JP4546115B2 - 細胞中atpの定量法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞溶解剤の影響を受けることなく、細胞中に存在するATPをホタル生物発光法により測定する方法に関するものである。
ホタル生物発光反応において、ルシフェリン、ATP、マグネシウムイオン共存下、ルシフェラーゼの触媒作用により、ルシフェリンが脱カルボニル化する過程で光を放出することが知られている。その発光量はATP濃度に依存することから、ホタル生物発光法はATPの定量法として広く利用されている。
一方、生きた細胞中には一定量のATPが存在することから、ATP量を測定することにより、細菌数の測定が可能になる。そのため、溶菌剤を用いて細胞膜を溶解した後の、細胞内から溶解したATPの定量がホタル生物発光法により行われている。
溶菌剤として界面活性剤、有機溶剤、酸などが用いられているが、これらの溶菌剤はいずれもルシフェラーゼに対して阻害作用を示す。そこで、実際の測定においては、ルシフェラーゼに対して阻害効果がなくなるまで溶菌剤を含む試料を希釈してから、ATPの測定が行われている。その結果、溶菌した試料中のATPが希釈されることにより、ホタル生物発光法が有する高感度検出能の優位性が失われるという問題点があった。
そこで、近年、界面活性剤について、ルシフェラーゼに対する阻害作用を抑えるため、いろいろな改善が試みられてきた。その一つとして、界面活性剤である塩化ベンザルコニウム(Benzalkoniumchloride: BKC)に耐性を持つ変異ルシフェラーゼを調製し、BKCを溶菌剤に用いた試料を希釈することなくATPを定量できる方法が開発された(特許文献1、非特許文献1)。
また、カチオン界面活性剤であるドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(Dodecyl trimethylammonium bromide : DTAB)で溶菌後、試料液にデキストランを加え、DTABをデキストランで包接することにより、ルシフェラーゼに対するDTABの阻害作用を抑えることができた。このことにより、従来はDTABのルシフェラーゼに対する阻害作用を抑えるために、試料を1000倍に希釈する必要があったが、デキストランの添加により20倍希釈ですむようになった(特許文献2、非特許文献2)。
さらに、カチオン界面活性剤である塩化ベンゼニウム(Benzethonium chloride :BZC)で溶菌後、試料液に多価アルコール系の非イオン界面活性剤を多量に加え、BZCと非イオン界面活性剤との混合ミセルを形成させることにより、ルシフェラーゼに対するBZCの阻害作用を抑えることができる(特許文献3)。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、従来の界面活性剤のルシフェラーゼに対する阻害効果を防止する方法に存在していた、以下の問題点である;
(1)カチオン界面活性剤の種類により異なる対処法をとる必要がある、
(2)カチオン界面活性剤のルシフェラーゼに対する阻害作用を防止できるが、発光反応に対する影響は無く、発光量を増大させる効果がない。
本発明は、上記の問題点を解決するため、リポソームの以下の特性を利用することを最も主要な特徴とするATPの定量法である;
(1)脂質二分子膜からなるリポソームは、界面活性剤分子を膜の構成成分として取り込むことができ、表面電荷が正のリポソームを生成し、界面活性剤によるルシフェラーゼの阻害作用を抑え、
(2)表面電荷が正のリポソームの共存により、ホタル生物発光における増感効果が発現し、ATPの高感度計測が可能となる。
すなわち本発明は以下の構成よりなる。
1.カチオン界面活性剤により細胞を溶解後、その溶液にリポソームを添加し界面活性剤をリポソームに吸収させ、細胞から溶出したアデノシン5´三リン酸(ATP)をホタル生物発光法で測定することを特徴とするATPの定量法。
2.カチオン界面活性剤を吸収したリポソームが発光反応を増強させることを特徴とする上記1に記載の定量法。
3.20〜160 mMの脂質を含むリポソーム溶液を反応溶液中に10〜50 %(v/v)の添加割合で加える上記1または2に記載の定量法
.カチオン界面活性剤が塩化ベンザルコニウム(BKC)、ドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド(DTAB)、又は塩化ベンゼトニウム(BZC)から選ばれる上記1〜3のいずれか一に記載の定量法。
.塩化ベンザルコニウム(BKC)を最終濃度0.01%〜0.06%で添加する上記に記載の定量法。
.リポソームの構成成分が、フォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルグリセロール(PG)、ジエチルアミノエチルカルバモイルコレステロール(DEAE-Chol)又はコレステロール(Chol)から選ばれる上記1〜のいずれか一に記載の定量法。
