JP4551174B2 - 多孔質膜カートリッジおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、核酸などを分離するための多孔質膜カートリッジに関する。
核酸は、様々な分野で種々の形態で使用されている。例えば、遺伝子組換えの分野において、核酸はプローブ、ゲノム、あるいはプラスミドなどの形態で広く用いられている。
また、核酸は医療の分野においても、種々の形態で用いられている。例えば、核酸プローブは、ヒトの病原体の検出や診断に日常的に用いられているほか、遺伝子の欠損等に起因する疾患の検出にも用いられている。さらに、核酸は細菌に起因する食品汚染の検出にも用いられている。また、核酸は遺伝子地図の作製からクローニングや遺伝子組換えによる発現において、興味ある遺伝子の位置確認、同定および単離に日常的に用いられている。
多くの場合、核酸は極めて少量しか入手できず、単離および精製操作が煩雑で時間を要する。また、このような煩雑な操作を行うことは核酸の損失に結びつき易い。さらに、血清、尿あるいはバクテリアの培養液から得られた試料の核酸の精製においては、精製過程における核酸のコンタミネーションや疑陽性の結果が生じるという危険性も加わる。
この核酸を簡便かつ効率的に分離精製する方法として、少なくとも2個の開口を有する容器内に、表面に水酸基を有する有機高分子から成る固相を収容した核酸分離精製ユニットを用いた方法が、特許文献1に記載されている。この方法は、まず、核酸を含む試料溶液中に、前記核酸分離精製ユニットの一の開口を入没させる。次いで、他の一の開口に接続された圧力差発生装置を用いて、前記核酸分離精製ユニットの内部を減圧状態にして、試料溶液を容器内に吸入する。この操作により、試料溶液が固相と接触して試料溶液中に存在する核酸が固相に吸着する。続いて、圧力差発生装置を用いてユニットの容器内を加圧して、吸引した試料溶液を排出する。
次に、前記と同様の減圧−加圧操作で洗浄液を容器内に吸入した後、容器から排出して容器内を洗浄する。この洗浄液は容器内に残留する試料溶液を洗い流すと共に、核酸と一緒に固相に吸着した試料溶液中の不純物も洗い流す機能を有する。更に、固相に吸着した核酸を離脱させるための回収液を、上記と同様の減圧−加圧操作によって容器内に吸入し、容器から排出する。この排出された回収液には目的とする核酸が含まれているので、これを回収することにより分離精製が完了する。
核酸を吸着させる固相としては、多孔質膜が一般的に用いられている。
また、このような核酸分離精製ユニット(本発明でいうところの多孔質膜カートリッジ)の構造としては、当該ユニットの容器を構成する2つの筒状の部品により多孔質膜を挟みつけて保持する構造が一般的である。そして、この2つの筒状の部品を固着する方法としては、超音波溶着、レーザーによる熱溶着、接着剤、ネジなどによって固着する方法が一般的に用いられている。
多孔質膜カートリッジは、取り扱う試料(核酸など)の性質上、多孔質膜に破れや、2つの筒状の部品を固着させた部分の密着強度が不足するなどして密着不良が発生したものであってはならない。
特開2003−128691号公報(段落0032〜0050、図1)
しかし、従来の核酸分離精製ユニットでは、2つの部材が固着する部分に偏肉が生じることがあり、これに起因して2つの部材が固着する部分において密着強度が不足して密着不良が生じる場合があった。密着不良が生じると、固着させた部分に溶液が回りこみ、核酸のロスとなるばかりか、後工程への不純物の混入を引き起こしてしまい好ましくない。
また、2つの部材を固着させた部分の偏肉などが原因で多孔質膜が破損してしまう場合もあった。
そこで本発明は、2つの部材を固着させた部分に密着不良が発生せず、多孔質膜が破損しない多孔質膜カートリッジとその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来のように、別々に製造した2つの部品を別工程で固着する必要がない多孔質膜カートリッジとその製造方法について鋭意研究開発を行い、インサート射出成形の技術を応用した多孔質膜カートリッジの製造方法を完成するに至った。かかる製造方法は、キャップ部材を形成後、コアピンで多孔質膜の周縁部を押さえつつ、バレル部材を形成する形成材料を射出することによって、多孔質膜の周縁部を挟持させるインサート射出成形の技術を応用した多孔質膜カートリッジの製造方法である。
しかし、かかる多孔質膜カートリッジとその製造方法の研究開発を行っている過程で、インサート射出成形を用いた製造方法によって多孔質膜カートリッジを製造した場合に、前記の課題に挙げた偏肉による密着不良や、多孔質膜が破損する場合があることがわかった。
そして、これらの不具合の発生メカニズムについて原因の究明を行ったところ、多孔質膜の破損は、コアピンが偏芯したことによってキャップ部材の挟持面とコアピンとの間で多孔質膜を押さえない部分が生じ、この押さえていない部分が成形材料の射出圧力によって破損してしまうということがわかった。
また、キャップ部材とバレル部材の密着不良は、偏芯したコアピンの影響によってキャップ部材のキャップ部材側融着部に偏肉が生じること、および、キャップ部材側融着部の肉厚とその長さが適切でないためにこのキャップ部材側融着部とバレル部材側融着部の間で密着不良が発生するということがわかった。
