JP4544125B2 - 低透過樹脂ホースおよびその製法 - Google Patents

低透過樹脂ホースおよびその製法 Download PDF

Info

Publication number
JP4544125B2
JP4544125B2 JP2005302045A JP2005302045A JP4544125B2 JP 4544125 B2 JP4544125 B2 JP 4544125B2 JP 2005302045 A JP2005302045 A JP 2005302045A JP 2005302045 A JP2005302045 A JP 2005302045A JP 4544125 B2 JP4544125 B2 JP 4544125B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
polyamide
film
low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005302045A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007106082A (ja
Inventor
建典 笹井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2005302045A priority Critical patent/JP4544125B2/ja
Publication of JP2007106082A publication Critical patent/JP2007106082A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4544125B2 publication Critical patent/JP4544125B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、低透過樹脂ホースおよびその製法に関するものであり、詳しくは自動車等に用いられる、ガソリン,アルコール混合ガソリン(ガソホール),アルコール,水素,軽油,ジメチルエーテル,ディーゼル,CNG(圧縮天然ガス),LPG(液化石油ガス)等の燃料、もしくはエアコン・ラジエター等に用いられるフロン,代替フロン,水,二酸化炭素等の冷媒に対する耐透過性に優れた低透過樹脂ホースおよびその製法に関するものである。
世界的な環境意識の高まりから、自動車用燃料系ホース等からの炭化水素蒸散量の規制が強化されてきており、なかでも米国ではかなり厳しい蒸散規制が法制化されている。このような状況の中で、炭化水素蒸散量の規制に対応するため、フッ素樹脂からなる燃料低透過層を備えた多層構造のホースが提案されている。
上記フッ素系樹脂を用いた多層ホースは、比較的燃料低透過性能が得られるものの、より厳しい燃料低透過性能が要求される場合には、フッ素系樹脂層の厚みを厚くせざるを得ず、そのためホースが高価になるという難点がある。
そこで、フッ素系樹脂よりも燃料低透過性能に優れる樹脂として、ポリアリーレンスルファイド樹脂、特にポリフェニレンスルファイド(PPS)樹脂が注目されている。このPPS樹脂は、燃料低透過性能に優れるため、比較的薄くても充分な燃料低透過性能が得られる。したがって、フッ素系樹脂を用いて燃料低透過層を形成してなるホースに比べて、価格的に有利である。
このように、PPS樹脂からなる燃料低透過層を備えたホースとして、例えば、PPS樹脂からなる内層(燃料低透過層)の外周に、PPS樹脂以外の熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂等)からなる外層を形成した多層燃料チューブが提案されている(特許文献1参照)。
一方、カーエアコン等に使用される冷媒輸送用ホースとして、低透過性を向上するため、蒸着膜を積層し、ドライメッキした多層ホースが提案されている。例えば、合成樹脂製内管に、金属薄膜または金属化合物薄膜をドライメッキにより形成させた後、接着剤を介して、ゴム層を加熱硬化させる低透過ゴムホースが提案されている(特許文献2参照)。また、金属蒸着フィルムをホットメルト接着剤を介して螺旋状に巻いたゴムホースが提案されている(特許文献3参照)。
特開平10−138372号公報 特許第2870784号公報 特開2001−235068号公報
上記特許文献1に記載の多層燃料チューブは、PPS樹脂からなる内層と、ポリアミド樹脂等からなる外層との層間接着性が劣るため、内層用材料であるPPS樹脂に、多量のポリアミド樹脂をコンパウンドさせたものを用いる必要がある。しかしながら、上記ポリアミド樹脂は、燃料非透過性の樹脂であるため、これを多量に配合すると、PPS樹脂の配合割合が少なくなり、内層の燃料低透過性が低下するという難点がある。
また、上記特許文献2に記載のものは、合成樹脂上への成膜に関し、接着性を考慮した成膜がなされていないため、薄膜が合成樹脂から剥がれ、冷媒が漏れる等の難点がある。また、外層と薄膜との接着に接着剤を用いているため、生産効率が悪いという製法上の難点もある。
つぎに、上記特許文献3に記載のものは、金属蒸着フィルムに関して、樹脂フィルムと蒸着膜との界面接着性を考慮していないため、薄膜が合成樹脂から剥がれ、冷媒が漏れるという難点がある。また、アルコール添加ガソリン等の燃料輸送用に用いた場合には、蒸着フィルムの重ね代のホットメルト接着層から、燃料が透過してしまうという難点もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、層間接着性に優れるとともに、燃料や冷媒等に対する低透過性にも優れた低透過樹脂ホースおよびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、管状の内層の外周に、中間層,結合層および外層が順次形成されてなる低透過樹脂ホースであって、上記内層がポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成されているとともに、上記中間層がクロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜により構成され、上記結合層が下記のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて形成され、かつ、上記外層が脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする外層用材料を用いて形成されている低透過樹脂ホースを第1の要旨とする。
(A)ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6共重合体およびポリアミド66共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つのポリアミド樹脂。
