JP4548929B2 - 防水型ポテンショメータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、屋外で利用される様々な機器に搭載させるのに適した防水型のポテンショメータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような分野の技術として、特開平10−232142号公報がある。この公報に記載された防水型ポテンショメータは、シャフトに固定したロータをケースの収容空間部内に回転自在に配置させている。そして、シャフトが所定角度だけ回された場合、ロータに設けた摺動接点が抵抗体上を移動し、それに伴って、抵抗体の抵抗値を変化させるので、抵抗体から外部に取出される電圧値に基づいてシャフトの回転角度が計測される。この種のポテンショメータは、一般的には、ゴム製のパッキンや封止剤を利用して防水機能を担保している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の防水型ポテンショメータには、次のような課題が存在している。すなわち、ゴム製のパッキンや封止剤を利用した場合、パッキンや封止剤自体で防水機能を発揮させており、材質自体で防水性能を担保し、防水性能は材質に依存することが大きくなる。そして、収容空間部内の圧力変動によって、収容空間部と外部とのシール部分に隙間ができ易くなり、そこから水が侵入することで、抵抗体や接点部を腐食させて測定を不安定なものにし、ポテンショメータの性能の維持が図れなくなってしまう。このように、材質自体による防水性能の確保では、ポテンショメータの防水性能の向上に限界があるといった問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、特に、防水性能の向上を図るようにした防水型ポテンショメータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る防水型ポテンショメータは、抵抗体と抵抗体上を摺動接触する接点部とを、ケース内の収容空間部内に配置させた防水型ポテンショメータにおいて、収容空間部と外部とを連通させる開口部に蓋部を設け、この蓋部をダイアフラムによって構成させたことを特徴とする。
【0006】
この防水型ポテンショメータは、温度変化の激しい場所で利用されることに配慮してなされた発明であり、外部温度の変化に伴って収容空間部内で圧力が変化することに着目し、この圧力変動を可能な限り小さくすることによって、収容空間部と外部との連通を阻止するためにシールされた部分を介して、空気が外から内又は内から外に向けて流動しようとする事態を可能な限り阻止し、シールされた部分の隙間の発生を抑制する。これによって、シール性の維持を図るようにしたものである。このような着想に基づいて、本発明では、収容空間部と外部とを連通させる開口部に蓋部を設け、この蓋部をダイアフラムによって構成させることで、収容空間部内の圧力変動を可能な限り小さくして、防水性能を向上させている。
【0007】
また、抵抗体を表面側に形成した基板と、接点部を固定した回転部とを収容空間部内で対向して配置させ、基板とダイアフラムとを対向して配置させ、回転部に設けた回転シャフトの軸線方向において基板と回転部とダイアフラムとを並設させ、ダイアフラムに形成した凸部の先端で基板の裏面を押圧して、基板の表面の外周部分をケースに圧着させると好適である。このように、回転部と基板とダイアフラムとを回転シャフトの軸線方向に並設させる結果として、回転部及び基板を開口部から収容空間部内に装填させた後において、ダイアフラムでケースに蓋をするような構造のポテンショメータを可能にし、このような構造は組立て作業性を良好にするものである。更に、ダイアフラムが凸部を有することに起因し、組立て作業時において、この凸部の先端が基板の裏面を押圧して、基板の表面の外周部分をケースに圧着させるので、ダイアフラムと基板との密着、並びに基板とケースとの密着を容易かつ確実なものとし、ポテンショメータの軸線方向における組立てを容易かつ確実なものにしている。
【0008】
また、ダイアフラムの外周縁に形成した枠部の内周面を、軸線に対して垂直な方向に押圧して、枠部の外周面を、開口部を形成する壁面に密着させるリング体を更に有すると好適である。このようなリング体の採用は、ダイアフラムでケースに蓋をする場合において、ケースに対するダイアフラムの固定を簡単なものとし、ダイアフラムとケースとの密着を容易かつ確実なものとし、ダイアフラムにリング体を嵌め込むような作業によって、ポテンショメータの軸線方向における組立てを容易かつ確実なものにしている。
【0009】
