JP4546725B2 - 水系塗料用顔料沈降防止剤及びその製造方法 - Google Patents

水系塗料用顔料沈降防止剤及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水系塗料用顔料沈降防止剤及びその製造方法に関し、更に詳しくは、水系メタリック塗料等の水系塗料に対して揺変性を付与することにより顔料の沈降を防止する水系塗料用顔料沈降防止剤及びその製造方法に関するものである。
一般に、溶剤系塗料は有機溶剤の含有量が多いため、人体への悪影響等の安全衛生上、また、大気汚染等の公害問題上の理由から、近年、水系塗料の開発が活発に行われている。塗料は、通常、顔料等の沈降しやすい成分を含んでおり、溶剤系塗料においては、アミドワックス系、ポリエチレンワックス系等の揺変剤を添加することにより揺変性を付与し沈降を防止させている。これらの揺変剤を水系塗料にそのまま適用しようとすると、これらは水との親和性に劣るため、一般的に効果が少ない。
一方、水系塗料の粘度調整剤としては、炭酸カルシウム、ベントナイト、シリカ、ポリウレタン系、ポリアミド系等が知られている。しかし、炭酸カルシウム、ベントナイト、シリカ等は、揺変性は十分であるが、塗膜が硬化した後、皮膜の光沢が低下するという欠点があり、自動車等のボディへの上塗り等、高い光沢が必要とされる分野への使用が困難であった。
ポリアミド系のものとしては、所定の炭素数を有するプライマリージアミンと、ダイマー酸等とを反応して得られるポリアミドを含む沈降防止剤が開示されている(特許文献1参照)。
また、ポリウレタン系のものは、増粘剤としての効果も有し、例えば、特許文献2〜5等に開示されている。しかし、これらは、一般に、ニュートン流動に近い粘性挙動を示し、揺変性の効果は不十分である。
特開平10−310726号公報 ドイツ国特許1444243号公報 ドイツ国特許3630319号公報 欧州特開307775号公報 米国特許4079028号公報
本発明の目的は、水系塗料とした場合に、分散性及び揺変性が良好であり、サイズ等が大きな顔料に対して沈降防止性に優れる水系塗料用顔料沈降防止剤及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成すべく、炭素数の多いジアミンを用いてなるポリアミドと、特定の重縮合ポリエステルとを含む水系塗料用顔料沈降防止剤を加えることにより、沈降防止性に優れる水系塗料用顔料沈降防止剤を完成するに至った。
本発明は以下に示される。
1.〔A〕炭素数が14〜40であるジアミン及び炭素数が2〜22であるジカルボン酸を反応させて得られるポリアミドと、〔B〕ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを含有し、
上記重縮合ポリエステル〔B〕の含有量は、上記ポリアミド〔A〕100質量部に対して、8〜55質量部であり、
上記ジアミン及び上記ジカルボン酸のモル比率が1:1.1〜1:2.1の範囲にあることを特徴とする水系塗料用顔料沈降防止剤。
.上記重縮合ポリエステル〔B〕の重合度は2〜10である上記1に記載の水系塗料用顔料沈降防止剤。
.炭素数が14〜40であるジアミンと、該ジアミンに対し過剰量の、炭素数が2〜22であるジカルボン酸とを反応させてポリアミドを生成させる合成工程と、該ポリアミドと、ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを混合する混合工程と、混合物に塩基性物質を添加して中和する中和工程とを備え
上記合成工程において、上記ジアミン及び上記ジカルボン酸のモル比率が1:1.1〜1:2.1の範囲にあり、
上記混合工程において、上記重縮合ポリエステルの使用量は、上記ポリアミド100質量部に対して、8〜55質量部であることを特徴とする水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法。
.上記重縮合ポリエステルの重合度は2〜10である上記に記載の水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法。
.上記重縮合ポリエステルは、ヒマシ油脂肪酸の重縮合物、及び/又は、水素添加ヒマシ油脂肪酸の重縮合物である上記3又は4に記載の水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法。
.上記乃至のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする水系塗料用顔料沈降防止剤。
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、炭素数が14〜40であるジアミン及び炭素数が2〜22であるジカルボン酸を反応させて得られるポリアミドと、ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを含有することにより、水系塗料とした場合に、分散性及び揺変性が良好であり、サイズ、比重等が大きな顔料に対して沈降防止性に優れる。
