JP4546954B2 - 高脱水型回転加圧脱水機 - Google Patents
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Description
第12図は、従来の一般的な回転加圧脱水機101の断面図であり、図示されているように、原料は、原料供給口108から濾過室110内へと導入され、回転するスクリーン105との間に生じる摩擦力により、濾過室110内を所定方向(第12図において矢印Dの方向)へ順次進行していく。
このとき、スクリーン105には多数の小孔が形成されているため、原料が濾過室110内を進行していくに従って、原料中の水分が、このスクリーン105の小孔を抜けて、濾過室110外へと次第に排出されていくことになる。より具体的には、機内への導入時は液体の状態であった原料は、工程の約3分の1の位置(第12図においてP1の位置)を通過するまでの間に半固形状となり、最終的には、ケーキ状(脱液ケーキ)となって、ケーキ排出口109より機外へと排出される。
尚、スクリーン105は連続的に回転するため、初期濾過ゾーンQ1(原料供給口108付近から、P1付近までのゾーン)、濾過・圧縮ゾーンQ2(P1付近からP2付近までのゾーン)、最終圧搾ゾーンQ3(P2付近からケーキ排出口109までのゾーン)を経て、再び初期濾過ゾーンQ1へと戻り、原料或いは脱液ケーキを、進行方向へ連続的に搬送することになる。
従来の回転加圧脱水機は、上述したように、液状の原料を機内へ導入すると、機内で濾過、脱液処理が行われ、濾液と脱液ケーキが別々に機外へ排出されるようになっている。そして、排出される脱液ケーキにおいては、含液率が均一であることが望ましい。
しかしながら、従来の回転加圧脱水機においては、部位によって脱液ケーキの含液率に差が生じてしまうという問題がある。より具体的に説明すると、濾過室110やケーキ通路112は、断面が矩形状となるように構成されており(ケーキ排出口109付近におけるケーキ通路112の断面を示す第13図参照)、進行経路により、脱液ケーキに対して異なる大きさの圧搾力が作用することになり、その結果、部位によって脱液速度が異なり、含液率にばらつきが生じてしまう。
例えば、内輪スペーサ104或いはディフレクタ106に近い位置(第13図においてはL1,C1,R1)を通過した脱液ケーキよりも、外輪スペーサ103に近い位置(第13図においてはL3,C3,R3)を通過した脱液ケーキの方が、含液率は高く、また、スクリーン105,105或いはケーキ通路側壁107,107に近い位置(第13図においてはL1〜L3,R1〜R3等)を通過した脱液ケーキよりも、中央部(第13図においてはC1〜C3)を通過した脱液ケーキの方が、含液率は高くなる。
つまり、機外へ排出された脱液ケーキの中には、脱液が十分でない部位が存在し、その結果、全体として均一な含液率とすることができない、という問題がある。
尚、突起物を、外輪スペーサの幅方向について一様な高さとなるように設定した場合には、濾過室の断面積をその高さの分だけ減じることになり、これらの突起物の上方を通過する脱液ケーキに作用する圧搾力を大きくすることができ、含液率を低下させることができる。
また、突起物は、幅寸法が外輪スペーサよりも小さくなるように設定し、外輪スペーサの幅方向中央、及び/又は、外輪スペーサの側縁に近い位置に配置されるように構成することもできる。
尚、この場合、中央に配置される突起物の高さ寸法は、側縁に近い位置に配置される突起物よりも大きく設定されることが好ましい。
更に、突起物を、外輪スペーサの内周面からの突出量を変更できるように構成することもでき、この場合、排出される脱液ケーキにおける含液率を好適に制御することが可能となる。
第2図は、第1図に示した回転加圧脱水機3のAA線による断面図である。
第3図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な斜視図である。
第4図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な斜視図である。
第5図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な斜視図である。
第6図は、第5図に示した突起物53,53及び外輪スペーサ34の平面図である。
第7図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な斜視図である。
第8図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な断面図である。
第9図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な断面図である。
