JP4540026B2 - 電磁継電器 - Google Patents

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    • H01H51/22Polarised relays
    • H01H51/2272Polarised relays comprising rockable armature, rocking movement around central axis parallel to the main plane of the armature
    • H01H51/2281Contacts rigidly combined with armature

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高電圧における負荷制御を容易とする電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のワイパー駆動部やいわゆるパワーウインドウの駆動部には、起動制御用に電磁継電器が用いられる。すなわち、使用者がワイパー始動操作やパワーウインドウ始動操作をすると、それに応じて、電磁継電器のコイルに制御電流が流れ、電磁継電器の可動接点が常開固定接点側に接続され、この常開固定接点を通じて、それぞれの駆動用直流モータに自動車用のバッテリー電源から直流電流が流れることにより、ワイパーやパワーウインドウが駆動される。
【0003】
この種の駆動回路に用いられている電磁継電器においては、電磁継電器の常開固定接点を介して直流電流が流れている状態から、コイルに制御電流が流れなくなって電磁継電器が復帰する際には、常開固定接点からの可動接点の開離時に、常開固定接点と可動接点との間にアークが発生する。
【0004】
このため、電磁継電器の復旧状態における可動接点と常開接点との間のギャップ長(以下、説明の簡単のために、このギャップ長を、単に、接点ギャップ長と言うことにする)が小さい場合には、電磁継電器が復帰する際に、常開固定接点からの可動接点の開離時のアークが切れる前に、可動接点が常閉固定接点に接触し、接点組の常閉固定接点と常開固定接点との間が短絡(ショート)してしまい、電磁継電器が不良となってしまうと共に、この電磁継電器と同じ回路基板上に配置されている制御回路などを破壊してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、従来は、自動車用バッテリー電圧値に応じて、接点ギャップの大きさが定められている。このため、例えば直流12Vのバッテリーが標準の通常の乗用車の場合には、上述のような直流モータ駆動回路用として、接点ギャップ長が例えば0.3mmのギャップ長の電磁継電器で良いが、例えば24V(最大値は32V)以上の高電圧が用いられるトラックやバスなどの場合、接点ギャップ長が、例えば1.2mm以上の電磁継電器が必要とされていた。
【0006】
したがって、従来は、バッテリー電圧値が大きくなると、接点ギャップ長が大きくなるので、電磁継電器が大型化して、プリント基板に実装する際の支障となると共に、可動接点のストロークが大きくなるために、電磁継電器の動作速度が遅くなるという問題があった。特に、最近は、ガソリンと電気を併用するエンジンを用いるハイブリットカーや、電気自動車なども登場して、自動車のバッテリー電圧は、高電圧化しつつあり、上述の問題点は大きい。
【0007】
特開2000−299046号公報には、上述の問題点を改善するものとして、図6および図7に示すような電磁継電器1が開示されている。図6は、その電磁継電器1の構造を示すものであり、また、図7は、その電磁継電器1を用いた負荷制御回路を示すものである。
【0008】
すなわち、図6に示すように、この例の電磁継電器1は、端子板10の上に、電磁石を構成する鉄心入りコイル2が設けられると共に、このコイル2の側方において、それぞれ常閉固定接点3B,4Bを備える電気的に独立した2個の常閉固定接点部材5,6と、それぞれ常開固定接点3M,4Mを備える電気的に独立した2個の常開固定接点部材7,8とが設けられる。
【0009】
この場合、常閉固定接点3Bと常開固定接点3Mとは、所定のギャップ長だけ離れた位置となるように、常閉固定接点部材5と常開固定接点部材7とが端子板10に取り付けられると共に、常閉固定接点部材5と常開固定接点部材7とのそれぞれから外部端子5tと外部端子7tとが、端子板10を貫通して導出されている。
