JP4537564B2 - 電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法および電子線露光装置用露光マスクならびに露光方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法、および電子線露光装置用露光マスク、ならびに露光マスクを用いた電子線露光装置による露光方法に関し、特に集積回路全体のマスクパターンを複数の領域に分割して各領域のマスクパターンごとにパターンを形成した露光マスクを製作するための電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法、および同電子線露光装置用露光マスク、ならびに同露光マスクを用いた電子線露光装置による露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子線露光装置ではスループット向上のため、露光マスクを用いた電子線露光方法が採られている。図7および図8は電子線露光装置用の露光マスクを示す裏面図および断面側面図である。これらの図面に示したように、露光マスク102は、たとえばシリコンの薄膜から成るマスク本体104を、縦横に格子状に配置した支柱106により支持し、マスク本体104を補強した構造となっている。支柱106もシリコンにより形成され、支柱106とマスク本体104との間には酸化シリコン膜108が介在している。そして、マスクパターンは、支柱106以外の各矩形領域、すなわちマスクパターン領域110に形成され、半導体ウエハーに対する電子線の1回の照射は各マスクパターン領域110を通じて行われる。
【0003】
露光マスク102がこのように分割されていることから、露光マスク102を作成する際には、集積回路全体のマスクパターンは、各マスクパターン領域110に対応づけて、碁盤目状に分割され、碁盤目の各矩形領域ごとのマスクパターンデータ、すなわちマスクパターンを構成する各パターンを描画するために必要な情報を含むデータを用いて、各マスクパターン領域110のマスクパターンが形成される。
【0004】
図9は集積回路のマスクパターンの一例を示す平面図、図10は図9のマスクパターンを、露光マスク作成のために分割した状態を示す平面図である。この例では、図9に示したマスクパターン112が、図10に示したように4つの矩形領域に分割されており、各矩形領域114、116、118、120の各マスクパターンデータにより、たとえば露光マスク102(図7)における対応するマスクパターン領域110にパターンが形成される。すなわち、各矩形領域のマスクパターンは、支柱106の幅に相当する間隔122をおいて露光マスク102上に形成される。なお、上述のように各マスクパターン領域110を通じて1回の照射が行われるので、マスクパターン112は、1回の照射で露光可能な大きさの領域に分割され、各矩形領域114、116、118、120はそのような大きさとなっている。
【0005】
ところで、集積回路のマスクパターンを複数の矩形領域に分割する場合、矩形領域の区切り線が、マスクパターンを構成する何らかのパターンに重ったときは、そのパターンは2つの領域に分離されることになる。図11の(A)および(B)は領域分割の結果、パターンが2つの領域に分離された場合の一例を示す平面図である。この例では、図11の(A)に示したように、縦に延在する領域の区切り線124が、同じく縦に延在するパターン126に重なっており、その結果、パターン126は、図11の(B)に示したように、矩形領域128、130にそれぞれ分割されることになる。なお、領域の区切り線は実際にそのような線を描画したりするものではなく、あくまでも仮想的なものである。
【0006】
このように1つのパターンが2つの領域に分割された場合、露光マスクを作成して半導体ウェハーを露光する際、パターン126の各矩形領域128、130に含まれるパターン132、134はそれぞれ異なるショットで露光されるので、非常に細いパターンを露光することになる。
その結果、もとのパターン126の太さによっては、パターン132、134の幅が露光装置の解像限界を下回ってしまい、露光強度が急激に低下して、ウェハー上に配線などを形成することができず断線を生じる場合がある。
【0007】
図12の(A)および(B)はパターン幅と露光強度との関係を示すグラフである。図中、横軸はパターンを横断する方向に延在するX座標の値を表し、縦軸は露光強度を表している。そして図12の(A)は、図11の(A)に示したパターン126に対応する露光強度を示し、(B)は図11の(B)に示したパターン132または134に対応する露光強度を示している。図12の(B)に示したように、パターン幅が細い場合には、露光強度が必要なレベル136を上回らず、配線の切断などが生じてしまう。
さらに、露光する際の露光マスクやショットの位置ずれが存在すると、半導体ウェハーに形成されたパターン126に対応する配線などが、1本のパターンとして形成されず、2本のパターンに分離してしまう場合もある。
【0008】
