JP4535824B2 - 軽質粒状消石灰の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、農業用土壌改質に用いられる土壌改質材、酸性雨中和剤、描線材、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤、排ガス処理剤等に好適な軽質粒状消石灰の製造方法に関するものである。
農業用土壌の改質や、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理に生石灰や消石灰が利用されている。また消石灰は、学校等のグラウンドに競技用トラック等を表示する描線材としても一般的に使用されている。生石灰は保存中や散布中に水との接触や空気中の湿気を吸収して高温を発生する危険性がある。一方、消石灰は生石灰と水とを接触させて消化反応を起こすことで合成される。そのため消石灰は空気中で保存しても生石灰のように発熱することはないが、微粉末状の形態で得られるため、その取扱いが困難であり、土壌への散布中や散布後に風によって飛散してしまい、散布効果が低下するとともに、人畜に害を及ぼす問題があった。同様に、消石灰粉末を描線器に投入する際や、描線中に消石灰粉末が風によって飛散し、その作業者の身体に付着したり、描いた線の縁が薄くぼやけてしまう欠点があった。
また、鶏や豚、牛などの畜産における畜舎の消毒には生石灰や消石灰が使用されるが、生石灰を使用した場合は、屎尿や汚物等に含まれる水分と生石灰とが直ちに反応を起こし、生成した消石灰が粉塵として飛散してしまう問題があった。また、消石灰を使用した場合は、消石灰が封入された袋を開袋する際や作業中に発生する浮遊粉塵を家畜や作業員が吸引してしまう問題を生じていた。
また、鳥インフルエンザなどの発生により家畜を処分しなければならない場合には消石灰散布による消毒作業が行われたが、消石灰は容易に風に巻き上げられてしまうため作業性が悪く、この風に巻き上げられた消石灰が、消毒作業周辺の家屋に降下粉塵として堆積してしまう問題があった。
また、土壌改質や酸性雨対策として消石灰の散布を行うが、消石灰粉末を散布した場合は、風が吹くときなどは均一な散布が困難であり、散布した周辺の家屋に降下粉塵として堆積してしまう問題があった。また、消石灰粉末を散布した森林では樹木の葉の表皮に消石灰が堆積してしまい、景観が白くなるばかりでなく植生に悪影響を生じることもあった。
また、酸性廃液を中和するための中和処理剤に消石灰を利用する場合は、消石灰粉末を用いてアルカリ水溶液を作り、その上澄み液を中和液として使用してきたが、取扱い難く、また、中和液に消石灰スラリーが混入した場合、攪拌後の沈降性が悪いため中和した廃液が白濁してしまう問題もあった。この場合、白濁した状態が続き河川を汚濁することがある。
更に、酸性排ガスを中和するための排ガス処理剤として使用する場合は、従来は、排ガスが通過する煙道ダクトに直接消石灰粉末を吹込み、バグフィルタ等で捕集する際に、酸性ガスを吸着するものであった。しかし、バグフィルタで捕集する際、排ガス中に含まれる塩素分と消石灰とが反応して塩化カルシウムを生成するが、この生成した塩化カルシウムが大気中の湿気を吸って潮解してしまい、バグフィルタのろ布に付着してバグフィルタを目詰まりさせてしまう問題があった。
そのため、消石灰を顆粒状にすることによって粉末状消石灰の欠点を解消し、作業環境を改善する試みが種々なされてきた。通常、この顆粒状消石灰は、消石灰の製造時に、凝集したものを篩により粒径を調整して得られていたため、少量、具体的には5%以下の割合で副産物として自然発生しているにすぎず、残りの大部分は微粉末状で得られていた。従来の消石灰の製造方法では、顆粒状消石灰の発生量は運転状態や原料に大きく左右されてしまうため、顆粒状消石灰を安定して製造することが困難であった。また、顆粒状消石灰は、従来の消石灰製造における副産物として得られるにすぎないため、得られた顆粒消石灰中に未反応物などの不純物が混入し易く、物性値や外観が悪いなどの品位の低下問題が生じていた。特に、顆粒消石灰中に炭酸カルシウムなどの不純物が混入すると、容重(見掛け比重)が大きく変化してしまうため、製品を袋詰めしパレットに段積みした場合、高さが不揃いになり商品の価値が悪くなるだけでなく、作業性も悪くなり危険であった。
