JP4420545B2 - 電磁継電器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車のワイパー駆動部やいわゆるパワーウインドウの駆動部の直流モータの起動制御用として用いて好適な電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のワイパー駆動部やいわゆるパワーウインドウの駆動部には、起動制御用に電磁継電器が用いられる直流モータ駆動回路が良く使用されている。図20は、ワイパー駆動部に用いられる従来の直流モータ駆動回路の例を示すものであり、また、図21はパワーウインドウの駆動部に用いられる従来の直流モータ駆動回路の例を示すものである。まず、ワイパー駆動部の直流モータ駆動回路の例について説明する。
【0003】
図20に示すように、ワイパー駆動用の直流モータ1の一端側は、電磁継電器2の可動接点(接極子(アーマチュア)により駆動される接点ばねなどに設けられる)ARに接続されている端子(以下、可動接点に接続されている端子を可動接点端子と称する)2aに接続される。
【0004】
また、直流モータ1の他端側は、電磁継電器2の常閉固定接点N/C (ノーマルクローズの接点(ブレイク接点))に接続されている端子(以下、常閉固定接点N/C に接続されている端子を常閉固定接点端子と称する)2bに接続されると共に、その接続点が接地される。
【0005】
さらに、電磁継電器2の常開固定接点N/O (ノーマルオープンの接点(メイク接点))に接続されている端子(以下、常開固定接点N/O が接続されている端子を常開固定接点端子と称する)2mは、自動車用のバッテリーからの直流電源電圧が供給される電源端子3に接続される。
【0006】
そして、電磁継電器2のコイル2Cには、ワイパー制御回路4から、使用者のワイパースイッチ5の操作に応じた制御電流が供給される。
【0007】
すなわち、ワイパースイッチ5が「OFF」の切換位置にあるときには、ワイパー制御回路4からはコイル2Cに制御電流が供給されず、電磁継電器2の可動接点ARは、常閉固定接点N/C 側に接続されているので、直流モータ1の一端および他端が互いに接続され、直流モータ1は制動状態または静止状態にある。
【0008】
ワイパースイッチ5が「間欠」の切換位置に切り換えられたときには、ワイパー制御回路4は、間欠的に電磁継電器2のコイル2Cに制御電流を供給する。これにより、電磁継電器2では、可動接点ARは、制御電流がコイル2Cに流れる間だけ常開固定接点N/O 側に接続され、制御電流が途絶えたときには常閉固定接点N/C 側に戻る。つまり、電磁継電器2の可動接点ARは、制御電流の断続に応じて、常閉固定接点N/C と、常開固定接点N/O とに交互に接続される。
【0009】
このとき、直流モータ1には、電磁継電器2の可動接点ARが常開固定接点N/O 側に接続されるときに、図示のように直流電流Iが流れて、回転駆動される。また、可動接点ARが常閉固定接点N/C 側に接続されるときには、直流モータ1への直流電流Iの供給が停止されると共に、直流モータ1は発電機となって、電流Iとは逆向きの電流が流れて制動される。つまり、直流モータ1が間欠的に回転駆動される。そして、この直流モータ1の間欠的な回転駆動により、間欠的にワイパーが駆動される。
【0010】
また、ワイパースイッチ5が「連続」の切換位置に切り換えられたときには、ワイパー制御回路4は、連続的に電磁継電器2のコイル2Cに制御電流を供給する。このため、電磁継電器2では、可動接点ARは常開固定接点N/O 側に接続され、直流モータ1には、連続的に図示のように直流電流Iが流れる。これにより、ワイパーが連続的に駆動される。
【0011】
そして、ワイパースイッチ5が「OFF」に戻されたときには、コイル2Cには制御電流が流れなくなって、電磁継電器2では、可動接点ARは常閉固定接点N/C 側に復帰する。したがって、直流モータ1は発電機となって、直流電流Iとは逆向きの電流が流れて制動され、停止する。
【0012】
次に、パワーウインドウの駆動部に用いられる従来の直流モータ駆動回路の例を説明する。
【0013】
図21に示すように、パワーウインドウ用の直流モータ11の一端側は、ウインドウアップ制御用の電磁継電器12の可動接点端子12aに接続され、また、直流モータ11の他端側は、ウインドウダウン制御用の電磁継電器13の可動接点端子13aに接続される。
【0014】
そして、電磁継電器12の常閉固定接点端子12bと、電磁継電器13の常閉固定接点端子13bとは互いに接続され、その接続点が接地される。また、電磁継電器12の常開固定接点端子12mと、電磁継電器13の常開固定接点端子13mとは互いに接続され、その接続点が、例えば自動車のバッテリーからの直流電源電圧が供給される電源端子3に接続される。
【0015】
そして、電磁継電器12のコイル12Cには、ウインドウアップ制御回路14から、使用者のウインドウアップ操作に応じた制御電流が供給される。また、電磁継電器13のコイル13Cには、ウインドウダウン制御回路16から、使用者のウインドウダウン操作に応じた制御電流が供給される。
【0016】
すなわち、使用者がウインドウアップ操作をすると、例えばその操作が行われている間、スイッチ15がオンとなり、ウインドウアップ制御回路14から電磁継電器12のコイル12Cに制御電流が流れ、電磁継電器12の可動接点ARは常開固定接点N/O 側に接続される。したがって、直流モータ11には、図21において、実線の矢印で示す方向に直流電流I1が流れて、直流モータ11は例えば正転方向に駆動され、これにより、自動車の窓ガラスが閉まる方向に上昇運動するようにされる。
【0017】
そして、使用者がウインドウアップ操作を止めると、スイッチ15がオフに戻り、電磁継電器12のコイル12Cには制御電流が流れなくなり、可動接点ARは常閉固定接点N/C 側に接続される状態に戻る。このため、直流モータ11は制動され、窓ガラスの上昇運動は停止する。
【0018】
また、使用者がウインドウダウン操作をすると、例えばその操作が行われている間、スイッチ17がオンとなり、ウインドウダウン制御回路16から電磁継電器13のコイル13Cに制御電流が流れ、電磁継電器13の可動接点ARは常開固定接点N/O 側に接続される。したがって、直流モータ11には、図21において、破線の矢印で示す方向に直流電流I2が流れて、直流モータ11は前記とは逆の回転方向に駆動され、これにより、自動車の窓ガラスが下降運動するようにされる。
【0019】
そして、使用者がウインドウダウン操作を止めると、スイッチ17がオフに戻り、電磁継電器13のコイル13Cには制御電流が流れなくなり、可動接点ARは常閉固定接点N/C 側に接続される状態に戻る。このため、直流モータ11は制動され、窓ガラスの下降運動は停止する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにして、従来の直流モータ駆動回路の場合、電磁継電器の一つの接点組を用い、制御電流を電磁継電器のコイルに供給して、可動接点ARを常開固定接点N/O 側に接続することにより、直流モータを回転駆動し、また、制御電流を停止して、電磁継電器を復帰させて、可動接点ARを常閉固定接点N/C 側に接続することにより、直流モータに制動をかけるようにしている。
【0021】
ところで、この種の直流モータ駆動回路に用いられている電磁継電器においては、直流モータに電磁継電器の常開固定接点N/O を介して直流電流が流れている状態から、コイルに制御電流が流れなくなって電磁継電器が復帰する際には、常開固定接点N/O からの可動接点ARの開離時に、常開固定接点N/O と可動接点ARとの間にアークが発生する。
【0022】
このため、電磁継電器の復旧状態における可動接点ARと常開接点との間のギャップ長(以下、説明の簡単のために、このギャップ長を、単に、接点ギャップ長と言うことにする)が小さい場合には、電磁継電器が復帰する際に、常開固定接点N/O からの可動接点ARの開離時のアークが切れる前に、可動接点ARが常閉固定接点N/C に接触し、接点組の常閉固定接点N/C と常開固定接点N/O との間が短絡(ショート)してしまい、電磁継電器が不良となってしまうと共に、この電磁継電器と同じ回路基板上に配置されている制御回路などを破壊してしまうおそれがある。
【0023】
そこで、従来は、電源端子3に印加される電圧値(バッテリー電圧値)に応じて、接点ギャップの大きさが定められている。このため、例えば直流12Vのバッテリーが標準の通常の乗用車の場合には、上述のような直流モータ駆動回路用として、接点ギャップ長が例えば0.3mmのギャップ長の電磁継電器で良いが、例えば24V(最大値は32V)以上の高電圧が用いられるトラックやバスなどの場合、接点ギャップ長が、例えば1.2mm以上の電磁継電器が必要とされていた。
【0024】
したがって、従来は、電源電圧が大きくなると、接点ギャップ長が大きくなるので、電磁継電器が大型化して、プリント基板に実装する際の支障となると共に、可動接点ARのストロークが大きくなるために、電磁継電器の動作速度が遅くなるという問題があった。特に、最近は、ガソリンと電気を併用するエンジンを用いるハイブリットカーや、電気自動車なども登場して、自動車のバッテリーの電圧は、高電圧化しつつあり、上述の問題点は大きい。
【0025】
この発明は、以上の点にかんがみ、接点ギャップの大きさを大きくしなくてもアーク遮断能力を向上することができる電磁継電器を提供すると共に、この電磁継電器を使用して、高電源電圧においてもアークによるショートの問題を生じ難くした直流モータ駆動回路を提供することを目的とするものである。
【0026】
なお、この明細書において、電磁継電器の可動接点が常開接点から離れる時に発生するアークを、可動接点が常閉接点側に戻るまでに切れるようにする能力をアーク遮断能力という。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明による電磁継電器は、
端子板を通じて筐体外部に導出された対のコイル端子に一端と他端とがそれぞれ接続され、電磁石を構成するための1個のコイルと、
前記端子板を通じて前記筐体外部に導出される1個の常閉固定端子と、
前記端子板を通じて前記筐体外部に導出され、一方が電源の一端に接続され、他方が電気回路構成要素を介して電源の他端に接続される2個の可動接点端子と、
前記1個の常閉固定端子に電気的に接続されて設けられる1個の常閉固定接点と、
前記2個の可動接点端子のそれぞれに1個ずつ電気的に接続されて設けられ、前記コイルの非通電時に前記常閉固定接点に接続される1個の可動接点を含む2個の可動接点と、
前記2個の可動接点に対応して設けられ、前記端子板を通じて前記筐体外部に端子を導出することなく、前記筐体内において電気的に共通に接続された2個の常開固定接点と、
前記電磁石に対して、前記コイルへの通電、非通電による電磁制御により駆動可能に取り付けられ、前記電磁制御により駆動されて前記2個の可動接点を同時に偏倚させ、前記2個の可動接点を前記2個の常開固定接点に同時に接触および離間させるようにする接極子と、
を備え、
前記コイルへの通電時には、前記2個の可動接点と前記2個の常開固定接点との2個の接触部分が、前記電源の一端と他端間の電流路に対して常に直列に挿入される状態となる
ことを特徴とする。
【0029】
【作用】
上述の構成のこの発明による電磁継電器を使用した直流モータ駆動回路によれば、直流モータを駆動すべく、電磁継電器のコイルに制御電流が供給され、その可動接点が常開固定接点側に接続されて、直流モータに直流電流が供給されるとき、その直流電流は、直列に接続された複数個の常開固定接点を介して直流モータに供給される。
【0030】
したがって、電磁継電器のコイルへの制御電流が停止されて、電磁継電器が復旧する場合の回路電圧は、可動接点(完全に電磁継電器が復旧したときには、可動接点は常閉接点と接続)と常開接点とのギャップが複数個直列に接続されたものに印加されることになるので、それぞれのギャップへの印加電圧は、直列接続された常開接点の個数分の1に分圧されて低くなる。
【0031】
したがって、電磁継電器のコイルへの制御電流が停止されて、電磁継電器が復旧する場合に、可動接点と常開接点N/O との間にアークが発生しても、複数個のギャップのそれぞれの印加電圧が低くなり、接点ギャップ長が短くても、アークによるショートの問題を生じ難くすることができる。
【0032】
そして、この発明による電磁継電器によれば、直列に接続された複数個の常開接点N/O から複数個の可動接点が同時に開離するため、可動接点の開離速度は等価的に速くなる。
【0033】
以上のことから、この発明によれば、それぞれの接点ギャップの大きさは小さい複数個の常開固定接点を直列に接続したことにより、電源電圧が印加される接点ギャップの大きさを等価的に大きくすることができるので、接点ギャップ長が小さい小型の電磁継電器を用いても、その電磁継電器の可動接点が常開接点から離れる時に発生するアークを、可動接点が常閉接点側に戻るまでに切れるようにすることができる。すなわち、接点ギャップ長が小さい電磁継電器であっても、アーク遮断能力を向上させることができる。
【0034】
以上のように、この発明による電磁継電器によれば、アークの遮断能力が向上するので、回路の電源電圧が高くなっても、接点ギャップ長が小さい小型のものでよくなる。
