JP4549108B2 - 肌の柔軟性の測定方法 - Google Patents

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本発明は、皮膚の角層細胞を用いた肌鑑別法に関し、更に詳しくは、本発明は角層細胞の蛍光強度を指標とした肌の鑑別法に関する。更に、本発明は前記肌の鑑別法に基づく化粧料の選択法、該選択された化粧料の提示方法に関する。
化粧料を選択する上で、その適用されるべき肌の特性を知ることは非常に重要なことである。これは、肌状態の違いにより、同じ化粧料を使用しても、好ましい効果をもたらすことも存するし、却って好ましからざる効果をもたらすことも存するためである。即ち、肌の手入れに於いて、適切な化粧料を選択することは効果と安全性を確保する上で常用なテーマであると言える。この様な状況を反映して、種々の肌の鑑別法と化粧料の選択法が考案されている。中でも、容易に採取できて、肌状態を適切に反映し、且つ、肌情報を多く有している角層細胞を用いる方法は、近年重点的に研究が重ねられている。かかる角層細胞に関する技術としては、主として、形状、面積、核を有するか否か、どの程度のメラニン顆粒を有するか等、角層細胞の形状或いは病理学的特徴に関するものが主流を占めている。又、形状に加えて比較的マクロな肌の凹凸の状態などを補助因子として加えているものも存する。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照)しかしながら、その一方、角層細胞の形状や病理学的特徴は大差なくとも、肌の状態には大きな差が存するような例も散見されており、角層細胞や角層細胞の病理学的特徴以外に、肌の状態に対する因子が存することが推察されている。特に、皮膚の柔軟性などのような皮膚形態を組織学的手段によって、鑑別する手段は存しておらず、専ら弾力などの皮膚の物理学的変形特性による鑑別に依存しているのが現状である。この様な柔軟性などの皮膚形態は、人の外観印象形成に大きな影響を与えるため、柔軟性喪失を適切に鑑別し、予防する手段の開発が望まれていた。かかる皮膚柔軟性低下の予防策としては、例えば、エラスターゼ阻害剤を利用する方法(特許文献8を参照)、ヒアルロニダーゼ阻害剤を利用する方法(例えば、特許文献9を参照)、アスコルビン酸グルコシドを利用する方法(例えば、特許文献10を参照)等が存し、これらを有効に活用するためには、柔軟性の低下を初期段階に鑑別する手段の開発が必要であると言える。
一方、角層細胞を紫外線照射下で観察すること、及びこの様な観察に於いて、角層細胞が蛍光を発することは知られているが、これは角層細胞の形状を鑑別するために形状を明らかにする手段であった。蛍光強度と角層細胞の特性を考えあわせることや、前記蛍光現象が角層細胞の特性を反映しているものであることは推測だに為されていなかった。即ち、肌の鑑別法であって、皮膚より採取した角層細胞を紫外線を照射し、該照射による角層細胞の蛍光強度を指標とするものは全く知られていない。
特開2004−105700号公報 特開2004−53491号公報 特開2002−65616号公報 特開2001−13138号公報 特開2000−116623号公報 特開平11−344489号公報 再表02/25272号公報 特開2004−83432号公報 特開2002−293740号公報 特開2001−354513号公報
本発明はこの様な状況下為されたものであり、角層細胞の蛍光強度を指標に、肌の鑑別を行い、更に、前記肌の鑑別法に基づき化粧料の選択法、及びそれらを利用した化粧料の提示方法を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者は、肌の鑑別を行い、それに基づき化粧料の選択法、及びそれらを利用した化粧料の提示方法をすることを可能にならしめる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、角層細胞に紫外線(励起光)を照射し、該紫外線による蛍光(発光)強度が皮膚柔軟性、及び角層細胞におけるβシート型のケラチンの存在割合と相関し、肌を鑑別できることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)肌より採取された角層細胞の、紫外線の照射により発せられる蛍光の強度を指標とし、蛍光の強度が大きいほど、皮膚柔軟性が低いとすることを特徴とする、肌の柔軟性の測定方法