本発明者は、鋭意検討した結果、摺動するコアピンの遊び量に起因する偏芯の防止や、バレル部材側融着部の肉厚と長さの関係の適切化、製造時の条件の適切化を図ることで、本発明の課題を解消することができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
本発明の課題は、多孔質膜カートリッジの底部をなし、その一端側にキャップ部材側融着部を有し、かつ他端側に開口を有し、キャップ部材側融着部の内周壁に沿って形成された挟持面を有するキャップ部材と、このキャップ部材と一体的に形成される筒部分をなし、その一端側に前記キャップ部材側融着部と内接するバレル部材側融着部を有し、かつ他端側に開口を有するバレル部材と、前記バレル部材の射出成形を行う際に、前記バレル部材側融着部の縁部と前前記キャップ部材の挟持面とで挟持される多孔質膜と、を有し、バレル部材側融着部の最小肉厚tminと最大肉厚tmaxの関係を、{(tmax−tmin)/tmax}×100≦50[%]としたことを特徴とする多孔質膜カートリッジ、とすることで達成される。このような多孔質膜カートリッジによれば、インサート射出成形を行っても多孔質膜の破損や、キャップ部材とバレル部材の密着不良の発生を抑制することができる。
このように、本発明の多孔質膜カートリッジは、バレル部材側融着部の最小肉厚tminと最大肉厚tmaxの関係を適切化したことにより、かかる融着部の偏肉を少なくすることができるので、バレル部材側融着部とキャップ側融着部の密着強度が減少しないので、密着不良の発生を防止することができる。また、バレル部材側融着部の最小肉厚tminと最大肉厚tmaxの関係を適切化すれば、インサート射出成形によってこれを製造するときにコアピンが偏芯しない。したがって、コアピンと挟持面によって多孔質膜を挟まない部分が生じなくなることから、多孔質膜が破れることがない。
また、本発明の多孔質膜カートリッジは、バレル部材側融着部の肉厚tと長さLの関係を、L/t≦40とするのが好ましい。
このように、本発明の多孔質膜カートリッジは、バレル部材側融着部の肉厚tと長さLの関係を適切化したことにより、バレル部材とキャップ部材の密着強度を増加させることができる。
さらに、本発明の多孔質膜カートリッジの多孔質膜は、核酸吸着性多孔質膜であることが好ましい。
このように、本発明の多孔質膜カートリッジの多孔質膜を核酸吸着性多孔質膜とすれば、核酸を好適に抽出することができる。
また、本発明の課題は、キャップ部材側融着部と多孔質膜を挟持する挟持面とを有するキャップ部材を形成する第一工程と、第一工程で形成されたキャップ部材の挟持面に多孔質膜を設置してインサート材を作製する第二工程と、第二工程で作製されたインサート材をキャップ部材側金型の射出成形型内に配置する第三工程と、第三工程で配置されたインサート材の多孔質膜を、バレル部材側金型のコアピンで押さえつつ、キャップ側金型とバレル部材側金型とを密閉してキャビティを形成する第四工程と、第四工程で多孔質膜を押さえているコアピンとバレル部材側金型とで形成されるキャビティに成形材料を射出することで、キャップ部材側融着部と内接するバレル部材側融着部を有するバレル部材を形成するとともに、キャップ部材の挟持面と、バレル部材のバレル部材側融着部の縁部とによって当該多孔質膜を挟持させた多孔質膜カートリッジを製造する第五工程と、第五工程によって製造された多孔質膜カートリッジを取り出す第六工程と、を有する多孔質膜カートリッジの製造方法であって、第五工程の成形材料の射出時において、キャップ部材側金型の射出成形型内の側壁とキャップ部材の外壁との間隙幅が、コアピンと挟持面とが当接する当接幅の70%以下であることを特徴とする多孔質膜カートリッジの製造方法、とすることで達成される(請求項)。
このように、多孔質膜カートリッジの製造方法の第二工程において、キャップ部材をキャップ部材側金型の射出成形型内に配置する際に、そのキャップ部材を、キャップ部材側金型の射出成形型内の側壁とキャップ部材の外壁との間隙幅が、コアピンと挟持面とが当接する当接幅の70%以下となるように設定すれば、この間隙幅は当接幅よりも小さいので成形材料を金型内に射出するインサート射出成形を行った場合であっても、多孔質膜にコアピンと挟持面によって押さえられない部分が発生しないので、射出材料によって多孔質膜が破れるということがなくなる。また、バレル部材側融着部の偏肉が生じないので、密着強度を増加することができる。
さらに、本発明の多孔質膜カートリッジの製造方法で用いるコアピンの先端は円錐状であることが好ましい(請求項)。
このように、コアピンの先端を円錐状にすれば、コアピンで多孔質膜およびキャップ部材を押さえるときに自律的に調芯することができるので、コアピンが偏芯することがなくなる。その結果、多孔質膜にコアピンと挟持面によって押さえられない部分が発生しないので、射出材料によって多孔質膜が破れるということがなくなる。また、バレル部材側融着部の偏肉が生じないので、密着強度を増加することができる。
また、本発明の多孔質膜カートリッジの製造方法は、第一工程から第五工程までを1時間以内に行うのが好ましい(請求項)。