【0010】
また、同様にして、常閉固定接点4Bと常開固定接点4Mとは、所定のギャップ長だけ離れた位置となるように、常閉固定接点部材6と常開固定接点部材8とが端子板10に取り付けられると共に、常閉固定接点部材6と常開固定接点部材8とのそれぞれから外部端子6tと外部端子8tとが、端子板10を貫通して導出されている。
【0011】
また、接点ばね9が、前記コイル2を含んで構成される電磁石を構成するヨークに取り付けられている。この接点ばね9には、鉄製の接極子13が固着されており、この接極子が前記電磁石により吸引駆動されることにより、接点ばね9の先端部分が電磁継電器1の高さ方向に回動移動する。この接点ばね9の先端部分は、T字型に形成されていて、そのT字型の先端部の両端部には可動接点11C,12Cが設けられている。したがって、2個の可動接点11C,12Cは互いに電気的に接続されている。
【0012】
コイル2に電流が流れておらず、電磁継電器1が復帰状態にあるときには、可動接点11Cは常閉固定接点3Bに、可動接点12Cは常閉固定接点4Bに、それぞれ接続されている。コイル2に電流が流れると、接点ばね9が電磁石に吸引されることにより、可動接点11C、12Cは、常閉固定接点3B,4Bからほぼ同時に離れ、常開固定接点3M,4Mにほぼ同時に接続される。
【0013】
上述した図6の構成の電磁継電器1を用いた図7の負荷制御回路においては、負荷14、例えば直流モータの一端側が電磁継電器1の一方の常開固定接点3M(端子7t)に接続され、バッテリー電源15の一端側が電磁継電器1の他方の常開固定接点4M(端子8t)に接続される。また、負荷14の他端側とバッテリー電源15の他端側は互いに接続されると共に、その接続点が電磁継電器1の常閉固定接点4Bに接続される。さらに、負荷14の一端側は、常閉固定接点3Bにも接続される。
【0014】
この図7の負荷制御回路においては、電磁継電器1のコイル2に電流が流れると、可動接点11Cおよび12Cは、常開固定接点3Mおよび4Mにそれぞれ接続され、バッテリー電源15からは、直列に接続された2個の常開固定接点3M,4Mを通じて負荷に電源が投入されて直流電流が供給される。
【0015】
そして、電磁継電器1のコイル2への電流の供給が停止されて、電磁継電器1が復帰すると、可動接点11Cおよび12Cは、常開固定接点3Mおよび4Mから離れて、常閉固定接点3Bおよび4Bに接続される。すると、負荷14の一端、他端間が接続される状態になる。この状態は、負荷14が直流モータの場合には、その直流モータが制動される状態となる。
【0016】
図6の構成の電磁継電器1を用いて図7のように負荷制御回路を構成した場合には、電磁継電器1の復帰時には、可動接点11C,12Cと常開固定接点3M,4Mとの間にアークが発生しても、回路電圧は、2個の接点組の接点ギャップに印加されることになるので、分圧されて、1個の接点組当たりの印加電圧が低くなる。つまり、接点ギャップ長が短くても、アークによるショートの問題を生じ難くすることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6の構成の電磁継電器を用いた図7の回路の場合において、可動接点が常閉固定接点に復帰するまでにアークが消滅しないような大きい負荷のときには、電磁継電器の復帰時にバッテリー電源15がショートの状態となってしまうと共に、負荷に対して、1つ接点組を設けた場合の効果しか得られないという問題がある。
【0018】
この発明は、以上の問題点を改善することができる電磁継電器を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明による電磁継電器は、
それぞれ常閉固定接点を備える電気的に独立した2個の常閉固定接点部材と、
前記2個の常閉固定接点部材の前記常閉固定接点の各々に対応した2個の常閉可動接点を電気的に接続して備える常閉可動接点部材と、
それぞれの常開固定接点を備える電気的に独立した2個の常開固定接点部材と、
前記2個の常開固定接点部材の前記常開固定接点の各々に対応した2個の常開可動接点を電気的に接続して備える常開可動接点部材と、
1個のコイルを含む電磁石と、
前記電磁石により駆動されることにより、一方の端部を支点として、他方の端部が、前記コイルの巻線中心軸線方向に回動変位させられる接極子と、
を備え、
