JP4556304B2 - 電磁クラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転動力の伝達および遮断を行う電磁クラッチに関し、例えばカーエアコンの圧縮機作動の断続のために用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーエアコンの圧縮機用電磁クラッチでは、エンジン等の駆動源により回転駆動されるロータと、このロータに対して所定の微小間隙を隔てて対向配置されたアーマチュアとを備えており、そして、このアーマチュアを圧縮機側の回転軸に連結するハブ構造は、次の2つのタイプに大別される。
【0003】
すなわち、その1つは、板バネタイプのハブ構造であって、板バネの一端部を圧縮機側の回転軸に連結されたインナーハブに連結し、板バネの他端部をアーマチュアに連結する構造である。他の1つは、ゴムタイプのハブ構造であって、円筒状のゴム材からなる弾性部材の内周側を圧縮機側の回転軸に連結されたインナーハブに連結し、弾性部材の外周側を円筒状の保持部を持つ保持プレートを介してアーマチュアに連結する構造である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前者の板バネタイプのものでは、板バネ材として安価な鉄系材料を使用できるとともに、板バネ材の連結部にリベット結合等の簡便な連結手段を使用できるので、製造コストを低減できるとともに、板厚の小さい板バネ材を使用できるので、電磁クラッチの軸方向寸法を短縮できるという利点を有している。
しかし、その反面、アーマチュアからハブに至る動力伝達系に振動(衝撃)やトルク変動の減衰機構を持たないため、クラッチ作動音やクラッチの捩じり共振の減衰効果を期待できない。
【0005】
また、圧縮機の回転軸が何らかの原因でロックした場合には、アーマチュアが回転不能となり、このアーマチュアに対してロータが滑って回転することになるが、板バネタイプのものでは、トルクリミッタ機能(ヒューズ機能)を発揮できないので、過負荷運転が長時間継続されて、エンジン動力伝達用のベルト切れ、あるいは、ロータの滑りに基づく摩擦面温度の異常上昇が長時間継続され、種々な弊害を引き起こす恐れがあった。
【0006】
一方、後者のゴムタイプのものでは、ゴムからなる弾性部材の減衰効果を発揮できるので、板バネタイプに比してクラッチ作動音やクラッチの捩じり共振を低減できる。また、圧縮機の回転軸が何らかの原因でロックした場合には、ロータとアーマチュアとの間の摩擦面での発熱により弾性部材が温度上昇して溶断するので、アーマチュアとハブとの間の動力伝達を遮断できる。そのため、摩擦面での発熱を停止して過負荷時に動力伝達を遮断するトルクリミッタ機能(ヒューズ機能)を果たすことができるという利点を有している。
【0007】
しかし、ゴムタイプのものでは、アーマチュアをロータ摩擦面から開離する方向に戻すためのバネ力を発生する役割を弾性部材が兼ねているため、弾性部材の円筒形状の軸方向寸法を板バネ材に比してはるかに大きい寸法に設定する必要があり、その結果、クラッチ軸方向寸法が大きくなってしまうという不具合がある。
【0008】
なお、実開昭61−194831号公報には、アーマチュアの反ロータ側(反摩擦面側)の面に板状の弾性部材および剛性プレートを配置し、これらの三者(アーマチュア、板状の弾性部材および剛性プレート)を相互に接着固定し、この剛性プレートを複数枚の板バネを介してインナーハブに連結し、板状の弾性部材の制振作用によりアーマチュア吸着時の作動音を低減するようにした電磁クラッチが記載されている。
【0009】
しかし、この従来技術では板状弾性部材の一面を保持する剛性プレートを、複数枚の独立した板バネを用いてインナーハブに連結しているので、部品点数が増えて製品コストが高くなるという不具合がある。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、板バネタイプとゴムタイプの長所を併せ備えるとともに、構成の簡潔な電磁クラッチを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、円板状のバネ板部材(61)の内周側に、従動側機器(7)の回転軸(8)側に連結される従動側連結部(61a)を一体に形成し、円板状のバネ板部材(61)の外周側に、アーマチュア(5)に対向する外周リング部(61f)を一体に形成し、円板状のバネ板部材(61)のうち、従動側連結部(61a)と外周リング部(61f)との間に、アーマチュア(5)を駆動側回転部材(4)から開離する方向のバネ力を発生する複数の板バネ部(61b)を半径方向に延びるように一体に形成し、アーマチュア(5)と外周リング部(61f)との間を弾性部材(63)により直接連結し、
