JP4542856B2 - ねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造 - Google Patents

ねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造 Download PDF

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本発明は、ねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造に関する。
この種のものの従来例としては、例えば、図12(a)に示すように、線材の中間部を複数回巻回することにより中間部に巻回部(90)を形成し、かつ線材の両端末が巻回部(90)から接線方向に延出するようにして、線材端末延出部(91)(92)を形成してなるねじりコイルばね(93)における上記巻回部(90)を、固定体(94)に突設した軸(95)に外嵌して枢支し、一方の線材端末延出部(91)を、固定体(94)に突設した突片(96)の上面に当接し、かつ他方の線材端末延出部(92)を、その回動範囲内において上下方向に移動可能として固定体(94)に装着した移動体(97)の上面に当接させて、ねじりコイルばね(93)における巻回部(90)のねじり戻り力により、移動体(97)を下向きに付勢するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
移動体(97)の下部には、例えばテンションローラ(図示略)を軸着し、そのテンションローラを、無端回走するようにした索条(図示略)等に圧接させることにより、索条のたるみを防止する装置として用いられる。
特開平6−137004号公報
しかし、上記のような従来のものにおいては、線材端末延出部(92)の当接部である移動体(97)の上端面は、図12(a)に示すような円弧状か、または水平の平板状に形成されていたため、その上端面と線材端末延出部(92)の当接点(P)が、図12(a)〜(c)に示すように、移動体(97)の位置によって絶えず変動し、それに伴って、当接点(P)から、ねじりコイルばね(93)における巻回部(90)と軸(95)との接点(Q)までの距離である実効腕長(L1)(L2)(L3)が変動し、均一な作動が得られないという問題がある。
線材端末延出部(92)の当接部である移動体(97)の上端面を水平の平板状としたときは、当接点(P)が、移動体(97)の移動途中で、移動体(97)の上端面の右端から左端、又はその逆に急激に変動し、作動が著しく不円滑となる。
また、上記のような従来のものにおいては、線材端末延出部(92)が1本の線材であるのに対して、それが当接する移動体(97)の上端面の前後方向(軸(95)の方向)の長さは、線材端末延出部(92)の線径より長い場合が多く、線材端末延出部(92)が、移動体(97)の上端面に沿って前後方向に遊動し、ねじりコイルばね(93)の付勢力が移動体(97)に偏って作用し、付勢力がアンバランスとなったり、移動体(97)の移動が不円滑となったりするおそれがある。
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、移動体における線材端末延出部との当接点が変動するのを防止することにより、ねじりコイルばねの付勢力が移動体に均一に、バランスよく、かつ円滑に作用するようにしたねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造を提供することを目的としている。
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) ねじりコイルばねにおける線材を巻回して形成した巻回部を固定体に枢支し、前記巻回部より両側方に延出する1対の線材端末延出部、その回動範囲内において移動可能として固定体における前記巻回部の両側方に装着した1対の移動体に当接し、前記巻回部のねじり戻り力により、前記両移動体一方向に付勢するようにしたねじりコイルばねによる移動体の付勢構造において、移動体を、索条に張力を付与するために前記索条に圧接されるテンションローラを枢支するローラホルダとし、 前記固定体における前記巻回部の両側方に、前記索条とほぼ直交する方向を向くガイド溝をそれぞれ設け、前記ローラホルダにおける1対の側片の外側面に設けた1対のボスを、前記ガイド溝に摺動自在に嵌合することにより、前記ローラホルダを回り止めして、ガイド溝に沿って摺動可能とし、前記ローラホルダにおける両側片の一端部同士を連結する連結片における前記線材端末延出部の当接部を、稜線が前記ねじりコイルばねにおける線材端末延出部と直交する方向を向く尖先山形の頂部とする。