(2)前記蛍光の波長範囲が350〜550nmであることを特徴とする、(1)に記載の肌の柔軟性の測定方法
(3)前記紫外線の波長範囲が280〜420nmであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の肌の柔軟性の測定方法
)前記蛍光の強度が大きいほど、βシート型ケラチンの存在割合が大きく、皮膚柔軟性が低いとすることを特徴とする、(1)〜(3)の何れかに記載の肌の柔軟性の測定方法。
)次に示す工程に従って行われることを特徴とする、(1)〜(4)の何れかに記載の肌の柔軟性の測定方法
(工程1) 粘着剤を塗工した支持体を用いて皮膚より採取された角層細胞を、前記粘着剤を溶剤により軟化させることにより、スライドグラス上に転写させる。
(工程2) 工程1で転写させた角層細胞に紫外線を照射し、紫外線を照射した前記角層細胞の拡大画像を得る。
(工程3) 工程2で得られた角層細胞の拡大画像より、角層細胞の蛍光強度を計測する。
(工程4) 工程3で得られた角層細胞の蛍光強度を指標とし、蛍光の強度が大きいほど、皮膚柔軟性が低いとする。
本発明の肌鑑別方法により、角層細胞の蛍光強度を指標に、皮膚柔軟性、及び角層細胞におけるβシート型のケラチンの存在割合の推定が可能となり、更に、前記肌鑑別法に基づき化粧料の選択法、及びそれらを利用した化粧料の提示方法を提供することができる。
本発明は、皮膚より採取した角層細胞に紫外線を照射し、該紫外線によって発光する蛍光強度によって、角層細胞におけるβシート型のケラチンの存在割合の推定及び/又は皮膚柔軟性を鑑別することを特徴とする。更に、鑑別された皮膚柔軟性に適した化粧料の選択及び鑑別に用いた角層細胞の拡大画像の提示に関する。以下に、更に詳細に説明を加える。
前記角層細胞の採取、解析、肌の鑑別及び化粧料選択の工程は、以下のように行う。
(1)粘着テープを用いて、皮膚より角層細胞を採取する。
(2)前記粘着テープの粘着剤は有機溶剤により軟化・溶解させ、角層細胞をスライドグラス上に転写させる。
(3)紫外線光源としてメタルハライド光源又はLED光源を用い、紫外線を照射し、蛍光顕微鏡等によって、発光した角層細胞の拡大画像を取り込む。
(4)角層細胞の拡大画像を、パソコンの画像解析ソフトウェアを用いて輝度解析を行い、角層細胞固有の蛍光強度を推定する。このようなソフトウェアとして、三谷商事株式会社のWinROOF等が例示できる。
(5)前記角層細胞の蛍光強度より、肌の皮膚柔軟性を推定する。
(6)推定された肌の皮膚柔軟性より、それに適した化粧料を選択する。
前記照射する紫外線(励起光)の波長範囲として、280〜420nmが好ましい。これは、人の頬部、額部、上腕部、腹部、肘部、掌部、口腔粘膜部及び足踵部より採取した角層細胞に対して、260〜500nmの波長範囲の紫外線照射を行い、その蛍光スペクトルを測定した結果、紫外線波長範囲が280〜420nmにおいてのみ、角層細胞からの発光現象が観察され、鑑別するためにはこの波長範囲が好ましいと考えられるためである。
前記蛍光(発光)の波長範囲として、350〜550nmが好ましく、より好ましくは、400〜500nmである。これは、人の頬部、額部、上腕部、腹部、肘部、掌部、口腔粘膜部及び足踵部より採取した角層細胞に対して、260〜500nmの波長範囲の紫外線照射を行い、その蛍光スペクトルを測定した結果、350〜550nmの波長範囲において蛍光強度が観察され、鑑別を行うにはこの蛍光波長範囲が好ましいと考えられるためである。
