本発明の一実施形態に係る紙幣処理機(小束紙幣処理機)を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の紙幣処理機11は、図1に示すように、その機体12が略直方体形状をなしており、機体12の操作者側となる正面から見て右側部分が、入金されたバラ紙幣を収納し、収納したバラ紙幣を必要に応じて出金させる図1(c)に示すバラ紙幣処理部13とされる一方、機体12の正面から見て左側部分が、バラ紙幣を所定枚数(100枚)で結束して小束紙幣として収納し、収納した小束紙幣を必要に応じて出金させる図1(b)に示す束紙幣処理部14とされている。ここで、機体12の上部には、これらに共通で、表示を行う液晶画面等の表示部15が正面から見て右側に、操作入力がなされる操作部16が正面から見て左側に設けられている。
図1(c)に示すバラ紙幣処理部13は、機体12の前面12F側の上部に、バラ紙幣が積層状態で投入される入金口21が設けられており、この入金口21の上側に機体12内からバラ紙幣が繰り出されるバラ紙幣出金口22が設けられ、入金口21の下側に機体12内からリジェクト紙幣が繰り出されるリジェクト口23が設けられている。
入金口21には、入金口21に投入されたバラ紙幣を一枚ずつ分離して機体12内に取り込み機体後方に向けて搬送する搬送路26が接続されており、この搬送路26には、入金されたバラ紙幣の金種、真偽、正損、表裏方向および搬送異常の有無の識別と計数とを行う入金識別部27が設けられている。なお、バラ紙幣は、長手方向を機体左右方向に沿わせた姿勢で入金口21に投入されるとともに、常にこの姿勢を維持した状態で機体12内で移動する。
この搬送路26の末端位置には、上下二方向に分岐した後に合流する搬送路28,29が接続されており、これらのうちの下方に分岐した搬送路29からは、さらに搬送路30が分岐し機体前方側に延びてリジェクト口23に接続されている。また、上方に分岐した搬送路28にはバラ紙幣の表裏を反転させる表裏反転部31が設けられている。
搬送路28,29が合流した後の搬送路34は、再び上下二方向に分岐する搬送路35,36に分岐され、下方に延出する搬送路36は、屈曲して機体前方側に延出する。この搬送路36は搬送方向に沿って上流側から順に複数具体的には五方向に分岐しており、各分岐部分の末端位置には、バラ紙幣を集積状態で一時貯留させる一時貯留部44〜48が一対一で接続されている。各一時貯留部44〜48の下方には、一時貯留部44〜48のうち上方のものからバラ紙幣を受け入れて収納するとともに収納した紙幣を最下のものから一枚ずつ出金可能なバラ紙幣収納部51〜55が一対一で設けられている。
他方、上方に延出する搬送路35も屈曲して機体前方側に延出した後、さらに複数方向具体的には二方向に分岐しており、各分岐部分の末端位置には、上下二段に並べられた集積部59,60が一対一で接続されている。
上記したバラ紙幣収納部51〜55は、出金させるバラ紙幣を搬送する搬送路63に接続されており、この搬送路63には、出金されたバラ紙幣の金種、真偽、正損および搬送異常の有無の識別と計数とを行う出金判別部64が設けられている。
この搬送路63の末端位置は、二方向に分岐する搬送路65,66に接続されている。一方の搬送路65は搬送路36に合流しており、他方の搬送路66はさらに二方向に分岐する搬送路67,68に接続されている。これらのうち一方の搬送路67は搬送路35に合流しており、他方の搬送路68はバラ紙幣出金口22に接続されている。この搬送路68の途中位置から搬送路69が分岐しており、この搬送路69は出金リジェクトボックス70に接続されている。
このような構成のバラ紙幣処理部13においては、入金口21に投入されたバラ紙幣を機体12内に収納するバラ紙幣収納処理時および入金口21に投入されたバラ紙幣のうち指定金種の紙幣を結束して小束紙幣とするローカル整理処理時において、入金口21に投入され搬送路26で機体12内に取り込まれたバラ紙幣は、まず入金識別部27で識別されることになる。そして、入金識別部27で真紙幣かつ正紙幣かつ正常搬送の紙幣と識別され所定の表裏方向に向いていると識別されたバラ紙幣は搬送路29に搬送されることになり、入金識別部27で真紙幣かつ正紙幣かつ正常搬送の紙幣と識別され所定の表裏方向に向いていないと判別されたバラ紙幣は搬送路28に搬送されて表裏反転部31で表裏が反転されることで搬送路29に搬送されたものと表裏が取り揃えられる。他方、入金識別部27で真紙幣かつ正紙幣かつ正常搬送の紙幣と識別された紙幣以外のバラ紙幣は搬送路29,30を介してリジェクト口23に返却される。
バラ紙幣収納処理時には、上記のようにして表裏が取り揃えられたバラ紙幣が、搬送路36で金種別に分けられて一時貯留部44〜48の対応する金種のものに送り込まれることになり、一時貯留部44〜48で一時貯留された後、入金識別部27による識別結果の表示部15への表示に基づいて入金確定操作が操作部16に入力されると、金種別に分けられた状態でバラ紙幣収納部51〜55に収納される。他方、ローカル整理処理時には、表裏が取り揃えられたバラ紙幣が、搬送路35によって集積部59,60のいずれかに送られることになる。ここで、各集積部59,60では、それぞれ、送り込まれた紙幣を位置を合わせて所定枚数上下方向に集積させる。
バラ紙幣収納部51〜55に収納されたバラ紙幣を出金させるバラ紙幣出金処理時、バラ紙幣収納部51〜55に収納されたバラ紙幣を結束して小束紙幣とする結束処理時、バラ紙幣収納部51〜55に収納されたバラ紙幣の収納量を確定する精査処理時およびバラ紙幣収納部51〜55のうちの所定のものに収納された混合金種の紙幣を他のものに装填する装填処理時には、バラ紙幣収納部51〜55の少なくとも一つから紙幣を搬送路63に繰り出すことになり、繰り出された紙幣は、まず出金判別部64で判別されることになる。そして、出金判別部64で真紙幣かつ正紙幣かつ正常搬送の出金可能紙幣と判別されたバラ紙幣は、バラ紙幣出金処理時には、搬送路66,68を介してバラ紙幣出金口22に繰り出されることになり、結束処理時には、搬送路66,67,35によって集積部59,60のいずれか一方に送られて集積部59,60のいずれか一方で所定枚数ずつ位置を合わせて集積される。また、精査処理時および装填処理時には、搬送路65,36によって一時貯留部44〜48のうちの対応するものに搬送される。他方、いずれの場合も、出金判別部64で真紙幣かつ正紙幣かつ正常搬送の紙幣と識別された紙幣以外のバラ紙幣は搬送路66,68,69を介して出金リジェクトボックス70に収納される。
上記した集積部59,60の機体前方側には、各集積部59,60において所定枚数集積されたバラ紙幣からなる集積紙幣を集積状態のまま受け取って束紙幣処理部14に移送する機体左右方向に移動可能なバッチ移送部74が設けられている。
図1(b)に示す束紙幣処理部14は、バッチ移送部74で所定の結束位置まで移送された集積紙幣を受け取って結束テープを巻き回す、つまり結束テープで結束する結束処理を行って小束紙幣とする結束部75と、結束部75の機体前方側に設けられて、バッチ移送部74が集積部59,60から集積紙幣を受取可能な位置まで戻った状態で、結束部75から機体左右方向に沿う長手方向位置を一定させて機体前方側に押し出される小束紙幣を一束ずつ受け取り下方に搬送して下流側に受け渡し可能な束受渡部76とを有している。なお、バッチ移送部74は、集積部59,60で結束枚数に満たない端数紙幣を集積部59,60から受け取って直接または結束部75を介して、結束させずにそのまま束受渡部76に受け渡すようになっている。また、結束部75は、ジャム処理等のために機体12の右側面12Rから引出可能となっている。
束紙幣処理部14は、結束部75の下側に機体前後方向に水平移動可能に設けられるとともに束受渡部76から図2にも示すように小束紙幣Wを受け取ってこれを一時貯留可能であってしかも複数の小束紙幣Wを上下方向に集積させた状態で一時貯留可能な略箱状の束振分部(束受取部)80と、束振分部80の下側に図1(b)に示すように機体前後方向に配列されるとともに、束振分部80との間で小束紙幣Wを受け渡し可能であって受け取った小束紙幣Wを複数束収納可能な複数具体的には六つの束カセット(束収納部)81〜86とを有している。なお、束カセット81〜86はすべて機体12に対し着脱可能としても良いが、少なくとも一つの束カセット81のみが機体12に対し着脱可能とされている。
ここで、束カセット81〜86は高さを合わせて機体前後方向に直線状に配列されており、束振分部80は、束カセット81〜86の上側においてこれらの配列方向である機体前後方向(一方向)に水平移動する。このようにして、束振分部80は、集積状態で一時貯留させた複数の小束紙幣Wを搬送する。また、束振分部80は、このように搬送する複数の小束紙幣Wを束カセット81〜86の中から選択されたいずれか一つに一括して受け渡して収納させることが可能となっており、すべての束カセット81〜86に対しこのような複数の小束紙幣Wの一括収納が可能となっている。さらに、束振分部80は、複数の束カセット81〜86のいずれか一つあるいは複数から小束紙幣Wを収納された最上のものから一束ずつ受け取りながら複数束集積状態で貯留可能となっており、すべての束カセット81〜86から小束紙幣Wを受取可能となっている。なお、束振分部80は束カセット81〜86への受け渡しが可能であるとともに束カセット81〜86からの受け取りが可能であるため、束カセット81〜86の間でも小束紙幣Wの移載が可能となっている。
なお、例えば、束カセット81は、小束紙幣Wを機外から装填する装填処理時や機外に回収する回収処理時、さらには在り高を確定する自己精査処理時に用いられ、それ以外の状態では空とされる装填用カセットとなっており、束カセット83〜86は、それぞれが所定の単一の小束紙幣Wを収納する単一金種収納用カセットとなっている。また、束カセット82は、束カセット83〜86のいずれかが満杯になったときに、オーバーフロー分の小束紙幣Wを収納させる(つまり小束紙幣Wを金種混合で収納させる)混合金種収納用カセットとなっている。機体12の小型化のために束カセット82を設けないようにもできる。勿論、これ以外の収納形態としても良い。
さらに、束紙幣処理部14は、機体前面12Fの上部に設けられた上部開口部87と、この上部開口部87の下端側に機体左右方向に沿って設けられた軸88を中心に揺動可能に設けられた開閉板89と、開閉板89を閉状態でロックする図3に示すロック機構79とを有している。ここで、開閉板89は、閉状態で上部開口部87を閉じかつ機体前面12Fを構成する一方、上部を手前に倒すように揺動することで上部開口部87を開く。なお、開閉板89の裏側には上記した束受渡部76が支持可能となっている。
加えて、束紙幣処理部14は、図1(b)に示すように、機体前面12Fの開閉板89よりも下側に設けられ、機体12の前端側に位置する束振分部80から、これに集積状態で貯留された複数束の小束紙幣Wを機外に取り出し、つまり出金可能とする束出金口90と、この束出金口90に上下にスライドするように設けられて束出金口90を開閉させるスライドシャッタ91と、スライドシャッタ91を駆動する図3に示すシャッタ駆動機構94とを有している。
さらに、束紙幣処理部14は、機体前面12Fの束出金口90よりも下側の下部に設けられた機外に開口する放出口92と、放出口92の上端縁部に機体左右方向に沿う軸周りに回転可能に吊り下げられて放出口92を開閉させる揺動シャッタ99と、最も機体前方側の束カセット81よりも機体前方側にあって束受渡部76から受け入れた小束紙幣Wを下部の放出口92から機外に放出させる束放出ダクト93とを有している。この束放出ダクト93の機体前後方向の幅は、小束紙幣Wの厚さよりも広く、かつ小束紙幣Wの短手方向の長さよりも狭くされている。また、この束放出ダクト93は束出金口90の下方に設けられている。
束受渡部76は、上記したように、結束部75からの小束紙幣Wを一束ずつ上下方向に挟持して束振分部80に受け渡すものであり、図4に示すように、機体前面12Fの裏側に昇降可能に設けられたベース部材96と、このベース部材96から機体後方に向けて延出するようにこのベース部材96に水平状態で支持される上下二枚の束押さえガイド板(板部材)97および受皿(板部材)98とを有している。ここで、上側の束押さえガイド板97は、下側の受皿98に近接および離間するようにベース部材96に昇降可能に支持されしかも受皿98に近接する方向に図示略のスプリングで付勢されており、ベース部材96に設けられた図3に示すガイド板駆動機構101で下側から支持されてベース部材96に対し昇降させられる。このガイド板駆動機構101は、束押さえガイド板97に係脱可能とされている。
そして、束受渡部76は、図1(b)に示す結束部75から長手方向位置を一定させて機体前方側に押し出される小束紙幣Wの長手方向中央部を、図2に示すように受皿98および束押さえガイド板97で上下方向から機体後方に抜出可能に挟持する。なお、受皿98および束押さえガイド板97の機体左右方向の幅は小束紙幣Wの長手方向の長さよりも短くされている。
また、下側の受皿98は、束押さえガイド板97よりも機体後方側に突出する長さを有しており、ベース部材96に対し基端側の機体左右方向に沿う図4に示す軸104を中心に下方に回動可能とされている。つまり、受皿98は、ベース部材96に設けられた図3に示す受皿駆動機構105で駆動されて、束押さえガイド板97と平行をなす状態と先端側を束押さえガイド板97から下方に離間させる状態との間で揺動可能となっている。
ベース部材96は、機体12の図1(a)に示す右側面12Rを構成し結束部75が機体12に対し引き出される際に結束部75と一緒に移動する側面板100の内側に設けられた図3に示すベース部材駆動機構108で、受皿98および束押さえガイド板97を結束部75の機体前方側に位置させる上限位置から、下方の束振分部80の機体前方側に位置させる下限位置までの間で上下方向に移動させられる。これにより、小束紙幣Wは、束押さえガイド板97と受皿98とで上下両側から挟持された状態で上下に移送される。なお、このベース部材駆動機構108は、ベース部材96を下方から支持して上方に押し上げるのみであり、束受渡部76は自重で下降する。また、ベース部材駆動機構108は、ベース部材96に対し係脱可能とされている。
なお、ベース部材96は、上限位置にあるとき、図1(b)に示す開閉板89に支持されることになり、開閉板89を手前に開ければ、これと一体に受皿98および束押さえガイド板97を揺動させるようになっている(後述)。これは例えばローカル整理処理のときに、結束されていない端数枚の紙幣を開閉板89を開くことで容易に回収可能とするものである。また、開閉板89を開けることで、機外から機内へ手を挿入可能となり、ジャムが生じた場合に、開閉板89の後側にある結束部75等に対しジャム束等を取り除くことが可能となる。
ただし、開閉板89は、ベース部材96が受皿98を結束部75からの束を受け入れ可能とする上限位置に位置しているときのみ開作動可能とされており、それ以外の位置にベース部材96があるときにはロック機構79で閉状態にロックされている。また、結束部75も、ベース部材96が上限位置に位置しているときのみ引き出し可能とされており、それ以外の位置にベース部材96があるときには閉状態でロックされている。なお、開閉板89が閉状態にある昇降時において束受渡部76は機体前後方向および機体左右方向の位置が一定している。