(2) 上記(1)項において、移動体における線材端末延出部の当接部を、前記線材端末延出部の軸線方向から見て、中央部が凹入する溝形とする。
(3) 上記(1)または(2)項において、移動体における線材端末延出部の当接部の稜線が、前記線材端末延出部の軸線方向から見て、中央部が凹入するV溝状とする。
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ねじりコイルばねにおける両線材端末延出部の先端部が互いに同一平面内に位置するように、それらの基部を巻回部に対して折曲する。
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、ねじりコイルばねにおける両線材端末延出部の先端部が、巻回部の中央より巻回部の中心軸線と直交する方向を向く同一平面内に位置するように、それらの基部を巻回部に対して折曲する。
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a) 請求項1記載の発明によると、ローラホルダにおける線材端末延出部の当接部を、稜線がねじりコイルばねにおける線材端末延出部と直交する方向を向く尖先山形としたので、線材端末延出部は、常にその稜線に当接し、ローラホルダにおける当接部がほとんど変動することがないので、ねじりコイルばねの付勢力がローラホルダにほぼ均一に、安定して、円滑に作用することができる。
また、ねじりコイルばねの付勢力がローラホルダに均一に、バランスよく、かつ円滑に作用するようにしたテンションローラ用の付勢手段を提供することができる。
(b) 請求項2記載の発明によると、ねじりコイルばねの線材端末延出部は、常にローラホルダの当接部の中央に保持されるので、ねじりコイルばねの付勢力がローラホルダにバランスよく、円滑に作用することができる。
(c) 請求項3記載の発明によると、万一ねじりコイルばねの線材端末延出部がローラホルダの当接部の中央から側方に偏倚したとしても、ねじりコイルばねの付勢力により、線材端末延出部がローラホルダの当接部に向かって付勢されることにより、線材端末延出部は、V溝状の稜線に沿ってその中央に自動的に押動される、すなわち、自己求心作用を生じることができる。
(d) 請求項4記載の発明によると、ねじりコイルばねにおける両線材端末延出部の先端部が互いに同一平面内に位置するので、ローラホルダにねじれや偏荷重が作用することがなく、ねじりコイルばねの付勢力がローラホルダにバランスよく、円滑に作用することができる。
(e) 請求項5記載の発明によると、両線材端末延出部の先端部が、巻回部の中央より巻回部の中心軸線と直交する方向を向く同一平面内に位置するので、請求項4記載の発明の場合より、さらにバランスがよくなる。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を備えるスライドドアの開閉装置を装着した車両の左側面を示す斜視図である。
なお、車体の右側面におけるスライドドアに関しては、上記の構成と左右対称の同様の構成により開閉させるようにしてあるが、その図示および詳細な説明は省略する。
図1に示すように、車体(1)の側面パネル(2)の中間部に設けた開口(3)を開閉するスライドドア(4)は、側面パネル(2)における開口(3)の上縁に設けたアッパーレール(図示略)、同じく下縁に設けたロアレール(図示略)、および側面パネル(2)の後部中位部に設けた前後方向(図1の左方が前方である)を向くウエストレール(5)により案内され、かつ開閉装置(6)により、開口(3)を閉塞する図1に示す全閉位置と、側面パネル(2)の外側面より若干外側方に移動しつつ、側面パネル(2)に沿って後方へ移動した全開位置(図示略)との間を移動可能となっている。
図2は、開閉装置(6)の平面図、図3は、開閉装置(6)を車内側から見た側面図である。なお、図2および図3における右方向が前方、図2の上方が車外側、同じく図2の下方が車内側である。
