JP4540145B2 - ポリウレタン塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装後の降雨に対する塗膜の耐水もどり性に優れ、作業性、耐候性の良好なポリウレタン塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、建築物内外装において、各種の塗装により躯体の保護と美観の向上を図ることが頻繁に行われる状況である。このような塗装の際に、被塗面である建築物表面は、モルタルや建材等各種のものが使用されているが、硬化後に塗膜の剥離や膨れを生じる場合があった。また、塗装時においては環境の変化が各種の影響を与える場合もある。すなわち、外装では塗装後の比較的初期に降雨があった場合には、塗膜が水もどりしたり、最悪の場合には流出してしまうことがあった。このような傾向は、合成樹脂エマルションや水溶性樹脂を含有する水系塗料の場合に顕著であり、これが溶剤系塗料に比較して、溶剤の臭気や環境への影響が低いにも関わらず、依然として水系塗料へと完全に移行することができない原因の一つとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、ポリウレタン系やエポキシ系の反応硬化型の樹脂系において、水系で使用可能な自己乳化型のポリイソシアネートやポリアミドを利用した反応硬化型の樹脂組成物が検討された。これらは、反応硬化型の為、形成される塗膜の耐候性は比較的良好であったが、硬化剤を自己乳化型にするために配合する乳化剤や、親水性官能基の導入によって、降雨時には依然として水もどりを生じ、耐水性に劣る傾向は払拭されていなかった。
【0004】
そこで本発明の解決しようとする課題は、水系でありながら、塗装後、降雨にあっても塗膜が水もどりし難く、耐水性に優れる反応硬化型の塗料用樹脂組成物を得ることである。尚、本発明における塗膜の水もどりとは、通常の乾燥条件において、塗装後約1時間程度経過以降における、降雨等の水接触による塗膜の再溶解をいうものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明者らは、特定の合成樹脂エマルションと特定構造のポリイソシアネートを混合することによって、水系でありながら、塗装後の降雨によっても水もどりを生じない塗膜を形成するポリウレタン塗料組成物を得られることを見出した。
【0006】
すなわち、
1.水酸基含有モノマーおよび/または酸モノマーを共重合モノマーとして含有し、ゲル分率が70%以上の塗膜を形成する合成樹脂エマルションを含有する主剤と、脂肪族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートと、炭素数6〜9の脂肪族モノアルコールをウレタン化反応させると共に、イソシアヌレート化反応させて得られる、アロファネート構造とイソシアヌレート構造を有し、NCO含有率10〜30%のポリイソシアネートを含有する硬化剤からなり、その粘度が0.5Pa・s以上であることを特徴とするポリウレタン塗料組成物。
2.ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネートを混合し、脂肪族モノアルコールとして、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノールから選ばれる1種以上を使用して、ウレタン化反応を完結させた後に、イソシアヌレート触媒を添加することにより、イソシアヌレート化反応させて得られる、アロファネート構造とイソシアヌレート構造を有し、NCO含有率10〜30%のポリイソシアネートであり、合成樹脂エマルションを固形分換算で100重量部、ポリイソシアネートを5〜250重量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン塗料組成物。
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における、水酸基含有モノマーおよび/または酸モノマーを共重合モノマーとして含有し、ゲル分率が70%以上の塗膜を形成する合成樹脂エマルション(以下、「特定合成樹脂エマルション」という。)とは、水酸基含有モノマーおよび/または酸モノマーと、重合性不飽和二重結合を有するその他のモノマーを共重合モノマーとして乳化重合を行い得られるもの、または前記のモノマーを溶液重合した樹脂を、水系分散媒に乳化剤を使用して分散したものの何れでもよく、さらに粉末型のエマルションでもよい。但し、粉末型の場合は、使用時に水の添加が必須となる。
【0008】
これらの特定合成樹脂エマルションの種類としては、例えば、アクリル酸エステル系、アクリル−スチレン共重合体系、酢酸ビニル−アクリル共重合体系等のアクリル樹脂系エマルション、アクリルシリコン樹脂系エマルション等があげられる。また、水酸基含有モノマーおよび/または酸モノマーを共重合している限り、ウレタン系、エポキシ系の合成樹脂エマルションを用いることもできる。
【0009】
▲1▼アクリル樹脂系エマルションについて
アクリル樹脂系エマルションとしては、アクリル酸系単量体、メタクリル酸系単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合して得られるものが使用できる。
【0010】