成形材料に合成樹脂等を用いた場合、成形後、経時的に成形品が収縮することが知られている。そのため、本発明の多孔質膜カートリッジの製造方法においては、前記の第一工程から第五工程まで、すなわち、キャップ部材成形後から多孔質膜を載置してバレル部材を成形するまでの時間を1時間以内とすることにより、インサート射出成形後にバレル部材側融着部が収縮した場合であっても、キャップ部材側融着部の収縮が適切に追従することが可能となるので、キャップ部材とバレル部材の密着強度を増加させることができる。
そして、本発明の多孔質膜カートリッジの製造方法は、多孔質膜が、核酸吸着性多孔質膜であるのが好ましい(請求項4)。
このようにすれば、核酸吸着性多孔質膜が無数の微細な孔を有しており、試料溶液を濾過することができるだけでなく、親水基等によってイオン結合か関与しない弱い相互作用で核酸を吸着し得るのでより好適に核酸を抽出することができる。
発明の多孔質膜カートリッジの製造方法によれば、インサート射出成形を行っても多孔質膜の破損や、キャップ部材とバレル部材の密着不良の発生を抑制した多孔質膜カートリッジを製造することができる。
次に、適宜図面を参照しつつ本発明に係る多孔質膜カートリッジの実施の形態について詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明に係る多孔質膜カートリッジの分解斜視図であり、図2は、図1のインサート材の拡大断面斜視図である。なお、以下の説明において、「上」、「下」の表現は、多孔質膜カートリッジの使用状態、具体的には図1に示す向きでの使用状態を基準とする。
[1.多孔質膜カートリッジ]
図1の分解斜視図に示すように、本発明に係る多孔質膜カートリッジ1は、キャップ部材20と多孔質膜30とからなるインサート材10と、このインサート材10に対してインサート射出成形されるバレル部材40とから構成されている。
なお、本発明に係る多孔質膜カートリッジ1のバレル部材40は、インサート射出成形により、キャップ部材20および多孔質膜30と一体的に形成されるものであるが、図1においては、説明の便宜上、バレル部材40を分離して示している。
(インサート材)
インサート材10は、図3に示すように、多孔質膜カートリッジ1の底部側を構成するキャップ部材20と、試料溶液の濾過、分離精製により核酸等を吸着して採取するための多孔質膜30とから構成される。インサート材10は、多孔質膜カートリッジ1を成形するためのキャビティ51(図4(a)参照、キャップ部材側金型50およびバレル部材側金型60を閉じて形成される成形型)に予めセットされ、このキャビティ51に溶融した樹脂Jが注入されることにより、当該樹脂Jにより成形されるバレル部材40と融着される(図4(b)参照)。なお、かかる樹脂Jが、特許請求の範囲にいう「成形材料」に相当する。
(キャップ部材)
キャップ部材20は、中央に開口部21aが形成された底部21と、この底部21の下面から延出するノズル22(排出部)と、ノズル22とは反対側に向かって底部21の外周に沿って筒状に延出するキャップ部材側融着部23とから構成されている。ノズル22の先端には排出口22aが形成されており、底部21の開口部21aと連通している。キャップ部材側融着部23は、後記するバレル部材40のバレル部材側融着部42と融着する部分であり、その内径は、多孔質膜30の直径と略等しく形成されている。
キャップ部材20の底部21には、図2に示すように、底面21bの外周に沿って、底面21bよりも1段高くなった挟持面25が環状に形成されている。挟持面25は、後記する多孔質膜30の周縁部30aと当接する面であり、平坦に形成されている。底面21bは、挟持面25側から開口部21a側に向かうほど低くなる(排出口22a側に近づく)ように傾斜しており、試料溶液が排出され易くなっている。また、底面21bには、6本(図2においては3本のみ図示)のリブ26が放射状に形成されている。リブ26は、底面21bから突出しており、底面21bの傾斜角度よりゆるい角度で、挟持面25側から開口部21a側に向かうほど低くなるように傾斜している。
キャップ部材20の成形材料としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックを使用することができる。また、生分解性の材料も好適に使用することができる。また、キャップ部材20は透明であっても、着色してあってもよい。
(多孔質膜)
多孔質膜30は、前記したキャップ部材側融着部23の内径と略同一の直径をした円形状の膜部材である。多孔質膜30は、無数の微細な孔を有しており、試料溶液を濾過して核酸を抽出できるようになっている。また、多孔質膜30は、前記したキャップ部材20の挟持面25の上に載置されて、インサート材10を構成する(図2参照)。多孔質膜30の周縁部30aは、挟持面25に当接する部分であり、後記するバレル部材40の射出成形時の射出圧力によって挟持面25に押し付けられて挟持される。このようにして多孔質膜を挟持すれば、試料溶液が多孔質膜30の周縁を回り込む不具合を防ぐことができる。
なお、一般的な多孔質膜としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の多孔質膜を用いることができる。