束振分部80は、図1(b)に示すように、機体上部の結束部75および上限位置にある束受渡部76と、機体下部の複数の束カセット81〜86との間で水平方向に移動可能とされており、下側に位置する状態の束受渡部76から小束紙幣Wを受け取るとともに、受け取った小束紙幣Wを複数束同時に一時貯留可能となっている。また、束振分部80は、一時貯留させている複数束の小束紙幣Wを複数の束カセット81〜86のいずれかに選択的に一括収納可能であって、さらには、複数の束カセット81〜86のいずれか一つまたは複数から、小束紙幣Wを一束ずつ受け取り可能となっている。加えて、束振分部80は、一時貯留させている複数束の小束紙幣Wを機体前面12Fに開閉可能に設けられた束出金口90から出金可能とされている。
束振分部80は、図2および図4に示すように、略箱状の貯留部枠体111と略板状の繰出収納体112とを有している。貯留部枠体111と繰出収納体112とは、図3に示す貯留部枠体駆動機構113と繰出収納体駆動機構114とによりそれぞれ独立して機体12の前後方向に往復移動可能となっている。なお、貯留部枠体111は、高さ位置および機体左右方向の位置を一定させた状態で機体前後方向にのみ水平移動する。繰出収納体112も高さ位置および機体左右方向の位置を一定させた状態で機体前後方向にのみ水平移動する。
貯留部枠体111は、図4(a)に示すように、機体左右方向に対し直交するとともに機体左右方向に離間して配置される一対の側壁部116と、機体前後方向に対し直交するとともにこれら側壁部116を機体後方側で結ぶ内壁部117とを有しており、側壁部116同士の間であって内壁部117よりも機体前方側に、複数束の小束紙幣Wを長手方向を機体左右方向に沿わせた水平姿勢で上下方向に集積させて貯留可能な貯留空間118が形成されている。貯留空間118は機体前方側つまり図4(b)に示す束出金口90側の前方開口部121において図4(a)に示すように機体前方側に開口しており、下方つまり束カセット81〜86側の図4(b)に示す下方開口部122において下方に開口している。これら前方開口部121および下方開口部122は、それぞれ小束紙幣Wを出入りさせることが可能な大きさに形成されている。
図4(a)に示すように、貯留部枠体111の前方開口部121の左右両側には鉛直方向に沿う軸125が配設されており、これら軸125にはそれぞれ背板(扉)126が軸125を中心に回転可能に支持されている。これら背板126は、軸125から相互近接方向に延出して前方開口部121を狭める閉状態と、軸125から機体前方側つまり束出金口90の方向に延出して前方開口部121を広げる開状態との間で、図3に示す背板駆動機構127によって揺動させられる。
なお、このように開閉可能とされた両背板126の間隔は、両背板126が前方開口部121の一部を閉じる閉状態にあるとき、前方開口部121の残りの開口部分が、束受渡部76の受皿98および束押さえガイド板97に挟持された小束紙幣Wを機体前後方向に通過させることが不可であって、しかもこれら受皿98および束押さえガイド板97を出入りさせることが可能であり、他方、両背板126が開状態にあるとき、前方開口部121が、束受渡部76の受皿98および束押さえガイド板97に挟持された小束紙幣Wを機体前後方向に通過させることが可能な大きさに設定されている。これにより、束振分部80は、小束紙幣Wを貯留空間118に対し機体前後方向において、出し入れしたり、貯留空間118に保持したりすることができるようになっている。
図4(b)に示すように、貯留部枠体111の下側には、下方開口部122を開閉させる底板131が、貯留部枠体111に設けられた図3に示す底板駆動機構132で貯留部枠体111に対して側方移動可能、具体的には機体前後方向に水平移動可能に設けられている。また、貯留部枠体111には、その貯留空間118内を上下に昇降可能であって底板131との間で貯留空間118の小束紙幣Wを挟持可能な貯留束押さえ板135が設けられている。この貯留束押さえ板135は、底板131の方向つまり下方に図示略のスプリングで付勢されており、貯留部枠体111に設けられた、貯留束押さえ板135に対し係脱可能な図3に示す貯留束押さえ板駆動機構136で下側から支持されて昇降する。
なお、底板131は、貯留部枠体111の下方開口部122を全面的に塞ぐことが可能な大きさとされており、貯留部枠体111に対し機体前方側に移動することで下方開口部122を開放させる。また、底板131の後端縁部には、端側ほど高さが低くなるように傾斜する傾斜面138が形成されている。
貯留束押さえ板135は、図4(a)に示すように、機体前方側つまり前方開口部121側の端縁部に凹状の切欠部139が形成されており、この切欠部139は、受皿98の先端部を上下に通過させることが可能な大きさとされている。
そして、束振分部80は、これら貯留束押さえ板135および底板131の間に小束紙幣Wを上下に積み重ねるようにして収納させた状態で機体前後方向に水平に移動することになるが、貯留束押さえ板135には、その高さ位置を検出する図3に示す束押さえ板高さセンサ140が設けられている。この束押さえ板高さセンサ140が貯留空間118内の最上の小束紙幣Wの高さを検出することになり、これに基づいて貯留空間118内の小束紙幣Wの数を正確に把握可能になっている。
図4(b)に示すように、貯留部枠体111の内壁部117の貯留空間118とは反対つまり機体後方側に隣接空間143が形成されている。この隣接空間143の上部には下方に画像検出方向を向けたCCDカメラ(金種判別手段,画像検出手段)144が貯留部枠体111に固定された状態で設けられている。この隣接空間143は下方に開口する下方開口部145を有しており、この下方開口部145を閉塞可能となるように上記した繰出収納体112が水平移動可能に設けられている。つまり、繰出収納体112は、底板131の下部開口部122の開放時移動方向である機体前方側に対し反対の機体後方側に設けられている。この繰出収納体112は、束カセット81〜86に収納された最上位置の小束紙幣Wを、貯留束押さえ板135または貯留空間118に既に貯留されている最下の小束紙幣Wと底板131との間に押し込むものである。
なお、内壁部117の下端部の高さは、底板131の上面の高さよりも小束紙幣Wの一つ分の厚さに相当する高さ分高くなっており、これにより、内壁部117の下側は貯留空間118と隣接空間143とを水平方向に連通させる連通開口部148とされている。つまり、この連通開口部148によって、小束紙幣Wを一束だけ貯留空間118と隣接空間143との間で出入りさせることが可能となっている。この連通開口部148は、繰出収納体112が隣接空間143の下方開口部145を閉塞させた状態にあるとき、この繰出収納体112の機体前方側つまり束出金口90側の前端面112Fで閉塞される。ここで、貯留空間118における内壁部117の下端部よりも下側であって、連通開口部148と同じ高さ位置に、機体前後方向において連通開口部148側に近接して、小束紙幣Wを検出する光学式の繰出センサ149が設けられている。つまり、繰出収納体112は連通開口部148を介して小束紙幣Wを貯留空間118内に押し込むことになるため、この繰出収納体112の押し込み方向の前方に繰出センサ149が設けられている。
繰出収納体112は、やや厚みのある略板状に形成された部材で、水平に配置されており、その略中央位置には上下方向に貫通する図2に示す窓部150が形成されている。ここで、上記したCCDカメラ144は、この窓部150を介して繰出収納体112の直下の画像を検出可能となっている。
また、繰出収納体112の束出金口90側の下面側には、図5に示すように、上方に凹む凹部152が形成されていて、この凹部152には、この凹部152内に収納可能であってこの凹部152から下方に延伸可能なパンタグラフ式の伸縮駆動機構153が設けられている。この伸縮駆動機構153は、下端部に水平に配置される押圧板154を有しており、この押圧板154をその下面を繰出収納体112の下面と面一にする状態から水平状態を維持したまま常に決められた所定距離だけ下方に移動させる。
複数の束カセット81〜86は、同一の構成となっている。束カセット81〜86は、図4に束カセット81〜83のみを例示するが、小束紙幣Wを長手方向を機体左右方向に沿わせた水平姿勢で上下方向に集積させて収納可能な収納空間158が形成された箱体159を有しており、箱体159の上部には、収納空間158を上方つまり束振分部80側に開口させる上方開口部160が形成されている。この上方開口部160は、小束紙幣Wを水平姿勢で上下に出入りさせることが可能な大きさに形成されている。
箱体159の上部には、上方開口部160の機体前後方向の両側に機体左右方向に沿う軸164が配設されており、これら軸164にはそれぞれ収納束押さえ爪165が軸164を中心に回転可能に支持されている。これら収納束押さえ爪165は、図3に示す収納束押さえ爪駆動機構166によって、軸164から相互近接方向に延出し略同一平面上に配置されて上方開口部160を狭める閉状態と、軸164から上方に延出して上方開口部160を広げる開状態との間で揺動させられる。
ここで、両収納束押さえ爪165の間隔は、両収納束押さえ爪165が上方開口部160の一部を閉じる閉状態にあるとき、上方開口部160の残りの開口部分が、水平姿勢の小束紙幣Wを通過させることが不可であり、他方、両収納束押さえ爪165が開状態にあるとき、上方開口部160が、水平姿勢の小束紙幣Wを通過可能な間隔に設定されている。
箱体159の内部の収納束押さえ爪165よりも下側には、収納空間158内に収納された小束紙幣Wを下側で支持する束載置板169が水平に配置されている。この束載置板169は水平に配置された状態を維持しながら図2に示すスライド軸171に沿って昇降可能とされており、図3に示す束載置板駆動機構170で昇降駆動される。なお、束載置板駆動機構170は駆動伝達系に摩擦クラッチを含んでおり、滑りが可能となっている。そして、図示略のスプリングが束載置板169をその高さ位置を保持し得る程度の付勢力で上方に付勢するようになっており、摩擦クラッチの負荷を軽減するようになっている。このような束カセット81〜86は、束振分部80から一括して受け渡される集積状態の小束紙幣Wを集積状態のまま束載置板169上に直接または既に収納されていた小束紙幣Wを介して収納させる。また、束載置板169は、箱体159の内部の両収納束押さえ爪165が開状態にあるとき、両収納束押さえ爪165の高さ位置を越えて、繰出収納体112の直下に相当する高さ位置まで、その上面が位置するように上昇可能となっていて、これにより、束載置板169上に収納されていた最後の一束までも、束振分部80に受け渡すことができるようになっている。
なお、束カセット81〜86を機体12に対し着脱可能な着脱式とした場合、箱体159の上部に上方開口部160を完全に閉塞可能なシャッタを設けて、束カセット81〜86を機体12に装着した際にこのシャッタが自動的に開き、束カセット81〜86を機体12から取り外した際にこのシャッタが自動的に閉じるようにするのが良い。
図4(b)に示すように、束放出ダクト93は、上下方向に延在しており、その下端部には機体前方側ほど下側に位置するように傾斜する図示は略すが櫛歯状をなす傾斜板174が取り付けられている。この傾斜板174の下端部は機体前面12Fの放出口92の下端部と連続している。この束放出ダクト93は、束放出ダクト93の機体前方側において機体前後方向に対し直交するように配置される板部175とこの板部175の上端縁部から機体後方に突出する上板部176とを有する補助板177と、束放出ダクト93内において補助板177の板部175の機体後方側で水平延在するとともに傾斜板174を通過可能な櫛歯状の台板部178とこの台板部178の機体後方側の端縁部から下方に突出する板部179とを有するリフト180とを有している。
補助板177は、図3に示す補助板駆動機構183によって、上板部176を束カセット81〜86の上端部よりも上側に位置させる上限位置と、上板部176を束カセット81〜86の上端部と略同高さに位置させる下限位置との間で昇降可能とされている。ここで、補助板177は、下方に図示略のスプリングで付勢されており、補助板177に対し係脱可能な補助板駆動機構183で下側から支持されて昇降する。また、リフト180は、図3に示すリフト駆動機構184によって、台板部178を束カセット81〜86の上端部と同高さにする上限位置と、台板部178を傾斜板174より下側に位置させる下限位置との間で昇降可能とされている。
図3に示すように、上記したロック機構79、シャッタ駆動機構94、ガイド板駆動機構101、受皿駆動機構105、ベース部材駆動機構108、貯留部枠体駆動機構113、繰出収納体駆動機構114、背板駆動機構127、底板駆動機構132、貯留束押さえ板駆動機構136、伸縮駆動機構153、収納束押さえ爪駆動機構166、束載置板駆動機構170、補助板駆動機構183およびリフト駆動機構184の各駆動機構は、制御部185に接続されており、制御部185でそれぞれの駆動が制御される。また、束押さえ板高さセンサ140、CCDカメラ144および繰出センサ149も、制御部185に接続されている。なお、特に記載していない場合であっても、各駆動機構には、駆動源および可動部分の作動を制御するための位置検出センサ等が適宜設けられている。
「入金時一時貯留処理」
以上のような束紙幣処理部14においては、バラ紙幣収納部51〜55に収納されたバラ紙幣を結束して小束紙幣Wとする結束処理時において、結束部75で結束された小束紙幣Wを複数束同時に束振分部80に一時貯留させることができる。この作動について説明する。
まず、制御部185は、束受渡部76および束振分部80を図6(a)に示すような受入待機状態とする。この受入待機状態で、束受渡部76は、ベース部材96が上限位置にあり受皿98が水平配置され束押さえガイド板97が上限位置にある。つまり、図1に示す結束部75の機体前方側において受皿98と束押さえガイド板97とが離れている。
束振分部80は、受入待機状態において、貯留部枠体111が機体前方側の前端位置よりも若干後であってその前端部を最も機体前方側の束カセット81の中間部上方に位置させる所定の受入待機位置にあり、繰出収納体112が貯留部枠体111に対して連通開口部148に進入しその機体前方側の前端面112Fを内壁部117の貯留空間118側の面に合わせる基本位置にある。さらに、底板131が貯留部枠体111に対して貯留空間118の下方開口部122を閉塞させる基本位置にあり、貯留束押さえ板135が下降していて小束紙幣Wがないことから底板131に当接している。加えて、閉状態が基本状態である両背板126が機体前方側に延出する開状態とされている。なお、このとき、補助板177は束カセット81〜86と略同高さの下限位置である基本位置にあり、リフト180はその上端部の高さを補助板177の下端部に合わせた基本位置にある。
束カセット81〜86は、受入待機状態において、収納した小束紙幣Wがある場合には閉状態にある収納束押さえ爪165と束載置板169とで小束紙幣Wを挟持しており、収納した小束紙幣Wがない場合には閉状態にある収納束押さえ爪165と束載置板169とを近接または当接させている。
以上のような受入待機状態で、制御部185が、結束された一束目の小束紙幣Wを長手方向を機体左右方向に沿わせた水平姿勢で結束部75から機体前方に押し出させると、小束紙幣Wは、図6(a)に示すように束受渡部76の受皿98上に載置される。次に、制御部185は、図3に示すガイド板駆動機構101によって束押さえガイド板97を下降させる。すると、自重および図示略のスプリングの付勢力で束押さえガイド板97が小束紙幣Wを受皿98に押し付けてこれを受皿98とで挟持する。
