JP4555294B2 - 固体試料の核磁気共鳴測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、受信コイルを用いて、静磁場の中に設置された固体試料の核スピンを励起し、当該励起された核スピンからのFID(Free Induction Decay)信号を受信し、このFID信号を周波数変換処理することにより、IR(Inversion Recovery)−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルを得る固体試料の核磁気共鳴測定方法に関するものである。
近年、固体試料の物理的測定手段として、近赤外分光(NIR)法、粉末X線回折法、固体CMR法などが用いられている。しかしこれらの測定方法は、リファレンスがないと定量できない、検出限界が高い、信号強度が結晶サイズに依存する、非晶質のような特定の結晶形を検出できない、などの問題がある。
一方、溶液に溶けている試料の測定手段としてプロトンNMR(PMR)法が広く用いられている。
プロトンは天然存在比が高く、他の元素との比較では、検出感度が高く、分析に用いるには有利なものである。
PMR法は、静磁場に置かれたプロトンに対し、RF磁場を照射し、そのRF磁場に共鳴したプロトンのエネルギー変化を電気信号として記録するものである。
プロトン核磁気共鳴の原理は次のとおりである。
原子核は微小磁石(スピン磁気モーメント)を持っている。磁場のない環境におかれた、プロトンのスピン磁気モーメントはランダムな方向を向いている。それが、静磁場(+Z方向)に置かれると、磁気モーメントは、磁場の軸H0に対し、少し傾斜した角度で、ラモアの歳差運動を始める。その角速度ω0は、磁場強度H0に比例するものである。
ω0=(γ/2π)H0
ちなみに、γは磁気回転比と呼ばれ、核種に固有の定数である。回転の位相はバラバラであり、上下円錐状で一様に分布している。
磁場の中では、上方向にある群が過剰にあり、それらの合成ベクトルMは、+Z方向を向く。これらが、NMR現象の対象となるスピン群である。
NMR信号を得るには、歳差運動と同じ角速度のラジオ波をX軸から照射する。
こうすれば、スピン群はラジオ波のエネルギーを吸収し、MxとMyのベクトル成分を惹起する。そのうちのMy成分をy方向においた受信コイルで検出すれば、NMR信号が得られる。
ラジオ波がパルスであった場合には、90°パルスとか、180°パルスの照射という。この90°、180°といった傾斜角度の値は、スピンが+Z方向からの傾斜する角度で規定したものである。傾斜角度は、パルスの幅(μsec)とパルスの強度で変えられる。
受信コイルで検出される電流は、FID(Free Induction Decay)と呼ばれるものであるが、その強度は照射パルスが切れた時点で最大となり、時間とともに減衰する。
緩和過程の磁気モーメントMの軌道は、90°パルスの照射時に検出コイルに惹起される電流強度を記録してみるもので、この測定法はIR法(Inversion Recovery)と呼ばれる。
特によく用いられるのが、(180°−τ−90°)nのパルス系列を用いて測定するもので、化合物の物性研究や医療分野のMRIにも利用されている。
この(180°−τ−90°)nのパルス系列を用いたIR法を解説する。
定常状態におけるプロトンスピンの磁気モーメントの方向は、Z方向に並んでいる。従ってそれらの合成ベクトルは+Zoにある。ここに、180°パルスを照射すると、プロトンスピンの向きは180°反転し、−Z0方向を向く。
この状態を記録するのに、180°パルスを照射が終わってから、τsec後に90°パルスを照射する。180°パルス照射直後であれば、ベクトルは180°+90°の位置(270°)になるので、NMR信号は最大のマイナス信号となる。
前記(180°−τ−90°)nのパルス系列をτの値を変えて複数回照射し、τに対して、前記NMR信号の変化を記録すると、次式で描かれるような、1個のプロトンに由来する縦緩和曲線が得られる。
信号強度y =[1−2exp(-τ/T1)]
この式において、T1は、核スピンが−Z0方向になったものが、はじめの+Z0方向に戻る時間であり、これをスピン−格子緩和時間又は縦緩和時間(T1)という。
図7は、この縦緩和曲線をグラフ化したものである。
縦緩和曲線の値は、0.693T1(sec)後にはゼロの信号強度になりところまで回復し、5T1(sec)後には、ほぼ飽和状態になる。
前記T1の値は、プロトン環境に固有の値を与えるので、分子の認識に使うことが可能となる。例えば前記T1の値は、粉末においては、分子間距離を反映し、分子構造の違いを示す情報として用いることができる。
なお、前記NMR信号を受信する過程において、90度パルスが照射し終わった直後に、コイルに誘起される電流は、横緩和の進行とともに消失する。これを記録したものが、FID(Free Induction Decay)信号で、横軸が時間の、タイムドメインのスペクトル信号である。FID信号は、exp(−/T2)で減衰するが、このT2は横緩和時間といい、これもプロトンのおかれた環境で変わるもので、化学的には、重要な情報のひとつである。
このFID信号をフーリエ変換することで、横軸が周波数ドメインのいわゆるNMRスペクトルを検出できるようにできる。
Journal of American Chemical Society 121, 11554-11557 (1999) Australian Journal of Soil Research 38, 665-683 (2000) Solid State Nuclear Magnetic Resonance 15, 239-248(2000) Journal of Chemometrics 13, 95-110 (1999)
ところで、以上に述べたIR−NMR法は、固体試料の測定に適していないと言うのが常識であった。
従来のIR−NMR法では、FID信号のスペクトル信号は、固体試料に含まれている水分子のプロトンの影響を受けて、他の必要とするプロトンの信号がはっきりと現れない。
これは、固体試料の中では、結晶分子のいろいろな部位にあるプロトンが、それぞれ異なった横緩和時間T2を持つ。したがって、FID信号の中には、複数の横緩和時間T2を持った信号が混ざっているからであると考えられる。
