’1-n"' SiX”’3 で表されるものである。
ここで、n”’は0または1を表し、R”’は基R’に対して定義されたものと同じ意味を表し、そしてX”’はXと同様ハロゲン原子を表す。
【0018】
上記トリハロシランの具体例として以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、第三ブチルトリクロロシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、アミルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドコシルトリクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、アダマンチルトリクロロシラン、5−ヘキセニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、トリルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、5−(ビシクロヘプタニル)トリクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、2−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン;
クロロメチルトリクロロシラン、ジクロロメチルトリクロロシラン、トリクロロメチルトリクロロシラン、ジブロモメチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、8−ブロモオクチルトリクロロシラン;
3−(4−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、メトキシトリクロロシラン、2−アセトキシエチルトリクロロシラン、3−アセトキシプロピルトリクロロシラン、メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(4−メトキシフェニル)ヘキシルトリクロロシラン、第三ブトキシトリクロロシラン、(10−カルボメトキシデシル)トリクロロシラン、(2,4,6−トリ−第三ブチルフェノキシ)トリクロロシラン、(ヘプタフルオロイソプロポキシ)トリクロロシラン;
(N,N−ジメチルアミノ)トリクロロシラン、(3−イソシアネートプロピル)トリクロロシラン、(3−シアノプロピル)トリクロロシラン、〔3−(トリメチルシロキシ)プロピル〕トリクロロシラン、(トリメチルシロキシ)トリクロロシラン;
メチルトリフルオロシラン、エチルトリフルオロシラン、n−ヘキシルトリフルオロシラン、フェニルトリフルオロシラン;
メチルトリブロモシラン、エチルトリブロモシラン、n−ヘキシルトリブロモシラン、フェニルトリブロモシラン;
メチルジクロロフルオロシラン、エチルジクロロブロモシラン、メチルジフルオロブロモシラン等。
【0019】
本発明において好ましいトリハロシランは、その製造の容易さの点から、基Rがアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等である化合物であり、そのような具体的化合物としては以下のものを挙げることができるが、それらに限定されない:
トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、第三ブチルトリクロロシラン、アミルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドコシルトリクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、5−ヘキセニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン;
3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン;
メチルトリフルオロシラン、n−ヘキシルトリフルオロシラン、フェニルトリフルオロシラン;
メチルトリブロモシラン、n−ヘキシルトリブロモシラン、フェニルトリブロモシラン等。
【0020】
本発明において使用される上記テトラハロシランならびにモノハロシラン、ジハロシランおよびトリハロシランは工業的に製造されるハロシランの他に、ヒドロシリル化等の反応を用いることによって工業的に製造されるハロシランから合成される誘導体ハロシラン等を用いることができる。
本発明における上記テトラハロシランおよび所望により使用されるモノハロシラン、ジハロシランおよびトリハロシランの使用割合は任意であり、所望のオルガノシロキサンにより適宜決定される。
【0021】
本発明において使用される炭酸塩または金属酸化物は少なくとも1種使用することが必須であり、少なくとも1種の炭酸塩のみを用いても、少なくとも1種の酸化物のみを用いても、また、少なくとも1種の炭酸塩と少なくとも1種の酸化物を組み合わせて用いてもよく、その使用割合は任意である。
【0022】
炭酸塩としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸フランシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸ラジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの炭酸塩の中で、工業的に使用しやすいものとして炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0023】