さらに、複数の板バネ部(61b)相互の中間部に、外周リング部(61f)の面積を拡大する幅広部(61g)を有し、幅広部(61g)はその内周側の少なくとも一部がアーマチュア(5)の内周面より内側へ延びていることを特徴としている。
【0012】
これによると、アーマチュア(5)とバネ板部材(61)の外周リング部(61f)との間に弾性部材(63)を介在しているので、クラッチオン時に、アーマチュア(5)が駆動側回転部材(4)に吸着されるときの衝撃を弾性部材(63)の振動減衰作用により緩和できる。同様に、従動側機器(7)の駆動トルク変動に起因する捩じれ共振も弾性部材(63)の振動減衰作用により緩和できる。これらの弾性部材(63)の振動減衰作用により電磁クラッチ(1)および従動側機器(7)の作動騒音を効果的に低減できる。
また、複数の板バネ部(61b)相互の中間部に位置する幅広部(61g)により外周リング部(61f)と弾性部材(63)との固着面積を拡大でき、その結果、クラッチのねじり耐久性を向上できる。
【0013】
しかも、クラッチオフ時のアーマチュア(5)の軸方向復帰動作は板バネ部(61b)のバネ力により行うことができるから、弾性部材(63)にアーマチュア(5)の軸方向復帰動作のためのバネ作用を兼務させる必要がない。そのため、弾性部材(63)の形状をアーマチュア(5)とバネ板部材(61)の半径方向に沿った板状の形状にすることができ、弾性部材(63)の軸方向寸法(板厚)を従来の円筒状弾性部材に比してはるかに小さくできるので、従来のゴムタイプの電磁クラッチに比して軸方向寸法を短縮できる。
【0014】
また、何らかの原因で従動側機器(7)のロック現象が発生した際には、駆動側回転部材(4)とアーマチュア(5)との間の摩擦面の発熱により弾性部材(63)を溶断できるので、この弾性部材(63)の溶断によりトルリミッター機能を発揮できる。よって、従動側機器(7)のロック現象による過負荷状態を解除して、過負荷状態の長時間継続によるベルト切れや異常な温度上昇といった不具合の発生を未然に抑制できる。
【0015】
さらに、アーマチュア(5)とバネ板部材(61)の外周リング部(61f)との間を弾性部材(63)により直接連結し、アーマチュア(5)を弾性部材(63)で直接支持するとともに、バネ板部材(61)に、従動側連結部(61a)、複数の板バネ部(61b)および外周リング部(61f)を一体に形成しているから、実開昭61−194831号公報に比して構成が大幅に簡潔であり、組み付けを容易化できる。
【0016】
しかも、複数の板バネ部(61b)をバネ板部材(61)の半径方向に延びるように形成しているから、複数の板バネ部(61b)相互が円周方向で複雑に入り組んだ形状とならず、複数の板バネ部(61b)を図2に例示するような半径方向に延びる単純な山形形状にすることができる。
【0017】
そのため、焼付接着等による弾性部材(63)の固着工程を容易に実施できるとともに、バネ板部材(61)の内周側の従動側連結部(61a)の形状も単純化でき、バネ板部材(61)の成形加工が容易となる。
【0018】
以上の結果、板バネタイプとゴムタイプの長所を併せ備える電磁クラッチを、簡潔な構成で、安価に提供することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明のように、具体的には、円板状のバネ板部材(61)に、複数の板バネ部(61b)の円周方向の両側を区画する切り欠き溝(61c)を形成し、この切り欠き溝(61c)を、隣接する板バネ部(61b)の円周方向の片側部に位置する溝部(61d)同士をつなぐ湾曲形状とするのがよい。
【0022】
請求項に記載の発明のように、具体的には、回転軸(8)に連結されるインナーハブ(60)を有し、このインナーハブ(60)に従動側連結部(61a)を連結する構成としてもよい。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す一実施形態について説明する。
【0025】
本実施形態は車両空調用冷凍サイクルの冷媒圧縮機に装着される電磁クラッチに本発明を適用した例を示す。図1はこの電磁クラッチの断面図で、図2はその要部であるハブ部分の正面図であり、図3はハブ部分の背面図であり、図4は図3のA−A断面図である。
【0026】
電磁クラッチ1は、ステータ2内に収容された電磁コイル3と、図示しない車両エンジンによって回転駆動されるロータ(駆動側回転部材)4と、電磁コイル3の発生する電磁力によってロータ4に吸着されるアーマチュア5と、このアーマチュア5に連結され、アーマチュア5と一体に回転するハブ(従動側回転部材)6とを備えている。
【0027】
このハブ6は冷媒圧縮機(従動側機器)7の回転軸8に連結され、冷媒圧縮機7に回転動力を伝える。