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法によると、特定処方によりポリアミドを生成させる合成工程と、ポリアミド及び重縮合ポリエステルを混合する添加工程と、混合物に塩基性物質を添加して中和する中和工程とを備えることにより、上記性能を有する水系塗料用顔料沈降防止剤を容易に得ることができる。また、合成工程から中和工程まで近い温度で実施することもできるため、効率的な製造が可能である。
以下、本発明を詳しく説明する。
1.水系塗料用顔料沈降防止剤
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、〔A〕炭素数が14〜40であるジアミン及び炭素数が2〜22であるジカルボン酸を反応させて得られるポリアミドと、〔B〕ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを含有する。
1−1.ポリアミド〔A〕
このポリアミド〔A〕は、炭素数が14〜40であるジアミンと、炭素数が2〜22であるジカルボン酸とを反応させることにより得ることができる。
上記ジアミンは、脂肪族系、芳香族系及び脂環族系のいずれであってもよく、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記ジアミンとしては、下記式(1)〜(5)に示されるもの等が挙げられる。
N−(CH16−NH (1)
N−(CH20−NH (2)
N−(CH24−NH (3)
N−(CH30−NH (4)
N−(CH34−NH (5)
このジアミンの好ましい炭素数は16〜40であり、より好ましくは18〜40である。炭素数の多いジアミンを用いるほど、得られるポリアミドが凝集することなく、水系塗料用顔料沈降防止剤とした場合に高い分散性を維持することができる。尚、上記式(5)で示されるジアミンは、不飽和脂肪酸を二量化した二量体ジカルボン酸(一般名「ダイマー酸」、炭素数36)を変性することにより得ることができる。
上記ジカルボン酸は、脂肪族系、芳香族系及び脂環族系のいずれであってもよく、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸等が挙げられる。
上記ジカルボン酸の好ましい炭素数は4〜16であり、より好ましくは6〜10である。
上記ポリアミド〔A〕は、上記ジアミン及び上記ジカルボン酸を反応させることによって得られるものであるが、分子の末端に、上記ジカルボン酸に由来するカルボン酸基を少なくとも有することが好ましい。特に好ましくは、分子の両末端がカルボン酸基であるポリアミドである。従って、ジアミン及びジカルボン酸を反応させる際に、ジカルボン酸を少し過剰に用いることが好ましい。
また、上記ポリアミド〔A〕の平均分子量は特に限定されず、通常、600以上、好ましくは900〜3500、より好ましくは1000〜3000、更に好ましくは1200〜2800である。
1−2.重縮合ポリエステル〔B〕
この重縮合ポリエステル〔B〕は、ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合体である。
上記高級脂肪酸の炭素数は、好ましくは12以上である。また、上記高級脂肪酸の有するヒドロキシル基の数は特に限定されない。通常、1〜4、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。
ヒドロキシル基を1つ有する飽和高級脂肪酸としては、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。ヒドロキシル基を2以上有する飽和高級脂肪酸としては、ジヒドロキシパルミチン酸、ジヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
また、ヒドロキシル基を有する不飽和高級脂肪酸としては、ヒドロキシル基を有するオレイン酸(リシノール酸)、ヒドロキシル基を有するエルシン酸等が挙げられる。更に、ヒマシ油、レスクレラ油等の植物油等に含まれる脂肪酸又はその水素化物を用いることもできる。
上記重縮合ポリエステル〔B〕は、上記ヒドロキシル基を有する高級脂肪酸を、公知の方法で重縮合することによって、下記式(1)のようにして脱水反応を伴いつつ得られたものである。下記式(1)は2量体を説明する式である。
Figure 0004546725
上記重縮合ポリエステル〔B〕の重合度は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8、更に好ましくは3〜6である。重合度が高すぎると、本水系塗料用顔料沈降防止剤の親水性が十分でない場合がある。一方、重合度が低すぎると、本水系塗料用顔料沈降防止剤を含む水系塗料による皮膜の耐水性に劣る傾向がある。