金属酸化物としては、上記したようにアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物が好ましく、例えばLi2 O、Li2 O2 、Na2 O、Na2 O2 、NaO、K2 O、K2 O2 、KO2 、BeO、Mg2 O2 、MgO、Ca2 O、Ca2 O2 、CaO4 、BaO、BaO2 等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
上記炭酸塩または酸化物の使用量は特に限定されないが、出発物質であるテトラハロシランならびにモノハロシラン、ジハロシランおよびトリハロシラン(以下、単にハロシランとも記載する)を完全に反応させるために、上記炭酸塩または酸化物を反応当量以上用いることが好ましい。炭酸塩または酸化物が反応当量以下の場合は系内に未反応で残留しているハロシランを回収して再び反応に用いることもできる。具体的にハロシランと炭酸塩または酸化物の化学当量は、ハロシラン1に対して0.01〜20であることが好ましい。炭酸塩および/または酸化物の使用量が0.01当量未満であると、生成するオルガノシロキサンの量が少なくなり、ハロシランとの分離効率が低下することがある。また、20当量を越えると未反応の炭酸塩および/または酸化物が系内に大量に残留し、後処理等に時間を要する等の不都合が生じ、生産性が低下するので経済的理由から好まれない。さらに好ましくは反応率、選択率等の理由から、上記炭酸塩および/または酸化物の使用量は0.1〜10当量である。
【0025】
本発明のオルガノシロキサンの製造方法は溶媒を使用せずに実施することができるが、使用する場合、以下のような有機溶媒が使用される:アルコール系溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等、芳香族炭化水素系溶媒、例えばトルエン、キシレン等、エーテル系溶媒、例えばジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等、脂肪族炭化水素系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン等、塩素化炭化水素系溶媒、例えばジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム等。固体の炭酸塩または酸化物、例えば炭酸リチウム、酸化リチウム等を使用する場合、アルコール系またはエーテル系等の極性溶媒を使用することにより、反応速度を高めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明によるオルガノシロキサンの製造は、常圧ないし加圧下で行い得る。炭酸ガスを効率的に発生させるために常圧に近い圧力で反応させることが好ましい。この際、ハロシランに対して反応不活性な雰囲気下で反応を行うことが好ましい。不活性な雰囲気とするための気体は、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等であるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、ハロシランと炭酸塩および/または酸化物との反応は、−78〜200℃、好ましくは−10〜170℃の温度で行うのが望ましい。また、反応時間は概ね0.1〜48時間であり、効率的な反応を行うためには0.5〜24時間であることが望ましい。
【0028】
本発明の方法により製造されるオルガノシロキサンは通常複数種のオルガノシロキサンの混合物として得られるが、その生成比は反応温度、時間;ハロシランの種類、混合比、滴下時間、滴下方法、滴下温度;溶媒の有無、使用する場合の溶媒の種類、量;炭酸塩および/または酸化物の種類、粒径(固体の場合);反応時の攪拌方法等の条件の選択により、適宜変化させることができ、また、特定のオルガノシロキサンの生成比を高めることが可能である。
【0029】
本発明の製造方法を用いることにより、オルガノシロキサンを100%に近い収率で、しかも目的とするシロキサンを高選択率で得ることができ、反応の際に水をほとんど使用しない(実質的に無水条件で反応が行われる)のでハロゲン化水素ガス、ハロゲンガスの発生を伴うことなく、様々なオルガノシロキサンを製造することが可能となった。また、本発明は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または酸化物という安価な原料を用いて実施し得るので、経済的にも有利である。
【0030】
本発明の方法により製造されたオルガノシロキサンは工業的に有用であり、しかも分子中への反応性基の導入が容易である。反応性基を有するオルガノシロキサンは他の有機材料を変性することが可能であり、従来の有機材料に耐熱性、撥水性、気体透過性、吸水性等を付与することができる。
中でも、本発明により得られる環状ないし架橋オルガノシロキサンはシリコーンオイルの原料として特に有用である他、シリコーンゴム、シリコーンレジン等の原料としても適している。
【0031】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を利用するものであれば全て本発明の範囲に含まれる。
なお、以下の実施例および比較例において、生成物の構造は60MHzプロトン核磁気共鳴スペクトル(FTNMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)で確認した。生成物の生成割合はガスクロマトグラフィー(GC)による標準物質との比較法、蒸留による単離法により求めた。高分子量体の分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