また、ダイアフラムは、弾性変形自在な部材で形成すると好適である。このような構成を採用した場合、ダイアフラム自体に弾性をもたせる結果として、ダイアフラムに設けた前述の凸部が弾性変形しながら、基板の裏面に押し当てられるので、基板とケースとの密着性、並びにダイアフラムと基板との密着性を高めることができる。また、前述のリング体によってダイアフラムの枠部を弾性変形させながら、ダイアフラムとケースの開口部の壁面との密着性を高めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による防水型ポテンショメータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1に示す防水型ポテンショメータ1は、一般的な使用態様は勿論のこと、野外で利用される重機や、温度差が著しい場所に晒される機器等に組込むような特殊な使用態様にも適したものである。この防水型ポテンショメータ1は、プラスチック又は金属からなる直径2cm程度のケース2を有している。このケース2内には、電気絶縁性の樹脂からなる円板状の回転部3及び基板5が対面するように並設して収容されている。
【0012】
この回転部3には、弾性金属からなり相互に電気的に接続させた2個の接点部4a,4bが固定されている。更に、回転部3には、ケース2から突出させて回転ツマミとして機能させる回転シャフト7が固定されている。また、基板5の表面側において、その中央部分には、接点部4aが摺動接触する金属製の第1の抵抗体6aがO字状に形成され、この抵抗体6aの外方には、接点部4bが摺動接触する金属製の第2の抵抗体6bがC字状に形成されている。なお、第1の抵抗体6aには、ケース2のコネクタ部8内で突出させたターミナル片9が電気的に接続されている。
【0013】
よって、第2の抵抗体6bの両端に所定の電圧を印加した状態で、回転シャフト7を所定角度だけ回すと、各接点部4a,4bが各抵抗体6a,6b上を摺動し、抵抗体6bの抵抗値が、接点部4bの移動に基づいて変化する。そして、第1の抵抗体6aに接続させたターミナル片9から外部に取り出される電圧値に基づいて回転ャフト7の回転角度が計測される。
【0014】
このような円板状の回転部3及び基板5は、ケース2内に形成した収容空間部10内に配置され、この収容空間部10内において、回転部3と基板5とは、回転シャフト7の軸線L方向に離間させるように並設させる。そして、ケース2には、収容空間部10と外部とを連通させる円形の開口部11が形成され、ポテンショメータ1の組立てにおいて、この開口部11から回転部3及び基板5が装填される。このような開口部11の採用は、ポテンショメータ1の組立て作業性を良好にする。
【0015】
図1及び図2に示すように、この開口部11には、収容空間部10内への水の侵入を防止するための蓋部12が嵌め込まれ、この蓋部12をダイアフラムによって構成させる。このダイアフラム12は、回転部3及び基板5に対して並設させるようにケース2に固定させる。ダイアフラム12は、弾性を有するゴム又はプラスチックで形成されると共に、中央に配置させて、軸線L方向に変位可能で偏平な円板状の調圧部13と、この調圧部13を包囲するリング状の枠部14と、調圧部13と枠部14とを連結させる薄膜状の可撓部15とを有している。
【0016】
したがって、周囲温度が変化し、ダイアフラム12を境にした内側と外側とに圧力差が生じた場合、内圧と外圧とが略同じになるように、ダイアフラム12の調圧部13が軸線L方向に変位して、収容空間部10内の圧力が調整される。例えば、周囲温度の上昇によって、シール構造によって密封された収容空間部10内の空気が膨張すると、調圧部13が外方に変位し、逆に、周囲温度の降下によって、収容空間部10内の空気が収縮すると、調圧部13が内方に変位する。このように、内外の圧力差をなくすようにダイアフラム12が働くことになる。実験によると、周囲温度が60℃変化した場合、収容空間部10内の容積を17%増減させるようにダイアフラム12の調圧部13が変位し、内圧と外圧との均衡を保つようにダイアフラム12が機能した。
【0017】
このように、蓋部12としてダイアフラムを採用すると、水に濡れ易いが、温度変化の少ない場所での利用は言うに及ばず、温度変化の激しい場所での利用をも可能にする。すなわち、温度変化に対応するように変位するダイアフラム12によって、収容空間部10内外での圧力差が可能な限り小さくなるので、収容空間部10と外部との連通を阻止するためのシール部分を介して、空気が外から内又は内から外に向けて流動しようとする事態を可能な限り阻止し、シール部分の隙間の発生を抑制する。これによって、シール性が常に一定に保たれるようになり、安定した防水性能の維持が図られ、耐久性の向上を可能にする。なお、符号22は、回転シャフト7からの水の侵入を防ぐゴム製のシールリングである。
【0018】
