JP4543403B2 - 石膏ボード廃材の焼成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏ボード廃材の焼成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石膏ボードは、建築内装材として着実にその使用量を伸ばし、年間の使用量は、約500万tに達している。最近では、老朽化したビルや住宅の解体などにより石膏ボード廃材が大量に排出され、今後排出量は、さらに増大することが予想される。
【0003】
石膏ボード廃材は、石膏ボードおよびセメント原料への再利用が期待されているが、ボード表面をおおう質量比7〜10%の紙の混入が問題となる。
この紙の混入を防ぐ手段として、石膏ボード廃材の紙と石膏を機械的に分離し、石膏を回収する方法および石膏ボード廃材を焼成して石膏を回収する方法がある。
【0004】
前者の方法で回収した二水石膏は、セメント用の二水石膏として使用した場合、セメントの強度低下および凝結時間が遅延し、分離した紙の処分が問題となる。
後者は、通常の手段で焼成すると、石膏の分解によるSOxの発生と、紙の燃焼によるSOxの発生が問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
石膏ボード廃材から石膏を回収するために、石膏ボード廃材に含まれる紙を除去する手段として、焼成による方法が考えられるが、ロータリーキルンとグレードクーラの組合せでは、石膏微粉の存在のため温度コントロールが難しく、石膏の分解が起こらない温度まで加熱し、紙を完全燃焼させることは困難である。
したがって、本発明の目的は、石膏ボード廃材からリサイクル石膏を得る方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した本発明の目的は、セメントクリンカ焼成用のサスペンションプレヒータに石膏ボード廃材を給養し、下部から400〜850℃の熱風を吹き込むことにより、石膏ボード廃材の石膏と石膏に付着している紙とを同時に焼成し、焼成された石膏をロータリーキルンで冷却することにより達成される。
【0007】
したがって本発明は、セメントクリンカ焼成の場合、予熱設備であるサスペンションプレヒータで焼成を行い、焼成設備であるロータリーキルンにおいて石膏の冷却を行うという従来とは全く異なる焼成方法を確立したことにより完成したものである。
【0008】
【発明実施の形態】
石膏ボード廃材に含まれる紙を完全燃焼させるために必要な温度は、紙の形態,粒度および燃焼時間によって異なるが、400〜700℃の範囲であり、紙の耐火度が低い程,粒度の細かい程,燃焼時間が長い程,低温で完全燃焼させることができる。
【0009】
一方、加熱による石膏の分解は、約950℃から起こることが知られており、石膏ボード廃材を石膏の分解が起こらない温度まで加熱し、紙を完全に焼成するためには、石膏ボード廃材焼成時の温度を400〜850℃の範囲に維持する必要がある。
【0010】
本発明における石膏ボード廃材の焼成方法は、ロータリーキルン以外の熱風源において発生させた400〜850℃の熱風をサスペンションプレヒータ下部に導入し、石膏ボード廃材をサスペンションプレヒータに給養することにより、紙を完全に燃焼させると共に、石膏の分解によるSOxの発生を抑制し、かつロータリーキルンにおいて回収物の冷却を行うものである。
【0011】
本発明における熱風発生源としては、発電設備等の高温の排ガスおよび熱風炉等が使用でき、燃料としては、都市ガス,LNG,重油,灯油等が挙げられるが、S分の少ない燃料を使用する方が好ましい。
【0012】
また、S分の少ない燃料を手配できない場合、紙自体に含まれるS分に起因するSOxの発生によりSOx規制値を越えてしまう場合には、脱硫設備が必要となる。
しかしながら、紙自体に含まれるS分に起因するSOxの発生量は、サスペンションプレヒータへの石膏ボード廃材給養量により、調整可能であり、給養量が15t/hの場合、紙自体に含まれるS分に起因するSOxの発生量は、SO2換算で約1Nm3/hである。
【0013】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
石膏ボード廃材(厚さ9〜12mm、紙の割合は7wt%)を破砕機(ロール型クラッシャー)により破砕することにより、100mmアンダー破砕品とした後、破砕品を本発明による焼成方法(実施例1〜3,比較例1)およびロータリーキルンによる焼成方法(比較例2,3)において、15t/hの割合で焼成を行い、サスペンションプレヒータ排気風車出口の風管部分で排ガス中のSO2濃度を測定するとともに、実施例1〜3および比較例1では、ロータリーキルン出口で、比較例2,3ではグレードクーラ出口で、焼成品のサンプリングを行った。
【0014】