前記2個の常閉固定接点部材と、前記2個の常開固定接点部材とは、前記接極子の前記他方の端部側において、それぞれの前記常閉固定接点と、対応するそれぞれの前記常開固定接点とが、前記コイルの巻線中心軸線方向に直交する方向の同じ位置で、前記コイルの巻線中心軸線方向に所定距離だけ離隔するように配設され、
前記常閉可動接点部材と前記常開可動接点部材とは、電気的に分離された状態で、前記接極子の前記他方の端部側に、前記それぞれの常閉可動接点と前記それぞれの常開可動接点とが、前記コイルの巻線中心軸線方向の前記常閉固定接点と前記常開固定接点との間の位置において、前記コイルの巻線中心軸線方向に直交する方向の、前記常閉固定接点と前記常開固定接点と同じ位置で、前記コイルの巻線中心軸線方向に所定距離だけ離隔する状態で設けられ、
前記コイルに電流が供給されたリレー動作時には、前記常閉可動接点部材の前記2個の常閉可動接点が、前記2個の常閉固定接点部材の前記常閉固定接点から離間した後、前記常開可動接点部材の前記2個の常開可動接点が前記2個の常開固定接点部材の前記常開固定接点に接続され、
前記コイルへの電流供給が停止されたリレー復帰時には、前記常開可動接点部材の前記2個の常開可動接点が、前記2個の常開固定接点部材の前記常開固定接点から離間した後、前記常閉可動接点部材の前記2個の常閉可動接点が前記2個の常閉固定接点部材の前記常閉固定接点に接続されるようにした
ことを特徴とする。
【0020】
【作用】
上述の構成のこの出願の発明による電磁継電器によれば、可動接点は、電気的に分離された常閉固定接点用と常開固定接点用とに分けられて、接極子に取り付けられている。
【0021】
そして、リレー動作時には、コイルを含んで構成される電磁石により接極子が駆動されることにより、電気的に接続されている2個の常閉可動接点が、電気的に独立した2個の常閉固定接点から離間した後に、電気的に接続されている2個の常開可動接点が、電気的に独立した2個の常開固定接点に接続される。
【0022】
また、リレー復帰時には、電気的に接続されている2個の常開可動接点が、電気的に独立した2個の常開固定接点から離間した後に、電気的に接続されている2個の常閉可動接点が、電気的に独立した2個の常閉固定接点に接続される。
【0023】
この発明によれば、可動接点が常閉可動接点と常開可動接点とに分けられ、かつ、それら常閉可動接点と常開可動接点とが電気的に分離されているので、常閉固定接点と常開固定接点との間がアークにより電気的に接続される状態となることはない。したがって、前述の図6および図7の例のように、電磁継電器の復帰時にバッテリー電源がショートの状態となってしまうことはない。
【0024】
また、リレー復帰時に、可動接点と常開固定接点との間にアークが発生しても、電源電圧は、直列に接続された2個の可動接点と2個の常開固定接点との2個の接点ギャップに印加されているため、一つの接点ギャップに印加される電圧は、電源電圧が分圧されたものとなる。このため、電源電圧が高くなった場合であっても、可動接点が常開固定接点側から、常閉固定接点側に切り替わるまでにアークが消えるようにする接点ギャップの大きさを、従来よりも短くすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明による電磁継電器の実施の形態について説明する。
【0026】
[第1の実施の形態(比較例)
図1は、第1の実施の形態の電磁継電器20の要部の構造を説明するための図で、図1(A)はその上面図、図1(B)はその側面図である。この第1の実施の形態の電磁継電器20は、双安定電磁石構造の電磁継電器の場合であり、後述するこの発明の実施の形態である第2の実施の形態との比較例である。
【0027】
この第1の実施の形態の電磁継電器20は、図1(B)に示すように、互いに対向する壁部21A,21Bとこれら壁部21A,21Bとの間を一体に連結する連結部21Cとからなり、断面がコ字状のヨーク21を備える。このヨーク21の前記連結部21Cのほぼ中央部に永久磁石22が取り付けられると共に、この連結部21Cの部分には、コイル23が巻回される。
【0028】
そして、永久磁石22の上端位置を支点として、シーソー運動するように薄板状の接極子24が取り付けられる。この接極子24に対しては、樹脂などの絶縁物27によって、電気的に分離された常閉可動接点部材25と常開可動接点部材26とが固定される。
【0029】
この場合、常閉可動接点部材25は、U字状の導電性板の、2個の先端部分に、常閉可動接点28Cbおよび29Cbがそれぞれ形成されたものである。したがって、2個の常閉可動接点28Cb,29Cbは、電気的には接続された状態である。