.リポソームが、両性リポソーム、カチオン性リポソーム又はアニオン性リポソームから選ばれる上記1〜のいずれか一に記載の定量法。
.細胞が細菌及び微生物由来である上記1〜のいずれか一に記載の定量法。
カチオン界面活性剤、リポソーム及びルシフェラーゼを含有する上記1〜のいずれか一に記載の定量法に用いる試薬キット。
10.上記1〜のいずれか一に記載の定量法を用いる細胞数測定法。
11.細胞が細菌及び微生物由来である上記10に記載の測定法。
12カチオン界面活性剤、リポソーム及びルシフェラーゼを含有する上記10または11に記載の測定法に用いる試薬キット。
本発明のATPの定量法には、リポソームにより界面活性剤によるルシフェラーゼの阻害作用を抑えるとともに、ホタル生物発光における発光量を増大させることにより、ATPの高感度計測を可能にするという利点がある。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明でいう細胞としては、細菌、微生物などの原核生物由来の細胞、及び植物、動物などの真核生物由来の細胞が挙げられる。
本発明でいう細胞溶解とは、生きた細胞の細胞膜、及び細胞壁を溶解することをいう。細胞溶解の手段としては、細胞溶解剤の添加が好適に挙げられる。
本発明でいう細胞溶解剤とは、細胞の細胞膜、及び細胞壁を溶解する溶剤をいい、例として界面活性剤が挙げられる。
〔界面活性剤〕
本発明において細胞溶解剤として用いる界面活性剤としては、カチオン界面活性剤が望ましい。カチオン界面活性剤には、細胞溶解剤として使用されている塩化ベンザルコニウム(BKC)、ドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド(DTAB)および塩化ベンゼトニウム(BZC)が含まれる。
塩化ベンザルコニウム(BKC)の構造式を下記に示す。
ドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド(DTAB)の構造式を下記に示す。
塩化ベンゼトニウム(BZC)の構造式を下記に示す。



本発明において界面活性剤の添加割合は、細胞溶解時に、好ましくは細胞の種類に応じて適宜調整することができる。一般的に、BKCは最終濃度が0.01%から0.06%の範囲で、好ましくは0.06%で添加する。また、DTABは一般的に最終濃度が5x10-3Mから1x10-3 M の範囲で、好ましくは3.5x10-3Mで添加する。BZCは一般的に最終濃度が3x10-4Mから1x10-3Mの範囲で、好ましくは 6x10-3Mで添加する。
〔リポソーム〕
本発明でいうリポソームとは、脂質人工膜で構成される粒子で、リン脂質、グリセロ糖脂質、コレステロール等から脂質二重層として作られる。その調製には、界面活性剤除去法、水和法、超重油法、逆相蒸発法、凍結融解法、エタノール注入法、押し出し法、及び高圧乳化法等広く公知の方法が適用される。
リポソームの添加とは、細胞溶解時にリポソームを混入させ、接触させることをいう。
本発明でいうリポソームに吸収させるとは、リポソームの膜の性質を利用して、リポソーム中あるいはリポソーム界面部に細胞溶解剤を不可逆的に取り込ませることを意味する。
本発明に使用するリポソームの構成成分としては、フォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルグリセロール(PG)、ジエチルアミノエチルカルバモイルコレステロール(DEAE-Chol)およびコレステロール(Chol)が挙げられる。
フォスファチジルコリン(PC)の構造式を下記に示す。
フォスファチジルグリセロール(PG)の構造式を下記に示す。
ジエチルアミノエチル−カルバモイル コレステロール(DEAE-Chol)の構造式を下記に示す。
コレステロール(Chol)の構造式を下記に示す。
本発明に用いる1枚膜リポソームの表面電荷は両性、カチオン性およびアニオン性のリポソームが望ましく、両性リポソームがより望ましい。両イオン性リポソームはPCとCholにより調製する。また、カチオン性リポソームはPCとDEAE-Cholにより調製する。さらに、アニオン性リポソームはPCとPGにより調製する。
具体例として、1枚膜の両イオン性リポソームは以下のように調製する;
なし形フラスコを用いて、クロロホルム中で1.0 x10-3 MのPCと1.0 x10-3 MのCholを調製する。つぎに、ロータリーエバポレータを用いて、クロロホルムを蒸発乾固し、フラスコの表面にリン脂質の薄膜を生成する。つぎに、25mMのHEPES緩衝溶液(pH7.75)2mlをフラスコに加え、ボルテックスミキサーで激しく攪拌し、多重膜リポソームを生成する。最後に、平均細孔が100nmのポリカーボネイトフィルターに20回通過させることにより、20mMの脂質を含む一枚膜リポソーム(VET)を作成する。
〔ホタル生物発光法〕