【0028】
ステータ2は鉄などの磁性体で断面コ字形に形成され、このステータ2内に電磁コイル3が収容され、そして、電磁コイル3はエポキシ等の絶縁樹脂部材によってステータ2内に電気絶縁してモールド固定されている。なお、ステータ2は、リング状の支持部材9を介して冷媒圧縮機7のハウジング10に固定される。
【0029】
ロータ4は、その外周部に多段式のVベルト(図示しない)が掛け渡されるプーリ4aを有し、Vベルトを介して伝達されたエンジンの回転動力によって回転する。ロータ4は、鉄などの磁性体で形成されており、ステータ2を微小隙間を介在して収容する断面コ字形に形成されている。また、ロータ4は、その内周にベアリング11を備え、このベアリング11によってロータ4は冷媒圧縮機7のハウジング10の円筒ボス部10aの外周面上に回転自在に支持される。
【0030】
アーマチュア5は、ロータ4の摩擦面に所定の微小間隙(例えば0.5mm程度)を隔てて対向配置されるもので、鉄などの磁性体でリング状に形成されている。本例のアーマチュア5は、図3に示すように内側リング部5aと外側リング部5bとの間に磁気遮断用の溝部5cを形成している。この溝部5cを円周方向に複数(図示の例では4個)に分割して、溝部5c相互間のブリッジ部(連結部)5dにより内側リング部5aと外側リング部5bとを一体に連結している。
【0031】
次に、ハブ6の詳細について説明すると、鉄系金属にて円筒状に形成されたインナーハブ60を有し、このインナーハブ60の円筒部内周面にはスプライン嵌合部60a(図4)が形成され、このスプライン嵌合部60aにて回転軸8に回転方向に一体に嵌合される。また、インナーハブ60の円筒部の軸方向の一端部(図1の左端部)から半径方向の外方へ延びる取付フランジ部60bを円周方向の3箇所(図3参照)に一体形成している。
【0032】
この3箇所の取付フランジ部60bにはバネ板部材61の内周部の従動側連結部61a(図2)が3本のリベット62により連結されている。このバネ板部材61は鉄系の金属バネ材により構成され、その全体形状は図2に示すように円板状に形成されている。
【0033】
また、インナーハブ60の円筒部の軸方向の一端部(図1の左端部)から半径方向の内方へリング状に突出するリング部60cが形成され、このリング部60cがボルト12により回転軸8の先端面に締め付け固定される。これにより、ハブ6を回転軸8に一体に連結することができる。
【0034】
バネ板部材61は、図2に示すように内周部の従動側連結部61a、より具体的には上記リベット62による連結部と、外周リング部61fとの間に半径方向延びる板バネ部61bが3箇所形成されている。従って、板バネ部61bの長手方向が半径方向に向くようになっている。
【0035】
この板バネ部61bの形成のために、板バネ部61bの円周方向の両側を区画する切欠き溝61cが形成してある。ここで、切欠き溝61cは湾曲形状であり、隣接する板バネ部61bの円周方向の片側に位置する溝部61dと、この溝部61d同士をつなぐ中間溝部61eとを有し、中間溝部61eが最も内周側に位置することにより湾曲形状をなしている。
【0036】
上記した3箇所の板バネ部61bの外周側の先端部は外周リング部61fに一体に連結されている。従って、バネ板部材61は、その内周部の従動側連結部61aから外周リング部61fに至る部分までが1つの円板形状として一体に繋がっている。
【0037】
ところで、本実施形態では、切欠き溝61cの中間溝部61eが図3に示すようにアーマチュア5の内周面より更に内側へ位置するように切欠き溝61cの湾曲形状を設定している。これにより、3個の板バネ部61b相互の中間部に、外周リング部61fの面積を拡大する幅広部61gを形成することができ、且つ、この幅広部61gの最内周部はアーマチュア5の内周面より内側まで延ばすことができる。
【0038】
次に、バネ板部材61とアーマチュア5は略同一の外径となっており、バネ板部材61とアーマチュア5との間には、これらを直接連結する弾性部材63が配置されている。
【0039】
この弾性部材63はゴム系弾性材からなるもので、図1、図4に示すようにアーマチュア5のリング形状に対応したリング状の板形状である。この弾性部材63は、所定の成形型内にて焼付接着(加硫接着)等の方法によりバネ板部材61とアーマチュア5の双方に一体に接着(固着)される。
【0040】
より具体的には、弾性部材63はアーマチュア5に対しては内側リング5aおよび外側リング5bに全面的に接着されるが、バネ板部材61に対しては、切欠き溝61cよりも外周寄りの部分すなわち、図5の細点部に示すごとく外周リング部61f、幅広部61gの部分のみに弾性部材63が焼付接着される。従って、バネ板部材61のうち、アーマチュア5の内側リング5aの内周面より外周側に位置する部分であっても、従動側連結部61a、板バネ部61bの部分には弾性部材63を焼付接着しない。これは、板バネ部61bの弾性変形が弾性部材63の接着により阻害されることを防止するためである。
