JP4547111B2 - 逆流防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆流を防ぐ逆流防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
逆流防止装置(チェック弁)は、例えば水源の水をポンプ装置で揚水する自動給水システムなどで多く用いられる。
【0003】
この逆流防止装置には、弁箱の内部に形成されている弁室に、弁体、弁座および付勢部材など逆止作用をなすのに必要な弁部品を収め、これらを弁室の内面にねじ止めで固定する構造が用いられている。
【0004】
近年、自動給水システムは、淡水以外に、特殊液、例えば海水を揚水することも検討されており、こうした自動給水システムにも逆流防止装置が用いられる。
【0005】
ところで、逆流防止装置は、防錆のために弁箱を青銅鋳物(BC)やステンレス材(SUS)から形成することが行われている。しかし、高価な材料を用いているにも関わらず、いずれの材料も、海水に適用した場合、腐食現象の発生は避けられない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、安価なコストで高い耐腐食性を確保するために、今までの安価な素材(FC材)で形成された弁箱を採用し、この弁箱に樹脂コーティングを施し、この弁箱内部の弁室に、腐食に強い材料で形成された弁体、弁座などの弁部品をねじ止めすることが考えられる。
【0007】
ところが、弁部品は耐腐食性は確保されるものの、弁箱は確保されにくい。
【0008】
すなわち、弁室の内面に弁部品をねじ止めする構造は、弁部品を止める都合上、弁室の内面に形成されるねじ部は樹脂コーティングから露出させることが求められる。
【0009】
このため、ねじ部が有る部分だけ素材が露出して、海水と接触する結果となり、露出部分から弁箱の腐食をもたらす問題がある。
【0010】
しかし、コストの低減のためには、樹脂コーティングを採用した弁箱で海水に耐えるようにすることが望まれる。しかも、自動給水システムは、海水だけでなく、他の特殊な液体を揚水する自動給水システムにも適用されるので、弁箱を腐食させる要因を改善しつつ、種々の特殊液に対応できる逆流防止装置が望まれる。
【0011】
本発明は上記事情に着目してなされたものでその目的とするところは、樹脂でコーティングされた弁箱の耐腐食性を活かして、種々の特殊液に適用可能とした逆流防止装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、一方の端面に第1フランジ面を有し、他方の端面に第2フランジ面を有し、内部には第2フランジ面から筒形に凹ませ該凹んだ端面の一部を第1フランジ面から開口させた弁室を有し、かつ全面に樹脂のコーティングが施されてなる弁箱を設け、この弁箱の弁室に第2フランジ面から、シート部を先頭に該シート部に逆止作用の弁部品を組付けてなる弁体ユニットを収めるようにしたうえで、この弁室に収まる弁体ユニットは、第2フランジ面に配管部材がフランジ結合されると、該配管部材で後端が押されるように構成されてなり、弁体ユニットが、第2フランジ面と前記配管部材とのフランジ結合にしたがい、弁室の端面にシート部が押付けられて、弁室の端面と前記配管部材との間で挟み付けられるようにした。
【0013】
つまり、樹脂コーティングから素材を露出させずに、弁部品の組付けならびに固定が行える。
【0014】
これにより、弁箱は全面に樹脂コーティングが施されたままですみ、樹脂コーティングが全面に施された弁箱の耐腐食性を最大限に活かした逆流防止装置の製作ができ、特殊液に好適な耐腐食性に優れた逆流防止装置を提供できる。
【0015】
しかも、弁箱は耐腐食性に優れているので、特殊液に合わせた材料で形成された弁体ユニットを組合わせるだけで、あらゆる特殊液に適用できる逆流防止装置の製作が可能である。
【0016】
請求項2に記載した発明は、上記目的に加え、さらに弁体ユニットを共用して、異なる弁室深さの弁箱に組付けられるようにするため、弁体ユニットと前記配管部材との間に隙間が有るときは、当該両者間にその隙間を埋める大きさを有する押え部材が介在されるようにした。
【0017】