【0030】
また、同様に、常開可動接点部材26は、U字状の導電性板の、2個の先端部分に、常開可動接点28Cmおよび29Cmがそれぞれ形成されたものである。
したがって、2個の常開可動接点28Cm,29Cmは、電気的には接続された状態である。
【0031】
そして、この例では、常閉可動接点部材25と、常開可動接点部材26とは、U字状の導電性板のU字の屈曲部を対向させ、それぞれのU字の2個の先端部分が反対方向に延長されるようにして、前記U字の屈曲部を樹脂などの絶縁物27に固定する。このとき、図1からも明らかなように、常閉可動接点部材25と、常開可動接点部材26とは、電気的には分離するようにする。
【0032】
そして、絶縁物27は、接極子24に対して、常閉可動接点部材25と、常開可動接点部材26とが、それぞれ接極子24のシーソー運動の一端側および他端側に配されるような状態で固定される。
【0033】
常閉可動接点部材25を構成する導電性板のU字の2個の先端部分の位置に対応して、2個の独立の常閉固定接点部材31および32が設けられる。この常閉固定接点部材31および32のそれぞれは、一端側が直角に折り曲げられてL字状とされた導電性板の、前記折り曲げられた部分に、常閉固定接点33Bおよび34Bが設けられて構成される。
【0034】
そして、常閉固定接点部材31および32は、常閉固定接点33Bおよび34Bが、常閉可動接点部材25の常閉可動接点28Cbおよび29Cbの下方位置において、常閉可動接点28Cbおよび29Cbと対向するように、図示を省略した端子板上に取り付けられる。常閉固定接点部材31および32の常閉固定接点33Bおよび34Bが設けられている側とは反対側は、常閉固定接点端子31tおよび32tとされる。
【0035】
また、常開可動接点部材26を構成する導電性板のU字の2個の先端部分の位置に対応して、2個の独立の常開固定接点部材35および36が設けられる。この常開固定接点部材35および36のそれぞれは、一端側が直角に折り曲げられてL字状とされた導電性板の、前記折り曲げられた部分に、常開固定接点37Mおよび38Mが設けられて構成される。
【0036】
そして、常開固定接点部材35および36は、常開固定接点37Mおよび38Mが、常開可動接点部材26の常開可動接点28Cmおよび29Cmの下方位置において、常開可動接点28Cmおよび29Cmと対向するように、図示を省略した端子板上に取り付けられる。常開固定接点部材35および36の常開固定接点37Mおよび38Mが設けられている側とは反対側は、常開固定接点端子35tおよび36tとされる。
【0037】
この場合、コイル23の一端23aと他端23bとの間に、予め定めた極性(以下、この極性を初期極性という)の電圧を印加したときに、図1(B)に示すように、常閉可動接点28Cb,29Cbが、常閉固定接点33B,34Bに接続される状態となるように設定されている。したがって、コイル23の一端23aと他端23bとの間に、前記初期極性とは逆極性の電圧を印加することにより、電磁継電器20は、リレー動作を行い、常開可動接点28Cm,29Cmが、常開固定接点37M,38Mに接続される状態となる。そして、前記初期極性の電圧をコイル23の一端23aと他端23bとの間に印加することにより、リレー復帰して、常閉可動接点28Cb,29Cbが、常閉固定接点33B,34Bに接続される状態に戻る。
【0038】
この図1の電磁継電器20の模式的等価回路は、図2に示すようなものとなる。すなわち、図2の状態は、常閉可動接点部材25により2個の常閉固定接点33B,34Bが直列に接続されているリレー復帰状態を示している。この状態からリレー動作をすると、常開可動接点部材26により2個の常開固定接点37M,38Mが直列に接続される状態になる。
【0039】
この第1の実施の形態の電磁継電器20を用いた負荷制御回路の構成例を図3に示す。この例では、電磁継電器20の常開固定接点37Mと電気的に接続されている端子35tは、直流電源41の一端に接続され、常開固定接点38Mと電気的に接続されている端子35tは、負荷42の一端および常閉固定接点34Bと電気的に接続されている端子32tに接続される。
【0040】
また、電磁継電器20の常閉固定接点33Bが電気的に接続されている端子31tは、直流電源41の他端および負荷42の他端に接続される。
【0041】