【0041】
なお、焼付接着の工程において、従動側連結部61a、板バネ部61bへの接着材の塗布をマスキングする等の方法を採用することにより、従動側連結部61a、板バネ部61bへの弾性部材63の接着を容易に阻止することができる。
【0042】
また、弾性部材63に用いるゴム材質としては、車両の使用環境温度の広範な変化(−30°C〜120°C)に対してトルク伝達およびトルク変動吸収(振動減衰)の面で優れた特性を発揮するものが好ましく、具体的には、塩素化ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等を用いるとよい。
【0043】
なお、バネ板部材61の3個の穴61hは、上記焼付接着の工程を実施する際に、ピン(図示せず)を挿入してアーマチュア5に押し当てて、アーマチュア5を型内の所定位置に保持するためのものである。同様に、アーマチュア5の3箇所の穴5eは、上記焼付接着の工程を実施する際に、ピン(図示せず)を挿入してバネ板部材61に押し当てて、バネ板部材61を型内の所定位置に保持するためのものである。
【0044】
また、本実施形態では弾性部材63にアーマチュア5の内周面および外周面をそれぞれ被覆する薄膜状の被覆部63a,63bを一体に設けているので、この薄膜状の被覆部63a,63bに表面処理層と同等の表面保護作用を兼務させることができる。そのため、アーマチュア5への表面処理工程を不要にすることができる。
【0045】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明すると、電磁コイル3の通電停止時(クラッチオフ時)には、バネ板部材61の板バネ部61bのバネ力によってアーマチュア5がロータ4の摩擦面より所定間隔離れた位置に保持されている。
【0046】
このため、図示しない車両エンジンからの回転動力はVベルトを介してロータ4に伝達されるだけで、アーマチュア5およびハブ6へは伝達されない。従って、ロータ4のみがベアリング11上で空転するだけであり、圧縮機7は停止している。
【0047】
いま、電磁コイル3が通電されると、電磁コイル3の発生する電磁力によってアーマチュア5がバネ板部材61の板バネ部61bのバネ力に抗してロータ4に吸引され、アーマチュア5がロータ4に吸着される。すると、ロータ4の回転がアーマチュア5、弾性部材63、バネ板部材61、およびインナーハブ60を介して冷媒圧縮機7の回転軸8に伝達され、冷媒圧縮機7が作動する。
【0048】
そして、電磁コイル3への通電が遮断されると、電磁力の消滅によりアーマチュア5がバネ板部材61の板バネ部61bのバネ力により元の開離位置に復帰し、圧縮機7が停止状態に戻る。
【0049】
ところで、アーマチュア5とバネ板部材61の外周リング部61fとの間に弾性部材63を介在し、接着しているので、上記のクラッチオン時に、アーマチュア5がロータ4に吸着される過程において、アーマチュア5がロータ4の摩擦面に吸着されるときの衝撃、振動を弾性部材63の振動減衰作用により緩和できる。同様に、圧縮機7の駆動トルク変動に起因する捩じれ共振も弾性部材63の振動減衰作用により緩和できる。これらの弾性部材63の振動減衰作用により、電磁クラッチ1および冷媒圧縮機7の作動騒音を効果的に低減できる。
【0050】
しかも、クラッチオフ時のアーマチュア5の軸方向復帰動作はバネ板部材61の板バネ部61bのバネ力により行うことができるから、弾性部材63にアーマチュア5の軸方向復帰動作のためのバネ作用を兼務させる必要がない。そのため、弾性部材63の形状をアーマチュア5とバネ板部材61の外周リング部61fの半径方向に沿った薄い板状の形状にすることができ、弾性部材63の軸方向寸法(板厚)は例えば2mm程度にすることができ、従来の円筒状弾性部材の軸方向寸法(通常、10mm程度)に比して大幅に小さくできる。
【0051】
さらに、何らかの原因で圧縮機7のロック現象が発生した際には、圧縮機7の回転軸8に連結されたハブ6およびアーマチュア5が回転不能となり、そのため、ロータ4がアーマチュア5に対して滑りながら回転することになる。その結果、ロータ4とアーマチュア5との間の摩擦面が発熱し、弾性部材63の温度が上昇する。
【0052】