1−3.水系塗料用顔料沈降防止剤
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、上記ポリアミド〔A〕及び上記重縮合ポリエステル〔B〕を含む水系溶液である。上記ポリアミド〔A〕及び上記重縮合ポリエステル〔B〕の含有割合は次の通りである。即ち、上記重縮合ポリエステル〔B〕の含有量は、上記ポリアミド〔A〕100質量部に対して、8〜55質量部であり、好ましくは10〜55質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。上記重縮合ポリエステル〔B〕の含有量が多すぎると、顔料等の沈降防止性が低下する場合がある。一方、その含有量が少なすぎると、分散性の良好な水系塗料が得られない場合がある。
尚、本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤において、上記ポリアミド〔A〕及び上記重縮合ポリエステル〔B〕は、通常、水を主とする水系媒体に溶解しているため、それぞれのイオンとして存在する。
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、上記ポリアミド〔A〕及び上記重縮合ポリエステル〔B〕のみを含むものであってもよいし、更に添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、顔料の分散性、塗料の消泡性等の向上を目的とした各種界面活性剤、各種助剤等が挙げられる。
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤に含有される上記ポリアミド〔A〕及び上記重縮合ポリエステル〔B〕の濃度の合計は、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜30質量%であるが、使用時に目的、用途等に応じて所望の濃度とすればよい。
また、本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤の酸価は、好ましくは35〜120、より好ましくは50〜80である。
2.水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法は、炭素数が14〜40であるジアミンと、このジアミンに対し過剰量の、炭素数が2〜22であるジカルボン酸とを反応させてポリアミドを生成させる合成工程と、このポリアミドと、ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを混合する混合工程と、混合物に塩基性物質を添加して中和する中和工程とを備える。
合成工程において用いるジアミン及びジカルボン酸は、上記例示したジアミン及びジカルボン酸を、それぞれ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ジアミン及びジカルボン酸を反応する際には、ジカルボン酸を過剰量に仕込むが、このときのジアミン及びジカルボン酸のモル比率は、1:1.1〜1:2.1であり、好ましくは1:1.2〜1:2.0、更に好ましくは1:1.2〜1:1.8である。上記ジカルボン酸の使用量が多すぎると、本水系塗料用顔料沈降防止剤を含む水系塗料による皮膜の耐水性に劣る傾向がある。一方、使用量が少なすぎると、得られるポリアミドの親水性が十分でない場合がある。
上記合成工程における反応条件は特に限定されないが、例えば、上記割合で仕込まれた各成分を常圧あるいは減圧の条件で、160〜230℃の温度で反応させることによりポリアミドを得ることができる。反応時間は、通常、2〜10時間である。
上記合成工程により得られたポリアミドは、混合工程において、ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルと混合される。この重縮合ポリエステルは、上記例示したものを、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重縮合ポリエステルとしては、ヒマシ油脂肪酸の重縮合物、及び/又は、水素添加ヒマシ油脂肪酸の重縮合物を用いることが特に好ましい。
また、この重縮合ポリエステルの重合度及びその理由は、上記の通りである。
尚、重縮合ポリエステルの製造方法は特に限定されず、例えば、飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸を常圧あるいは減圧の条件で、160〜230℃の温度で反応させることにより得ることができる。反応時間は、通常、2〜20時間である。