したがって、これをIR法で調べても、横緩和時間T2 が混じり合って平均化されたFID信号しか得られない。
そこで本発明は、NMR信号の受信コイルの中にセルを設置し、当該セルに固体試料を挿入し、IR−NMRスペクトルを測定する場合に、分子内の特定プロトンを選択的に測定することのできる固体試料の核磁気共鳴測定方法を提供することを目的とする。
また、本発明者は、ある範囲の横緩和時間T2 のNMR信号のみをFID信号として取り込むことができれば、特定の部位のプロトンの情報を得ることができることに注目した。
したがって、測定する固体試料が、組成が同じでも結晶構造(アモルファスを含む)の違う物質(結晶多形という)の混合物からなる場合に、前記プロトンの情報にもとづいて、その成分比率などを特定することができる。
そこで本発明は、IR−NMRスペクトルを解析することにより、特定の部位のプロトンの情報を得て、固体試料中に存在する結晶多形や非結晶性成分等の構成成分の存在比を測定することができる固体試料の核磁気共鳴測定方法を提供することを目的とする。
本発明の固体試料の核磁気共鳴測定方法は、磁場中のセルの中に挿入された固体試料に対して、核スピン励起用のパルスを印加し、時間τをあけて読み取り用のパルスを印加し、FID信号読み取り用のパルスの印加終了後、受信遅延時間DdをおいてFID信号の積算を開始する方法である。
前記励起用のパルスには180度パルスがよく使われ、前記読み取り用のパルスには90度パルスがよく使われる。しかし、本発明は、180度や90度といった数値に限定されるものではないのはもちろんである。
プロトン緩和時間の測定には、励起用−τ−読み取り用のパルスを用いる。最初の励起用のパルスは、プロトンのエネルギー状態を高エネルギー状態にする。その後、プロトンのエネルギーレベルは低下して、NMR信号は、マイナス信号からプラス信号へと次第に変化する。最終的には定常状態に戻る。定常状態に戻る様子を観測するのに、励起用パルスの印加終了後 時間τをあけて読み取り用パルスを照射して観測する。
読み取り用パルスの印加終了後、受信遅延時間DdをおかないでFID信号の積算を開始すると、次のような問題がある。固体試料の中の複数の環境の中にある各プロトンからのFID信号のうち、信号強度の強い部分を拾ってしまい、これらの信号が混じりあって、測定したい環境の中にあるプロトンからのFID信号を取り出すことが難しくなる。
そこで、本発明では、受信遅延時間Ddが経過した後、FID信号の積算を開始する。これにより、固体試料の中の複数の環境の中にある各プロトンからのFID信号のうち、時間的な減衰率の速いものは、受信遅延時間Ddが経過する間にほとんど消滅してしまい、測定したい環境の中にあるプロトンからのFID信号を、他のプロトンからのFID信号から選択して取り出すことが容易になる。
受信遅延時間Ddは、1から20μsecの範囲内に設定することが望ましく、特に5から20μsecの範囲内に設定することが望ましい。20μsecくらい経過すれば、ほとんどのプロトンのFID信号は消滅してしまうので、受信遅延時間Ddをこれ以上長くする意味はない。
受信遅延時間Ddは、さらに、10から15μsecの範囲内に設定することがより望ましい。
また、試料及びチャンバの中に存在する水、外部から浸入する自由水を捕捉するための水分子トラップ機構をセル内又はその近くに設置することが望ましい。これは、測定試料における非晶質成分は、多くの場合吸湿度が高いので、水分の少ない密封系での測定が好ましいからである。水に由来するプロトンからのFID信号を少なくして、水に由来しないプロトンからのFID信号を感度よく受信することができる。
以上のように本発明によれば、測定したい環境の中にあるプロトンからのFID信号を、他のプロトンからのFID信号から選択して取り出すことができ、このスペクトル波形の解析により、固体試料の結晶多形の解析が容易に行える。
また、本発明の固体試料の核磁気共鳴測定方法は、前記時間τを変えて複数のFID信号を取得し、これらの複数のFID信号に基づいてそれぞれIR−NMRスペクトルを算出し、前記IR−NMRスペクトルのある特定の周波数において、時間τに対してスペクトル強度をプロットすることにより縦緩和曲線を得、その縦緩和曲線を、縦緩和時間の異なる複数の縦緩和曲線の和とみなして回帰分析することにより、前記固体試料の各成分物質の構成成分比を推定する方法である。
本発明では、各構成成分の運動性を評価する値として、プロトンの縦緩和時間T1を使用することにより、測定する固体試料が、結晶多形の混合物からなる場合に、その成分比率などを特定することができる。
近赤外分光(NIR)法が非常に複雑な主成分を導き出して解析しているのに対し、本方法の解析対象は、縦緩和時間T1の値のみで表される数学的な曲線であり、その単純性はNIR法とは全く比較にならない。しかも、全くリファレンスがない状態であっても構成成分比を求めることができる。
これにより、高価な装置を必要としなくても、非晶質分子を含めた固体結晶多形を、高い精度で定量できるようになる。
本発明では、固体試料中の構成成分比を決定するのに、前記縦緩和曲線を例えば非線形最小二乗法により解析し、各成分に対する強度係数fを求める。構成成分比は、これらの強度係数fの比で表される。
また、前記固体試料中の構成成分比とともに、各構成成分の縦緩和時間も同時に求めることもできる。
核磁気共鳴測定方法において観測されたFID信号の磁化ベクトルの実際の動きは回転運動である。これを周波数スペクトルに変換するためには、観測方向からの第一観測点までの角度(0次フェーズ値、PhC0)と、第一観測点から第二観測点までの角度(1次フェーズ値、PhC1)が必要である。そこで、本発明では、0次フェーズとベースラインとを同時に調整することにより、正しい0次フェーズを見出し、フェーズ調整されたFID信号を得る。これをフーリエ変換することにより正しい周波数スペクトルを得ることができる。
得られた周波数スペクトルには、かなりのノイズを含んでいる場合がある。その場合、前記IR−NMRスペクトルに対し、デジタルスムージングフィルターを用いれば、ノイズが除去された周波数スペクトルを得ることができる。
また、前記FID信号を測定する段階において、あらかじめ時間軸に対してスムージング処理を行うこととしても、ノイズが除去された周波数スペクトルを得るのに有効である。