この図3の回路において、端子23a,23b間に初期極性とは逆極性の電圧が印加されて、コイル23に所定の方向の直流電流が流れると、常閉可動接点部材25の常閉可動接点28Cb,29Cbが常閉固定接点33B,34Bから離間し、その後、常開可動接点部材26の常開可動接点28Cm,29Cmが常開固定接点37M,38Mに接続される。すると、直流電源41から直流電流が直列接続の2個の常開固定接点37M,38Mを通じて負荷42に供給される。
【0042】
その後、電磁継電器20を復帰させる場合には、前記のリレー動作時とは逆極性の初期極性の電圧が端子23a,23b間に印加され、コイル23に前記リレー動作時とは逆方向の電流が流れる。これにより、電磁継電器20の接極子24は、シーソー運動をして、常開可動接点部材26の常開可動接点28Cm,29Cmが常開固定接点37M,38Mから離間し、その後、常閉可動接点部材25の常閉可動接点28Cb,29Cbが常閉固定接点33B,34Bに接続される。
【0043】
この状態では、負荷42の一端および他端間が接続されてショートされる。したがって、負荷42がインダクタンス負荷、例えば直流モータの場合には、逆起電圧により直流モータが制動されることになる。
【0044】
この例の場合において、電磁継電器20の常開可動接点28Cm,29Cmと常開固定接点37M,38Mとの間のギャップの大きさは、直流電源41の電圧値に応じて、リレー復帰動作時に両者間に形成されるアークが消滅した後に、常閉可動接点部材25の常閉可動接点28Cb,29Cbが常閉固定接点33B,34Bに接続されるような大きさに選定されている。
【0045】
この実施の形態の電磁継電器20の場合、リレー復帰動作時において、アークが発生しているときには、直流電源41からの電圧が、常開可動接点28Cmと常開固定接点37Mとの間のギャップと、常開可動接点29Cmと常開固定接点38Mとの間のギャップの2個のギャップに印加されるので、分圧され、アーク遮断能力を考慮したときに、接点ギャップの大きさは、接点ギャップが一つの場合の1/2で済む。
【0046】
そして、この実施の形態の電磁継電器20の場合、可動接点部材が、常閉可動接点部材と、常開可動接点部材とに分けられ、接極子24により連動してシーソー運動するも、電気的に分離されるので、冒頭の従来の技術の欄で述べたような電源のショートの問題などは生じない。
【0047】
また、常閉固定接点および常開固定接点のそれぞれが、2個の接点の直列接続となっているので、常開固定接点での負荷への電流の供給および常閉固定接点での負荷ショートのいずれの場合においても、電源電圧の分圧効果が発揮でき、接点寿命が長くなる。
【0048】
また、常閉固定接点および常開固定接点のいずれの接点でも負荷の開閉ができる。特に、上述の第1の実施の形態の双安定電磁石構造の電磁継電器の場合、その利点は大きい。
【0049】
また、第1の実施の形態の電磁継電器20の場合、偏平薄型化が容易であるという効果もある。
【0050】
[第2の実施の形態]
図4に、この発明による電磁継電器の実施の形態である第2の実施の形態の電磁継電器50の構成の要部を示す。図4(A)は、この第2の実施の形態の電磁継電器50の上面図、図1(B)は、この第2の実施の形態の電磁継電器50の側面図である。
【0051】
この第2の実施の形態の電磁継電器50においては、コ字型のヨーク51に鉄心入りのコイル52が取り付けられて、電磁石組立が構成されている。53a,53b(53bは図4では省略)は、コイル52の一端、他端が接続されるコイル端子である。なお、この明細書の以下の説明において、コイル52の巻線中心軸線方向を上下方向として説明することにする。
【0052】
この第2の実施の形態の電磁継電器50は、リレー動作時には、この電磁石組立により接極子54が電磁吸引されて駆動される構成である。
【0053】
接極子54は、L字型に屈曲された板ばね55の一端側に絶縁物56を介して固定されている。また、板ばね55の他端側は、電磁石組立を構成するヨーク51の側板部51Sに固定される。これにより、接極子54は、ヨーク51の側板部51Sの上端部を回動支点として回動可能とされ、コイル52に直流電流が流れていないときには、板ばね55の弾性力により、接極子54は、図4(B)に示すように、コイル52の鉄心の頭部52Hとは離れた状態になる。また、コイル51に直流電流が流れると、電磁石の作用により、接極子54は、コイル52の鉄心の頭部52Hと接触するように吸引されて、回動駆動する。コイル51に直流電流が流れなくなれば、接極子54は、図4(B)に示すように、コイル52の鉄心の頭部52Hとは離れた状態に復帰する。