多孔質膜30としては、親水基等によってイオン結合が関与しない弱い相互作用で核酸を吸着し得る、有機高分子等の有機材料で構成される厚さが10〜500μm、より好ましくは50〜250μmの多孔質膜を用いるのが好適である。本発明に用いる多孔質膜30が核酸吸着性多孔質膜である場合には、多孔質膜30としては、例えば、アセチルセルロースの表面鹸化物が好適であり、鹸化率は5%以上であることが好適である。アセチルセルロースとしては、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースのいずれも用いることができるが、トリアセチルセルロースを用いることが望ましい。
そして、この多孔質膜30に形成される最小孔径は、0.22μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。そして、多孔質膜30に形成される空隙率は、50〜95%が好ましく、65〜80%がより好ましい。また、多孔質膜30のバブルポイントは、9.8〜980kPa(0.1〜10kgf/cm2)が好ましく、19.6〜392kPa(0.2〜4kgf/cm2)がより好ましい。そして、本発明に用いる多孔質膜30としては、多孔質膜1mgあたりの核酸の吸着量が0.1μg以上のものを用いるのが好ましく、0.9μg以上のものを用いるのがより好ましい。
(バレル部材)
バレル部材40は、図1に示すように、円筒状のバレル本体41と、バレル本体41に連なる円筒状のバレル部材側融着部42とからなる。バレル部材40は、インサート材10をキャップ部材側金型50に設置した後(図3参照)、キャビティ51に樹脂Jを射出することにより成形される。バレル部材40の中空部43は、試料溶液等を一時的に貯留する部分であり、後記するバレル部材側金型60に備えられたコアピン61によって成形される(図4参照)。中空部43の上端は開口しており(開口43a)、中空部43の下端は多孔質膜30によって塞がれることとなる。バレル部材側融着部42は、コアピン61とキャップ部材20のキャップ部材側融着部23との間に形成された隙間(図4のキャビティ51に射出した樹脂Jにより成形される。そのため、実際には、当該隙間に射出した樹脂Jの熱によってキャップ部材側融着部23の内周面23a(図2参照)が溶融し、バレル部材40とインサート材10が一体化されることとなる。
このとき、本発明におけるバレル部材40のバレル部材側融着部42の最小肉厚tminと最大肉厚tmaxとの関係が、{(tmax−tmin)/tmax}×100≦50[%]を満たすことが好ましい。バレル部材側融着部42の偏肉を防止して十分な密着強度を得るため、および、多孔質膜カートリッジ1の製造時におけるコアピン61の偏芯を抑制して多孔質膜30が破れるのを防ぐためである。最小肉厚tminと最大肉厚tmaxの関係が、50[%]を超えると、バレル部材側融着部42の偏肉が大きくなり、密着不良となる。また、多孔質膜カートリッジ1の製造時におけるコアピン61の偏芯を抑制することができない。
また、本発明におけるバレル部材側融着部42の肉厚tとバレル部材側融着部42の長さLとの関係(図1参照)は、好ましくはL/t≦40、より好ましくはL/t≦30、さらに好ましくはL/t≦20とするのが好ましい。なお、L/tの下限は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましい。バレル部材側融着部42とキャップ部材側融着部23の密着強度を増加させるためである。バレル部材側融着部42の肉厚tとバレル部材側融着部42の長さLの関係が1以上であれば、バレル部材側融着部42とキャップ部材側融着部23の融着部分が確保できるために、密着強度が十分となる。
また、バレル部材側融着部42の肉厚tとバレル部材側融着部42の長さLとの関係が40以下であれば、キャビティ51におけるバレル部材側融着部42を形成するための隙間が薄いために肉厚tが薄くなるような場合であっても、多孔質膜カートリッジ1の製造時に溶融した樹脂Jなどの成形材料を射出する射出成形を行うことによりバレル部材側融着部42を適切に形成することができ、多孔質膜の破れが無く、密着強度が良好な多孔質膜カートリッジ1とすることができる
なお、バレル部材40の成形材料としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックを使用することができる。また、生分解性の材料も好適に使用することができる。また、バレル部材40は透明であっても、着色してあってもよい。
[2.多孔質膜カートリッジの製造方法]
次に、適宜図面を参照して本発明に係る多孔質膜カートリッジの製造方法の実施の形態について詳細に説明する。参照する図面において、図3は、多孔質膜カートリッジと射出成形型の断面図であり、(a)は、インサート材配置時、(b)は型閉じ時の状態をそれぞれ示している。また、図4は、同じく多孔質膜カートリッジと射出成形型の断面図であり、(a)は、樹脂注入時、(b)は注入完了時の状態をそれぞれ示している。そして、図5は、キャップ部材側金型の射出成形型内の側壁とキャップ部材の外壁との間隙幅と、コアピンと挟持面とが当接する当接幅との関係を説明する図4(b)のA部の拡大断面図である。