また、前記IR−NMRスペクトルのある特定の周波数において、時間τに対してスペクトル強度をプロットすることにより縦緩和曲線を得る場合に、前記「特定の周波数」におけるスペクトル強度の代わりに、特定の周波数区間におけるスペクトル強度の積分値を用いて縦緩和曲線を作成すれば、瞬時的なノイズの影響を受けない縦緩和曲線を得ることができるので、前記固体試料の各成分物質の構成成分比を正確に推定することができる。
本発明における上述の、又はさらに他の利点、特徴及び効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の固体試料の核磁気共鳴測定方法を実施する測定装置のシステム構成図である。 図2は、固体粉末である試料を設置するための試料管21を示す縦断面図である。 図3は、NMR測定チャンバ29の内部構造を示す図である。 図4(a)は、受信コイル7に供給される高周波信号の波形と、受信FID信号の波形とを示す図である。図4(b)は、観測された、フェーズ調整前のFID信号を示すグラフである。 図5(a)は、受信遅延時間Ddが0の場合の受信FID信号の周波数スペクトル波形である。図5(b)は、受信遅延時間Dd=14μsecの場合の受信FID信号の周波数スペクトル波形である。 図6は、アルギニン粉末の結晶多形分析を示す縦緩和時間のグラフである。 図7は、1個のプロトンに由来する縦緩和曲線を示すグラフである。
符号の説明
2 RF発生器
3 パルスプログラマー
4 RFゲート
5 RFパワー増幅器
6 T/Rスイッチ
7 受信コイル
8 RF−AMP
9 IF−AMP
10 位相検波器
11 DC−AMP
12 ローパスフィルター
13 A/D変換器
14 CPU
21 試料管
23 キャップ
24 樹脂チューブ
27 容器
28 コンデンサ
29 NMR測定チャンバ
30 同調回路基板
31 ターミナル部
図1は、本発明の固体試料の核磁気共鳴測定方法を実施するためのNMR測定装置のブロック図である。
NMR測定装置は、一定周波数(例えば300MHz)の連続高周波信号を発生するRF発生器2、90°,180°などの変調用のパルス信号を発生するパルスプログラマー3、RF発生器で発生した高周波信号にパルス変調をかけるRFゲート4、パルス変調された高周波信号を数十ワットまで増幅するRFパワー増幅器5を備えている。
RFパワー増幅器5で増幅された高周波パルス信号は、送信モードにおいてT/Rスイッチ6を通過し、受信コイル7に印加される。受信コイル7に印加された高周波パルス信号は、受信コイル7に挿入した試料に照射される。
前記高周波パルス信号の照射に起因して、試料のプロトンスピンのフリップにより受信コイル7に惹起されたRF電流は、受信モードにおいて、T/Rスイッチ6を通り、RF−AMP8,IF−AMP9を通り位相検波器10に入る。この受信信号がタイムドメインのFID信号である。
前記位相検波器10で位相検波されたFID信号は、可聴周波数帯の信号となり、DC−AMP11を通過後、ローパスフィルター12においてRF成分が除去され、A/D変換器13を通過後、タイムドメインのディジタル信号としてCPU14に入力され、所定のメモリに保存される。
CPU14のメモリに保存されたタイムドメインのディジタル信号は、CPU14においてフーリエ変換された後、周波数ドメインのいわゆるNMRスペクトル信号になる。
図2は、固体粉末である試料を設置するための試料管21を示す。試料管21は、厚肉のガラス管22と、その入り口を塞ぐための樹脂のキャップ23とからなる。前記樹脂には、例えば4フッ化エチレン樹脂を用いることができる。
前記試料管21に試料を入れるときは、ガラス管22に試料を挿入した後、ガラス管22の入り口をキャップ23で塞ぐ。キャップ23には、水分を通すための細い孔が空いている。この細い孔には、後述する脱水剤につながる樹脂チューブを接続する。
図3は、NMR測定チャンバ29の内部を示す図である。NMR測定チャンバ29は、空気や窒素のような気体で満たされ、磁場Hが測定チャンバ内を垂直に貫通している。
試料の入った試料管21は、NMR測定チャンバ29内に斜めに設置されている。試料管21にはめられたキャップ23には、樹脂チューブ24が挿入される。
温度が変化すると、縦緩和時間に影響があるため、試料管21は、一定温度を保つよう制御を行うとよい。また、比較したい全ての試料は同じ温度で測定する必要がある。
水分の影響を受けやすい試料の測定のために、NMR測定チャンバ29の上部には、乾燥剤の入った容器27が設置されている。試料管21の樹脂チューブ24の先は、この乾燥剤の入った容器27に接続されている。これにより、測定期間中の水和物の生成をなくすことができ、付着水の影響の少ないデータが得られる。なお、乾燥剤を用いないで、試料管21を密封してもよい。
試料管21は、ソレノイド状に巻かれた受信コイル7の中心部に試料がくるように設置される。受信コイル7のそれぞれの端子は、チャンバ29に取り付けられた同調回路基板30のコンデンサ28と、他のターミナル31とに接続されている。
図4(a)は、受信コイル7に供給される高周波信号の波形と、受信FID信号の波形とを示す図である。
受信コイル7には、まず180度パルス信号が供給され、これにより、試料内のプロトンのエネルギー状態が、いわゆる高エネルギー状態になり、磁気モーメントの方向は、一斉にマイナス方向に180度反転する。
次に、時間τだけ送信を停止する。エネルギーレベルは、このτ秒の間に縦緩和により低下する。
次に、プロトンの定常状態に戻る様子を観測するために、90度パルスを照射する。
90度パルスを照射した後、測定系を受信モードにし、受信コイル7に誘起された受信FID信号の波形を観測する。
本発明では、コンピュータは、受信モードに入ってから、受信遅延時間Ddを置いて、受信FID信号の蓄積を開始する。したがって、受信モードに入ってから、受信遅延時間Ddが経過するまでに収集される信号は蓄積の対象から除外される。受信遅延時間Ddは、測定中、固定される。
この受信遅延時間Ddは、短くしすぎると、周波数スペクトル中心付近にノイズが混入し、弱い信号が隠れることがある。このため、Ddを長く設定するとよい。あまりに長く設定した場合は信号強度自身が弱くなるので、適当な範囲(例えば5〜20μsec、好ましくは10〜15μsec)の中の値に設定する。これにより、スペクトル強度(シグナル)と不要な信号(ノイズ)の比が最大となるようする。
