JP4539125B2 - 核酸単離部材 - Google Patents

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Description

本発明は、核酸を含有する生体材料から核酸を単離するための核酸単離部材関する。
DNA解析等を行う際には、まず核酸を単離する必要がある。この方法として、特許第2680462号公報(特許文献1)記載の方法がある。また、近年では、核酸の単離を行うための器具として、シリカで形成されたフィルターを筒状のプラスチック部材に担持した濾過処理パーツが市販されている。この濾過処理パーツでは、生体材料を含む溶液をシリカから成るフィルター部に流し入れ通過させ、核酸を吸着させる。そして、シリカ部分から核酸を溶離することで核酸を単離する。
特許第2680462号公報
しかしながら、従来の処理パーツでは、核酸を吸着させる部分のシリカフィルターは多孔質化しており、多孔質化する製法は、例えばシリカ中に有機物を混ぜた後、高温にて有機物を除去する等の手法が必要となる、また、そのフィルターをプラスチックの筒状パーツに装着する工法も必要となる為、製造工程が多く、高価であるという問題があった。
また、従来の処理パーツは、核酸の単離のみを行う器具であるので、単離した核酸を解析等するためには、他の器具に核酸を移送する必要があった。そして、この移送において、核酸が汚染されてしまうおそれがあるという問題があった。
更に、生化学における解析は試薬が高価であるため、核酸の検体量も微量化することが望ましいが、上記のように核酸を移送する場合には、器具への液残りや付着が生じるため、核酸を多めに単離しなければならず、検体量の微量化が困難であるという問題があった。
本発明は以上の点に鑑み成されたものであり、製造工程が少なく、量産性に富んだ技術であり、安価に製造することができ、核酸の汚染が起こりにくく、検体の量を微量化でき、スループット方式で手間が掛からず、処理に要する時間が短くて済む核酸単離部材提供することを目的とする。
(1)請求項1の発明は、
核酸を含む生体材料を供給される被供給部と、前記被供給部において前記生体材料と接触する位置に複数設けられた突出部とを備え、前記突出部は、樹脂とシリカとを含むとともに、前記突出部の表面における少なくとも一部には前記シリカが露出しており、前記突出部は、前記被供給部における前記生体材料の移動方向に対して交差する方向に沿って配列されていることを特徴とする核酸単離部材を要旨とする。
本発明の核酸単離部材では、突出部の表面における少なくとも一部において、核酸を吸着し易いシリカが露出している。そのため、露出したシリカに核酸を吸着させることにより、核酸の単離を効率よく行うことができる。
また、突出部は樹脂を含んでいるので、例えば、金型を用いる方法等により、容易に形成することができる。そのため、本発明の核酸単離部材は、製造工程が少なくて済み、量産性に富み、製造が容易であり、安価に製造することができる。
更に、本発明の核酸単離部材には、核酸を単離するための部分に加えて、精製した核酸を用いる処理(例えば核酸の増幅や核酸の解析)を行うため部分を形成することができる。このことにより、精製した核酸を処理する際に、他の器具に核酸を移送する必要がなくなる。その結果として、移送時に核酸が汚染されてしまうことがなく、解析精度を向上させることができる。また、移送時における核酸のロスがないので、精製する検体を微量化することができ、核酸の精製に用いる高価な試薬の使用量を低減することができる。更に、核酸の精製と、精製した核酸を用いる処理とを自動化し、それらの処理に要する時間を短縮することができる。
また、本発明では、突出部を複数有することにより、突出部と生体材料との接触面積を大きくすることができる。そのことにより、本発明の核酸単離部材は、効率よく核酸を単離することができる。
また、本発明では、突出部が被供給部における生体材料の移動方向に対して交差する方向に沿って配列されているので、生体材料の移動方向から見て、突出部の投影面積が大きくなり、移動する生体材料と突出部とが接触する確率が高くなる。そのことにより、本発明の核酸単離部材は、効率良く核酸を単離することができる。