図1〜図3に示すように、開閉装置(6)は、側面パネル(2)の車内側の面に固着した基板(7)に、左右方向を向く軸(8)をもって枢支した巻取ドラム(9)を、基板(7)に設けた正逆回転可能のモータ(10)により、減速機構(11)を介して、図3における時計方向である開方向、および図3における反時計方向である閉方向に回転させるようにしたドライブユニット(12)と、側面パネル(2)におけるウエストレール(5)の前後部に設けた1対のガイド部材(13)(14)と、スライドドア(4)の内面に一方の端末が止着され、そこから前方に延出して、前方のガイド部材(13)に平面視ほぼU字状に掛け回され、他方の端末部が巻取ドラム(9)の上部より反時計回りに巻き取られ、最終的に他方の端末が巻取ドラム(9)に止着されたワイヤまたはケーブル等からなる閉扉用の索条(15a)と、スライドドア(4)の内面に一方の端末が止着され、そこから後方に延出して、後方のガイド部材(14)に平面視ほぼU字状に掛け回され、他方の端末部が巻取ドラム(9)の上部より時計回りに巻き取られ、最終的に他方の端末が巻取ドラム(9)に止着された、索条(15a)と同様の開扉用の索条(15b)とを備えている。
索条(15a)(15b)は、連続する1本の索条とし、その中間部をスライドドア(4)に止着するか、端末部をスライドドア(4)に止着し、巻取ドラム(9)に対する索条の巻数を増やし、巻取ドラム(9)に対して索条がずれないようにして実施してもよい。
ドライブユニット(12)の基板(7)における巻取ドラム(9)の上方には、索条(15a)(15b)にテンションローラ(16)(17)を押圧させて、索条(15a)(15b)のたるみを防止するようにしたテンショナ(18)が設けられており、この中に、本発明のねじりコイルばねによる移動体の付勢構造の一実施形態が組み込まれている。
このテンショナ(18)の構成を詳細に説明する前に、開閉装置(6)における他の構成と、開閉装置(6)全体の作用について簡単に説明すると、ガイド部材(13)(14)は、パッキン(19)(20)を介して側面パネル(2)に装着されたプーリホルダ(21)(22)と、各プーリホルダ(21)(22)に上下方向を向く軸(23)(24)をもって枢着され、かつ索条(15a)(15b)がほぼ半周に亘って掛け回されたガイドプーリ(25)(26)とからなっている。
ドライブユニット(12)における基板(7)の周縁には、車内側を向く縁部(7a)が形成され、その縁部(7a)の複数箇所には、側面パネル(2)の車内側の面にねじ止めするための取付片(7b)が設けられている。なお、側面パネル(2)は、この例では、車外側のアウターパネル(図示略)と車外側のインナーパネル(図示略)との間に中空部を形成するようにした二重壁構造をなしている。
基板(7)の後端部における上下の取付片(7b)(7b)間には、若干後方に傾斜して車内側を向く変形可能部(7c)を介して、後方を向くブラケット取付片(7d)が連設されている。このブラケット取付片(7d)には、前後方向を向く正面視コ字状のブラケット(27)の前端上下部に形成された取付片(27a)(27a)が、止めねじ(28)(28)をもって固着されている。
ブラケット(27)の後端部には、後方のガイド部材(14)におけるプーリホルダ(22)が、ガイドプーリ(26)の軸(24)をもって枢着されている。
このガイド部材(14)におけるプーリホルダ(22)を、その索条(15b)の外側出口(22a)が、側面パネル(2)におけるアウターパネルに設けた開口(図示略)に望むようにし、かつプーリホルダ(22)がパッキン(20)を介してアウターパネルの車内側の面に圧接されるようにして、ブラケット(27)の後端上下部に形成された取付片(27b)(27b)を、アウターパネルの車内側の面に当接させて、ねじ止めすることにより、後方のガイド部材(14)を側面パネル(2)に簡単かつ確実に装着することができる。
また、このとき、側面パネル(2)におけるインナーパネル(図示略)に取付けられた基板(7)と、アウターパネルにおける開口との位置関係に若干のばらつきがあったとしても、基板(7)における変形可能部(7c)が変形することにより、その変形可能部(7c)から後方に延出するブラケット取付片(7d)およびブラケット(27)により形成される延出部(29)が上下方向および左右方向に若干傾き、上記のばらつきを吸収して、いずれの場合にも、後方のガイド部材(14)を側面パネル(2)における正規の位置に簡単かつ確実に装着することができる。
次に、開閉装置(6)の作用について説明する。
図1に示す閉扉状態において、図示を省略した車内側または車外側に設けた開扉操作スイッチを操作すると、モータ(10)が正転させられ、減速機構(11)を介して、巻取ドラム(9)が図3における時計方向である開方向に回転させられ、後方の索条(15b)が巻取ドラム(9)に巻き取られ、かつ前方の索条(15a)が巻取ドラム(9)から繰り出されて、両索条(15a)(15b)に止着されたスライドドア(4)が後方に向かって移動させられる。