【0035】
そして、この発明による電磁継電器によれば、一つの電磁継電器内において、複数個の常開固定接点を直列に接続するようにしたことにより、それら直列接続の常開固定接点からの可動子の開離タイミングのずれを少なくすることが容易であり、アーク遮断能力の向上効果がさらに高くなる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、この発明による電磁継電器およびそれを用いる直流モータ駆動回路の実施の形態を、前述したワイパー駆動部およびパワーウインドウ駆動部に適用した場合について、図を参照しながら説明する。
【0037】
[ワイパー駆動部に適用した直流モータ駆動回路およびそれに使用する電磁継電器の実施の形態]
図1は、この発明をワイパー駆動制御用に適用した場合の電磁継電器の実施の形態の等価回路構成と、この電磁継電器を用いたワイパー駆動部の直流モータ駆動回路の実施の形態の構成を示すものである。
【0038】
この図1の実施の形態においては、ワイパー駆動制御用としての実施の形態の電磁継電器20が、ワイパー制御回路31により、駆動制御されることにより、ワイパー駆動用の直流モータ32の回転駆動および制動制御が行われる構成とされる。
【0039】
電磁継電器20は、1個のコイル21と、1個の常閉固定接点22と、2個の常開固定接点23、24と、2個の可動接点25、26とを備える。この場合、常閉固定接点22と常開固定接点23と可動接点25とは第1の接点組27を構成し、常開固定接点24と可動接点26とは第2の接点組28を構成する。そして、2個の常開固定接点23と24とは電気的に直列に接続される。また、2個の可動接点25および26は、コイル21により連動して同時に駆動される。
【0040】
2個の常開固定接点23と24との直列接続は、電磁継電器20の筐体外にこれら2個の常開固定接点23と24とから導出された端子間を接続することにより行ってもよいが、この実施の形態の電磁継電器20では、これら2個の常開固定接点23と24とから外部端子を導出せずに、電磁継電器20の筐体内において、行うようにしている。
【0041】
そして、ワイパー駆動用直流モータ32の一端側は、電磁継電器20の第1の接点組27の可動接点25に接続されている可動接点端子25aに接続される。また、直流モータ32の他端側は、電磁継電器20の第1の接点組27の常閉固定接点22に接続されている常閉固定接点端子22bに接続されると共に、その接続点が電源端子の一方、この例では、接地される。
【0042】
そして、電磁継電器20の第2の接点組28の可動接点26が接続されている可動接点端子26aは、電源端子の他方、この例では、自動車用のバッテリーからの例えば24Vの直流電源電圧が供給される電源端子33に接続される。
【0043】
そして、電磁継電器20の2個の接点組27、28を連動して同時に制御するためのコイル21には、ワイパー制御回路31から、使用者のワイパースイッチ34の操作に応じた制御電流が供給される。
【0044】
次に、図1の直流モータ駆動回路の動作について説明する。
【0045】
ワイパースイッチ34が「OFF」の切換位置にあるときには、ワイパー制御回路31からはコイル21に制御電流が供給されず、電磁継電器20の第1の接点組27の可動接点25は、常閉固定接点22側に接続されており、また、第2の接点組28の可動接点26は常開固定接点24とは離間状態となっている。したがって、直流モータ32の両端は、第1の接点組27の常閉固定接点22側を介して互いに接続された状態となり、直流モータ32は制動状態にある。
【0046】
ワイパースイッチ34が「間欠」の切換位置に切り換えられたときには、ワイパー制御回路31は、間欠的に電磁継電器20のコイル21に制御電流を供給する。すると、電磁継電器20では、制御電流がコイル21に流れる間だけ、2個の接点組27および28の可動接点25および26は、連動してほぼ同時にそれぞれ常開固定接点23および24側に接続される。そして、制御電流が途絶えたときには、それぞれの可動接点25および26は、連動してほぼ同時に常開固定接点23および24から開離してほぼ同時に元の状態に戻る。
【0047】
そして、電磁継電器20の2個の接点組27および28の可動接点25および26が、それぞれ常開固定接点23および24側に接続されるときに、直流モータ32には、図1に示すように直流電流Iが流れて、この直流モータ32が回転駆動され、また、2個の接点組27および28の可動接点25および26が、元の状態に復帰したときには、直流モータ32は制動される。つまり、直流モータ32が間欠的に回転駆動され、この直流モータ32の間欠的な回転駆動により、間欠的にワイパーが駆動される。
【0048】
また、ワイパースイッチ34が「連続」の切換位置に切り換えられたときには、ワイパー制御回路31は、連続的に電磁継電器20のコイル21に制御電流を供給する。このため、電磁継電器20では、2個の接点組27および28の可動接点25および26は、連動してほぼ同時にそれぞれ常開固定接点23および24側に接続され、直流モータ32には、連続的に図1に示すように直流電流Iが流れる。これにより、ワイパーが連続的に駆動される。
【0049】
そして、ワイパースイッチ34が「OFF」に戻されたときには、コイル21には制御電流が流れなくなるので、電磁継電器20では、2個の接点組27および28の可動接点は、連動してほぼ同時にそれぞれ元の状態に復帰する。
【0050】
なお、この場合に、「2個の接点組27および28の可動接点が連動してほぼ同時に元の状態に復帰する」とは、少なくとも、第1の接点組27の可動接点25が常開固定接点23から開離して常閉固定接点22側に復帰する以前に、第2の接点組28の可動接点26が、常開固定接点N/O から開離していることを意味している。すなわち、可動接点25および26の両方が、常開固定接点N/O にも、常閉固定接点N/C にも接触しない状態を同時に生じる状態を経て、可動接点25が常閉固定接点22側に復帰することを意味する。
【0051】
すなわち、「複数個の可動接点が連動して同時に復帰する」という場合に、かならずしも、複数個の可動接点が、全く同時に常開固定接点N/O から離れる必要はなく、要は、複数個の可動接点が、共に、常開固定接点N/O にも、常閉固定接点N/C にも接触しない状態を同時に生じる状態が生じればよいことを意味している。以上のことは、後述する他の実施の形態の場合にも同様である。
【0052】
上述の構成の図1の実施の形態の場合、電磁継電器20の第1の接点組27の常開固定接点23は、第2の接点組28の常開固定接点24を通じて電源端子33に接続される構成であり、直流モータ32に流れる直流電流Iの電流路には、2個の常開固定接点N/O が直列に接続される状態となる。
【0053】
したがって、各接点組27および28において、それぞれの可動接点が連動してほぼ同時に元の状態に復帰するときに、可動接点と常開固定接点N/O との間にアークが発生しても、電源電圧は、2個の接点組27、28の接点ギャップに印加されることになるので、分圧されて、1個の接点組当たりの印加電圧は1/2になる。このため、接点組27および28のそれぞれにおける接点ギャップ長が小さくても、前述したようなアークによるショートの問題を生じ難くすることができる。
【0054】
しかも、接点ギャップの大きさが小さい複数個の常開固定接点を直列に接続した構成により、常開固定接点の開離速度を等価的に高速にすることができる。すなわち、この発明による電磁継電器では、それぞれの接点ギャップの大きさは小さい複数個の常開固定接点を直列に接続したことにより、電源電圧が印加される接点ギャップの大きさを等価的に大きくすることができる。そして、この等価的な大きさの接点ギャップについての開離速度は、直列接続の各常開固定接点がほぼ同時に開離するので、その等価的な大きさの接点ギャップを一つの接点組で実現する場合に比べて、速くなる。
【0055】
したがって、この実施の形態によれば、接点ギャップ長が小さい電磁継電器であっても、アーク遮断能力を向上させることができる。
【0056】
したがって、この実施の形態の電磁継電器によれば、バッテリーの電圧が高くなっても、接点ギャップ長を大きくする必要はなく、小型の電磁継電器とすることができる。また、電源のバッテリー電圧が高くなっても、接点ギャップ長は短くてよいので、動作速度が速いという効果もある。
【0057】
なお、図1において、第1の接点組27の常開固定接点23を、第2の接点組28の可動接点26に接続し、第2の接点組28の常開固定接点24を電源端子33に接続するように構成しても、アーク遮断能力に関しては、上述と同様の作用効果が得られる。しかし、図1の実施の形態のように、第1および第2の接点組の常開固定接点同士を接続するようにした方が、以下に説明する電磁継電器20の実施の形態のように、電磁継電器の構成部品を少なくして、構造を簡単にすることができる。
【0058】
[ワイパー駆動制御用の電磁継電器の第1の実施の形態の構造]
図2は、図1に示したワイパー駆動制御用の電磁継電器20の構造の一例を示すための図であり、これは電磁継電器20を各部品に分解して示したものである。
【0059】
図2の電磁継電器20の各部品は、端子板201上に組み立てられ、カバー202が端子板201に組み合わされることにより、組み立てられた部品が覆われる構成とされる。電磁継電器20の筐体は、端子板201とカバー202とにより構成される。
【0060】
なお、図3は、端子板201をその裏側から見たものであり、外部に導出する端子用の貫通孔201a,201b,201c,201d,201eが示されている。
【0061】
図2において、203は電磁石組立であり、L字型の継鉄によって鉄心入りのコイル21を保持する構造を有している。そして、この電磁石組立203は、コイル21の一端および他端がそれぞれ接続されている導電体材料からなるコイル端子204および205を備える。このコイル端子204および205は、端子板201のコイル端子導出用貫通孔201a,201bを貫通して、外部に導出される。
【0062】
206は、常閉固定接点22が形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板である。この例では、この常閉固定接点板206には、これと一体に常閉固定接点端子206tが形成されている。この常閉固定接点端子206tは、端子板201の端子導出用貫通孔201cを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0063】
また、207および208は、導電体材料からなる可動接点ばねである。可動接点ばね207には可動接点25が形成され、可動接点ばね208には可動接点26が形成されている。この例では、これらの可動接点ばね207および208には、これと一体に可動接点端子207tおよび208tが形成されており、可動接点端子207tは、端子板201の端子導出用貫通孔201cを貫通して外部に導出され、また、可動接点端子208tは、端子板201の端子導出用貫通孔201dを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0064】
209は、導電体材料からなる共通常開固定接点板である。この共通常開固定接点板209は、第1の接点組27の常開固定接点23が形成されている常開固定接点部209aと、第2の接点組28の常開固定接点24が形成されている常開固定接点部209bとを備える。つまり、第1の接点組27の常開固定接点23と、第2の接点組28の常開固定接点24とは、共通の1枚の導電体板部として構成される共通常開固定接点板209上に形成され、これにより、電気的に共通に接続されている。
【0065】
この共通常開固定接点板209は、端子板201に形成されている凹溝201f内に嵌合される。しかし、この共通常開固定接点板209からは、電磁継電器20の筐体外部に端子は導出されない。
【0066】
そして、磁性材料からなる接極子210が、電磁石組立203に、ヒンジばね211により取り付けられる。この接極子210は、この例では、カード部210aを備える。そして、コイル21に電流が供給されることにより構成される電磁石により、接極子210が電磁石組立203側に吸引されると、図4にも示すように、カード部210aが2個の可動接点ばね207および208を同時に、共通常開固定接点板209側に変位させるように構成されている。
【0067】
電磁継電器20は、以上のような構成であるので、コイル21に電流が供給されない状態では、接極子210は、電磁石組立203側に吸引されず、このため、可動接点ばね207および208は、共通常開固定接点板209側に変位されず、第1の接点組27の常閉固定接点22と可動接点25とが接続される状態になるとともに、第2の接点組28の可動接点は、常開固定接点24と離間される状態となる。
【0068】
そして、コイル端子204および205を通じてコイル21に電流が供給されると、接極子210が電磁石組立203に吸引されて、この接極子210の先端のカード部210aが、図4に示すように、2個の可動接点ばね207および208を、共通常開固定接点板209側に同時に変位させるようにする。
【0069】