また、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成されてなる内層の外周に、スパッタリング,イオンプレーティングおよび真空蒸着からなる群から選ばれた少なくとも一つの物理蒸着法により、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜からなる中間層を形成した後、この中間層の表面に下記のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成するとともに,この結合層の外周面に脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする外層用材料を用いて外層を形成する低透過樹脂ホースの製法を第2の要旨とする。
(A)ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6共重合体およびポリアミド66共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つのポリアミド樹脂。
本発明者らは、層間接着性に優れるとともに、燃料や冷媒等に対する低透過性にも優れた低透過樹脂ホースを得るため、鋭意研究を重ねた。その結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成させてなる内層の外周に、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜からなる中間層が形成されるとともに、その外周に、上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層が形成され、さらにその中間層の外周に脂肪族ポリアミド樹脂を用いて外層が形成されてなる低透過樹脂ホースにより、所期の目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、上記のように、ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成させてなる内層の外周に、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜からなる中間層を形成すると、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、クロム系酸化膜との相乗バリア効果により、燃料や冷媒等に対する優れた低透過性能を得ることができる。また、上記クロム系酸化薄膜は、高真空下で蒸発したクロム系金属が高活性状態で酸素と反応した直後にポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層の外周に成膜されるとき、活性なクロムの電子吸引性やクロム系酸化膜のポーラス性のために、内層であるポリアリーレンスルフィド樹脂のS成分と化学的に結合しやすくなるものと推察される。また、上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成すると、中間層のクロム系酸化膜との接着性および外層の脂肪族ポリアミド樹脂との接着性が向上するため、中間層と結合層,および結合層と外層との層間接着性が向上する。
このように、本発明の低透過樹脂ホースは、ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成させてなる内層の外周に、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜により構成された中間層を形成しているため、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、クロム系酸化膜との相乗バリア効果により、燃料や冷媒等に対する優れた低透過性能を得ることができる。また、上記クロム系酸化薄膜は、高真空下で蒸発したクロム系金属が高活性状態で酸素と反応した直後にポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層の外周に成膜されるとき、活性なクロムの電子吸引性やクロム系酸化膜のポーラス性のために、内層であるポリアリーレンスルフィド樹脂のS成分と化学的に結合しやすくなるものと推察される。また、上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成しているため、中間層のクロム系酸化膜との接着性および外層の脂肪族ポリアミド樹脂との接着性が向上し、中間層と結合層,および結合層と外層との層間接着性が向上する。
また、内層の外周面がプラズマ処理され、そのプラズマ処理面上に上記中間層が直接形成された低透過樹脂ホースは、内層と中間層との層間接着性がさらに向上するという効果が得られる。
そして、本発明の低透過樹脂ホースは、内層用材料を用いて形成されてなる内層の外周に、スパッタリング、イオンプレーティングおよび真空蒸着からなる群から選ばれた少なくとも一つの物理蒸着法により、上記クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜からなる中間層を形成した後、この中間層の表面に、上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成するとともに,この結合層の外周面に脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする外層用材料を用いて外層を形成することにより製造することができる。その結果、接着剤を使用せずに、層間接着性がより良好である低透過樹脂ホースを容易に作製できるため、生産効率が向上する。また、上記中間層が、スパッタリング,イオンプレーティングおよび真空蒸着からなる群から選ばれた少なくとも一つの物理蒸着法により、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜に構成されていると、燃料や冷媒に対する低透過性が向上するとともに、ホースの層間接着性がより良好となり、接着力を20N/cm以上(目標値)に維持することが可能となる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の低透過樹脂ホースは、例えば、図1に示すように、管状の内層1の外周面に中間層2が形成され、その外周面に結合層3が形成され、さらにその外周面に外層6が形成されて構成されている。
本発明においては、上記内層1が、ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成されているとともに、上記中間層2が、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜により構成され、上記結合層3が、上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて形成され、かつ、上記外層6が、脂肪族ポリアミト樹脂を用いて形成されているのであって、これらが最大の特徴である。本発明によると、前述のように、接着剤を使用せずに、層間接着性が向上するとともに、燃料や冷媒等に対する低透過性能が向上する。
