JP4538695B2 - チタン用の電気メッキ前処理液、並びに当該液を用いた電気メッキ前処理方法 - Google Patents
チタン用の電気メッキ前処理液、並びに当該液を用いた電気メッキ前処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4538695B2 JP4538695B2 JP34309599A JP34309599A JP4538695B2 JP 4538695 B2 JP4538695 B2 JP 4538695B2 JP 34309599 A JP34309599 A JP 34309599A JP 34309599 A JP34309599 A JP 34309599A JP 4538695 B2 JP4538695 B2 JP 4538695B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- titanium
- pretreatment liquid
- electroplating
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン素地面への電気メッキに際して、予め当該チタン素地面に活性化処理を施すための前処理液、並びに当該液を用いた前処理方法に関し、短時間の処理で電着皮膜に対する高い密着性が得られ、且つ、経時安定性にも優れたものを提供する。
【0002】
【発明の背景】
一般に、チタンはきわめて耐食性に富み、密度が小さく、比強度などの優れた機械的性質を備えていることから、近年では、チタン素地面上に白金、金、パラジウム等の貴金属、或は、ニッケル、銅等のメッキ皮膜を形成した材料が多く用いられている。
しかしながら、その一方で、チタンは活性な金属であり、不動態皮膜を形成するため、例えば、この不動態皮膜を処理液で除去しても、空気や水に触れると直ちに酸化膜を再生してしまい、この薄膜がメッキ皮膜との密着性を妨げる原因となる。
【0003】
【従来の技術】
チタンの素地面を酸により前処理する方法としては、特開平2−149685号公報に、チタン又はチタン合金の表面をシュウ酸又はシュウ酸を主成分とする混酸で複数回エッチングする方法が開示され、また、当該エッチング方法を施したチタン又はチタン合金の素地面に、貴金属をメッキしたチタン基複合材料が開示されている。
しかしながら、チタンを酸処理(即ち、酸洗浄)すると、チタン素地面が過剰に侵食されて粗面が失われる結果、電着皮膜を形成した場合のアンカー効果があまり期待できず、かえって密着不良の原因となり易い。
【0004】
一方、チタンの素地面をアルカリで前処理すると、上記酸処理方式の問題を解消できる。
かかるアルカリ域でのチタンの前処理方法としては、特開昭51−140844号公報(以下、従来技術1という)に、過酸化水素と水酸化ナトリウムを含有する過酸化水素のアルカリ性水溶液中にチタン材を浸漬して、電気メッキ前処理をする方法が開示されている。
【0005】
また、特開昭61−52389号公報(以下、従来技術2という)には、チタン又はチタン合金素材を100〜600℃の温度条件下で加熱し、この加熱処理された素材に、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの水溶性還元剤と、フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、ホウフッ化ナトリウムなどのチタンの可溶解性塩を主成分とするpH10以下の処理液に浸漬し、或は、上記チタン等の素材をこの処理液で電気分解した後、貴金属をメッキする方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術1は、常温で24時間、或はそれ以上の活性化処理が必要であるため、生産性が低く、また、従来技術2の処理液での浸漬又は電気分解処理は室温で2〜25分程度であるが、100〜600℃の加熱処理を5分間以上行う必要があるため、処理工程が煩雑である。
そのうえ、チタン材をアルカリ方式で前処理すると、通常、処理液中にチタン水和物又は水酸化物が沈殿したり、液が濁って、チタン素地面にこれらの水和物などが付着するため、やはり、電着皮膜に対する密着不良、或は当該皮膜の外観不良を引き起こし易い。
【0007】
本発明は、チタン素地面に電気メッキを施す際の前処理において、短時間の処理で電着皮膜に対する高い密着性を得るとともに、経時安定性に優れた前処理液を開発することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、過酸化水素のアルカリ水溶液に酒石酸塩、アスコルビン酸などの水溶性チタン錯化剤を含有させた処理液でチタン材を前処理すると、1時間以内の短時間の処理で電着皮膜に対する優れた密着性が実現できることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明1は、過酸化水素からなる水溶性酸化剤と水溶性チタン錯化剤と塩基を含有し、
上記水溶性チタン錯化剤が、ポリアミン類、オキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類、フェノール類、アスコルビン酸類よりなる群から選ばれた化合物の少なくとも一種であり、
中性乃至アルカリ性に調整されたチタン用の電気メッキ前処理液である。
【0011】
本発明2は、上記本発明1において、ポリアミン類が、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、メチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンより選ばれた少なくとも一種であることを特徴とするチタン用の電気メッキ前処理液である。
【0012】