【0054】
接極子54には、また、絶縁物56を介して常閉可動接点部材57と、常開可動接点部材58との2個の可動接点部材が取り付けられる。これら2個の可動接点部材57、58は、接極子54の板ばね55との結合部分とは反対側の端部に、すなわち、ヨーク51の側板部51Sの上端部を回動支点とした回動運動が大きくなる端部側に設けられる。
【0055】
この場合、常閉可動接点部材57は、U字状の導電性板の、2個の先端部分に、2個の常閉可動接点59Cbおよび60Cbが形成されたものである。したがって、2個の常閉可動接点59Cb,60Cbは、電気的には接続された状態である。
【0056】
また、同様に、常開可動接点部材58は、U字状の導電性板の、2個の先端部分に、それぞれ2個の常開可動接点59Cm,60Cmが形成されたものである。したがって、2個の常開可動接点59Cm,60Cmは、電気的には接続された状態である。
【0057】
そして、図4(B)に示すように、常閉可動接点部材57と、常開可動接点部材58とは、コイル52の巻線中心軸線方向、すなわち、上下方向に電気的に分離された状態で、それぞれのU字状の導電性板のU字の屈曲部において絶縁物56に固定されることにより、接極子54に対して取り付けられる。
【0058】
この場合、接極子54に対して取り付けられた状態では、常閉可動接点59Cbと常開可動接点59Cmとが上下に並ぶと共に、常閉可動接点60Cbと常開可動接点60Cmとが上下に並ぶようになるが、常閉可動接点59bおよび60bはU字状導電性板の上側に形成され、常開可動接点59Cmおよび60CmはU字状導電性板の下側に形成されるように、常閉可動接点部材57と、常開可動接点部材58とは、接極子54に対して固定される。
【0059】
そして、常閉可動接点部材57および常開可動接点部材58のU字状の導電性板の2個の先端部分の位置に対応して、2個の電気的に独立の常閉固定接点部材62および63が設けられると共に、2個の電気的に独立の常開固定接点部材64および65が設けられる。
【0060】
これらの常閉固定接点部材62、63および常開固定接点部材64、65のそれぞれは、一端側が直角に折り曲げられてL字状とされた導電性板の、前記折り曲げられた部分に、常閉固定接点66B、67Bおよび常開固定接点68M、69Mが設けられて、構成される。
【0061】
この例では、常閉固定接点部材62に設けられる常閉固定接点66Bは、常閉可動接点部材57の常閉可動接点59Cbの上方において、常閉可動接点59Cbと対向するように取り付けられている。また、同様に、常閉固定接点部材63に設けられる常閉固定接点67Bは、常閉可動接点部材57の常閉可動接点60Cbの上方において、常閉可動接点60Cbと対向するように取り付けられている。
【0062】
また、常開固定接点部材64に設けられる常開固定接点68Mは、常開可動接点部材58の常開可動接点59Cmの下方において、常開可動接点59Cmと対向するように取り付けられている。また、同様に、常開固定接点部材65に設けられる常開固定接点69Mは、常開可動接点部材58の常開可動接点60Cmの下方において、常開可動接点60Cmと対向するように取り付けられている。
【0063】
したがって、コイル52に電流が流れていないリレー復帰時には、図4(B)に示すように、常閉可動接点部材57に形成されている常閉可動接点59Cbおよび60Cbが、常閉固定接点部材62および63にそれぞれ形成されている常閉固定接点66Bおよび67Bに圧接する状態となる。
【0064】
一方、コイル52に電流が流れると、接極子54が、電磁石によって鉄心の頭部52Hに吸着されるように駆動されて、常開可動接点部材58に形成されている常開可動接点59Cmおよび60Cmが、常開固定接点部材64および65にそれぞれ形成されている常開固定接点68Mおよび69Mに圧接する状態となる。そして、コイル52に電流が流れなくなると、図4(B)に示すリレー復帰状態に戻る。
【0065】
図5は、この第2の実施の形態の電磁継電器50の模式的等価回路を示すものである。この図5の等価回路は、第1の実施の形態の電磁継電器20についての図2の等価回路と全く等しいことから、上述した第2の実施の形態の電磁継電器50は、第1の実施の形態の電磁継電器20と全く同様の作用効果が得られるものである。
【0066】