前記皮膚柔軟性とは、皮膚の柔らかさ又は硬くない程度を示す。かかる程度は、物理学的変形可能性によって表現される、「物理学的な柔らかさ」にとどまらず、「見た目の柔らか」或いは「自覚としての柔らかさ」をも包含する言葉である。前記見た目の柔らかさは、物理学的特性によってのみ表されるものではないため、その指標が存しないのが現状である。従来の物理学的変形を指標とする、皮膚柔軟性の計測機器としては、CUTOMETER SEM575(Courage+Khazaka社製)、ビーナストロン(株式会社アクシム社製)等が例示できる。CUTOMETER SEM575では皮膚を吸引し、吸引力に対する皮膚の伸びを指標として皮膚柔軟性を計測できる。また、ビーナストロンでは触覚センサーを皮膚に押し込み、皮膚の周波数変化量を指標として皮膚柔軟性を計測できる。これらの計測機器を用いて、個人差、加齢変化、部位差、及び全身性強皮症の皮膚硬化度等に関する皮膚柔軟性の報告がなされている。
前記βシートとは、蛋白質の構造の一つである。蛋白質の鎖は−NH−X−CO−NH−X−CO−MH−という構造が繰り返され、このH(水素)とO(酸素)は水素結合で引き合い、蛋白質の構造を決める大きな要因である。例えば、あるアミノ酸のOとその3つ先のHが順番に水素結合し、蛋白の鎖が螺旋型を描いたものはαへリックスと呼ばれる。又、アミノ酸の鎖が一直線に長く伸びた形で、何本か水素結合で引き合って束になり平面的に並んだものはβシートと呼ばれる。このように蛋白質は、一定の形に折り畳まれることによって立体構造を為し、柔軟性や流動性を保持しつつその機能を発揮する。かかる特性は、物理学的な特性にとどまることなく、見た目、個人の自覚的認識の柔らかさにも及んでいることが本発明者らは見出している。
前記βシートの特性は、固く丈夫な性質を存することである。人のケラチンは、αへリックスが主であるが、αへリックスからβシートへ転位する性質によってβシートが増えると、βシートの特性によってケラチン全体の柔軟性が失われ、皮膚柔軟性は低下すると考えられる。又、かかる変化は外観印象としての柔らかさ、自覚的感覚的な柔らかさにも影響を与える。
前記蛍光強度と皮膚柔軟性との間には負の相関関係が認められる。この相関関係は、βシートの特性である、蛍光強度の大きく、且つ、固く丈夫な性質を存することによるものと考えられる。この相関関係より、蛍光強度が大きいほど皮膚柔軟性が低く、蛍光強度が小さいほど皮膚柔軟性が高いと判断される。
前記βシート型のケラチンの存在割合は、蛍光強度より推定できる。これは、αヘリックスでは自家蛍光が殆ど見られないの対して、βシートでは自家蛍光が強く認められることによる。角層細胞に於ける自家蛍光の強弱が、角層細胞を構成するケラチンにおいて、βシートのものが多いか、αヘリックスのものが多いかに由来することが分かる。即ち、蛍光強度よりβシート型のケラチンの存在割合を推定することができる。
前記化粧料の選択は、皮膚柔軟性の程度及び/又は対象とする部位によって、対応できる。例えば、化粧料は、肘や踵等ではより柔軟性を高めるものを選択し、前腕内側部や上腕内側部では柔軟性をあまり高めないものを選択できる。
前記対照とすべき標準画像とは、多数の被験者から採取した角層細胞の拡大画像で、蛍光強度のレベルによってランク付け、標準化されたものである。ランク付けは、蛍光強度を元に、2〜10段階に設定できる。又、標準画像の対照として、皮膚の部位別、年代別、性別、人種別等に設定することが好ましい。