・前記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム等が挙げられる
(2)請求項の発明は、
前記突出部が千鳥格子状に配置されていることを特徴とする請求項に記載の核酸単離部材を要旨とする。
本発明では、突出部が千鳥格子状に配置されているので、千鳥格子の或る列における突出部は、生体材料の移動方向から見て、その隣接する列における突出部の間に位置するようになっている。そのため、生体材料の移動方向から見て、突出部の投影面積が大きくなり、移動する生体材料と突出部とが接触する確率が高くなる。そのことにより、本発明の核酸単離部材は、効率良く核酸を単離することができる。
)請求項の発明は、
隣接する前記突出部の間隔が 0.001〜1mmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸単離部材を要旨とする。
本発明では、被供給部に生体材料を流した際に、突出部同士の間隔が1mm以下と狭いので、突出部の間を通過する生体材料中の核酸を突出部に吸着させることができる。
また、本発明では、突出部の間隔が0.001mm以上であるので、長鎖のDNAでも突出部の間をすり抜けて通ることが可能である。
突出部の間隔は、0.001〜0.05mmの範囲が好ましい。この範囲にすることにより、突出部の間を無駄に生体材料が流れていってしまうようなことが起こりにくい
発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
a)まず、本実施例1においてDNAを含む溶液から、DNAの吸着、精製、溶出が行われる核酸単離部と、単離したDNAをPCR法によって増幅する増幅部とを合体させたチップの構成を図1及び図2を用いて説明する。
チップは、図1に示す本体部3と、図2に示すカバー部4とから構成される。まず、図1を用いて本体部3について説明する。本体部3は、板状の形状を有しており、その上面3aに、核酸を単離する核酸単離部3bと、PCR法による増幅を行う増幅部3cとを備えている。
核酸単離部3bは、保持部5と、核酸単離器15と、廃液保持部9と、保持部11と、流路27、29と、弁51とを備えている。
ここで、保持部5と、廃液保持部9と、保持部11とは、それぞれ、本体部3の上面3aにおいて上方が開口した凹部である。核酸単離器15は、上面3aに形成された溝の中に、突起21を備えたものである。この核酸単離器15は、その一方の端部において保持部5とつながっており、反対側の端部では、流路27を介して廃液保持部9と繋がっているとともに、流路29を介して、保持部11に繋がっている。尚、流路27、29は、上面3aに設けられた溝である。弁51は、核酸単離器15と流路27、29との接続部に設けられている。この弁51は、核酸単離器15と流路27との間を開とするときは、核酸単離器15と流路29との間は閉とし、逆に、核酸単離器15と流路27との間を閉とするときは、核酸単離器15と流路29との間を開とする弁である。弁53は、流路29と保持部11との接続部に設けられている。
次に、増幅部3cについて説明する。増幅部3は、流路25と、混合部57と、導入流路26と、弁55と、PCR増幅器23と、流路31と、保持部13とを備えている。
流路25は、上面3aに形成された溝であって、保持部11と混合部57とを繋いでいる。弁55は、保持部11と流路25との接続部に位置し、保持部11と流路25との間を開閉する弁である。混合部57は、上面3aに形成された溝であって、屈曲した形状となるように設けられている。導入流路26は、上面3aに形成された溝であって、混合部57とPCR増幅器23とを繋げている。
PCR増幅器23は、流路23aと、ヒータ23b、23cとから構成される。ここで、流路23aは、上面3aに形成された溝であって、導入流路26と流路31とを繋げている。この流路23aは、PCR増幅器23のサイクル数と同じ10反復折り返された形状を有している。ヒータ23bとヒータ23cとは、それぞれ、流路23aの底部に設けられている。ヒータ23bの温度は60°Cであり、ヒータ23cの温度は95°Cである。そして、ヒータ23bに接する流路23aの長さと、ヒータ23cに接する流路23aの長さの比が1:4となるように設けられている。