第10図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な断面図である。
第11図は、回転加圧脱水機3の他の構成例を示す部分的な断面図である。
第12図は、従来の回転加圧脱水機101の断面図である。
第13図は、第12図に示した従来の回転加圧脱水機101の、ケーキ出口109付近におけるケーキ通路112の断面図である。
この回転加圧脱水機3において、図示しない駆動装置から駆動力を供給して回転軸32を回転させると、回転軸32周りに固定された内輪スペーサ33、及び、内輪スペーサ33に固定された二枚のスクリーン35が、回転軸32と共に回転する。尚、スクリーン35には、0.1〜0.5mm程度の小孔が多数形成されている。
本実施形態においては、スクリーン35は毎分0.1〜2回転程度の速度で回転するように運転され、この状態で、原料供給口38から原料を供給すると、原料はスクリーン35で濾過され、固形物と濾液に分離される。濾過された固形物は、初期濾過ゾーンに配置されているスクレーパ40で掻き取られ、濃縮ケーキとして濾過室41内を搬送され、その過程で更に脱液が進行して脱液ケーキとなっていく。
脱液され、含液率が低下した脱液ケーキは、スクリーン35面との摩擦が大きくなり、ケーキ排出口39に設けられている背圧板50の抵抗にも打ち勝って排出口39に向かって搬送されるが、このとき、脱液ケーキを表面摩擦力によって移動させるスクリーン35の移動速度よりも、脱液ケーキの移動速度の方が小さくなるため(つまり、遅くなるため)、初期濾過工程でスクリーン35の小孔内に入り込んだ固形物が脱液ケーキ側(濾過室41内側)に引っ張り出され、その結果、濾過面(スクリーン35の内側面)は常に更新されることになる。従って、スクリーン35において目詰まりが生じることはなく、濾過と脱液は効率的に進行する。
このようにして、濾過室41内に供給された原料中の固形物は、ケーキ排出口39に近づくに従って脱液が進行し、最終的には所定の含液率となった脱液ケーキが排出されることになるが、脱液ケーキがそのまま排出されると、半径方向内側(内輪スペーサ33或いはディフレクタ36に近い位置)を通ってきた脱液ケーキよりも、外輪スペーサ34に近い位置を通ってきた脱液ケーキの方が、含液率が高くなってしまう。また、スクリーン35,35或いはケーキ通路43の側壁に近い位置を通ってきた脱液ケーキよりも、中央部を通ってきた脱液ケーキの方が、含液率が高くなってしまう。
そこで、このような「部位による含液率の差」を解消できるように、本実施形態の回転加圧脱水機3においては、外輪スペーサ34の内周面34c上に、半円柱状の突起物51が三つ設けられている。これらの突起物51はいずれも、幅寸法が外輪スペーサ34とほぼ等しく、また、幅方向について一様な高さとなっている。尚、配置される突起物51の数は、「三つ」には限定されず、一つだけ配置してもよいし、また、十個程度配置してもよい。
これらの突起物51は、濾過室41の断面積をその高さの分だけ減じることになり、これらの突起物51の上方を通過する脱液ケーキに作用する圧搾力を大きくすることができる。従って、外輪スペーサ34に近い位置を通ってきた脱液ケーキの含液率を低下させることができ、「部位による含液率の差」を解消することができる。
また、脱液ケーキが突起物51の上方を通過した後は、濾過室41の高さ及び断面積は元の大きさに復帰するため、このときに脱液ケーキの部位が上下方向へ入れ替わることになる。そして、濾過室41内でこのような「部位の入れ替わり」が生じることにより、含液率の高い部位が一部分に偏在するという事態を回避することができ、その結果、「部位による含液率の差の解消」に寄与することになる。
尚、第1図に示したような突起物51の代わりに、第3図に示すような突起物52を、外輪スペーサ34の内周面34c上に配置することもできる。第3図の突起物52は、楕円体を長手軸線に沿って半分にした形状(半楕円体)をしており、長手方向が脱液ケーキの進行方向と一致するような向きに取り付けられている。また、第3図からも明らかなように、外輪スペーサ34の約3分の1程度の幅寸法に設定されており、外輪スペーサ34の幅方向中央に配置されている。
このように、外輪スペーサ34の幅方向中央に突起物52を配置した場合、濾過室41中央部(第13図においてC3)を通過する脱液ケーキに作用する圧搾力を高くすることができ、排出される脱液ケーキのうち、中央部を通過した部位の含液率を低くすることができる。また、この突起物52は、外輪スペーサ34の内周面34cの中央部に沿って進行してきた脱液ケーキの進行方向を変え、上方、及び、左右両側のスクリーン35に近い方へ押しやることにより、周囲の脱液ケーキに作用する圧搾力を更に高めることができ、その結果、排出される脱液ケーキの含液率を更に低下させることができる。