このときの接極子210による可動接点ばね207の弾性変位により、第1の接点組27の可動接点25は、常閉固定接点22との接続を解除して、共通常開固定接点板209の常開固定接点部209aの常開固定接点23に接続される。また、接極子210による可動接点ばね208の弾性変位により、第2の接点組27の可動接点26は、共通常開固定接点板209の常開固定接点部209bの常開固定接点24に接続される。
【0070】
したがって、可動接点ばね207の端子207tと可動接点ばね208の端子208tとの間には、2個の常開固定接点が直列に接続されることになる。
【0071】
そして、コイル21への電流の供給が停止されると、電磁石組立203による接極子210の吸引力が消滅するため、接極子210による可動接点ばね207および208に対する弾性変位力が消滅するので、可動接点ばね207および208は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板209の常開固定接点23および24から開離し、第1の接点組27の可動接点25が常閉固定接点22に接続され、また、第2の接点組28の可動接点26が常開固定接点24と離間する元の状態に復帰する。
【0072】
このときに、電磁継電器20が、図1の直流モータ駆動回路のように接続された場合、電源電圧が印加される等価的な接点ギャップ長は、第1の接点組27の可動接点25と常開固定接点部209aの常開固定接点23との間のギャップ長g1と、第2の接点組28の可動接点26と常開固定接点部209bの常開固定接点23との間のギャップ長g2との和となり、電源電圧は、それぞれのギャップ長g1,g2に分圧されて印加されることになる。したがって、前述したアーク遮断能力として十分なギャップ長g1,g2の値は、電源電圧が、一つの接点ギャップに印加される場合に比較して短くてよくなる。
【0073】
そして、この例の場合、電磁継電器20として必要な接点ギャップ長は、g1(あるいはg2;g1とg2とはほぼ等しい)であるので、一つの接点組の接点ギャップの場合の、ほぼ1/2とすることができる。したがって、電磁継電器20は小型のものとすることができる。
【0074】
そして、この例の電磁継電器20の場合、第1および第2の接点組27および28の常開固定接点23および24は、共通常開固定接点板209に形成するようにしたことにより、部品点数を削減して、構造を簡略化することができる。
【0075】
すなわち、2個の常開固定接点を直列に接続することを実現する方法としては、常開固定接点部209aと常開固定接点部209bとを別個に形成して、それらを電気的に筐体内部で接続する構成とすることもできるし、また、常開固定接点部209aと常開固定接点部209bとのそれぞれから端子を筐体外部に導出して、それらの端子間を電気的に接続する構成とすることもできる。さらには、常開固定接点部209aと可動接点ばね208とを電気的に接続すると共に、常開固定接点部209bから端子を導出することにより、可動接点ばね207の端子207tと、常開固定接点部209bから導出した端子との間において、2個の常開固定接点を直列に接続することを実現することもできる。
【0076】
しかし、それらの場合には、常開固定接点部材が2つ必要となると共に、電気的接続のための工程が必要になってしまう。これに対して、図2の実施の形態のような共通常開固定接点板209を用いる構成によれば、常開固定接点部材として部品点数が一つになると共に、常開固定接点部209aと常開固定接点部209bとを電気的に接続するなどの工程が不要であるという効果がある。
【0077】
また、図2の実施の形態の電磁継電器20によれば、一つの接極子210(接極子カード210a)により同時に2個の可動接点ばねを弾性変位させる構成であるので、コイルが一つで済むと共に、アーク遮断能力を向上させるために必要な、2個の常開固定接点からの可動接点の開離をほぼ同時に行わなければならないという条件を容易に満足することができる。
【0078】
[ワイパー駆動制御用の電磁継電器の第2の実施の形態の構造]
図5は、図1に示したワイパー駆動制御用の電磁継電器20の構造の他の例を示すための図であり、これも電磁継電器20を各部品に分解して示したものである。
【0079】
図5の電磁継電器20の各部品は、端子板221上に組み立てられ、カバー222が端子板221に組み合わされることにより、組み立てられた部品が覆われる構成とされる。この例の電磁継電器20の筐体は、端子板221とカバー222とにより構成される。
【0080】
図5において、223は電磁石組立であり、L字型の継鉄によって鉄心入りのコイル21を保持する構造を有している。そして、この電磁石組立223は、コイル21の一端および他端がそれぞれ接続されている導電体材料からなるコイル端子224および225を備える。このコイル端子224および225は、端子板221のコイル端子導出用貫通孔221a,221bを貫通して、外部に導出される。
【0081】
229は、導電体材料からなる共通常開固定接点板である。この共通常開固定接点板229には、第1の接点組27の常開固定接点23と、第2の接点組28の常開固定接点24とが形成されている。この共通常開固定接点板229は、折り曲げ片229aを備え、その折り曲げ片229aが電磁石組立223に設けられている凹溝232に嵌合されることにより、共通常開固定接点板229が電磁石組立223に取り付けられる。共通常開固定接点板229からは、電磁継電器20の筐体外部に端子は導出されない。
【0082】
226は、常閉固定接点22が形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板である。この例では、この常閉固定接点板226は、電磁石組立223に設けられている挿入溝231に嵌合されて、電磁石組立223に取り付けられるが、その際、常閉固定接点22と、共通常開固定接点板229に設けられている常開固定接点23とが所定のギャップ長だけ離れるように、常閉固定接点板226は、取り付けられる。なお、挿入溝231は、常開固定接点23と常閉固定接点22との間の距離分だけの高さを備えるように構成されている。
【0083】
常閉固定接点板226には、これと一体に常閉固定接点端子226tが形成されている。この常閉固定接点端子226tは、端子板221の端子導出用貫通孔221cを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0084】
227および228は、導電体材料からなる可動接点ばねである。可動接点ばね227には可動接点25が形成され、可動接点ばね228には可動接点26が形成されている。この例では、これら可動接点ばね227および228を絶縁物234により固着して、磁性材からなる接極子板235に取り付けて接極子組立を構成する。
【0085】
すなわち、この例においては、2個の可動接点ばね227および228は、ほぼL字形に折り曲げられた形状を備え、これら可動接点ばね227、228を図5に示すように揃えて並べた状態において、その折り曲げ位置の両側で絶縁物233および234により、これら2個の可動接点ばね227、228を固着する。この固着は、例えば絶縁物233、234として絶縁樹脂を用いたインサート成型によって行われる。
【0086】
そして、可動接点ばね227、228の、可動接点25および26が設けられる方の固着部分の絶縁物234には、磁性材からなる接極子板235が固着されて、接極子組立が構成される。
【0087】
そして、可動接点ばね227、228を含むこの接極子組立は、絶縁物233の部分で、電磁石組立223に取り付けられる。このとき、コイル21に電流が流れていない状態においては、可動接点ばね227に設けられている可動接点25が、常閉固定接点22に接触すると共に、常開固定接点23と所定のギャップ長分だけ離れるようにされ、また、可動接点ばね228に設けられている可動接点26は、常開固定接点24と所定のギャップ長分だけ離れるようにされる。
【0088】
そして、この取り付け状態では、電磁石組立223のコイル21に電流が流れることにより構成される電磁石により、接極子板235が吸引されるように構成されている。接極子板235は、2個の可動接点ばね227、228に固着されているので、2個の可動接点ばね227、228は、この接極子板235の動きに応じて同時に駆動される。
【0089】
そして、可動接点ばね227の可動接点端子227tは、端子板221の端子導出用貫通孔221dを貫通して外部に導出され、また、可動接点ばね228の可動接点端子228tは、端子板221の端子導出用貫通孔221eを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0090】
この第2の実施の形態の電磁継電器20は、以上のような構成であるので、コイル21に電流が供給されない状態では、接極子板235は、電磁石組立223側に吸引されず、このため、可動接点ばね227および228は、共通常開固定接点板229側に変位されず、第1の接点組27の可動接点25は、常開固定接点23とは離間して、常閉固定接点22に接続される状態になるとともに、第2の接点組28の可動接点26は、常開固定接点24と離間される状態となる。
【0091】
そして、コイル端子224および225を通じてコイル21に電流が供給されると、接極子板235が電磁石組立223に吸引されるため、可動接点ばね227および228は、常開固定接点板229側に同時に変位し、可動接点25および26が、それぞれ常開固定接点23および24に同時に接続される。
【0092】
したがって、可動接点ばね227の端子227tと可動接点ばね228の端子228tとの間には、2個の常開固定接点23、24が直列に接続されることになる。
【0093】
そして、コイル21への電流の供給が停止されると、電磁石組立223による接極子板235の吸引力が消滅するため、可動接点ばね227および228は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板229の常開固定接点23および24から開離し、第1の接点組27の可動接点25が常閉固定接点22に接続され、第2の接点組28の可動接点26が常開固定接点24と離間する元の状態に復帰する。
【0094】
このときに、電磁継電器20が、図1の直流モータ駆動回路のように接続された場合、電源電圧が印加される等価的な接点ギャップ長は、第1の接点組27の可動接点25と常開固定接点23との間のギャップ長g1と、第2の接点組28の可動接点26と常開固定接点24との間のギャップ長g2との和となり、電源電圧は、それぞれのギャップ長g1,g2に分圧されて印加されることになる。したがって、前述したアーク遮断能力として十分なギャップ長g1,g2の値は、電源電圧が、一つの接点ギャップに印加される場合に比較して短くてよくなる。
【0095】
そして、この例の場合、電磁継電器20として必要な接点ギャップ長は、g1(あるいはg2;g1とg2とはほぼ等しい)であるので、一つの接点組の接点ギャップの場合の、ほぼ1/2とすることができる。したがって、電磁継電器20は小型のものとすることができる。
【0096】
また、この第2の実施の形態の電磁継電器20の場合には、接極子カードを用いない構成であるので、前述の第1の実施の形態の場合の電磁継電器に比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0097】
さらに、この第2の実施の形態の構成によれば、2個の可動接点ばね227、228が、絶縁物により接極子板235に固定されているので、2個の可動接点25、26の一方と常開固定接点23、24の一方が溶着したときには、他方の可動接点も、復帰位置まで戻らない。このため、常閉固定接点が存在しない方の可動接点26と常開固定接点24とが溶着しても、他方の可動接点25は、常閉固定接点22側には戻らないので、電磁継電器の可動接点の常開固定接点からの開離時の継続アークにより、常開固定接点と常閉固定接点との間がデッドショートとなることはない。
【0098】
したがって、上述のような溶着が発生したときであっても、電磁継電器が破壊されてしまうだけであって、同じ回路基板上の制御回路などを破壊してしまうような事態を回避することができる。
【0099】
[パワーウインドウ駆動部に適用した直流モータ駆動回路およびそれに使用する電磁継電器の実施の形態]
図6は、この発明をパワーウインドウ駆動部に適用した場合の電磁継電器の実施の形態の等価回路構成と、この電磁継電器を用いたパワーウインドウ駆動部の直流モータ駆動回路の実施の形態の構成を示すものである。
【0100】
この図6の実施の形態においては、ウインドウアップ/ダウン駆動制御用としての実施の形態の1個の電磁継電器40が、ウインドウアップ制御回路71およびウインドウダウン制御回路72により駆動制御されることにより、ウインドウ駆動用の直流モータ70の正逆回転駆動制御および制動制御が行われる構成とされる。
【0101】
この実施の形態の電磁継電器40は、前述のワイパー駆動制御用の電磁継電器20と同様の構成の第1および第2の継電器部50および60からなる。
【0102】
