JP4545721B2 - 連続パルス式非変調非バーストモード神経刺激装置を用いて有効性及び感覚許容度を向上させる方法 - Google Patents

連続パルス式非変調非バーストモード神経刺激装置を用いて有効性及び感覚許容度を向上させる方法 Download PDF

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Description

本出願は、下記の特許出願を参照により組み込んでおり、これらの優先権を主張するものである:1986年11月に提出された米国特許出願第934,568号の一部継続出願である1986年12月9日に提出された米国特許出願第939,950号の一部継続出願である1988年3月22日に提出された米国特許出願第171,837号に関連する1995年6月19日に提出された「発作及び脳水腫の治療装置」と題する米国仮特許出願第60/000,317号;1986年11月に提出された米国特許出願第934,568号の一部継続出願である1986年12月9日に提出された米国特許出願第934,568号の一部継続出願である1988年3月22日に提出された米国特許出願第171,837号に関連する1995年6月19日に提出された「心不整脈の治療装置」と題する米国仮特許出願第60/000,300号;1986年11月に提出された米国特許出願第934,568号の一部継続出願である1986年12月9日に提出された米国特許出願第934,568号の一部継続出願である1988年3月22日に提出された米国特許出願第171,837号に関連する1995年6月19日に提出された「急性熱傷の治療装置」と題する米国仮特許出願第60/000,299号;1995年6月19日に提出された「連続パルス式非変調非バーストモード神経刺激装置を用いて有効性及び感覚許容度を向上させる方法」と題する米国仮特許出願第60/000,318号;1995年7月10日に提出された「連続パルス式非変調非バーストモード神経刺激装置によって強化された4極静止磁界を用いて局所的無痛及び/又は麻酔を誘発する方法」と題する米国仮特許出願第60/001,012号;及び1992年4月に提出された米国特許出願第07/844,904号及び1996年1月16日提出された同一特許出願の継続。
発明の背景:
1.発明の分野:
本発明は、医用エレクトロニクスの分野、さらにより詳細には、体表面への適正な電流密度を伴う電気刺激の適用及び、刺激によって生じる不快感を伴うことなく慢性疼痛及び急性疼痛を一貫して制御できるようにA線維及びC線維疼痛受容体の末梢ニューロンの発火比率の操作を許容するように磁界によって調節された反応によってヒトの疼痛を治療するための装置に関する。
発明の概要
Maurerら、1994年(米国特許第4,431,002号)は、疼痛が身体の表面に適用された電気パルス又は身体内に埋め込まれた電極によって緩和され得ることは周知であると述べている。彼の発明は、パルス繰返し速度が上昇するとパルス振幅及び幅が減少し、さらにその逆も発生する、指令された方法で刺激パルスが時間及び強度の両方において調節させられる経皮的電気的神経刺激装置を明らかにした。この装置の長所は、疼痛を抑制すると考えられるエンドルフィン類のような内因性アヘン剤の遊離を惹起するための筋収縮及び深部求心性神経の刺激を生じさせるのに十分なレベルで快適かつ心地よい感覚を産生することであると言われている。
Deyoら(NEJM)は、慢性腰痛を持つ患者における経皮的電気的神経刺激(TENS)はプラセボ療法に比して効果的ではない、さらにTENSは運動単独療法に比しても明白な利益を付け加えないと結論した。だがそうした試験はテクノロジーの適正な適用及び使用を行わずに実施されていることは明らかである。さらに又、オペレーターがより理解し易く、かつ使用し易いテクノロジーが必要であることも明らかである。