スライドドア(4)が、予め定めた全開位置に達すると、図示および説明を省略した全開検出センサが作動し、モータ(10)の正転が停止させられ、スライドドア(4)は全開位置に保持される。
スライドドア(4)が、全開位置または全開位置から全閉位置までの間の適宜の中間位置に停止している状態において、図示を省略した車内側または車外側に設けた閉扉操作スイッチを操作すると、モータ(10)が逆転させられ、減速機構(11)を介して、巻取ドラム(9)が図3における反時計方向である閉方向に回転させられ、この巻取ドラム(9)の閉方向の回転により、前方の索条(15a)が巻取ドラム(9)に巻き取られ、かつ後方の索条(15b)が巻取ドラム(9)から繰り出されて、両索条(15a)(15b)に止着されたスライドドア(4)は前方に向かって移動させられる。
スライドドア(4)が、全閉位置に達すると、図示および説明を省略したドアラッチにより全閉位置に係止されるとともに、全閉検出センサが作動し、モータ(10)の逆転が停止させられ、スライドドア(4)は全閉位置に保持される。
次に、図3〜図11を参照して、本発明の一実施形態が組み込まれたテンショナ(18)について詳細に説明する。
図4は、テンショナの分解斜視図、図5は、開扉操作時のテンショナの状態を、テンショナカバーを外して示す側面図、図6は、閉扉操作時のテンショナの状態を、テンショナカバーを外して示す側面図、図7〜図10は、それぞれ図3におけるVII−VII、VIII−VIII、IX−IX、X−X線に沿う断面図、図11は、ローラホルダが移動したときの3態様を(a)〜(c)に示す作動説明図である。
図3〜図10、特に図4に明瞭に示すように、テンショナ(18)は、巻取ドラム(9)を枢着した基板(7)に、巻取ドラム(9)の上方に近接させて着脱可能に装着されたテンショナケース(30)を備えている。
テンショナケース(30)は、本発明における固定体をなすもので、巻取ドラム(9)の上方を覆うように前後方向に延び、かつ互いに対向するテンショナボディ(31)とテンショナカバー(32)とを備えている。
テンショナボディ(31)の中央部と前後の両側部とには、テンショナカバー(32)側を向くボス部(33)(34)(34)が設けられ、ボス部(33)(34)(34)の先端をテンショナカバー(32)の内面に当接させた状態で、前後のボス部(34)(34)とテンショナカバー(32)と基板(7)とを貫通するボルト(35)をもって、テンショナカバー(32)とテンショナボディ(31)と基板(7)とは、互いに締着されている(図3および図7参照)。
また、中央のボス部(33)の先端には、テンショナカバー(32)の中央部と、その外面に当接された、巻取ドラム(9)を覆うドラムカバー(36)の上部の取付片(36a)とが、ボルト(37)をもって共締めされている(図3および図8参照)。
図4に示すように、テンショナボディ(31)とテンショナカバー(32)との両側部には、巻取ドラム(9)より前後両方向に延出する緊張時の索条(15a)(15b)とほぼ直交する方向を向くガイド溝(38)(38)がそれぞれ設けられている。
テンショナボディ(31)側のガイド溝(38)は、テンショナボディ(31)の内面に、緊張時の索条(15a)(15b)とほぼ直交する方向を向き、かつ車内側に向かって突出する長円形リブ(39)を設けることにより、その内側に形成されている。
また、テンショナカバー(32)側のガイド溝(38)は、テンショナカバー(32)の両側部に、緊張時の索条(15a)(15b)とほぼ直交する方向を向く長孔を設け、かつその長孔の周縁に車内側に向かって突出する長円形リブ(39)を設けることにより形成されている。
テンショナボディ(31)における各ガイド溝(38)内の内側上部には、作業孔(40)が設けられている。この作業孔(40)は、両索条(15a)(15b)の端末をスライドドア(4)に止着する際に、後述するように各テンションローラ(16)(17)に、付勢手段であるねじりコイルばね(49)の付勢力が付与されていると、その止着作業が困難になるので、各テンションローラ(16)(17)を、それらを挿通する治具(図示略)をもって、ガイド溝(38)の上部に仮保持しておくためのものである。