電磁継電器40の第1の継電器部50は、1個のコイル51と、1個の常閉固定接点52と、2個の常開固定接点53、54と、2個の可動接点55、56とを備える。この場合、常閉固定接点52と常開固定接点53と可動接点55とは第1の接点組57を構成し、常開固定接点54と可動接点56とは第2の接点組58を構成する。そして、2個の常開固定接点53と54とは直列に接続される。また、2個の可動接点55および56は、コイル51により連動して同時に駆動される。
【0103】
2個の常開固定接点53と54との直列接続は、電磁継電器40の筐体外にこれら2個の常開固定接点53と54から導出された端子間を接続することにより行ってもよいが、この実施の形態の電磁継電器40では、これら2個の常開固定接点53と54とからは外部端子を導出せずに、電磁継電器40の筐体内において、行うようにしている。
【0104】
また、電磁継電器40の第2の継電器部60は、1個のコイル61と、1個の常閉固定接点62と、2個の常開固定接点63、64と、2個の可動接点65、66とを備える。この場合、常閉固定接点62と常開固定接点63と可動接点65とは第1の接点組67を構成し、常開固定接点64と可動接点66とは第2の接点組68を構成する。そして、2個の常開固定接点63と64とは直列に接続される。また、2個の可動接点65および66は、コイル61により連動して同時に駆動される。
【0105】
2個の常開固定接点63と64との直列接続は、電磁継電器40の筐体外にこれら2個の常開固定接点63と64から導出された端子間を接続することにより行ってもよいが、この実施の形態の電磁継電器40では、これら2個の常開固定接点63と64とからは外部端子を導出せずに、電磁継電器40の筐体内において、行うようにしている。
【0106】
さらに、図6の例では、第1の継電器部50の常閉固定接点52と、第2の継電器部60の常閉固定接点62とが筐体内において接続され、これら2つの常閉固定接点52および62に対して、共通の1個の端子52bを外部に導出するように構成している。
【0107】
そして、パワーウインドウ用の直流モータ70の一端側は、電磁継電器40のウインドウアップ制御用となる第1の継電器部50の第1の接点組57の可動接点55に接続されている可動接点端子55aに接続され、また、直流モータ70の他端側は、電磁継電器40のウインドウダウン制御用となる第2の継電器部60の可動接点65に接続されている可動接点端子65aに接続される。
【0108】
そして、第1の継電器部50の第1の接点組57の常閉固定接点52と、第2の継電器部60の第1の接点組67の常閉固定接点62とは、電磁継電器40の筐体内おいて互いに接続され、その接続点から共通常閉固定接点端子52bが導出され、その共通常閉固定接点端子52bが電源端子の一方、この例では、接地される。
【0109】
また、第1の継電器部50の第1の接点組57の常開固定接点53は、第2の接点組58の常開固定接点54に接続される。また、第2の継電器部60の第1の接点組67の常開接点端子63は、第2の接点組68の常開接点端子64に接続される。
【0110】
さらに、第1の継電器部50の第2の接点組58の可動接点56に接続されている可動接点端子56aと、第2の継電器部60の第2の接点組68の可動接点66に接続されている可動接点端子66aとが互いに接続され、その接続点が電源端子の他方、この例では、自動車用のバッテリーからの例えば24Vの直流電源電圧が供給される電源端子33に接続される。
【0111】
そして、第1の継電器部50のコイル51には、ウインドウアップ制御回路71から、使用者のウインドウアップ操作に応じた制御電流が供給される。また、第2の継電器部60のコイル61には、ウインドウダウン制御回路72から、使用者のウインドウダウン操作に応じた制御電流が供給される。
【0112】
次に、図6の直流モータ駆動回路の動作について説明する。
【0113】
使用者がウインドウアップ操作をすると、例えばその操作が行われている間、スイッチ73がオンとなり、ウインドウアップ制御回路71から電磁継電器40の第1の継電器部50のコイル51に制御電流が流れ、第1の継電器部50の第1および第2の接点組57、58の可動接点55、56のそれぞれは、連動してほぼ同時に常開固定接点53、54側に接続される。したがって、直流モータ70には、図6において、実線の矢印で示す方向に直流電流Inが流れて、直流モータ70は例えば正転方向に駆動され、これにより、自動車の窓ガラスが上昇運動するようにされる。
【0114】
そして、使用者がウインドウアップ操作を止めると、スイッチ73がオフに戻り、第1の継電器部50のコイル51には制御電流が流れなくなり、2個の接点組57および58の可動接点55および56のそれぞれは、連動して常開固定接点53および54から開離して、ほぼ同時に元の状態に戻る。このため、直流モータ70は制動され、窓ガラスの上昇運動が停止する。
【0115】
また、使用者がウインドウダウン操作をすると、例えばその操作が行われている間、スイッチ74がオンとなり、ウインドウダウン制御回路72から第2の継電器部60のコイル61に制御電流が流れ、第2の継電器部60の2個の接点組67および68の可動接点65および66のそれぞれは、連動してほぼ同時に常開固定接点63および64に接続される。したがって、直流モータ70には、図6において、破線の矢印で示す方向に直流電流Irが流れて、直流モータ70は前記とは逆の回転方向に駆動され、これにより、窓ガラスが下降運動するようにされる。
【0116】
そして、使用者がウインドウダウン操作を止めると、スイッチ74がオフに戻り、第2の継電器部60のコイル61には制御電流が流れなくなり、2個の接点組67および68の可動接点65および66のそれぞれは、連動して常開固定接点63および64から開離して、ほぼ同時に元の状態に戻る。このため、直流モータ70は制動され、窓ガラスの下降運動が停止する。
【0117】
このパワーウインドウの駆動部に適用した場合の実施の形態においては、ウインドウアップ動作時においては、電磁継電器40の第1の継電器部50の第1の接点組57の常開接点53は、第2の接点組58の常開接点54を通じて電源端子33に接続され、また、ウインドウダウン動作時においては、第2の継電器部60の第1の接点組は67の常開接点63は、第2の接点組68の常開接点64を通じて電源端子33に接続される構成である。すなわち、いずれの場合においても、直流モータ70に流れる直流電流InまたはIrの電流路には、2個の常開接点N/O が直列に接続される状態となる。
【0118】
したがって、前述の実施の形態と同様にして、各接点組における接点ギャップ長が小さくても、アークによる常閉接点N/C と常開接点N/O との間のショートの問題を生じ難くすることができる。
【0119】
しかも、接点ギャップの大きさが小さい複数個の常開接点を直列に接続した構成により、前述したように、可動接点の常開固定接点からの開離速度を高速にすることができる。
【0120】
さらに、この実施の形態の電磁継電器40によれば、このようにアーク遮断能力の高い一つの電磁継電器で、ウインドウアップ/ダウン制御をすることができるという効果がある。
【0121】
以上のように、この実施の形態によれば、接点ギャップ長が小さい小型の電磁継電器であって、アーク遮断能力を向上させたパワーウインドウ駆動制御用の電磁継電器を実現することができる。
【0122】
なお、図6において、電磁継電器40の第1および第2の継電器部50および60の、それぞれ第1の接点組57、67の常開接点端子53、63を、第2の接点組58、68の可動接点56、66に接続し、第2の接点組58、68の常開接点54、64を電源端子33に接続するように構成しても、アーク遮断能力に関しては、上述と同様の作用効果が得られる。しかし、図6の実施の形態のように、第1および第2の接点組57、58または67、68の常開固定接点同士を接続するようにした方が、以下に説明する電磁継電器40の実施の形態のように、電磁継電器の構成部品を少なくして、構造を簡単にすることができる。
【0123】
[ウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器の第1の実施の形態の構造]
図7は、図6に示したウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器40の構造の一例を示すための図であり、これは電磁継電器40を各部品に分解して示したものである。
【0124】
図7の電磁継電器40の各部品は、端子板301上に組み立てられ、カバー302が端子板301に組み合わされることにより、組み立てられた部品が覆われる構成とされる。電磁継電器40の筐体は、端子板301とカバー302とにより構成される。
【0125】
なお、図8は、端子板301をその裏側から見たものであり、外部に導出する端子用の貫通孔301a,301b,301c,301d,301e,301g,301h,301i,301jが示されている。
【0126】
図7の電磁継電器40の例は、第1の継電器部50および第2の継電器部60のそれぞれとして、図2に示した電磁継電器20を用いたものとほぼ等しい。すなわち、図7の電磁継電器40は、図2の電磁継電器20の2個を筐体内に保持したものとほぼ等しい。
【0127】
図7において、参照符号303以降の300番代の符号を付与した部分は、第1の継電器部50を形成する部分であり、参照符号403以降の400番代の符号を付与した部分は、第2の継電器部60を形成する部分である。
【0128】
図7において、303は第1の継電器部50の電磁石組立であり、また、403は第2の継電器部60の電磁石組立である。それぞれの電磁石組立303および403は、L字型の継鉄によって鉄心入りのコイル51および61を保持する構造を有している。そして、電磁石組立303および403は、それぞれコイル51および61の一端および他端がそれぞれ接続されている導電体材料からなるコイル端子304、305および404および405を備える。これらのコイル端子304、305、404、405は、端子板301のコイル端子導出用貫通孔301a,301b,301c,301dを貫通して、外部に導出される。
【0129】
306は、第1の継電器部50の第1の接点組57の常閉固定接点52が形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板部である。また、406は、第2の継電器部60の第1の接点組67の常閉固定接点62が形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板部である。
【0130】
この例では、これらの常閉固定接点板部306と406とは互いに連結された一体のものとされており、電気的にも接続された構造とされている。そして、これと一体に常閉固定接点端子306tが形成されている。この常閉固定接点端子306tは、端子板301の端子導出用貫通孔301eを貫通して外部に導出されるようにされている。なお、常閉固定接点板部306と406との連結部は、端子板301の凹溝301fに嵌合するようにされている。
【0131】
また、307および308は、第1の継電器部50の第1および第2の接点組の可動接点ばねであり、導電体材料からなる。可動接点ばね307には可動接点55が形成され、可動接点ばね308には可動接点56が形成されている。この例では、これらの可動接点ばね307および308のそれぞれには、これと一体に可動接点端子307tおよび308tが形成されており、可動接点端子307tは、端子板301の端子導出用貫通孔301gを貫通して外部に導出され、また、可動接点端子308tは、端子板301の端子導出用貫通孔301hを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0132】
また、407および408は、第2の継電器部60の第1および第2の接点組の可動接点ばねであり、導電体材料からなる。可動接点ばね407には可動接点65が形成され、可動接点ばね408には可動接点66が形成されている。この例では、これらの可動接点ばね407および408のそれぞれには、これと一体に可動接点端子407tおよび408tが形成されており、可動接点端子407tは、端子板301の端子導出用貫通孔301iを貫通して外部に導出され、また、可動接点端子408tは、端子板301の端子導出用貫通孔301jを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0133】
309は、導電体材料からなる共通常開固定接点板である。この共通常開固定接点板309は、第1の継電器部50および第2の継電器部60に共通のものである。
【0134】
すなわち、この共通常開固定接点板309は、第1の継電器部50の第1の接点組57の常開固定接点53が形成されている常開固定接点部309aと、第2の接点組58の常開固定接点54が形成されている常開固定接点部309bと、第2の継電器部60の第1の接点組67の常開固定接点63が形成されている常開固定接点部309cと、第2の接点組68の常開固定接点64が形成されている常開固定接点部309dとを備える。
【0135】
つまり、第1の継電器部50の第1および第2の接点組57および58の常開固定接点53および54と、第2の継電器部60の第1および第2の接点組67および68の常開固定接点63および64とは、共通の1枚の導電体板部として構成される共通常開固定接点板309上に形成され、これにより、電気的に共通に接続されている。