本発明に係る多孔質膜カートリッジの製造方法は、以下に説明する第一工程から第六工程を含んでなるものである。以下、工程ごとに順を追って説明を行うこととする。
(第一工程)
まず、第一工程では、図示しないキャップ部材20を形成するための成形金型と、前記で説明した樹脂Jなどの成形材料を用いて、キャップ部材側融着部23と、多孔質膜30を挟持する挟持面25と、を有するキャップ部材20を形成する。
(第二工程)
次に、第二工程では、図3(a)に示すように、キャップ部材20の挟持面25に多孔質膜30を配置してインサート材10を作製する。この多孔質膜30は、前記で説明したように核酸吸着性多孔質膜を用いると好適に核酸を分離精製することができる。
(第三工程)
そして、第三工程では、図3(a)(b)に示すように、第二工程で作製されたインサート材10をキャップ部材側金型50の射出成形型52内に配置する。
なお、第二工程のインサート材10の作製や、第三工程のインサート材10の射出成形型52内への配置は、公知の組み立てロボットなどを用いて行うのが好ましい。不要なDNAや塵などのコンタミネーションを防ぐためである。
(第四工程)
第四工程では、図4(a)に示すように、第三工程で配置されたインサート材10の多孔質膜30を、バレル部材側金型60のコアピン61で押さえつつ、キャップ部材側金型50とバレル部材側金型60とを密閉して型閉じを行い、キャビティ51を形成する。
(第五工程)
第五工程では、図4(b)に示すように、第四工程で多孔質膜30を押さえているコアピン61とバレル部材側金型60とで形成されるキャビティ51に、樹脂Jなどの成形材料を射出することで、キャップ部材側融着部23と内接するバレル部材側融着部42を有するバレル部材40を形成するとともに、キャップ部材20の挟持面25と、バレル部材40のバレル部材側融着部42の縁部44とによって多孔質膜30を挟持した多孔質膜カートリッジ1を製造する。
本発明で用いられるバレル部材側金型60は、多孔質膜カートリッジ1の中空部43に相当する位置に、円柱状のコアピン61を備えている。コアピン61は、両金型50、60を閉じたときに、コアピン61の先端部62が多孔質膜30の上面に当接して、キャップ部材20の挟持面25との間で多孔質膜30を挟みこむようになっている。このとき、多孔質膜30は、射出された樹脂Jが漏れない程度に、所定の厚さまで圧縮される。換言すれば、コアピン61は、射出された樹脂Jが漏れない程度の厚さまで多孔質膜30を圧縮するように、その長さが調節されている。
また、バレル側金型60のコアピン61の直径は、キャップ部材20の底部側融着部23の内径よりも小さく、かつ、挟持面25の内径よりも大きいように形成されている。したがって、型閉じが完了すると、コアピン61の先端部62の周縁部62a(図3参照)は、図5に示すように、挟持面25の内周側端縁部との間において、多孔質膜30の周縁部30aの一部を挟みこむこととなる。
そして、本発明の多孔質膜カートリッジの製造方法に用いるコアピン61としては、その先端を、前記で説明したキャップ部材20の底部21の傾斜と合致するように円錐状に形成されたものを用いるのが好ましい。キャップ部材20の底部21の傾斜と先端が円錐状のコアピン61とが合致することで自律的にコアピン61の位置を調芯することができる。したがって、コアピン61と挟持面25とで多孔質膜30を押さえない部分が発生しないので、多孔質膜30が破れることがない。また、バレル部材側融着部42の偏肉を防止することができるので、密着強度をより一層増加することができる。
また、コアピン61による核酸吸着性多孔性膜30の圧縮の程度は、核酸吸着性多孔性膜30を破くことがなく、かつ、樹脂Jの射出圧力によって核酸吸着性多孔性膜30がずれたりしわが寄ったり、樹脂Jが漏れたりしない程度に圧縮する必要がある。具体的には、膜厚の10%から70%程度の厚さに圧縮するのが好適である。
成形材料(樹脂J)の射出は、バレル部材側金型60に設けられたゲート63を通じて行う。このとき、キャビティ51内に充填された樹脂Jの射出圧力によって、多孔質膜30の周縁部30aが押し潰される。換言すれば、多孔質膜30の周縁部30aが好適に押し潰される程度の射出圧力をかけて、溶融した樹脂Jをキャビティ51に充填する。
このとき、樹脂Jの射出時におけるキャップ部材側金型50の射出成形型52の側壁51aとキャップ部材20の外壁20aとの間隙幅Wkは、コアピン61と挟持面25とが当接する当接幅Wtの70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下に設定するのが好ましい。間隙幅Wkが当接幅Wtの70%以下であると、コアピン61で当接するときや射出成形を行うときにキャップ部材20の載置位置がずれることがなくなり、多孔質膜30にバレル部材側融着42と挟持面25とで押さえられない部分が発生しない。したがって、樹脂Jの射出圧力により多孔質膜30が破けてしまう虞がなくなる。
そして、本発明の多孔質膜カートリッジの製造方法においては、第一工程から第五工程までを1時間以内、好ましくは45分間以内、より好ましくは30分間以内、さらに好ましくは15分間以内、さらにより好ましくは5分間以内、最も好ましくは1分間以内に行うことが好ましい。樹脂Jで成形したバレル部材40の収縮とキャップ部材20の収縮との差異をなくし、バレル部材側融着部42とキャップ部材側融着部23の密着強度をより一層増加させるためである。