そして、弾性部材63の材質で決まる溶断温度まで温度が上昇すれば、弾性部材63が溶断して、アーマチュア5とバネ板部材61との連結状態が遮断される。従って、これ以後、ロータ4にアーマチュア5が吸着されたままとなり、ロータ4がアーマチュア5と一体に回転するとともに、アーマチュア5とバネ板部材61との間のトルク伝達が遮断されるので、圧縮機7のロック現象による過負荷状態が解除される。よって、この過負荷状態の長時間継続によるベルト切れや異常な温度上昇といった不具合の発生を未然に抑制できる。
【0053】
また、バネ板部材61の内周部の従動側連結部61aと外周リング部61fとの間に、複数の板バネ部61bを半径方向へ延びるように形成している。このため、複数の板バネ部61b相互の中間部に、外周リング部61fの面積を拡大する幅広部61gを形成することができる。
【0054】
これにより、バネ板部材61と弾性部材63との接着面積を拡大して、この両部材61、63間の接合強度を増加でき、クラッチのねじり耐久性を向上できる。なお、このねじり耐久性は、アーマチュア5とハブ6(バネ板部材61)との間に圧縮機最大トルクの印加と解放を所定の時間間隔で繰り返し、弾性部材63が破断してトルク伝達が不能となるまでの圧縮機最大トルクの印加回数で評価することができる。
【0055】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態においては、図3に示すようにアーマチュア5の内側リング部5aと外側リング部5bとの間を、円弧状の複数の磁気遮断溝5c相互間のブリッジ部(連結部)5dにより一体に連結する構成として、アーマチュア5の全体を一体部品としているが、アーマチュア5の内側リング部5aと外側リング部5bとをそれぞれ別体で成形するとともに、内側リング部5aと外側リング部5bとの間に磁気遮断溝5cを配置し、内側リング部5aと外側リング部5bを弾性部材63を介してバネ板部材61に一体に接着する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電磁クラッチの縦断面図である。
【図2】図1の電磁クラッチにおけるハブの正面図である。
【図3】図2のハブの背面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図2において弾性部材の接着範囲を細点部で示す、ハブの正面図である。
【符号の説明】
3…電磁コイル、4…ロータ(駆動側回転部材)、5…アーマチュア、
6…ハブ(駆動側回転部材)、7…圧縮機(従動側機器)、8…回転軸、
60…インナーハブ、61…バネ板部材、61a…従動側連結部、
61b…板バネ部、61c…切り欠き溝、61d…溝部、
61f…外周リング部、61g…幅広部。

Claims (3)

  1. 通電によって電磁力を発生する電磁コイル(3)と、
    駆動源により回転駆動される駆動側回転部材(4)と、
    前記電磁コイル(3)の発生する電磁力によって前記駆動側回転部材(4)に吸着され、前記駆動側回転部材(4)の回転を受けるアーマチュア(5)と、
    従動側機器(7)の回転軸(8)側に連結される円板状のバネ板部材(61)とを備え、
    前記円板状のバネ板部材(61)の内周側に、前記回転軸(8)側に連結される従動側連結部(61a)を一体に形成し、前記円板状のバネ板部材(61)の外周側に、前記アーマチュア(5)に対向する外周リング部(61f)を一体に形成し、
    前記円板状のバネ板部材(61)のうち、前記従動側連結部(61a)と前記外周リング部(61f)との間に、前記アーマチュア(5)を前記駆動側回転部材(4)から開離する方向のバネ力を発生する複数の板バネ部(61b)を半径方向に延びるように一体に形成し、
    前記アーマチュア(5)と前記外周リング部(61f)との間を弾性部材(63)により直接連結し、
    さらに、前記複数の板バネ部(61b)相互の中間部に、前記外周リング部(61f)の面積を拡大する幅広部(61g)を有し、
    前記幅広部(61g)はその内周側の少なくとも一部が前記アーマチュア(5)の内周面より内側へ延びていることを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 前記円板状のバネ板部材(61)に、前記複数の板バネ部(61b)の円周方向の両側を区画する切り欠き溝(61c)を形成し、前記切り欠き溝(61c)は、隣接する前記板バネ部(61b)の円周方向の片側部に位置する溝部(61d)同士をつなぐ湾曲形状であることを特徴とする請求項1に記載の電磁クラッチ。
  3. 前記回転軸(8)に連結されるインナーハブ(60)を有し、前記インナーハブ(60)に前記従動側連結部(61a)を連結したことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁クラッチ。
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