かくして、前記角層細胞の標本作成、紫外線による該角層細胞の蛍光強度の計測、解析ステップにより、皮膚柔軟性及び角層細胞に於けるβシート型ケラチンの存在割合が推定可能となる。又、推定された皮膚柔軟性よりそれに適した化粧料の選択と、それに伴う該角層細胞の蛍光を発する拡大画像の提示を提供することができる。前記皮膚柔軟性により選択される化粧料としては、柔軟性が低いと判断された場合には、オイゲノールなどの線維芽細胞活性化剤、アロエ抽出物などのエラスターゼ阻害剤を含有する化粧料、コウジ酸などのヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧料を選択することが例示できる。又、軽度の低下に際しては、ポリメタクリロイルオキシエトキシホスホリルコリン、メタクリロイルオキシエトキシホスホリルコリン・メタクリル酸ブチルコポリマーなどの高保水性成分を含有する化粧料を選択することが例示できる。特に注目すべきは、軽度の柔軟性喪失は、従来の物理学的特性値を指標とした鑑別では、正常のものとの区別がつけにくい実状があったが、本願発明では、この様なケースも鑑別できるので、より早い時期で予防策が講じられる利点が存することである。更に、対照となるべき、柔軟性の程度と蛍光の状態を示した単数乃至は複数の写真とともに、化粧料を選択しようとしている人の角層細胞の蛍光状態を示す写真を提示することにより、化粧料を選択しようとしている人の皮膚の柔軟性の状態を正確に認識させることが出来る。かかる認識は、化粧料の使用形態に於いて、処置の忘却などを予防することが出来、化粧料の効果を確実に発揮せしめることが出来る。又、本発明の化粧料の選択法によれば、皮膚の柔軟性を充分に有する人が、柔軟性の低い人が使用すべき、エラスターゼ阻害剤やヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧料を使用し、効果を発揮しないばかりか、必要としない成分の好ましくない効果の発現を引き起こすような事態を回避することが出来る。即ち、本発明の化粧料の選択法に於ける、好ましくない化粧料の選択の回避効果は、この意味で、適切な化粧料の選択以上の効果を奏すると言える。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
角層細胞の肌鑑別は、以下のように行った。粘着テープを使用してテープストリップによって、女性被験者の頬部より角層細胞を採取した。角層細胞の付着した粘着テープを、そのままスライドグラスに貼り付け、キシレン中で一夜浸漬した。テープの粘着剤を溶解させ、スライドグラス上に角層細胞を回収し、角層細胞標本を作成した。
前記角層標本を、光ファイバー蛍光分光測定装置(SPEX SkinSkan、ジョバンイボン社製)の元にセットし、紫外線波長を260〜500nmに変化させながら照射し、角層細胞の分光スペクトルを計測した。得られた蛍光スペクトルと365nmの紫外線で励起した時の角層細胞蛍光顕微鏡画像を図1に示す。
図1より、紫外線の波長範囲280〜420nmに於いて、400〜500nmの波長範囲の蛍光強度が観察され、鑑別を行うには、紫外線及び蛍光の波長に好ましい領域があることが示唆される。また、365nmの紫外線で励起した時の角層細胞の拡大画像が使用できることも分かる。
実施例1において、角層細胞を採取する部位を、掌部に変え検討した結果を図2に示す。図2より、実施例1の頬部と同様に、鑑別を行うには、紫外線及び蛍光の波長に好ましい領域があることが示された。更に、頬部に比べて掌部においては、蛍光強度が大きく、同時に、365nmの紫外線で励起した時の角層細胞の拡大画像に反映される。かくのごとく、蛍光強度が部位の肌特性を表し、肌を鑑別できることが分かる。
蛋白質は、ランダムコイル、αヘリックス及びβシートによって、立体構造を構成している。皮膚ケラチンのパウダーの立体的差異による、紫外線照射によって励起される自家蛍光の違いを調べた。即ち、スライドグラス上にαヘリックス型のケラチンパウダーを塗工したものと、βシート型のケラチンパウダーを塗工したものを用意し、紫外線照射に対する自家蛍光の蛍光スペクトルを調べた。この結果を図3に示す。
図3より、αヘリックスでは自家蛍光が殆ど見られないの対して、βシートでは自家蛍光が強く認められることが分かる。このことより、角層細胞に於ける自家蛍光の強弱が、角層細胞を構成するケラチンにおいて、βシートのものが多いか、αヘリックスのものが多いかに由来することが分かる。即ち、蛍光強度よりβシート型のケラチンの存在割合を推定することができる。
30名の女性被験者(30〜39歳)を対象に、角層細胞の蛍光強度と皮膚柔軟性との関係を調べた。角層細胞は、水性洗顔後20分後に粘着テープを使用し、テープストリップによって女性被験者の頬部より採取した。角層細胞の付着した粘着テープを、キシレン中で一夜浸漬し、テープの粘着剤を溶解させ、スライドグラス上に角層細胞標本を転写させた。標本の角層細胞数を減少させ、スライドグラス上に角層細胞数1個の標本を作成した後、油浸オイルを滴下し、カバーグラスをのせて封入した。その標本を、蛍光顕微鏡システム(カメラDP−50、顕微鏡BX−60、メタルハライド光源、何れもオリンパス社製)の元にセットし、暗室条件下で、メタルハライド光源の絞りを調節しながら紫外線を照射し、角層細胞の自家蛍光を観察し、その画像を取り込んだ。取り込んだ画像輝度は画像解析ソフトウェアのWinROOF(三谷商事株式会社製)を用いて解析した。本測定条件下に於いては、画像輝度のヒストグラムの最頻値を代表値とし、角層細胞の蛍光強度と定義した。蛍光強度が小さいとは代表値が0〜50の範囲であり、蛍光強度が大きいとは代表値が100〜200の範囲にあり、本実施例の被験者の角層細胞の代表値平均は約73であった。
皮膚柔軟性は、CUTOMETER SEM575(Courage+Khazaka社製)を用い、女性被験者の角層細胞を採取した頬部皮膚を付属プローブで吸引し、吸引力に対する皮膚の伸びから求めた。即ち、物理的な皮膚柔軟性は、300hPa(ヘクトパスカル)の陰圧で10秒間吸引したときの吸引された皮膚の高さ(mm)として定義された。
前記方法によって得られた、角層細胞の蛍光強度と機器測定に於ける物理的な皮膚柔軟性との関係を図4に示す。図4より、蛍光強度は機器測定に於ける物理的な皮膚柔軟性とも、良好な負の相関関係(相関係数R=−0.850)を示し、蛍光強度が大きいほど、皮膚柔軟性が低いことが分かる。また、前記相関関係を示す回帰式、皮膚柔軟性(mm)=−0.0007*(蛍光強度)+0.407を利用することによって、蛍光強度より皮膚柔軟性を推定することができる。かように鑑別された皮膚柔軟性を用いて、肌に適した化粧料の選択、及び前記角層細胞の拡大画像を提示できる。
本発明の肌の鑑別法を用いて、パネラー40名の肌の特性(柔軟性)を調べて、化粧料の選択を行った。即ち、角層細胞の自家蛍光の蛍光強度に従って、パネラーを柔軟性が少ない群(I群)、柔軟性がやや少ない群(II群)、柔軟性が充分に存する群(III群)の3群に分類し、I群には、処方1に示す、柔軟性の喪失抑制作用、柔軟性回復作用に優れる化粧水を、II群には処方2に示す、柔軟性喪失抑制作用を有する化粧水を、III群には通常の保湿化粧水を渡し、今まで使用していた化粧水に代えて、4週間連日使用してもらった。使用終了後に、アンケートを実施し、普段使用している化粧水と、試験に使用した化粧水とではどちらの方が肌を柔軟にしたかを回答してもらった。結果を表1に示す。これより、通常の状態では、皮膚の柔軟性については、自覚と客観的な状態が乖離しており、この為に不適切な化粧料の選択が行われていることが判る。本発明の化粧料の選択法によれば、適切な化粧料の選択、不適切な化粧料の選択の回避が出来ることも判る。又、同時にCUTOMETER SEM575での皮膚柔軟性の測定も行ったが、この測定で、柔軟性が低いと判定されたのはI群の9名の中の6名であった。これより、本発明の肌の鑑別法によれば、物理学的な測定よりもきめ細やかに皮膚の柔軟性の鑑別が行えることも判る。
(化粧水の処方1)
グリセリン 5 質量%
オイゲノール 0.01質量%
1,2−ペンタンジオール 7 質量%
ポリクオタニウム51 0.01質量%
POE(60)硬化ヒマシ油 0.1 質量%
水 87.88質量%
(化粧水の処方2)
グリセリン 5 質量%
ポリメタクリロイルオキシエトキシホスホリルコリン 0.01質量%
1,2−ペンタンジオール 7 質量%
ポリクオタニウム51 0.01質量%
POE(60)硬化ヒマシ油 0.1 質量%
水 87.88質量%
(化粧水の処方3)
グリセリン 2 質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01質量%
1,2−ペンタンジオール 7 質量%
ポリクオタニウム51 0.01質量%
POE(60)硬化ヒマシ油 0.1 質量%
水 90.88質量%
Figure 0004549108
実施例5と同様の手技で、パネラー20名を使用し、パネラーを2群に分けて使用テストを行った。肌の鑑別と化粧料の選択は実施例5と同様に行ったが、1群はサンプルを渡すときに、角層細胞の自家蛍光の写真を提示しながら、皮膚柔軟性の状態について、説明を加え、サンプルを渡した(角層細胞写真提示群)。もう1群は口頭でのみ鑑別結果を説明し、サンプルを渡した(口頭説明群)。サンプルとともに使用記録表も渡し、使用状況の記録もお願いした。使用テスト終了後に使用記録表も回収し、56回の投与機会における、群毎の投与し忘れ回数の平均を求めた。結果は、角層細胞提示群の平均投与忘却回数が、4.5回であったのに対し、13回であった。これより、角層細胞の自家蛍光の写真を提示することにより、皮膚柔軟性の状態を的確に化粧料使用者に理解させ、化粧料の使用の必要性をしっかり理解させられることがわかる。
角層細胞の蛍光強度を指標とした肌鑑別方法により、皮膚柔軟性及び角層細胞におけるβシート型のケラチンの存在割合の推定が可能となり、皮膚柔軟性に適した化粧料の選択、及び鑑別に用いた角層細胞の拡大画像の提示ができる。その結果、例えば、肌状態及び化粧料のカウンセリングを提供できる。
実施例1の頬部の角層細胞の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例2の掌部の角層細胞の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例3のケラチンの立体構造の差異を示す蛍光スペクトルの図である。 実施例4の蛍光強度と皮膚柔軟性との相関関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 肌より採取された角層細胞の、紫外線の照射により発せられる蛍光の強度を指標とし、蛍光の強度が大きいほど、皮膚柔軟性が低いとすることを特徴とする、肌の柔軟性の測定方法
  2. 前記蛍光の波長範囲が350〜550nmであることを特徴とする、請求項1に記載の肌の柔軟性の測定方法
  3. 前記紫外線の波長範囲が280〜420nmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の肌の柔軟性の測定方法
  4. 前記蛍光の強度が大きいほど、βシート型ケラチンの存在割合が大きく、皮膚柔軟性が低いとすることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の肌の柔軟性の測定方法。
  5. 次に示す工程に従って行われることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の肌の柔軟性の測定方法
    (工程1) 粘着剤を塗工した支持体を用いて皮膚より採取された角層細胞を、前記粘着剤を溶剤により軟化させることにより、スライドグラス上に転写させる。
    (工程2) 工程1で転写させた角層細胞に紫外線を照射し、紫外線を照射した前記角層細胞の拡大画像を得る。
    (工程3) 工程2で得られた角層細胞の拡大画像より、角層細胞の蛍光強度を計測する。
    (工程4) 工程3で得られた角層細胞の蛍光強度を指標とし、蛍光の強度が大きいほど、皮膚柔軟性が低いとする。
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