機械受容性A線維の共活性化によるC線維入力の有効性の低下が経皮的電気的神経刺激(TENS)の基礎となる原理である。この原理に含まれている機序は、「疼痛知覚のゲートコントロール説(Gate Control Theory of Pain Perception)」と呼ばれている(図5参照)。TENSは、機械受容性線維の電気的活性化を含んでいる。機械受容性A線維は、C線維より低い電気刺激強度で活性化される、つまりA線維は低い閾値を持っている。従って、電気受容性A線維はC線維の発火比率を上昇させずに低強度の電気刺激によって選択的に活性化させることができる、つまりA線維はC線維の発火比率を上昇させずに低強度の電気刺激によって選択的に活性化させることができる。刺激強度が上昇するにつれて、機械受容性線維及び疼痛受容性線維の両方を活性化することがあり得る。そこで、現行TENSを作用させるために適用できる刺激の程度には限度がある。TENS装置を使用している患者は、刺激強度を上昇させ続けると、疼痛が小さくなるどころかむしろ大きくなることを十分に知っている。刺激に伴って疼痛が大きくなるのはC線維活性化のためである。一部の症例では、単純に電極を配置し直して組織を通過する電流束を減少させることによって、疼痛緩和を達成するために必要な刺激の強度をA線維閾値に到達したままで低下させることができる。だが他の症例では、選択的にA線維を活性化させるための十分に低い強度で疼痛緩和を達成することは不可能である。これらの症例では疼痛が増加することがあり、TENSが失敗したと言われる。これらの失敗症例では、現在入手できる情報はTENSの失敗の原因の大部分が不適切な電極配置と望ましい刺激時点での不十分な電流又は電流密度にあることを示唆している。
文献からの証拠、臨床観察所見及び分離ニューロン細胞標本データは、この装置の有効性は刺激領域における高い電流密度を伴う高周波連続刺激によって最高に得られることを示唆している。同時にC線維発火を抑制しながら行うA線維のペーシングは、疼痛症候群の確実な制御を生じさせる。本発明の有効性を実現するために、ペーシングされる神経線維の領域において高い電流密度を入手できるように陽極と陰極が相互に適正に極めて近接しているように、陽極と陰極からなる4極配列が四辺形配列で配置されている。本発明の別の目的は、A線維の発火比率を上昇させながらC線維の発火比率を抑制することである。この目的は刺激電極内にマグナ・ブロック(Magna Bloc)(登録商標)装置を挿入することによって遂行される。本装置は、下記で具体的に示すように、C線維発火を劇的に制御して低下させる。このC線維発火への作用は図6に劇的に例示されている。志願被験者は、刺激電極上方にマグナ・ブロック(登録商標)装置が挿入された場合には2倍の電圧(電流に換算される)で疼痛閾値を知覚した。この方法により、疼痛ではなくむしろ快適な感覚を得るために、周波数を符号化して、正常な発火パターンを中枢神経系に送ることができる。
本発明の装置は1ユニット当たり4個の電極から構成される。これらの電極は、2個の陽極と2個の陰極からなる交代極性を持つ4個の電極から構成されている。電極頭部の陽極及び陰極は実質的に単一平面に整列しており、陽極が相互に対角的に向き合い、陰極も相互に対角的に向き合って四辺形の形状に配向されている。各電極内には、マグナ・ブロック(登録商標)装置(米国特許第5,312,321号)(参照してここに組み込まれている)が埋め込まれている。この装置は、C線維疼痛及び筋収縮の不快さを生じさせることなく最高のA線維刺激を許容する。マグナ・ブロック(登録商標)は、神経筋単位の興奮性を制御してC線維発火を遮断する。
本発明のもう1つの目的は、中枢神経系内へのC線維入力を遮断するために十分な密度で、疼痛症候群に含まれるC線維の神経支配の領域において脊髄後角内へA線維インパルスを送るために十分な電流密度を維持することである。これは、通常のC線維閾値を越えて強度が上昇するときのC線維発火を制御するためにマグナ・ブロック(登録商標)を用いて電極を相互に正確な近位に配置することにより、そして4個の電極の中心地点に電流センサーを配置することによって遂行される。このセンサーは、4個の電極のモニタリングを回転させることによって、そして皮膚における電流密度又は電流が一定のままであるように入力を変化させて補償することによって電流密度を平衡させるであろう。この回路はレンジモニター及び警報システムを備えているであろう。電流は図1における電極においてBからA及びCからD、CからA及びBからDへ2秒毎に交番するであろう。