なお、本発明において、主成分とは、通常、全体の過半を占める成分のことをいい、全体が主成分のみからなる場合も含む趣旨である。
上記ポリアリーレンスルフィド(PAS)樹脂としては、例えば、構造式〔−Ar−S−〕〔ただし、Arはアリーレン基(二価芳香族炭化水素基)、Sは硫黄である〕で示される繰り返し単位を、全体の70モル%以上含有する重合体があげられる。すなわち、上記構造式で示される繰り返し単位の割合が全体の70モル%未満であると、結晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶成分が少なく、機械的強度が不充分となる場合があるからである。
そして、上記PAS樹脂の具体例としては、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を、全体の70モル%以上含有するものがあげられる。
Figure 0004544125
上記一般式(1)において、Rは、炭素数6以下のアルキル基またはアルコキシル基、フェニル基、カルボキシル基もしくはその金属塩基、アミノ基、ニトロ基、またはフッ素,塩素,臭素等のハロゲンで置換された置換基を示す。また、mは0〜4の整数を示す。なお、平均重合度(n)は、通常、n=10〜300である。
また、上記PAS樹脂は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の単独重合体であってもよいが、上記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の構成単位との共重合体であっても差し支えない。このような構成単位としては、例えば、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、p,p′−ジフェニレンケトンスルフィド単位、p,p′−ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,p′−ビフェニレンスルフィド単位、p,p′−ジフェニレンメチレンスルフィド単位、p,p′−ジフェニレンクメニルスルフィド単位、ナフチルスルフィド単位等があげられる。この構成単位を有するポリマーの分子構造は、線状構造、分岐構造、あるいは架橋構造のいずれでもよく、これらの構成単位を有するポリマーをブレンドして用いても差し支えない。
また、上記PAS樹脂は、上記構成単位を有するポリマーを、酸化架橋または熱架橋することにより、溶融粘度を上昇させて成形性を改良したものであっても差し支えない。
上記PAS樹脂のなかでも、コスト面等の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂が好ましく、このPPS樹脂としては、例えば、下記の一般式(2)で表される繰り返し単位を有するものが好ましい。また、上記PPS樹脂は、分子構造中(分子末端も含む)に官能基を有していてもよい。上記官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボン酸無水物残基、カルボン酸基、アクリレート基、カーボネート基、アミノ基等があげられる。
Figure 0004544125
上記PPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、5〜2000Pa・s(320℃、剪断速度1000sec-1)の範囲内が好ましく、特に好ましくは10〜500Pa・sの範囲内である。
なお、上記内層用材料には、柔軟性や耐衝撃性を改善するために、上記PAS樹脂とともに、熱可塑性エラストマーを配合しても差し支えない。上記熱可塑性エラストマーは、PAS樹脂を混練する温度で、溶融し、混合分散可能であることが好ましい。その点から、融点が300℃以下であり、室温でゴム弾性を有するエラストマーが好ましい。上記熱可塑性エラストマーのなかでも、耐熱性、混合の容易さ、耐低温衝突性向上の点で、ガラス転移点が−40℃以下のものが、低温でもゴム弾性を有するため好ましい。上記ガラス転移点は、低いほど好ましいが、通常−180〜−40℃の範囲のものが好ましく、−150〜−40℃の範囲のものが特に好ましい。
上記熱可塑性エラストマーは、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、ビニル基、あるいは酸無水基、およびエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性エラストマーであることが、耐低温衝突性向上の点で好ましく、さらにこれらの中でも、エポキシ基あるいは酸無水物、酸、エステル等のカルボン酸に起因する官能基が、PAS樹脂との親和性が大きくなるため特に好ましい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、α−オレフィン類と上記官能基を有するビニル重合性化合物類との共重合で得ることができる。上記α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、等の炭素数2〜8のα−オレフィン類等があげられる。上記官能基を有するビニル重合性化合物類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のα、β―不飽和カルボン酸類およびそのアルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸類とそのモノおよびジエステル類、その酸無水物等のα、β―不飽和ジカルボン酸およびその誘導体、あるいはグリシジル(メタ)アクリレート等があげられる。
これらの中でも、その分子内にエポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、ビニル基、あるいは酸無水基、およびエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体あるいはエチレン−ブテン共重合体が好ましく用いられ、さらに好ましくはカルボキシル基を有するエチレン−プロピレン共重合体あるいはエチレン−ブテン共重合体である。
上記混合の際のPAS樹脂と熱可塑性エラストマーとの混合比は、PAS樹脂99〜50部に対し、熱可塑性エラストマー1〜50部であることが好ましく、PAS樹脂99〜50重量部に対し、熱可塑性エラストマー5〜50重量部であることが特に好ましい。熱可塑性エラストマーの配合量が上記の範囲であれば、燃料バリヤー性および耐低温衝突性がさらに向上する。
また、本発明に用いられる内層用材料には、上記PAS樹脂とともに、官能基を有する有機化合物、耐衝撃向上材、老化防止剤、難燃剤等を適宜に配合しても差し支えない。