上記諸問題を解決する方策として、消石灰にステフェン廃水濃縮液、アルコール醗酵廃液濃縮液、リグニンスルホン酸塩溶液等の有機物を含む造粒剤を加え25〜70kg/cm2の圧力の下で捏和する捏和工程と、捏和された消石灰を、厚さ3mm以下のスクリーンを通して5〜40kg/cm2の圧力で行う押出し造粒工程と、押出し造粒された消石灰を静的に乾燥する乾燥工程とを、順次経ることを特徴とする顆粒状消石灰の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に示される製造方法により、内部構造に造粒剤のもつ水分が乾燥することにより空間を形成して、水分の吸湿を容易ならしめるとともに崩壊を容易にすることができる。
また、消石灰粉末をメタノール水溶液で練り合わせた後、その練合物を多孔板に押圧し、各孔より吐出した小粒片を乾燥して粒化した消石灰を得る消石灰の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に示される製造方法により、飛散性が少なく流動性に優れた消石灰を得るため顆粒ないし細粒を呈する粒状に成形することができ、また製造が容易となり大量に生産することができる。
また、生石灰と水との反応により消石灰を合成する際に、共存する水分を結合剤にして造粒手段により消石灰を粒状化させるとともに、その時に起こる化学反応を利用して強度の大きい粒を製造することを特徴とする顆粒状消石灰の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この特許文献3では、強度の大きい顆粒状消石灰を経済的で簡略化された方法により得ることができる。
更に、生石灰粉末を流動させておいた噴霧乾燥室内に、消石灰に水を加えて作製したスラリーを噴霧させることにより、噴霧され水を含んだ消石灰粒と生石灰とを衝突させ、水和反応により、脱水と同時に発熱させ、消石灰粒中の水分を除去、乾燥させることを特徴とする顆粒状消石灰の製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この特許文献4に示される製造方法により、粒径が比較的揃い、かつ顆粒中の水分含有量が少なく、水崩壊性に優れ、乾燥コストを低減でき、品質に優れ、かつ製造コストの安価な顆粒状の消石灰を得ることができる。
特公昭63−8047号公報 特公昭63−16332号公報 特開昭63−123812号公報 特開昭63−297251号公報
しかし、上記特許文献1〜4にそれぞれ示された顆粒状消石灰は、一度粉化した消石灰に水や添加剤を加えて造粒し乾燥する等の方法により得られているため、二次製品的であり生産効率が極めて悪かった。生石灰においても同様に、粉末生石灰の凝集、圧縮成型なども存在するが規模的にも小さく効率が悪かった。
また上記特許文献1〜4に示される顆粒消石灰や造粒消石灰を土壌改質剤として田畑に散布した場合は、顆粒消石灰や造粒消石灰は消石灰粒子間の凝集力や固着、圧着力が強すぎるため、散布後でも粉化せずに塊のまま存在し易く、土中でアルカリ分が不均一になりやすい問題が生じていた。
更に上記特許文献1〜4に示される顆粒消石灰を中和処理剤として使用した場合は、顆粒消石灰では不純分が混入し易いため残渣やスラッジの発生が多く、アルカリ分の溶出(反応性)にやや劣る問題があった。また、生産量が少ないため定量供給が難しい。また、粒状消石灰では、水中で崩壊し難く、アルカリ分の溶出(反応性)に劣る問題があった。
本発明の目的は、農業用土壌改質に用いられる土壌改質材、酸性雨中和剤、描線材、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤、排ガス処理剤等に好適な軽質粒状消石灰を高い歩留まりで得ることができる、軽質粒状消石灰の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、粒径が0.5mm〜11.2mm、見掛け比重が0.8〜1.3に調整された粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の水を均一に噴霧して、粗粒生石灰と水とを攪拌することなく5秒〜20分間反応させることにより、粗粒生石灰を消化率25%〜85%に部分消化することを特徴とする軽質粒状消石灰の製造方法である。