テンショナボディ(31)の前後部の下縁には、テンショナカバー(32)側に向かって延出するとともに、巻取ドラム(9)より前後両方向に延出する索条(15a)(15b)を、最もたるんだ状態(付勢手段により、付勢力が付与された状態)で受支する底片(41)(41)が設けられている。
テンショナボディ(31)の内面には、各長円形リブ(39)の下端から底片(41)に至る縦リブ(42)を設け、図9に示すように、この縦リブ(42)と各テンションローラ(16)(17)との間隙を、索条(15a)(15b)の線径より小とすることにより、各テンションローラ(16)(17)とテンショナボディ(31)との間に、索条(15a)(15b)が進入するのを確実に防止するようにしてある。
テンショナボディ(31)とテンショナカバー(32)との互いに対向するガイド溝(38)(38)には、正面形がほぼ下向きコ字状をなすローラホルダ(43)の両側片(44)(44)の外側面に設けられた、突部である上下1対ずつのボス(45)(45)がほぼ上下方向に摺動自在に嵌合されている。ローラホルダ(43)は、本発明における移動体をなしている。
各ローラホルダ(43)における両側片(44)(44)の上端部同士を連結する連結片(46)の上面は、後述するねじりコイルばね(49)における線材端末延出部(49b)(49c)が当接するばね当接部をなし、稜線が各線材端末延出部(49b)(49c)と直交する方向を向く尖先山形としてある。このばね当接部である連結片(46)の上面の稜線部には、上縁が中央に向かって下向き傾斜する1対の三角形状のリブ(47)(47)が設けられ、稜線部は前後方向から見て、すなわち各線材端末延出部(49b)(49c)の軸線方向から見て、中央部が凹入するV溝状をなしている(図9参照)。
各ローラホルダ(43)内には、テンションローラ(16)(17)が、両側片(44)(44)における下方のボス(45)(45)を貫通する軸(48)をもって、回転自在に嵌合されている。
図4および図9に示すように、各底片(41)の巻取ドラム(9)側の端部を、巻取ドラム(9)の外周面に近接させるとともに、各ローラホルダ(43)がほぼ上下方向を向くガイド溝(38)(38)の下限位置に達したときの各テンションローラ(16)(17)の両端の鍔部(16a)(16a)(17a)(17a)(図4参照)の外周と底片(41)との間隙(d)を、索条(15a)(15b)の線径より小とすることにより、索条(15a)(15b)が異常にゆるんだ場合でも、テンションローラ(16)(17)から脱落しないようにしてある。
テンショナボディ(31)における中央のボス部(33)には、両テンションローラ(16)(17)を同時に付勢するねじりコイルばね(49)における線材を巻回して形成した巻回部(49a)が回転自在に外嵌されている。ねじりコイルばね(49)における巻回部(49a)より前後両側方に延出する線材端末延出部(49b)(49c)は、前後の両ローラホルダ(43)(43)における連結片(46)の上面中央に、いずれも上方より当接されている。
連結片(46)の上面は、上述したように、稜線が各線材端末延出部(49b)(49c)と直交する方向を向く尖先山形をなしているので、図11(a)〜(c)に示すように、線材端末延出部(49b)(49c)は、常にその山形の頂部に当接し、各ローラホルダ(43)におけるばね当接部がほとんど変動することがなく、ねじりコイルばね(49)の付勢力が移動体にほぼ均一に、安定して、円滑に作用することができる。
また、連結片(46)の上面である山形のばね当接部は、図9に示すように、その稜線が各線材端末延出部(49b)(49c)の軸線方向から見て、中央部が凹入するV溝状をなしているので、万一ねじりコイルばね(49)の線材端末延出部(49b)(49c)がばね当接部の中央から側方に偏倚したとしても、ねじりコイルばね(49)の付勢力により、線材端末延出部(49b)(49c)が下方に付勢されることにより、線材端末延出部(49b)(49c)は、V溝状の稜線に沿ってその中央に自動的に押動される、すなわち、自己求心作用を生じることができる。
図10に示すように、ねじりコイルばね(49)における両線材端末延出部(49b)(49c)の基部は、先端部が巻回部(49a)の中央より巻回部(49a)の中心軸線と直交する方向を向く同一平面内に位置するように、巻回部(49a)の外端部から漸次中央に寄るように折曲されている。
また、テンショナボディ(31)における中央のボス部(33)から前後のガイド溝(38)(38)までの距離をほぼ等しくするとともに、ねじりコイルばね(49)の両線材端末延出部(49b)(49c)における巻回部(49a)から両ローラホルダ(43)への当接部までの長さをほぼ同一としてある。