上記官能基を有する有機化合物としては、特に限定はなく、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート(EGMA)、変性EGMA、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル三元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル三元共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート−アクリル酸三元共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、変性EEA、変性エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、変性EVA、変性ポリプロピレン(PP)、変性ポリエチレン(PE)、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、エポキシ化スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、酸変性SBS、酸変性SEBS、スチレン−イソプロペニルオキサゾリン共重合体、熱可塑性ウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ε−カプロラクタム、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸、ω−ラウロラクタム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記変性EGMAとしては、例えば、EGMAに、ポリスチレン(PS),ポリメチルメタクリレート(PMMA),アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS),PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたもの等があげられる。
また、変性EEAとしては、例えば、EEAに、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたものや、無水マレイン酸変性EEA、シラン変性EEA等があげられる。
また、変性エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体としては、例えば、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体に、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたもの等があげられる。
上記変性EVAとしては、例えば、EVAに、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたもの等があげられる。
また、変性PPとしては、例えば、PPに、PSまたはASをグラフトしたものや、無水マレイン酸変性PP等があげられる。
また、変性PEとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE),直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE),および高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれかに、PS,PMMA,AS,PMMAとブチルアクリレートとの共重合体等をグラフトしたものや、無水マレイン酸変性PE等があげられる。
上記耐衝撃向上材としては、特に限定はなく、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM),エチレン−プロピレン共重合体(EPM),水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(H−NBR)等のゴムや、EGMA,変性EGMA,SBS,酸変性SBS,SEBS,エポキシ化SEBS,酸変性SEBS,ポリブテン等の熱可塑性エラストマーや樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記耐衝撃向上材の配合割合は、上記内層用材料であるPAS樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜100部の範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜80部の範囲内である。
なお、本発明においては、前記内層1の内周面側に、PAS樹脂とポリアミド樹脂とのコンパウンド材層(接着層)を設け、その内側に最内層を形成しても差し支えない。上記最内層用材料としては、特に限定はなく、例えば、変性フッ素樹脂等があげられる。なお、上記変性フッ素樹脂は、例えば、カーボンブラック等の導電剤によって導電化処理を施したものであっても差し支えない。
つぎに、上記内層1の外周に形成される中間層2は、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜により構成されていれば特に限定はなく、例えば、図1に示すように、クロム系酸化膜からなる単層膜であっても、図2に示すように、クロム系酸化膜5とクロム系酸化膜5との間に、金属膜4を介在させてなる多層膜(クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5)であっても差し支えない。なお、クロム系酸化膜からなる単層膜に比べて、低透過性がさらに向上する点で、クロム系酸化膜5間に金属膜4を介在させてなる多層膜の方がより好ましい。
また、上記中間層2は、上記図2に示すような3層膜構造(クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5)に限定されるものではなく、中間層2の内層1および外層6に接する側が、いずれもクロム系酸化膜5であれば、その間に介在させる金属膜4の積層数は特に限定するものではなく、例えば、5層膜構造(クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5)、7層構造(クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5/金属膜4/クロム系酸化膜5)等の多層膜であっても差し支えない。
上記クロム系酸化膜の形成材料としては、例えば、酸化クロム、ステンレス(SUS)酸化物、ニッケル−クロム酸化物等があげられ、クロム以外の異種金属、もしくはクロム系酸化物以外の金属酸化物等を併用しても差し支えない。つぎに、上記クロム系酸化膜間に介在させる金属膜の形成材料としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、クロム、タンタル、コバルト、パラジウム、金、プラチナ、銀、炭素、シリコン、モリブデン、タングステン、セレン、錫、インジウム、亜鉛、バナジウム、ジルコン、イットリウムもしくはこれらの合金等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、クロム系酸化膜との接着性、および成膜速度の点から、アルミニウム、ニッケル−クロム合金、クロム、ステンレスが好ましい。