保持部13は、上面3aに形成された溝であって、PCR増幅器23と、保持部13とを繋げている。保持部13は、上面3aにおいて上方が開口した凹部である。
チップを構成するカバー部4は、図2に示すように、板状部材において4カ所の孔4a、4b、4c、4dを有するものである。このカバー部4は、熱溶着により、本体部3の上面3aに接合される。このとき、4カ所の孔4a、4b、4c、4dはそれぞれ、保持部5、廃液保持部9、保持部11、保持部13に位置する。従って、本体部3の上面3aのうち、保持部5、廃液保持部9、保持部11、保持部13の上面の一部又は全部は上方が開放されているが、それ以外の部分は、上方が閉鎖されている。
b)次に、核酸単離器15及び突起21の構成について図3〜5を用いて詳細に説明する。
図3(a)は、核酸単離器15を上方から見た平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示された突起21のうちの一部についての拡大図である。また図4は、図3(b)におけるA-A断面図である。
図3(a)に示すように、核酸単離器15には円柱状の突起21が複数立設されている。また、所々に径の異なる円柱22が立設されている。
突起21は図3(b)に示すように、千鳥格子状に配置されている。つまり、突起21は、核酸単離器15の液体の流れ方向に直交する複数の列の何れかに属しており、液体の流れ方向に沿って見たとき、第(n+1)列目に属する突起21は第n列目に属する突起21の間に位置する様に配列されている。尚、nは、列の番号を示す自然数であり、核酸単離器15の曲線流路部や、径の異なる円柱22の立設付近は、おおよそ中間に位置する様に配置されている。
突起21の形状は、図3(b)及び、図4に示すように、円柱状である。その直径は0.03mmであり、高さは0.15mmである。また、隣り合う突起21同士の間隔は0.03mmである。また、突起21が突出する方向は、核酸単離器15の底面に直交する方向である。
突起21を含め核酸単離器15は図4に示すように、樹脂37とその樹脂37に分散されたシリカ部材39とから構成されており、突起21の表面には、シリカ部材39が露出している。突起21も含め、核酸単離器15においてシリカ部材39が占める重量比は、60重量%である。またシリカ部材39の大きさは略φ0.003mmであり、突起21の直径dの1/2以下である。
尚、シリカ部材39の形状は、図5(a)に示す球状、図5(b)に示すフレーク状、図5(c)に示す線状のいずれでもよい。シリカ部材39の大きさとは、図5(a)〜図5(c)において矢印で示すように、球状の場合はその直径、フレーク状の場合はその長手方向の長さ、線状の場合は断面の直径である。
c)次に、チップの製造方法を説明する。
まず、チップを構成する本体部3の形状に対応した金型を周知のリソグラフィー技術を用いて製造する。具体的には、まず、導電性がある基材にレジストを塗布し、レジスト層を形成し、レジストの表面を、核酸単離部材1の形状に対応したマスクで覆い、紫外線で露光する(第1工程)。次に、露光されたレジストを現像し(第2工程)、現像されたレジストを金型材料で電鋳する(第3工程)。最後に、レジストと基材とを除去する(第4工程)ことにより金型が製造される。
そして、樹脂37とシリカ部材39とを混練した成形材料を、射出成形法を用いて、射出成形機のシリンダー内で溶融加熱し、上記の金型に射出して充填し、冷却固化し、成形することで本体部3を製造した。尚、樹脂37はPA66を用いて金型温度は80°Cで成形した。その後、本体部3に弁51、53、55をチップの裏面(3aの反対側)から取り付ける。
次に、樹脂37と同じ材質のPA66でシリカ部材が添加されていないフィルムであって、保持部5、廃液保持部9、保持部11、保持部13の上面に対応する部分が切り欠かれているフィルム及び本体部3を加熱し、本体部3の上面3aに接合して、カバー部4を形成し、チップを完成した。このカバー部4は、保持部5、廃液保持部9、保持部11、保持部13の上面は開放しているとともに、複数の流路、核酸単離器15、弁51、混合部57、PCR増幅器23の上方は閉鎖する。尚、カバー部4の接合方法は、熱溶着の他に、超音波溶着、接着剤による接着であってもよい。