蓄積された受信FID信号は、コンピュータにおいてフーリエ変換され、周波数ドメインのNMR信号波形となる。このNMR信号波形を出力し、記録する。
なお、前記(180°−τ−90°)のパルス系列は、1つのτに対して1回だけ印加してもよく、n回繰り返してもよい。前者の場合、CPU14に入力されるタイムドメインのディジタル信号は、そのままフーリエ変換されるが、後者の場合、CPU14に入力されるタイムドメインのディジタル信号はn平均化された上で、フーリエ変換される。後者のほうが、測定時間がかかるが、受信FID信号の平均化により、平均からかけ離れた値を排除できる点で好ましい。
前記1回ないしn回(180°−τ−90°)のパルス系列の印加が終わると、τの値を変えた(180°−τ−90°)のパルス系列を、再度1回ないしn回印加する。このようにして、τの値を、0から縦緩和時間T1の5倍程度になるまで小刻みに変化させながら、(180°−τ−90°)のパルス系列を印加していく。
以上のプロセスにより、時間τを変数とする、受信FID信号波形が得られる。コンピュータは、この受信FID信号波形をフーリエ変換して、周波数スペクトル波形を得る。
ここで、好ましい信号処理方法について述べる。
前記得られたFID信号に対し、適当な強度を持ったExponentialやGaussian等のウィンドウ関数をかけてノイズ成分を除去した後、フーリエ変換を行ってもよい。
フーリエ変換により得られた周波数スペクトルは、ベースラインの歪みを伴う場合が多い。
観測されたFID信号は見かけ上、図4(b)に示すようなものであるが、これは磁化ベクトルの回転運動を一方向から観測したものであり、実際の動きは回転運動である。これをスペクトルに変換するためには、観測方向からの第一観測点までの角度(0次フェーズ値、PhC0)と、第一観測点から第二観測点までの角度(1次フェーズ値、PhC1)が必要である。これをフーリエ変換することにより正しい周波数スペクトルを得ることができる。
そこで、FID信号に対して、測定条件に固有な1次フェーズ値と、スペクトル両端の強度から粗く設定できる0次フェーズ値を用いて、仮のフェーズ調整をしておく。
ここで使用する、1次フェーズ値は、適切なデジタルフィルターを用いて測定したスペクトルを用いて、折り返しシグナルの影響が及んでいる範囲と及ばない範囲で、極端なスペクトル形状の変化が起こらなくなるように、フェーズを調整することで求めることができる。一度この値を設定すれば、測定条件(取り込み条件)を変化させない限り、同じ値を用いることができる。
1次フェーズ値とは異なり、0次フェーズ値は測定ごとに異なる値である。これは、一連の測定中においても、徐々にかつ連続的に変化する可能性がある。そこで、仮に1次、2次のフェーズが調整されたスペクトルに関して、精密な0次フェーズ調整を行う。
精密な0次フェーズ調整は、スペクトルの歪んだベースラインを求めることと同時に行う。フェーズが調整されたスペクトルの実数部分をr0、虚数部分をi0、現状から補正すべき0次フェーズ値をPhC0とした場合、真にフェーズ調整されたスペクトルの実数部分rは、
r = r0cos(PhC0)−i0sin(PhC0)
と表される。
歪んだベースラインとしては、取り込み開始直後の信号強度の不正確さに起因していると考えられるsinカーブのベースラインなどが適用できる。この場合ベースラインbaslは、周波数xに対し、
basl = A+Bsin(Cx+D)
と表される。なお、sinカーブは一例であり、状況に応じその他のベースライン関数も同様に利用することができる。
これら2つの値(r,basl)がスペクトルの外側の部分で最も良く一致するように、PhC0,A,B,C,Dの5つの係数を、最小二乗法を用いて求める。特定のベースラインパターンを見出すのが困難な試料の場合、代表的な周波数スペクトルの外側をベースラインパターンとみなして、その他の周波数スペクトルがこれと相似形となるようにフェーズ補正を行ってもかまわない。
こうして求められたPhC0の値は、ノイズの影響を受けて変動が見られるため、連続的な変化となるよう前後の値から推定して補正を行い、正しい0次フェーズ値とする。この値を用いてフェーズ補正を行い、各時間τに対応した周波数スペクトルを得る。
ベースライン用に求められた変数の値を用いてベースラインの補正を行えば、特定の双極子相互作用が存在する場合を除いては、パウダーパターン×ガウスパターンとみなすことができる周波数スペクトルが得られる。
しかし、ベースライン項は変数を多く使用するため、ノイズの影響を受けて誤差を生じやすい。また、ベースラインのオフセット量は全体のシグナル強度に比例するので、ベースライン補正を行わなくても、縦緩和曲線を解析した場合の結果に変化は見られない。
そこで誤差が大きくなる場合には、ベースライン補正を行わないで次のステップに進んで差支えがない。特定のベースラインパターンを見出すのが困難な試料の場合は、ベースライン補正を行うことができないが、同様にベースライン補正を行う必要性はない。
フェーズ等が補正された周波数スペクトルには、まだかなりのノイズを含んでいる場合がある。その場合、周波数スペクトルに対して適当なデジタルスムージングフィルターを適用し、ノイズを除去する。ここで用いることができるデジタルスムージングフィルターとしては、FFTやSavitzky-Golay、移動平均等が挙げられる。ここでFFTフィルターを用いる場合、時間軸スペクトル(FID信号)に対してスムージング処理を行ったに等しい。スムージング処理自体を時間軸スペクトルが得られた時点で行ってもかまわない。
得られた受信FID信号の周波数スペクトル波形の例を図5(a)、図5(b)に示す。
図5(a)、図5(b)は、IR−NMRの受信FID信号の周波数スペクトル波形において、受信遅延時間Ddが0の場合の周波数スペクトル波形と、受信遅延時間Ddを14μsecに設定した場合の周波数スペクトル波形との比較を示すグラフである。縦軸はスペクトル強度、横軸は水のプロトンの信号ピーク(4.5ppm)を基準にとった相対周波数(単位ppm)を示している。
図5(a)の4つの波形は、受信遅延時間Ddが0の場合の周波数スペクトル波形である。
図5(b)の4つの波形は、受信遅延時間Dd=14μsecの場合の周波数スペクトル波形である。