上記混合工程において、上記ポリアミド及び上記重縮合ポリエステルの混合割合は、次の通りである。即ち、上記重縮合ポリエステルの使用量は、上記ポリアミド100質量部に対して、8〜55質量部であり、より好ましくは10〜55質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。
上記ポリアミド及び上記重縮合ポリエステルの混合条件は特に限定されないが、両者が溶解状態にあれば、混合効率が向上するため、通常、100〜150℃の温度において混合される。尚、上記合成工程から引き続き行う場合には、ポリアミドを含む反応溶液を100〜150℃の温度に冷却し、所定量の重縮合ポリエステルを加えて混合することができる。
上記混合工程において得られた混合物は、塩基性物質の添加による中和工程によって、親水化される。上記ポリアミド及び上記重縮合ポリエステルはいずれも水に対して不溶性であるため、この中和工程によりそれぞれが中和され、水に対する溶解性が高められる。
上記塩基性物質は、無機系であってもよいし、有機系であってもよい。無機系物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、アンモニア等が挙げられる。
また、有機系物質としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコール等が挙げられる。
上記塩基性物質は、それぞれ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記中和工程は、塩基性物質を水及び/又は有機溶剤等に溶解させて行ってもよい。上記塩基性物質として、有機系物質を用いる場合には、この有機系物質に対する溶解度が高く、一般の水系塗料に配合されるものを用いることが好ましい。そのような有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記中和工程における塩基性物質の使用量は、上記ポリアミド及び上記重縮合ポリエステルの合計モル数を考慮して、中和に要する所定量又はそれ以上とすることができる。尚、中和が不完全であると、水に対して不溶性の成分が残存することがある。
また、この中和工程は、上記ポリアミド及び上記重縮合ポリエステルの混合物が溶解状態にあるときに行うことが好ましい。即ち、その温度は、通常、140℃以下、好ましくは80〜140℃である。
尚、上記混合工程から引き続き行う場合には、上記好ましい温度に調整した後、この中和工程を実施すればよい。この場合には、混合工程における混合物の温度との差が小さいので、効率的である。
上記中和工程の後、必要に応じて、水(好ましくは60〜90℃の温水)で希釈し、所望の濃度等に調整する工程を備えることができる。また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、アルコール、エーテル等から選ばれる有機溶剤を用いて粘度を低下させた後に、温水等で希釈してもよい。
尚、上記中和工程の後、水等で希釈された際のpHは、通常、7.0〜11、より好ましくは7.5〜10.5、更に好ましくは8〜10である。
尚、本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、混合工程の後、中和工程を行うが、混合工程の前に、混合することとなるポリアミド及び重縮合ポリエステルを別々に中和してから混合して製造を行ってもよい。このとき用いる塩基性物質は、ポリアミド及び重縮合ポリエステルに対して同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記のようにして得られた水系塗料用顔料沈降防止剤は、必要に応じて、更に、各種界面活性剤、各種助剤等が配合される。
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、最大径が5〜200μmといったサイズ、2〜5g/cmといった比重の大きな顔料(アルミニウム顔料、マイカ等のパール顔料、防食顔料等)、更には、着色顔料、体質顔料を含む水系塗料に好適である。水系塗料とする場合の添加量(固形分換算)は、塗料に含まれる樹脂成分100質量部に対して、通常、0.25〜5質量部である。この添加量が多すぎると、塗料の粘度が高くなりすぎたり、得られる皮膜の光沢が低下したりする等の問題が発生する場合がある。一方、添加量が少なすぎると、顔料の沈降防止性が不十分となる場合がある。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り質量基準である。
1.水系塗料用顔料沈降防止剤の製造
実施例1