本発明のさらにもう1つの目的は、TENS装置1つ当たり2個以上のそうした4極配列を備えることである。
上記を除くと、本装置は下記のパラメーターを備えた標準TENSエレクトロニクスを使用する:
1)パラメーターは、0〜100mAの出力の強さ、0〜200Hztの周波数、400マイクロ秒のパルス幅である。本装置は、脊柱上方又は求心性神経束上のいずれか並びに疼痛知覚の領域上方に効果的である。4個の電極、4個のマグナ・ブロック(登録商標)装置及び電流密度センサー及び電極パッドを保持するための格納手段は、疼痛を緩和するために、C線維発火が「2」軸において60°〜70°の磁束界磁勾配を発生するマグナ・ブロック(登録商標)磁界によって制御される良好に制御された電流密度を有する互い違いの電極DC周波数変調装置をヒトの身体上に治療的に配置する方法を提供する。
この態様はさらに、追加の配置位置でヒトの身体へ取り付けるために追加の格納体のためのこれらのステップの繰返しを提供する場合もある。
好ましい実施形態の説明
ここで本発明の現在好ましい実施形態を詳細に参照するが、それらの例は添付の図面に例示されている。全図面を通して、類似の素子を指示するために類似の参照符合が使用されている。
本発明の治療装置の電極複合体は、図1に略図的に示されている。治療装置電極10は、電極12及びマグナ・ブロック(登録商標)装置13をヒトの身体に接触させて保持するための接着手段11を含んでいる。本発明に従うと、電極12は好ましくは4個の電極から構成されており、そのうち2個は陽極、2個は陰極であり、それら全部が四辺形の対向対角頂点を限定している電極である。各電極パッドはアルミニウム製スナップによって適切な位置に嵌め込まれたマグナ・ブロック(登録商標)を含んでいる。
ここで具体化されているように、マグナ・ブロック(登録商標)13(磁束発生器)は、望ましい形状で磁気体を保持する(米国特許第5,312,321号参照)、そして「z」軸において60°〜70°の勾配を作り出す(図4参照)プラスチック製格納手段に保持されている実質的に同一の4個の磁極を含んでいる。この勾配は全距離に渡っての磁界の強さの変化の傾斜である。
本発明の実施形態はさらに、コネクター20を通して電極線21へ接続する導線15及び16を含有している。導線15及び16は導電性ケーブル14内に含まれている。本発明においてさらに具体化されているのは、最終的には導体ケーブル19に収容されている電極コネクターケーブル22を備えた電圧センサー17である。
本発明の有益な効果は、図8〜14に示すように、治療下の疼痛症候群において含まれているA線維及びC線維の領域において連続的に電極間の適正な電流密度又は電流を維持する本システムの能力によってもたらされる。望ましい電流密度はレンジモニター(ハウジング内)及び警報システムによって制御される電極パッド12によって維持される。電流の強さは電圧センサー17によって指令される。電流は電極BからA、CからD、CからA及びBからDへ2秒毎に交番する。電流密度は、電極12内にマグナ・ブロック(登録商標)装置13が挿入されているために、伝統的TENSよりはるかに高レベルで操作することができる。マグナ・ブロック(登録商標)13は、C線維閾値を超えたときにC線維発火の不快さを完全に緩和する。マグナ・ブロック(登録商標)13はC線維発火を遮断するので、従ってA線維/C線維比に好ましい平衡をもたらし、さらにこのために本装置を疼痛を緩和することにおいて極めて効果的なものにする(図3における治療のための位置の提案を参照)。マグナ・ブロック(登録商標)がC線維発火を制御するためには、「z」軸において45°より大きく90°より小さい界磁勾配を有していなければならない。
図2に示されているようなこの治療装置の制御機序は、電池源、パルス発生器、強度制御装置25、周波数制御装置26、継続時間制御装置27、電流密度変調極性切換手段、電流密度変調ケーブル19とともに雄コネクター28及び雌コネクター29を含有しているTENS発生器装置23を含んでいる。ケーブル14雄コネクターは、雌コネクター24に連結する。ON−OFFランプ及び警報ランプはキャビネットハウジング内に含まれている。