そして、制御部185は、図6(b)に示すように、図3に示すベース部材駆動機構108で束受渡部76のベース部材96を、下方に移動させ、束受渡部76を束振分部80の位置まで下降させる。すると、束受渡部76の束押さえガイド板97および受皿98が、束振分部80の両背板126の間で下降し、受皿98が受入待機位置にある貯留部枠体111に対し基本位置にある底板131上に載置される。この状態で、受皿98の先端部は、底板131上の貯留束押さえ板135の切欠部139内に進入しており、小束紙幣Wが機体前後方向において底板131に一部重なり合っている。その後、制御部185は、貯留束押さえ板駆動機構136を駆動して貯留束押さえ板135を上限位置まで上昇させる。
次に、制御部185は、図7(a)に示すように、繰出収納体112は停止させたままで、図3に示す貯留部枠体駆動機構113を駆動して、束振分部80の貯留部枠体111を背板126の軸125の機体前後方向の位置が小束紙幣Wの機体前方側の端部に略重なる受入位置まで前進させて停止させる。すると、束受渡部76に挟持された小束紙幣Wが背板126の後側に位置する。続いて、図7(b)に示すように、図3に示す背板駆動機構127で両背板126を相互近接側に揺動させて閉状態とする。これにより、束押さえガイド板97の自重およびスプリングの付勢力により束押さえガイド板97および受皿98で挟持されていた小束紙幣Wが、両背板126で押圧されて機体後方側にずれて貯留部枠体111の貯留空間118に全体が押し込まれた状態になり、貯留部枠体111および閉状態の両背板126で抱え込まれることになる。
次に、制御部185は、図3に示す貯留束押さえ板駆動機構136を駆動して貯留束押さえ板135を下降させることになり、これにより、貯留束押さえ板135は自重および図示略のスプリングの付勢力で束受渡部76の束押さえガイド板97に上から当接する。次いで、制御部185は、図8(a)に示すように、図3に示す貯留部枠体駆動機構113を駆動して、束振分部80の貯留部枠体111を、受入待機位置よりも機体後方側であって閉状態の背板126が束受渡部76よりも機体後方側に位置する捕捉位置まで後退させて停止させる。なお、制御部185は、後退中に貯留部枠体111が受入待機位置に達した時点でそれまで停止していた繰出収納体112を貯留部枠体111と一体に後退させるように図3に示す繰出収納体駆動機構114を制御する。このようにして貯留部枠体111および繰出収納体112が捕捉位置まで後退する間に、閉状態の背板126で機体前方側が押さえられた小束紙幣Wは貯留空間118に留まるように貯留部枠体111および繰出収納体112とともに後退し、束受渡部76の束押さえガイド板97および受皿98間から抜き取られて底板131上に受け渡される。その結果、貯留空間118内において自重および図示略のスプリングの付勢力で貯留束押さえ板135が小束紙幣Wを底板131に押し付けてこれを底板131とで挟持する。つまり、束振分部80は、小束紙幣Wを背板126で束受渡部76から抜き取って貯留空間118内で底板131上に受け取る。
次に、制御部185は、図8(b)に示すように、図3に示すベース部材駆動機構108で束受渡部76のベース部材96を上限位置まで上昇させた後、ガイド板駆動機構101で束押さえガイド板97を上限位置まで上昇させる。つまり、束受渡部76を受入待機状態に戻す。次いで、制御部185は、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に位置させ貯留部枠体111で小束紙幣Wを一時貯留させた状態のまま、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114を駆動して、束振分部80を受入待機位置に戻し、背板駆動機構127を駆動して、図9(a)に示すように、両背板126を開状態とする。つまり、束振分部80を受入待機状態に戻す。
以上により、一束目の小束紙幣Wの一時貯留が終了する。
続けて、結束部75で結束された次の小束紙幣Wつまり二束目の小束紙幣Wを束振分部80に一時貯留させる場合には、制御部185は、上記と同様の作動を繰り返す。つまり、結束部75で結束された小束紙幣Wを押し出させて束受渡部76の受皿98上に載置させ、束押さえガイド板97を下降させた後、図9(b)に示すように、束受渡部76のベース部材96を下降させる。すると、この場合は、束押さえガイド板97および受皿98が、両背板126の間で下降し、受皿98が束振分部80に既に貯留されている小束紙幣W(複数ある場合最上位置のもの)の上に、貯留束押さえ板135の切欠部139内に進入しつつ載置される。この状態で、束受渡部76に挟持された小束紙幣Wが、束振分部80に既に貯留されている小束紙幣Wに機体前後方向において一部が、機体左右方向において全部が重なり合う状態となる。その後、制御部185は、貯留束押さえ板135を上限位置まで上昇させる。
次に、制御部185は、図10(a)に示すように、束振分部80の貯留部枠体111を受入位置まで前進させて停止させる。これにより、束受渡部76に挟持された小束紙幣Wが束振分部80に既に受け取られて貯留された小束紙幣Wの上側かつ背板126の後側に位置する。この状態で、両背板126を閉状態とする。これにより、束押さえガイド板97および受皿98で挟持されていた小束紙幣Wが両背板126で押圧されて貯留空間118に全体が押し込まれる。次いで、制御部185は、貯留束押さえ板135を下降させて束押さえガイド板97に当接させた後、図10(b)に示すように、束振分部80の貯留部枠体111および繰出収納体112を捕捉位置まで後退させて停止させる。これにより、束受渡部76に挟持された小束紙幣Wは、閉状態の背板126で貯留空間118に留まるように後退させられて、束受渡部76から抜き取られ、既に一時貯留状態にある小束紙幣W(複数ある場合最上位置のもの)の上に載せられ、すべての小束紙幣Wが貯留束押さえ板135と底板131とで挟持される。つまり、束振分部80は、小束紙幣Wを背板126で束受渡部76から抜き取って既に受け取った小束紙幣Wの上側に受け取る。
次に、制御部185は、図11(a)に示すように、束受渡部76を上方の受入待機状態に戻した後、束振分部80の貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に位置させ貯留部枠体111に小束紙幣Wを一時貯留させた状態のまま、束振分部80を受入待機位置に戻し、図11(b)に示すように、両背板126を開状態とする。つまり、束振分部80を受入待機状態に戻す。
そして、必要に応じて上記を繰り返すことによって、貯留空間118にその貯留限界数(例えば八束)までの範囲で、小束紙幣Wを集積状態で一時貯留させることになる。
「収納処理」
束紙幣処理部14では、バラ紙幣収納部51〜55に収納されたバラ紙幣を結束して小束紙幣Wとする結束処理時において、上記のようにして束振分部80に一時貯留された複数束の小束紙幣Wが同一金種である場合、これを一括して、金種別の束カセット83〜86のうちの対応する金種のものに収納させることができる。勿論、複数金種である場合あるいは単一金種であっても混合金種用の束カセット82に一括して収納させることもできる。この作動について束カセット83に小束紙幣Wを収納する場合を例にとり説明する。
制御部185は、図11(b)に示すように受入待機状態にある束振分部80に対し、図3に示す背板駆動機構127を駆動して背板126を閉状態とした後、貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114の駆動により、図12(a)に示すように、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、貯留空間118を収納させるべき所定の束カセット83の収納空間158の鉛直上方に位置させる収納位置まで水平移動させるとともに、これと並行して、束カセット83の図3に示す収納束押さえ爪駆動機構166を駆動して、両収納束押さえ爪165を揺動させて開状態とする。次に、制御部185は、束カセット83の図3に示す束載置板駆動機構170の駆動によって束載置板169を上昇させて、図12(b)に示すように、束カセット83に既に収納してあった小束紙幣Wまたは束載置板169を、束振分部80の底板131の直下に位置させ底板131に当接させる。このときの束載置板169の上昇量は収納束押さえ爪165で既定位置に位置させられていた最上位置の小束紙幣Wが底板131に当接するのに十分な距離分束載置板駆動機構170を駆動することになり、余分な駆動量分は摩擦クラッチの滑りで吸収する。次いで、制御部185は、図3に示す繰出収納体駆動機構114を駆動して、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を若干の所定距離機体後方側の逃げ位置に後退させる。なお、上記した一時貯留作動の際に、同時に一時貯留させる複数の小束紙幣Wのうち最後の小束紙幣Wを束振分部80に一時貯留させた後に、制御部185は、束受渡部76を受入待機状態に戻すものの、束振分部80は受入待機状態に戻さずに直接、その貯留空間118を収納させるべき所定の束カセット83の収納空間158の鉛直上方に位置させても良い。
次に、制御部185は、図3に示す底板駆動機構132を駆動して、図13(a)に示すように、基本位置にあった底板131を貯留部枠体111に対し機体前方側に側方移動させて、貯留空間118の下方開口部122を全開放させる全開放位置に位置させる。すると、束振分部80の貯留空間118に一時貯留されていたすべての小束紙幣Wが、背板126で機体前方への移動が規制され、貯留束押さえ板135とともに、束カセット83に既に収納されていた小束紙幣Wまたは束載置板169の上に重ねられることになり、すべての小束紙幣Wが束振分部80の貯留束押さえ板135と束カセット83の束載置板169とで挟持される。
次に、制御部185は、貯留束押さえ板135の高さ位置をモニタしつつ、図3に示す束載置板駆動機構170を駆動して、図13(b)に示すように、束カセット83の束載置板169を、束振分部80の繰出収納体112の下面よりも若干下側の所定位置に位置するまで貯留束押さえ板135および小束紙幣Wとともに下げる。このとき、最上位置の小束紙幣Wの上面は、繰出収納体112内に収納状態にある図5に示す伸縮駆動機構153よりも若干下側に位置することになる。その後、図3に示す繰出収納体駆動機構114を駆動して、逃げ位置にあった繰出収納体112を機体前方側に所定距離移動させて貯留部枠体111に対し基本位置に戻す。ここで、上記のように、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を逃げ位置に一時的に後退させるのは、小束紙幣Wの下降を円滑に行うためである。
次に、制御部185は、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114を駆動して、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体に機体前方側に所定距離移動させる。すると、図14(a)に示すように、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの上で貯留束押さえ板135も機体前方側に所定距離移動することになり、この最上位置の小束紙幣Wの機体前方側の一部に掛かる状態になるとともに、繰出収納体112の機体前方側の部分が、この最上位置の小束紙幣Wの機体後方側の部分を上から覆う状態になる。
次いで、制御部185は、図14(b)に示すように、貯留部枠体111とともに移動した繰出収納体112に収納されていて束カセット83の最上の小束紙幣Wの上側に位置する伸縮駆動機構153を駆動してその押圧板154を既定量下降させ、この押圧板154によって、束カセット83のすべての小束紙幣Wおよび束載置板169を束載置板駆動機構170の摩擦クラッチを滑らせながら束カセット83の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む。このとき、束載置板駆動機構170のモータは停止状態が維持されている。その後、束カセット83において、図3に示す収納束押さえ爪駆動機構166を駆動して収納束押さえ爪165を閉状態とする。また、これらに並行して、底板駆動機構132を駆動して底板131を貯留部枠体111に対して下方開口部122を閉塞させる基本位置に戻す。その後、図15に示すように、伸縮駆動機構153を繰出収納体112に収納させるとともに、図3に示す束載置板駆動機構170を駆動して、束載置板169を上昇させ、最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させる。このときも、束載置板駆動機構170を当接に十分な所定量駆動し、不要な駆動量分は束載置板169の摩擦クラッチが滑ることで吸収する。これにより、小束紙幣Wを閉状態の収納束押さえ爪165と束載置板169との間に挟持させる。
ここで、上記において、貯留束押さえ板135の高さを束押さえ板高さセンサ140でモニタしつつ束載置板169を下降させて最上の小束紙幣Wを伸縮駆動機構153の下側まで下降させ、その後は、伸縮駆動機構153で決められた高さ位置まで最上の小束紙幣Wを下降させることで、束カセット83の収納束押さえ爪165より下側に最上の小束紙幣Wを位置させる。このようにして、複数ある束カセット81〜86側の束載置板169の高さを直接モニタせずに、一つの束振分部80の束押さえ板高さセンサ140のみで対応する。
以上のようにして、束振分部80に一時貯留されていた複数の小束紙幣Wを一度に、束カセット81〜86の対応する一つに収納させることができる。勿論、束振分部80に一つの小束紙幣Wのみが一時貯留されていた場合も、上記作動を行うことで、これを束カセット81〜86の対応する一つに収納させることができる。
なお、制御部185は、図12〜図14までの状態で、束カセット83の機体後方側の上端部と繰出収納体112の下面との隙間を閉塞させるように、束カセット83の収納空間158の機体後方側を画成する内面部分から境界爪を上方に突出させるようにしても良い。
また、異なる金種の複数の小束紙幣Wを束カセット82に金種混合で収納させる場合には、上記と同様に、束振分部80への一時貯留および束カセット82への収納を複数束について一度に行うことができるが、異なる金種の小束紙幣Wを金種別の束カセット83〜86に金種別に収納させる場合は、束振分部80への一時貯留および束カセット83〜86の対応するものへの収納を、金種別に行うことになる。
ここで、入金と同時に結束を行う入金時同時結束処理時においては、バラ紙幣処理部13の入金口21に投入されたバラ紙幣を入金識別部27の識別結果に基づいて集積部59,60に送り、所定枚数集積されたところでバッチ移送部74で束紙幣処理部14に移送して結束部75で結束させて束受渡部72から束振分部80に一時貯留させた後、束カセット81〜86の対応するものに収納させることになる。このとき、制御部185は、入金口21に投入されたバラ紙幣全体の入金額が確定するまで、このバラ紙幣から作成された小束紙幣Wを束振分部80に一時貯留させた状態で待機させ、バラ紙幣全体の入金額が確定した後に、束カセット81〜86の対応するものに収納させるようになっている。これにより、入金時同時結束処理時においても、新たに入金時に結束した小束紙幣Wと、既に入金済みの紙幣とを明確に区別することができる。そして、束振分部80に一時貯留させた小束紙幣Wは後述する出金処理と同様にして束出金口90から返却可能となっている。
「出金時一時貯留処理」