温度計、水冷式コンデンサ、攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた容積500mlの反応容器中に、ジカルボン酸としてアジピン酸39.4g(0.27モル)及びジアミンとしてダイマージアミン(HN−(CH34−NH)98.3g(0.18モル)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら200℃まで昇温した。その後、200℃で4時間アミド化反応させ、ポリアミドを得た。次いで、反応溶液を120℃まで冷却し、水素添加ヒマシ油脂肪酸(以下、「HCO−FA」という。)の重縮合物(重合度6)を26.2g(0.015モル、ポリアミドに対して20%に相当)加えた。その後、この混合溶液に、2−ジメチルアミノエタノール17.4g(0.195モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル78.7g(ポリアミド及びポリエステルの合計量に対して50%に相当)を加え、100℃で1時間撹拌した。
次に、この中和溶液64.4gを取り出し、これを80℃の温水135.6gに加え、90℃で1時間撹拌した。尚、この温水添加時において、ポリアミド及びポリエステルの合計量は、全体の20%に相当する。その後、室温まで冷却し、水系塗料用顔料沈降防止剤(a)を得た。
実施例2〜10
表1及び表2に示す処方とした以外は、上記実施例1と同様にして水系塗料用顔料沈降防止剤(b)〜(j)を得た。
比較例1〜4
表2に示す処方とした以外は、上記実施例1と同様にして水系塗料用顔料沈降防止剤(k)〜(n)を得た。
比較例5
温度計、水冷式コンデンサ、攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた容積500mlの反応容器中に、HCO−FAの重縮合物(重合度6)179.3g(0.57モル)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら110℃まで昇温した。その後、2−ジメチルアミノエタノール51.6g(0.57モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル89.7g(HCO−FAの重縮合物に対して50%に相当)を加え、100℃で1時間撹拌した。
次に、中和溶液71.5gを取り出し、これを80℃の温水128.5gに加え、90℃で1時間撹拌した。尚、この温水添加時において、HCO−FAの重縮合物の量は、全体の20%に相当する。その後、室温まで冷却し、水系塗料用顔料沈降防止剤(o)を得た。
比較例6
温度計、水冷式コンデンサ、攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた容積500mlの反応容器中に、ダイマー酸141.8g(0.25モル)及びヘキサメチレンジアミン17.4g(0.15モル)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら200℃まで昇温した。その後、200℃で4時間アミド化反応させ、ポリアミドを得た。次いで、反応溶液を110℃まで冷却し、2−ジメチルアミノエタノール17.8g(0.20モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル76.9g(ポリアミドに対して50%に相当)を加え、100℃で1時間撹拌した。
次に、中和溶液64.6gを取り出し、これを80℃の温水135.4gに加え、90℃で1時間撹拌した。尚、この温水添加時において、ポリアミドの量は、全体の20%に相当する。その後、室温まで冷却し、水系塗料用顔料沈降防止剤(p)を得た。
比較例7
表2に示す処方とした以外は、上記比較例6と同様にして水系塗料用顔料沈降防止剤(q)を得た。
比較例8
表2に示す処方とした以外は、上記実施例1と同様にして水系塗料用顔料沈降防止剤(r)を得た。
Figure 0004546725
Figure 0004546725
2.水系塗料用顔料沈降防止剤の評価
上記で得た水系塗料用顔料沈降防止剤を用いて、水系メタリック塗料を調製し、各種評価を行った。
実験例1
まず、固形分50%の水溶性アクリル樹脂(媒体は水20%及びイソプロピルアルコール30%)50部と、固形分87%のメラミン樹脂(媒体はイソプロピルアルコール7%、イソブタノール3%及びホルムアルデヒド3%)5部と、イオン交換水45部とを十分に混合し、クリアー塗料(合計100部)を得た。
次に、このクリアー塗料100部に対し、上記で得た水系塗料用顔料沈降防止剤(a)2部と、粒度5〜100μmのパール顔料5部とを混合し、水系メタリック塗料を得た。
上記で得た水系メタリック塗料について、下記評価を行った。その結果を表3に示す。
(1)揺変性
JIS K5400に準じて測定した。即ち、水系メタリック塗料の粘度を、B型粘度計を用い、温度25℃、回転数60rpm及び6rpmとして測定した。粘度の単位はmPa・sである。これらの測定値より比(T.I.値=6rpmでの粘度/60rpmでの粘度)を算出した。このT.I.値が大きい程、揺変性が高いことを意味する。
(2)沈降防止性