補助実験データ
目次
I.はじめに
a.疼痛
b.疼痛経路及び痛覚
c.疼痛インパルスの発生
II.疼痛インパルスの中断方法
a.電気刺激
b.マグナ・ブロック(登録商標)TMNS
III.図
IV.別紙
要約及び結論:
本文書に含まれているデータは、図8〜14に見られるように、本発明装置がヒト志願者におけるカプサイシンの皮内注射によって惹起されたC線維媒介性疼痛及び痛覚過敏を遮断することを証明している。この反応は、電流密度(電流又は電流密度は何れかの場所の治療領域への刺激電極からの電圧によって計算され、抵抗はオーム回路によって計算され、電圧及び抵抗とともに電流密度は容易に計算できる)用量反応曲線並びに装置を5分間切った後に痛覚過敏の領域の規模が増加する(A−B−Aの観察)ことによって著明に実証付けられた。図は本発明が共通経路、即ち中枢神経系内への疼痛受容体入力に及ぼす相乗作用を証明している。
I.はじめに
本文書に含まれているデータは、本発明装置がヒト志願者におけるカプサイシンの皮内注射によって惹起されたC線維媒介性疼痛及び痛覚過敏を遮断することを証明している。この反応は、電流密度(電流又は電流密度は何れかの場所の治療領域への刺激電極からの電圧によって計算され、抵抗はオーム回路によって計算され、電圧及び抵抗とともに電流密度は容易に計算できる)用量反応曲線並びに装置を5分間切った後に痛覚過敏の領域の規模が増加する(A−B−Aの観察)ことによって著明に実証付けられた。図は本発明が共通経路、即ち中枢神経系内への疼痛受容体入力に及ぼす相乗作用を証明している。
A.疼痛。 疼痛は多因性知覚である。国際疼痛研究会(International Association for the Study of Pain)は、疼痛を「実際的又は潜在的組織損傷に関連する不快かつ情動的経験」であると定義している。
B.疼痛経路及び痛覚。疼痛経路刺激の中枢神経系統合は大脳皮質において発生する。添付の図は、疼痛知覚に関連する解剖学的接続の略図を示している。インパルスの発生は通常は末梢神経疼痛受容体において始まる。一次求心性ニューロンはその大部分がA−δ線維及びC線維である。疼痛強度はこの経路に沿ったインパルスの発火周波数に関連している。疼痛経路に沿って接続を有する様々な構造が最終的な疼痛の強度及び知覚に影響を及ぼす。極めて複雑な回路が興奮性及び抑制性の両方の関係を含む疼痛知覚に影響を与える。
C.疼痛インパルスの発生。疼痛インパルス(つまり活動電位の斉射)は神経終末(つまり受容体領域)又は疼痛経路に沿ったどこかの場所で発生させられる可能性がある。求心性ニューロン細胞壁の繰返しの脱分極を生じさせるあらゆる刺激又は傷害は、中枢神経系内に伝導される活動電位の斉射を生じさせるであろう。
II.疼痛インパルスの中断方法
A.電気刺激。急性及び慢性疼痛を制御する試みにおいて様々な電気刺激方法が使用されてきた。それらの理論は大部分が下記を含んでいた:1)ゲートコントロール説、及び2)疼痛伝達を遮断するエンドルフィン類の遊離。最も広範囲に受け入れられているのはゲートコントロール説である。機械受容性A線維の共活性化によりC線維入力の有効性を低下させ、それによってA線維/C線維の比率を上昇させるというのが原理機序である。正味結果はA線維発火の周波数をC線維発火へ上昇させることである。これは中枢神経系内への疼痛受容体インパルスの正味減少を生じさせる。機械受容性A線維はC線維より低い電気刺激強度で活性化される、つまりA線維は低い閾値を有している。従って、機械受容性A線維はC線維の発火比率を上昇させずに低い強度の電気刺激によって選択的に活性化させることができる。刺激の強度が上昇すると、機械受容性線維及び疼痛受容性線維の両方を活性化することがあり得る。これはA線維体C線維発火の比率を低下させ、刺激強度が上昇するにつれて患者はより小さいどころかより大きい疼痛を経験するが、これはC線維活性化及びA線維/C線維発火比率の低下のためである。一部の症例では、A線維を選択的に活性化するために十分な低い強度で疼痛緩和を達成することは不可能である。これらの症例では、刺激強度が上昇すると疼痛が増加することがあり、TENSが失敗したと言われる。