本発明のホタル生物発光法としては、ルシフェリン及びルシフェラーゼが関与する発光測定法が挙げられる。発光測定法とは、例えば、試料にルシフェリン、ルシフェラーゼ、マグネシウムイオンを添加して生じる発光を測定することによる試料中のATP量の測定法が例示される。
本発明において、ホタル生物発光法でATPを測定する際に用いる酵素溶液は、25 mMのHEPES緩衝溶液(pH7.75)50 mlに1 mg ルシフェラーゼ、0.6mM ルシフェリン、24mM 酢酸マグネシウム、3mg 子牛由来アルブミン、2 mM ジチオスレイトールおよび2 mM EDTAを溶解することにより調製する。酵素溶液とリポソームとの混合溶液は、100μlの酵素溶液と50μlのリポソーム溶液を混合して調製する。リポソーム溶液の反応溶液中への添加割合は界面活性剤の濃度により適宜調製することができる。詳しくは、20〜160mMの脂質を含むリポソーム溶液を反応溶液中に10〜50%(v/v)、好ましくは33 %(v/v)の添加割合で加える。
本発明のホタル生物発光法は、どのような産業分野に利用されるものであってもよい。該産業分野としては、食品加工分野、医療分野、学術研究分野が挙げられる。例えば、本発明により、食品加工分野などにおける清浄度検査において、細胞溶解剤である界面活性剤の影響を受けることなく、細菌・微生物中に存在するATPをホタル生物発光法により測定し、微量の微生物数の計測を行うことができる。
〔試薬キット〕
本発明のATPの定量法は試薬キットに適用することができる。すなわち、本発明の態様の一つは、少なくとも以下の成分を含む試薬キットである;(1)細胞溶解剤、(2)リポソーム、(3)ルシフェラーゼ。本発明の試薬キットはホタル生物発光反応に関与する他の成分と組み合わせることができる。ホタル生物発光反応に関与する他の成分とは、好ましくはルシフェリン、ATP、2価金属イオンである。
次に、実施例により本発明の実施の態様を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、発光応答曲線の測定はケミルミネッセンスカウンターBLD-100HU(東北電子産業製)を用いて行った。測定時間における発光量は1秒あたりのフォトン数(countspersecond:cps)で測定した。発光応答曲線において最大の発光量を発光強度とした。
〔ATPの測定〕
ATPの測定を以下のように行い、相対発光強度の比較検討実験を行った。1.0x10-10 M ATPと種々の濃度のカチオン界面活性剤を含む溶液250μlをガラスキュベットに入れ、キュベットをルミノメータ内に設置した。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、両イオン性リポソームを含む酵素溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。両イオン性リポソームはPCおよびCholをクロロホルムにそれぞれ10mM溶解して調製した。すべての溶液を混合した後のBKCの終濃度は1.0x10-3から0.1%の濃度範囲とした。DTABの終濃度は1.0x10-5Mから1.0x10-2Mの濃度範囲とした。BZCの終濃度は1.0x10-6Mから1.0x10-2Mの濃度範囲とした。
(比較例1)
1.0x10-10 M ATPと種々の濃度のカチオン界面活性剤を含む溶液250μlをガラスキュベットに入れ、キュベットをルミノメータ内に設置した。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、酵素溶液(100μl)と緩衝溶液(50μl)の混合溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。
(結果)
図1〜図4にそれぞれの測定条件における相対発光強度を示す。図1及び図2における相対発光強度は、本実施例で得られた発光強度を、1.0x10-10M ATPのみの溶液と酵素溶液のみの混合から得られた発光強度で割った値である。第2図における相対発光強度は、本比較例で得られた発光強度を、1.0x10-10M ATPのみの溶液と酵素溶液のみの混合から得られた発光強度で割った値である。
図1及び図2から明らかなように、いずれのカチオン界面活性剤においても、両イオン性リポソームが存在すると、発光強度が急激に増大する界面活性剤濃度領域が発現した。また、図3及び図4から明らかなように、界面活性剤濃度が増大すると、界面活性剤によるルシフェラーゼの阻害作用により発光量が減少し、細胞溶解剤として使用する界面活性剤濃度では発光はほとんど観測されなかった。細胞溶解剤として使用する界面活性剤濃度は、細胞を含む試料溶液とも混合後の濃度で、BKCは約0.1%、DTABは1x10-1〜1x10-2M、BZCは約1x10-3Mとした。図1〜図4を比較すると、界面活性剤によりルシフェラーゼが失活して発光が観測されない条件においても、両イオン性リポソームが存在することにより発光が観測され、かつ、相対発光強度が1以上であることがわかった。