【0136】
この共通常開固定接点板309は、端子板301に形成されている凹溝301k内に嵌合される。しかし、この共通常開固定接点板309からは、電磁継電器40の筐体外部に端子は導出されない。
【0137】
そして、第1の継電器部50では、磁性材料からなる接極子310が、電磁石組立303に、ヒンジばね311により取り付けられる。この接極子310は、この例では、カード部310aを備える。そして、コイル51に電流が供給されることにより構成される電磁石により、接極子310が電磁石組立303側に吸引駆動されると、図9にも示すように、カード部310aが2個の可動接点ばね307および308を同時に、共通常開固定接点板309側に変位させるように構成されている。
【0138】
また、第1の継電器部60では、磁性材料からなる接極子410が、電磁石組立403に、ヒンジばね411により取り付けられる。この接極子410は、この例では、カード部410aを備える。そして、コイル61に電流が供給されることにより構成される電磁石により、接極子410が電磁石組立303側に吸引駆動されると、図9にも示すように、カード部410aが2個の可動接点ばね407および408を同時に、共通常開固定接点板309側に変位させるように構成されている。
【0139】
電磁継電器40は、以上のような構成であるので、第1の継電器部50では、コイル51に電流が供給されない状態では、接極子310は、電磁石組立303側に吸引されず、このため、可動接点ばね307および308は、共通常開固定接点板309側に変位されず、第1の接点組57の常閉固定接点52と可動接点55とが接続される状態になるとともに、第2の接点組58の可動接点56は、常開固定接点54と離間されている状態となる。
【0140】
そして、コイル端子304および305を通じてコイル51に電流が供給されると、接極子310が電磁石組立303に吸引されて、この接極子310の先端のカード部310aが、図9に示すように、2個の可動接点ばね307および308を、共通常開固定接点板309側に同時に変位させるようにする。
【0141】
このときの接極子310による可動接点ばね307の弾性変位により、第1の接点組57の可動接点55は、常閉固定接点52との接続を解除して、共通常開固定接点板309の常開固定接点部309aの常開固定接点53に接続される。また、接極子310による可動接点ばね308の弾性変位により、第2の接点組57の可動接点56は、共通常開固定接点板309の常開固定接点部309bの常開固定接点54に接続される。
【0142】
したがって、可動接点ばね307の端子307tと可動接点ばね308の端子308tとの間には、2個の常開固定接点53、54が直列に接続されることになる。
【0143】
そして、コイル51への電流の供給が停止されると、電磁石組立303による接極子310の吸引力が消滅するため、接極子310による可動接点ばね307および308に対する弾性変位力が消滅するので、可動接点ばね307および308は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板309の常開固定接点53および54から開離し、第1の接点組57の可動接点55が常閉固定接点52に接続され、また、第2の接点組58の可動接点56が常開固定接点54と離間する元の状態に復帰する。
【0144】
第2の継電器部60においても、上述の第1の継電器部50の場合と同様にして動作するようにされる。
【0145】
この実施の形態の電磁継電器40では、その第1の継電器部50および第2の継電器部60が、前述の図2の電磁継電器20と同一の作用効果を有するので、前述の図2の実施の形態の電磁継電器20と同様の効果を奏する。すなわち、この実施の形態によれば、接点ギャップ長が短い構造であっても、アーク遮断能力に優れたウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器を実現することができる。
【0146】
そして、この例の電磁継電器40の場合、第1の継電器部50および第2の継電器部60の全ての常開固定接点53、54、63、64は、共通常開固定接点板309に形成するようにしたことにより、部品点数を削減して、構造を簡略化することができると共に、複数個の常開接点を直列接続させるための電気的接続工程を不要とすることができる。
【0147】
また、図7の実施の形態の電磁継電器40によれば、それぞれ第1および第2のの継電器部50および60の一つの接極子310および410により、それぞれ同時に2個の可動接点ばね307、308および407、408を弾性変位させる構成であるので、第1および第2のの継電器部50および60のコイルがそれぞれ一つで済むと共に、アーク遮断能力を向上させるために必要な、2個の常開固定接点からの可動接点の開離をほぼ同時に行わなければならないという条件を容易に満足することができる。
【0148】
また、この図7の実施の形態においては、図6の直流モータ駆動回路用として、第1および第2の継電器部50および60の常閉固定接点52、62を筐体内部において互いに接続して共通常閉固定接点部品とし、この共通常閉固定接点部品から端子306tを導出するようにしているので、端子数を少なくすることができると共に、部品点数を少なくすることができる。
【0149】
なお、同様にして、第1の継電器部50の第2の接点組58の可動接点56が設けられている可動接点ばね308と、第2の継電器部60の第2の接点組68の可動接点66が設けられている可動接点ばね408とを筐体内部で互いに接続して一つの部品とし、この共通部品から一つ端子を導出するようにすることもできる。
【0150】
[ウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器の第2の実施の形態の構造]
図10は、図6に示したウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器40の構造の他の一例を示すための図であり、この図10も電磁継電器40を各部品に分解して示したものである。
【0151】
図10の電磁継電器40の各部品は、端子板331上に組み立てられ、カバー332が端子板331に組み合わされることにより、組み立てられた部品が覆われる構成とされる。電磁継電器40の筐体は、端子板331とカバー332とにより構成される。端子板331には、電磁継電器40の筐体の外部に導出する端子用の貫通孔331a,331b,331c,331d,331e,331g,331h,331i,331jが設けられている。
【0152】
図10の電磁継電器40の例は、第1の継電器部50および第2の継電器部60のそれぞれとして、図5に示した電磁継電器20を用いたものとほぼ等しい。すなわち、図10の電磁継電器40は、図5の電磁継電器20の2個を筐体内に保持したものとほぼ等しい。
【0153】
図10において、参照符号333以降の300番代の符号を付与した部分は、第1の継電器部50を形成する部分であり、参照符号433以降の400番代の符号を付与した部分は、第2の継電器部60を形成する部分である。
【0154】
図10において、333は第1の継電器部50の電磁石組立であり、また、433は第2の継電器部60の電磁石組立である。それぞれの電磁石組立333および433は、L字型の継鉄によって鉄心入りのコイル51および61を保持する構造を有している。そして、電磁石組立333および433は、それぞれコイル51および61の一端および他端がそれぞれ接続されている導電体材料からなるコイル端子334、335および434、435を備える。これらのコイル端子334、335、434、435は、端子板331のコイル端子導出用貫通孔331a,331b,331c,331dを貫通して、外部に導出される。
【0155】
339は、第1の継電器部50の第1の接点組57の常開固定接点53と、第2の接点組58の常開固定接点54とが共通に設けられる共通常開固定接点板である。また、439は、第2の継電器部60の第1の接点組67の常開固定接点63と、第2の接点組68の常開固定接点64とが共通に設けられる共通常開固定接点板である。
【0156】
これらの共通常開固定接点板339および439は、それぞれ折り曲げ片339aおよび439aを備え、その折り曲げ片339aおよび439aが電磁石組立333および433に設けられている凹溝342および442に嵌合されることにより、共通常開固定接点板339および439が電磁石組立333および433に取り付けられる。これらの共通常開固定接点板339および439からは、電磁継電器20の筐体外部に端子は導出されない。
【0157】
336は、第1の継電器部50の第1の接点組57の常閉固定接点52が形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板である。また、436は、第2の継電器部60の第1の接点組67の常閉固定接点62が形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板である。
【0158】
この例では、これらの常閉固定接点板336と436のそれぞれと一体に常閉固定接点端子336tおよび436tが形成されている。これらの常閉固定接点端子336t、436tは、端子板331の端子導出用貫通孔331e、331fを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0159】
そして、この例では、この常閉固定接点板336および436は、電磁石組立333および433にそれぞれ設けられている挿入溝341および441に嵌合されて、電磁石組立333および433のそれぞれに取り付けられる。その際、常閉固定接点52と、共通常開固定接点板339に設けられている常開固定接点53とが所定のギャップ長だけ離れるように、常閉固定接点板336は、電磁石組立333に取り付けられると共に、常閉固定接点62と、共通常開固定接点板439に設けられている常開固定接点63とが所定のギャップ長だけ離れるように、常閉固定接点板436は、電磁石組立433に取り付けられる。なお、挿入溝341および441は、常開固定接点53と常閉固定接点52との間の距離分、および常開固定接点63と常閉固定接点62との間の距離分だけの高さを備えるように構成されている。
【0160】
337および338は、第1の継電器部50の第1および第2の接点組の可動接点ばねであり、導電体材料からなる。可動接点ばね337には可動接点55が形成され、可動接点ばね338には可動接点56が形成されている。この例では、これら可動接点ばね337および338を絶縁物343および344により固着して接極子板345に取り付けて、第1の継電器部50の接極子組立を構成する。
【0161】
また、437および438は、第2の継電器部60の第1および第2の接点組の可動接点ばねであり、導電体材料からなる。可動接点ばね437には可動接点65が形成され、可動接点ばね438には可動接点66が形成されている。この例では、これら可動接点ばね437および438を絶縁物443および444により固着して接極子板445に取り付けて、第2の継電器部60の接極子組立を構成する。
【0162】
すなわち、可動接点ばね337、338、437および438は、ほぼL字形に折り曲げられた形状を備え、可動接点ばね337と338とが、また、可動接点ばね437と438とが、それぞれ図10に示すように揃えて並べられた状態において、その折り曲げ位置の両側で絶縁物343と344とにより、また、絶縁物443と444とにより、固着される。この固着は、例えば絶縁物343、344、443および444として絶縁樹脂を用いたインサート成型によって行われる。
【0163】
そして、絶縁物344および444には、磁性材料からなる接極子板345および445がそれぞれ固着されて、第1および第2の継電器部50および60の接極子組立が構成される。
【0164】
そして、それぞれの接極子組立は、絶縁物343および443の部分で、電磁石組立333および433のそれぞれに取り付けられる。このとき、コイル51に電流が流れていない状態においては、可動接点ばね337、437に設けられている可動接点55、65が常閉固定接点52、62に接触すると共に、常開固定接点53、63と所定のギャップ長分だけ離れるようにされ、また、可動接点ばね338、438に設けられている可動接点56、66は、常開固定接点54、64と所定のギャップ長分だけ離れるようにされる。
【0165】
そして、この取り付け状態では、電磁石組立333、433のコイル51、61に電流が流れることにより構成される電磁石により、接極子板345、445が吸引されるように構成されている。接極子板345、445は、それぞれ2個の可動接点ばね337、338および437、438に固着されているので、2個の可動接点ばね337、338および437、438のそれぞれは、接極子板345、445の動きに応じてそれぞれ同時に駆動される。
【0166】
なお、可動接点ばね337の可動接点端子337t,338t,437tおよび438tのそれぞれは、端子板331の端子導出用貫通孔331g,331h,331iおよび331jを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0167】