我々は、本発明の機序が中枢神経系内へのC線維疼痛受容体入力を遮断することを含んでいることを証明した。我々はカプサイシンモデルを使用し、実験装置がC線維媒介性知覚過敏及び痛覚過敏を遮断することを証明した(図8〜14を参照)。図8は、電流密度の上昇に伴うカプサイシン誘発性痛覚過敏及び知覚過敏の領域の用量反応の証明である。知覚過敏及び痛覚過敏の領域はcmで表されており、強度は閾値下、閾値及び閾値上として表されている(別紙参照)。60mの注記は60分間の刺激を意味している。図9は15分間、30分間、60分間の閾値上電流及び5分間の閾値電流での表面痛覚過敏及び知覚過敏における変化を表している。残りの図面は、図8又は9を参照すれば自明である。図6は、プラセボ及びマグナ・ブロック(登録商標)の両方で治療された腕における15分間、30分間、60分間での疼痛過敏の評価を表しており、右側の数字1〜5は同一被験者(1−1、2−2、3−3、4−4及び5−5)であるが、プラセボ治療された反対側の腕である。我々はさらに、C線維伝達を遮断することへの効果が疼痛発生の領域における電流密度に関連していることを証明した。我々は電極設計における変化によって本装置をより効果的なものとし、ゲートコントロール機序が我々の所見と適合することを証明した。
疼痛受容性C線維は通例は静止性である。しかし、組織損傷性刺激は皮内に包埋されている自由神経終末を活性化する。この変換ステップは発生器電位を生じさせるためのカルシウムの流入を含んでいる。発生器電位が閾値に到達すると、活動電位が発火を開始し、脊髄へ向かってC線維に沿って中心性に伝導される。正味結果は、疼痛のゲートコントロール説に従って、C線維の刺激がA線維対C線維活性化の比率を変化させ、これが順にT細胞の発火比率を上昇させ、さらに疼痛知覚を生じさせる。疼痛の強度はT細胞の発火比率に比例している。本発明はin vitro及びin vivoの両方でC線維の放電速度を低下させることを証明した。A線維/C線維発火の比率における変化は疼痛緩和を生じさせる。
B.マグナ・ブロック(登録商標)TMNS。疼痛受容性C線維は通例は静止性である。しかし、組織損傷性刺激は皮内に包埋されている自由神経終末を活性化する。この変換ステップは発生器電位を生じさせるためのカルシウムの流入を含んでいる。発生器電位が閾値に到達すると、活動電位が放電を開始し、脊髄へ向かってC線維に沿って中心性に伝導される。正味結果は、疼痛のゲートコントロール説に従って、C線維の刺激がA線維対C線維活性化の比率を変化させ、これが順にT細胞の発火比率を上昇させ、さらに疼痛知覚を生じさせる。疼痛の強度はT細胞の発火比率に比例している。マグナ・ブロック(登録商標)はin vitro及びin vivoの両方でC線維の発火比率を低下させることを証明した。A線維/C線維発火の比率における変化は、TENSが疼痛緩和を生じさせるのと同一方法で疼痛緩和を生じさせる。
ヒト志願者においてカプサイシンによって刺激されたC線維へマグナ・ブロック(登録商標)が及ぼす作用
はじめに
本報告書は、本出願の治療装置が本装置が適用されたヒトの腕に治療効果をもたらすかどうかを試験するために設計された臨床試験において1991年3月に収集されたデータに関する私の分析を要約したものである。本試験はオレゴン州ポートランド(Portland, Oregon)所在のGood Samaritan(良きサマリア人)病院及び医療センターでJose Ochoa, M.D., Ph.D., DS.C.と協力して実施された。Dr. OchoaはGood Samaritan病院及び医療センターの末梢神経疾患病棟主任である。
1.本臨床試験は5例の被験者を対象に実施された。被験者5例中2例は2回試験された。被験者の年齢範囲は37〜50歳であった。被験者2例は女性、3例は男性であった。各被験者は良好な健康状態であった。何らかの薬剤を摂取している被験者はいなかった。