なお、図示しない射出成形機において、バレル部材側金型60が摺動する摺動部(不図示)のクリアランスを、直径換算で好ましくは5〜15μm、より好ましくは7〜10μm程度とするのがよい。5μm以上であれば摺動部が動作した際に、いわゆる“かじり”が発生することがほとんどなくなり、好適である。
また、樹脂Jをキャビティ51に射出するゲート63を複数設けるのが好ましく、複数設けるゲート63の設置位置としては、ゲート63の位置が対称となるようにするのが好ましい。ゲート63を2つ設ける場合は、対称の位置となるように180度とすることや、ゲート63を3つ設ける場合は、対称の位置となるように120度とすることや、4つ設けるときは対称の位置となるように90度とすることを例示することができる。
(第六工程)
そして、第六工程では、第五工程によって射出した樹脂Jが冷えて硬化したら、射出成形機(図示せず)を操作して型開きを行い、製造された多孔質膜カートリッジ1を取り出す。
[3.多孔質性カートリッジの使用方法]
続いて、多孔質性カートリッジの使用方法について説明する。参照する図6は、本発明に係る多孔質性カートリッジの断面図である。
多孔質性カートリッジ1を用いて、核酸を含む検体から核酸を分離精製する工程は、この工程を自動で行う自動装置を用いて行うことが好ましい。これにより、操作が簡便化および迅速化するだけでなく、作業者の技能によらず一定の水準の核酸を得ることが可能になる。
例えば、前記した自動装置(図示せず)は、多孔質性カートリッジ1のバレル40の開口43aからノズル22の排出口22aへ向けて、核酸を含む試料溶液を、加圧ガスの一例である加圧エアにより通流させることで、多孔質膜30に核酸を吸着させた後、同様に洗浄液Wを通流させて不純物を除去し、続いて、同様に回収液を通流させて多孔質膜30に吸着した核酸を離脱させ、回収液と共に回収する分離精製動作を自動的に行う核酸分離精製装置であって、多孔質性カートリッジ1と試料溶液および洗浄液Wの排出液を収容する廃液容器と核酸を含む回収液を収容する回収容器とを保持する搭載機構と、多孔質性カートリッジ1に加圧エアを導入する加圧エア供給機構と、多孔質性カートリッジ1に洗浄液Wおよび回収液を分注する分注機構とを備えているものを使用することができる。
前記搭載機構は、装置本体に搭載されるスタンドと、このスタンドに上下移動可能に支持され核酸分離精製カートリッジ1を保持するカートリッジホルダーと、このカートリッジホルダーの下方で多孔質性カートリッジ1に対する位置を交換可能に前記廃液容器および前記回収容器を保持する容器ホルダーとを備えてなるものが好適である。
また、前記加圧エア供給機構は、下端部より加圧エアを噴出するエアノズルと、このエアノズルを支持して前記カートリッジホルダーに保持された多孔質性カートリッジ1に対し前記エアノズルを昇降移動させる加圧ヘッドと、この加圧ヘッドに設置され前記搭載機構のラックにおける多孔質性カートリッジ1の位置決めをする位置決め手段とを備えてなるものが好適である。
また、前記分注機構は、洗浄液Wを分注する洗浄液分注ノズルと、回収液を分注する回収液分注ノズルと、前記洗浄液分注ノズルおよび前記回収液分注ノズルを保持し、前記搭載機構に保持された多孔質性カートリッジ1上を順に移動可能なノズル移動台と、洗浄液Wを収容した洗浄液ボトルより洗浄液Wを吸引し、前記洗浄液分注ノズルに供給する洗浄液供給ポンプと、回収液を収容した回収液ボトルより回収液を吸引し、前記回収液分注ノズルに供給する回収液供給ポンプとを備えてなるものが好適である。
本発明において使用できる検体に制限はないが、例えば診断分野においては、検体として採取された全血、血漿、血清、尿、便、精液、唾液等の体液、あるいは植物(またはその一部)、動物(またはその一部)等、あるいはそれらの溶解物およびホモジネート等の生物材料から調製された溶液が対象となる。
最初にこれらの検体について細胞膜および核膜を溶解して核酸を可溶化する試薬を含む水溶液で処理する。これにより細胞膜および核膜が溶解されて、核酸が水溶液内に分散し、核酸を含む試料溶液を得る。例えば、検体が全血の場合、これに塩酸グアニジン、Tris、Triton−X100、プロテアーゼK(SIGMA製)を添加し、60℃で10分インキュベートすることによって赤血球の除去、各種タンパク質の除去、白血球の溶解及び核膜の溶解がなされる。
このようにして得られた試料溶液を、バレル40の中空部43に投入し(図6参照)、ノズル22へ向けて圧力をかけて通流させる。こうすると、試料溶液中の核酸が多孔質膜30に吸着される。
次に、図6に示すように、洗浄液Wをバレル40の開口43aからノズル22へ向けて圧力をかけながら通流させる。この洗浄液Wは、多孔質膜30に吸着した核酸を離脱させずに、不純物を離脱させる組成を有するものである。この洗浄工程において、加圧した際、図6に示すように、多孔質膜30がリブ26の傾斜形状に沿って、ノズル22側に向かって凸状に変形する。これにより、洗浄液Wが、底部21に残留することなく、速やかにノズル22から排出される。