特開平11−329957号公報には、パターンの配列ピッチを求め、ピッチにもとづいてフィールドサイズ(パターン分割位置)を変更する方法が開示されているが、この方法は、メモリセルのパターンなど、規則的な配列を有するパターンでしか使用できず、したがって、メモリの周辺回路やロジックパターンなど、パターンの配列が場所により異なるような場合には適用できない。また、パターンの配列方向がX方向かY方向かをあらかじめ指定しなければならず、場所によりパターンの配列方向の異なるロジックパターンには適用できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、パターンが規則的に配列されていない場合でも、集積回路のマスクパターンを複数の領域に分割する際にパターンが限度を超えて細くなったり、断線したりしないようにして電子線露光装置用の露光マスクデータを作成する方法を提供することにある。
また、本発明は、パターンが規則的に配列されていない場合でも、集積回路のマスクパターンを複数の領域に分割する際にパターンが限度を超えて細くなったり、断線したりしないようにして電子線露光装置用の露光マスクデータを作成し、同露光マスクデータを用いてパターンを形成した電子線露光装置用露光マスクを提供することにある。
さらに、本発明は、パターンが規則的に配列されていない場合でも、集積回路のマスクパターンを複数の領域に分割する際にパターンが限度を超えて細くなったり、断線したりしないようにして電子線露光装置用の露光マスクデータを作成し、同露光マスクデータにより製作した電子線露光装置用露光マスクを用いた電子線露光装置による露光方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、電子線露光装置で使用する露光マスクを製作するための露光マスクデータを作成する方法であって、前記露光マスクの縦横の格子状に延在する支柱により区切られた各マスクパターン領域に対応づけて、集積回路のマスクパターンを複数の矩形領域に分割し、前記矩形領域の縦横の仮想区切り線が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の前記仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下である、前記マスクパターンに含まれる斜めに延在するパターンを検出し、検出した前記パターンを横断する縦横の前記仮想区切り線のいずれか一方または両方を、前記パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、前記交差箇所近傍においてそれぞれの延在方向に直交する方向に突出させ、その上で各領域の前記マスクパターンを前記支柱の幅に相当する間隔をおいて配列するとともに、前記支柱に対応するパターンを配置した前記露光マスクのデータを作成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、電子線露光装置で使用する露光マスクであって、前記露光マスクの縦横の格子状に延在する支柱により区切られた各マスクパターン領域に対応づけて、集積回路のマスクパターンを複数の矩形領域に分割し、前記矩形領域の縦横の仮想区切り線が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の前記仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下である、前記マスクパターンに含まれる斜めに延在するパターンを検出し、検出した前記パターンを横断する縦横の前記仮想区切り線のいずれか一方または両方を、前記パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、前記交差箇所近傍においてそれぞれの延在方向に直交する方向に突出させ、その上で各領域の前記マスクパターンを前記支柱の幅に相当する間隔をおいて配列するとともに、前記支柱に対応するパターンを配置した前記露光マスクのデータを作成し、作成した前記露光マスクデータによりパターンを形成したことを特徴とする。
【0022】
すなわち、本発明の電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法では、集積回路のマスクパターンを、複数の矩形領域に分割した際に、矩形領域の縦横の仮想区切り線が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下である斜めに延在するパターンを検出する。そして、検出したパターンを横断する縦横の仮想区切り線のいずれか一方または両方を、パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、交差箇所近傍において各延在方向に直交する方向に突出させ、その上で各領域のマスクパターンを上記支柱の幅に相当する間隔をおいて配列した露光マスクのデータを作成する。本発明の電子線露光装置用露光マスクでは、この露光マスクデータを用いて露光マスクを作成する。
【0023】
したがって、この露光マスクでは、パターンが斜めに延在しており縦横の仮想区切り線の交差箇所がそのパターンに重なったような場合でも、パターンが3つ以上の領域に分割されて微細化することを回避でき、露光対象を常に十分な露光強度で露光して、集積回路の配線などが限度を超えて細くなったり、切断されるといった不具合の発生を防止できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