上記中間層2の成膜方法としては、例えば、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着等の物理蒸着法〔PVD(Physical Vapor Deposition) 法〕があげられる。これらのなかでも、密着性の点から、スパッタリングもしくはイオンプレーティングが好ましい。上記クロム系酸化膜は、上記物理蒸着法により、クロムもしくはクロム含有合金材料を成膜時に酸素と反応させるか、もしくはクロム含有酸化物材料を用いて成膜すること等によって形成することができる。
上記クロム系酸化膜を構成膜とする中間層2の厚みは、5nm〜10μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは10nm〜3μmの範囲内である。すなわち、膜厚が薄すぎると、均一に成膜することが困難となり、燃料低透過性や層間接着性が劣る傾向がみられ、逆に膜厚が厚すぎると、割れ易くなり、経済的にも高価になってしまうからである。この場合、上記中間層2がクロム系酸化膜の単層膜からなるときは、上記クロム系酸化膜の膜厚は、5nm〜10μmの範囲となり、任意の数の多層膜からなるときは、多層膜の各膜厚は、多層膜の膜厚を上記任意の数で除した値となる。また、上記クロム系酸化膜間に、金属膜を単層膜または多層膜として介在させる場合、その膜厚は、通常、10nm〜10μmの範囲内に設定される。
つぎに、上記結合層3の形成に用いられる結合層用材料としては、下記のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする材料が用いられる。
(A)ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6共重合体およびポリアミド66共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つのポリアミド樹脂。
上記ポリアミド樹脂(A)の具体例としては、ポリアミド6(PA6),ポリアミド66(PA66),ポリアミド6/66(PA6/66)共重合体,ポリアミド6/69(PA6/69)共重合体,ポリアミド6/610(PA6/610)共重合体,ポリアミド6/12(PA6/12)共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、入手の容易さおよび経済性の観点から、ポリアミド6(PA6),ポリアミド66(PA66),ポリアミド6/12(PA6/12)共重合体が好適に用いられ、外層6に用いる脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ価を規定しなくても良いという観点から、ポリアミド6/12(PA6/12)共重合体が最も好ましい。
また、上記変性ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を、不飽和カルボン酸等の変性剤にて変性したもの等があげられ、耐熱性等の点から、酸変性ポリプロピレン(PO)樹脂、酸変性高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂等が好ましい。
上記変性ポリオレフィン系樹脂中のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン,プロピレン,ブテン,イソプレン,ペンテン等のオレフィン類を、重合または共重合して得られる熱可塑性樹脂があげられる。上記ポリオレフィン系樹脂の具体的としては、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリスチレン,ポリアクリル酸エステル,ポリメタクリル酸エステル,ポリ1−ブテン,ポリ1−ペンテン,ポリメチルペンテン等の単独重合体、エチレン/α−オレフィン共重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方と,ビニルアルコールエステルとの共重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方と,不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルの少なくとも一方との共重合体、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方と,不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルの少なくとも一方との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体の水素化物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方と,不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルの少なくとも一方との共重合体、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方と,不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルの少なくとも一方との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体が好ましく、特に、エンジンルーム等の耐熱性が必要な場合には、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、エチレン/ポリプロピレン共重合体、もしくはこれら材料を含有したものが好適に用いられる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂を変性させる変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸およびその誘導体の少なくとも一方の化合物があげられる。上記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸およびこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸水素メチル、イタコン酸水素メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸や無水マレイン酸が好適である。
ここで、上記ポリオレフィン系樹脂中に、不飽和カルボン酸およびその誘導体の少なくとも一方の化合物を導入して変性ポリオレフィン系樹脂を作製する方法としては、特に限定はなく、例えば、主成分であるポリオレフィン系樹脂と,不飽和カルボン酸およびその誘導体の少なくとも一方の化合物とを共重合させる方法や、未変性ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸およびその誘導体の少なくとも一方の化合物をラジカル開始剤を用いてグラフト化処理する方法等があげられる。