ここで、ダイアフラム12の枠部14には、軸線L方向に突出した環状の凸部17が形成されている。そして、ダイアフラム12の組込み完了時において、この凸部17の先端が基板5の裏面を軸線L方向に押圧することにより、基板5の表面の外周部分がケース2の着座面2aに密着するように押し付けられる。このように、ダイアフラム12が凸部17を有することに起因し、組立て作業時において、基板5の表面の外周部分をケース2に圧着させるので、ダイアフラム12と基板5との密着、並びに基板5とケース2との密着を容易かつ確実なものとし、ポテンショメータ1の軸線L方向における組立てが容易かつ確実なものになる。
【0019】
特に、ダイアフラム12自体をゴムなどの弾性変形自在な部材で構成させると好適である。この場合、ダイアフラム12の凸部17は、弾性変形しながら基板5の裏面に押し当てられるので、基板5とケース2との密着性、並びにダイアフラム12と基板5との密着性を高めることができる。
【0020】
更に、ダイアフラム12の枠部14の外周面14aと、開口部11を形成する壁面11aとの密着を容易かつ確実なものにするため、金属製のリング体20が利用される。このリング体20は、O字状であるが、C字状にして径方向にバネ性をもたせるようにしてもよい。このようなリング体20は、組立て作業時にダイアフラム12の枠部14に嵌め込まれ、枠部14の内周面14bを、軸線Lに垂直な方向(径方向)において外側に向けて押圧する。これによって、枠部14の外周面14aが開口部11の壁面11aに密着するように押し付けられる。
【0021】
このようなリング体20の採用は、ダイアフラム12でケース2に蓋をする場合において、ケース2に対するダイアフラム12の固定を簡単なものにする。すなわち、ダイアフラム12とケース2との密着が容易かつ確実なものとなり、ダイアフラム12にリング体20を外から嵌め込むような作業によって、ポテンショメータ1の軸線L方向における組立てを容易かつ確実なものにする。特に、ダイアフラム12自体をゴムなどの弾性変形自在な部材で構成させると、リング体20によってダイアフラム12の枠部14を弾性変形させながら、ダイアフラム12の外周面14aと開口部11の壁面11aとの密着性を高めることができる。
【0022】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、多回転型のポテンショメータに防水機能をもたせる場合にも有効な方策である。
【0023】
【発明の効果】
本発明による防水型ポテンショメータは、以上のように構成されているため、次のような効果を得る。すなわち、抵抗体と抵抗体上を摺動接触する接点部とを、ケース内の収容空間部内に配置させた防水型ポテンショメータにおいて、収容空間部と外部とを連通させる開口部に蓋部を設け、この蓋部をダイアフラムによって構成させたことにより、防水性能の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防水型ポテンショメータの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の防水型ポテンショメータの要部であるダイアフラムを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…ポテンショメータ、2…ケース、3…回転部、4a,4b…接点部、5…基板、6a,6b…抵抗体、7…回転シャフト、10…収容空間部、11…開口部、11a…開口部の壁面、12…ダイアフラム(蓋部)、14…枠部、14a…枠部の外周面、14b…枠部の内周面、17…凸部、20…リング体、L…軸線。

Claims (4)

  1. 抵抗体と前記抵抗体上を摺動接触する接点部とを、ケース内の収容空間部内に配置させた防水型ポテンショメータにおいて、
    前記収容空間部と外部とを連通させる開口部に蓋部を設け、この蓋部をダイアフラムによって構成させたことを特徴とする防水型ポテンショメータ。
  2. 前記抵抗体を表面側に形成した基板と、前記接点部を固定した回転部とを前記収容空間部内で対向して配置させ、前記基板と前記ダイアフラムとを対向して配置させ、前記回転部に設けた回転シャフトの軸線方向において前記基板と前記回転部と前記ダイアフラムとを並設させ、前記ダイアフラムに形成した凸部の先端で前記基板の裏面を押圧して、前記基板の前記表面の外周部分を前記ケースに圧着させたことを特徴とする請求項1記載の防水型ポテンショメータ。
  3. 前記ダイアフラムの外周縁に形成した枠部の内周面を、前記軸線に対して垂直な方向に押圧して、前記枠部の外周面を、前記開口部を形成する壁面に密着させるリング体を更に有することを特徴とする請求項1又は2記載の防水型ポテンショメータ。
  4. 前記ダイアフラムは、弾性変形自在な部材で形成したことを特徴とする請求項2又は3記載の防水型ポテンショメータ。
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