請求項1に係る発明では、この製造方法により、原料となる粗粒生石灰は全て消化されずに部分的に消化されているに留まり、この部分消化により、生石灰領域が核となり、この生石灰領域に消石灰凝集粒子が堆積して堆積層を形成した構造を有する軽質粒状消石灰を高い歩留まりで製造することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、部分消化に使用する水が添加剤を含む水溶液であり、添加剤が炭素数1〜3のアルコール、糖アルコール類、グリコール類又は塩類である製造方法である。
請求項2に係る発明では、添加剤を含む水溶液を部分消化に使用することで、その用途に合わせて見掛け比重及び水中崩壊耐性を制御した軽質粒状消石灰が得られる。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、添加剤が炭素数1〜3のアルコールであるとき、炭素数1〜3のアルコールの添加量が5〜20重量%である製造方法である。
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明であって、添加剤が糖アルコール類であるとき、糖アルコール類の添加量が0.5〜2重量%である製造方法である。
請求項5に係る発明は、請求項2に係る発明であって、添加剤がグリコール類であるとき、グリコール類の添加量が0.5〜2重量%である製造方法である。
請求項3〜5に係る発明では、添加剤として炭素数1〜3のアルコール、糖アルコール類、グリコール類を上記割合で添加させた水溶液を部分消化に使用することで、部分消化に水を使用して得られる軽質粒状消石灰に比べて、見掛け比重が小さく、かつ水中崩壊耐性が高くなるため、酸性廃液の中和処理剤の用途に特に好適な軽質粒状消石灰が得られる。
請求項6に係る発明は、請求項2に係る発明であって、添加剤が塩類であるとき、塩類の添加量が0.5〜2重量%である製造方法である。
請求項6に係る発明では、添加剤として塩類を上記割合で添加させた水溶液を部分消化に使用することで、部分消化に水を使用して得られる軽質粒状消石灰に比べて、見掛け比重が大きく、かつ水中崩壊耐性が低くなるため、酸性廃液の中和処理剤及び排ガス処理剤の双方の用途に特に好適な軽質粒状消石灰が得られる。
図1(c)に示すように、請求項1〜6に記載の製造方法により得られる軽質粒状消石灰は、消石灰の粒径が0.6mm〜14mm、見掛け比重が0.5〜0.9、及び消化率が25%〜85%であり、見掛け比重が小さく、消石灰粒子が多次凝集して形成されたポーラス状の軽質粒状消石灰である。また、多次凝集しているポーラス状消石灰中に生石灰が核として存在した構造を有するため、水が軽質粒状消石灰の内部に速やかに侵入可能であり、また崩壊し易い。そのため、水との親和性を示す活性度が大きく、水中崩壊耐性が低い結果が得られる。造粒などの工程を施さなくても所望の粒径とすることができるため、生産効率が高い。また粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、本発明の軽質粒状消石灰が封入された袋を開袋する際や作業時にも発塵することがない。また、鳥インフルエンザなどの発生により家畜の処分や消毒をする際に、本発明の軽質粒状消石灰を用いた場合、粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、風に巻き上げられることも少なく、作業環境が大幅に改善される。また、土壌改質や酸性雨対策について本発明の軽質粒状消石灰を用いた場合も、粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、風による飛散がなく空中から均一な散布を行うことが可能となる。また粉末状の消石灰とは異なり、本発明の軽質粒状消石灰を散布した森林では樹木の葉の表皮に過剰に堆積することはないので環境にも優しい。水に対して適度に崩壊して塊状のまま残存することがないので、環境にも優しい。また、活性度が大きいため、素早くアルカリ分を溶出でき、粒状消石灰であるため懸濁化もしない。そのため、本発明の軽質粒状消石灰を酸性廃液の中和処理剤に使用する場合、アルカリ上澄み液を得るために沈降させる工程を、従来の消石灰粉末を使用した場合に比べて大幅に短縮できる。更に、軽質粒状消石灰の核として存在する生石灰が大気中の湿気を捉えるため、本発明の軽質粒状消石灰を排ガス処理剤に使用した場合、塩化カルシウムの潮解を抑制する効果が期待でき、排ガス処理剤として使用することで、バグフィルタを目詰まりさせることなく酸性排ガスの中和及び浄化が可能となる。このように、上記物性を有することで農業用土壌改質に用いられる土壌改質材、酸性雨中和剤、描線材、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤、排ガス処理剤等に好適な材料となる。