洗浄液Wは、水溶性有機溶媒および塩の双方、または水溶性有機溶媒もしくは塩のうちいずれか1つを含んでいる溶液であることが好ましい。アルコール等の水溶性有機溶媒は、核酸が難溶性であるので、核酸を保持したまま核酸以外の成分を離脱させるのに適している。また、塩を添加することにより、核酸の吸着効果が高まる。
洗浄液Wに含まれる水溶性有機溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン等を用いることができるが、エタノールを用いることが好ましい。また、洗浄液W中に含まれる水溶性有機溶媒は、好ましくは20〜100容量%であり、より好ましくは40〜80容量%である。
また、洗浄液Wに含まれる塩は、ハロゲン化物の塩であることが好ましい。さらには、塩が、一価または二価のカチオンを有し、かつその塩が10mM以上含まれていることが好ましい。より好ましくは、塩が、塩化ナトリウムであり、さらには、この塩化ナトリウムが20mM以上含まれていることが好ましい。
次に、精製蒸留水またはTEバッファ等の回収液をバレル40の開口43aからノズル22へ向けて圧力をかけながら通流させ、核酸を核酸吸着性多孔性膜30から離脱させて流し出し、ノズル22から排出された回収液(核酸を含有する回収液)を回収する。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
射出成形機(住友重機械(社)製SG50)を用いて、キャップ部材、バレル部材および多孔質膜からなる多孔質膜カートリッジをインサート射出成形を行うことで作製した。なお、キャップ部材の内径はφ7mmとした。
多孔質膜カートリッジを成形した材料としては、ポリプロピレンを用いた。また、この多孔質膜カートリッジの中に挟持される多孔質膜は、厚さ70μmのトリアセチルセルロースの表面鹸化物からなる多孔質膜を用いた。
この射出成形機の射出条件は、ポリプロピレンの射出圧力35MPaとした。なお、射出成形機の金型のバレル部材側金型の摺動部のクリアランスは15μmとした。そして、コアピンの先端は円錐状に成形し、その先端の角度は170度とした。
このような条件のもと、サンプルAからサンプルIの多孔質膜カートリッジを作製した。サンプルAからサンプルIは、表1に示すように、バレル部材のバレル部材側融着部の肉厚tを、0.2mm、0.5mm、1mmの3段階で設定し、バレル部材側融着部の長さLを、3mm、7mm、10mmの3段階で設定した。そして、サンプルAからサンプルIのバレル部材側融着部の最小肉厚tminと最大肉厚tmaxの関係(表1においては、「偏肉割合」と称する)は、表1に示すとおり、6〜75%の範囲で適宜に設定した。なお、バレル部材側融着部の最小肉厚tminと最大肉厚tmaxの関係(偏肉割合)は、{(tmax−tmin)/tmax}×100[%]で求めた。
そして、これらサンプルAからサンプルIはそれぞれ同じ条件で5個作製し、これらについて以下の試験を行った。
(a.多孔質膜の破れの有無)
そして、作製した多孔質膜カートリッジのサンプルA〜Iに対して、製造時における多孔質膜の破れの有無を目視にて検査した。検査の結果、表1に示すように、破れのなかったサンプルを良好(「○」)と評価し、破れが発生する場合があったサンプルをやや不良(「△」)と評価し、破れが明確に確認されたサンプルを不良(「×」)と評価した。
(b.密着強度)
また、引張試験機(東洋精機(株)製ストログラフ−R3)を用いて、作製した多孔質膜カートリッジのサンプルA〜Iの長手方向(上下方向)に49N(ニュートン)の引張力を負荷し、キャップ部材とバレル部材の融着部分や、バレル部材側融着部の縁部と挟持面の間に剥離した部分が生じているか否かの確認を行った。
また、引張試験を行った後に、これらのサンプルA〜Iに水溶液(純水)を圧力(1kPa)をかけつつ通流させてこの水溶液が多孔質膜の横を回り込んでいないか確認した。
引張試験および水溶液の横回りの有無の結果を、表1において「密着強度」として評価した。融着部分やバレル部材側融着部の縁部と挟持面の間に剥離した部分が無く、また、水溶液の回り込みが無いサンプルを良好(「○」)と評価し、融着部分やバレル部材側融着部の縁部と挟持面の間に剥離した部分があるものの、水溶液の回り込みが無かったサンプルをやや不良(「△」)と評価し、融着部分やバレル部材側融着部の縁部と挟持面の間に剥離した部分があり、また、水溶液の回り込みが確認されたサンプルを不良(「△」)と評価した。
Figure 0004551174
表1に示すように、サンプルA,B,D,E,G,H,Iは、バレル部材側融着部の肉厚tと、バレル部材側融着部の長さLの関係L/tが、35以下であったので、多孔質膜の破れがなく、また、密着強度も良好「○」という評価結果であった。
サンプルFは、射出成形機のバレル部材側金型の摺動部のクリアランスを15μmとしたときは、多孔質膜の破れが発生する場合があり、やや不良「△」という評価結果であった。また、同じく、水溶液の回り込みは無かったものの、バレルとキャップの融着部分やバレル部材側融着部の縁部と挟持面の間に剥離した部分があったために密着強度は、やや不良「△」という評価結果となった。
ただし、サンプルFは、バレル部材側金型の摺動部のクリアランスを10μmにしたところ、サンプルFの多孔質膜の破れも発生せず良好「○」という評価結果(同評価欄のカッコ内の評価結果)になった。また、密着強度も良好「○」という評価結果(同評価欄のカッコ内の評価結果)となった。
