JP4540077B2 - 蓋付き容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、外周面に回すときの滑り止めの突起が配列された蓋付き容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の容器は、一般的に、身と蓋とのうちの一方に雄ねじを、他方に雌ねじを形成したもので、開け閉めする場合にいずれも蓋を回す必要がある。これを両ねじ形式の蓋付き容器と称することにする。
【0003】
両ねじ形式に対して、蓋の密閉作業を簡単にする目的で、身と蓋とのいずれか一方にのみ突条のねじを形成し、また、いずれか一方を軟質プラスチックで形成した片ねじ形式の蓋付き容器が開発されている。
【0004】
この片ねじ形式であると、蓋を閉めるときに、単にそれを上から押圧すると、ねじを無ねじ面が越えて閉止状態が得られるので、螺じ込み作業が不要であるが、閉止状態ではねじが無ねじ面にある程度食い込んでいるので、開くには回す操作が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の蓋付き容器のうち、両ねじ形式であると、蓋を閉め回す操作には余り力を要しないが、閉めた状態において、両ねじの結合力が強くなっていたり、容器内圧が低くなっている等が原因して、蓋を容易に回し開けることができないときがある。また、片ねじ形式の場合には、閉じるときには回す操作を要しないが、開けるために回すときには、ねじの食い込みが強いことが原因して、回し難く手が滑りやすい。
【0006】
逆に食い込みがあまいと、いずれは緩みがさらに酷くなり水密性が欠けることになり、また、分別のない幼児等にも開けられる危険性がある。そこで、食い込みは安全性から必要以上に強くなされる。
【0007】
従来の滑り止めの突起は、一般的に密に配列された縦長の突条であって、左右に同じ傾斜の断面形状であるため、突起と突起との間に、手の皮膚の食い込みが浅く、このことから前記の如く開くときの滑り止めの効果が余り期待できなかった。この点に関して、消費者の手に届くまで開けられないように、蓋の下端部にロック兼用の水密帯を千切り取り可能に設けておくことができるが、この水密帯が除去された縁に滑り止めの突起の下端縁が鳩毛状に突出するため、殊に幼児がそこに手を触れて怪我をする危険があり、特に、滑り止めし難いように突起が鋭角にしてあるとその危険性が高かった。
【0008】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、蓋の開閉操作が容易となるばかりでなく、ロック兼用の水密帯を千切り取った後でも、滑り止めの突起の下端先鋭角に手が触れることがなく安全であり、また、水密性が良好となる蓋付き容器を提供することを目的とした。
【0009】
【発明が解決しょうとする手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、身の口部外周面に、細かな放射分割位置からそれぞれ始まる急傾斜の案内山が段々に多数配列されてなる雄ねじを形成し、軟質または半硬質の蓋には、上部外周面に縦長の滑り止め突起を配列し、下部にロック兼用の水密帯を千切り取り可能に設けた蓋付き容器において、滑り止め突起を、ねじの螺入回し方向へ逃げ角の長い暖斜面と、ねじの螺脱回し方向へ迎え角の短い急斜面とからなる鋭角片寄り山形に形成し、この滑り止め突起の配列位置の下に、滑り止め突起の千切り取りによっても存在する残留保護縁を、突起とほぼ同じ高さにおいて回し帯状に形成し、蓋の上部内周面に、粗い放射分割位置から始まる数少ない係合線条を、雄ねじの案内山に係るように急傾斜に形成し、その係合線条を上からは案内山を越えるように細く形成したこと特徴とする蓋付き容器を提供するものである。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の蓋付き容器によれば、滑り止めの突起の形状から蓋を容易に開閉することができ、殊に、閉止状態においてねじの結合が強い固着状態にあっても、突起により滑り止めの作用が働くために、無理なく容易に蓋を開けることができ、また、水密帯により汁の洩れが防止されるため、汁物食品の包装に適し、また、消費者に渡るまでロック状態となるので、それまでの不正な開封を防止することができる。さらに、消費者において、水密帯を切り取っても、残留保護縁が滑り止め突起の下に存在するため、突起の先鋭な下端で手傷を負う危険がなく、殊に小さな子供の居る家庭において、安心して使用でき、しかも、蓋の下端がギザギザではなくきれいに切り取られ体裁良く使用し得る。また、蓋の内周面に係合線条を突設したことから、回さない限り開けられないので、分別のない小さな子供が不用意に開ける危険が防止され、また、押し込むワンタッチ閉蓋の際にも、習慣(くせ)で回す最後のわずかなねじ込み操作が伴うので、水密性が非常に良好となり、安心して使用できるという効果がある。
【0011】
【実施例】
次に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】
図面は、一実施例を示したもので、その蓋付き容器は、汁物の販売用としての容器であって、ポリスチレン系の硬質プラスチックで成形される身1と、ポリエチレン系の軟質プラスチックで成形される蓋2とからなり、蓋2の外周面に滑り止めの突起3,3、・・が連続して配列される。突起3は、下端部よりも上に形成され、下端部は、身1と強く結合する水密帯4として、使用者において開封に際し切り取られ、図4でPの位置以下で除去されて、蓋2が使用される。なお、身1は必ずしも硬質である必要はなく、半硬質であっても本発明の目的を達成することができる。
【0013】
また、蓋2には、その切取り位置Pと突起3、3、・・の形成下端位置Qとの間が残留保護縁6として形成される。そのため、蓋2の切り口には、滑り止めの突起3、3、・・の鋭角が生じなく安全である。
【0014】
身1は、蓋2の水密帯4を下で受けるような位置に、その水密帯4を不正に切り取られないように、全周に亘って環状鍔部5が突設され、その上において外周面に、小環状突条7と、大環状突条9と、雄ねじ11とが順次形成される。
【0015】
この雄ねじ11の形成については、普通の雄ねじのように螺線形成ではなく、細かな放射分割位置から(18箇所から)山の始まりがあるもので、多数の案内山11a,11a,・・が急傾斜において配列される。したがって、1つの案内山11aの長さに相当するわずかな戻しにより蓋2が開かれ得る。
【0016】
蓋2は、下端部に身1の小環状突条7と結合する小環状凹溝13と、大環状突条9と結合する大環状凹溝15とが形成され、そのうち、大環状凹溝15が切り取り位置PでV谷形に形成され、この大環状凹溝15の上に前記残留保護縁6を間にして滑り止めの突起3、3、・・が形成される。そして、大環状凹溝15よりも下が水密帯4としてその溝に沿って切り取られるもので、この大環状凹溝15切り取りのために、水密帯4には摘み17が突設されている。
【0017】
滑り止めの突起3は、時計回りに逃げ角に、反時計回りに比較的迎え角となる一方に片寄る山形で、逃げ角側の斜面19が蓋2の形の円の接線方向に近い長く緩い傾斜であり、迎え角側の斜面20が円の直径方向に近い短い急な傾斜となっている。
【0018】
配列として鋭角の鋸歯形断面形状であるが、その鋭角の段頂の高さは、残留保護縁6の表面とほぼ同じ高さにフラットとなっている。このため、突条3、3、・・に当たる手の感触はソフトである。
【0019】
また、蓋2の内周面には、雄ねじ11の案内山11aに掛かる係合線条22が、放射方向の等角度毎に(6箇所から)内周面に沿って一条づつ配列され、それぞれの係合線条22を雄ねじ11の案内山11aと同じ傾斜に形成し、蓋2を閉じたときにいずれかの案内山11aに係合するように形成される。
【0020】
そこで、開封した後一旦閉じた蓋2を開けるときには、それを開ける方向に回して案内山11aの傾斜に沿って係合線条22を擦り上げる。また、開いた蓋2を閉じるときには、身1の口にそれを押圧すると、雄ねじ11の案内山11aを越えて係合線条22がいずれかの案内山11aに脱出不能に掛止する。
【0021】
蓋2の開閉について最初から追って説明すると、工場において食品を詰めてから蓋2を被せるときには、それを単に上から身1に押圧する。そうすると、主として蓋2の弾性変形を伴って、小環状突条7に小環状凹溝13が、大環状突条9が大環状凹溝15にそれぞれ結合するので、単なる手作業では決して開けられないロック状態となる。
【0022】
消費者においては、摘み17により水密帯4を引き千切り(図3)、そのロック状態を解除してから、蓋2を反時計回りに回わすことによって、雄ねじ11による案内を伴わせながら、蓋2を取り外すことができる。その後、蓋2を被せるときには単に上から押し込み、外すときには同様に反時計回りの操作をするが、反時計回りには、隣り合う突起3,3の間に手の皮膚が深く食い込み、急斜面20に対する引っ掛かりが良好になると同時に、緩斜面19との摩擦抵抗が大きく得られるために、蓋2を容易に回わすことができる。
【0023】
しかも、残留保護縁6があるために、滑り止めの突条5の先鋭下端に手の皮膚が突き刺す危険がない。また、蓋2を被せて押圧したときに、雄ねじ11の案内山11aと係合線条22との係合状態となるので、安心のための習性としてのわずかの回し動作で確実な締めが得られ、また、この状態では、その係合関係があるために、ねじ戻しの動作をしない限り開けられなく、この点でも安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による蓋付き容器の正面図である。
【図2】 同容器の蓋の平面図である。
【図3】 同容器の蓋について、水密帯を千切り取った状態を示す縦断面図である。
【図4】 同容器において、蓋の閉止状態における要部拡大縦断面図である。
【図5】 同容器において、蓋の閉止状態における要部拡大横断面図である。
【符号の説明】
1 身
2 蓋
3 滑り止めの突起
4 水密帯
6 残留保護縁
11 ねじ
11a 案内山
19 緩斜面
20 急斜面
22 係合線条

Claims (1)

  1. 身の口部外周面に、細かな放射分割位置からそれぞれ始まる急傾斜の案内山が段々に多数配列されてなる雄ねじを形成し、軟質または半硬質の蓋には、上部外周面に縦長の滑り止め突起を配列し、下部にロック兼用の水密帯を千切り取り可能に設けた蓋付き容器において、滑り止め突起を、ねじの螺入回し方向へ逃げ角の長い暖斜面と、ねじの螺脱回し方向へ迎え角の短い急斜面とからなる鋭角片寄り山形に形成し、この滑り止め突起の配列位置の下に、滑り止め突起の千切り取りによっても存在する残留保護縁を、突起とほぼ同じ高さにおいて回し帯状に形成し、蓋の上部内周面に、粗い放射分割位置から始まる数少ない係合線条を、雄ねじの案内山に係るように急傾斜に形成し、その係合線条を上からは案内山を越えるように細く形成したこと特徴とする蓋付き容器。
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