図5(a)及び図5(b)の一番左の波形は90度パルス信号のパルス幅PWが2μsecの場合、左から2番目の波形は90度パルス信号のパルス幅PWが5μsecの場合、左から3番目の波形は90度パルス信号のパルス幅PWが10μsecの場合、一番右の波形は90度パルス信号のパルス幅PWが13μsecの場合を示している。
パルス幅PWが13μsecの場合がプロトンスピンを90度回転させるパルス信号として最も機能しているので、以下、図5(a)及び図5(b)の一番右の波形に注目して説明をする。
図5(a)及び図5(b)の一番右の波形の中には、複数の波形が描かれているが、これらは、180度パルス信号をかけ終わってから、90度パルス信号をかけるまでの時間τの違いを表している。このグラフでは、時間τをほぼ0秒から70秒まで数十段階にとっている。
図5(a)では、どの時間τをとっても、水などの不要なプロトン以外のスペクトル波形が顕著に現れてこない。すなわち、ほとんどが0ppm付近の水のプロトンの信号となっている。しかし図5(b)では、水のプロトン以外の周波数でピークを持つスペクトル波形が、水のプロトンのNMRスペクトルの左右に現れている。
これらの、水のプロトンのNMRスペクトルの左及び右にそれぞれピークを持つスペクトルについて、横軸にτをとり、縦軸にスペクトル強度をプロットして縦緩和曲線を作成する。この選択されたプロトンの縦緩和曲線を、「選択縦緩和曲線」ということがある。
前記選択縦緩和曲線は、水のプロトンの縦緩和曲線とは異なった傾きを持つ曲線となり、水のプロトンの縦緩和曲線と区別できる。
この選択縦緩和曲線を記録して、それを回帰分析することにより、固体試料に含まれる複数種のプロトンの定量を行うことができる。
この方法は、(1)測定した個体試料が、結晶形の違う複数の成分物質の混合物である。(2)それぞれの成分物質のプロトンは、異なった縦緩和時間T1を持つ、と仮定する。
選択縦緩和曲線が、T1の異なる複数の縦緩和曲線の線形和からなると仮定して、回帰曲線を用いてフィッティングを行い、選択縦緩和曲線を構成する、複数の縦緩和曲線のT1の値と構成比率とを自動的に求めることができる。
以下、本発明の回帰分析手法を、さらに詳しく説明する。
得られた周波数スペクトルの特定の周波数に関し、可変待ち時間(τ)に対応した信号強度をプロットして、前記した選択縦緩和曲線を得る。
ここで「特定の周波数」としては、前述したように0ppm付近ではなく、ある程度強度が維持されていて、かつ水のシグナルや、その他のノイズの影響が少ない周波数を用いるのが望ましい。
また、特定の周波数における信号強度の代わりに、特定の周波数範囲の信号強度積分値を用いてもかまわない。この場合、ここでもスムージング処理が施されたとみなすことができる。
得られた選択縦緩和曲線を、それぞれのT1値を持った成分の和とみなして回帰分析を行うことにより、各構成成分の存在比を決定する。この際に使用する式は、
Figure 0004555294
T1 : 縦緩和時間
−H0 : 180度パルス印加直後の初期強度
f : 係数(信号強度比,各構成成分の存在比に等しい)
i:各構成成分を表す添え字
n:構成成分の総数
となる。
ここで、H0は理想的には2であるが、180度パルスの不正確さなどにより、実際にはやや小さな値となる。このまま解析をしてもかまわないが、最小二乗法の収束に時間がかかる。そこでf′=fH0/2とおき変形すると、
Figure 0004555294
となる。
ここで第2項は、時間τに依存しない定数項であるので、これを定数Cとおいて計算を行ってよい。
また、時間τを表すx軸は、図6に示したように、対数表示を用いるのが適当であるので、s=lnτとおき変形すると、
Figure 0004555294
となる。Siは、縦緩和時間T1iの対数値である。
Si=lnT1i
この式を用いて、最小二乗法による最適化を行い、各成分の縦緩和時間とその係数を求める。本来の係数fとH0の値は、f′とCとから求めることが可能である。実際にはH0の値は各成分においてほとんど差がないため、f′をもってfを代用してかまわない場合が多い。
各成分の縦緩和時間T1が十分に相違し、かつそれぞれの成分の存在量も十分にある場合は、1つの試料に対してのみ計算を行っても、ある程度の精度を持って各成分のT1値および存在比を求めることができる。
しかし、各成分の縦緩和時間T1が似通っている場合や、特定の成分が少ししか存在しない試料の場合は、誤差が大きくなってしまう。これを避けるためには、共通した成分を含む複数の試料に関して、非線形最小二乗法による解析を行う。こうすることで、各成分のT1値の精度を高めることができ、高精度に存在比を測定することが可能となる。
<実施例1>
本発明のIR−NMR法を用いて、アルギニン粉末に混在するアモルファスの定量性を評価した。
バリアン社製INOVA300型NMR測定装置で測定した。試料は、アルギニンを用いた。
図6は、アルギニン粉末の結晶多形分析を示す縦緩和時間のグラフである。縦軸は信号強度、横軸は180度パルスを印加終了後、90度パルスを印加開始するまでの時間τ(対数)を表す。aは無水アルギニン原粉末を碼碯鉢で粉砕した粉砕品のグラフ、bは粉砕品をアルギニン原粉末に70%添加した試料、cは粉砕品をアルギニン原粉末に50%添加した試料、dは粉砕品をアルギニン原粉末に20%添加した試料、eはアルギニン原粉末のグラフである。
各グラフは、これらの緩和時間の異なる成分のFID信号の和に基づいたものである。
これらの粉末試料には、アルギニン結晶、アルギニンアモルファス、アグリゲートの3種類が入っている。アルギニン結晶の縦緩和時間T1をT1a、アルギニンアモルファスの縦緩和時間T1をT1b、アグリゲートの縦緩和時間をT1cとする。信号強度Gtotalは、
Gtotal=a1GA+b1GB+c1GC
=fa{1−2exp( -τ/T1a)}
+fb{1−2exp( -τ/T1b)}
+fc{1−2exp( -τ/T1c)}
と表すことができる。 fa,fb,fcは構成成分比率である。
複数のτについて測定すれば、この式が複数できる。T1a,T1b,T1c ,fa,fb, fcを未知数とする連立方程式ができるので、この連立方程式を解いて、T1a,T1b,T1c,fa,fb,fcを求めることができる。なお、測定ポイントを多くすればするほど、非線形最小二乗法、最尤推定法などの統計的手法が使えるので、精度が上がるのはいうまでもない。
図6のグラフに基づいて統計的解析を使って連立方程式を解いた結果、