この実施の形態の電磁継電器40は、以上のような構成であるので、第1および第2の継電器部50および60では、前述した図5の実施の形態の電磁継電器20と同様の動作を行なう。
【0168】
このように、この実施の形態の電磁継電器40では、その第1の継電器部50および第2の継電器部60が、前述の図5の電磁継電器20と同一の作用効果を有するので、前述の図5の実施の形態の電磁継電器20と同様の効果を奏する。したがって、この実施の形態においては、接点ギャップ長が短い構造であっても、アーク遮断能力に優れたウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器を実現することができる。
【0169】
また、図2の実施の形態の構成の電磁継電器20を、第1および第2の継電器部50および60に用いる場合に比べて、第1および第2の継電器部50および60の部品点数が少なくなり、構成を簡単にすることができる。
【0170】
さらに、図5の実施の形態において説明したように、第1および第2の継電器部50および60のそれぞれにおいて、それぞれの可動接点の、常開固定接点からの開離時の継続アークにより、常開固定接点と常閉固定接点間がデッドショートとなることを防止することができるので、電磁継電器と同じ基板上の制御回路などを破壊指定しまうような事態を回避することができる。
【0171】
[ウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器の第3の実施の形態の構造]
図11は、図6に示したウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器40の構造の、さらに他の例を示す図であり、これも電磁継電器40を各部品に分解して示したものである。この第3の実施の形態は、前述した図10の第2の実施の形態と同様に、第1および第2の継電器部50および60として、図5の電磁継電器と同様に、接極子組立を用いる場合である。
【0172】
この第3の実施の形態では、特に、第1の継電器部50の第1および第2の接点組57および58の常開固定接点53および54と、第2の継電器部60の第1および第2の接点組67および68の常開固定接点63および64とは、共通の1枚の導電体板部として構成される共通常開固定接点板457上に形成され、これにより、常開固定接点53、54、63、64が、電気的に共通に接続されている。
【0173】
この共通常開固定接点板457を、電磁石組立333および433に共通に取り付けるために、この第3の実施の形態では、共通取付板451が用いられる。この共通取付板451は、嵌合部452および453を備え、この嵌合部452および453内に、電磁石組立333および433のそれぞれに設けられる突部454および455がそれぞれ挿入嵌合されることにより、共通取付板451が電磁石組立333および433と結合される。
【0174】
共通取付板451には、さらに、電磁石組立333および433の底面のそれぞれに対応する位置に弾性突板456が設けられ、この弾性突板456の凹孔内に、図示しない電磁石組立333および433側に設けられている突部が嵌合して、共通取付板451が電磁石組立333および433としっかりと結合される。
【0175】
共通取付板451には、共通常開固定接点板457と、常閉固定接点板336および436に対応する常閉固定接点板458および459とが取り付けられる。これらの常閉固定接点板458と459のそれぞれと一体に常閉固定接点端子458tおよび459tが形成されている。これらの常閉固定接点端子458t、459tは、端子板331の端子導出用貫通孔331e、331fを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0176】
このため、共通取付板451の電磁石組立333、433側との反対側の面には、共通常開固定接点板457の圧入板部457aが圧入される凹溝が形成されると共に、常閉固定接点板部458および459の圧入突起460、461が圧入される凹溝が形成される。
【0177】
そして、可動接点ばね337、338、437および438は、共通取付板451の分だけ可動接点55、56、65および66を設ける側の長さが長くされる。また、常閉固定接点板部458および459の位置が、図10の第2の実施の形態の場合とはずれているので、それに合わせて、可動接点ばね337と338、また、可動接点ばね437と438の位置が、図10の第2の実施の形態とは逆となっている。
【0178】
その他は、第2の実施の形態と同様に構成されて、この第3の実施の形態の電磁継電器40が構成される。
【0179】
この図11の第3の実施の形態の電磁継電器40によっても、上述の実施の形態と同様の作用効果が得られることは勿論である。そして、この第3の実施の形態によれば、第1の継電器部50の第1および第2の接点組57および58の常開固定接点53および54と、第2の継電器部60の第1および第2の接点組67および68の常開固定接点63および64とは、共通の1枚の導電体板部として構成される共通常開固定接点板457上に形成され、これにより、電気的に共通に接続されているので、構成を簡略にすることができる。
【0180】
[パワーウインドウ駆動部に適用した直流モータ駆動回路およびそれに使用する電磁継電器の他の実施の形態]
図12は、パワーウインドウ駆動部に適用した場合の電磁継電器の他の実施の形態の等価回路構成と、この電磁継電器を用いたパワーウインドウ駆動部の直流モータ駆動回路の他の実施の形態を示す回路図である。
【0181】
この図12の実施の形態のウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器80は、前述した図6および図7に示した電磁継電器40の変形例である。この電磁継電器80も、基本的には第1の継電器部50と第2の継電器部60とからなるが、第1の継電器部50の第2の接点組58と第2の継電器部60の第2の接点組68とが共通の一つの共通接点組83としてまとめられている点が、前述の電磁継電器40と異なる。
【0182】
すなわち、図12に示すように、前記共通接点組83として、常開固定接点81と可動接点82とが設けられる。そして、第1の継電器部50の第1の接点組57の常開固定接点53と、第2の継電器部60の第1の接点組67の常開固定接点63と、共通接点組83の常開固定接点81とが共通に接続される。そして、共通接点組83の可動接点82が接続される可動接点端子82aが電源端子33に接続される。
【0183】
共通接点組83の可動接点82は、第1の継電器部50のコイル51によっても、また、第2の継電器部60のコイル61によっても、駆動制御されるように構成される。その他の構成は、図6の場合と全く同様である。
【0184】
この図12の直流モータ駆動回路の動作およびその作用効果は、共通接点組83の動作が、それぞれ第1および第2の継電器部50および60での第2の接点組の動作となるだけで、図6の直流モータ駆動回路と全く同様である。
【0185】
[ウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器の他の実施の形態の構造]
図13は、図12に示したウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器80の構造の一例を示すための図であり、これは電磁継電器80を各部品に分解して示したものである。この図13の電磁継電器80は、可動接点ばねの部分と、共通常開固定接点板の部分と、端子板の端子導出用貫通孔の数が異なる点を除いて、図7の電磁継電器40と全く同一であるので、それら同一部分には、同一参照符号を付して、その説明は省略する。
【0186】
なお、図14は、この電磁継電器80の端子板301をその裏側から見たものであり、外部に導出する端子用の貫通孔301a,301b,301c,301d,301e,301g,301m,301jが示されている。図6の電磁継電器40の端子板301と比較すると、可動接点ばねから導出される端子が一つ少なくなるので、その分、端子導出用貫通孔の数が少なくなっている。
【0187】
この電磁継電器80においては、前述の図7の電磁継電器40の第1の継電器部50の可動接点ばね308と、第2の継電器部60の可動接点ばね408とを一つにまとめて、共通の一つの可動接点ばね321とする。そして、この共通可動接点ばね321に共通接点組83の可動接点82を設けると共に、この共通可動接点ばね321から一体に端子321tを端子板301の貫通孔301mを通じて筐体外に導出する。
【0188】
また、この電磁継電器80の実施の形態の共通常開固定接点板322の場合には、可動接点ばねが3個になったことに対応したものとなる。すなわち、共通常開固定接点板322には、第1の継電器部50の常開固定接点53が形成される常開固定接点部322aと、第2の継電器部60の常開固定接点63が形成される常開固定接点部322bと、共通接点組83の常開固定接点81が形成される常開固定接点部322cとを設ける。
【0189】
この共通常開固定接点板322は、端子板301に形成されている凹溝301k内に嵌合される。しかし、この共通常開固定接点板322からは、電磁継電器80の筐体外部に端子は導出されない。その他は、図7の電磁継電器40と全く同様である。
【0190】
電磁継電器80は、以上のような構成であるので、第1の継電器部50で、コイル51に電流が供給されない状態では、接極子310は、電磁石により吸引駆動されず、このため、可動接点ばね307および共通可動接点ばね321は、共通常開固定接点板322側に変位されず、第1の接点組57の常閉固定接点52と可動接点55とが接続される状態になるとともに、共通接点組の可動接点82は、常開固定接点81と離間されている状態となる。
【0191】
そして、コイル端子304および305を通じてコイル51に電流が供給されると、電磁石により接極子310が電磁石組立303側に吸引駆動されて、この接極子310の先端のカード部310aが、図15に示すように、可動接点ばね307および共通可動接点ばね321を、共通常開固定接点板322側に変位させるようにする。
【0192】
このときの接極子310による可動接点ばね307の弾性変位により、第1の接点組57の可動接点55は、常閉固定接点52との接続を解除して、共通常開固定接点板322の常開固定接点部322aの常開固定接点53に接続される。また、接極子310による共通可動接点ばね321の弾性変位により、共通接点組83の可動接点82は、共通常開固定接点板322の常開固定接点部322cの常開固定接点81に接続される。
【0193】
したがって、可動接点ばね307の端子307tと共通可動接点ばね321の端子321tとの間には、2個の常開固定接点53、81が直列に接続されることになる。
【0194】
そして、コイル51への電流の供給が停止されると、接極子310による弾性変位力が消滅するので、可動接点ばね307および共通可動接点ばね321は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板322の常開固定接点53および共通接点組83の常開固定接点81から開離し、第1の接点組57の可動接点55が常閉固定接点52に接続される元の状態に復帰する。
【0195】
また、第2の継電器部60で、コイル61に電流が供給されない状態では、接極子410は、電磁石により駆動されず、このため、可動接点ばね407および共通可動接点ばね321は、共通常開固定接点板322側に変位されず、第1の接点組67の常閉固定接点62と可動接点65とが接続される状態になるとともに、共通接点組83の可動接点82は、常開固定接点81と離間されている状態となる。
【0196】
そして、コイル端子404および405を通じてコイル61に電流が供給されると、電磁石により接極子410が吸引されて、この接極子410の先端のカード部410aが、図15に示すように、可動接点ばね407および共通可動接点ばね321を、共通常開固定接点板322側に変位させるようにする。
【0197】
このときの接極子410による可動接点ばね407の弾性変位により、第1の接点組67の可動接点65は、常閉固定接点62との接続を解除して、共通常開固定接点板322の常開固定接点部322bの常開固定接点63に接続される。また、接極子410による共通可動接点ばね321の弾性変位により、共通接点組83の可動接点82は、共通常開固定接点板322の常開固定接点部322cの常開固定接点81に接続される。
【0198】
したがって、可動接点ばね407の端子407tと共通可動接点ばね321の端子321tとの間には、2個の常開固定接点63、81が直列に接続されることになる。
【0199】
そして、コイル61への電流の供給が停止されると、接極子410による弾性変位力が消滅するので、可動接点ばね407および共通可動接点ばね321は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板322の常開固定接点63および共通接点組83の常開固定接点81から開離し、第1の接点組67の可動接点65が常閉固定接点62に接続される元の状態に復帰する。