d)次に、チップを用いてDNAを単離する方法を説明する。
単離後のDNAの検出について、最終濃度の予測がつかないと初期のDNA濃度を適正に合わせることが出来ず、電気泳動でのバンドの輝度も適正に出せない恐れがある。
即ち、チップ投入時のDNA濃度が吸着容量よりも高すぎて、流れ出てしまい、吸着効率が見かけ上低く示される可能性も出てくる。
よって、DNA濃度の推測が出来る様、PCR増幅した後の溶液のDNA濃度の推測を試みた。
予備実験として、pRSET-scFvよりプライマー(In-F,In-R)を用いてPCRを25サイクル行い、約1kbpのPCR産物a(ScFV断片、0.1μg/μl)を作製し、このPCR産物aを終濃度が0.005ng/μl〜0.5ng/μlになる様に希釈して、同じプライマーにてPCRを10サイクル行い、電気泳動にかけて増幅後のDNA濃度を求め、PCR産物aの増幅前と増幅後のDNA濃度の関係を算出した。
今回の吸着実験に用いるDNAは上記PCR産物aを用い、DNAが単離した溶出液を原液から10倍希釈し、同プライマーにてPCRを10サイクル行い、電気泳動にかけて増幅後のDNA濃度を求め、予備実験にて求めたPCR産物aの増幅前と増幅後のDNA濃度の関係から増幅前の溶出液の濃度を推測する事とした。
i) エッペンドルフチューブに、バッファー1を60μl、バッファー2を60μl、バッファー3を84μlを加え、更にPCR産物aを10μl加えて計214μlとなった混合溶液を静かに数回、転倒混和する。ここでバッファー1とはサンプル中のRNAを除去するための試薬であり、RNaseAを含む溶液である。バッファー2とは細胞溶解を行うための溶液であり、NaOH,SDSを含む溶液である。バッファー3は塩酸グアニジン、酢酸を含む溶液であって、不要物を沈殿させると共に、カオトロピック塩(塩酸グアニジン)によりDNAを吸着させる作用を有する溶液である。
ii)上記混合溶液を15,000rpm の回転数で10分間遠心分離し、上清の200μlをピペットにて取り出し、チップの保持部5に流し込む。この流し込んだ液は、長さ1kbpのDNAを0.0375ng/μlの濃度で含む溶液である。
次に保持部5に流し込んだ溶液を、シリンジポンプを用いてairで押し出すことにより、核酸精単離器15、弁51、流路27、及び廃液保持部9の順に移動させる。
溶液は、核酸単離器15の中では、突起21の間を移動する。このとき溶液中のDNAは突起21の表面に露出したシリカ部材39に吸着する。
iii)廃液保持部9に溶液が移動後、バッファー4を0.5ml保持部5に流し込む。そしてこのバッファー4を、上記vi)と同様にシリンジポンプによるairで駆動して、核酸精単離器15、弁51、流路27を経て廃液保持部9に移動させる。バッファー4は、塩酸グアニジンと、イソプロパノールとを含む溶液であり、ヌクレアーゼを除去する作用を有する。
iv)次にバッファー5を0.75ml保持部5に流し込む。そしてこのバッファー5を、上記ii)と同様にシリンジポンプによるairで駆動して、核酸精単離器15、弁51、流路27を経て廃液保持部9に移動させる。バッファー5は、エタノールを含む溶液であり、エタノール沈殿と同様の作用を有する。
v)弁51を核酸単離器15と流路29とが繋がる様に回転させる。 弁53は開放し、弁55は閉じた状態にしておく。
vi)次に、バッファー6を50μl保持部5に流し込む。このバッファー6を、シリンジポンプによるairで駆動して、核酸精単離器15、弁51、流路29を経て弁53を開放して保持部11に移動させる。このバッファー6は、10mMトリスとHClとを含むpH8.5の溶液であり、核酸単離器15の突起21のシリカに吸着したDNAを溶出させる。溶出されたDNAを含むバッファー6が保持部11に全て移動した後、弁53を閉じる。
e)次に、PCR法によって溶出した核酸を増幅する方法を説明する。
保持部11に移動させた、溶出されたDNAを含むバッファー6に、保持部11からPCRの反応液を加える。PCRの反応液は、酵素、プライマー(In-FとIn-R)、基質dNTP(dATP、dGTP、dCTP、dTTPのmix)、バッファー(ExTaq バッファー)、滅菌水から構成されている。酵素は、ExTaq DNA polymeraseを用い、PCRの反応液の量は450μlを流し込んだ。