本発明3は、上記本発明1において、オキシカルボン酸類が、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、或はこれらの塩より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とするチタン用の電気メッキ前処理液である。
【0013】
本発明4は、上記本発明1において、アミノカルボン酸類が、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とするチタン用の電気メッキ前処理液である。
【0014】
本発明5は、上記本発明1において、フェノール類が、フェノール、フェノールスルホン酸及びその塩、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タイロンより選ばれた少なくとも一種であることを特徴とするチタン用の電気メッキ前処理液である。
【0015】
本発明6は、上記本発明1において、アスコルビン酸類が、アスコルビン酸、エリソルビン酸又はこれらの塩であることを特徴とするチタン用の電気メッキ前処理液である。
【0016】
本発明7は、上記本発明1〜6のいずれかの電気メッキ前処理液にチタン材を浸漬し、40〜80℃、1時間以内にて前処理することを特徴とするチタンの電気メッキ前処理方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、チタン材の電気メッキに際して、予めチタン素地面の活性化処理を行う前処理液であり、当該前処理液は、過酸化水素からなる水溶性酸化剤と酒石酸塩やアスコルビン酸などの特定の水溶性チタン錯化剤と塩基とを含有し、中性乃至アルカリ性に調整されたものであって、第二には、この前処理液にチタン材を浸漬して、特定温度域で短時間に前処理を行う方法である。
【0018】
前処理液に含有される上記水溶性酸化剤は過酸化水素である。この外にも、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムなどの過マンガン酸塩、クロム酸カリウム、クロム酸ナトリウムなどのクロム酸塩、二クロム酸カリウム、二クロム酸ナトリウムなどの二クロム酸塩、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、フェリシアン化カリウム、塩化第二鉄などの金属塩化物、ペルオキソ硫酸アンモニウムなどのペルオキソ硫酸塩、ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸アンモニウムなどのペルオキソ炭酸塩、ペルオキソホウ酸カリウム、ペルオキソホウ酸ナトリウムなどのペルオキソホウ酸塩、ペルオキソリン酸塩、亜塩素酸ニッケル、亜塩素酸アンモニウムなどの亜塩素酸塩、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩、酸化銅などの金属酸化物などが有効である。
上記塩基は前処理液のpH調整などに用いられ、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、ナトリウム、カルシウム等の金属アルコキシド、各種モノアミン類などを単用又は併用できる。
【0019】
上記水溶性チタン錯化剤は液中でチタンに作用して錯塩を形成する水溶性化合物であり、チタンイオンに対するキレート定数が比較的大きなものが目安となり、ポリアミン類、オキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類、フェノール類、アスコルビン酸類よりなる群から選ばれ、これらの化合物を単用又は併用できる。
上記ポリアミン類としては、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、シンナミルアミン、p―メトキシシンナミルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩などが挙げられる。
上記オキシカルボン酸類としては、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、或はこれらの塩などが挙げられる。
上記アミノカルボン酸類としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、メタフェニレンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N′,N′−四酢酸、ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸、オルニチン、システイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、アミノプロピオン酸、アミノ吉草酸などが挙げられる。
上記フェノール類としては、フェノール、フェノールスルホン酸及びその塩、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タイロン(1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,5−ジスルホン酸ナトリウム)などが挙げられる。 上記アスコルビン酸類は、アスコルビン酸、エリソルビン酸、或はこれらの塩である。ちなみに、エリソルビン酸はアスコルビン酸の立体異性体である。
【0020】
上記水溶性酸化剤の前処理液に対する含有量は0.01〜5.0mol/L、好ましくは0.1〜1.0mol/Lである。
同じく、水溶性チタン錯化剤の含有量は0.01〜5.0mol/L、好ましくは0.05〜1.0mol/Lである。
また、本発明の電気メッキ前処理液は、前述したように、主に塩基により中性乃至アルカリ性に調整される。
【0021】
本発明7の電気メッキ前処理方法で上記前処理液に浸漬されるチタン材は、チタン又はチタン合金製の材料をいう。
上記前処理液での浸漬条件は40〜80℃、1時間以内であり、55〜65℃、20〜40分程度が好ましい。