【0200】
この実施の形態の電磁継電器80も、前述の実施の形態の電磁継電器40と同様の作用効果を奏する。すなわち、この実施の形態によれば、接点ギャップ長が短い構造であっても、アーク遮断能力に優れたウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器を実現することができる。
【0201】
そして、この実施の形態の電磁継電器80によれば、電磁継電器40の場合に比べて、共通可動接点ばねを用いたことにより、可動接点ばねを一つ減らすことができ、より構造が簡単な電磁継電器を実現することができる。
【0202】
[パワーウインドウ駆動部に適用した直流モータ駆動回路およびそれに使用する電磁継電器のさらに他の実施の形態]
図16は、この発明をパワーウインドウ駆動部に適用した場合の電磁継電器のさらに他の実施の形態の等価回路構成と、この電磁継電器を用いたパワーウインドウ駆動部の直流モータ駆動回路の実施の形態の構成を示すものである。
【0203】
この実施の形態の電磁継電器90は、3個の継電器部91、92、93を一つの筐体内に備えて構成されている。
【0204】
第1の継電器部91は、常閉固定接点91bと、常開固定接点91mと、可動接点91Aと、可動接点91Aを駆動するためのコイル91Cとを備えて構成される。また、第2の継電器部92は、常閉固定接点92bと、常開固定接点92mと、可動接点92Aと、可動接点92Aを駆動するためのコイル92Cとを備えて構成される。さらに、第3の継電器部93は、常開固定接点93mと、可動接点93Aと、可動接点93Aを駆動するためのコイル93Cとを備えて構成される。
【0205】
そして、第1、第2、第3の継電器部91、92、93の常開固定接点91m92m、93mは、電磁継電器90の筐体内において、互いに電気的に接続されている。しかし、それらの共通接続部分からは、電磁継電器90の筐体外部には、端子は導出されない。
【0206】
また、第1の継電器部91の常閉固定接点91bと、第2の継電器部92の常閉固定接点92bとが互いに接続され、その接続点から共通常閉固定端子94が導出される。また、第1の継電器部91の可動接点91A、第2の継電器部92の可動接点92A、および第3の継電器部93の可動接点93Aからは、筐体外部にそれぞれ可動接点端子95が導出される。
【0207】
そして、この図16の実施の形態においては、パワーウインドウ用の直流モータ70の一端側は、第1の継電器部91の可動接点端子96に接続され、また、直流モータ70の他端側は、第2の継電器部92の可動接点端子97に接続される。共通常閉固定端子94は電源端子の一方、この例では接地される。また、第3の継電器部93の可動接点端子95は、電源端子の他方、この例では、直流電圧が供給される電源端子33に接続される。
【0208】
そして、ウインドウアップ制御回路71からの、使用者のウインドウアップ操作に応じた制御電流は、第1の継電器部91のコイル91Cに供給されると共に、第3の継電器部93のコイル93Cに供給される。また、ウインドウダウン制御回路72からの、使用者のウインドウダウン操作に応じた制御電流は、第2の継電器部92のコイル92Cに供給されると共に、第3の継電器部93のコイル93Cに供給される。
【0209】
使用者がウインドウアップ操作をすると、例えばその操作が行われている間、スイッチ73がオンとなり、ウインドウアップ制御回路71から第1の継電器部91および第3の継電器部93のコイル91Cおよび93Cに制御電流が流れ、継電器部91および93の可動接点91Aおよび93Aのそれぞれは、連動してほぼ同時に常開接点91mおよび93m側に接続される。したがって、直流モータ70には、図16において、実線の矢印で示す方向に直流電流Inが流れて、直流モータ70は例えば正転方向に駆動され、これにより、自動車の窓ガラスが上昇運動するようにされる。
【0210】
そして、使用者がウインドウアップ操作を止めると、スイッチ73がオフに戻り、電磁継電器91および93のコイル91Cおよび93Cには制御電流が流れなくなり、可動接点91Aおよび93Aはそれぞれ、連動してほぼ同時に元の状態に戻る。このため、直流モータ70は制動され、窓ガラスの上昇運動が停止する。
【0211】
一方、使用者がウインドウダウン操作をすると、例えばその操作が行われている間、スイッチ74がオンとなり、ウインドウダウン制御回路72から第2の継電器部92および第3の継電器部93のコイル92Cおよび93Cに制御電流が流れ、第2および第3の継電器部92および93の可動接点92Aおよび93Aのそれぞれは、連動してほぼ同時に常開接点92mおよび93m側に接続される。したがって、直流モータ70には、図16において、破線の矢印で示す方向に直流電流Irが流れて、直流モータ70は前記とは逆の回転方向に駆動され、これにより、窓ガラスが下降運動するようにされる。
【0212】
そして、使用者がウインドウダウン操作を止めると、スイッチ74がオフに戻り、第2の継電器部92および第3の継電器部93のコイル92Cおよび93Cには制御電流が流れなくなり、可動接点92Aおよび93Aのそれぞれは、連動してほぼ同時に元の状態に戻る。このため、直流モータ70は制動され、窓ガラスの下降運動が停止する。
【0213】
以上の説明からも判るように、この実施の形態においても、継電器部91または92の常開接点N/O は、第3の継電器部93の常開接点N/O を通じて電源端子33に接続される構成であり、直流モータ70に流れる直流電流InまたはIrの電流路には、2個の常開接点N/O が直列に接続される状態となる。
【0214】
したがって、前述の実施の形態と同様にして、各接点組における接点ギャップ長が小さくても、アークによる常閉接点N/C と常開接点N/O との間のショートの問題は生じ難くすることができる。
【0215】
[ウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器のさらに他の実施の形態の構造]
図17は、図16に示したウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器90の構造の一例を示すための図であり、これは電磁継電器90を各部品に分解して示したものである。
【0216】
図17の電磁継電器90の各部品は、端子板501上に組み立てられ、カバー502が端子板501に組み合わされることにより、組み立てられた部品が覆われる構成とされる。電磁継電器90の筐体は、端子板501とカバー502とにより構成とされる。
【0217】
なお、図18は、端子板501をその裏側から見たものであり、外部に導出する端子用の貫通孔501a,501b,501c,501d,501e,501f,501g,501i,501j,501kが示されている。
【0218】
図17において、参照符号503以降の500番代の符号を付与した部分は、第1の継電器部91を形成する部分であり、参照符号603以降の600番代の符号を付与した部分は、第3の継電器部93を形成する部分であり、参照符号703以降の700番代の符号を付与した部分は、第2の継電器部92を形成する部分である。
【0219】
図17において、503は第1の継電器部91の電磁石組立であり、また、703は第2の継電器部92の電磁石組立であり、さらに603は第3の継電器部93の電磁石組立である。それぞれの電磁石組立503、703および603は、L字型の継鉄によって鉄心入りのコイル91C,92Cおよび93Cを保持する構造を有している。
【0220】
そして、電磁石組立503、603および703は、それぞれコイル91C、93Cおよび92Cの一端および他端がそれぞれ接続されている導電体材料からなるコイル端子504、505、604、605および704および705を備える。これらのコイル端子504、505、604、605、704、705は、端子板501のコイル端子導出用貫通孔501a,501b,501c,501d,501e,501fを貫通して、外部に導出される。
【0221】
506は、第1の継電器部91の常閉固定接点91bが形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板である。また、706は、第2の継電器部92の常閉固定接点92bが形成されている導電体材料からなる常閉固定接点板である。この例では、これらの常閉固定接点板506と706とは互いに連結されて一体物として構成されており、電気的にも接続された構造とされている。そして、これと一体に常閉固定接点端子506tが形成されている。この常閉固定接点端子506tは、端子板501の端子導出用貫通孔501gを貫通して外部に導出されるようにされている。なお、常閉固定接点板506と706との連結部は、端子板501の凹溝501hに嵌合するようにされている。
【0222】
また、507は、第1の継電器部91の導電体材料からなる可動接点ばねである。この可動接点ばね507には可動接点91Aが形成されている。この例では、この可動接点ばね507には、これと一体に可動接点端子507tが形成されており、この可動接点端子507tは、端子板501の端子導出用貫通孔501iを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0223】
また、707は、第2の継電器部92の導電体材料からなる可動接点ばねである。この可動接点ばね707には可動接点92Aが形成されている。この例では、この可動接点ばね707には、これと一体に可動接点端子707tが形成されており、この可動接点端子707tは、端子板501の端子導出用貫通孔501kを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0224】
さらに、607は、第3の継電器部93の導電体材料からなる可動接点ばねである。この可動接点ばね607には可動接点93Aが形成されている。この例では、この可動接点ばね607には、これと一体に可動接点端子607tが形成されており、この可動接点端子607tは、端子板501の端子導出用貫通孔501jを貫通して外部に導出されるようにされている。
【0225】
509は、導電体材料からなる共通常開固定接点板である。この共通常開固定接点板509は、第1の継電器部91、第2の継電器部92および第3の継電器部93に共通のものである。
【0226】
すなわち、この共通常開固定接点板509は、第1の継電器部91の常開固定接点91mが形成されている常開固定接点部509aと、第2の継電器部92の常開固定接点92mが形成されている常開固定接点部509cと、第3の継電器部93の常開固定接点93mが形成されている常開固定接点部509bとを備える。
【0227】
つまり、第1の継電器部91の常開固定接点91mと、第2の継電器部92の常開固定接点92mと、第3の継電器部93の常開固定接点93mとは、共通の1枚の導電体板部として構成される共通常開固定接点板509上に形成され、これにより、電気的に共通に接続されている。
【0228】
この共通常開固定接点板509は、端子板301に形成されている凹溝501m内に嵌合される。しかし、この共通常開固定接点板509からは、電磁継電器90の筐体外部に端子は導出されない。
【0229】
そして、第1の継電器部91では、磁性材料からなる接極子510が、電磁石組立503に、ヒンジばね511により取り付けられる。この接極子510は、コイル91Cに電流が供給されることにより構成される電磁石により電磁石組立503側に吸引駆動されて、可動接点ばね507を、共通常開固定接点板509側に変位させるように構成されている。
【0230】
また、第2の継電器部92では、磁性材料からなる接極子710が、電磁石組立703に、ヒンジばね711により取り付けられる。この接極子710は、コイル92Cに電流が供給されることにより構成される電磁石により電磁石組立703側に吸引駆動されて、可動接点ばね707を、共通常開固定接点板509側に変位させるように構成されている。
【0231】
さらに、第3の継電器部93では、磁性材料からなる接極子610が、電磁石組立603に、ヒンジばね611により取り付けられる。この接極子610は、コイル93Cに電流が供給されることにより構成される電磁石により電磁石組立603側に吸引駆動されて、可動接点ばね607を、共通常開固定接点板509側に変位させるように構成されている。
【0232】
電磁継電器90は、以上のような構成であるので、第1の継電器部91〜第3の継電器部93では、コイル91C〜93Cのいずれにも電流が供給されない状態では、接極子510、610、710は、電磁石により駆動されず、このため、可動接点ばね507、607および707は、共通常開固定接点板509側に変位されず、可動接点91Aは常閉固定接点91bに、可動接点92Aは常閉固定接点92bに接続される状態になるとともに、可動接点93Aは、常開固定接点93mと離間されている状態となる。
【0233】
そして、図16に示したように、使用者がウインドウアップ操作をすると、第1の継電器部91と第3の継電器部93のコイル91Cおよびコイル93Cにウインドウアップ制御回路71から電流が供給されて、接極子510および610が電磁石組立503および603側に吸引されることにより、接極子510および610のカード部510aおよび610aによって可動接点ばね507および607が、共通常開接点板509側に弾性変位されて、可動接点91Aと常開固定接点91mとが接続され、また、可動接点93Aと常開固定接点93mとが接続される。
【0234】
したがって、可動接点ばね507の端子507tと可動接点ばね607の端子607tとの間には、2個の常開固定接点が直列に接続されることになる。
【0235】
そして、コイル91Cおよび93Cへの電流の供給が停止されると、接極子510および610による弾性変位力が消滅するので、可動接点ばね507および607は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板509の常開固定接点91mおよび93mから開離し、第1の継電器部91の可動接点91Aが常閉固定接点91bに接続される元の状態に復帰する。
【0236】
また、図16に示したように、使用者がウインドウダウン操作をすると、第2の継電器部92と第3の継電器部93のコイル92Cおよびコイル93Cにウインドウダウン制御回路72から電流が供給されて、接極子710および610が電磁石組立703および603側に吸引されることにより、接極子710および610のカード部710aおよび610aによって可動接点ばね707および607が、共通常開接点板509側に弾性変位されて、可動接点92Aと常開固定接点92mとが接続され、また、可動接点93Aと常開固定接点93mとが接続される。
【0237】
したがって、可動接点ばね707の端子707tと可動接点ばね607の端子607tとの間には、2個の常開固定接点が直列に接続されることになる。
【0238】
そして、コイル92Cおよび93Cへの電流の供給が停止されると、接極子710および610による弾性変位力が消滅するので、可動接点ばね707および607は、自身の弾性復帰力により、ほぼ同時に共通常開固定接点板509の常開固定接点92mおよび93mから開離し、第2の継電器部92の可動接点92Aが常閉固定接点92bに接続される元の状態に復帰する。
【0239】
以上のように、この実施の形態の電磁継電器90を用いた図16の直流モータ駆動回路では、前述と同様の作用効果を有する。すなわち、この実施の形態によれば、接点ギャップ長が短い構造であっても、アーク遮断能力に優れたウインドウアップ/ダウン駆動制御用の電磁継電器を実現することができる。
【0240】
そして、この例の電磁継電器40の場合、第1の継電器部91〜第3の継電器部93の全ての常開固定接点は、共通常開固定接点板509に形成するようにしたことにより、部品点数を削減して、構造を簡略化することができると共に、複数個の常開接点を直列接続させるための電気的接続工程を不要とすることができる。
【0241】
また、この図17の実施の形態においては、図16の直流モータ駆動回路用として、第1および第2の継電器部91および92の常閉固定接点を筐体内部において互いに接続して共通常閉固定接点部品とし、この共通常閉固定接点部品から端子506tを導出するようにしているので、端子数を少なくすることができると共に、部品点数を少なくすることができる。
【0242】
[実施の形態の電磁継電器のアーク遮断能力について]
図19は、電磁継電器の常開接点N/O からの可動接点の開離時のアークにより常閉接点N/C と常開接点N/O との間が短絡して、電磁継電器が破壊されてしまう電圧(破壊電圧と称する)と、接点ギャップ長との関係を示す特性図である。
【0243】
図19において、実線101は、従来の図20あるいは図21の構成の場合の電磁継電器についての特性図であり、前述したように、直流24V用としては、12V用の0.3mmの接点ギャップ長の電磁継電器は使用できず、接点ギャップ長の大きい電磁継電器を用いなければならないことが判る。
【0244】
そして、図19において、実線102は、上述した実施の形態の直流モータ駆動回路の電磁継電器の場合で、直流モータの駆動直流電流の電流路に、2個の常開接点を直列に接続するように構成した場合の特性図である。この特性図から判るように、たとえバッテリー電圧が42Vと高電圧になっても、前述したようなアークによる常開接点と常閉接点との間のデッドショートによる破壊は生じないことが確かめられた。
【0245】
[その他の実施の形態]
上述の実施の形態では、2個の接点組を備える電磁継電器を用いる場合について説明したが、2個以上の接点組を備える電磁継電器を用いて、それらの接点組の常開接点を、直流モータへの直流電流の電流路に直列に接続するように構成することにより、直流電源電圧が、より高くなった場合にも対応することができる。
【0246】
また、この発明は、上述の例のような自動車のワイパー駆動部やパワーウインドウ駆動部などに限らず、電磁継電器を用いて、直流モータの上述のような駆動制御を行う直流モータ駆動回路の全てに適用することができる。
【0247】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による電磁継電器によれば、接点ギャップ長が小さくても、可動接点の常開接点からの開離時のアークによる常閉接点と常開接点との間のショートの問題を生じ難く、アーク遮断能力を向上させることができる。
【0248】
そして、この発明によれば、このようにアーク遮断能力の高い電磁継電器を、簡単な構成で実現することができるものである。
【0249】
そして、この発明による直流モータ駆動回路によれば、電源電圧を高くしても、接点ギャップの小さい小型の電磁継電器を使用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による電磁継電器の実施の形態を用いた直流モータ駆動回路の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】図1の実施の形態の電磁継電器の構造の一例を示す図である。
【図3】図2の実施の形態の電磁継電器の一部を示す図である。
【図4】図2の実施の形態の電磁継電器の動作の説明のための図である。
【図5】図1の実施の形態の電磁継電器の構造の他の一例を示す図である。
【図6】この発明による電磁継電器および直流モータ駆動回路の他の実施の形態の構成を示す図である。
【図7】図6の実施の形態の電磁継電器の構造の一例を示す図である。
【図8】図7の実施の形態の電磁継電器の一部を示す図である。
【図9】図7の実施の形態の電磁継電器の動作の説明のための図である。
【図10】図6の実施の形態の電磁継電器の構造の他の一例を示す図である。
【図11】図6の実施の形態の電磁継電器の構造のさらに他の一例を示す図である。
【図12】この発明による電磁継電器の実施の形態を用いた直流モータ駆動回路の他の実施の形態の構成を示す図である。
【図13】図12の実施の形態の電磁継電器の構造の一例を示す図である。
【図14】図13の実施の形態の電磁継電器の一部を示す図である。
【図15】図13の実施の形態の電磁継電器の動作の説明のための図である。
【図16】この発明による電磁継電器および直流モータ駆動回路のさらに他の実施の形態の構成を示す図である。
【図17】図16の実施の形態の電磁継電器の構造の一例を示す図である。
【図18】図17の実施の形態の電磁継電器の一部を示す図である。
【図19】この発明の効果を、従来技術との比較において説明するための図である。
【図20】従来の直流モータ駆動回路の一例を示す図である。
【図21】従来の直流モータ駆動回路の他の例を示す図である。
【符号の説明】
20 ワイパー駆動制御用電磁継電器
21 電磁継電器20のコイル
22 電磁継電器20の常閉接点
23、24 電磁継電器20の常開接点
25、26 電磁継電器20の可動接点
32 ワイパー駆動用直流モータ
33 電源端子
40、80、90 ウインドウアップ/ダウン駆動制御用電磁継電器
50 電磁継電器40の第1の継電器部
60 電磁継電器40の第2の継電器部
70 パワーウインドウ駆動用直流モータ
203、303、403、503、603、703 電磁石組立
206、306、406、506、706 常閉固定接点板
207、208、307、308、407、408、321、507、607、707 可動接点ばね
209、309、322、509 共通常開固定接点板
210、310、410、510、610、710 接極子
Claims (8)
- 端子板を通じて筐体外部に導出された対のコイル端子に一端と他端とがそれぞれ接続され、電磁石を構成するための1個のコイルと、
前記端子板を通じて前記筐体外部に導出される1個の常閉固定端子と、
前記端子板を通じて前記筐体外部に導出され、一方が電源の一端に接続され、他方が電気回路構成要素を介して電源の他端に接続される2個の可動接点端子と、
前記1個の常閉固定端子に電気的に接続されて設けられる1個の常閉固定接点と、
前記2個の可動接点端子のそれぞれに1個ずつ電気的に接続されて設けられ、前記コイルの非通電時に前記常閉固定接点に接続される1個の可動接点を含む2個の可動接点と、
前記2個の可動接点に対応して設けられ、前記端子板を通じて前記筐体外部に端子を導出することなく、前記筐体内において電気的に共通に接続された2個の常開固定接点と、
前記電磁石に対して、前記コイルへの通電、非通電による電磁制御により駆動可能に取り付けられ、前記電磁制御により駆動されて前記2個の可動接点を同時に偏倚させ、前記2個の可動接点を前記2個の常開固定接点に同時に接触および離間させるようにする接極子と、
を備え、
前記コイルへの通電時には、前記2個の可動接点と前記2個の常開固定接点との2個の接触部分が、前記電源の一端と他端間の電流路に対して常に直列に挿入される状態となる
ことを特徴とする電磁継電器。 - 請求項1において、
前記接極子は、前記2個の可動接点のそれぞれが設けられる2個の可動接点ばね部材を、前記コイルによる電磁制御に応じて、同時に偏倚させるカード部材を含むものである
ことを特徴とする電磁継電器。 - 第1および第2の継電器部が一つの筐体内に設けられた電磁継電器であって、
前記第1および第2の継電器部のそれぞれは、
端子板を通じて筐体外部に導出された対のコイル端子に一端と他端とがそれぞれ接続され、電磁石を構成するための1個のコイルと、
前記端子板を通じて前記筐体外部に導出される1個の常閉固定端子と、
前記端子板を通じて前記筐体外部に導出され、一方が電源の一端に接続され、他方が電気回路構成要素を介して電源の他端に接続される2個の可動接点端子と、
前記1個の常閉固定端子に電気的に接続されて設けられる1個の常閉固定接点と、
前記2個の可動接点端子のそれぞれに1個ずつ電気的に接続されて設けられ、前記コイルの非通電時に前記常閉固定接点に接続される1個の可動接点を含む2個の可動接点と、
前記2個の可動接点に対応して設けられ、前記端子板を通じて前記筐体外部に端子を導出することなく、前記筐体内において電気的に共通に接続された2個の常開固定接点と、
前記電磁石に対して、前記コイルへの通電、非通電による電磁制御により駆動可能に取り付けられ、前記電磁制御により駆動されて前記2個の可動接点を同時に偏倚させ、前記2個の可動接点を前記2個の常開固定接点に同時に接触および離間させるようにする接極子と、
を備え、
前記コイルへの通電時には、前記2個の可動接点と前記2個の常開固定接点との2個の接触部分が、前記電源の一端と他端間の電流路に対して常に直列に挿入される状態となる
ことを特徴とする電磁継電器。 - 請求項3において、
前記第1の継電器部の前記2個の常開固定接点と前記第2の継電器部の前記2個の常開固定接点とは、それらを一つに集合する共通常開固定接点部材に設けられてなる電磁継電器。 - 請求項3において、
前記第1の継電器部および前記第2の継電器部の前記接極子のそれぞれは、前記2個の可動接点のそれぞれが設けられる2個の可動接点ばね部材を、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルによる電磁制御に応じて、同時に偏倚させるカード部材を含む
ことを特徴とする電磁継電器。 - 請求項3において、
前記第1の継電器部および前記第2の継電器部の前記接極子のそれぞれは、前記2個の可動接点のそれぞれが形成されている2個の可動接点ばね部材に共通に固着された磁性材からなる板状体を含んで構成され、
前記板状体が、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルによる電磁制御により吸引されることにより、前記2個の可動接点が前記複数個の常開固定接点に同時に接続されるように構成されてなる
ことを特徴とする電磁継電器。 - 請求項3〜請求項6のいずれかにおいて、
前記第1および前記第2の継電器部のそれぞれの前記常閉固定接点は、前記筐体内において互いに接続され、前記筐体外に導出される常閉固定接点端子は、共通の一つとされてなる
ことを特徴とする電磁継電器。 - 請求項3〜請求項6のいずれかにおいて、
前記2個の可動接点のうち、前記常閉固定接点と接続されない可動接点は、前記第1の継電器部のものと、前記第2の継電器部のものとが共通とされ、
この共通の可動接点が、前記第1の継電器部の接極子と、前記第2の継電器部の接極子とのいずれによっても駆動される
ことを特徴とする電磁継電器。
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