以上の結果から、リポソームは界面活性剤をリポソームの膜構成成分として取り込むことにより、ルシフェラーゼに対する界面活性剤の阻害作用を防止できることがわかった。また、相対発光強度が1以上であることから、カチオン界面活性剤を取り込むことにより生成したリポソームは、ホタル生物発光に対して増感効果を発現することがわかった。なお、界面活性剤濃度が増大するとリポソームに取り込まれない界面活性剤の量が増大するため、発光強度は減少することがわかった。
〔リポソームの表面電荷についての最適測定条件の検討〕
ATPの測定を以下のように行い、使用するリポソームの表面電荷について検討を行った。1.0x10-10 M ATPと種々の濃度のBKCを含む溶液250μlをガラスキュベットに、キュベットをルミノメータ内に設置した。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、カチオン性あるいはアニオン性リポソームを含む酵素溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。カチオン性リポソームはPCおよびDEAE-Cholをクロロホルムにそれぞれ10mM溶解して調製した。アニオン製リポソームはPC、PGおよびCholをクロロホルムにそれぞれ10、2および8mMで溶解して調製した。すべての溶液を混合した後のBKCの終濃度は1.0x10-3から0.1%の濃度範囲とした。
(結果)
図5に本実施例によって得られた発光強度を示す。いずれの電荷タイプのリポソームを用いた場合にも、BKC濃度が0.01%付近で発光強度は最大となった。しかしながら、用いるリポソームの表面電荷が異なると、発光強度は大きく変化し、両イオン性リポソーム>カチオン性リポソーム>アニオン性リポソームの順に発光強度は増大した。したがって、用いるリポソームには両イオン性リポソームが望ましいことがわかった。
〔両性リポソームの最適濃度についての最適測定条件の検討〕
ATPの測定を以下のように行い、使用する両イオン性リポソームの最適濃度について検討を行った。1.0x10-10M ATPと種々の濃度のカチオン界面活性剤を含む溶液250μlをガラスキュベットに入れ、キュベットをルミノメータ内に設置した。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、種々の濃度の両イオン性リポソームを含む酵素溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。20mM、40mM、80mMおよび160mMの脂質を含む両イオン性リポソームを調製した。PCとCholの濃度比は1:1とした。すべての溶液を混合した後のBKCの終濃度は1.0x10-3から0.1%の濃度範囲とした。
(結果)
図6に本実施例によって得られた発光強度を示す。使用する脂質濃度が増大するにしたがって、増感効果が発現するBKC濃度がより高濃度側に移行した。細胞を含む試料溶液と酵素溶液との混合溶液中で、BKCは0.01〜0.06%の濃度範囲にあることから、細胞溶解剤に使用するBKC濃度によって、使用するリポソーム量も変化させる必要があることがわかった。
〔ATPの検量線の作成〕
ATPの測定を以下のように行い、ATPの検量線を作成した。種々の濃度のATPと終濃度で0.06%のBKCを含む溶液250μlをガラスキュベットに入れ、キュベットをルミノメータ内に設置した。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、両イオン性リポソームを含む酵素溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。両イオン性リポソームはPCおよびCholをクロロホルムにそれぞれ80mM溶解して調製した。ATPの濃度範囲は4.0x10-12Mから1.0x10-9 Mとした。
(比較例2)
種々の濃度のATPを含む溶液250μlをガラスキュベットに入れる。キュベットをルミノメータ内に設置する。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、酵素溶液(100μl)と緩衝溶液(50μl)の混合溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。ATPの濃度範囲は4.0x10-12Mから1.0x10-9Mとした。
(結果)
図7の直線1は本実施例に基づき、BKCを含むATP溶液にリポソームを含む酵素溶液を混合したときのATPの検量線である。定量下限の4.0x10-12Mから1.0x10-9Mの範囲で良好な直線関係が得られた。図7の直線2は本比較例に基づき、ATPのみの溶液にリポソームを含まない酵素溶液を混合したときのATPの検量線である。定量下限の4.0x10-11Mから4.0x10-9Mの範囲で良好な直線関係が得られた。以上の結果から、ATP溶液にBKCが含まれていても、リポソームが共存すると増感効果により、ATPの検出感度が10倍向上することがわかった。