2.試験は1名の治験責任医師と1名の試験助手によって実施された。各被験者は「有効」磁気治療装置(マグナ・ブロック(登録商標))を用いて1回試験された。本試験で使用された「有効」治療装置は、全てが不透明プラスチック製ハウジング内に被包されていて各々が27MG−Oeの磁気エネルギー積を有している4個の1/2インチ径磁石を備えていた。角被験者はさらに「プラセボ」装置を用いて試験された。「プラセボ」装置は、プラセボ装置では4個の磁石が4個の非磁性金属製円筒と一緒に配置されていた以外は、「有効」装置と同一であるように見え、同一であると感じられた。「有効」又はプラセボ装置の試験順序はコイン投げによって無作為に選択された。被験者及び治験責任医師には、特定試験がいつ有効装置又はプラセボ装置を用いているのかを知らなかった。
3.各被験者は、片方の腕で有効磁気治療装置を用いて、他方の腕でプラセボ装置を用いて試験された。腕の割付け(右腕又は左腕を最初に)はコイン投げによって無作為に決定された。
4.右腕又は左腕のどちらを試験する場合であろうと、治療が「有効」であろうとプラセボであろうと、各試験は下記の方法に従って実施された:
A.注射点は被験者の手首から17.5インチ上方の手掌側の前腕上に同定された。注射点はインクドットを用いてマーキングされた。治療装置(「有効」又はプラセボ)は15分間、被験者の腕の注射点の上方及び反対側の中心に置かれた。15分後、治療装置が被験者の前腕から取り外され、1マイクログラムの用量のカプサイシンが注射点で被験者の腕(皮内)へ注射された。カプサイシンは、辛いトウガラシの刺激性有効成分である。カプサイシンは、中枢神経系に疼痛刺激を伝達するヒトにおけるC疼痛受容性神経線維を活性化することが発見されている。
B.注射直後に、治療装置はカプサイシン注射点の上方に置き直された。注射から15分後に、皮膚痛覚過敏(綿棒を用いて軽く叩くことを原因とする皮膚疼痛)の領域の測定を許容するように被験者の腕から治療装置が短時間取り外された。この測定後、治療装置は直ちに注射点上方に置き直された。皮膚痛覚過敏を測定するためのこの方法が注射30分後に繰り返された。
C.注射60分後に、治療装置は被験者の腕から取り外され、皮膚痛覚過敏の領域の3度目の測定が実施された。痛覚過敏の領域はカプサイシン注射15、30及び60分後に測定された。痛覚過敏の領域は通常は痛覚を惹起しないであろう方法で綿棒を用いて皮膚を軽く叩くことによって測定される。この軽く叩くことが被験者にとっての疼痛を惹起した注射点周囲の領域がたどられ、平方センチメートル単位で測定された。被験者に対する痛覚過敏領域測定は表に示されている(痛覚過敏の領域)。
5.Robert A. Parkerは、バイオメディカル統計学者であり、上記の臨床試験からのデータを分析を実行し続けた。Parker氏は、1970年にマサチューセッツ技術工学研究所から数学の学士号を受け;1976年にロンドン大学衛生・熱帯医学部から医学統計学における修士号を受け;1983年にハーバード大学公衆衛生学部から生体統計学の博士号を受けた。Parker氏は現在ヴァンダービルト大学医学部の助教授である。
6.Parker氏は、「有効」及びプラセボ治療間の成績における相違は、15、30及び60分後の痛覚過敏の領域の測定については統計的に有意であることを発見した。
ヒト志願者においてカプサイシンによって刺激されたC線維媒介性知覚過敏及び痛覚過敏にTENS(経皮的電気的神経刺激装置)が及ぼす作用
本報告書は、テネシー州ナッシュビル(Nashville, Tennessee)所在のヴァンダービルト大学医療センター神経学科で1995年6月に収集されたデータに関する私の分析をまとめたものである。このヒトを対象とする試験は、皮内に1マイクログラムのカプサイシンが注射され、機械的痛覚過敏及び知覚過敏の領域が経時的に評価されるヒト疼痛モデルにおいて、TENS装置及びマグナ・ブロック(登録商標)装置が疼痛受容体(C線維)発火を抑制又は中断するかどうかを試験するために設計された。本分析の目的は実質的同等な作用機序を評価することであった。