アクリル系単量体は、特に限定されないが、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、Nメチロールアクリルアミドなどの水酸基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系単量体;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体等を例示できる。
【0011】
アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなどの塩素含有単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどの水酸基含有アルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテルジエチレングリコールモノアリルエーテルなどのアルキレングリコールモノアリルエーテル;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテルなどのアリルエーテル等を例示できる。
本発明においては、特に上記のモノマー中、酸モノマーおよび/または水酸基含有モノマーを共重合させる必要がある。
【0012】
▲2▼アクリルシリコン樹脂系エマルションについて
アクリルシリコン樹脂系エマルションとしては、珪素含有アクリル系単量体、および珪素含有アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0013】
珪素含有アクリル系単量体としては、特に限定されないが、たとえば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの加水分解性シリル基含有ビニル系単量体等を例示できる。
【0014】
珪素含有アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、たとえば、前述のアクリル樹脂系エマルションで使用される単量体等を、特に限定されず使用できる。また、水酸基含有モノマーおよび/または酸モノマーを共重合させる必要がある点も同様である。
尚、合成樹脂エマルションとして、アクリルシリコン樹脂系エマルションを用いた場合は、耐候性、耐黄変性、耐久性、耐薬品性、耐汚染性などの物性に優れるためより望ましい。
【0015】
本発明の特定合成樹脂エマルションは、以上の合成樹脂エマルションのうちで、形成される被膜のゲル分率が70%以上となることが必要である。ゲル分率とは、離型紙に特定合成樹脂エマルションを0.25mmの膜厚にて塗付し、20℃で24時間乾燥して形成させた塗膜を剥離し、トルエンに24時間浸漬した後、次式にて算出されるものである。
ゲル分率(%)=(浸漬後の塗膜重量/浸漬前の塗膜重量)×100
ゲル分率が70%を下回る合成樹脂を使用した場合には、本発明のポリウレタン塗料組成物により形成される塗膜の、耐候性を始めとする塗膜物性が充分に発揮されないことになる。
【0016】
本発明のアロファネート構造とイソシアヌレート構造を有し、NCO含有率10〜30%のポリイソシアネート(以下、「特定ポリイソシアネート」という。)は、脂肪族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートと、炭素数6〜9の脂肪族モノアルコールをウレタン化反応させると共に、イソシアヌレート化反応させて得られる、イソシアヌレート構造のポリイソシアネートとアロハネート構造のポリイソシアネートの混合物であり、NCO含有率が10〜30%のものである。NCO含有率が10%より少ないと、相対的に分子量が高くなり、塗料中での分散安定性が低下する。逆にNCO含有率が30%を超えると、相対的に分子量が低くなり、架橋反応が激しすぎるため、炭酸ガスによる発泡で形成される被膜が非常に凹凸となったり、硬すぎてクラックを生じることになる。
【0017】
このような特定ポリイソシアネートの製造方法は、特開平4−306218号および特開平8−198928号に記載されているように、例えば、脂肪族ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネートを混合し、脂肪族モノアルコールとして、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール等を使用して、ウレタン化反応を完結させた後に、イソシアヌレート触媒を添加することにより、アロハネート構造のポリイソシアネートとイソシアヌレート構造のポリイソシアネートの両方を生成させることができる。尚、前述の特開平4−306218号および特開平8−198928号に記載されているこれらのポリイソシアネートは、非極性有機溶剤への溶解性を向上させることを目的とするものであるが、本発明においては、これらのポリイソシアネートを水系の合成樹脂エマルションを含有する主剤に混合することが特徴である。
【0018】
本発明では、前述の特定合成樹脂エマルションを含有する主剤と、特定ポリイソシアネートを含有する硬化剤を混合するものであるが、混合時にその粘度が0.5Pa・s以上となるように調整しなければならない。これは、0.5Pa・sを下回る場合に両者を混合すると、ポリイソシアネートの沈降や分離を生じ、このようなポリウレタン塗料組成物から形成される塗膜は、各種塗膜物性が低下するためである。
【0019】