〔大腸菌体数の測定〕
大腸菌体数の測定を以下のように行い、大腸菌体数の測定におけるリポソームの効果を検討した。105〜107の範囲の大腸菌数を含む溶液に、BKCを加えて溶菌し、ATPを抽出する。その溶液250μlをガラスキュベットに入れる。キュベットをルミノメータ内に設置する。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、両イオン性リポソームを含む酵素溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。両イオン性リポソームはPCおよびCholをクロロホルムにそれぞれ80mM溶解して調製した。すべての溶液を混合した後のBKCの終濃度は0.06%(w/v)とした。
(比較例3)
105〜107の範囲の大腸菌数を含む溶液に、BKCを加えて溶菌し、ATPを抽出した。その溶液を1/6に希釈し、希釈溶液250μlをガラスキュベットに入れ、キュベットをルミノメータ内に設置した。オートインジェクターにより、ルミノメータの外部から、酵素溶液(100μl)と緩衝溶液(50μl)の混合溶液150μlを注入し、発光応答曲線の測定を行った。すべての溶液を混合した後のBKCの濃度は0.01%(w/v)とした。
(結果)
図8の直線1は本実施例に基づき、BKCと抽出されたATPを含む溶液にリポソームを含む酵素溶液を混合したときの大腸菌数と発光強度の関係を示している。検討した大腸菌体数の範囲において、菌体数と発光強度との間に良好な直線関係が得られた。一方、図8の直線2は本比較例に基づき、BKCと抽出されたATPを含む溶液にリポソームを含まない酵素溶液を混合したときの大腸菌数と発光強度の関係を示している。リポソームを含まない場合には、ルシフェラーゼに対するBKCの阻害作用を防止するため、BKCと抽出されたATPを含む溶液を1/10希釈した後に、発光反応を行った。したがって、リポソームを使用することにより、大腸菌体数を10倍高感度に測定できることがわかった。
界面活性剤濃度と相対発光強度との関係を示すグラフである。 界面活性剤濃度と相対発光強度との関係を示すグラフである。 界面活性剤濃度と相対発光強度との関係を示すグラフである。 界面活性剤濃度と相対発光強度との関係を示すグラフである。 界面活性剤濃度と発光強度との関係を示すグラフである。 BKC濃度と発光強度との関係を示すグラフである。 ATP濃度と発光強度との関係を示すグラフである。 大腸菌体数と発光強度との関係を示すグラフである。

Claims (12)

  1. カチオン界面活性剤により細胞を溶解後、その溶液にリポソームを添加し界面活性剤をリポソームに吸収させ、細胞から溶出したアデノシン5´三リン酸(ATP)をホタル生物発光法で測定することを特徴とするATPの定量法。
  2. カチオン界面活性剤を吸収したリポソームが発光反応を増強させることを特徴とする請求項1に記載の定量法。
  3. 20〜160 mMの脂質を含むリポソーム溶液を反応溶液中に10〜50 %(v/v)の添加割合で加える請求項1または2に記載の定量法。
  4. カチオン界面活性剤が塩化ベンザルコニウム(BKC)、ドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド(DTAB)、又は塩化ベンゼトニウム(BZC)から選ばれる請求項1〜3のいずれか一に記載の定量法。
  5. 塩化ベンザルコニウム(BKC)を最終濃度0.01%〜0.06%で添加する請求項に記載の定量法。
  6. リポソームの構成成分が、フォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルグリセロール(PG)、ジエチルアミノエチルカルバモイルコレステロール(DEAE-Chol)又はコレステロール(Chol)から選ばれる請求項1〜のいずれか一に記載の定量法。
  7. リポソームが、両性リポソーム、カチオン性リポソーム又はアニオン性リポソームから選ばれる請求項1〜のいずれか一に記載の定量法。
  8. 細胞が細菌及び微生物由来である請求項1〜のいずれか一に記載の定量法。
  9. カチオン界面活性剤、リポソーム及びルシフェラーゼを含有する請求項1〜のいずれか一に記載の定量法に用いる試薬キット。
  10. 請求項1〜のいずれか一に記載の定量法を用いる細胞数測定法。
  11. 細胞が細菌及び微生物由来である請求項10に記載の測定法。
  12. カチオン界面活性剤、リポソーム及びルシフェラーゼを含有する請求項10または11に記載の測定法に用いる試薬キット。
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