1.本臨床試験は、3例の被験者について試験のために両腕を用いて実施された。変量は、時間、電流密度及びTENSとマグナ・ブロック(登録商標)との組合せであった。被験者の年齢範囲は28〜60歳であった。全被験者は男性で良好な健康状態にあった。何らかの薬剤を摂取している被験者はいなかった。
2.試験は1名の治験責任医師と1名の試験助手によって実施された。我々は刺激のために4個の電極を備えたEPIX XL(登録商標)TENS装置を使用した。TENS装置の4個の電極は5cm平方の4つの角の上方に配置された。各電極の極性は隣り合う角の電極とは反対で、対向する角の電極と同一の極性であった。各被験者は一方の腕で閾値下強度でTENS装置を用いて1回試験され、他方の腕で閾値、引き続いて閾値上強度によってTENS装置を用いて試験された。閾値下レベルは被験者によって知覚された最小強度と定義され、閾値上レベルは被験者によって忍容された、不快だが疼痛ではないと表現された最高強度と定義された。
3.各試験は下記の方法に従って実施された。
A.注射点は被験者の手首から17.5インチ上方の手掌側の前腕上に同定された。注射点はインクドットを用いてマーキングされた。治療装置(「有効」又はプラセボ)は15分間、被験者の腕の注射点の上方及び反対側の中心に置かれた。15分後、治療装置が被験者の前腕から取り外され、1マイクログラムの用量のカプサイシンが注射点で被験者の腕(皮内)へ注射された。カプサイシンは、辛いトウガラシの刺激性有効成分である。カプサイシンは、ヒトにおけるC疼痛受容性神経線維を活性化し、疼痛刺激を中枢神経系に伝達する多シナプス性反射を通して疼痛及び続発性痛覚過敏を生じさせることが発見されている。
B.知覚過敏(綿棒の木部を皮膚上にスライドさせることによって軽く触れることへの知覚増加)及び痛覚過敏(綿棒の木部を皮膚上にスライドさせることによって軽く触れることへの皮膚疼痛)の領域は、カプサイシンの注射15、30及び60分後及び閾値上刺激、マグナ・ブロック(登録商標)の使用5分後に測定された。知覚過敏及び痛覚過敏の領域はインク線でマーキングされ、平方センチメートル単位で測定された。
カプサイシンモデル
カプサイシンは、トウガラシの「辛い」又は有効部分である。多数の研究者らによって、カプサイシンは、皮内に注射されると、求心性多種(C線維)侵害受容体を排他的に活性化させることが証明されている。従って、中枢神経系内へのC線維インパルスは疼痛として知覚される。このC線維活性化は脊髄反射を刺激し、これはカプサイシン注射領域における交感神経C線維遠心性線維を刺激する。C線維遠心性線維は過剰に皮膚を感作する。結果として生じる作用は、軽く触れただけで疼痛知覚を惹起する皮膚の過剰感作である。知覚過敏及び痛覚過敏の領域はC線維求心性発火比率と関連している。このため、このモデルを使用することによって多種疼痛受容体によって媒介された疼痛インパルスの刺激及び伝導への治療の効果を評価することができる。
本装置は基本的に、A線維の刺激及びC線維の抑制に対して選択的である対称性電流密度を産生する能力があるために、疼痛治療への一貫した結果を許容する。本装置ははるかに効果的かつ快適である。
図1は、本発明の実施形態に従った治療装置の計画図である。 図2は、本発明のある実施形態に従った治療装置電極の予定図である。 図3は、本発明の電極の配置のために有用な場所を示している。 図4は、マグナ・ブロック(登録商標)装置の表面から0.3cm上方の系統的平行面でスキャンすることによって測定された、本装置の電極の磁気4極部分の磁界の強さをグラフの形で示している。 図5は、疼痛知覚のゲートコントロール説である。 図6は、マグナ・ブロック(登録商標)を用いて治療したときの電気刺激への体性感覚閾値における変化である。 疼痛知覚に関連する解剖学的接続の概略図である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。 疼痛治療に関するグラフ表示である。

Claims (14)

  1. 適正な電流密度を備えた電気刺激及び特殊磁束発生器の動物の体表面への適用によってヒトの疼痛を治療するための治療用医用電子装置であって:
    4個の電極パッドとヒトの身体に接触させて保持するための接着手段を含む電極複合体と、
    前記4個の電極パッドは四辺形の対向対角頂点を形成する2個の陽電極及び2個の陰電極を含み、
    前記電極のそれぞれを活性化し電気刺激を発生させるための電力手段を含み、
    さらに、前記電極パッドのそれぞれは、前記対向対角頂点が形成する平面と垂直をなすz軸に対して45°より大きく90°より小さい三次元磁場勾配を発生する、極性が互い違いになった4個の中心荷電磁極を有する少なくとも1個の4極磁束発生器を含み、
    前記陽電極の一方からの電流が前記陰電極の一方への流れと他方への流れとの間で交番する治療用医用電子装置。
  2. 前記電極複合体が、互いに5cm離れた独立した電極パッドから構成される、請求項1に記載の治療用医用電子装置。
  3. 前記電極のそれぞれはC線維活性を調節するための4極磁束発生器を保持する、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  4. 前記4極磁束発生器が、極性が互い違いになった4個の円形中心電荷ネオジミウム磁極から構成されており、前記z軸に対して45°より大きく90°より小さい三次元磁場勾配を発生させる、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  5. 前記4極磁束発生器が、C線維発火を抑制することによってAδ/C線維発火の好ましい比率を許容し、さらにそれによってより効率的に末梢で発生した疼痛を遮断する、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  6. 前記電極パッドがアルミニウム製スナップによって所定の位置に嵌め込まれた4極磁束発生器を含む、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  7. 前記4極磁束発生器が、磁気体を望ましい形状で保持して前記z軸に対して60°から70°の磁場勾配を発生させるプラスチック製格納手段に保持されている実質的に同一の4個の磁極を含む、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  8. 前記磁場勾配は前記四辺形の全範囲に渡る磁界強度の変化の傾斜から計算される、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  9. 前記治療用医用電子装置が、治療下の疼痛症候群に関係しているA線維及びC線維の領域において、連続的に電極間の適正な電流密度又は電流を維持する、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  10. 体表面に接触させた電圧センサーから感覚入力データを受信するレンジモニター及び警報システムをさらに含み、感覚入力によって電極パッドに供給される電流密度を制御する、請求項に記載の治療用医用電子装置。
  11. 前記陽電極の一方からの電流が2秒毎に前記陰電極の一方への流れと他方への流れとの間で交番する、請求項10に記載の治療用医用電子装置。
  12. 前記電極内に前記4極磁束発生器が挿入されることによって電流を操作することができる、請求項11に記載の治療用医用電子装置。
  13. 前記4極磁束発生器がC線維発火を遮断することによってA線維/C線維発火比の好ましい平衡をもたらす、請求項12に記載の治療用医用電子装置。
  14. 記電極複合体に操作可能に接続され発生器装置、前記装置に電力を供給するバッテリーを含む経皮的電気的神経刺激装置、前記装置を通るパルス状の電流を生成するパルス発生器、前記電極複合体を通る電流の強度、密度、周波数及び継続時間を制御する手段、並びに前記電極複合体を通る電流密度、交番電流の方向を調節する手段とをさらに含む、請求項13に記載の治療用医用電子装置。
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