【0032】
実施例1
機械的攪拌機、凝縮器、温度計、滴下ロート、温調装置を備えたガラス製の1リットルの5つ口フラスコ内を乾燥窒素で十分置換した後、該フラスコに炭酸カリウム80gおよびトルエン500gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により5℃に保ちながら、テトラクロロシラン17g(0.1モル)、ジメチルジクロロシラン1.3g(0.01モル)およびトリメチルクロロシラン1.1g(0.01モル)を5時間かけて滴下して添加した。滴下と共に気体が発生したが、該気体はGC−MSにより炭酸ガスであることが確認され、その発生量はマスフローメーターによる測定で9000mlであった。30℃で2時間攪拌した後、注水し、有機層を分液し、水洗、乾燥を行った。トルエンを留去すると、生成物5.9gが得られた。生成物の構造の確認をGPCにより行ったところ、数平均分子量13000の高分子オルガノシロキサンが98%、低分子シロキサンが2%生成していることが判明した。反応後の析出塩を分析したところ、塩化カリウムの生成が確認された。
【0033】
実施例2
実施例1と同様の反応器に炭酸カリウム160gおよびTHF300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、テトラクロロシラン54g(0.3モル)、メチルトリクロロシラン15g(0.1モル)およびトリメチルクロロシラン1.1g(0.01モル)を0.5時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行い生成物を得た。
この生成物を分析すると、低分子シロキサン0.5重量%および高分子シロキサン99.5重量%から構成されていた(GC−MSによる)。
【0034】
実施例3(参考例)
実施例1と同様の反応器に酸化ナトリウム(NaO)120gおよびトルエン500gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、テトラクロロシラン85.0g(0.5モル)、トリクロロシラン27.1g(0.2モル)およびトリメチルクロロシラン32.6g(0.3モル)を0.5時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行い生成物を得た。
この生成物を分析すると、低分子シロキサン13重量%および高分子シロキサン87重量%から構成されていた(GC−MSによる)。
【0035】
実施例4
実施例1と同様の反応器に炭酸リチウム100gおよびジオキサン400gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、ジメチルクロロシラン(a成分)47.3g(0.5モル)およびテトラクロロシラン(b成分)17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、生成物はa4 b五量体が92%、aa二量体が5%、そして高分子シロキサンが3%の比率で構成されていた。
【0036】
実施例5(参考例)
実施例1と同様の反応器に酸化リチウム(Li2O)80gおよびジエチルエーテル300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、メチルジクロロシラン11.5g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、低分子環状シロキサンが15%と高分子シロキサンが85%の収率で得られた。
【0037】
実施例6
実施例1と同様の反応器に炭酸リチウム40g、酸化ナトリウム(NaO)20g、炭酸カルシウム50gおよびメタノール300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、ジメチルジクロロシラン12.9g(0.1モル)、トリクロロシラン13.6g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、低分子環状シロキサンが8%と高分子シロキサンが85%の収率で得られた。
【0038】
実施例7
実施例1と同様の反応器に炭酸ナトリウム100g、炭酸カリウム20gおよびジn−ブチルエーテル500gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、トリクロロシラン13.6g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、高分子シロキサンが100%の収率で得られた。
【0039】
実施例8
実施例1と同様の反応器に酸化ナトリウム40g、炭酸ナトリウムカリウム100gおよび塩化メチレン300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により5℃に保ちながら、ジフェニルメチルクロロシラン23.3g(0.1モル)、フェニルジクロロシラン17.7g(0.1モル)、フェニルトリクロロシラン21.2g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、低分子シロキサンが38%と高分子シロキサンが62%の収率で得られた。
【0040】
実施例9