水系メタリック塗料を、フォードカップNo.4法にて、20℃で30秒となるように、イオン交換水により希釈した。その後、3日後、7日後の沈降具合(沈降したパール顔料の高さ/塗料全体の高さ の百分率)を測定した。数値が大きい程、沈降防止性が高いことを意味する。
(3)顔料沈降防止剤の分散性
JIS K5400に準じて測定した。即ち、パール顔料を含まないクリアー塗料に、水系塗料用顔料沈降防止剤のみを加え、ディスパー(羽根の直径4cm)を用い、回転数1000rpmで10分間撹拌した。その後、つぶゲージ(0〜100μm)にて測定を行った。数値が小さい程、分散性が良好なことを意味する。
(4)酸価
JIS K0070に準じて測定した。
実験例2〜10
水系塗料用顔料沈降防止剤(b)〜(j)を用いた以外は、実験例1と同様にして水系メタリック塗料を調製し、評価した。その結果を表3に併記した。
実験例11
水系塗料用顔料沈降防止剤を含有しない水系メタリック塗料を用いた以外は、上記と同様にして評価した。
実験例12〜19
水系塗料用顔料沈降防止剤(k)〜(r)を用いた以外は、実施例11と同様にして水系メタリック塗料を調製し、評価した。その結果を表3に併記した。
Figure 0004546725
4.実施例の効果
表3から、実験例11は、本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤を含まない例であり、顔料の80%近くが沈降した。実験例12は、ジアミン及びジカルボン酸を反応させる際のモル比が1:3である例であり、揺変性及び沈降防止性に劣る。実験例13は、ジアミン及びジカルボン酸を反応させる際のジアミンの使用量が多すぎたために生成したポリアミドの親水性が不十分であり、全く評価できなかった。実験例14は、重縮合ポリエステルの含有量が少ない例であり、分散性に劣る。実験例15は、重縮合ポリエステルの含有量が多すぎる例であり、沈降防止性に劣る。実験例16は、ポリアミドを含有しない例であり、沈降防止性に劣る。実験例17は、炭素数の少ないジアミンと炭素数が多いジカルボン酸とから得たポリアミドのみを用いた例であり、分散性及び沈降防止性に劣る。実験例18は、重縮合ポリエステルを含有しない例であり、分散性及び沈降防止性に劣る。実験例19は、炭素数の少ないジアミンと炭素数が多いジカルボン酸とから得たポリアミドを用いた例であり、実験例17よりもわずかに良化しているが、沈降防止性に劣る。
一方、実験例1〜10は、分散性、揺変性及び沈降防止性のバランスに優れる。
本発明の水系塗料用顔料沈降防止剤は、顔料を含む水系塗料の構成成分として好適であり、特に、5〜200μmといったサイズの大きな顔料を含む水系塗料、例えば、メタリック塗料、パールマイカ塗料、防食塗料等に好適である。

Claims (6)

  1. 〔A〕炭素数が14〜40であるジアミン及び炭素数が2〜22であるジカルボン酸を反応させて得られるポリアミドと、〔B〕ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを含有し、
    上記ジアミン及び上記ジカルボン酸のモル比率が1:1.1〜1:2.1の範囲にあり、
    上記重縮合ポリエステル〔B〕の含有量は、上記ポリアミド〔A〕100質量部に対して、8〜55質量部であることを特徴とする水系塗料用顔料沈降防止剤。
  2. 上記重縮合ポリエステル〔B〕の重合度は2〜10である請求項1に記載の水系塗料用顔料沈降防止剤。
  3. 炭素数が14〜40であるジアミンと、該ジアミンに対し過剰量の、炭素数が2〜22であるジカルボン酸とを反応させてポリアミドを生成させる合成工程と、該ポリアミドと、ヒドロキシル基を有し且つ飽和及び/又は不飽和の高級脂肪酸の重縮合ポリエステルとを混合する混合工程と、混合物に塩基性物質を添加して中和する中和工程とを備え
    上記合成工程において、上記ジアミン及び上記ジカルボン酸のモル比率が1:1.1〜1:2.1の範囲にあり、
    上記混合工程において、上記重縮合ポリエステルの使用量は、上記ポリアミド100質量部に対して、8〜55質量部であることを特徴とする水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法。
  4. 上記重縮合ポリエステルの重合度は2〜10である請求項に記載の水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法。
  5. 上記重縮合ポリエステルは、ヒマシ油脂肪酸の重縮合物、及び/又は、水素添加ヒマシ油脂肪酸の重縮合物である請求項3又は4に記載の水系塗料用顔料沈降防止剤の製造方法。
  6. 請求項乃至のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする水系塗料用顔料沈降防止剤。
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