なお、表1には示していないが、サンプルFは、バレル部材側金型の摺動部のクリアランスが15μmの場合であっても、用いるコアピンの円錐状の先端の角度を170度とすることにより、多孔質膜の破れも発生せず、密着強度も良好「○」という評価結果(サンプルFの評価欄のカッコ内の評価結果と同じ評価結果)を得ることができた。
これに対し、サンプルCは、本発明で規定するところの条件を満たしていないので、多孔質膜の破れの有無の評価も密着強度の評価も不良「×」という結果となった。
また、サンプルA〜Iの全般的な傾向として、キャップ部材の成形後1時間以内に多孔質膜をキャップ部材の挟持面に載置してバレル部材のインサート射出成形を行ったところ、キャップ部材の成形後1日放置しておいたサンプルと比較して、偏肉割合が約5%低減していた。また、キャップ部材の成形後1分間以内に多孔質膜をキャップ部材の挟持面に載置してバレル部材のインサート射出成形を行ったところ、キャップ部材の成形後1日放置しておいたサンプルと比較して、偏肉割合が約20%の低減していた。
以上、本発明に係る多孔質膜カートリッジとその製造方法について詳細に説明したが、本発明の趣旨は、前記の発明を実施するための最良の形態や実施例の内容に限定されるものではなく、広く変更・改変して適用することができる。
例えば、多孔質膜カートリッジの製造方法における第二工程では、キャップ部材20の挟持面25に多孔質膜30を配置してインサート材10を作製したが、これに限定されることはなく、キャップ部材側金型50の射出成形型52内に第一工程で形成したキャップ部材20を配置し、このキャップ部材20の挟持面25に当接するように載置してインサート材10を作製することができる。
本発明に係る多孔質膜カートリッジの分解斜視図である。 図1のインサート材の拡大断面斜視図である。 多孔質膜カートリッジと射出成形型の断面図であり、(a)は、インサート材配置時、(b)は型閉じ時の状態をそれぞれ示している。 多孔質膜カートリッジと射出成形型の断面図であり、(a)は、樹脂注入時、(b)は注入完了時の状態をそれぞれ示している。 キャップ部材側金型の射出成形型内の側壁とキャップ部材の外壁との間隙幅と、コアピンと挟持面とが当接する当接幅との関係を説明する図4(b)のA部の拡大断面図である。 本発明に係る多孔質性カートリッジの断面図である。
符号の説明
1 多孔質膜カートリッジ
10 インサート材
20 キャップ部材
20a 外壁
21 底部
21a 開口部
21b 底面
22 ノズル
22a 排出口
23 キャップ部材側融着部
23a 内周面
25 挟持面
26 リブ
30 多孔質膜
30a 周縁部
40 バレル部材
41 バレル本体
42 バレル部材側融着部
43 中空部
43a 開口
44 縁部
50 キャップ部材側金型
51 キャビティ
51a 側壁
52 射出成形型
60 バレル部材側金型
61 コアピン
62 先端部
63 ゲート
J 樹脂
Wk 間隙幅
Wt 当接幅
t 肉厚
max 最大肉厚
min 最小肉厚

Claims (4)

  1. キャップ部材側融着部と多孔質膜を挟持する挟持面とを有するキャップ部材を形成する第一工程と、
    前記第一工程で形成された前記キャップ部材の挟持面に前記多孔質膜を設置してインサート材を作製する第二工程と、
    前記第二工程で作製された前記インサート材をキャップ部材側金型の射出成形型内に配置する第三工程と、
    前記第三工程で配置された前記インサート材の多孔質膜を、前記バレル部材側金型のコアピンで押さえつつ、前記キャップ側金型と前記バレル部材側金型とを密閉してキャビティを形成する第四工程と、
    前記第四工程で前記多孔質膜を押さえている前記コアピンと前記バレル部材側金型とで形成されるキャビティに成形材料を射出することで、キャップ部材側融着部と内接するバレル部材側融着部を有するバレル部材を形成するとともに、前記キャップ部材の挟持面と、バレル部材のバレル部材側融着部の縁部とによって当該多孔質膜を挟持させた多孔質膜カートリッジを製造する第五工程と、
    前記第五工程によって製造された多孔質膜カートリッジを取り出す第六工程と、
    を有する多孔質膜カートリッジの製造方法であって、
    前記第五工程の成形材料の射出時において、前記キャップ部材側金型の射出成形型内の側壁と前記キャップ部材の外壁との間隙幅が、前記コアピンと前記挟持面とが当接する当接幅の70%以下であることを特徴とする多孔質膜カートリッジの製造方法。
  2. 前記コアピンの先端を円錐状にしたことを特徴とする請求項に記載の多孔質膜カートリッジの製造方法。
  3. 前記第一工程から前記第五工程までを1時間以内に行うことを特徴とする請求項または請求項に記載の多孔質膜カートリッジの製造方法。
  4. 前記多孔質膜が、核酸吸着性多孔質膜であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載の多孔質膜カートリッジの製造方法。
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