ただし、この第2の実施の形態の電磁継電器50の場合には、第1の実施の形態の電磁継電器20に比べて、2個の可動接点部材が接極子の一方の側に設けられる分だけ、横方向の大きさを小さくできる。しかし、高さ方向のサイズに関しては、第2の実施の形態では、高さ方向に2組のギャップが並ぶことになるので、第1の実施の形態の電磁継電器の方が、小さくなる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、可動接点を、電気的に分離された常開可動接点と常閉可動接点とに分けたことにより、可動接点が常閉固定接点に復帰するまでにアークが消滅しないような大きい負荷のときであっても、電源がショートの状態となってしまうことはない。また、この発明によれば、常に、2つの接点組の2つのギャップにより、電源電圧を分圧する効果が得られ、アーク遮断能力の向上を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による電磁継電器の第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の電磁継電器の模式的等価回路図である。
【図3】第1の実施の形態の電磁継電器を用いた負荷制御回路の例を示す図である。
【図4】この発明による電磁継電器の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態の電磁継電器の模式的等価回路図である。
【図6】先に提案された電磁継電器の構造を説明するための斜視図である。
【図7】先に提案された電磁継電器を用いた負荷制御回路の例を示す図である。
【符号の説明】
20、50 電磁継電器
21、51 ヨーク
22、52 コイル
24、54 接極子
25、57 常閉可動接点部材
26、58 常開可動接点部材
28Cb,29Cb,59Cb,60Cb 常閉可動接点
28Cm,29Cm,59Cm,60Cm 常開可動接点
31、32および62、63 常閉固定接点部材
33B,34B,66B,67B 常閉固定接点
35、36および64、65 常開固定接点部材
37M,38M,68M,69M 常開固定接点

Claims (1)

  1. それぞれ常閉固定接点を備える電気的に独立した2個の常閉固定接点部材と、
    前記2個の常閉固定接点部材の前記常閉固定接点の各々に対応した2個の常閉可動接点を電気的に接続して備える常閉可動接点部材と、
    それぞれの常開固定接点を備える電気的に独立した2個の常開固定接点部材と、
    前記2個の常開固定接点部材の前記常開固定接点の各々に対応した2個の常開可動接点を電気的に接続して備える常開可動接点部材と、
    1個のコイルを含む電磁石と、
    前記電磁石により駆動されることにより、一方の端部を支点として、他方の端部が、前記コイルの巻線中心軸線方向に回動変位させられる接極子と、
    を備え、
    前記2個の常閉固定接点部材と、前記2個の常開固定接点部材とは、前記接極子の前記他方の端部側において、それぞれの前記常閉固定接点と、対応するそれぞれの前記常開固定接点とが、前記コイルの巻線中心軸線方向に直交する方向の同じ位置で、前記コイルの巻線中心軸線方向に所定距離だけ離隔するように配設され、
    前記常閉可動接点部材と前記常開可動接点部材とは、電気的に分離された状態で、前記接極子の前記他方の端部側に、前記それぞれの常閉可動接点と前記それぞれの常開可動接点とが、前記コイルの巻線中心軸線方向の前記常閉固定接点と前記常開固定接点との間の位置において、前記コイルの巻線中心軸線方向に直交する方向の、前記常閉固定接点と前記常開固定接点と同じ位置で、前記コイルの巻線中心軸線方向に所定距離だけ離隔する状態で設けられ、
    前記コイルに電流が供給されたリレー動作時には、前記常閉可動接点部材の前記2個の常閉可動接点が、前記2個の常閉固定接点部材の前記常閉固定接点から離間した後、前記常開可動接点部材の前記2個の常開可動接点が前記2個の常開固定接点部材の前記常開固定接点に接続され、
    前記コイルへの電流供給が停止されたリレー復帰時には、前記常開可動接点部材の前記2個の常開可動接点が、前記2個の常開固定接点部材の前記常開固定接点から離間した後、前記常閉可動接点部材の前記2個の常閉可動接点が前記2個の常閉固定接点部材の前記常閉固定接点に接続されるようにした
    ことを特徴とする電磁継電器。
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