粘度の調整は、主剤側、硬化剤側何れにおいて行っても良い。粘度の調整方法は特に限定するものではないが、増粘剤を配合したり、顔料容積濃度を上げる方法があげられる。但し、増粘剤の多量配合や顔料容積濃度を上げすぎることは、かえって各種の塗膜物性を低下させるうえ、本発明における塗装後初期の塗膜耐水性の効果が充分発揮できなくなるため、塗膜物性とのバランスを考慮して調整する必要がある。
【0020】
本発明の主剤と、硬化剤との混合比率は、特に限定されるものではなく、塗膜が充分な物性を発揮するように適宜調整すればよいが、主剤中の合成樹脂樹脂エマルションの固形分100重量部に対して、硬化剤中のポリイソシアネートを5〜250重量部程度に配合することで、最適な塗膜物性を得ることができる。
【0021】
本発明のポリウレタン塗料組成物は、塗膜を形成しようとする際に、主剤と硬化剤を混合して使用するものである。この際に一般的に塗料に配合する顔料、充填材等、すなわち体質顔料、着色顔料、(着色)骨材を混合して塗料化することが可能である。
【0022】
このような体質顔料としては、重質炭酸カルシウム、寒水石、カオリン、けい藻土、ホワイトカーボン、タルク、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪砂、ウォラストナイト、マイカ等があげられる。
【0023】
着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛、べんがら、黄色酸化鉄、オーカー、クロムグリーン、群青等の無機顔料、β−ナフトール系、ナフトールAS系、ピラゾロン系、ベンツイミダゾロン系等の不溶性アゾ顔料、パーマネントレッド、レーキレッド等の溶性アゾ顔料、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系等の縮合多環顔料、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー等のモノアゾ系顔料、パーマネントイエロー等のジスアゾ系顔料、イソインドリノンイエロー等の縮合アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系イエロー顔料、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット等の有機顔料があげられる。
【0024】
(着色)骨材としては、珪砂、砕石、ガラスビーズ等の粒状物の表面に、耐熱性の高い顔料を添加した珪酸ソーダ系のバインダーを高温で焼き付ける方法、アミノアルキッド樹脂塗料等による焼付コーティングを施したもの、着色ラッカーによりコーティングを施し、焼付工程を省略したもの、また、耐候性を考慮した場合には、アルコキシシリル基を官能基として含み、主鎖がアクリルであるシロキサン架橋型反応性オリゴマーと、顔料、硬化剤からなる着色材によって着色コーティングしたもの、また、顔料と共に焼成したセラミックスの粉砕物、陶磁器タイルの粉砕物等適宜使用可能である。また、御影石、大理石、石灰岩等の粉砕物の他、珪藻土、石英粉、溶融シリカ粒、ガラスカレット、ガラスビース等を使用することも可能である。
【0025】
その他、本発明においては、一般に塗料用添加剤として用いられる可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤等を、本発明の効果を損ねない程度で、適宜配合することができる。
【0026】
本発明のポリウレタン塗料組成物は、本来は溶剤系で使用するポリイソシアネートのうち特定構造を有するものを使用することによって、水系エマルションへの分散が可能となり、塗膜形成途上において、エマルション粒子の融着が未だ充分でない時点においても、分散したポリイソシアネートのウレタン結合により、降雨に際しても水もどりを生じない状態を形成する。その後、エマルション粒子の融着が進行するとウレタン結合とあいまって、強靭な塗膜を形成するものである。特に、水系エマルションを含有する主剤への、ポリイソシアネートを含有する硬化剤の分散状態は、本発明において重要な部分であり、その作用機構は明確に判明していないが、アロファネート構造の介在とエマルション中の乳化剤との相互作用によって、水系においても、ポリイソシアネートが回りの水と極端に反応を生じることなく分散しているものと思われる。
【0027】
本発明のポリウレタン塗料組成物は、前述のような一般的に塗料に使用する原料を配合して塗料化し、被塗物に塗装を施すことができる。この場合の塗装方法としては、吹付け、刷毛、ローラー、鏝、フローコーター、ロールコーター、スピンコーター等の各種のものが使用できる。また、被塗物としては、道路、舗道、建築物・土木構築物の内外面、床、天井等の部位、金属、モルタル、コンクリート、木材の表面等のあらゆる表面が該当する。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
表1、表2、表3に示した原料を使用して、表4に示した配合にて、硬化剤以外を混合して主剤を製造し、以下の試験を行った。
【0029】
【表1】
Figure 0004540145
【0030】
【表2】
Figure 0004540145
【0031】
【表3】
Figure 0004540145
【0032】
【表4】
Figure 0004540145
【0033】
*主剤、硬化剤混合時分散安定性試験*