T1a =28.02秒,
T1b =12.01秒,
T1c =3.99秒,
という値が求まった。
また、構成成分比率は、アルギニン原粉末を碼碯鉢で粉砕した粉砕品の場合、
fa=17.80%,
fb=64.46%,
fc=17.73%
粉砕品をアルギニン原粉末に70%添加した試料では、
fa=41.01%,
fb=46.19%,
fc=12.80%
粉砕品をアルギニン原粉末に50%添加した試料では、
fa=57.52%,
fb=32.42%,
fc=10.06%
粉砕品をアルギニン原粉末に20%添加した試料では、
fa=79.94%,
fb=15.82%,
fc=10.06%
アルギニン原粉末では、
fa=97.10%,
fb=2.55%,
fc=0.35%
がそれぞれ求まった。
以上のように、本発明の固体試料の核磁気共鳴測定方法に基づいて、同一組成の化合物でも、結晶形の違う複数種の混合物に対して、複数曲線に分解してフィッティングを行うことにより、各結晶形に由来する信号を与える、選択されたプロトンの縦緩和時間と、構成成分比をそれぞれ求めることができる。
<実施例2>
(1)測定用試料の調製
試料として、インドメタシンを用いた。インドメタシンは和光純薬工業試薬生化学用を購入した。これに基づき、以下の7通りの方法で試料を作製した。
・試料1(MeCN再結晶; MeCN)
インドメタシン2gをMeCN(アセトニトリル)(50ml)に加温しながら溶解させた。溶け残った結晶をろ過して除き、ろ液を室温で静置した。1日後、析出した結晶をろ取し、MeCNで洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料2(Et2O再結晶; Et2O)
インドメタシン1gをEt2O(ジエチルエーテル)(50ml)にやや加温しながら溶解させた。溶け残った結晶をろ過して除き、ろ液を室温で静置した。3日後、析出した結晶をろ取し、Et2Oで洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料3(EtOH-水 再結晶熟成なし; 0h)
インドメタシン2gをEtOH(エタノール)(50ml)にやや加温しながら溶解させた。この溶液に、攪拌しながら水を徐々に加えていった。結晶が析出しはじめたところで、水を加えるのを止めた。すぐに大量の結晶が析出し、系内は攪拌不可能な状態となった。ここですぐに、析出した結晶をろ取し、50%EtOHで洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料4(EtOH-水 再結晶18時間熟成; 18h)
試料3と同様に結晶を析出させた。攪拌不可能な状態となったものを、そのままマグネティックスターラーで攪拌を続けた。最初は攪拌不可能な状態であったが、徐々に攪拌可能な状態に変化した。18時間室温で攪拌した後、結晶をろ取し、50%EtOHで洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料5(0M)
試料3で得られた結晶の一部をメノウの乳鉢で粉砕して、粉砕品を得た。
・試料6(18M)
試料4で得られた結晶の一部をメノウの乳鉢で粉砕して、粉砕品を得た。
・試料7(R)
購入した試薬をそのまま用いた。
(2)測定
これら7個の試料を、5mmφNMRチューブに高さが25-35mm程度になるよう入れ、脱水剤として五酸化二燐(P2O5)を共存させた減圧デシケーター中に1時間以上入れて乾燥させた。これらは測定直前にデシケーターから取り出し、直ちに密栓して測定用試料として使用した。
測定は、Bruker社製DPX-300スペクトロメーター/5mmφCHデュアルプローブ/SADC+A/Dコンバーター/XWIN-NMRソフトウェアを用いて行った。
試料と同じ高さまでCDCl3を入れた他のNMRチューブを用いてシムを調整した後、目的の試料をプローブにセットした。SWEEP OFF、SPIN OFF、LOCK OFFのまま測定を行った。温度コントローラーにより試料温度を23℃に調整した。Bruker社より標準で提供されているt1irパルスプログラムを用い、以下のパラメーター値で測定を行い、時間軸スペクトル(FID信号)を得た。
D1(Relaxation delay) : 90sec
P1=pw(90° pulse) : 8.45μs
P2=pl(180° pulse) : 16.9μs
DE=Dd(受信遅延時間) : 16μs
DE1(送信コイルを閉じてから受信コイルを開くまでの遅延時間) : 3μs
O1(観測中心周波数) : 2.54ppm
NS(積算回数) : 8
DS(ダミースキャン) : 2
SW(観測幅): 497.314ppm
DigMod(デジタイザモード) : Analog
ParMod(パラメータモード) : 2D
SI(データサイズ) :[F2] 16384, [F1] 64 (F1,F2は2次元NMRにおける観測軸)
TD(取り込みデータサイズ) :[F2] 16384, [F1] 45
以上で得られた時間軸スペクトルに対し、以下のパラメーター値でフーリエ変換(xf2)を行い、各時間τごとに周波数スペクトルを得た。
WDW(ウィンドウ関数): EM
LB (Line Broadening Factor) : 300Hz
PhC0: -99.56 (スペクトル両端の強度がほぼ同じになる値。測定ごとに異なる値。)
PhC1: 130 (DigMod: Digitalで測定したスペクトルと相似形となる値。常に一定値。)
このスペクトルは、各待ち時間(τ)に対応するスペクトルからなる2次元NMRスペクトルであるので、split2Dを行い、各待ち時間(τ)に対応する1次元スペクトルの実数部分と虚数部分を得た。これらの1次元スペクトルのデータを測定用のコンピュータからデータ処理用のコンピュータにコピーした。
(3)データ処理
データ処理用コンピュータにコピーした1次元スペクトルの実数部分(r0)と虚数部分(i0)は、Y軸数値を低波数側から高波数側に並べたものである。X軸(周波数軸)の数値は251.17ppm〜-246.124ppmであるが、特にppm単位を使用して計算する必要がないため、x=1〜16384の整数で代用した。
正しい0次フェーズ値で調整された周波数スペクトルの実数部分(r)は、現状から補正すべき0次フェーズ値をPhC0とすると、