このような構成としたことにより、ねじりコイルばね(49)の付勢力は、両線材端末延出部(49b)(49c)からローラホルダ(43)を介して、両テンションローラ(16)(17)に安定して作用し、両テンションローラ(16)(17)をバランスよく下方に向けて付勢することができる。
図3〜図6、および図8に示すように、テンショナボディ(31)の内面における巻取ドラム(9)の直上には、巻取ドラム(9)の外周面に近接し、両索条(15a)(15b)の繰り出し開始部分を押さえる押え部材(50)が、一体的に形成されている。この押え部材(50)の下面は、側面視凸形の湾曲面をなしている。
押え部材(50)の先端面には、突起(51)が突設されており、これをドラムカバー(36)の上部の取付片(36a)に設けた係合孔(52)に嵌合することにより、押え部材(50)を安定して両持ち支持することができる。
巻取ドラム(9)とテンショナケース(30)との位置決めは、基板(7)に設けた孔(7e)に、巻取ドラム(9)の軸(8)を嵌合し(図8参照)、かつ基板(7)に設けた孔(7f)に、テンショナボディ(31)に設けた突起(53)を嵌合し(図7参照)、さらに、押え部材(50)の突起(51)を、ドラムカバー(36)の上部の取付片(36a)に設けた若干上下方向に長い長孔とした上記係合孔(52)に嵌合することにより果たされている。
なお、押え部材(50)は、テンショナボディ(31)とテンショナカバー(32)またはドラムカバー(36)との間に、左右方向を向く軸をもって枢着して支持してもよい。
テンショナ(18)を上記のような構成としたことにより、開扉操作時には、図5に示すように、巻取ドラム(9)の時計方向の回転により、開扉用の索条(15b)が緊張して、後部のテンションローラ(17)が、ねじりコイルばね(49)の付勢力に抗して持ち上げられ、逆に、巻取ドラム(9)から繰り出される閉扉用の索条(15a)はたるんで、前部のテンションローラ(16)は、ねじりコイルばね(49)の付勢力により、押し下げられる。
閉扉操作時には、図6に示すように、巻取ドラム(9)の反時計方向の回転により、閉扉用の索条(15a)が緊張して、前部のテンションローラ(16)が、ねじりコイルばね(49)の付勢力に抗して持ち上げられ、逆に、巻取ドラム(9)から繰り出される開扉用の索条(15b)はたるんで、後部のテンションローラ(17)は、ねじりコイルばね(49)の付勢力により、押し下げられる。
図5と図6とを比較するとわかるように、開扉操作時と閉扉操作時とにおいて、前後のテンションローラ(16)(17)の上下位置が交互に変わるものの、ねじりコイルばね(49)における両線材端末延出部(49b)(49c)の相互の角度はほとんど変わることがない。したがって、索条(15a)(15b)に対するテンションローラ(16)(17)の付勢力を、開扉操作時と閉扉操作時とにおいてほぼ均等に保つことができる。
以上から明らかなように、本実施形態においては、移動体であるローラホルダ(43)における線材端末延出部(49b)(49c)の当接部を、稜線が線材端末延出部(49b)(49c)と直交する方向を向く尖先山形としたので、線材端末延出部(49b)(49c)は、常にその稜線に当接し、その当接部がほとんど変動することがなく、ねじりコイルばねの付勢力がローラホルダ(43)にほぼ均一に、安定して、円滑に作用することができる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、幾多の変形した態様での実施が可能である。
例えば、図12に示す従来のものと同様に、線材端末延出部(49b)(49c)のいずれか一方を、固定体であるテンショナボディ(31)に突設した突片(図示略)等に当接させ、他方の線材端末延出部のみにより、1個の移動体であるローラホルダ(43)を付勢するようにしてもよい。
本発明は、上述したようなねじりコイルばね(49)により、テンションローラ(16)(17)を枢支するローラホルダ(43)を付勢する場合だけでなく、同様のねじりコイルばねにより、何らかの移動体を付勢するあらゆる場合に適用するすることができる。