束紙幣処理部14では、金種別の束カセット83〜86に収納された小束紙幣Wを出金させる出金処理時において、束カセット83〜86に収納された小束紙幣Wを束振分部80に繰り出させることになるが、この場合も、束振分部80に複数束の小束紙幣Wを保持可能である。この作動について束カセット83から小束紙幣Wを繰り出す場合を例にとり説明する。
制御部185は、例えば受入待機状態にある束振分部80に対し、図3に示す背板駆動機構127を駆動して背板126を閉状態とした後、貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114の駆動により、図16(a)に示すように、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、貯留部枠体111の貯留空間118を繰り出しを受ける所定の束カセット83の収納空間158の鉛直上方に対し所定量機体前方側にずれて位置させる受入位置まで水平移動させる。また、制御部185は、これと並行して、図3に示す底板駆動機構132を駆動して、基本位置にあった底板131を貯留部枠体111に対し機体前方側に移動させて、貯留空間118の下方開口部122の機体後方側を所定量開放させる中間開放位置に位置させる。この状態で、貯留部枠体111の貯留空間118および繰出収納体112の両方が繰り出しを行う束カセット83の鉛直上方に位置する状態となり、底板131は下方開口部122の繰出収納体112側の一部を開放させ、束カセット83の収納空間158に対し退避した状態になる。また、この状態で束カセット83の収納空間158の鉛直上方には、機体前方側の一部に貯留束押さえ板135が、残りの部分に繰出収納体112が配置された状態になる。
次に、制御部185は、図3に示す収納束押さえ爪駆動機構166を駆動して、束カセット83の両収納束押さえ爪165を揺動させて開状態とした後、貯留束押さえ板135の高さ位置を束押さえ板高さセンサ140でモニタしつつ束載置板駆動機構170を駆動して、図16(b)に示すように、束カセット83の束載置板169を上昇させる。すると、束カセット83に収納してあった最上位置の小束紙幣Wが貯留束押さえ板135に当接してこれを押し上げることになる。制御部185は、この貯留束押さえ板135の高さ位置が、束カセット83に収納してあった最上位置の小束紙幣Wが繰出収納体112に略当接する直下位置にあると判定できる初期上昇位置まで束載置板169を上昇させる(前段上昇作動)。この状態で、繰出収納体112の図2に示す窓部150を介してCCDカメラ144で繰出収納体112の直下に位置する最上位置の小束紙幣Wの表面パターンの画像を検出し、その金種等を判別する。この判別時に、CCDカメラ144で繰出収納体112の窓部150を介して小束紙幣Wの所定の表面パターンあるいは束載置板169が検出された場合に、制御部185は束載置板169が良好に上昇したことを確認する。つまり、制御部185は、このとき、小束紙幣Wの所定の表面パターンおよび束載置板169のいずれも検出されない場合は、小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
次いで、制御部185は、図3に示す繰出収納体駆動機構114を駆動して、図17(a)に示すように、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を小束紙幣Wよりも機体後方側にずれる繰出後退位置まで後退させる。その後、制御部185は、貯留束押さえ板135の高さ位置をモニタしつつ図3に示す束載置板駆動機構170を駆動して、図17(b)に示すように、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wが貯留部枠体111の内壁部117の下面に当接すると判定できる繰出上昇位置に貯留束押さえ板135を位置させるように束載置板169を略一束分上昇させる。その結果、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wのやや上部側よりに、後退した繰出収納体112が高さを合わせる(上下方向の位置を重ね合わせる)ことになる(後段上昇作動)。
上記前段上昇作動前の状態から後段上昇作動後の状態になると、図20(a)に示すように、貯留部枠体111の貯留空間118の下部に設けられた繰出センサ149が、貯留束押さえ板135で遮光された状態から、図20(b)に示すように遮光されず前方に何も検出しない状態となる。このため、これを検出することで、制御部185は小束紙幣Wが良好に上昇したことを確認する。他方、後段上昇作動後に繰出センサ149が遮光された状態であるとき、つまり束載置板169を上昇させた後に繰出センサ149で小束紙幣Wあるいは貯留束押さえ板135が検出されていると、制御部185は小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
また、この後段上昇作動によって、制御部185は、図3に示す載置板駆動機構170を所定時間駆動する間に束載置板169が上昇量として許容された所定の許容範囲内で上昇したことでも、小束紙幣Wが良好に上昇したことを確認する。つまり、束載置板169の上昇量が所定の許容範囲から外れていると、制御部185は小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
その後、制御部185は、繰出収納体駆動機構114を駆動して、図18(a)に示すように、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112の前端面112Fが最上位置の小束紙幣Wのみに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。すると、最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた貯留束押さえ板135と底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる(繰出作動)。このようにして束振分部80の最下位置に貯留された小束紙幣Wは、束カセット83の次に最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、この最上位置の小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。
この繰出作動後、図21(a)に示すように、貯留部枠体111の貯留空間118の下部に設けられた繰出センサ149が遮光されて小束紙幣Wが前方にあることを検出することで、制御部185は小束紙幣Wが良好に貯留空間118に繰り出されたことを確認する。つまり、繰出センサ149が小束紙幣Wを検出しないと、制御部185は、小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
続いて、束カセット83における最上位置の小束紙幣Wを束カセット83から束振分部80に繰り出させる場合には、制御部185が、上記前段上昇作動と同様にして、図21(b)に示すように、貯留束押さえ板135の高さ位置をモニタしつつ図3に示す束載置板駆動機構170を駆動し束カセット83の束載置板169を上昇させて、束カセット83に収納してあった最上位置の小束紙幣Wで貯留空間118に収納された最下位置の小束紙幣Wおよび貯留束押さえ板135を押し上げることになる。制御部185は、この貯留束押さえ板135の高さ位置が、束カセット83に収納してあった最上位置の小束紙幣Wが繰出収納体112に略当接する直下位置にあると判定できる初期上昇位置まで束載置板169を上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で繰出収納体112の直下に位置する束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの表面パターンの画像を検出し、その金種等を判別する。この判別時にも、CCDカメラ144で窓部150を介して小束紙幣Wの所定の表面パターンあるいは束載置板169が検出された場合に、制御部185は小束紙幣Wが良好に上昇したことを確認する。つまり、制御部185は、小束紙幣Wの所定の表面パターンおよび束載置板169のいずれも検出されない場合は小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
次いで、制御部185は、繰出収納体駆動機構114を駆動して、図18(b)に示すように、繰出収納体112を小束紙幣Wよりも機体後方側にずれる繰出後退位置まで後退させる。その後、制御部185は、貯留束押さえ板135の高さ位置をモニタしつつ束載置板駆動機構170を駆動して、図19(a)に示すように、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wが貯留部枠体111の内壁部117の下面に当接すると判定できる繰出上昇位置に貯留束押さえ板135を位置させるように束載置板169を略一束分上昇させる。その結果、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wに、後退した繰出収納体112が高さを合わせることになる(後段上昇作動)。
上記前段上昇作動前の状態から後段上昇作動後の状態になると、図22(a)に示すように、貯留部枠体111の貯留空間118の下部に設けられた繰出センサ149が遮光されず小束紙幣Wが前方にない状態になるため、これを検出することで、制御部185は小束紙幣Wが良好に上昇したことを確認する。他方、後段上昇作動後でも繰出センサ149が小束紙幣Wで遮光された状態のままであるとき、つまり束載置板169を上昇させた後に繰出センサ149で小束紙幣Wが検出されていると、制御部185は小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
また、この後段上昇作動によって、制御部185は、載置板駆動機構170を所定時間駆動する間に束載置板169が上昇量として許容された所定の許容範囲内で上昇したことでも、小束紙幣Wが良好に上昇したことを確認する。つまり、束載置板169の上昇量が所定の許容範囲から外れていると、制御部185は小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
その後、制御部185は、図3に示す繰出収納体駆動機構114を駆動して、図19(b)に示すように、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112の前端面112Fが束カセット83における最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。すると、束カセット83における最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた、既に繰り出され背板126で機体前方への移動が規制された最下位置の小束紙幣Wと底板131との間に全体的に入り込む。このようにして、この小束紙幣Wが束振分部80の最下位置に貯留される。このとき、最下位置に貯留された小束紙幣Wは、束カセット83において次に最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、この束カセット83における最上位置の小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。
この繰出作動後、図22(b)に示すように、貯留部枠体111の貯留空間118の下部に設けられた繰出センサ149が遮光されて小束紙幣Wが前方にあることを検出することで、制御部185は小束紙幣Wが良好に貯留空間118に繰り出されたことを確認する。つまり、繰出センサ149が小束紙幣Wを検出しないと、制御部185は、小束紙幣Wに搬送不良が生じたと判定し、アラームを発生させる。
そして、必要に応じて上記を繰り返すことによって、貯留空間118にその貯留限界数(例えば八束)までの範囲で、束カセット83からの小束紙幣Wを集積状態で保持させることになる。
なお、一束目の小束紙幣Wを束振分部80に繰り出した後の二束目以降の小束紙幣Wの繰出時に、上記した前段上昇作動を行わなくても良い。つまり、繰出作動の後、繰出収納体112を繰出後退位置まで後退させた後、上記した後段上昇作動を行っても良い。この場合、繰出作動時に、繰出収納体112の窓部150からCCDカメラ144で束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種および搬送不良の判別を行っても良く、繰出収納体112を繰出後退位置まで後退させた後、CCDカメラ144で束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種および搬送不良の判別を行っても良い。
なお、制御部185は、上記したCCDカメラ144の画像検出時に束載置板169の上面の模様が検出されると、束カセット83に小束紙幣Wが無く空状態であると判定する。つまり、CCDカメラ144は、束カセット81〜86の空状態を検出可能となっている。また、図16(a)の状態から以後、束カセット83の機体後方側の上端部と繰出収納体112の下面との隙間を閉塞させるように、束カセット83の収納空間158の機体後方側を画成する内面部分から境界爪を上方に突出させるようにしても良い。
ここで、上記したように、繰出センサ149の検出状態に異常があった場合およびCCDカメラ144の画像検出に異常があった場合等に、制御部185は、異常があったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。つまり、制御部185は、図21(b)に示すように貯留束押さえ板135を初期上昇位置まで上昇させるべく束載置板169を上昇させる指令を発した後、初期上昇位置まで上昇するであろう所定時間経過後に、CCDカメラ144で小束紙幣Wの所定の表面パターンおよび束載置板169のいずれも検出されない場合は、図23(a)に示すような状態が想定されるため、小束紙幣Wが良好に上昇しなかったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。また、貯留束押さえ板135の上昇量が所定の許容範囲になかった場合も、小束紙幣Wが良好に上昇しなかったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。
加えて、制御部185は、図22(a)に示すように小束紙幣Wを繰出可能な高さまで上昇させるべく貯留束押さえ板135を繰出上昇位置まで上昇させる指令を発した後、繰出上昇位置に位置するであろう所定時間経過後に、繰出センサ149が遮光されている場合、図23(a)に示すような状態が想定されるため、小束紙幣Wが良好に上昇しなかったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。また、この状態で、貯留束押さえ板135の上昇量が所定の許容範囲になかった場合も、小束紙幣Wが良好に上昇しなかったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。
また、制御部185は、小束紙幣Wを貯留空間118に押し込むべく貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻した後、繰出センサ149が遮光されていない場合も、小束紙幣Wが良好に繰り出されなかったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。