r = r0 cos(PhC0)-i0 sin(PhC0)
と表される。
一方ベースラインとしては、取り込み開始直後の信号強度の不正確さに起因しているsinカーブのベースラインを使用した。この場合ベースライン(basl)は、xに対し、
basl = A+Bsin(Cx+D)
と表される。
このrとbaslがX軸数値1〜2048と14336〜16384の範囲で一致するよう、係数PhC0, A, B, C, Dを非線形最小二乗法により求めた。r=baslという条件では
0 cos(PhC0)−i0 sin(PhC0) = A+B sin(Cx+D)
となるが、このままでは計算することができないので、
0 = {r0 sin(PhC0)+A+Bsin(Cx+D)}/cos(PhC0)
と変形し、r0を従属変数、i0,xを独立変数として計算させた。
試料1(MeCN再結晶)についての計算結果を以下に示す。
Figure 0004555294
Figure 0004555294
PhC0の値は、測定順序に従い、徐々にかつ連続的に変化している状態が見て取れるが、ノイズの影響を受けて変動が見られる。特に信号強度が弱くなる付近では大きな変動となる。
全体のPhC0の変化から、連続的に変化するよう補正してPhC0(corrected)とし、この値を使用して0次フェーズの調整された周波数スペクトルを得た。
得られた周波数スペクトルに関し、191pointsのFFTスムージングフィルターを作用させ、ノイズ除去処理を行った。
周波数スペクトルのX軸数値7000(周波数では38.72ppmに相当)の信号強度を、各待ち時間(τ)に対してプロットし、縦緩和曲線を得た。
試料2から試料7のインドメタシン試料に関しても、上と同様に縦緩和曲線を作成した。それらの結果を表2A、表2Bに示す。
Figure 0004555294
Figure 0004555294
表2A、表2Bで得られた、7つの試料に関する縦緩和曲線を、次式
Figure 0004555294
を用いて同時に解析を行った。インドメタシンに関してはその構成成分が5種見出された(式中のn=5)。
構成成分の数nは、次のようにして決定する。f′の95%信頼区間値を算出して、f′が95%信頼区間値と同等又はこれより小さい値になれば、その構成成分は存在しないとみなす。例えば、n=3とおいて、f′1を95%信頼区間値と比較する。f′1が95%信頼区間値以上あれば、n=4とおいて、f′1、f′2が、すべて95%信頼区間値以上あるかどうかを調べる。このようにして、nを増やしていって、あるnを超えるf′が95%信頼区間値未満になれば、そのnを構成成分数として決定する。
縦緩和時間Siの推定値及び標準誤差の計算結果を表3に示す。
Figure 0004555294
係数fi及び定数Cの推定値の計算結果を表4に示す。
Figure 0004555294
係数fi及び定数Cの標準誤差の計算結果を表5に示す。
Figure 0004555294
以上の結果からインドメタシン各構成成分の縦緩和時間T1値は、
10.16s(γ型に帰属)
4.67s(α型に帰属)
1.07s(アモルファスに帰属)
1.57ms(帰属不明)
0.25ms(帰属不明)
と決定できた。
また、各試料の構成成分比は、強度係数fiを用いて、表6のように決定した。また、±95%信頼区間を同時に求めた。
Figure 0004555294
以上のようにして、インドメタシンの固体結晶多形の構成成分比を、高い精度で決定することができた。また、構成成分比とともに、各構成成分の縦緩和時間も同時に測定することができた。
<実施例3>
(1)測定用試料の調製
試料として、グリシンを用いた。グリシンは和光純薬工業試薬特級を使用した。これに基づき、以下の8通りの方法で試料を作製した。
・試料1(水再結晶; A)
グリシン10gを水(40ml)にやや加温しながら溶解させた。溶液を室温で静置した。3日後、析出した結晶をろ取し、水で洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料2(水−酢酸再結晶; C)
グリシン15gを水(30ml)−酢酸(3ml)に加熱溶解させた。溶液を室温まで徐々に冷却し、析出した結晶をろ取した。水で洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料3(水−EtOH再結晶; B)
グリシン10gを水(40ml)にやや加温しながら溶解させた。溶液を室温で攪拌しながら、EtOH(20ml)を徐々に加えた。析出した結晶をろ取し、水で洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料4(水−EtOH再結晶60℃乾燥; B60)
試料3と同様にして得た結晶を60℃16時間温風乾燥した。
・試料5(S)
試料1の再結晶操作を行った際に、器壁に付着した結晶を取り出して、水で洗浄後、減圧下で乾燥させた。
・試料6(CM)
試料2で得られた結晶の一部メノウの乳鉢で粉砕して、粉砕品を得た。
・試料7(RM)
購入した試薬をメノウの乳鉢で粉砕して、粉砕品を得た。
・試料8(R)
購入した試薬をそのまま用いた。
(2)測定
これら8個の試料を、5mmφNMRチューブに高さが25-35mm程度になるよう入れ、脱水剤として五酸化二燐(P2O5)を共存させた減圧デシケーター中に1時間以上入れて乾燥させた。これらは測定直前にデシケーターから取り出し、直ちに密栓して測定用試料として使用した。
測定は、Bruker社製DPX-300スペクトロメーター/5mmφCHデュアルプローブ/SADC+A/Dコンバーター/XWIN-NMRソフトウェアを用いて行った。
試料と同じ高さまでCDCl3を入れた他のNMRチューブを用いてシムを調整した後、目的の試料をプローブにセットした。SWEEP OFF、SPIN OFF、LOCK OFFのまま測定を行った。温度コントローラーにより試料温度を23℃に調整した。Bruker社より標準で提供されているt1irパルスプログラムを用い、以下のパラメーター値で測定を行い、時間軸スペクトル(FID信号)を得た。
D1(Relaxation delay) : 60s
P1=pw(90°pulse) : 8.45μs
P2=pl(180°pulse) : 16.9μs
DE=Dd(受信遅延時間) : 16μs