上記焼成品について、温度を測定すると共に、150μmアンダーとなるまで粉砕し、粉砕品については、粉末X線回折による石膏形態の確認を行うとともに、「JIS R 5202(セメントの化学分析方法)」の規定にしたがって、900℃における強熱減量の測定および「CAJS 1−01(セメント協会標準試験方法)」の規定にしたがって、遊離カルシウム量の測定を行った。
【0015】
表1に石膏ボード廃材焼成時のSO2発生量および焼成品の温度,強熱減量,遊離カルシウム量測定結果を示す。
なお、SO2発生量において、「測定値」とは、サスペンションプレヒータ排気風車出口の風管部分において実測した値であり、「燃料」とは、燃料として使用した重油中のS含有量(0.5%)と焼成時の燃料使用量および排ガス量から算出した燃料に起因する理論上のSO2発生量であり、「ボード」とは、「測定値」から「燃料」を差し引いた値、すなわち石膏ボード廃材の燃焼に起因すると考えられるSO2発生量である。
【0016】
【表1】
【0017】
実施例の焼成品の温度が、90℃以下であるのに対して、比較例では、100℃を超えており、この結果は、ロータリーキルンを使用した本発明の冷却方法の高い冷却効果を示している。
【0018】
実施例および比較例の焼成品を粉末X線回折で確認したところ、実施例1〜3および比較例1,3の石膏の形態は、全て無水石膏であり、比較例2については、その殆どが無水石膏であったが、極微量の半水石膏も含まれていた。
焼成品の粉末X線回折の結果より、上記表1における焼成品の強熱減量は、未燃焼の紙分の炭化に伴うものであると考えられ、強熱減量の値は、焼成品に含まれる不完全燃焼の紙の割合を知る目安になるものと考えられる。
【0019】
実施例1〜3および比較例1の焼成品強熱減量は、0.2%以下であり、目視観察においても不完全燃焼の紙は確認できず、紙の燃焼がほぼ完全に進んでいる。
しかし、比較例2,3の強熱減量は、0.8%以上であり、特に比較例2の強熱減量は、3%を超え、目視においても紙の残存が確認された。
この結果から、ロータリーキルンによる焼成では、紙の完全燃焼が困難であることが判る。
【0020】
焼成品の遊離カルシウム量は、石膏の分解によって生成された酸化カルシウム量を示しており、石膏ボード廃材焼成中の石膏の分解に起因するSOx発生量を知る目安となる。
実施例1〜3の焼成品の遊離カルシウム量は、0%であり、本発明による焼成方法および焼成温度では、石膏の分解がほとんど起こっていないことが判る。
【0021】
しかし、本発明の温度範囲を外れている比較例1およびロータリーキルンでの焼成(比較例2,3)では、石膏の分解が起こっており、特にロータリーキルンによる850℃の焼成(比較例3)では、石膏の分解による相当量のSOxの発生が考えられる。
【0022】
また、焼成中において、石膏ボード廃材の燃焼に起因すると考えられるSO2発生量(表1「ボード」)と焼成品の遊離カルシウム量測定結果とは、良く一致しており、比較例3の石膏ボード廃材の燃焼に起因するSO2発生量が、実施例1〜3の約50倍であることからも、ロータリーキルンによる850℃の焼成では、石膏の分解が相当進んでいることが判る。
【0023】
なお、石膏の分解は、約950℃から起こることが知られているが、比較例2,3のようにロータリーキルンとバーナーを使用した焼成方法では、石膏ボード廃材がバーナー付近を通過する際に、一時的に950℃以上の高温雰囲気にさらされるため、石膏の分解が起こり、SOxが発生するものと考えられる。
【0024】
上記表1から、本発明の石膏ボード廃材焼成方法は、紙の燃焼がほぼ完全に進んでいるにもかかわらず、焼成中に石膏の分解によるSOxの発生がほとんどなく、焼成品の冷却も良く行われていることが明らかである。
さらに、低温での石膏ボード廃材の焼成が可能でとなり、省エネルギー型の焼成方法であるといえる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上詳記したように、石膏ボード廃材中の紙を完全に燃焼させることが出来るため、石膏ボード廃材の大量処理とセメント原料への再利用が可能となり、廃棄物処理に量的質的に多大に貢献をする点、および石膏の分解に起因するSOxの発生を抑制することが出来るため、環境低負荷型の焼成方法である点など、本発明の効果は極めて大きい。
Claims (2)
- セメントクリンカ焼成用のサスペンションプレヒータに石膏ボード廃材を給養し、下部から400〜850℃の熱風を吹き込むことにより、石膏ボード廃材の石膏と石膏に付着している紙とを同時に焼成する方法。
- 請求項1で焼成された石膏をロータリーキルンで冷却することを特徴とする請求項1に記載の石膏ボード廃材焼成方法。
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2000
- 2000-09-12 JP JP2000276345A patent/JP4543403B2/ja not_active Expired - Lifetime
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