尚、第3図の突起物52の代わりに、第4図に示すような半球状の突起物53を、外輪スペーサ34の内周面34cの中央に二つ(或いは、一つ)配置した場合も、ほぼ同様の効果を期待することができる。
更に、第5図に示すように、外輪スペーサ34の約3分の1程度の幅寸法に設定された半球状の突起物53を、外輪スペーサ34の両側縁34d,34eに近い位置にそれぞれ一つずつ配置することもできる。尚、二つの突起物53は、外輪スペーサ34の幅方向に並べて配置するのではなく、一方が他方の斜め後方となるように、つまり位置をずらして配置することが好ましい。
このように構成した場合、濾過室41の断面積を突起物53の大きさの分だけ減じることになり、これらの突起物53の周辺を通過する脱液ケーキに作用する圧搾力を大きくすることができ、外輪スペーサ34に近い位置を通ってきた脱液ケーキの含液率を低下させることができ、「部位による含液率の差」を解消することができる。
また、濾過室41内を進行する脱液ケーキの部位が、上下方向だけでなく、水平方向へ入れ替わることになり、その結果、含液率の高い部位が一部分に偏在するという事態を回避することができ、「部位による含液率の差の解消」に寄与することになる。
より具体的に説明すると、一般的に、濾過室41内のスペースのうち、中央を通過してきた脱液ケーキは、スクリーン35に近い位置(外輪スペーサ34の両側縁34d,34eに近い位置)を通過してきた脱液ケーキよりも含液率が高くなってしまうが、本実施形態においては、一方の側縁34dに近い位置を進行してきた脱液ケーキ(比較的含液率が低い脱液ケーキ)が、上流側の突起物53によって中央の方へ押しやられるとともに、それまで中央を進行してきた脱液ケーキ(比較的含液率が高い脱液ケーキ)が、反対側の側縁34eに近い位置に押し出される形となり、更に、下流側の突起物53によって、同様の「入れ替わり」が反対方向へ行われることになる。
このような「水平方向への入れ替わり」が生じると、それまで脱液が進行しにくい位置を通過してきた部位が、より脱液されやすい位置へ移動することになり、これによって「部位による含液率の差」を好適に解消することができる。
また、第5図、第6図に示した突起物53,53の間に、それらよりも高さ寸法の大きな突起物54を配置することもできる(第7図参照)。この場合、上記のような効果に加えて、最も含液率が高くなる部位(外輪スペーサ34側、及び、中央部)における圧搾力を集中的に高くすることができ、これらの部分の含液率を効果的に低下させることができる。
更に、第8図〜第11図に示すように、突起物55〜59の突出量を変更できるように構成した場合には、排出される脱液ケーキにおける含液率を制御することが可能となる。
具体的には、第8図の構成例では、外輪スペーサ34に貫通孔が形成されており、この貫通孔の下側から突起物55を挿入し、突起物55の上部を外輪スペーサ34の内周面34cから上方へ突出させ、突起物55の下方側にボルト65を差し込むことによって突起物55を固定するようになっている。そして、図示されている突起物55のほかに、これとは異なる高さ寸法の突起物(例えば、同図において破線で示す突起物56等)を予め用意しておいて、脱液ケーキの性状に応じて、より適合した高さの突起物と交換することにより、突起物の突出量を変更できるようになっている。
第9図の構成例では、突起物57と、これを下側で支えるボルト65との間にスプリング66が配置されており、突起物57は、このスプリング66の反発力によって上方へ付勢された状態となっている。そして、濾過室41内を進行していくケーキの含液率が低い場合には、ケーキの圧力は大きくなるため、突起物57を支えているスプリング66は、進行するケーキの圧力に屈して縮み、突起物57は押し下げられることになる(第9図(1)に示すような状態から、第9図(2)に示すような状態となる)。この場合、突起物57の突出量は小さくなるため、通過する脱液ケーキに作用する圧搾力も小さくなり、その結果、ケーキの含液率は高くなる。
一方、濾過室41内を進行していくケーキの含液率が高い場合には、ケーキの圧力は小さくなるため、突起物57を支えているスプリング66が伸展し、突起物57は押し上げられることになる(第9図(2)に示すような状態から、第9図(1)に示すような状態となる)。この場合、突起物57の突出量は大きくなるため、通過する脱液ケーキに作用する圧搾力も大きくなり、その結果、ケーキの含液率は低くなる。