実施例1と同様の反応器に炭酸カルシウム40g、酸化リチウム(Li2 O)30gおよびTHF300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により80℃に保ちながら、ジフェニルオクチルクロロシラン33.1g(0.1モル)、ビニルジクロロシラン9.2g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、低分子シロキサンが25%と高分子シロキサンが75%の収率で得られた。
【0041】
実施例10
実施例1と同様の反応器に炭酸ナトリウム120gおよびトルエン300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、ジメチルビニルクロロシラン12.1g(0.1モル)、ビニルトリクロロシラン16.2g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、低分子シロキサンが5%と高分子シロキサンが95%の収率で得られた。
【0042】
実施例11
実施例1と同様の反応器に炭酸カリウム80gおよびトルエン300gを加えた。フラスコ内の温度を温調装置により40℃に保ちながら、テトラクロロシラン17.0g(0.1モル)を3時間かけて滴下して添加した。次いで実施例1と同様に反応および後処理を行ったところ、高分子シロキサンが100%の収率で得られた。
【0043】
比較例
機械的攪拌機、凝縮器、温度計、滴下ロート、温調装置を備えたガラス製の1リットルの5つ口フラスコ内を乾燥窒素で十分置換した後、トリクロロシラン13.6g(0.1モル)およびテトラクロロシラン17g(0.1モル)およびトルエン500gを加えた。窒素気流下、35重量%塩酸15gを30分かけて滴下して添加した。滴下中はフラスコの温度を温調装置により30℃に保持した。滴下と共に気体が発生し、GC−MSにより塩化水素ガスであることが確認され、その発生量はマスフローメーターから発生した塩酸を計算すると14000mlであった。30℃で1時間攪拌した後、注水し、有機層を分液し、水洗、乾燥を行った。トルエンを留去すると、生成物7.8g(収率69%)が得られた。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明はテトラハロシランと任意成分であるモノハロシランおよび/またはジハロシランおよび/またはトリハロシランを出発物質として加水分解やアミン類の添加なしに生成物にケイ素−酸素結合〔Si(−O−)4 〕を生成させることを可能としたものである。また、本発明によれば、テトラハロシランおよび所望によりモノハロシラン、ジハロシランおよび/またはトリハロシラン、並びに金属の炭酸塩および/または酸化物という非常に安価な原材料から、高純度および高収率で選択的にオルガノシロキサン、特に環状ないしはその架橋オルガノシロキサンを製造することができる。さらに、本発明は反応の際に水を必要としないため、ハロゲン化水素等の発生がなく、より簡便な製造設備を用いて上記オルガノシロキサンを製造することができ、工業的に非常に有利な製造方法である。しかも、本発明の方法によれば、反応後に食塩等の金属ハロゲン化物が副生するのみで、硫黄物質や窒素物質等の有害物質を生成することなく安全に上記オルガノシロキサンを製造することができる。
本発明の方法により製造されるオルガノシロキサンは分子中への反応性基の導入が容易である。反応性基を有するオルガノシロキサンは他の有機材料を変性することが可能であり、従来の有機材料に耐熱性、撥水性、気体透過性、吸水性等を付与することが可能であるため、有機材料の変性剤や改質剤等として好適に使用できる。中でも、本発明の方法により製造される環状ないし架橋オルガノシロキサンは、上記したように触媒毒として作用する硫黄化合物や窒素化合物等を全く含有しないため、シリコーンオイル等の原料として、特に反応性シリコーンオイル等の原料として好適である。
さらに、本発明では、特定の炭酸塩および/または酸化物を選択して使用することにより、上記した本発明の種々の効果をより一層向上させることができる。
Claims (2)
- 次式A:SiX4
(式中、Xは互いに独立してハロゲン原子を表す)で表されるテトラハロシランと
次式B:Hn’R’3−n’SiX’
(式中、n’は0、1、2または3を表し、R’は有機基を表すが、複数個のR’が存在する場合、それらは同じであっても、異なっていてもよく、そしてX’はハロゲン原子を表す)で表されるモノハロシラン、
次式C:Hn”R”2−n”SiX”2
(式中、n”は0、1または2を表し、R”は有機基を表すが、2個のR”が存在する場合、それらは同じであっても、異なっていてもよく、そしてX”は互いに独立してハロゲン原子を表す)で表されるジハロシランおよび
次式D:Hn”’R”’1−n”’SiX”’3
(式中、n”’は0または1を表し、R”’は有機基を表し、そしてX”’は互いに独立してハロゲン原子を表す)で表されるトリハロシランからなる群から選択されるハロシランのうち、Aから選ばれるテトラハロシランを必須成分とし、A、B、CおよびDのハロシランのうち少なくとも1種を炭酸塩と、水またはアミン類の非存在下に、直接反応させることによりオルガノシロキサンを製造する方法。 - 炭酸塩として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸フランシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムおよび炭酸ラジウムからなる群から選択される少なくとも1種が使用されることを特徴とする請求項1記載のオルガノシロキサンを製造する方法。
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