DE1(送信コイルを閉じてから受信コイルを開くまでの遅延時間) : 3μs
O1(観測中心周波数): 2.54ppm
NS(積算回数) : 8
DS(ダミースキャン): 2
SW(観測幅) : 497.314ppm
DigMod(デジタイザモード) : Analog
ParMod(パラメータモード) : 2D
SI(データサイズ) :[F2] 16384, [F1]64
TD(取り込みデータサイズ) :[F2] 16384, [F1]45(F1,F2は2次元NMRにおける観測軸)
以上で得られた時間軸スペクトルに対し、以下のパラメーター値でフーリエ変換(xf2)を行い、周波数スペクトルを得た。
WDW(ウィンドウ関数) : EM
LB (Line Broadening Factor) : 300Hz
PhC0 : -0.64 (スペクトル両端の強度がほぼ同じになる値。測定ごとに異なる値。)
PhC1 : 130 (DigMod:Digitalで測定したスペクトルと相似形となる値。常に一定値。)
このスペクトルは、各待ち時間(τ)に対応するスペクトルからなる2次元NMRスペクトルであるので、split2Dを行い、各待ち時間(τ)に対応する1次元スペクトルの実数部分と虚数部分を得た。これらの1次元スペクトルのデータを測定用のコンピュータからデータ処理用のコンピュータにコピーした。
(3)データ処理
データ処理用コンピュータにコピーした1次元スペクトルの実数部分(r0)と虚数部分(i0)を用いて0次フェーズの調整を行った。
正しい0次フェーズ値で調整された周波数スペクトルの実数部分(r)は、現状から補正すべき0次フェーズ値をPhC0とすると、
r= r0 cos(PhC0)−i0 sin(PhC0)
と表される。
一方ベースラインとしては、別途測定したグリシンの周波数スペクトル(b)を使用した。
このrとbが、X軸数値1〜2048と14336〜16384の範囲で一致するよう、係数PhC0, A, Bを非線形最小二乗法により求めた。
b = Ar+B = A{r0 cos(PhC0)−i0 sin(PhC0)}+B
グリシン水−酢酸再結晶試料2についての計算結果を表7A、表7Bに示す。
Figure 0004555294
Figure 0004555294
実施例2と同様、全体のPhC0の変化から、連続的に変化するよう補正してPhC0(corrected)とし、この値を使用して0次フェーズの調整された周波数スペクトルを得た。
得られた周波数スペクトルに関し、191pointsのFFTスムージングフィルターを作用させ、ノイズ除去処理を行った。
周波数スペクトルの100ppmにおける信号強度を各待ち時間(τ)に対してプロットし、縦緩和曲線を得た。
試料2から試料8のグリシン試料に関しても、上と同様に縦緩和曲線を作成した。それらの結果を表8A、表8Bに示す。
Figure 0004555294
Figure 0004555294
表8A、表8Bで得られた、8つのグリシン試料に関する縦緩和曲線を、次式
Figure 0004555294
を用いて解析を行った。グリシンに関してはその構成成分が4種見出された(式中のn=4)。
縦緩和時間Siの推定値と標準誤差の計算結果を表9に示す。
Figure 0004555294
係数fi及び定数Cの推定値の計算結果を表10に示す。
Figure 0004555294
係数fi及び定数Cの標準誤差の計算結果を表11に示す。
Figure 0004555294
以上の結果からグリシンの各構成成分の縦緩和時間T1値は、
T1=4.37s(γ型に帰属)
T1=0.29s(α型に帰属)
T1=1.15ms(帰属不明)
T1=0.18ms(帰属不明)
と決定できた。
また、各試料の構成成分比は、強度係数fiを用いて、表12のように決定した。また、±95%信頼区間を同時に求めた。
Figure 0004555294
以上のようにして、グリシンの固体結晶多形の構成成分比を、高い精度で決定することができた。また、構成成分比とともに、各構成成分の縦緩和時間も同時に測定することができた。

Claims (6)

  1. コイルに励起用のパルスを流すことにより、静磁場の中に設置された固体試料の核スピンを励起し、励起用のパルスの印加終了後、時間τの経過を待って読み取り用のパルスを印加することにより、当該励起された核スピンからのFID信号(Free Induction Decay)信号を受信し、このFID信号を周波数変換処理することにより、DIR (Delayed Inversion Recovery)-PMR (Proton Magnetic Resonance)スペクトルを得る、固体試料の核磁気共鳴測定方法において、
    測定中、水分子トラップ機構により、前記固体試料及びその周囲に存在する水を捕捉し、
    前記読み取り用のパルスの印加終了後、受信遅延時間Ddが経過してから、FID信号の周波数変換処理を開始し、
    水のプロトンの周波数以外の周波数で表れるプロトンのピークに基づいて当該個体試料の定量を行うことを特徴とする、固体試料の核磁気共鳴測定方法。
  2. 前記励起用のパルスは180度パルスであり、前記読み取り用のパルスは90度パルスである請求項1記載の固体試料の核磁気共鳴測定方法。
  3. 前記受信遅延時間Ddは、5から20μsecの範囲内の値に設定される請求項1記載の固体試料の核磁気共鳴測定方法。
  4. 前記受信遅延時間Ddは、10から15μsecの範囲内の値に設定される請求項3記載の固体試料の核磁気共鳴測定方法。
  5. 前記水分子トラップ機構は、前記固体試料を試料管に封じ、測定中、前記試料管に設けられた貫通細孔にチューブを通して、容器に入った乾燥剤まで接続し、これによって前記固体試料を脱水する、請求項1記載の固体試料の核磁気共鳴測定方法。
  6. 時間τを変えて複数のFID信号を取得し、これらの複数のFID信号に基づいてそれぞれDIR−PMRスペクトルを算出し、DIR−PMRスペクトルのある特定の周波数において、時間τに対するスペクトル強度をプロットすることにより縦緩和曲線を得、その縦緩和曲線を、縦緩和時間の異なる複数の縦緩和曲線の和とみなして回帰分析することにより、前記固体試料の各成分物質の構成成分比を推定する請求項1記載の固体試料の核磁気共鳴測定方法。
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