このように、第9図の構成例では、濾過室41内を進行するケーキの含液率が基準よりも高い場合には低くなるように、また、ケーキの含液率が基準よりも低い場合には高くなるように、突起物57の突出量が変化するようになっており、これによってケーキの含液率を制御できるようになっている。
第10図の構成例では、流体(空気、水、或いは、油など)の圧力によって、突起物58が上方へ付勢されるように構成されている。具体的には、流体を、突起物58の下方の閉鎖空間(シリンダ67)内へ、パイプ68を介して流入させ、或いは、排出させることができるようになっており、上方へ持ち上がるように、突起物58に対して流体の圧力が作用するようになっている。これにより、第9図の構成例と同様に、濾過室41内を進行するケーキの含液率が基準よりも高い場合には低くなるように、また、ケーキの含液率が基準よりも低い場合には高くなるように、突起物58の突出量を変化させることができ、その結果、ケーキの含液率を好適に制御することができる。
第11図の構成例では、断面が扇形となる突起物59が、中心軸59a周りに約90度の範囲(第11図(1)から(3)までの範囲)にわたって回動可能なように構成され、電動機、或いは、コイルスプリングなどの付勢手段によって、突起物59が上方へ(第11図において反時計回り方向へ)付勢されるように構成されている。これにより、第9図、第10図の構成例と同様に、濾過室41内を進行するケーキの含液率が基準よりも高い場合には低くなるように、また、ケーキの含液率が基準よりも低い場合には高くなるように、突起物59の突出量を変化させることができ、その結果、ケーキの含液率を好適に制御できるようになっている。尚、第11図において矢印Dは、濾過室41内におけるケーキの進行方向を示している。
第1図から第11図に示した突起物51〜59は、外輪スペーサ34の全周に設けても良いが、通常は脱液が進行する濾過室41の後半からケーキ通路43の前半にかけて一個乃至複数個(例えば、十個程度)配置される。尚、複数個の場合のピッチは、均等でなくても良い。また、突起物51〜59の高さ(外輪スペーサ34の内周面34からの突出量)は、濾過室41或いはケーキ通路43の高さ寸法(外輪スペーサ34の内径寸法から内輪スペーサ33の外形寸法を差し引いた寸法)の20%以下とすることが好ましい。それよりも大きいと、濾過室41或いはケーキ通路43内における脱液ケーキの搬送抵抗が大きくなり過ぎてしまい、処理量(処理効率)が低下し、或いは、機内閉塞等が生じる可能性があるが、20%以下であれば、そのような問題が生じる可能性は小さく、所期の目的を好適に達成することができる。
また、突起物55〜59の突出量の可変範囲も、濾過室41或いはケーキ通路43の高さ寸法の20%以下とすることが好ましい。
更に、突起物51〜59の形状は、曲面のみによって構成されていなくてもよく、例えば、三角錐、四角錐、円錐等の形状とすることもできる。
そして、突起物の突出量(外輪スペーサの内周面からの突出量)を変更できるように構成した場合、排出される脱液ケーキにおける含液率を好適に制御することができる。
Claims (5)
- 回転する二枚の円形スクリーン、内輪スペーサ、及び、外輪スペーサによって形成される環状の濾過室内を進行させるに従って、原料に次第に圧力を加え、液状の原料をケーキ状に変化させることによって脱水処理を行う回転加圧脱水機において、
脱液ケーキの含液率を更に低下させることができるように、前記外輪スペーサの内周面上に突起物を一つ又は二つ以上配置したことを特徴とする回転加圧脱水機。 - 前記突起物は、外輪スペーサの幅方向について一様な高さとなるように設定されていることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の回転加圧脱水機。
- 前記突起物は、幅寸法が外輪スペーサよりも小さく設定され、外輪スペーサの幅方向中央、及び/又は、外輪スペーサの側縁に近い位置に配置されていることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の回転加圧脱水機。
- 前記突起物は、幅寸法が外輪スペーサよりも小さく設定され、外輪スペーサの幅方向中央、及び、外輪スペーサの側縁に近い位置に配置され、かつ、中央に配置される突起物の高さ寸法が、側縁に近い位置に配置される突起物よりも大きく設定されていることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の回転加圧脱水機。
- 前記突起物が、外輪スペーサの内周面からの突出量を変更できるように構成されていることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の回転加圧脱水機。
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