その後、弁55を開放し、保持部11からシリンジポンプを用いてairで押し出すことにより、流路25を通って、混合部57にてバッファー6とPCRの反応液と酵素が、良く混合され、混合液が流路26に移動する。
流路26の途中から、チップの底面に95℃に設定したヒータ23cにより混合液が熱変性される。PCR増幅器23は、プライマーのアニーリング反応と伸長反応とを同じ温度で同時に行うshuttle PCR方式を採用した。
混合液はシリンジポンプによって、PCR反応に適正な一定の送り速度に制御されてPCR増幅器23の流路23a内を通過して行くと、PCR増幅器23の底面に設置れた60℃のヒーター23bと、95℃のヒーター23cとから加熱される。このとき、流路23aにおいて、ヒーター23bに接する長さと、ヒーター23cに接する長さとの比は1:4であるので、混合液がヒーター23bにより加熱される時間と、ヒーター23cにより加熱される時間との比率は、1:4となる。
そして、上記の加熱は、PCR増幅器23の流路23aの反復数である10サイクル行われ、DNAが増幅した混合液が流路31を通って保持部13に移動する。
保持部13に移動した溶液は、直ちにピペットで回収し−20℃にて保存する。
以上が、DNAが単離した溶出液を原液とした場合の手順で、本実施例では、精度を期す為に、DNAが単離した溶出液の10倍希釈での実験も行った。vi)までは同様の手順を行い、vi)から、バッファー6を500μl保持部5に流し込む。その後の手順は、上記と同様である。そして、この溶液を元に電気泳動を行なって回収率を測定した結果、ii)で流し込んだ上清に含まれるDNAの量に対し、バッファー6に含まれていたDNAの量の割合(回収率)は86%であった。
e)次に、本実施例1のチップの奏する効果を説明する。
i)本実施例1のチップでは、突起21の表面に、DNAを吸着し易いシリカ部材39が露出している。そのため、そのシリカ部材39にDNAを吸着させることにより、DNAの単離を効率よく行うことができる。
ii)本実施例1のチップでは、球状のシリカ部材39の大きさが突起21の直径d(幅)の1/2以下である。そのため、突起21の中で、2以上のシリカ部材39が、突起21の幅方向に複数配置される。この場合、2以上のシリカ部材39のそれぞれを突起21の表面に露出させることができるので、シリカ部材39の露出を多くすることができる。そのことにより、効率的にDNAを突起21に吸着させることができる。
iii)本実施例1のチップでは、複数の突起21を有しているので、突起21とサンプルとの接触面積を大きくすることができる。そのことにより、効率よくDNAを単離することができる。
iv)本実施例1では、突起21は、核酸単離器15における生体材料の移動方向に対して交差する方向に沿って配列されている。そのため、生体材料の移動方向から見て、突起21の投影面積が大きくなり、移動する生体材料と突起21とが接触する確率が高くなる。そのことにより、本実施例1のチップは、効率良くDNAを単離することができる。
v)本実施例1では、突起21が千鳥格子状に配置されており、千鳥格子の或る列における突起21は、生体材料の移動方向から見て、その隣接する列における突起21の間に位置するようになっている。そのため、生体材料の移動方向から見て、突起21の投影面積が大きくなり、移動する生体材料と突起21とが接触する確率が高くなる。そのことにより、本実施例1のチップは、効率良くDNAを単離することができる。
vi)本実施例1のチップでは、突起21の間隔Sが0.03mm と狭いので、突起21の間を通過する生体材料中のDNAが突起21に容易に吸着する。また、突起21の間隔Sが上記の値であるので、長鎖のDNAでも突起21の間をすり抜けて通ることが可能である。
vii)本実施例1のチップでは、突起21全体に対するシリカ部材39の重量比が、60重量%であるので、突起21の表面に露出するシリカ部材39の量が充分多くなり、DNAの吸着効率が高く、DNAの単離を効率良く行うことができる。また、突起21全体に対するシリカ部材39の重量比が上記の値であるので、樹脂37とシリカ部材39との混練や分散が容易である。
viii)本実施例1のチップは金型を用いて容易に製造することができるので、安価に製造することができる。そして、その金型の製造において、リソグラフィー技術と電鋳技術を用いるので、突起21が微細な形状を有している場合でも、正確な金型を製造し、チップを容易に製造することができる。
ix)本実施例1のチップには、DNAを単離するための部分である核酸単離器15に加えて、精製したDNAを増幅するための部分であるPCR増幅器23を備えている。そのため、精製したDNAを増幅する際に、他の増幅用の器具にDNAを移送する必要がない。その結果として、移送時にDNAが汚染されてしまうことがなく、DNAの解析精度を向上させることができる。また、移送時におけるDNAのロスがないので、精製する検体を微量化することができ、加えて、DNAの精製に用いる高価な試薬の使用量を低減することができる。更に、DNAの精製と増幅とを自動化し、DNAの精製と増幅に要する時間を短縮することができる。
a)本実施例2のチップの構成は、基本的には前記実施例1と同様である。ただし、本実施例2では、チップの本体部3において突起21以外は、樹脂37のみから構成されており、突起21は、図6に示すように、樹脂から成る中心部21aと、中心部21aの表面を覆うシリカ層21bとから構成されている。尚、図6は、図3(b)におけるA−A断面での断面図である。
b)本実施例2のチップを製造するには、まず、前記実施例1と同様の金型に、シリカ部材39が混練されていない樹脂37のみを流し込み、本体部3を製造する。この段階では、突起21は樹脂37から成る中心部21aのみが形成されている。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて、突起21の中心部21aにおける表面にシリカ層21bを形成し、核酸単離器15を完成する。このシリカ層21bの厚みはCVDの条件により制御することができる。シリカ層21bを形成する際、核酸単離器15以外のチップの3a面を遮蔽しておいてもかまわない。
c)本実施例2のチップは前記実施例1のチップと同様に使用することができ、同様の効果を奏する。
更に、本実施例2のチップでは、突起21の表面をシリカ層21bが均一に覆っているので、シリカ層21bと生体材料との接触面積が高まり、DNAの吸着効率が高い。そのため、DNAの単離を一層効率良く行うことができる。
また、本実施例2では、本体部3におけるシリカ層21b以外の部分は、シリカ部材39が混練されていない樹脂37から成るので、射出成形の際に実施例1の場合よりも容易に金型に充填できる。よって、本実施例2のチップは射出成形においては微細な突起21の形成が容易となる。
a)本実施例3のチップの構成、及び製造方法は、基本的に実施例2と同様である。但し、本実施例3では、突起21の形状が円筒形状ではなく、図7又は図8に示す形状のいずれかである。
図7(a)に示す突起21は、円錐台形形状を有している。つまり、突起21は、円形の底面21cと、底面21cよりも小さい直径の円である上面21dと、側面21eとから構成されている。この側面21eと、突起21の突出方向(底面21c及び上面21dに直交する方向)とのなす角度は、突起21の下から上まで常に一定である。尚、側面21eは、上記突出方向に対して傾いているテーパ部分である。
図7(b)に示す突起21は、略円錐台形形状を有している。つまり、突起21は、円形の底面21cと、底面21cよりも小さい直径の円である上面21dと、側面21eとから構成されている。この側面21eと、突起21の突出方向(底面21c及び上面21dに直交する方向)とのなす角度は、上面21dに近づくほど小さくなっている。尚、側面21eは、上記突出方向に対して傾いているテーパ部分である。
図7(c)に示す突起21は、略円錐台形形状を有している。つまり、突起21は、円形の底面21cと、底面21cよりも小さい直径の円である上面21dと、側面21eとから構成されている。この側面21eと、突起21の突出方向(底面21c及び上面21dに直交する方向)とのなす角度は、上面21dに近づくほど大きくなっている。尚、側面21eは、上記突出方向に対して傾いているテーパ部分である。
図8(a)に示す突起21は、円錐台形状の基部21fと、基部21fの上面21gから突出方向に立設された円筒状の上部21hとから成る。そして、基部21fにおける側面21iと突出方向との成す角度は、基部21fの下から上まで常に一定である。尚、この側面21iは、突出方向に対して傾斜しているテーパ部分である。
図8(b)に示す突起21は、略円錐台形状の基部21fと、基部21fの上面21gから突出方向に立設された円筒状の上部21hとから成る。そして、基部21fにおける側面21iと突出方向との成す角度は、基部21fの上面21gに近づくほど小さくなっている。尚、この側面21iは、突出方向に対して傾斜しているテーパ部分である。
図8(c)に示す突起21は、略円錐台形状の基部21fと、基部21fの上面21gから突出方向に立設された円筒状の上部21hとから成る。そして、基部21fにおける側面21iと突出方向との成す角度は、基部21fの上面21gに近づくほど大きくなっている。尚、この側面21iは、突出方向に対して傾斜しているテーパ部分である。
b)本実施例3のチップは、前記実施例2のチップと同様に使用することができ、同様の効果を奏する。
本実施例3のチップでは、突起21は、図7又は図8に示すような、円錐台形状、又はテーパ部分を有する形状であり、突出方向に対して傾斜している部分を有している。そのような傾斜している部分は、垂直的な部分(突出方向に平行な部分)に比べてCVDによりシリカ層21bが形成されやすくなり、そのことにより、本実施例3のDNAの吸着効率が増加する。
また、突起21の形状が略円錐台形状、又はテーパ部分を有する形状であるので、突起21の突出方向に対して傾斜している部分があり、その傾斜している部分が金型による形成における抜き勾配に対応している。そのため、チップの本体部3の金型からの離型が容易となり、製造が容易となる。
また、突起21がそのように傾斜している部分を有するので、突起21の側面が突出方向に平行な部分のみから成る場合に比べて、DNAの吸着する面積が突起21において増大しており、DNAの吸着効率を上げることができる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記実施例1における突起21の形状は、図7又は図8に記載されたものであってもよい。
また、前記実施例1において、突起21に含まれるシリカ部材は、図9に示すように、様々な形状を有するフレーク状のものであってもよい。
核酸単離部とPCR増幅部を合体させたチップの構成を表す斜視図である。 カバー部の構成を表す斜視図である。 核酸単離部の構成を表す平面図である。 突起付近の構成を表す断面図である。 シリカ部材の形状を表す説明図である。 突起付近の構成を表す断面図である。 突起の形状を表す斜視図である。 突起の形状を表す斜視図である。 突起付近の構成を表す断面図である。
1・・・核酸単離部材
3・・・本体部
4・・・カバー部
5・・・保持部
9・・・廃液保持部
15・・・核酸単離器
25、26、27、29、31・・・流路
21・・・突起
21a・・・中心部
21b・・・シリカ層
23・・・PCR増幅器
37・・・樹脂
39・・・シリカ部材

Claims (3)

  1. 核酸を含む生体材料を供給される被供給部と、
    前記被供給部において前記生体材料と接触する位置に複数設けられた突出部とを備え、
    前記突出部は、樹脂とシリカとを含むとともに、前記突出部の表面における少なくとも一部には前記シリカが露出しており、
    前記突出部は、前記被供給部における前記生体材料の移動方向に対して交差する方向に沿って配列されていることを特徴とする核酸単離部材。
  2. 前記突出部が千鳥格子状に配置されていることを特徴とする請求項に記載の核酸単離部材。
  3. 隣接する前記突出部の間隔が 0.001〜1mmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸単離部材。
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