本発明の一実施形態を備えるスライドドアの開閉装置を装着した車両の左側面を示す斜視図である。 同じく、開閉装置のみの平面図である。 同じく、開閉装置のみを車内側から見た側面図である。 同じく、テンショナの分解斜視図である。 同じく、開扉操作時のテンショナの状態を、テンショナカバーを外して示す側面図である。 同じく、閉扉操作時のテンショナの状態を、テンショナカバーを外して示す側面図である。 図3におけるVII−VII線に沿う部分拡大端面図である。 図3におけるVIII−VIII線に沿う部分拡大端面図である。 図3におけるIX−IX線に沿う部分拡大端面図である。 図3におけるX−X線に沿う部分拡大端面図である。 ローラホルダが移動したときの3態様を(a)〜(c)に示す作動説明図である。 従来のねじりコイルばねによる移動体の付勢構造において、移動体が移動したときの3態様を(a)〜(c)に示す作動説明図である。
(1)車体
(2)側面パネル
(3)開口
(4)スライドドア
(5)ウエストレール
(6)開閉装置
(7)基板
(7a)縁部
(7b)取付片
(7c)変形可能部
(7d)ブラケット取付片
(7e)(7f)孔
(8)軸
(9)巻取ドラム
(10)モータ
(11)減速機構
(12)ドライブユニット
(13)(14)ガイド部材
(15a)(15b)索条
(16)(17)テンションローラ
(16a)(17a)鍔部
(18)テンショナ
(19)(20)パッキン
(21)(22)プーリホルダ
(22a)外側出口
(23)(24)軸
(25)(26)ガイドプーリ
(27)ブラケット
(27a)(27b)取付片
(28)止めねじ
(29)延出部
(30)テンショナケース(固定体)
(31)テンショナボディ
(32)テンショナカバー
(33)(34)ボス部
(35)ボルト
(36)ドラムカバー
(36a)取付片
(37)ボルト
(38)ガイド溝
(39)長円形リブ
(40)作業孔
(41)底片
(42)縦リブ
(43)ローラホルダ(移動体)
(44)側片
(45)ボス
(46)連結片
(47)リブ
(48)軸
(49)ねじりコイルばね
(49a)巻回部
(49b)(49c)線材端末延出部
(50)押え部材
(51)突起
(52)係合孔
(53)突起

Claims (5)

  1. ねじりコイルばねにおける線材を巻回して形成した巻回部を固定体に枢支し、前記巻回部より両側方に延出する1対の線材端末延出部、その回動範囲内において移動可能として固定体における前記巻回部の両側方に装着した1対の移動体に当接し、前記巻回部のねじり戻り力により、前記両移動体一方向に付勢するようにしたねじりコイルばねによる移動体の付勢構造において、
    移動体を、索条に張力を付与するために前記索条に圧接されるテンションローラを枢支するローラホルダとし、 前記固定体における前記巻回部の両側方に、前記索条とほぼ直交する方向を向くガイド溝をそれぞれ設け、前記ローラホルダにおける1対の側片の外側面に設けた1対のボスを、前記ガイド溝に摺動自在に嵌合することにより、前記ローラホルダを回り止めして、ガイド溝に沿って摺動可能とし、前記ローラホルダにおける両側片の一端部同士を連結する連結片における前記線材端末延出部の当接部を、稜線が前記ねじりコイルばねにおける線材端末延出部と直交する方向を向く尖先山形の頂部としたことを特徴とするねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造。
  2. 移動体における線材端末延出部の当接部を、前記線材端末延出部の軸線方向から見て、中央部が凹入する溝形とした請求項1記載のねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造。
  3. 移動体における線材端末延出部の当接部の稜線が、前記線材端末延出部の軸線方向から見て、中央部が凹入するV溝状とした請求項1または2記載のねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造。
  4. ねじりコイルばねにおける両線材端末延出部の先端部が互いに同一平面内に位置するように、それらの基部を巻回部に対して折曲した請求項1〜3のいずれかに記載のねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造。
  5. ねじりコイルばねにおける両線材端末延出部の先端部が、巻回部の中央より巻回部の中心軸線と直交する方向を向く同一平面内に位置するように、それらの基部を巻回部に対して折曲した請求項1〜4のいずれかに記載のねじりコイルばねによるローラホルダの付勢構造。
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