加えて、制御部185は、小束紙幣Wを貯留空間118に繰り出した直後の貯留束押さえ板135の高さ位置が、その後、束振分部80を移動開始させた際に、所定量を超えて変位した場合には、繰出不良に起因する小束紙幣Wの脱落等の搬送不良があったと判定し、処理を中断してアラームを発生させる。
「出金処理」
上記の「出金時一時貯留処理」で束振分部80が単一の束カセット83から受け入れた小束紙幣Wを出金させる場合は、上記した「出金時一時貯留処理」の最終的な図19(b)に示す状態から、制御部185は、図3に示す貯留部枠体駆動機構113の駆動により、図24(a),(b)および図25(a)に示すように、貯留部枠体111を最も機体前方側つまり束出金口90側の前端位置である出金位置まで移動させる。この移動開始初期において、制御部185は、貯留部枠体駆動機構113とともに繰出収納体駆動機構114を駆動することにより、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体に機体前方側に若干移動させ、繰出収納体112で連通開口部148を塞いで小束紙幣Wの機体後方側への移動を規制しながら、図3に示す底板駆動機構132を駆動し、底板131を貯留部枠体111に対し貯留空間118の下方開口部122を閉塞させる基本位置まで移動させる。底板131が下方開口部122を閉塞させる基本位置まで移動すると、その後、貯留部枠体111を束出金口90に向けて移動させるとともに、繰出収納体112を元に戻すように若干後退させる。
制御部185は、この貯留部枠体111の束出金口90に向けての移動と同時進行、つまり並行して、束カセット83の収納空間158の上方位置に戻された繰出収納体112の伸縮駆動機構153を駆動して延伸させ、図24(b)に示すように、その押圧板154によって束カセット83の小束紙幣Wおよび束載置板169を上記と同様に図3に示す束載置板駆動機構170の摩擦クラッチを滑らせながら束カセット83の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む。その後、束カセット83において、図25(a)に示すように、図3に示す収納束駆動機構166を駆動して収納束押さえ爪165を閉状態とし、繰出収納体112の伸縮駆動機構153を収納するとともに、束載置板駆動機構170を駆動して、束載置板169を上昇させ、最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させるとともに、図3に示す繰出収納体駆動機構113を駆動して、繰出収納体112を貯留部枠体111に対して基本位置に位置させる。これにより、貯留空間118の下部の開口部が略閉塞される。
他方、制御部185は、貯留部枠体111が出金位置に移動すると、図3に示す貯留束押さえ板駆動機構136によって、図25(b)に示すように、貯留束押さえ板135を上限位置まで上昇させた後、図3に示すシャッタ駆動機構94を駆動してスライドシャッタ91を下降させて束出金口90を開放させた後、図3に示す背板駆動機構127により背板126を開状態とする。これにより、束振分部80を束出金口90を介して機外に露出させることになり、束出金口90を介して束振分部80内の小束紙幣Wを機外に取出可能となる。
なお、連通開口部148を閉塞させるための繰出収納体112の貯留部枠体111に対する基本位置への移動は、貯留束押さえ板135の上限位置までの上昇と同時進行で行われることになり、これらが共に完了した後に、制御部185は、束出金口90を開放させる。
以上により、束振分部80の貯留部枠体111の束出金口90への移動および出金可能な状態への出金動作と、繰出収納体112による束を出金した束カセット83の復帰動作とを同時進行で行うことができる。なお、繰出収納体112による連通開口部148の閉塞は行わなくても良い。
束振分部80内の小束紙幣Wが取り出されたことが図示略のセンサで検出されると、制御部185は、図26に示すように、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114の駆動により、貯留部枠体111および繰出収納体112を出金退避位置まで所定距離後退させた後、図3に示すシャッタ駆動機構94を駆動して、スライドシャッタ91を上方にスライドさせて束出金口90を閉塞させ、その後、背板駆動機構127により背板126を閉状態とするとともに、貯留束押さえ板駆動機構136によって貯留束押さえ板135を底板131に当接するまで下降させる。
なお、例えば、同一の束カセット83から束振分部80の貯留限界数より多い小束紙幣Wを出金させる場合には、上記した「出金時一時貯留処理」および「出金処理」を適宜繰り返すことになる。
また、束振分部80が束カセット81〜86のうちの異なる複数のものから受け入れた小束紙幣Wを出金させる場合、例えば、束カセット83に続いて束カセット82から小束紙幣Wを受け入れる場合は、「出金時一時貯留処理」の最終的な図19(b)に示す状態から、制御部185が、図27(a)に示すように、束カセット83の収納空間158の上方位置にある繰出収納体112の伸縮駆動機構153を駆動して、その押圧板154によって束カセット83の小束紙幣Wおよび束載置板169を上記と同様に図3に示す束載置板駆動機構170の摩擦クラッチを滑らせながら束カセット83の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込んだ後、束カセット83において、図3に示す収納束駆動機構166を駆動して収納束押さえ爪165を閉状態とする。その後、繰出収納体112の伸縮駆動機構153を収納するとともに、図3に示す束載置板駆動機構170を駆動して、束載置板169を上昇させ、最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させる。
繰出収納体112の伸縮駆動機構153を収納すると、制御部185は、図3に示す底板駆動機構132の駆動により、貯留部枠体111の下方開口部122を塞ぐ基本位置まで底板131を移動させた後、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114の駆動により、図27(b)に示すように、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、その貯留空間118を繰り出しを受ける所定の束カセット82の収納空間158の鉛直上方に対し所定量機体前方側にずれて位置させる受入位置まで水平移動させる。なお、底板131を下方開口部122を塞ぐ基本位置に位置させずに貯留部枠体111および繰出収納体112を束カセット82への受入位置まで移動させても良い。
その後は、束カセット83からの受け入れと同様にして小束紙幣Wを束カセット82から受け入れる。このようにして、束カセット81〜86のうちの複数のものから受け入れた後、上記「出金処理」で述べた束カセット83に対する動作を最後に受け入れを行った束カセットに対して行いつつ、小束紙幣Wを出金させる。なお、束カセット81〜86のうちの複数のものから受け入れた小束紙幣Wを同時に束振分部80に保持させる場合、束出金口90から遠いものから順に受け入れを行う。なお、束カセット82は、金種混合用のカセットであるため、束カセット83の後に、束振分部80に出金用の小束紙幣Wを繰り出すことはなく、実際には束カセット83〜86の中で順次小束紙幣Wを束振分部80に繰り出すことになるが、図示の便宜上、上記の説明とした。
「機外放出処理」
入金口21に投入されたバラ紙幣の中から設定された金種の紙幣を結束して小束紙幣Wとするローカル整理処理時において、結束部75で結束された小束紙幣Wを束振分部80に一時貯留させることなく機外に放出させる以下の「機外放出処理」を行うことになる。この作動について説明する。
まず、制御部185は、図4に示すように、束受渡部76を上記と同様の受入待機状態とするとともに、図28に示すように、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114により、貯留部枠体111を出金位置よりも機体後方側にあってその前端部を最も機体先方側の束カセット81の後部上方に位置させる所定の放出対応位置に位置させるとともに、繰出収納体112を貯留部枠体111に対して基本位置に位置させる。さらに、底板駆動機構132によって底板131を貯留部枠体111に対して機体前方つまり束放出ダクト93側に突出させて最も機体先方側の束カセット81の上部開口部160を塞ぐ状態とする。
次に、制御部185は、結束部75で結束された小束紙幣Wを「入金時一時貯留処理」と同様に、束受渡部76の束押さえガイド板97と受皿98とで挟持させ下降させる。すると、束受渡部76は、両背板126を閉じた放出対応位置にある貯留部枠体111の機体前方で下降し、底板131の上に受皿98を当接させて停止する。
次いで、制御部185は、図3に示すガイド板駆動機構101の駆動により、図29に二点鎖線で示すように、束押さえガイド板97を上限位置まで上昇させ、その後で、ベース部材駆動機構108および受皿駆動機構105を駆動してベース部材96を上昇させながら受皿98を下方に回動させる。これにより、受皿98上にあった小束紙幣Wが底板131上に落下して貯留部枠体111の閉状態の背板126に当接するように載置される。小束紙幣Wを底板131に受け渡した後のタイミングで、制御部185は受皿駆動機構105を駆動して受皿98を水平状態に戻す。なお、底板131の貯留部枠体111からの突出長さは、背板126に当接する底板131上の小束紙幣Wを底板131よりも機体前方側に突出させる長さとされている。
次に、制御部185は、図3に示す補助板駆動機構183およびリフト駆動機構184を駆動して、図30に示すように、基本位置にあった補助板177およびリフト180を上限位置まで上昇させた後、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114を駆動して束振分部80をそのまま押出位置まで所定距離前進させる。これにより、小束紙幣Wは、底板131に載置された状態で底板131および貯留部枠体111を含む束振分部80で機体前方側に移送される。このとき、底板131から突出する小束紙幣Wの突出部分は、補助板177の上板部176と機体前後方向において重なり合うことになる。この状態で、小束紙幣Wは束放出ダクト93側に一部突出する状態となる。
次いで、制御部185は、図3に示す底板駆動機構132を駆動して、図31に示すように、底板131を機体後方側に移動させて貯留部枠体111に対し基本位置に戻す。すると、小束紙幣Wが機体前方側の一部をリフト180上に載置させる状態となる。
次に、制御部185は、図3に示す補助板駆動機構183を駆動して、図32に示すように、補助板177を先行して下降させる。すると、その途中で補助板177の上板部176が小束紙幣Wの機体前方側の端部を押さえることになり、自重および図示略のスプリングの付勢力で下方に押圧する。この状態になると、制御部185は、図3に示すリフト駆動機構184をも駆動してリフト180を下限位置まで下降させる。すると、小束紙幣Wは、補助板177の上板部176で押さえられた機体前方側の端部が補助板177の自重および図示略のスプリングの付勢力で束放出ダクト93内に掻き落とされることになり、この部分が下側になってリフト180に支承された後、そのまま機体前後方向に狭い幅の束放出ダクト93に入り込んでリフト180とともに下降して放出口92側に案内される。そして、図33に示すように、リフト180が傾斜板174よりも下降すると、小束紙幣Wは傾斜板174に受け渡され、その傾斜で放出口92から揺動シャッタ99を押し開けながら機外へ放出されて前方に設けられた受箱188に落下する。リフト180の下限位置への下降後、制御部185は、束振分部80をそのまま機体後方側の放出退避位置まで所定距離後退させる。その後、制御部185は、リフト180を基本位置に戻す。
そして、機外放出処理において、結束部75で結束された小束紙幣Wが複数ある場合は、上記と同様にして、一束ずつ受箱188まで案内する。そして、ローカル整理処理において、集積部59,60のいずれかで最後に集積されたバラ紙幣が結束のための所定枚数(100枚)に満たない場合に、制御部185は、この所定枚数に満たない端数紙幣を集積状態のまま図1に示すバッチ移送部74で結束部75に送り、結束部75で結束せずにそのまま受入待機状態にある束受渡部76の受皿98上に載置させる。次に、制御部185は、図3に示すガイド板駆動機構101によって束押さえガイド板97を下降させる。すると、自重および図示略のスプリングの付勢力で束押さえガイド板97が端数紙幣を受皿98に押し付けてこれを受皿98とで挟持する。
この状態で、制御部185は、図3に示すロック機構79による開閉板89のロックを解除する。すると、開閉板89が開閉可能となり、図33に示すように、操作者が開閉板89を手前に引くと、開閉板89と一体に束受渡部76が揺動し、開口部87に近接する。そして、操作者は、開口部87から手を入れて、スプリングの付勢力に抗して束押さえガイド板97と受皿98との間からこれらに挟持された端数紙幣を引き抜いて回収する。
なお、ローカル整理処理において、束振分部80の貯留限界数(例えば八束)までの範囲で小束紙幣Wを作成する場合、制御部182は、上記した「入金時一時貯留処理」と同様にして結束部75で結束された小束紙幣Wを束振分部80に一時貯留させた状態とし、束振分部80を束出金口90に移動させることで機外に取出可能としても良い。つまり一束のみ一時貯留させる場合については、図8(b)に示す状態から、複数束の一時貯留させる場合については、図11(a)に示す状態から、図3に示す貯留部枠体駆動機構113および繰出収納体駆動機構114の駆動により、貯留部枠体111および繰出収納体112を、つまり束振分部80を図25(a)に示すように束出金口90側の出金位置まで移動させ、その後、図25(b)に示すように、貯留束押さえ板135を上限位置まで上昇させ、束出金口90を開放させた後、背板126を開状態とすることもできる。
「装填用カセットによる自動装填振分処理」
機体12に対し着脱可能な装填用の束カセット81を用いて小束紙幣Wを、単一金種収納用の束カセット83〜86あるいは金種混合用の束カセット82に、装填つまり補充する場合について説明する。
始業時等において、金庫室等で所定の職位の管理者等が、金種別の所定の束数の小束紙幣Wを金種混合状態で、束カセット81に収納させてロックする。このとき、各金種の小束紙幣Wをそれぞれ同金種毎にまとまって収納させるようにルール化しておく。例えば、束載置板169の上に二千円券の小束紙幣Wを4束を載置させ、その上に五千円券の小束紙幣Wを4束載置させ、その上に千円券の小束紙幣Wを8束載置させ、その上に万円券の小束紙幣Wを10束載置させる等である。
この装填元の束カセット81が機体12にセットされて、操作部16に「装填用カセットによる自動装填振分処理」を行う旨の操作入力がなされると、制御部185は、まず、図16〜図19に示す束カセット83に対する「出金時一時貯留処理」と同様の処理を束カセット81に対して行う。つまり、制御部185は、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、貯留空間118を繰り出しを受ける束カセット81の収納空間158の鉛直上方に対し所定量機体前方側にずれて位置させる受入位置まで水平移動させるとともに、基本位置にあった底板131を貯留部枠体111に対し機体前方側に移動させて、貯留空間118の下方開口部122の機体後方側を所定量開放させる中間開放位置に位置させた後、束カセット81の両収納束押さえ爪165を揺動させて開状態とする(図16(a)参照)。
次に、制御部185は、束カセット81の束載置板169を、小束紙幣Wが貯留束押さえ板135を初期上昇位置に位置させるまで上昇させる(図16(b)参照)。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット81における最上位置の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。次いで、制御部185は、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を小束紙幣Wよりも機体後方側にずれる繰出後退位置まで後退させる(図17(a)参照)。その後、制御部185は、繰出上昇位置に貯留束押さえ板135が位置するまで束載置板169を上昇させる(図17(b)参照)。
次に、制御部185は、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる(図18(a)参照)。すると、繰出収納体112の前端面112Fが束カセット81における最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。これにより、束カセット81の最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた貯留束押さえ板135と底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。このようにして最下位置に貯留された小束紙幣Wは、次に束カセット81における最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、束カセット81におけるこの最上位置の小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。
次に、制御部185は、貯留束押さえ板135を初期上昇位置に位置させるように束カセット81の束載置板169を上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で上記次の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。
束カセット81における最上位置の小束紙幣Wが、先に束振分部80に貯留させた最下位置の小束紙幣Wと同金種であった場合に、制御部185は、束カセット81における最上位置の小束紙幣Wを束カセット81から束振分部80に繰り出させる。つまり、制御部185は、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を繰出後退位置まで後退させた後(図18(b)参照)、貯留束押さえ板135を繰出上昇位置に位置させるように束載置板169を上昇させる(図19(a)参照)。
その後、制御部185は、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる(図19(b)参照)。すると、繰出収納体112の前端面112Fが上記した束カセット81における最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。すると、束カセット81における最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた、既に繰り出され背板126で機体前方への移動が規制された束振分部80における最下位置の小束紙幣Wと底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。このようにして最下位置に貯留された小束紙幣Wは、次に束カセット81における最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、この小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。
次に、制御部185は、貯留束押さえ板135を初期上昇位置に位置させるように束カセット81の束載置板169を上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で上記次の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。
そして、同金種の小束紙幣Wが続く場合には、上記を繰り返すことによって、貯留空間にその貯留限界数(例えば八束)までの範囲で、束カセット81からの同一金種の小束紙幣Wを束振分部80に集積状態で保持させることになる。
一方、制御部185は、上記したCCDカメラ144の画像検出時に、現時点で束振分部80の貯留空間118に保持している小束紙幣Wと異なる異金種の小束紙幣Wが検出された場合と、束載置板169の上面の模様が検出された場合と、現時点で束振分部80の貯留空間118に貯留限界数(例えば八束)の小束紙幣Wが保持されている場合とについては、上記した「収納処理」と同様にして、貯留空間118に保持している同一金種の小束紙幣Wをすべて、金種別の束カセット83〜86のうちの対応する金種のものに一括して収納させる。
例えば、束カセット83に小束紙幣Wを収納する場合に、制御部185は、まず、伸縮駆動機構153を駆動して押圧板154を下降させ、この押圧板154によって束カセット81の小束紙幣Wおよび束載置板169を束カセット81の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込んだ後、束カセット81において、収納束押さえ爪165を閉状態とし、繰出収納体112の伸縮駆動機構153を収納するとともに、束載置板169を上昇させ、束カセット81の最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させる(図27(a)参照)。
次に、制御部185は、底板131を貯留部枠体111に対し下方開口部122を閉塞させる基本位置まで移動させた後、繰出収納体112を貯留部枠体111と一体に移動させて、図12〜図15に示す「収納処理」と同様にして、束振分部80の貯留空間118を収納させるべき所定の束カセット83に対する収納位置まで水平移動させて、保持していた小束紙幣Wを束カセット83に収納させる。
以後、同様にして、装填用の束カセット81に収納された同一金種の小束紙幣Wを可能な数だけ束振分部80に一時貯留させてこれら小束紙幣Wを各金種別の束カセット83〜86に一括で収納させるという処理を繰り返し、束カセット81に収納されたすべての小束紙幣Wをそれぞれ束カセット83〜86の対応する金種のものに補充することで、「装填用カセットによる自動装填振分処理」を終了させる。
ここで、束カセット81に、例えば、上記したように束載置板169の上に二千円券の小束紙幣Wを4束を載置させ、その上に五千円券の小束紙幣Wを4束載置させ、その上に千円券の小束紙幣Wを8束載置させ、その上に万円券の小束紙幣Wを10束載置させている場合、まず、万円券の小束紙幣Wを貯留限界数である8束だけ束振分部80に一時貯留させた後、これらを束カセット83〜86のうちの万円券用のものに一括して収納させ、その後、残り2束の万円券の小束紙幣Wを束振分部80に一時貯留させた後、これらを束カセット83〜86のうちの万円券用のものに一括して収納させ、次に、千円券の小束紙幣Wを8束すべて束振分部80に一時貯留させた後、これらを束カセット83〜86のうちの千円券用のものに一括して収納させ、次に、五千円券の小束紙幣Wを4束すべて束振分部80に一時貯留させた後、これらを束カセット83〜86のうちの五千円券用のものに一括して収納させ、最後に、二千円券の小束紙幣Wを4束すべて束振分部80に一時貯留させた後、これらを束カセット83〜86のうちの二千円券用のものに一括して収納させる。
このようにして行われる「装填用カセットによる自動装填振分処理」に際して、制御部185は、金種別の束カセット83〜86に振り分けた束数データを金種毎に把握しており、自動装填振分処理に先立って束カセット81に収納された小束紙幣Wの装填データが操作部16から入力されていた場合には、これと照合して、これらのデータが不一致である場合はエラー表示を行う。これらのデータが一致した場合には、これらのデータに基づいて束カセット83〜86の在り高を更新して記憶させる。また、制御部185は、自動装填振分処理に先立って装填データが操作部16から入力されていない場合には、自動装填振分処理で把握したデータに基づいて束カセット83〜86の在り高を更新して記憶させる。
以上のようにして、装填用の複数の小束紙幣Wを束カセット83〜86に振り分けて収納させる際に、装填用の複数の小束紙幣Wを装填用の束カセット81に収納させておき、同金種である場合に複数束を同時に束振分部80に一時貯留させ、これら複数の小束紙幣Wを一度に束カセット83〜86の対応する一つに収納させることができる。
「束出金口を介しての自動装填振分処理」
図25(b)に示すように、束出金口90に位置した状態の束振分部80には、束出金口90を介して小束紙幣Wが複数集積状態で装填可能であり、このようにして束振分部80に装填された小束紙幣Wを束カセット81〜86に収納可能である。つまり、例えば、装填用の束カセット81を用いず、束出金口90を介して小束紙幣Wを、小口で単一金種用の束カセット83〜86に簡易的に装填つまり補充することができる。このような場合について説明する。
操作部16に「束出金口を介しての自動装填振分処理」を行う旨の操作入力がなされると、制御部185は、上記した「出金処理」の一部作動を省略した作動を行い、束振分部80を束出金口90を介して機外に露出させる。つまり、繰出収納体112および底板131を貯留部枠体111に対して基本位置とした状態で、貯留部枠体111および繰出収納体112を最も機体前方側つまり束出金口90側の前端位置である出金位置まで移動させる。貯留部枠体111が出金位置に位置すると、制御部185は、貯留束押さえ板135を上限位置まで上昇させ、スライドシャッタ91を下降させて束出金口90を開放した後、背板126を開状態とする。これにより、束振分部80が束出金口90を介して機外に露出する。この状態で、操作者が束振分部80の貯留空間118に貯留限界数の範囲内で小束紙幣Wを装填する(図25(b)参照)。ここで、貯留限界数以下であれば、複数の小束紙幣Wを上下に重ねた状態で一度に装填でき、その場合、装填は単一金種であっても複数金種であっても良い。複数金種の場合には、各金種をそれぞれ金種毎にまとめて集積させるようにルール化しておく。
束振分部80の貯留空間118に対する装填許容範囲内に小束紙幣Wが装填されたことが図示略のセンサで検出されると、制御部185は、貯留部枠体111および繰出収納体112を出金退避位置まで所定距離後退させた後、スライドシャッタ91を上方にスライドさせて束出金口90を閉塞させる。その後、背板126を閉状態とする。このとき、小束紙幣Wは、装填許容範囲にあれば、貯留空間118から一部はみ出すように載置されていたとしても、背板126で貯留空間118内に押し込まれて位置が矯正される(図10(a)参照)。なお、貯留空間118への小束紙幣Wの装填状態をセンサで検出した際に、小束紙幣Wが装填許容範囲内になく、背板126の閉作動では矯正しきれない位置にある場合に、制御部185は、スライドシャッタ91を閉塞させずにアラームを発生させる。そして、上記のように背板126を閉状態とした後、制御部185は貯留束押さえ板135を貯留する小束紙幣Wに当接するまで下降させる。
そして、このように束振分部80に貯留された小束紙幣Wを、上記した束カセット83に対する「収納処理」と同様にして、一旦すべて処理前に空の状態にある束カセット81に一括して収納させる。つまり、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、貯留部枠体111の貯留空間118を束カセット81の鉛直上方に位置させる収納位置まで水平移動させた後、束カセット81の両収納束押さえ爪165を揺動させて開状態とする(図12(a)参照)。次に、制御部185は、束カセット81の束載置板169を上昇させて、その束載置板169を、束振分部80の底板131に当接させる(図12(b)参照)。次いで、制御部185は、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を若干の所定距離機体後方側の逃げ位置に後退させる。
次に、制御部185は、基本位置にあった底板131を貯留部枠体111に対し機体前方側に移動させて、貯留空間118の下方開口部122を全開放させる全開放位置に位置させる(図13(a)参照)。すると、束振分部80に一時貯留されていたすべての小束紙幣Wが、背板126で機体前方への移動が規制されながら、貯留束押さえ板135とともに、束カセット81の束載置板169の上に重ねられることになり、すべての小束紙幣Wが束振分部80の貯留束押さえ板135と束カセット81の束載置板169とで挟持される。
次に、制御部185は、束カセット81の束載置板169を束振分部80の繰出収納体112の上面よりも下側の所定位置に位置するまで束載置板169を小束紙幣Wとともに下げる(図13(b)参照)。その後、逃げ位置にあった繰出収納体112を機体前方側に所定距離移動させて貯留部枠体111に対し基本位置に戻す。
次に、制御部185は、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体に機体前方側に所定距離移動させる。すると、束カセット81の最上位置の小束紙幣Wの上で貯留束押さえ板135も機体前方側に所定距離移動することになり、この最上位置の小束紙幣Wの機体前方側の一部に掛かる状態になるとともに、繰出収納体112の機体前方側の部分がこの最上位置の小束紙幣Wの機体後方側の部分を上から覆う状態になる(図14(a)参照)。
次いで、制御部185は、伸縮駆動機構153の押圧板154を下降させ、束カセット81のすべての小束紙幣Wおよび束載置板169を収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む(図14(b)参照)。その後、束カセット81において、収納束押さえ爪165を閉状態とした後、伸縮駆動機構153を繰出収納体112に収納させるとともに、束載置板169を上昇させ、最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させる。これにより、束カセット81内において小束紙幣Wを閉状態の収納束押さえ爪165と束載置板169との間に挟持させる。以上のようにして、束振分部80に束出金口90を介して補充され一時貯留されていた複数の小束紙幣Wを一括して、束カセット81に収納させることができる。なお、束カセット81は、このような自動装填振分時および回収処理時以外では空となっている。
このようにして、束出金口90を介して束振分部80に装填された紙幣を装填用の束カセット81に収納させた後、制御部185は、この装填用の束カセット81から上記した「装填用カセットによる自動装填振分処理」と同様にして、各金種別の束カセット83〜86に小束紙幣Wを振り分けて装填させる。このときも、束カセット81の最上位置の小束紙幣WをCCDセンサ144で確認しつつ、同金種である場合は、束振分部80に集積状態で貯留させ、最上位置の小束紙幣Wが異金種となった時点で、上記した同金種であった集積状態の小束紙幣Wを金種別の束カセット83〜86のうちの対応する金種のものに一括して収納させることになる。なお、束カセット81ではなく、金種別の束カセット83〜86のいずれかが満杯にあるときオーバーフロー分の小束紙幣Wを収納させる混合用の束カセット82に一旦小束紙幣Wを装填し、この束カセット82から各金種別の束カセット83〜86に振り分けるようにしても良い。
「混合カセットによる自動装填振分処理」
上記したように、束カセット82は、束カセット83〜86のいずれかが満杯になったときに、オーバーフロー分の小束紙幣Wを収納する混合金種収納用カセットであるが、この束カセット82に収納された小束紙幣Wを、単一金種用の束カセット83〜86に、振り分けて装填つまり補充する場合について説明する。なお、制御部185は、金種別の束カセット83〜86の収納空間158に余裕がある場合であって、操作部16に「混合カセットによる自動装填振分処理」を行う旨の操作入力がなされた場合に「混合カセットによる自動装填振分処理」を行うことになる。また、所定の条件が整った場合には操作部16への操作入力によらずに自動的に「混合カセットによる自動装填振分処理」を行うことになる。
つまり、制御部185は、上記した「装填用カセットによる自動装填振分処理」と同様の処理を束カセット81にかえて束カセット82から行う。まず、制御部185は、図34(a)に示すように、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、束カセット82に対し受入位置まで水平移動させるとともに、基本位置にあった底板131を下方開口部122を所定量開放させる中間開放位置に位置させた後、束カセット82の両収納束押さえ爪165を開状態とする。
次に、制御部185は、図34(b)に示すように、束カセット82の束載置板169を、小束紙幣Wが貯留束押さえ板135を初期上昇位置に位置させるまで上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット82の最上位置の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。次いで、制御部185は、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を小束紙幣Wよりも機体後方側にずれる繰出後退位置まで後退させる。その後、制御部185は、繰出上昇位置に貯留束押さえ板135が位置するまで束カセット82の束載置板169を上昇させる。
次に、制御部185は、図35(a)に示すように、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112が束カセット82の最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。すると、束カセット82の最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた貯留束押さえ板135と底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。その後、制御部185は、繰出上昇位置に貯留束押さえ板135が位置するまで束カセット82の束載置板169を上昇させる。この状態で、制御部185は、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット82の次に最上位置となった小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。
束カセット82における最上位置の小束紙幣Wが、先に束振分部80に貯留させた最下位置の小束紙幣Wと同金種であった場合に、制御部185は、束カセット83〜86のうちこの金種のものに数的に収納が可能である限り、束カセット82における最上位置の小束紙幣Wを束カセット82から束振分部80に繰り出させる。つまり、制御部185は、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を繰出後退位置まで後退させ、繰出上昇位置に貯留束押さえ板135が位置するまで束載置板169を上昇させた後、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112が束カセット82における最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。すると、この小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた、既に繰り出され背板126で機体前方への移動が規制された束振分部80における最下位置の小束紙幣Wと底板131との間に全体的に入り込り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。その後、制御部185は、繰出上昇位置に貯留束押さえ板135が位置するまで束カセット82の束載置板169を上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット82の次に最上位置となった小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。
そして、束カセット82からの小束紙幣Wに同金種が続く場合には、束カセット83〜86のうちこの金種のものに数的に収納が可能である限り、上記を繰り返すことによって、貯留空間118にその貯留限界数(例えば八束)までの範囲で、束カセット82からの同一金種の小束紙幣Wを集積状態で保持させることになる。
次に、制御部185は、上記したCCDカメラ144の画像検出時に、現時点で束振分部80の貯留空間118に保持している小束紙幣Wとは異なる異金種の小束紙幣Wが検出された場合と、束載置板169の上面の模様が検出された場合と、現時点で束振分部80の貯留空間118に貯留限界数(例えば八束)の小束紙幣Wが保持されている場合とについては、図35(b)に示すように、伸縮駆動機構153の押圧板154を下降させ、束カセット82のすべての小束紙幣Wおよび束載置板169を収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む。その後、図36に示すように、束カセット82において、収納束押さえ爪165を閉状態とした後、押圧板154を繰出収納体112に収納させる。その後、上記した図12〜図15に示す「収納処理」と同様にして、貯留空間118に保持している同一金種の小束紙幣Wをすべて、金種別の束カセット83〜86のうちの対応する金種のものに一括して収納させる。
そして、オーバーフロー用の束カセット82に収納された同一金種の小束紙幣Wを可能な数だけ束振分部80に一時貯留させてこれら小束紙幣Wを金種別の束カセット83〜86に一括で収納させるという処理を繰り返し、束カセット82に収納されたすべての小束紙幣Wをそれぞれ束カセット83〜86の対応する金種のものに補充することで、「混合カセットによる自動装填振分処理」を終了させる。
「自己精査処理」
各金種別の束カセット83〜86に収納されている小束紙幣Wの束数、および金種混合の束カセット82に収納されている小束紙幣Wの実際の各金種別の束数を確認する自己精査処理について説明する。なお、制御部185は、基本的には各束カセット82〜86のそれぞれの金種別の束数を把握しているが、ジャム等の異常が生じると実際の金種別の束数と制御部185が把握している金種別束数とに相違を生じる可能性があることからこのような自己精査処理を行う。
この紙幣処理機11においては、束振分部80にCCDカメラ144を搭載しており、また、通常は空とされる装填用の束カセット81があるため、これらを利用して、各金種別の束カセット83〜86あるいは金種混合の束カセット82のうちの対象のものの小束紙幣Wを束振分部80を介してそのCCDカメラ144で確認しつつ空の一時収納用の束カセット81にすべて移載することで、各金種別の束カセット83〜86あるいは金種混合の束カセット82の小束紙幣Wの数を確認し、確認後は、元に戻す。
例えば、操作部16に、束カセット83について「自己精査処理」を行う旨の操作入力がなされると、制御部185は、まず、上記した「出金時一時貯留処理」と同様の処理を自己精査処理の対象である束カセット83に対して行う。つまり、制御部185は、図16(a)に示すように、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、束カセット83に対し受入位置まで水平移動させるとともに、基本位置にあった底板131を中間開放位置に位置させた後、束カセット83の両収納束押さえ爪165を開状態とする。
次に、制御部185は、図16(b)に示すように、束カセット83の束載置板169を貯留束押さえ板135が初期上昇位置に位置するまで上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。次いで、制御部185は、図17(a)に示すように、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を小束紙幣Wよりも機体後方側にずれる繰出後退位置まで後退させる。その後、制御部185は、図17(b)に示すように、貯留束押さえ板135が繰出上昇位置に位置するまで束載置板169を上昇させる。
次に、制御部185は、図18(a)に示すように、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112が束カセット83の最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。すると、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた貯留束押さえ板135と底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。このようにして最下位置に貯留された小束紙幣Wは、束カセット83の次に最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、この最上位置の小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。次に、制御部185は、束カセット83の束載置板169を貯留束押さえ板135が初期上昇位置に位置するまで上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット83の最上位置となった小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。
続いて、制御部185は、束カセット83の最上位置となった小束紙幣Wを束カセット83から束振分部80に繰り出させる。つまり、制御部185は、図18(b)に示すように、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を繰出後退位置まで後退させた後、図19(a)に示すように、束載置板169を繰出上昇位置まで上昇させる。さらに、図19(b)に示すように、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112の前端面112Fが束カセット83における最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。これにより、束カセット83における最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた、既に繰り出され背板126で機体前方への移動が規制された束振分部80における最下位置の小束紙幣Wと底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。このようにして最下位置に貯留された小束紙幣Wは、束カセット83の次に最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、この最上位置の小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。次に、制御部185は、束カセット83の束載置板169を貯留束押さえ板135が初期上昇位置に位置するまで上昇させる。この状態で、繰出収納体112の窓部150を介してCCDカメラ144で束カセット83における最上位置の小束紙幣Wの表面パターンを検出し、その金種等を判別する。
そして、上記を繰り返すことによって、貯留空間118にその貯留限界数(例えば八束)までの範囲で、束カセット83からの小束紙幣Wを集積状態で貯留させることになる。
ここで、自己精査処理開始時点において束振分部80で一度に貯留できない数の小束紙幣Wが束カセット83に収納されていた場合に、制御部185は、貯留空間118に保持している同一金種の小束紙幣Wを、装填用の束カセット81に一括して収納させる。
この場合、制御部185は、まず、図37(a)に示すように、繰出収納体112はそのままで、底板131を含む貯留部枠体111を移動させて、束カセット81に対する収納位置まで水平移動させる。次に、制御部185は、図37(b)に示すように、束カセット81の両収納束押さえ爪165を開状態とするとともに、伸縮駆動機構153を駆動して押圧板154を下降させ、この押圧板154によって束カセット83の小束紙幣Wおよび束載置板169を束カセット83の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む。
次いで、制御部185は、図38(a)に示すように、束カセット81の束載置板169を上昇させて、束振分部80の底板131に当接させるとともに、束カセット83において、収納束押さえ爪165を閉状態とする。繰出収納体112の伸縮駆動機構153を収納するとともに、束載置板169を上昇させ、最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させる。
次に、制御部185は、図38(b)に示すように、底板131を貯留部枠体111に対し全開放位置に位置させる。すると、底板131の移動で、束振分部80に一時貯留されていたすべての小束紙幣Wが貯留束押さえ板135とともに、束カセット81の束載置板169の上に重ねられることになり、これらの小束紙幣Wが束振分部80の貯留束押さえ板135と束カセット81の束載置板169とで挟持される。
次に、制御部185は、図39(a)に示すように、繰出収納体112を貯留部枠体111に対して逃げ位置に位置させた後に、貯留束押さえ板135を束振分部80の繰出収納体112の上面よりも下側の所定位置に位置させるまで小束紙幣Wおよび束カセット81の束載置板169を下げる。
次に、制御部185は、図39(b)に示すように、底板131を貯留部枠体111側に移動させながら貯留部枠体111および繰出収納体112を一体に機体前方側に所定距離移動させる。すると、貯留束押さえ板135が、束カセット81における最上位置の小束紙幣Wの機体前方側の一部に掛かる状態になるとともに、繰出収納体112の機体前方側の部分が束カセット81における最上位置の小束紙幣Wの機体後方側の部分を上から覆う状態になる。
次いで、制御部185は、図40(a)に示すように、伸縮駆動機構153の押圧板154を下降させ、束カセット81のすべての小束紙幣Wおよび束載置板169を収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む。その後、束カセット81において、収納束押さえ爪165を閉状態とした後、伸縮駆動機構153を繰出収納体112に収納させるとともに、束載置板169を上昇させて、小束紙幣Wを閉状態の収納束押さえ爪165と束載置板169との間に挟持させる。
以上のようにして、束振分部80に一時貯留されていた複数の小束紙幣Wを一度に、束カセット81に収納させる。必要により、上記を繰り返す。
そして、制御部185は、自己精査処理の対象である束カセット83のすべての小束紙幣Wが繰り出され束カセット83が空となったことが上記したCCDカメラ144による束載置板169の上面の模様の検出で確認された時点で束振分部80に一時貯留されている小束紙幣Wは、装填用の束カセット81に移載せずに、そのまま自己精査処理の対象である束カセット83に戻し、その後、束カセット81の小束紙幣Wを束カセット83に戻す。このように、自己精査処理の対象である束カセット83が空になった時点で束振分部80に一時貯留されている小束紙幣Wを直接束カセット83に戻すことで精査処理時間を短縮する。
つまり、図40(b)に示すように、CCDカメラ144による束載置板169の上面の模様の検出で束カセット83の空が確認されると、制御部185は、まず、束振分部80に一時貯留されている小束紙幣Wを、束カセット83に戻す。つまり、制御部185は、図41(a)に示すように、底板131を全開放位置まで開放しながら、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体的に、精査処理対象である束カセット83に対する収納位置まで水平移動させる。すると、束振分部80に一時貯留されていたすべての小束紙幣Wが貯留束押さえ板135とともに、束カセット83の束載置板169の上に重ねられることになり、束振分部80のすべての小束紙幣Wが束振分部80の貯留束押さえ板135と束カセット83の束載置板169とで挟持される。次いで、制御部185は、貯留部枠体111に対し基本位置にあった繰出収納体112を若干の所定距離機体後方側の逃げ位置に後退させる。
次に、制御部185は、束載置板駆動機構170を駆動して、図41(b)に示すように、貯留束押さえ板135を束振分部80の繰出収納体112の下面よりも若干下側の所定位置に位置するまで束カセット83の小束紙幣Wおよび束載置板169を下げる。その後、繰出収納体駆動機構114を駆動して、逃げ位置にあった繰出収納体112を機体前方側に所定距離移動させて貯留部枠体111に対し基本位置に戻す。
次に、制御部185は、貯留部枠体111および繰出収納体112を一体に機体前方側に所定距離移動させる。すると、図42(a)に示すように、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの上で貯留束押さえ板135も機体前方側に所定距離移動することになり、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの機体前方側の一部に掛かる状態になるとともに、繰出収納体112の機体前方側の部分が束カセット83の最上位置の小束紙幣Wの機体後方側の部分を上から覆う状態になる。
次いで、制御部185は、図42(b)に示すように、伸縮駆動機構153を駆動して押圧板154を下降させ、束カセット83のすべての小束紙幣Wおよび束載置板169を束カセット83の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込む。その後、束カセット83において、収納束押さえ爪165を閉状態とした後、伸縮駆動機構153を繰出収納体112に収納させるとともに、束載置板169を上昇させ、図43(a)に示すように、束カセット83の最上位置の小束紙幣Wを収納束押さえ爪165に当接させる。これにより、束カセット83が小束紙幣Wを閉状態の収納束押さえ爪165と束載置板169との間に挟持させる。
束カセット81に小束紙幣Wを移していた場合には、その後、束カセット81に収納されていたすべての小束紙幣Wを束振分部80を介して束カセット83に戻す。つまり、制御部185は、図43(b)に示すように、貯留部枠体111を貯留空間118を繰り出しを受ける束カセット81の収納空間158の鉛直上方に対し所定量機体前方側にずれて位置させる受入位置まで水平移動させるとともに、繰出収納体112を、束カセット81の収納空間158の鉛直上方に対し所定量機体後方側の繰出後退位置に位置させるとともに、底板131を貯留空間118の下方開口部122の機体後方側を所定量開放させる中間開放位置に位置させた状態で、束カセット81の両収納束押さえ爪165を揺動させて開状態とする。
次に、制御部185は、図44(a)に示すように、貯留束押さえ板135が繰出上昇位置に位置するまで一気にカセット81の束載置板169を上昇させ、その後、貯留部枠体111に対し繰出収納体112を基本位置に戻るように機体前方側に移動させる。すると、繰出収納体112が束カセット81の最上位置の小束紙幣Wに当接してこれを貯留部枠体111の貯留空間118に押し出す。これにより、束カセット81の最上位置の小束紙幣Wは、これを予め上側で押さえていた貯留束押さえ板135と底板131との間に全体的に入り込んで束振分部80に貯留された最下位置の小束紙幣Wとなる。このようにして最下位置に貯留された小束紙幣Wは、束カセット81の次に最上位置となった小束紙幣Wの上部を機体前方側のみ押さえる状態となり、この最上位置の小束紙幣Wの残りの部分の上側を繰出収納体112が覆う状態となる。この場合、すでに金種は確認済みであるため、CCDカメラの画像検出は行わない。
上記を必要に応じて繰り返すことにより、図44(b)に示すように、束カセット81の小束紙幣Wを可能な限り束収納部80に一時貯留させる。
制御部185は、所定束数の小束紙幣Wが保持されると、束振分部80の貯留空間118に保持しているすべての小束紙幣Wを、自己精査処理の対象である束カセット83に戻す。つまり、制御部185は、まず、図45(a)に示すように、伸縮駆動機構153を駆動して押圧板154を下降させ、この押圧板154によって束カセット81のこの場合は束載置板169を束カセット81の収納束押さえ爪165よりも下側まで押し込んだ後、束カセット81において、収納束押さえ爪165を閉状態とし、図45(b)に示すように、繰出収納体112の伸縮駆動機構153を収納するとともに、束載置板169を上昇させ、収納束押さえ爪165に当接させる。
次に、制御部185は、繰出収納体112を貯留部枠体111と一体に移動させて、図12〜図15に示す「収納処理」と同様にして、束振分部80の貯留空間118を収納させるべき所定の束カセット83に対する収納位置まで水平移動させて、保持していた小束紙幣Wを一括して束カセット83に収納させる。
必要により、装填用の束カセット81に収納された同一金種の小束紙幣Wを可能な限りの数ずつ束振分部80に一時貯留させてこれら小束紙幣Wを自己精査処理対象の束カセット83に一括で収納させるという処理を繰り返し、束カセット81に収納されたすべての小束紙幣Wを束カセット83に戻す。
以上において、束カセット83のすべての小束紙幣Wが繰り出されたことが上記したCCDカメラ144による束載置板169の上面の模様の検出で確認されるまでCCDカメラ144により検出された小束紙幣Wの数を、実際に束カセット83に収納されていた束数とする。
そして、必要により自己精査処理の対象を他の束カセット82,84〜86として、これらについても同様の自己精査処理を行う。
なお、上記自己精査処理において、束カセット81に収納させずに束振分部80に一時貯留させた後に束カセット82〜86のうちの精査対象のものに戻す、最後に束振分部80に一時貯留させる小束紙幣Wの数が多いほど、さらに精査処理時間を短くすることができる。このため、制御部185は、以下の処理を行っている。
制御部185は、基本的には各束カセット82〜86のそれぞれの金種別の束数を把握しており、自己精査処理を行っても既存のデータとの相違を生じる可能性はかなり低い。このことから、例えば、束カセット83の自己精査処理を行う場合、その開始にあたって、制御部185は、記憶されている既存のデータから、自己精査処理の対象である束カセット83の束数を読み出す。そして、この束数が束振分部80の貯留限界数よりも多い場合には、束振分部80への貯留および束カセット83への収納を、複数回に分けて行わなければならないことから、束振分部80の貯留限界数で除算し、その余りである端数を求める。制御部185は、この端数がある場合、この端数分の小束紙幣Wのみを最初に、上記と同様にして束カセット83から束振分部80に集積状態で貯留させて、束カセット81に一括して移す。すると、上記した既存データが適正であれば(多くの場合は適正)、その後に貯留限界数まで束振分部80に貯留させて束カセット81に一括して移すことを繰り返すと、最後に束振分部80に一時貯留させる小束紙幣Wの数が貯留限界数となり、束カセット81に収納させずに束振分部80に一時貯留させた後に束カセット83に戻す、最後に束振分部80に一時貯留させる小束紙幣Wの数が最大の貯留限界数となり、最も自己精査処理の処理時間を短くすることができる。
具体的に、例えば、束カセット83の自己精査処理を行う場合、その開始にあたって、既存データが20束であって束振分部80の貯留限界数が8束である場合に、制御部185は、4束が端数分となるため、まず、4束の小束紙幣Wを4回の繰り出しで束カセット83から束振分部80に一時貯留させ、これら4束の小束紙幣Wを束振分部80から一括で束カセット81に移す。この所要時間は、4回(4束)の小束紙幣Wの束カセット83から束振分部80への繰出時間と、小束紙幣Wの束振分部80から束カセット81への1回(4束)の一括収納時間とを加算した時間となる。
次に、8束の小束紙幣Wを束カセット83から束振分部80に一時貯留させ、これら8束の小束紙幣Wを束振分部80から束カセット81に移す。この所要時間は、8回(8束)の繰出時間と1回(8束)の一括収納時間とを加算した時間となる。
最後に、8束の小束紙幣Wを束カセット83から束振分部80に一時貯留させると、既存データが適正であれば、CCDカメラ144で束載置板169を検出することになり、これによって、既存データが適正であることを確認する。この所要時間は、8回(8束)の繰出時間となる。
以上の繰出側の合計の所要時間は、20回(20束)の繰出時間+2回(12束)の一括収納時間となる。
そして、上記した小束紙幣Wの20束を再び束カセット83に戻すときには、束振分部80に一時貯留させていた1回(8束)の一括収納時間と、束カセット81に移されていた8回(8束)の繰出時間+1回(8束)の一括収納時間+4回(4束)の繰出時間+1回(4束)の一括収納時間となり、これらの合計である戻り側の合計の所要時間は、12回(12束)の繰出時間+3回(20束)の一括収納時間となる。
総計として、32回(32束)の繰出時間+5回(32束)の一括収納時間となる。
これに対して、最初に貯留限界数まで一時貯留させ、最後に端数を一時貯留させる場合には、繰出側は、8回(8束)の繰出時間+1回(8束)の一括収納時間+8回(8束)の繰出時間+1回(8束)の一括収納時間+4回(4束)の繰出時間となり、戻り側は、1回(4束)の一括収納時間+8回(8束)の繰出時間+1回(8束)の一括収納時間+8回(8束)の繰出時間+1回(8束)の一括収納時間となり、総計として、36回(36束)の繰出時間+5回(36束)の一括収納時間となり、繰出時間が4回(4束)分、上記に比して長くなってしまう。しかも、一括収納時間の時間も、回数は同じであるもののそのうちの1回が4束分上記に比してストロークが長く必要となり、その分も処理時間が長くなってしまう。そして、実際には、自己精査処理を束カセット82〜86の5台について別々に行うことになるため、その5倍の時間が長く必要になってしまうのである。
なお、頻度は少ないものの既存データが実際の束数と異なっている場合もあるため、既存データよりも実際の束数が多いことを想定して、既存データに余裕束数(例えば一束)を加算してから、貯留限界数で除算し、その余りである端数を求めても良い。このようにすれば、既存データが適正であれば、最後に束振分部80に一時貯留させる小束紙幣Wの数が貯留限界数から余裕束数分少ないものとなるが、既存データが実際の束数よりも余裕束数の範囲内で多い場合にこれを吸収でき、最後に束振分部80に一時貯留させる小束紙幣Wの数が少数になってしまうことを防止できる 。
「回収処理」
装填用の束カセット81に束カセット83〜86から小束紙幣Wを移し、束カセット81ごと機外に取り出す回収処理は、上記した「自己精査処理」と同様にして、例えば、束カセット83〜86から小束紙幣Wを束振分部80を介して束カセット81に移して行う。
以上に述べた本実施形態によれば、結束部75からの小束紙幣Wを複数束集積状態で貯留させて搬送する束振分部80に、束カセット81〜86から小束紙幣Wを複数束集積させて貯留させることができ、この貯留させた複数束の小束紙幣Wを束出金口90に搬送可能であるため、小束紙幣Wの収納と出金とを共用の束振分部80で行うことができ、その結果、コストを低減することができて、コンパクト化が図れる。また、束振分部80で集積状態で貯留させたまま束出金口90から小束紙幣Wを出金させることができるため、出金された小束紙幣Wの取り出しが容易となる。
しかも、束カセット82〜86のうち精査対象となる所定のものに収納された小束紙幣をCCDカメラ144で判別しつつ束振分部80に貯留させた後、この束振分部80から一時収納用の束カセット81に移載することを、束カセット82〜86のうち精査対象となるものが空になるまで繰り返し行うことで、束カセット82〜86のうち精査対象となる所定のものに収納されていた小束紙幣の自己精査処理を行うことができる。
また、自己精査処理において、一時収納用の所定の束カセット81に移載された小束紙幣Wを束振分部80を介して、束カセット82〜86のうち精査対象であった所定のものに戻す場合に、束カセット82〜86のうち精査対象となる所定のものが空になった時点で束振分部80に貯留されていた小束紙幣については束振分部80から一時収納用の所定の束カセット81に移載することなく、束カセット82〜86のうち精査対象であった所定のものにそのまま戻すことになる。したがって、自己精査処理を短時間で行うことができる。
さらに、自己精査処理前に、束カセット82〜86のうち精査対象となる所定のものに収納されていた小束紙幣Wの既存データの束数を、束振分部80の貯留限界束数で除算した余りの束数、または余りに所定の余裕束数を加算した束数の小束紙幣のみを、自己精査処理の最初に束振分部80に集積状態で貯留させて一時収納用の所定の束カセット81に移載し、その後は、可能な限り束振分部80の貯留限界束数まで集積状態で貯留させるため、一時収納用の所定の束カセット81に移載せずに束振分部80から束カセット82〜86のうち精査対象であったものにそのまま戻すことができる小束紙幣Wの束数を多くすることができる。したがって、自己精査処理をさらに短時間で行うことができる。
加えて、小束紙幣の金種をCCDカメラ144の画像で検出するため、離れた位置から小束紙幣の金種を検出できる。
さらに、CCDカメラ144が束載置板169を検出することで束カセット81〜86の空状態を検出する。したがって、金種確認用のCCDカメラ144で兼用して、束カセット81〜86の小束紙幣Wが無くなったことを検出することができる。
加えて、CCDカメラ144が、束振分部80に付設されているため、束振分部80と一体に移動でき、別途の移動機構が不要となる。