請求項3に記載した発明は、上記目的に加え、さらに弁体ユニットががたつきなく弁室に収められるよう、シート部は、弾性部材を挟んで、弁室の端面とに押付けられるようにした。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1〜図5に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0019】
図1は、特殊液、例えば海水を送るラインに用いられる逆流防止装置(チェッキ弁)の外観、図2は同装置の側断面図、図3および図4は同装置の分解図をそれぞれ示していて、図中1は左右方向に延びる短柱状の弁箱である。
【0020】
弁箱1は、両端部にそれぞれフランジ部2,3を有していて、両側に、配管部材50,51のフランジ面50a,51a(図2に二点鎖線で図示)と組合うフランジ面2a,3aを形成している。さらに図3に示されるように一方のフランジ面2aの中央には、出入孔2bが形成され、他方のフランジ面3aの中央には、出入孔2bより径寸法の大きな出入孔3bが形成してある。また弁箱1内には、図3および図4に示されるように出入孔3bと略同じ径で、フランジ面3aから筒形に凹ませた弁室5が形成してある。そして、弁室5の端面5aの一部である中央部分が出入孔2bに開口している。なお、出入孔3bの周りの端面5aの部分には、Oリングセット用の環状溝6が形成してある。そして、この環状溝6にOリング6a(弾性部材に相当)が嵌まる。
【0021】
この弁箱1には、安価にして最大の耐腐食性が確保されるよう、例えば図2〜図4に示されるように鋳鉄材(FC)を素材7に用いて、フランジ面2a,2b、弁室5などを形成した後、その全面(内・外の全ての表面)に樹脂コーティング、例えば海水の腐食に強い材料としてナイロンをコーティングした構造が用いてある。図2〜図4中8はそのナイロンのコーティング層を示している。つまり、弁箱1の全体は、海水が素材7に触れない構造にしてある。
【0022】
一方、図中10は弁体ユニットを示す。弁体ユニット10は、図2〜図4に示されるように海水の腐食に強い部材、例えば樹脂製の部品など組合わせてユニット化した構造が用いてある。具体的には、弁体ユニット10は、樹脂製の環状のシート部11を前側(一方の端)に配置して、これにシートパッキン部材12、弁座13と放射状のアーム部14とを一体に形成してなるハウジング14a、弁座13に接離する弁体15、該弁体15を閉じ側に付勢する耐腐食性を有するコイルスプリング16(付勢部材)を組付けて(いずれも弁部品に相当)、弁体14aがハウジング15に収まる筒形のユニットを構成してなる。また後側に張り出す放射状のアーム部13は、いずれも内側へ軸方向に直角に折れ曲がるL形に形成されていて、これらアーム部13の折れ曲がりにより、弁体ユニット10の後端面(他方の面)に、軸方向とは直角方向に向く押え面17を形成している。
【0023】
この弁体ユニット10の全体が、図4に示されるようにシート部11を先頭に、出入孔3bから挿入されて、図2に示されるように弁室5内に収まっている。
【0024】
また弁体ユニット10は、フランジ面3aと配管部材51のフランジ面51a同士をボルト・ナット22,23で結合すると、配管部材51で、押え面17が押されるようにしてある。
【0025】
この押し構造には、弁体ユニット10を共用して、種々の弁箱1と組合わせるために、弁箱1の大きさに合わせて2通りの構造が採用してある。
【0026】
1つは、弁体ユニット10の全長が、弁室5の全長と同じか若干、長くなる組合わせのときは(図示しない)、フランジ面2aとフランジ面51aとが結合されると、フランジ面51aから突き出た押え面17が、直接、フランジ面51aで押される構造。
【0027】
1つは、図2に示されるような弁体ユニット10の全長より、弁室5の全長が長くなる組合わせのときは、弁体ユニット10とフランジ面51aとの間の隙間を埋める押え部材20(アダプタ)を介在させて、上記と同様、フランジ面2aとフランジ面51baが結合されると、弁体ユニット10の押え面17が、フランジ面51aで押え部材20を介して押される構造が用いられる。
【0028】
本実施形態は、後者の押え部材20を用いた構造が示してある。なお、前者の構造は、後者に対して、押え部材20が無く、直にフランジ面51aで押されるだけなので、その構造の説明を省略する。