つぎに、上記外層6の形成に用いられる外層用材料としては、脂肪族ポリアミド樹脂が用いられる。上記脂肪族ポリアミド樹脂としては、特に限定はないが、耐塩化カルシウム性、耐候性、耐衝撃性等の点から、ポリアミド11(PA11),ポリアミド12(PA12),ポリアミド610(PA610),ポリアミド612(PA612)等の脂肪族ポリアミド樹脂、もしくはこれらとポリエーテルとの共重合体(例えば、ポリアミド6−ポリエーテル共重合体、ポリアミド12−ポリエーテル共重合体等)があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記脂肪族ポリアミド樹脂は、結合層3の材料として、PA6/12共重合体以外の上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン樹脂の何れかを用いる場合は、接着性の点から、末端アミノ基濃度が40μ当量/g以上のものが好ましく、特に好ましくは50〜80μ当量/gの範囲内である。すなわち、上記脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が、40μ当量/g未満であると、結合層3に用いるPA6/12共重合体以外の上記ポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン樹脂との接着性が劣る傾向がみられるからである。なお、上記脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が80μ当量/gを超えると、上記脂肪族ポリアミド樹脂の分子量が小さくなるため、成形時溶融粘度面で加工性が悪くなる傾向がみられ、また、成形体の物性も悪くなる傾向がみられるため、上記脂肪族ポリアミド樹脂は、末端アミノ基濃度が40〜80μ当量/gの範囲内のものが好ましい。
なお、結合層3の材料として、PA6/PA12共重合体を用いる場合は、外層6の上記脂肪族ポリアミド樹脂との層間接着力が末端アミノ基濃度に因らず20N/cm以上となるため(結合層3のPA6/PA12共重合体のPA12成分が外層6との層間接着に寄与するため)、外層6の上記脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度を規定しなくても良い。
ここで、上記脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド系樹脂を入れ、あらかじめ調製しておいた溶媒〔フェノール/メタノール=9/1(体積比)〕40mlを加えた後、マグネットスターラーで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて、0.05Nの塩酸で滴定を行うことにより求めることができる。
なお、上記外層用材料には、上記脂肪族ポリアミド樹脂に加えて、カーボンブラック、プロセスオイル、老化防止剤、加工助剤、架橋促進剤、白色充填剤、反応性モノマー、発泡剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
ここで、前記図1に示すような、本発明の低透過樹脂ホースは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前述の通り、内層用材料,中間層用材料,結合層用材料および外層用材料をそれぞれ準備する。つぎに、上記内層用材料をホース状に押し出し成形して、管状の内層1を形成する。なお、このときマンドレルを用いても差し支えなく、また、前記内層1の内周面側に、PAS樹脂とポリアミド樹脂とのコンパウンド材層(接着層)を設けたり、その内側に最内層を形成しても差し支えない。ついで、この内層1の表面に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、スパッタリングにより中間層2を形成する。つぎに、この中間層2の表面に、上記結合層用材料および外層用材料をホース状に共押し出し成形して、結合層および外層を順次形成する。このようにして、内層1の外周面に中間層2が形成され、その外周面に結合層3が形成され、さらにその外周面に外層6が形成されてなる多層構造の低透過樹脂ホースを作製することができる。
なお、上記中間層2の成膜前に、上記内層1の表面に、接着下地処理として、紫外線照射処理,プラズマ処理,コロナ放電処理等のエッチング処理を施しても差し支えない。これらのなかでも、層間接着性が向上する点で、内層1の外周面をプラズマ処理し、そのプラズマ処理面上に上記中間層2を直接形成することが好ましい。
なお、上記プラズマ処理の条件は、反応圧力は1〜300Pa、ガス種類はAr,N2 ,O2 ,He,Ne,H2 、出力は0〜6kW、処理時間は1秒〜20分、発振出力は13.56MHz(法規制のため)±0.05%(メーカー仕様のため)が好ましい。
本発明の低透過樹脂ホースにおいて、ホース内径は2〜40mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2.5〜36mmの範囲内であり、ホース外径は3〜44mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは4〜40mmの範囲内である。また、上記内層1の厚みは、0.02〜1.0mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.05〜1.0mmの範囲内である。また、上記外層2の厚みは、通常、0.2〜1.5mmの範囲内であり、好ましくは0.3〜1.0mmの範囲内である。
なお、本発明の低透過樹脂ホースは、前記図1に示したような4層構造もしくは前記図2に示したような6層構造に限定されるものではなく、例えば、前述のように、内層1の内周面側に最内層を形成してもよく、また、外層6の外周面側に、他の層を形成しても差し支えない。また、場合によって、各層の層間に接着剤層を設けてもよい。
本発明の低透過樹脂ホースは、自動車や輸送機器(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)等に用いられる、ガソリン,アルコール混合ガソリン(ガソホール),アルコール,水素,軽油,ジメチルエーテル,ディーゼル,CNG(圧縮天然ガス),LPG(液化石油ガス)等の燃料輸送用ホース、もしくはエアコン・ラジエター等に用いられるフロン,代替フロン,水,二酸化炭素等の冷媒輸送用ホース等に好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔PO−1(結合層用材料)〕
無水マレイン酸変性HDPE(日本ポリオレフィン社製、アドテックスDH0200)
〔PO−2(結合層用材料)〕
無水マレイン酸変性PP(三井化学社製、アドマーQF551)
〔PA−1(結合層用材料)〕
PA6(宇部興産社製、UBEナイロン1022B)
〔PA−2(結合層用材料)〕
PA6/12共重合体(宇部興産社製、UBEナイロン7034B)
〔PA−3(外層用材料)〕
PA12(EMS社製、グリルアミドL25ANZ、末端アミノ基濃度:63μ当量/g)
〔PA−4(外層用材料)〕
PA12(宇部興産社製、ウベスタ3030JLX2、末端アミノ基濃度:31μ当量/g)
〔実施例1〕