作製した主剤に対し、各硬化剤を表4の配合にて添加し、5分間ディスパーマットにて攪拌を行う。攪拌終了後、試験管に塗料を50g入れ、静置させた後の硬化剤沈降の有無を確認した。沈降が見られなかったものを○、沈降が見られたものを×として評価した。結果を表5に示した。
【0034】
*耐水性試験*
先の試験において製造した各塗料組成物を、アプリケーターにて1.0mm厚で塗付し、5℃にて6時間乾燥養生後、塗膜表面に水をスポイドにて滴下し、水もどりの有無を確認した。水もどりが生じなかったものを○、水もどりが生じたものを×として評価した。結果を表5に示した。
【0035】
*耐溶剤性試験*
先の試験において製造した各塗料組成物を、アプリケーターにて0.25mm厚で塗付し、3日間室温にて乾燥養生後、キシレンを含ませたウエスで塗膜表面を一定方向に往復で強く擦り、塗膜が溶解して光沢低下を起こした時点での、擦った往復回数を測定した。この時、ブランクとして硬化剤を配合しない主剤のみの場合も測定した。結果を表5に示した。
【0036】
【表5】
Figure 0004540145
【0037】
(実施例1〜実施例3)
主剤と硬化剤を混合した際の分散安定性が良好であり、耐水性試験においても耐水もどり性に優れることがわかった。また、耐溶剤性試験により、硬化剤を含有しない主剤のみの塗膜では、合成樹脂エマルションでは、擦り回数が非常に少ない場合であっても、硬化剤と混合して形成した塗膜においては、回数の伸びが大きく向上し、塗膜の耐久性が良好となることがわかった。
【0038】
(比較例1)
合成樹脂エマルションとしてゲル分率が0%のものを使用したため、塗膜の耐久性を示す耐溶剤性試験において、耐久性の向上効果が得られなかった。
【0039】
(比較例2)
ポリイソシアネートとして、従来型の疎水性イソシアヌレートタイプのものを使用したため、主剤と硬化剤を混合した際の分散安定性が悪く、塗料組成物中にて硬化剤の分離沈降を生じた。耐水もどり性については、疎水性により良好な結果となったが、本発明のような合成樹脂エマルションとの架橋反応が局部的にしか形成されていないため、塗膜の耐久性を示す耐溶剤性試験においては、擦り回数の向上は見られなかった。
【0040】
(比較例3)
ポリイソシアネートとして、従来型の疎水性ビウレットタイプのものを使用した結果、比較例2と同様に、主剤と硬化剤の混合時の分散安定性が悪く、塗膜の耐久性向上の効果も得られなかった。
【0041】
(比較例4)
ポリイソシアネートとして、自己乳化型のものを使用した結果、主剤と硬化剤の混合時分散安定性は非常に良好であった。しかしながら、耐水性試験においては、自己乳化型ポリイソシアネートの親水性基部分に起因して、水もどりを生じてしまった。その結果、形成される塗膜の耐久性を示す耐溶剤性試験においても充分な向上効果が得られなかった。
【0042】
(比較例5)
ポリイソシアネートとして、NCO含有量が本発明で規定する範囲より低いものを使用したため、主剤と硬化剤の混合時に、ポリイソシアネートの分子量が高いことに起因して分離沈降してしまった。耐水もどり性については、疎水性により良好な結果となったが、本発明のような合成樹脂エマルションとの架橋反応が局部的にしか形成されていないため、塗膜の耐久性を示す耐溶剤性試験においては、擦り回数の向上は見られなかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、水系のポリウレタン塗料組成物でありながら、従来の合成樹脂エマルションや水溶性樹脂を含有する水系塗料、もしくは自己乳化型ポリイソシアネートを使用した場合のような、塗装後、降雨にあっても塗膜の水もどりや流出が生じ難い。また、合成樹脂エマルション粒子と硬化剤との間に、架橋反応が生じるため、形成される塗膜が耐久性にすぐれたものになる。従って溶剤系に比較して環境汚染を生じ難く、降雨にさらされたり湿気の多い部位においても、良好に塗膜を形成することが可能となる効果を有する。

Claims (2)

  1. 水酸基含有モノマーおよび/または酸モノマーを共重合モノマーとして含有し、ゲル分率が70%以上の塗膜を形成する合成樹脂エマルションを含有する主剤と、脂肪族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートと、炭素数6〜9の脂肪族モノアルコールをウレタン化反応させると共に、イソシアヌレート化反応させて得られる、アロファネート構造とイソシアヌレート構造を有し、NCO含有率10〜30%のポリイソシアネートを含有する硬化剤からなり、その粘度が0.5Pa・s以上であることを特徴とするポリウレタン塗料組成物。
  2. ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネートを混合し、脂肪族モノアルコールとして、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノールから選ばれる1種以上を使用して、ウレタン化反応を完結させた後に、イソシアヌレート触媒を添加することにより、イソシアヌレート化反応させて得られる、アロファネート構造とイソシアヌレート構造を有し、NCO含有率10〜30%のポリイソシアネートであり、合成樹脂エマルションを固形分換算で100重量部、ポリイソシアネートを5〜250重量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン塗料組成物。
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