【0029】
この押え部材20による構造を説明すれば、押え部材20は、耐腐食性に優れた材料、例えば合成樹脂部材からなる両端面を平坦にした環状の部材が用いられる。この押え部材20は、弁体ユニット10に続けて弁室5内に挿入される部品で、外径は弁室5に嵌挿可能な寸法で、厚みは弁体ユニット10に続けて弁室5に挿入されたとき、後端面がフランジ面2aと同じか若干、突き出る寸法に定めてある。この押え部材20の後端面が、フランジ面2aとフランジ面51aとのフランジ結合にしたがいフランジ面51aで押され、弁体ユニット10の先端のシート部11を、Oリング6aを介して、弁室5の端面5aに押付け、弁体ユニット10の全体を弁室5の端面5aと配管部材50との間で挟み付けるようにしてある。なお、押え部材20の外周面には、弁室5の周面との間のがたつき並びにシールをするOリング21が設けてある。
【0030】
これにより、配管部材51に逆流防止装置が結合されると、その結合を活用して、同時に弁体ユニット10が挟み付けにより固定されるようにしている。なお、図中26は、弁体ユニット10の外周に組込まれたOリングを示す。
【0031】
この配管部材51に逆流防止装置が固定されるまでの工程が図4および図5に示されている。
【0032】
同図を用いて逆流防止装置が固定されるまでを説明すれば、今、海水を揚水する自動給水装置のラインに逆流防止装置を組付けるとする。
【0033】
このときは、まず、全面にナイロンコーティングが施された弁箱1に、各種部品をセットすることから始まる。具体的には、図4に示されるようにフランジ面3aに開口している出入孔3bから、弁室5の端面5aに有る環状溝6にOリング6aを嵌める。続いて、出入り孔3bから、シート部11を先頭にして弁体ユニット10を挿入し、弁室5内に収める。そして、その後から押え部材20を弁室5内に収める。
【0034】
このとき、押え部材21のOリング21は、弁室5の開口側の周面に形成されている環状の溝部5cに嵌まるので、収められた弁体ユニット10は、不用意に外部に飛び出ることがないよう規制される。
【0035】
これにより、図5に示されるように弁室5内には、端面5aに対して、Oリング6a、弁体ユニット10、押え部材20が直列に並ぶように収まる。そして、押え部材20の後端面が、若干、フランジ面3bから突き出る。
【0036】
この後、まず、フランジ面3aと配管部材51とを結合する作業に入る。このときは、フランジ面3aと配管部材51のフランジ面51aとを、両フランジ面3b,51aに形成されているボルト孔3c,51c(図3にしか図示せず)とが合致するよう合わせた後、図5に示されるように両者間にボルト22を挿通し、挿通端にナット23をねじ込む。
【0037】
こうしてフランジ面3b、51a同士が結合されるにしたがい、フランジ面51aは、フランジ面3aから突き出ている押え部材20の端面を押す。
【0038】
すると、弁体ユニット10は、先端側へ押され、シール部11が、Oリング6aを変形させながら、弁体5の端面5aに押付けられる。これにより、弁体ユニット10の全体は、前後方向、すなわち弁室5の端面5aと配管部材51のフランジ面51aとの間で挟み付けられる。
【0039】
ボルト・ナット22,23による結合が終えると、弁体ユニット10の固定も終え、フランジ結合を活用しての弁体ユニット10の組付けを終える。その後、図2に示されるように残るフランジ面2aに、残る配管部材50のフランジ面50aをボルト・ナット24,25で結合すれば、ラインへの組付けを終える。
【0040】
かくして、弁箱1は、一切、コーティング層8から素材7が露出させずに、弁体ユニット10を組付けることができる。
【0041】
したがって、弁箱1は、全面にコーティングが施されたままの安価な構造ですむ。しかも、弁体ユニット10は、腐食に強い材料で形成されたシート部11、弁座13、弁体15、コイルスプリング16の組合わせから、容易に耐腐食性の高いにユニットが得られるので、弁箱1の耐腐食性を最大限に活かした安価なコストの逆流防止装置の製作ができる。
【0042】
そのうえ、弁箱1は耐腐食性に優れているので、海水に限らずの他の特殊液に合わせた材料で形成された弁体ユニット10を組合わせるだけで、その特殊液に適用できる逆流防止装置の製作が簡単に実現できる。
【0043】
また押え部材20を用いて、弁体ユニット10と配管部材51との間の隙間を埋める構造にしたことにより、たとえ弁室5の全長が弁体ユニット10より長い場合ような場合、すなわち弁体ユニット10を共用して、異なる弁室深さの弁箱1に組付けるような場合でも、簡単に弁体ユニット10の組付けができる。
【0044】
さらにシート部11と弁室5の端面5aとの間にOリング6aを介在させたことにより、弁体ユニット10は、Oリング6aの変形により、弾性支持されるので、がたつきなく強固に取付けられ、高い信頼性をもたらす。
【0045】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、弁箱の樹脂コーティングとして、ナイロンをコーティングした構造を例に挙げたが、これに限らず、他の腐食性に強い合成樹脂を用いて弁箱の全面にコーティングしてもよい。むろん、特殊液に合った適切な合成樹脂を選択し弁箱の全面にコーティングしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、全面に樹脂コーティングが施された弁箱に対し、樹脂コーティングから素材を露出させずに、弁部品の組付けを行うことができる。
【0047】
したがって、弁箱は全面に樹脂コーティングが施されたままですみ、樹脂コーティングが全面に施された弁箱の耐腐食性を最大限に活かした種々の特殊液に適用可能な逆流防止装置を提供することができる。
【0048】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、押え部材の使用により、弁体ユニットを共用して、異なる弁室深さの弁箱に組付けることができるといった効果を奏する。
【0049】
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加え、弾性部材の変形により、弁体ユニットが弾性支持されるので、がたつきなく弁体ユニットを弁室に収めることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る逆流防止装置の外観を示す斜視図。
【図2】図1中A〜A線に沿う断面図。
【図3】同逆流防止装置の各部の構造を説明する分解斜視図。
【図4】同逆流防止装置を組み立てる工程を説明する分解断面図。
【図5】同逆流防止装置が配管部材にフランジ結合されるときを説明する分解断面図。
【符号の説明】
1…弁箱
2a…フランジ面(第1フランジ面)
2b…出入孔(開口)
3a…フランジ面(第2フランジ面)
3b…出入孔
5…弁室
6a…Oリング(弾性部材)
8…コーティング層(樹脂コーティング)
10…弁体ユニット
11,13,15,16…シート部,弁座,弁体,コイルスプリング(弁部品)
17…押え面
20…押え部材。
Claims (3)
- 一方の端面に第1フランジ面を有し、他方の端面に第2フランジ面を有し、内部には前記第2フランジ面から筒形に凹ませ該凹んだ端面の一部を前記第1フランジ面から開口させた弁室を有し、かつ全面に樹脂のコーティングが施されてなる弁箱と、
一方の端にシート部を有し、このシート部に逆止作用をなす弁部品を組付けて形成されてなり、前記シート部を先頭に前記第2フランジ面から挿入されて前記弁室に収まる弁体ユニットと、
を有し、
かつ前記弁室に収まる弁体ユニットは、前記第2フランジ面に配管部材がフランジ結合されると、該配管部材で後端が押されるように構成され、
前記弁体ユニットが、前記第2フランジ面と前記配管部材とのフランジ結合にしたがい、前記弁室の端面に前記シート部が押付けられて、前記弁室の端面と前記配管部材との間で挟み付けられるようにしてある
ことを特徴とする逆流防止装置。 - 前記弁体ユニットと前記配管部材との間に隙間が有るときは、当該両者間にその隙間を埋める大きさを有する押え部材が介在されることを特徴とする請求項1に記載の逆流防止装置。
- 前記シート部は、弾性部材を挟んで、前記弁室の端面に押付けられるようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の逆流防止装置。
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