図1は本発明による電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法の実施の形態例における各工程を示すフローチャートである。以下では、図1および他の図面を参照して、本発明による電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法の実施の形態例について説明し、同時に本発明の電子線露光装置用露光マスクおよび露光マスクを用いた電子線露光装置による露光方法の実施の形態例について説明する。
【0025】
ここでは、図7および図8を参照して説明したように、全体が縦横の格子状に延在する支柱106により区切られ、複数のマスクパターン領域110がマトリクス状に配列された形態の露光マスクを作成する。
まず、集積回路のマスクパターンのデータを用意する(ステップS1)。このマスクパターンのデータは一種のCADデータであり、設計されたマスクパターンを平面上に描画するために必要な情報をすべて含んでいる。
次に、マスクパターン領域110(図7)のサイズおよび支柱106の幅を設定し(ステップS2)、またパターンの幅の大小を判定するための基準値を設定する(ステップS3)。この基準値は、たとえばパターンの幅として許容できる最小値よりやや大きい値に設定する。
【0026】
その後、上記マスクパターンデータにより表される集積回路のマスクパターンを、露光マスクの縦横の格子状に延在する支柱106により区切られた各マスクパターン領域110に対応づけて、上記マスクパターン領域110のサイズにしたがい重複しない複数の矩形領域に分割する(ステップS4)。
そして、上記矩形領域の区切り線が重る、マスクパターンに含まれるパターンをすべて検出し(ステップS5)、検出したパターンの、区切り線に直交する方向の幅が基準値以下か否かを判定する(ステップS6)。
この判定結果が正の場合には(ステップS6でYES)、上記区切り線に係る矩形領域の位置を区切り線に直交する方向に移動して区切り線と、検出したすべてのパターンとの重なりを解消する(ステップS7)。
【0027】
ステップS6、S7についてさらに詳しく説明する。
図2の(A)および(B)は縦の区切り線が重なったパターンの一例を示す平面図である。図2の(A)に示したように、パターン2、4に縦の区切り線6が重なっており、パターン2の幅L1は十分に広いが、パターン4の幅L2は細いものとなっている。このパターン4の幅L2が上記基準値以下であったとすると、矩形領域の位置を右方向に若干移動させる。その結果、この区切り線6は、図2の(B)に示したように、図面上で右に若干移動して区切り線6とパターン4との重なりが解消する。
【0028】
なお、各マスクパターン領域110のサイズは変更しないので、区切り線6を挟む矩形領域を上のように移動させた場合には、これらの矩形領域に連なって横に配列された矩形領域もすべて同様に移動させることになる。
また、図3の(A)および(B)は横の区切り線が重なったパターンの一例を示す平面図である。図3の(A)に示したように、パターン8、10に横の区切り線12が重なっており、パターン8の幅L3は十分に広いが、パターン10の幅L4は細いものとなっている。このパターン10の幅L4が上記基準値以下であったとすると、矩形領域の位置を下方向に若干移動させる。その結果、この区切り線12は、図3の(B)に示したように、図面上で下に若干移動して区切り線12とパターン10との重なりが解消する。
なお、この場合にも区切り線12を挟む矩形領域を上のように移動させた場合には、これらの矩形領域に連なって縦に配列された矩形領域はすべて同様に移動させることになる。
【0029】
このように矩形領域を移動させた上で各矩形領域のマスクパターンを支柱106の幅に相当する間隔をおいて配列し、また支柱に対応するパターンを配置した露光マスクのデータを作成する(ステップS8)。このデータが表す露光マスクは、各矩形領域のマスクパターンが支柱106の幅に相当する間隔をおいて配列されているという点で、図10と同種のものとなる。
【0030】
この露光マスクデータを用いて作成した露光マスクでは、上述のように矩形領域を移動させたため、パターンが規則的に配列されていない場合でも従来のように幅が基準値以下の細いパターンが2つの領域に分割されさらに細いパターンとなることを回避でき、露光対象を常に十分な露光強度で露光して、集積回路の回路パターンなどが限度を超えて細くなったり、切断されるといった不具合の発生を防止できる。
【0031】
また、この露光マスクを用い、上記位置を移動させた矩形領域に対応するマスクパターン領域110を通じて露光する際には、照射対象である半導体ウェハーを、矩形領域を移動させた方向に、対応する移動量だけ移動させる。その結果、上述のような矩形領域の移動によるパターンの位置ずれが解消し、半導体ウェハー上の本来の位置を正しく露光することができる。
【0032】
次に露光マスクの作成方法の一例について説明する。
図4は露光マスクの作成方法の一例を示す工程図である。
まず、上述のように作成した露光マスクデータを用いて、図4の(A)に示したように、シリコン基板14の表面に形成したフォトレジスト層16をパターンニングし、シリコン基板14のエッチング用マスク18を形成する。
次に、図4の(B)に示したように、エッチング用マスク18をマスクとしてシリコン基板14をエッチングしフォトレジスト層16を除去した後、図4の(C)に示したように、裏面エッチング用マスク19を形成し、このマスクを用いて支柱106以外の箇所をエッチングして、図4の(D)に示したように、露光マスク20を完成させる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施の形態例について説明する。
図5の(A)および(B)はマトリクス状に配列されたコンタクトを形成するためのマスクパターンの一例を示す部分平面図である。
このマスクパターンでは、各コンタクト用のパターンがマトリクス状に配列されているが、偶数行と奇数行の位置が若干ずれている。したがって、このようなマスクパターンを上述の場合と同様、複数の矩形領域に分割すると、領域の区切り線22は、図5の(A)に示したように、かならずいずれかのパターン24を横断することになる。
【0034】
そこで、第2の実施の形態例では、矩形領域の区切り線22が横断し、かつ区切り線22に直交する方向への区切り線からのパターン24の突出量が上記基準値以下であるパターン26、28を検出し、検出したパターン26、28を横断する区切り線22を、図5の(B)に示したように、パターンの箇所においてパターンの突出方向に部分的に突出させてパターン26、28を横断しないように迂回させる。その上で各領域のマスクパターンを支柱の幅に相当する間隔をおいて配列するとともに、支柱に対応するパターンを配置した露光マスクのデータを作成し、また、同データを用いてパターンを形成した露光マスクを作成する。
【0035】
したがって、作成した露光マスクでは、パターンがマトリクス状に配列され、かつ偶数行と奇数行の位置がずれているような場合でも、パターンが2つの領域に分割されて細いパターンとなることを回避でき、露光対象を常に十分な露光強度で露光して、集積回路に形成するコンタクトなどが限度を超えて細くなったり、切断されるといった不具合の発生を防止できる。
【0036】
なお、第2の実施の形態例では上述のように、区切り線を部分的に突出させるので、その突出量に相当する幅だけ、各マスクパターン領域110(図7)の幅をあらかじめ広く確保しておく。これにより、区切り線の突出部のパターンも、対応するマスクパターン領域110に形成することができる。また、第2の実施の形態例では最初の実施の形態例のように矩形領域は移動させないので、露光時に半導体ウェアーを移動させる必要はない。
【0037】
次に、本発明の第3の実施の形態例について説明する。
図6の(A)ないし(C)は斜めに延在するパターンを含むマスクパターンの一例を示す部分平面図である。
図6の(A)は、上述のような集積回路のマスクパターンの領域分割の結果、区切り線30が斜めのパターン32を横断した場合を示し、図6の(B)は、縦横の仮想区切り線34、36が交差する箇所がパターン32の縁部上に存在し、図6の(C)は、縦横の仮想区切り線34、36が交差する箇所がパターン32上に存在する場合を示している。
【0038】
図6の(A)の場合には、区切り線34が横断しても、パターン32に対応する配線などの幅が問題となる程度に細くなる可能性は低いが、図6の(B)および(C)の場合は、パターン32が3つ、または4つの領域に分割されるため、露光マスクを用いて形成した配線の切断などが生じる可能性が高い。
【0039】
そこで、第3の実施の形態例では、図の例の場合、矩形領域の縦横の仮想区切り線34、36が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下であるパターン32を検出し、検出したパターンを横断する縦横の仮想区切り線のいずれか一方または両方を、パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、交差箇所近傍において各延在方向に直交する方向に部分的に突出させる。
【0040】
図6の(B)では、区切り線36を交差箇所近傍で上方に突出させており、その結果、パターン32は2つの領域38、40にのみ分割されることになる。また、図6の(C)では、点線36Aで示したように、区切り線36を交差箇所の左側で上方に、右側で下方に突出させており、その結果、パターン32はこの場合にも2つの領域38、40にのみ分割されることになる。
【0041】
このように区切り線を操作した後、各領域のマスクパターンを支柱の幅に相当する間隔をおいて配列するとともに、支柱に対応するパターンを配置した露光マスクのデータを作成し、同データを用いて露光マスクを作成する。
したがって、作成した露光マスクでは、パターンが斜めに延在しており縦横の区切り線の交差箇所がそのパターンに重なったような場合でも、パターンが複数の領域に分割されて微細化することを回避でき、露光対象を常に十分な露光強度で露光して、集積回路の配線などが限度を超えて細くなったり、切断されるといった不具合の発生を防止できる。
【0042】
なお、この第3の実施の形態例でも、区切り線を部分的に突出させるので、その突出量に相当する幅だけ、各マスクパターン領域110(図7)の幅をあらかじめ広く確保し、区切り線の突出部のパターンが、対応するマスクパターン領域110に形成されるようにする。また、第3の実施の形態例でも最初の実施の形態例のように矩形領域は移動させないので、露光時に半導体ウェアーを移動させる必要はない。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法では、集積回路のマスクパターンを、複数の矩形領域に分割した際に、矩形領域の縦横の仮想区切り線が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下である斜めに延在するパターンを検出する。そして、検出したパターンを横断する縦横の仮想区切り線のいずれか一方または両方を、パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、交差箇所近傍において各延在方向に直交する方向に突出させ、その上で各領域のマスクパターンを上記支柱の幅に相当する間隔をおいて配列した露光マスクのデータを作成する。本発明の電子線露光装置用露光マスクでは、この露光マスクデータを用いて露光マスクを作成する。
【0049】
したがって、この露光マスクでは、パターンが斜めに延在しており縦横の仮想区切り線の交差箇所がそのパターンに重なったような場合でも、パターンが3つ以上の領域に分割されて微細化することを回避でき、露光対象を常に十分な露光強度で露光して、集積回路の配線などが限度を超えて細くなったり、切断されるといった不具合の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法の実施の形態例における各工程を示すフローチャートである。
【図2】(A)および(B)は縦の区切り線が重なったパターンの一例を示す平面図である。
【図3】(A)および(B)は横の区切り線が重なったパターンの一例を示す平面図である。
【図4】露光マスクの作成方法を示す工程図である。
【図5】(A)および(B)はマトリクス状に配列されたコンタクトを形成するためのマスクパターンの一例を示す部分平面図である。
【図6】(A)ないし(C)は斜めに延在するパターンを含むマスクパターンの一例を示す部分平面図である。
【図7】電子線露光装置用の露光マスクを示す裏面図である。
【図8】電子線露光装置用の露光マスクを示す断面側面図である。
【図9】集積回路のマスクパターンの一例を示す平面図である。
【図10】図9のマスクパターンを、露光マスク作成のために分割した状態を示す平面図である。
【図11】(A)ないし(C)は領域分割の結果、パターンが2つの領域に分離された場合の一例を示す平面図である。
【図12】(A)および(B)はパターン幅と露光強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2、4、8、10……パターン、6、12……区切り線、14……シリコン基板、16……フォトレジスト層、18……エッチング用マスク、20……露光マスク、22……領域の区切り線、24、26、28……パターン、30……区切り線、32……パターン、34、36……仮想区切り線、102……露光マスク、104……マスク本体、106……支柱、108……酸化シリコン膜、110……マスクパターン領域、112……マスクパターン、114、116、118、120……矩形領域、124……区切り線、126……パターン、128、130……矩形領域、132、134……パターン。
Claims (2)
- 電子線露光装置で使用する露光マスクを製作するための露光マスクデータを作成する方法であって、
前記露光マスクの縦横の格子状に延在する支柱により区切られた各マスクパターン領域に対応づけて、集積回路のマスクパターンを複数の矩形領域に分割し、
前記矩形領域の縦横の仮想区切り線が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の前記仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下である、前記マスクパターンに含まれる斜めに延在するパターンを検出し、
検出した前記パターンを横断する縦横の前記仮想区切り線のいずれか一方または両方を、前記パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、前記交差箇所近傍においてそれぞれの延在方向に直交する方向に突出させ、
その上で各領域の前記マスクパターンを前記支柱の幅に相当する間隔をおいて配列するとともに、前記支柱に対応するパターンを配置した前記露光マスクのデータを作成することを特徴とする電子線露光装置用露光マスクデータの作成方法。 - 電子線露光装置で使用する露光マスクであって、
前記露光マスクの縦横の格子状に延在する支柱により区切られた各マスクパターン領域に対応づけて、集積回路のマスクパターンを複数の矩形領域に分割し、
前記矩形領域の縦横の仮想区切り線が交差する箇所に存在し、かつ同交差箇所近傍で縦横の前記仮想区切り線にそれぞれ平行な方向での幅がともに基準値以下である、前記マスクパターンに含まれる斜めに延在するパターンを検出し、
検出した前記パターンを横断する縦横の前記仮想区切り線のいずれか一方または両方を、前記パターンが同時に3つ以上の領域に分割されないように、前記交差箇所近傍においてそれぞれの延在方向に直交する方向に突出させ、
その上で各領域の前記マスクパターンを前記支柱の幅に相当する間隔をおいて配列するとともに、前記支柱に対応するパターンを配置した前記露光マスクのデータを作成し、
作成した前記露光マスクデータによりパターンを形成したことを特徴とする電子線露光装置用露光マスク。
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2000
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