本発明の前処理は、上述したように、前処理液に浸漬することを初め、前処理液で洗浄することなどを含めた上位概念である。
ちなみに、上記チタン材は本発明の前処理方法で活性化された後、金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属、或は、ニッケル、銅などの各種の電気メッキが施されることから、チタン材の素地面上に密着度に優れた各種の電着皮膜を効率的に被覆できる。
但し、本発明の前処理液で活性化処理を行ったチタン素地面に無電解メッキを施しても、電気メッキと同様に、密着性の良好なメッキ皮膜が得られることは言うまでもない。
【0022】
【作用】
本発明では、先ず、塩基を含有して中性乃至アルカリ性で活性化処理を行うため、冒述の酸を用いた活性化処理とは異なり、チタン素地面が過剰に侵食されて緻密な粗面が失われて、密着不良になるという弊害がない。
次に、本発明では、過酸化水素からなる酸化剤のアルカリ乃至中性水溶液に、酒石酸塩やアスコルビン酸などの特定のチタン錯化剤が共存するため、チタン錯化剤がチタンイオンに錯化した状態で酸化剤が作用するため、チタン素地面に水和物が付着したり、液に沈殿が生じることを有効に防止でき、チタン素地面を緻密な粗面状態に形成して、電着皮膜のアンカー効果が大いに期待できることから、電気メッキに際して電着皮膜に対する密着性が有効に増大する。
一方、上記水和物の発生などを抑制できるため、前処理液の経時安定性を良好に確保できる。
【0023】
【発明の効果】
後述の試験例に示すように、液の経時安定性を良好に保持しながら、前処理を施したチタン材への電着皮膜の密着性を強固に増大できる。
即ち、過酸化水素のアルカリ性水溶液である冒述の従来技術1、或は、水溶性還元剤とチタン可溶解性塩を含有する従来技術2に比べると、本発明の前処理液は、上記密着性と液の経時安定性の点で顕著な優位性を具備することが明らかである。
しかも、本発明の前処理液は、上記従来技術1〜2とは異なり、1時間以内の短時間で活性化処理を行うことができ、生産性にも優れる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の電気メッキ前処理液の製造実施例、当該前処理液で予備処理した後にチタン材に電気メッキを行った際の電着皮膜の密着性、並びに前処理液の経時安定性などの各種試験例を説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0025】
《電気メッキ前処理液の製造実施例》
下記の組成で電気メッキ前処理液を調製し、各種実施例1〜6とした。
水酸化カリウム 50g/L
過酸化水素水 30ml/L
チタン錯化剤 0.1mol/L
上記チタン錯化剤の種類と実施例1〜6の関係は次の通りである。
実施例No. チタン錯化剤の種類
実施例1 EDTA
実施例2 没食子酸
実施例3 酒石酸カリウム
実施例4 アスコルビン酸
実施例5 エチレンジアミン
実施例6 アスコルビン酸と酒石酸カリウム
【0026】
一方、下記の組成の前処理液を比較例1とした。
水酸化カリウム 50g/L
過酸化水素水 30ml/L
上記比較例1は、アルカリ性過酸化水素水溶液を基本組成とする冒述の従来技術1の相当例である。
また、下記の組成の前処理液を比較例2とした。
ホルマリン 10ml/L
酸性フッ化アンモニウム 10g/L
グルコン酸ナトリウム 30g/L
ちなみに、冒述の従来技術2は、チタン材を100〜600℃で加熱処理した後、ホルマリンなどの水溶性還元剤と酸性フッ化アンモニウムなどのチタン可溶解性塩との含有液で前処理することが特徴であるが、上記比較例2はこの従来技術2に類した例である。
【0027】
《電気メッキ前処理液の経時安定性試験例》
そこで、上記実施例1〜6及び比較例1〜2の各前処理液を試験容器に収容し、純チタン板を2.5dm2/Lの負荷量で浸漬して、60℃における前処理液の経時安定性を目視観察した。
経時安定性の評価基準は次の通りである。
○:初期の溶液状態と変わらず、濁りなどは確認できなかった。
△:濁りが若干認められた。
×:沈殿が発生した。
【0028】
下表はその試験結果である。
【0029】
上表を見ると、アルカリ性過酸化水素水溶液である比較例1は、6時間以上経過すると、冒述のように、チタン水和物、或は水酸化物の沈殿が発生し、水溶性還元剤とチタン可溶解性塩を含有する比較例2も、沈殿が同様に発生した。
これに対して、チタン錯化剤として、没食子酸などのポリフェノール類、酒石酸カリウムなどのオキシカルボン酸類、アスコルビン酸類を単用した実施例2〜4、或はアスコルビン酸と酒石酸カリウムを併用した実施例6では、24時間経過時点でも前処理液の安定性は高く保持されていた。チタン錯化剤としてEDTA、或はエチレンジアミンを単用した実施例1又は5では、24時間経過時点で若干濁りが認められたが、概ね、上記実施例に準じた結果を示した。
【0030】
《前処理液で浸漬処理したチタン板に対する電着皮膜の密着性試験例》
そこで、上記安定性試験例の負荷量により、実施例1〜6及び比較例1〜2の各前処理液に純チタン板を60℃、30分並びに24時間の条件で夫々浸漬して活性化処理を行った後、この純チタンの素地面上に、下記の(1)〜(2)に示すように、2価の白金塩を含有する白金メッキ液A及び4価の白金液を含有する白金メッキ液Bを夫々用いて、各条件下で電気メッキを施した。
(1)白金メッキ液A
ジニトロジアミン白金(Pt2+として) 8g/L
リン酸 80g/L
電気メッキ条件は、陰極電流密度2A/dm2、メッキ時間12分、液温85℃に設定した。
(2)白金メッキ液B
ヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム(Pt4+として) 20g/L
水酸化ナトリウム 10g/L
電気メッキ条件は、陰極電流密度0.5A/dm2、メッキ時間15分、液温75℃に設定した。
次いで、テープ試験法(JIS 8504)に基づいて、チタン板上に被覆された白金の電着皮膜にカッターで碁盤目状の条痕を刻設し、この電着皮膜に粘着性テープを貼り付けた後、急速且つ強く引き剥がして、100個の碁盤のマス目のうち、素地面側に密着していた皮膜のマス目の個数を計測することにより、メッキ皮膜の密着度合を測定した。
当該密着性試験の評価基準は次の通りである。
○:素地面側のマス目の数は100個であり、引き剥がしテープの粘着面にメッキ皮膜の付着がなかった。
×:素地面側のマス目の数が99個以下であり、上記粘着面にメッキ皮膜の付
着が認められた。
【0031】
下表はその試験結果である。
【0032】
上表を見ると、白金メッキ液A及びBの種類を問わず、比較例1〜2では、チタン板を60℃で30分間だけ前処理した場合には、電着皮膜に対して密着不良を起こし、○の評価を得るには24時間の浸漬処理が必要であった。これに対して、実施例1〜6では、60℃で30分間の浸漬処理だけで、密着性評価は全て○であった。
即ち、酸化剤のアルカリ性乃至中性水溶液に各種のチタン錯化剤が共存する本発明の前処理液は、過酸化水素のアルカリ性水溶液などに比べて、前処理したチタン素地面に対する電着皮膜の密着性の点で優位性が顕著であることが明らかになった。
しかも、実施例1〜6では、電着皮膜の強固な密着性は、比較例1〜2に比べて短時間の処理で達成できることが確認できた。
尚、2価又は4価の白金塩を含有するメッキ液を用いて白金メッキ皮膜をチタン板上に形成する場合、メッキ液の種類が変化しても白金皮膜の密着性に差異はなかった。
Claims (7)
- 過酸化水素からなる水溶性酸化剤と水溶性チタン錯化剤と塩基を含有し、
上記水溶性チタン錯化剤が、ポリアミン類、オキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類、フェノール類、アスコルビン酸類よりなる群から選ばれた化合物の少なくとも一種であり、
中性乃至アルカリ性に調整されたチタン用の電気メッキ前処理液。 - ポリアミン類が、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、メチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンより選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のチタン用の電気メッキ前処理液。
- オキシカルボン酸類が、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、或はこれらの塩より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のチタン用の電気メッキ前処理液。
- アミノカルボン酸類が、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸、イミノジ酢酸より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のチタン用の電気メッキ前処理液。
- フェノール類が、フェノール、フェノールスルホン酸及びその塩、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タイロンより選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のチタン用の電気メッキ前処理液。
- アスコルビン酸類が、アスコルビン酸、エリソルビン酸又はこれらの塩であることを特徴とする請求項1に記載のチタン用の電気メッキ前処理液。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気メッキ前処理液にチタン材を浸漬し、40〜80℃、1時間以内にて前処理することを特徴とするチタンの電気メッキ前処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34309599A JP4538695B2 (ja) | 1999-12-02 | 1999-12-02 | チタン用の電気メッキ前処理液、並びに当該液を用いた電気メッキ前処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34309599A JP4538695B2 (ja) | 1999-12-02 | 1999-12-02 | チタン用の電気メッキ前処理液、並びに当該液を用いた電気メッキ前処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001158991A JP2001158991A (ja) | 2001-06-12 |
JP4538695B2 true JP4538695B2 (ja) | 2010-09-08 |
Family
ID=18358912
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34309599A Expired - Fee Related JP4538695B2 (ja) | 1999-12-02 | 1999-12-02 | チタン用の電気メッキ前処理液、並びに当該液を用いた電気メッキ前処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4538695B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101227059B1 (ko) * | 2012-05-18 | 2013-01-28 | 윤종오 | 지르코늄 합금 도금 및 티타늄 합금 도금의 도금 방법 및 도금액 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06116782A (ja) * | 1992-10-02 | 1994-04-26 | Nippon Alum Co Ltd | チタン材のめっき前処理方法 |
JPH0790595A (ja) * | 1993-09-13 | 1995-04-04 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | チタン材料のめっき方法 |
-
1999
- 1999-12-02 JP JP34309599A patent/JP4538695B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06116782A (ja) * | 1992-10-02 | 1994-04-26 | Nippon Alum Co Ltd | チタン材のめっき前処理方法 |
JPH0790595A (ja) * | 1993-09-13 | 1995-04-04 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | チタン材料のめっき方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001158991A (ja) | 2001-06-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5178745A (en) | Acidic palladium strike bath | |
TWI419995B (zh) | 鋁或鋁合金之表面處理方法 | |
US9181622B2 (en) | Process for metallizing nonconductive plastic surfaces | |
WO2002016668A1 (fr) | Solution de depot d'or par deplacement chimique et additif destine a la preparation d'une telle solution | |
JP4790191B2 (ja) | パラジウム又はその合金を電気化学的に析出させるための電解浴 | |
KR20120081107A (ko) | 비전도성 기판에 금속 코팅을 적용하기 위한 프로세스 | |
US4670312A (en) | Method for preparing aluminum for plating | |
JP2000256864A (ja) | アルミニウム又はアルミニウム合金表面の亜鉛置換方法、そのための置換液及び亜鉛置換皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金 | |
JP4538695B2 (ja) | チタン用の電気メッキ前処理液、並びに当該液を用いた電気メッキ前処理方法 | |
JP3673445B2 (ja) | 亜鉛置換処理液 | |
US3667991A (en) | Processes for nickel plating metals | |
JP5077555B2 (ja) | アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法 | |
JP4000476B2 (ja) | 無電解めっきの前処理用組成物 | |
ES2477589T3 (es) | Proceso de metalizado que no contiene cianuro de cobre para cinc y aleaciones de cinc | |
JP4103209B2 (ja) | 低水素過電圧電極の洗浄方法 | |
US3502548A (en) | Method of electroplating gold on chromium | |
JP2962496B2 (ja) | マグネ基合金のめっき方法 | |
TWI448590B (zh) | 用於鋅與鋅合金鑄模構件之新穎無氰化物電鍍方法 | |
EP3686319A1 (en) | Indium electroplating compositions and methods for electroplating indium on nickel | |
JPS639019B2 (ja) | ||
JP2015021178A (ja) | 無電解Ni−P−Snめっき液 | |
JP4610810B2 (ja) | めっき液への亜鉛イオンの供給方法 | |
JPS633950B2 (ja) | ||
JP2015134960A (ja) | ストライク銅めっき液 | |
JP2010150606A (ja) | 電解再生式の無電解スズメッキ方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061117 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20061117 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080901 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091020 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100223 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100414 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100525 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100609 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |