JP4544405B2 - 筆記具のクリップ - Google Patents
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Description
即ち、筆記具のクリップを樹脂からなる軸筒等と一体に成形すると、クリップを拡開する際にクリップの基部にかかる曲げ応力に対する限界が低いので、クリップの折損を防ぐために、クリップの拡開幅を小さくせざるを得なくなる。その結果、クリップの挟持できるものは極めて薄いもの、例えば本やノートの数頁や衣服のポケットなどに限られてしまう。
また、上記クリップを反復して使用したり、クリップの曲げ応力に対する限界を超えて使用すると、クリップの基部に加わる拡開時の曲げ応力により、該クリップの基部に疲労が蓄積し、容易にクラックが発生したり、最悪の場合折損が生じる恐れがある。
一方、クリップが金属製であると、クリップ自体に弾性があるので、曲げ応力に対する限界は高くなり、多少厚いものであってもクリップにより挟持することができるものとなる。しかしながら、やはりクリップの有する曲げ応力に対する限界を超えてしまうと、樹脂製のものに比べてクラックの発生や折損は起こりにくい反面、一旦クリップの弾性が失われて変形すると、クリップは元の状態に復元できなくなるものである。
即ち、軸筒等の表面に略U字状の挟みバネの一端側を固定し、該挟みバネの他端側を軸筒等表面に沿わせ、クリップにおける軸筒等との対向面と、軸筒等におけるクリップとの対向面とで形成される枢支部にクリップを枢支し、かつ前記挟みバネの他端部を前記枢支部よりもクリップの前端側に掛止させ、クリップの前端部が軸筒等表面に弾圧接するようにクリップを軸筒等に取り付けてなるものである。
この発明に係るクリップは、クリップにおける軸筒等との対向面と、軸筒等におけるクリップとの対向面とで形成される枢支部にクリップを枢支し、かつ軸筒等とクリップとは金属の挟みバネによって一体に取り付けられているものである。つまり、クリップの挟持できる厚さは、この挟みバネの拡開幅に依存しているものである。従って、クリップによって、より厚いものを挟持できるようにするためには、この挟みバネの拡開幅を大きくすれば容易に行うことができるものである。
ところが、該クリップを開閉するにあたっては、該クリップの開閉動作に伴う応力はこのクリップと軸筒とを一体に取り付けてなる挟みバネにかかるので、クリップを反復して使用しているうちに、従来のものと同様に、該金属製である挟みバネに疲労が蓄積するため弾性が失われ易く、その結果挟みバネにおいてクラックや折損が発生してしまうおそれがあるものとなる。
また、このように軸筒とクリップとを別体とし、各々を挟みバネにより一体に取り付けてなるものであると部品点数が増加するので製造工程が複雑となって、組立行程における破損の発生も多いことから、製造コストが著しく上昇してしまう恐れがある。
そのために、この発明は、筆記具の軸筒に対して、連結部を介してクリップを一体に成形すると共に、該連結部のクリップ側基部を折曲自在となるように薄肉部を形成し、該クリップの後端においてクリップと軸筒との間でゴム状の弾性体を挟持させるものとする。このため、クリップと軸筒とを一体に形成することで安価に製造でき、該連結部のクリップ側基部を薄肉部として折曲自在とした上で、該クリップの後端において軸筒との間でゴム状の弾性体を挟持することで、クリップが厚いものを挟持しても、このゴム状の弾性体の発生する反発力によりクリップは押勢され、厚いものであっても確実に挟持できるものである。
尚、軸筒とは別体としてのキャップを有する場合には、該キャップに対してクリップを同様に設けるものである。
そして、該連結部において、クリップ側の連結部を薄肉部とすることにより、クリップは連結部に対して折曲自在となり、更にクリップの後端において該クリップと軸筒(あるいはキャップ)との間でゴム状の弾性体を挟持するので、クリップは大きく拡開して厚いものを挟持することができると共に、クリップと軸筒(あるいはキャップ)との間で挟持されるゴム状の弾性体の反発力が、この大きく拡開し、厚いものを挟持したクリップに対して軸筒(あるいはキャップ)方向へ押勢するので、該クリップは厚いものを確実に挟持し続けることができるものとなる。
つまり、この発明の実施例である筆記具のクリップ(5)は、具体的には、上記軸筒(2)とクリップ(5)と共に一体に形成される該連結部(8)において、該連結部(8)のクリップ側基部(8a)に形成する薄肉部(9)から軸筒側基部(8b)にかけてテーパー部(8c)(図3参照。)或いは段部(8d)(図4参照)として、該連結部(8)におけるクリップ側基部(8a)の断面積より軸筒側基部(8b)の断面積を大きくするものである。一方、該クリップ(5)の後端近傍に、表裏を貫通する固定孔(7)を穿設するとともに、該クリップ(5)と軸筒(2)との間に挟持されるゴム状の弾性体(10)を、底面(12)を軸筒(2)表面に密着させる底部の一部に切り欠き部(11)を形成し、その略中央部側面には固定孔下周縁(7a)に密着する係止鍔部(13)を形成した上、上部には該固定孔(7)に挿嵌固持される係止部(14)を形成する。そして、該固定孔(7)に弾性体(10)を挿入して、固定孔下周縁(7a)に弾性体(10)の係止鍔部(13)を係合させて弾性体(10)を固定することにより、弾性体(10)上部の係止部(14)表面を固定孔(7)の外部に露出するように挿嵌固持するものである。
尚、該連結部(8)のクリップ側基部(8a)に形成する薄肉部(9)から軸筒側基部(8b)にかけて設けられる段部(8d)やテーパー部(8c)は、図5に示すように、略中央に段部(8d’)を設け、そこから軸筒側基部(8b)へ向けてテーパー部(8c’)を形成してもよい。
ところで、クリップ(5)と軸筒(2)との間で挟持されるゴム状の弾性体(10)は、連結部(8)において折曲したクリップ(5)に対して、挟持する力の源となる反発力を付与するためだけであれば、単にクリップ(5)と軸筒(2)との間に挟持すれば足りるものである。ところが、この発明の実施例のように、底部の一部に切り欠き部(11)を形成しつつその底面(12)を軸筒(2)表面に密着させると共に、上部の係止部(14)の表面を該クリップ(5)の固定孔(7)から外部に露出するように該固定孔(7)内に弾性体(10)を挿嵌固持すると、クリップ(5)を指などで押す際に、弾性体(10)と指等との間での摩擦力が高まることで滑りにくく正確なクリップ(5)の押勢が可能となり、確実なクリップ(5)の拡開動作を行えるようになるものである。
また、クリップ(5)と軸筒(2)との間で挟持される弾性体(10)としては、クリップ(5)の拡開幅とクリップ(5)の挟持する力とを最大限に確保する必要があることから、クリップ(5)への押勢による連結部(8)の薄肉部(9)の折曲によって大きく変形すると共に、この変形と共に元の形状に戻ろうとする復元力、即ち反発力の大きい素材が適当なものである。そのため、弾性材(10)として使用する素材としては、例えばシリコンゴムが適当である。
まず、軸筒(2)と共に一体に成形されたクリップ(5)の後端近傍において穿設される固定孔(7)内に挿嵌固持されるゴム状の弾性体(10)の係止部(14)の外部に露出している表面を指等(f)により押勢する。このとき、指等(f)で押勢する該係止部(14)の表面は、クリップ(5)と軸筒(2)とを一体に連結する連結部(8)より後方に配置されると共に、クリップ(5)は、軸筒(2)と一体に成形される連結部(8)のクリップ側基部(8a)を薄肉部(9)として折曲自在となっているので、上記指等(f)による係止部(14)の表面への押勢により、連結部(8)のクリップ側基部(8a)の薄肉部(9)が後方に向けて折曲ることとなって、クリップ(5)先端は拡開することとなる。
一方、クリップ(5)の後端では、上記クリップ(5)先端の拡開に伴って軸筒(2)方向に閉成することとなるが、その際、弾性体(10)は、クリップ(5)の後端近傍と軸筒(2)との間で、その略中央部に周設する係止鍔部(13)を固定孔下周縁(7a)に密着・係合させつつ挟持されるので、該クリップ(5)の後端近傍への圧力が左右に揺動しても、該係止鍔部(13)により満遍なく弾性体(10)に伝達されるものとなる。従って、このクリップ(5)の圧力により、弾性体(10)は、この底部に形成される切り欠き部(11)を中心として大きく崩れながら変形するものとなる。それと同時に、該弾性体(10)は、クリップ(5)の特にその後端近傍を、弾性体(10)の反発力をもって元の方向へ復元しようと押勢することとなる。
そして、該連結部(8)のクリップ側基部(8a)を中心に折曲することで拡開するクリップ(5)に対して、挟持すべきものを差し込んだ上で、該クリップ(5)の後端近傍において外部に露出する弾性体(10)の係止部(14)表面への押勢を中止することで、上記クリップ(5)の拡開時に大きく変形した弾性体(10)の反発力によりクリップ(5)は、連結部(8)のクリップ側基部(8a)を中心として元の状態へ復元、即ち閉成動作を行うものとなる。その結果、クリップ(5)の先端に設ける波状係止部(6)はクリップ(5)と軸筒(2)との間に挟持されるものに食い込むと共に、変形した弾性体(10)の反発力によりクリップ(5)は元の状態に復帰するように押勢され続けているので、このクリップ(5)による挟持状態は維持され、本の表紙などの厚いものであっても確実に筆記具(1)を固持させることができるものとなる。
2 軸筒
3 ノック体
4 開口部
5、5’ クリップ
6、6’ 波状係止部
7、7’ 固定孔
7a、7a’ 固定孔下周縁
8、8’ 連結部
8a、8a’ クリップ側基部
8b 軸筒側基部
8c、8c’、8c” テーパー部
8d、8d’、8d” 段部
8e キャップ側基部
9、9’ 薄肉部
10、10’ 弾性体
11、11’ 切り欠き部
12、12’ 底面
13、13’ 係止鍔部
14、14’ 係止部
15 キャップ
f 指
Claims (5)
- 先端に開口部を有する軸筒内に筆記芯を収納してなる筆記具において、
少なくとも該軸筒の後端近傍を樹脂製とし、その表面に軸筒径方向に突設する連結部を介して、先端に係止部を有するクリップを一体に成形すると共に、
該連結部のクリップ側基部に折曲自在となる薄肉部を形成するものであって、
該連結部後方において、クリップと軸筒との間にゴム状の弾性体を挟持し、
前記軸筒とクリップと共に一体に成形される連結部において、該連結部のクリップ側基部に形成する薄肉部から軸筒側基部にかけて段部或いはテーパー状として、連結部におけるクリップ側基部の横断面積より軸筒側基部の横断面積を大きくしてなる筆記具のクリップ。 - 先端に開口部を有する軸筒内に筆記芯を収納してなる筆記具において、
少なくとも該軸筒の後端近傍を樹脂製とし、その表面に軸筒径方向に突設する連結部を介して、先端に係止部を有するクリップを一体に成形すると共に、
該連結部のクリップ側基部に折曲自在となる薄肉部を形成するものであって、
該連結部後方において、クリップと軸筒との間にゴム状の弾性体を挟持し、
前記軸筒と共に一体に成形されるクリップの後端近傍に、表裏を貫通する固定孔を穿設すると共に、該クリップと軸筒との間に挟持される弾性体を、底面を軸筒表面に密着させる底部の一部に切り欠き部を形成し、その略中央部側面には該固定孔下周縁に密着する係止鍔部を形成した上、上部には該固定孔に挿嵌固持される係止部を形成するものとし、該固定孔に弾性体を挿嵌固持することで、該係止部表面を固定孔の外部に露出させてなる筆記具のクリップ。 - 先端に開口部を有する軸筒内に筆記芯を収納してなる筆記具において、
少なくとも該軸筒の後端近傍を樹脂製とし、その表面に軸筒径方向に突設する連結部を介して、先端に係止部を有するクリップを一体に成形すると共に、
該連結部のクリップ側基部に折曲自在となる薄肉部を形成するものであって、
該連結部後方において、クリップと軸筒との間にゴム状の弾性体を挟持し、
前記軸筒とクリップと共に一体に成形される連結部において、該連結部のクリップ側基部に形成する薄肉部から軸筒側基部にかけて段部或いはテーパー状として、連結部におけるクリップ側基部の横断面積より軸筒側基部の横断面積を大きくし、
前記軸筒と共に一体に成形されるクリップの後端近傍に、表裏を貫通する固定孔を穿設すると共に、該クリップと軸筒との間に挟持される弾性体を、底面を軸筒表面に密着させる底部の一部に切り欠き部を形成し、その略中央部側面には該固定孔下周縁に密着する係止鍔部を形成した上、上部には該固定孔に挿嵌固持される係止部を形成するものとし、該固定孔に弾性体を挿嵌固持することで、該係止部表面を固定孔の外部に露出させてなる筆記具のクリップ。 - 上記軸筒と共に一体に形成されるクリップの後端近傍を、上方に向かって湾曲するように形成してなる請求項1、2又は3記載の筆記具のクリップ。
- 上記筆記具の軸筒に代えて、筆記具の軸筒先端に着脱自在に装着されるキャップにおいて一体に成形されてなる請求項1、2、3又は4記載の筆記具のクリップ。
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