PPS樹脂(東レ社製、トレリナA670X01)をホース状に押し出し成形して、管状の内層(厚み0.1mm)を形成した。つぎに、この内層の外周面に、自社製高周波プラズマ装置を用いて、反応圧力:67Pa、ガス種類:Ar、出力:200W、処理時間:20秒、発振出力:13.56MHzの条件で、プラズマ処理を行った。つぎに、このこのプラズマ処理面上に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、後記の表4に示す条件にて、スパッタリングによりNi−Cr酸化膜からなる中間層(厚み0.1μm)を形成した。つぎに、この中間層の表面に、結合層用材料であるPA6樹脂,および外層用材料であるポリアミド12樹脂をホース状に共押し出し成形して、結合層(厚み0.2mm)および外層を順次形成した。このようにして、内層の外周面に、Ni−Cr酸化膜からなる中間層,結合層,外層が順次形成されてなる構造の低透過樹脂ホース(内径33mm、外径36mm)を作製した。
〔実施例2〜7〕
後記の表1に示すように、中間層の形成材料,成膜条件(表4参照)もしくは結合層用材料,外層用材料を変更する以外は、実施例1に準じて、低透過樹脂ホース(内径33mm、外径36mm)を作製した。
〔実施例8〜14〕
後記の表2に示すように、中間層の形成材料,成膜条件(表4参照)もしくは結合層用材料,外層用材料を変更するとともに、内層の外周面にプラズマ処理を行わない以外は、実施例1に準じて、低透過樹脂ホース(内径33mm、外径36mm)を作製した。
〔比較例1〜4〕
後記の表3に示すように、中間層の形成材料,成膜条件(表4参照)もしくは外層用材料を変更するとともに、結合層を形成せず、しかも内層の外周面にプラズマ処理を行わない以外は、実施例1に準じて、低透過樹脂ホース(内径33mm、外径36mm)を作製した。
〔比較例5〕
中間層を形成しない以外は、実施例14に準じて、樹脂ホース(内径33mm、外径36mm)を作製した。
このようにして得られた実施例および比較例の低透過樹脂ホースを用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表3に併せて示した。
〔透過係数〕
CARB SHED法では、測定限界のため、極低透過なホースのガソホール透過量を測定することができない。そこで、実施例および比較例の各低透過樹脂ホースを長手方向に切り開いた後、直径56mmの円盤状に打ち抜き、各サンプルを作製した。そして、差圧式・蒸気透過率測定装置(GTRテック社製、GTR−30XATG)を用いて、上記サンプルにおける、トルエン/イソオクタン/エタノールを45:45:10(体積割合)の割合で混合した模擬アルコール添加ガソリンの透過係数を、40℃で2週間測定した。なお、表中の透過係数(mg・mm/cm2 /day)は、2週間後の数値を示す。
〔層間接着性〕
各低透過樹脂ホースを10mm幅で短冊状に切断して、サンプルを作製した。各サンプルの内層/外層間を剥離させ、各々引張試験機のチャックに挟み、引張速度50mm/分の条件で、180度剥離強度(N/cm)を測定した。また、剥離した場合には、その剥離箇所を表中に記載した。剥離強度が20N/cm以上であれば、層間接着性が良好であると考えられる。
Figure 0004544125
Figure 0004544125
Figure 0004544125
Figure 0004544125
上記結果から、全実施例品は、特定のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成するとともに、内層と結合層との間に、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜からなる中間層を形成しているため、ガソリン低透過性に著しく優れているとともに、接着剤を使用していないのに、層間接着性にも著しく優れていた。
これに対して、比較例1品は、中間層と外層との間に、特定のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成していないため、実施例品に比べて、ガソリン低透過性がやや劣っていたが、実用上は問題のないレベルであった。比較例2〜4品は、クロム系以外の酸化膜を用いているため、中間層と内層もしくは外層との層間接着性が劣るとともに、ガソリン低透過性も劣っていた。比較例5品は内層と結合層が層間接着しなかった。
本発明の低透過樹脂ホースは、自動車等に用いられる、ガソリン,アルコール混合ガソリン(ガソホール),アルコール,水素,軽油,ジメチルエーテル,ディーゼル,CNG(圧縮天然ガス),LPG(液化石油ガス)等の燃料輸送用ホース、もしくはエアコン・ラジエター等に用いられるフロン,代替フロン,水,二酸化炭素等の冷媒輸送用ホース等に好適に用いることができる。
本発明の低透過樹脂ホースの一例を示す模式図である。 本発明の低透過樹脂ホースの他の例を示す模式図である。
符号の説明
1 内層
2 中間層
3 結合層
6 外層

Claims (5)

  1. 管状の内層の外周に、中間層,結合層および外層が順次形成されてなる低透過樹脂ホースであって、上記内層がポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成されているとともに、上記中間層がクロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜により構成され、上記結合層が下記のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて形成され、かつ、上記外層が脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする外層用材料を用いて形成されていることを特徴とする低透過樹脂ホース。
    (A)ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6共重合体およびポリアミド66共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つのポリアミド樹脂。
  2. 内層の外周面がプラズマ処理され、そのプラズマ処理面上に上記中間層が直接形成されている請求項1記載の低透過樹脂ホース。
  3. 自動車燃料輸送用ホースまたは冷媒輸送用ホースである請求項1または2記載の低透過樹脂ホース。
  4. ポリアリーレンスルフィド樹脂を主成分とする内層用材料を用いて形成されてなる内層の外周に、スパッタリング,イオンプレーティングおよび真空蒸着からなる群から選ばれた少なくとも一つの物理蒸着法により、クロム系酸化膜を構成膜とする単層膜もしくは多層膜からなる中間層を形成した後、この中間層の表面に下記のポリアミド樹脂(A)もしくは変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする結合層用材料を用いて結合層を形成するとともに,この結合層の外周面に脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする外層用材料を用いて外層を形成することを特徴とする低透過樹脂ホースの製法。
    (A)ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6共重合体およびポリアミド66共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つのポリアミド樹脂。
  5. 上記内層の外周面をプラズマ処理する工程を有する請求項4記載の低透過樹脂ホースの製法。
JP2005302045A 2005-10-17 2005-10-17 低透過樹脂ホースおよびその製法 Expired - Fee Related JP4544125B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005302045A JP4544125B2 (ja) 2005-10-17 2005-10-17 低透過樹脂ホースおよびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005302045A JP4544125B2 (ja) 2005-10-17 2005-10-17 低透過樹脂ホースおよびその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007106082A JP2007106082A (ja) 2007-04-26
JP4544125B2 true JP4544125B2 (ja) 2010-09-15

Family

ID=38032319

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005302045A Expired - Fee Related JP4544125B2 (ja) 2005-10-17 2005-10-17 低透過樹脂ホースおよびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4544125B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170099945A (ko) * 2014-12-19 2017-09-01 솔베이 스페셜티 폴리머스 이태리 에스.피.에이. 다층 관형 물품을 만드는 방법
JP6532261B2 (ja) * 2015-03-27 2019-06-19 住友理工株式会社 燃料ホース

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02209225A (ja) * 1989-02-10 1990-08-20 Bridgestone Corp 低透過性ゴムホース
JPH10138372A (ja) * 1996-11-08 1998-05-26 Toray Ind Inc 多層燃料チューブ
JP2006266318A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Tokai Rubber Ind Ltd ホースおよびその製法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02209225A (ja) * 1989-02-10 1990-08-20 Bridgestone Corp 低透過性ゴムホース
JPH10138372A (ja) * 1996-11-08 1998-05-26 Toray Ind Inc 多層燃料チューブ
JP2006266318A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Tokai Rubber Ind Ltd ホースおよびその製法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007106082A (ja) 2007-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6900272B2 (en) Resin structure
US6989198B2 (en) Multi-layer structure
US20070104907A1 (en) Multilayer structure and multilayer shaped article
JP2003239819A (ja) ポリアミドとevohとをベースにしたガソリン輸送用導電性多層管
ES2380671T3 (es) Tubo multicapa basado en poliamida para transferir fluidos
US20090314375A1 (en) Polyamide-based antistatic multilayer tube for transferring fluids
WO2006107096A1 (ja) 積層構造体
JP4544129B2 (ja) 低透過樹脂ホースおよびその製法
JP5753897B2 (ja) 低透過性の可撓性燃料ホース
JP2007090563A (ja) 低透過ホースおよびその製法
JP2005506225A (ja) ポリアミドまたはポリエステルとアルミニウムとをベースにした流体輸送用多層管
JP2006266319A (ja) 低透過樹脂ホース
JP4556904B2 (ja) 樹脂製燃料タンク用接合部品
JP4544125B2 (ja) 低透過樹脂ホースおよびその製法
JP2008030386A (ja) 低透過樹脂ホース
JP2004239429A (ja) 自動車用燃料系ホース
JP4466168B2 (ja) 燃料チューブ
JP2006212966A (ja) 低透過樹脂ホースおよびその製法
JP2008055640A (ja) 低透過ホース
JP2005028877A (ja) ポリアミドをベースにした流体輸送用多層管
KR20050099962A (ko) 연료계 부품용 재료 및 그것을 이용한 연료계 부품
JP5218277B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物とゴム組成物の積層ホース
JP2003001770A (ja) 自動車部品用積層体
JP2009234217A (ja) 燃料・冷媒用低透過部材およびその製法
JP2007090562A (ja) 低透過ホースおよびその製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080123

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100603

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100608

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100621

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees