JP4554731B2 - 半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体装置の洗浄方法,特に半導体装置の超純水による洗浄方法,およびその洗浄工程において用いられる超純水に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば,電界効果トランジスタのような半導体装置の製造工程において,ウェハ表面に付着したパーティクルや有機物などを除去するために,エッチング工程などの主処理工程の前工程,あるいは後工程として,超純水による洗浄(リンス)工程が行われている。
【0003】
例えば,IEDM Technical Digest 1996年 p.2.6.1〜2.6.4所載の「Control of Electro−chemical Etching for Uniform 0.1μm GateFormation of HEMT」には,電界効果トランジスタの製造工程において,エッチング工程によるコンタクトホール加工後のホトレジスト除去工程において,超純水リンスが行われていることが報告されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかしながら,上記文献にも報告されているように,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくともいずれか一方が露出した状態のGaAs系電界効果トランジスタに対して,超純水リンスを施した場合には,オーミック電極,チャネル領域,アイソレーション領域が同時に超純水に晒されるため,電気化学効果によるエッチングを生じ,図5に示すように,チャネル領域が弓なりの異常な形状となるという問題があった。
【0005】
このように,従来の超純水リンス工程では,チャネル領域に対して不測のエッチングが生じることがあり,その結果,電界効果トランジスタなどの半導体装置の特性劣化や歩留まりの低下という問題を生じていた。そして,近年微細化加工が進展するにつれ,上記のような問題点が無視できないほど顕在化してきている。
【0006】
本発明は,従来の半導体装置の製造工程における上記のような問題点に鑑みてなされたものであり,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の半導体装置に対して超純水リンスを施す場合であっても,超純水の溶存酸素濃度の低減により,チャネル領域のエッチングを抑止することが可能であり,従って,半導体装置の特性の向上,および歩留まりの向上が期待できる,新規かつ改良された半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水を提供することを目的としている。
【0007】
さらに本発明の別の目的は,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の半導体装置に対して超純水リンスを施す際に,超純水が大気に触れて,大気からO2が混入した場合であっても,OH−の生成を抑制し,超純水によるエッチングを防止することが可能な,新規かつ改良された半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水を提供することである。
【0008】
さらに本発明の別の目的は,従来の洗浄装置に対して特段の設計変更や,部品の付加を行うことなく,超純水によるエッチングを効果的に防止し,半導体装置の特性の向上,および歩留まりの向上が期待できる,新規かつ改良された半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,半導体装置の洗浄方法が提供される。そして,この半導体装置の洗浄方法は,請求項1に記載のように,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の電界効果トランジスタなどの化合物半導体からなる半導体装置を,溶存酸素濃度が実質的に25ppb以下である超純水により洗浄し、前記オーミック電極を陰極とし前記チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくともいずれか一方を陽極とする化学反応により前記オーミック電極上で生成されるOH − の濃度を100ppb以下に低減し、前記超純水に,実質的にpH<7となるように酸を混入することを特徴としている。なお,溶存酸素濃度は,請求項2に記載のような窒素バブリングや,請求項3に記載のような真空脱気により調整することができる。
【0010】
かかる構成によれば,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の半導体装置に対して超純水リンスを施す場合であっても,超純水の溶存酸素濃度が実質的に25ppb以下にまで低減されている,チャネル領域のエッチングを効果的に抑止することが可能である。
【0011】
さらに,上記超純水に,そのpHが実質的にpH<7となるように酸を混入すれば、超純水が大気に触れて,大気からO2の混融があっても,OH−の生成を抑制し,超純水によるエッチングを防止することが可能である。
【0012】
上記課題を解決するために,本発明の第2の観点によれば,半導体装置洗浄用超純水が提供される。この半導体装置洗浄用超純水は,請求項5に記載のように,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の化合物半導体からなる半導体装置を洗浄するための超純水であって,溶存酸素濃度が実質的に25ppb以下であることを特徴としている。なお,溶存酸素濃度は,請求項6に記載のような窒素バブリングや,請求項7に記載のような真空脱気により調整することができる。
【0013】
かかる構成になる超純水により,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の半導体装置に対して超純水リンスを施す場合には,超純水の溶存酸素濃度が実質的に25ppb以下にまで低減されているので,チャネル領域のエッチングを抑止することが可能である。
【0014】
さらに,請求項8に記載のように,上記超純水には,そのpHが実質的にpH<7となるように酸が混入されることが好ましく,かかる構成によれば,超純水が大気に触れて,大気からO2の混融があっても,OH−の生成を抑制し,超純水によるエッチングを防止することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら本発明にかかる半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水の好適な実施形態について詳細に説明する。なお,以下の説明および添付図面において実質的に同一の構成要素については同一の符号を付することにより重複説明を省略している。
【0016】
まず図1および図2を参照しながら,第1の実施の形態にかかる半導体装置の洗浄方法を適用可能なGaAs電界効果トランジスタの構造について説明する。
なお,図1は電界効果トランジスタの一製造工程の断面形状を示し,図2は同製造工程の平面図を示している。
【0017】
一般に電界効果トランジスタを作成する場合には,GaAsなどの半導体基板102上の活性層106に適当なイオン,例えば酸素イオンを選択的に注入することによりアイソレーション領域104を形成する。なおアイソレーション領域104は隣接する活性層106間を絶縁するためのものである。そして,活性層106上にソース電極やドレイン電極となるオーミック電極108a,108bを形成する。次いで,ウェハ表面全体にSiN膜110を蒸着し,所定のホトリソグラフィ工程により,オーミック電極108a,108b上のSiN膜110にはコンタクトホール112a,112bが形成され,ゲート電極を形成するチャネル領域のSiN膜110には,開口部114が形成される。そして,図1および図2に示す電界効果トランジスタ100は,かかる製造段階のものである。
【0018】
図2の平面図を見れば明らかなように,SiN膜110にコンタクトホール112a,112bおよび開口部114が形成されている段階においては,電気効果トランジスタ100のチャネル領域,チャネル領域両端のアイソレーション領域104a,オーミック電極がそれぞれ露出している。
【0019】
そして,通常の製造工程においては,ウェハ上に形成された各素子のSiN膜110にコンタクトホール112a,112bおよび開口部114を形成した後に,図3に概略構成を示すような洗浄装置200によりウェハ全体の洗浄を行い,ウェハ上に付着したパーティクルや有機物等の洗浄を行う。
【0020】
ここで,図3を参照しながら,洗浄装置200の概略構成および洗浄動作について説明すると,洗浄処理時には,ビーカなどの洗浄槽202内に,複数枚の処理済みウェハ204を縦方向に収納したキャリア206を収容した後,超純水供給管路208から超純水210を供給し,オーバーフロー状態で所定時間にわたり洗浄を行うように構成されている。
【0021】
すでに,図5に関連して説明したように,電気効果トランジスタ100のチャネル領域,チャネル領域両端のアイソレーション領域,オーミック電極がそれぞれ露出した状態で,超純水による水洗を行うと,電気化学効果によるエッチングを生じ,チャネル領域が弓なりの異常な形状となることが報告されている。
【0022】
次に,チャネル領域のエッチング原因である電気化学効果について簡単に説明すると,この電気化学効果は,オーミック電極を陰極,チャネル領域,アイソレーション領域を陽極とする化学反応として考えることが可能である。
【0023】
そして,オーミック電極上における化学反応は,(1)式のように表わされる。
O2+2H2O+4e−→4OH− …(1)
ここで,左辺のO2は,超純水中の溶存酸素を示しており,陰極であるオーミック電極上では,O2とH2OからOH−の生成反応を生じている。
そして,右辺のOH−が,陽極であるチャネル領域,およびアイソレーション領域において,酸化剤として働き,エッチングを促進し,結果的にチャネル領域やアイソレーション領域が弓なりの異常な形状となり,製品の特性を劣化させたり,歩留まりの低下の原因となるものである。
【0024】
かかる問題状況を克服しようと発明者が鋭意努力した結果,発明者は,上記(1)式にあるように,超純水中の溶存酸素濃度を低減することでOH−の生成を抑制することが可能であり,その結果,チャネル領域やアイソレーション領域のエッチングを防ぐことが可能となることに想到し本発明に至ったものである。
【0025】
すなわち,OH−の濃度は,溶液のpHとして捉えることができ,そのpHを実質的にpH<7とすることで,OH−の効果,すなわちチャネル領域のエッチング効果を軽減することが可能である。そして,溶液を実質的にpH<7とするには,OH−濃度を実質的に100ppb以下とする必要があるが,(1)式から,溶液中のO2濃度を実質的に25ppb以下とすれば良いことが分かる。なお,超純水中の溶存酸素濃度は,窒素バブリングや真空脱気等の方法により容易に所望の値まで低減することができる。
【0026】
図4に,本実施の形態に基づいて,溶存酸素濃度約8ppm,約2ppbの超純水を用いて,図1および図2に示す製造段階のデバイスを図3に示す洗浄装置200により,約30分間水洗した後のエッチング形状を示す。なお,エッチング形状は,AFM(Atomic Force Microscope)法で評価している。図4および図5を比較すれば容易にわかるように,本実施の形態にかかる半導体装置の洗浄方法のように,超純水中の溶存酸素濃度を実質的に25ppb以下に低減にすることにより,超純水によるチャネル領域のエッチングを効果的に抑制することができる。
【0027】
このようにして洗浄が終了した後,電界効果トランジスタ100に対して,開口部114にゲート電極を形成し,また各オーミック電極108a,108bに対しても所定の配線を施すことにより所望の電界効果トランジスタを得ることができるが,その詳細については,本発明とは直接関係がないので,ここでは詳細には説明しない。
【0028】
以上説明したように,本発明の第1の実施形態によれば,電界効果トランジスタにおける超純水によるリンス工程において,オーミック電極,チャネル領域,アイソレーション領域が同時に露出した状態であっても,超純水の溶存酸素濃度を実質的に25ppb以下に低減することにより,チャネル領域のエッチングを効果的に抑止することができる。従って,本実施の形態によれば,最終製品である電界効果トランジスタの特性の向上,歩留まりの向上が期待できる。
【0029】
次に,本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水について説明する。
【0030】
図1〜図4に示した第1の実施形態においては,超純水中の溶存酸素濃度を実質的に低減することにより,超純水によるチャネル領域やアイソレーション領域のエッチングを防ぐ方法を示した。しかしながら,図3に示すように,リンス工程において,超純水は絶えず大気と接触しており,従って,超純水中の溶存酸素濃度は大気を巻き込むことで再び上昇してしまう。かかる溶存酸素濃度の上昇を防止するためには,洗浄ドラフトを窒素パージするなどして,大気からの酸素混入を防ぐ必要があるが,これには大規模な設備が必要となる。
【0031】
本発明者は,かかる問題状況に鑑みて鋭意努力した結果,純水中に微量の酸を混入することで,超純水と大気との接触による溶存酸素濃度上昇の問題を解決することが可能であることに想到した。
【0032】
すなわち,例えば,超純水にHClなどの酸を混入することで,(1)式の右辺のOH−は下記の(2)式のように中和され,やはりチャネル領域,アイソレーション領域のエッチングを防ぐことができる。
H++Cl−+OH−→H2O+Cl− (2)式
なおHClなどの酸は,水溶液のpHが実質的にpH<7以下となる様に混入される。このように超純水のpHを酸により調整することにより,大気から酸素が混入しても,十分な量のH+によってOH−は中和されるため,大気中における洗浄工程においても,エッチングを防止することができる。
【0033】
以上のように,本発明の第2の実施形態によれば,超純水中に微量の酸を混入することで,十分な量のH+を供給しOH−を中和することができる。このため,大気からO2の混入があってもOH−の生成を抑制でき,超純水によるエッチングを防ぐことができる。これにより,従来の簡便なドラフト設備においても,電界効果トランジスタ特性の向上,および,歩留まりの向上が期待できる。
【0034】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0035】
例えば,上記実施形態おいては,超純水の窒素バブリングや真空脱気により,超純水中の溶存酸素濃度を調整していたが,本発明はかかる例に限定されず,超純水中の溶存酸素濃度を実質的に25ppb以下に調整できる方法であれば,あらゆる方法を採用することが可能であることは言うまでもない。
【0036】
また上記実施形態においては,超純水のpHを調整するに際して,HClを混入しているが,本発明はかかる例に限定されず,超純水中のpHを実質的にpH<7に調整できる方法であれば,あらゆる方法を採用することが可能である。
【0037】
さらに,上記実施の形態においては,図1および図2に示すようなGaAs電界効果トランジスタを洗浄する場合を例に挙げて本発明の説明を行ったが,本発明はかかる例に限定されず,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の半導体装置を洗浄するあらゆる場合に適用できることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明にかかる半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水によれば,オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくとも一方とが同時に露出した状態の半導体装置に対して超純水リンスを施す場合であっても,超純水の溶存酸素濃度が実質的に25ppb以下にまで低減されているのでチャネル領域のエッチングを効果的に抑止することが可能である。
【0039】
さらに,さらにまた超純水に実質的にPH<7となるように酸を混入すれば,超純水が大気に触れて,大気からO2の混入があっても,OH−の生成を抑制し,超純水によるエッチングを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる半導体装置の洗浄方法を適用可能な電界効果トランジスタの製造工程の一例を示す略断面図である。
【図2】図1に示す電界効果トランジスタの平面図である。
【図3】本発明にかかる半導体装置の洗浄方法を適用可能な洗浄装置の概略構成を示す見取図である。
【図4】本発明にかかる半導体装置の洗浄方法を適用して超純水洗浄を行った後の電界効果トランジスタのチャネル領域の形状を示す説明図である。
【図5】従来の半導体装置の洗浄方法を適用して超純水洗浄を行った後の電界効果トランジスタのチャネル領域の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
100 電界効果トランジスタ
102 半導体基板
104 アイソレーション領域
106 活性層
108a オーミック電極
108b オーミック電極
110 SiN膜
112a コンタクトホール
112b コンタクトホール
114 開口部
Claims (3)
- オーミック電極と,チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくともいずれか一方とが同時に露出した状態の化合物半導体からなる半導体装置を,溶存酸素濃度が実質的に25ppb以下である超純水により洗浄し、前記オーミック電極を陰極とし前記チャネル領域またはアイソレーション領域の少なくともいずれか一方を陽極とする化学反応により前記オーミック電極上で生成されるOH − の濃度を100ppb以下に低減し、前記超純水に,実質的にpH<7となるように酸を混入することを特徴とする,半導体装置の洗浄方法。
- 前記溶存酸素濃度は,超純水の窒素バブリングにより調整されることを特徴とする,請求項1に記載の半導体装置の洗浄方法。
- 前記溶存酸素濃度は,超純水の真空脱気により調整されることを特徴とする,請求項1に記載の半導体装置の洗浄方法。
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JP10771298A JP4554731B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 半導体装置の洗浄方法および半導体装置洗浄用超純水 |
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1998
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