以上述べたように、本発明の軽質粒状消石灰の製造方法は、粒径が0.5mm〜11.2mm、見掛け比重が0.8〜1.3に調整された粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の水を均一に噴霧して、粗粒生石灰と水とを攪拌することなく5秒〜20分間反応させることにより、粗粒生石灰を消化率25%〜85%に部分消化することにより軽質粒状消石灰を得る。この製造方法により、原料となる粗粒生石灰は全て消化されずに部分的に消化されているに留まり、この部分消化により、生石灰領域が核となり、この生石灰領域に消石灰凝集粒子が堆積して堆積層を形成した構造を有する軽質粒状消石灰が得られる。
た本発明の製造方法により得られる軽質粒状消石灰、見掛け比重が小さく、消石灰粒子が多次凝集して形成されたポーラス状の軽質粒状消石灰である。また、多次凝集しているポーラス状消石灰中に生石灰が核として存在した構造を有するため、水が軽質粒状消石灰の内部に速やかに侵入可能であり、また崩壊し易い。そのため、水との親和性を示す活性度が大きく、水中崩壊耐性が低い結果が得られる。造粒などの工程を施さなくても所望の粒径とすることができるため、生産効率が高い。また粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、本発明の軽質粒状消石灰が封入された袋を開袋する際や作業時にも発塵することがない。また、鳥インフルエンザなどの発生により家畜の処分や消毒をする際に、本発明の軽質粒状消石灰を用いた場合、粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、風に巻き上げられることも少なく、作業環境が大幅に改善される。また、土壌改質や酸性雨対策について本発明の軽質粒状消石灰を用いた場合も、粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、風による飛散がなく空中から均一な散布を行うことが可能となる。また粉末状の消石灰とは異なり、本発明の軽質粒状消石灰を散布した森林では樹木の葉の表皮に過剰に堆積することはないので環境にも優しい。水に対して適度に崩壊して塊状のまま残存することがないので、環境にも優しい。また、活性度が大きいため、素早くアルカリ分を溶出でき、粒状消石灰であるため懸濁化もしない。そのため、本発明の軽質粒状消石灰を酸性廃液の中和処理剤に使用する場合、アルカリ上澄み液を得るために沈降させる工程を、従来の消石灰粉末を使用した場合に比べて大幅に短縮できる。更に、軽質粒状消石灰の核として存在する生石灰が大気中の湿気を捉えるため、本発明の軽質粒状消石灰を排ガス処理剤に使用した場合、塩化カルシウムの潮解を抑制する効果が期待でき、排ガス処理剤として使用することで、バグフィルタを目詰まりさせることなく酸性排ガスの中和及び浄化が可能となる。このように、上記物性を有することで農業用土壌改質に用いられる土壌改質材、酸性雨中和剤、描線材、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤、排ガス処理剤等に好適な材料となる。
本発明の軽質粒状消石灰の製造方法を説明する。
図1(a)に示すように、本発明の軽質粒状消石灰の原料である生石灰11は、通常の生石灰の製造方法と同様、石灰石を焼成して石灰石中の炭酸成分が抜けることで得られる。この製造過程において、生石灰粉末同士が凝集してその凝集粒子同士の間に形成される隙間である細孔や、炭酸成分が抜けることによって生じる脱炭酸孔11aが形成される。得られた生石灰は、一定の大きさに破砕し、篩い等で粒径を制御することで、本発明の軽質粒状消石灰の原料として好適な粒径が0.5mm〜11.2mm、見掛け比重が0.8〜1.3の粗粒生石灰に調整される。粒径が1mm〜5mm、見掛け比重が0.9〜1.1が好ましい。
本発明の軽質粒状消石灰の製造方法の特徴ある構成は、この粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の水を均一に噴霧して、粗粒生石灰と水とを5秒〜20分間反応させることにより、粗粒生石灰を消化率25%〜85%に部分消化するところにある。
粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の水を均一に噴霧して、粗粒生石灰と水とを反応させることにより、図1(b)に示すように、粗粒生石灰の粒径を維持しながら、先ず、粗粒生石灰表面や、粗粒生石灰の製造過程で形成された脱炭酸孔、細孔等に噴霧した水が接触して消化し始める。この消化により粗粒生石灰表面や、脱炭酸孔、細孔等に消石灰の一次粒子が形成され、続いてその周辺部近傍にも消化によって一次粒子が形成される。続いて、形成された一次粒子同士が凝集して消石灰の凝集粒子13が形成される。なお、図1(b)中に示される破線は、粗粒生石灰の表面位置を示したものである。図1(b)中の符号11bは脱炭酸孔、細孔が形成されていた位置を示す。本発明の製造方法により得られる軽質粒状消石灰は、粗粒生石灰と水とを5秒〜20分間反応させることにより、消化率が25%〜85%の範囲内となるように部分消化する。図1(c)に示すように、反応時間を5秒〜20分間に規定することで、原料となる粗粒生石灰が全て消化されずに部分的に消化されているに留まり、この部分消化により得られる軽質粒状消石灰は、生石灰領域が核となり、この生石灰領域12に消石灰凝集粒子13aが堆積して堆積層13を形成した構造をとる。
本発明において粗粒生石灰に噴霧する消化水量は、理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の範囲内に規定される。生石灰を水と反応させると次の式(1)に示される発熱反応をして消石灰が得られる。
CaO + H2O = Ca(OH)2 + 15.99kcal/mol(65.26kJ/mol) ……(1)
理論的には生石灰1kgに0.32kgの水を加えれば消石灰が得られることになる。このときの水量が理論消化水量である。従って、本発明における理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量とは、生石灰が1kgであった場合、この生石灰1kgに対して0.224kg〜0.448kgの水を加えることに相当する。本発明において噴霧する消化水量が下限値未満であると、消化率が低くなりすぎてしまい、脱炭酸孔、細孔中の消化皮膜率が低く、生石灰の性質が強いため、水との接触や湿気を吸収して高温を発生する危険性があり、消化水量が上限値を越えると消化率が高くなりすぎてしまい、粉末状の消石灰の発生割合が多くなるため、粒状消石灰として十分な効果が得られず、歩留まりも悪くなる。消化水量は0.9倍量〜1.2倍量が好ましい。得られる軽質粒状消石灰を農業用土壌改質に用いられる土壌改質材に使用する場合は理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量に、描線材に用いる場合は理論消化水量の0.8倍量〜1.3倍量に、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤に用いる場合は理論消化水量の0.7倍量〜1.0倍量に、酸性雨中和剤に用いる場合は、理論消化水量の1.0倍量〜1.4倍量に、酸性廃液の中和処理剤に用いる場合は、理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量に、排ガス処理剤に用いる場合は理論消化水量の1.0倍量〜1.4倍量と、用途に併せて噴霧条件を適宜調製するのが好ましい。この噴霧条件を変更することで、強熱減量(ignition loss)や消化率、活性度、水中崩壊耐性をある程度自由に制御することができる。なお、強熱減量とは、1gのサンプルを1050℃で1時間加熱した際に減じた割合であり、主な減量物質としては、サンプル中に含まれる炭酸カルシウムや結合水、付着水が考えられる。
また、粗粒生石灰に噴霧する水の温度は5℃〜80℃の範囲内が好ましい。5℃未満の水では粉分の発生が多くなる不具合を生じ、80℃を越えると、消化における反応速度が大きくなりすぎてしまうため、後から供給される水がただちに水蒸気に代わってしまい、粗粒生石灰との反応が気相反応となるため、生石灰内部の細孔を消化することなく反応が収束してしまい、生石灰の性質の強い軽質粒状消石灰ができてしまう不具合を生じる。粗粒生石灰に接触するときの水の粒子径は5〜200μmであることが消化反応が均一に進行するため好ましい。
粗粒生石灰と水との反応時間が5秒未満であると、上記範囲の消化率を満たすことができず、反応時間が20分間を越えると、上記範囲を越える消化率となってしまうため、得られた軽質粒状消石灰が粉化してしまう不具合や、得られた消石灰が完全消化されたものになってしまう不具合を生じる。部分消化するための反応時間は、粗粒生石灰の活性度が400〜100ml/5分であるとき、反応時間を5秒〜6分間、粗粒生石灰の活性度が100〜10ml/5分であるとき、反応時間を6分間〜20分間とすることが好ましい。ここでいう活性度とは、一定粒度の生石灰を温水に投入してHClで中和し、このHClの消費量を測定する方法(粗粒滴定法)のうち、活性度50g法を用いたときの活性度を示し、具体的には、先ず、液温40℃に保持した水2リットル中にサンプルを50g投入し、4規定のHClを用いて中和滴定を行い、5分間で消費したHCl量である。
本発明における消化率とは、部分消化前後における消石灰の重量増加量を部分消化前の消石灰重量に対する理論消化水量で除した割合をいう。得られる軽質粒状消石灰を農業用土壌改質に用いられる土壌改質材に使用する場合は粒度0.6〜5mmで消化率40%〜85%に、描線材に用いる場合は粒度0.6〜2.5mmで消化率60%〜80%に、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤に用いる場合は粒度2.5〜5mmで消化率20%〜60%に、酸性雨中和剤に用いる場合は、粒度0.6〜2.5mmで消化率は60%〜85%に、酸性廃液の中和処理剤に用いる場合は、粒度0.6〜14mmで消化率は40%〜85%に、排ガス処理剤に用いる場合は粒度0.6〜5mmで消化率60%〜85%と、用途に併せて製造条件を適宜調製するのが好ましい。この製造条件を変更することで、水への水和性をある程度自由に制御することができる。上記製造条件において消化率が25%〜85%の範囲内に部分消化する。消化率が下限値未満であると、脱炭酸孔、細孔中の消化皮膜率が低く、生石灰の性質が強いため、水との接触や湿気を吸収して高温を発生する危険性があり、消化率が上限値を越えると粉末状の消石灰の発生割合が多くなるため、粒状消石灰として十分な効果が得られず、歩留まりも悪くなる。消化率は60%〜80%が好ましい。
本発明の製造方法により得られる軽質粒状消石灰は、容積と重量の比である見掛け比重は通常の製造方法で得られる消石灰粉末とほぼ同等の見掛け比重を示すが、前述した活性度が非常に高く、かつ水中における膨潤崩壊が穏やかである。また、原料の粗粒生石灰が有する細孔や脱炭酸孔が本発明の軽質粒状消石灰では、そのままポーラス構造となっているため、水中におけるアルカリ分の溶出が早い。
本発明の軽質粒状消石灰の製造方法では、連続式の消化装置を使用することが好ましい。具体的には、図2に示すような連続式消化装置を用いて製造する。図2に示すように、連続式消化装置20では、消化室21の内部にベルトコンベア22が水平に設けられる。また、消化室21の一方の上端には、原料である粗粒生石灰23をベルトコンベア22上に供給するための供給口21aがベルトコンベア22の一方の端部の直上に位置するように設けられ、他方の上端には、消化反応によって生じる発熱により発生する水蒸気や微粉末を回収する排気口21bが設けられ、消化室21の他方の下端には、部分消化によって得られる本発明の軽質粒状消石灰を回収する回収口21cがベルトコンベア22の他方の端部から落下する軽質粒状消石灰が回収可能な位置に設けられる。また、供給口21aには粗粒生石灰23を定量供給可能な定量フィーダ24が接続され、排気口21bには、消化室21内で発生する水蒸気や微粉末を回収する排気ファン26が設けられる。排気口21bと排気ファン26との間には図示しないがバグフィルターを設けてもよい。消化室21内部のベルトコンベア22中央部の上方には、ベルトコンベア22上に供給された粗粒生石灰23に水27を均一噴霧することが可能な噴霧器28が設けられ、この噴霧器28は配管29を通じてポンプ31に接続され、消化室21外から水を供給可能な構成をとっている。
このような構成を有する連続式消化装置20では、先ず、定量フィーダ24によって粗粒生石灰23をベルトコンベア22上に定量供給する。定量フィーダ24によってコンベア22の一方の端部に供給された粗粒生石灰23がベルトコンベア22によって運送されてコンベア22の他方の端部から落下して回収口21cから回収されるまでの時間は、5秒〜20分間となるようにベルトコンベア22の移動速度が規定される。この移動速度によって本発明における反応時間が決定する。また、ベルトコンベア22上に供給される粗粒生石灰23は、噴霧器28から噴霧される水27と均一にかつ直接接触する必要があるため、ベルトコンベア22の表面積に対して粗粒生石灰23を40%〜60%の割合となるように供給することが好ましい。
次に、ベルトコンベア22上に供給した粗粒消石灰23は、ベルトコンベア22によって供給口21a側に位置するコンベア22の一方の端部から回収口21c側に位置するコンベア22の他方の端部へと運送されながら、ベルトコンベア22上方に設置された噴霧器28から水27が均一に噴霧される。噴霧器28から噴霧される水27の水量は、理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の範囲内に規定される。上記水量で水27を粗粒生石灰23に均一に噴霧することによって粗粒生石灰23と水27がむらなく接触し、粗粒生石灰23の表層に水27が接触した箇所から消化反応が生じる。この消化反応により粗粒生石灰表面や、脱炭酸孔、細孔等に消石灰の一次粒子が形成され、続いてその周辺部近傍にも消化によって一次粒子が形成される。続いて、形成された一次粒子同士が凝集して粗粒生石灰に消石灰の凝集粒子が形成される。この消化反応は発熱反応であるため、噴霧されて未だ未反応の水27の一部が水蒸気27aへと態変化するが、水蒸気27aが消化室21内に滞留すると、消化反応によって生じた消石灰を粉化させてしまうため、この水蒸気27aは排気ファン26を駆動することによって排気口21bから消化室21外部へと排気する。また、少量ではあるが、消石灰の微粉末も発生するおそれがあるため、同様に排気ファン26によって消化室21外部へと排気する。ベルトコンベア22上で5秒〜20分間反応をさせることによって粗粒生石灰23を消化率25%〜85%の範囲内にまで部分消化させて軽質粒状消石灰とする。得られた軽質粒状消石灰は、ベルトコンベア22の端部から落下して回収口21cから回収される。
なお、本発明の軽質粒状消石灰の製造方法においては、一般的に知られている消石灰粉末の製造方法における消化工程での生石灰と水とが混合した混合物を攪拌する必要がない。攪拌してしまうと粗粒生石灰23の形状が破壊されてしまい、所望の軽質粒状消石灰が得られないためである。また、一般的に知られている消石灰粉末の製造方法における消化工程後の熟成工程も施す必要はない。もしこの熟成工程を施すと、消化工程で得られた軽質粒状消石灰が粉化してしまう不具合を生じるためである。
本発明の軽質粒状消石灰の製造方法では、部分消化に使用する水として添加剤を含む水溶液を用いてもよい。水溶液に添加する添加剤としては、炭素数1〜3のアルコール、糖アルコール類、グリコール類又は塩類が挙げられる。上記添加剤を含む水溶液を部分消化に使用することで、その用途に合わせて見掛け比重及び水中崩壊耐性を制御した軽質粒状消石灰が得られる。
炭素数1〜3のアルコールとしては、メタノールやエタノール、プロパノール等が挙げられる。添加剤に炭素数1〜3のアルコールを用いるとき、炭素数1〜3のアルコールの添加量は5〜20重量%の範囲内が好ましい。特に好ましくは5〜10重量%の範囲内である。糖アルコール類としては、ソルビットやフルクトース、マンニット等が挙げられる。添加剤に糖アルコール類を用いるとき、糖アルコール類の添加量は0.5〜2重量%の範囲内が好ましい。特に好ましくは0.5〜1重量%の範囲内である。グリコール類としては、ジエチルグリコール(DEG)やエチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)等が挙げられる。添加剤にグリコール類を用いるとき、グリコール類の添加量は0.5〜2重量%の範囲内が好ましい。特に好ましくは0.5〜1重量%の範囲内である。添加剤として炭素数1〜3のアルコール、糖アルコール類、グリコール類を上記割合で添加させた水溶液を部分消化に使用することで、部分消化に水を使用して得られる軽質粒状消石灰に比べて、見掛け比重が小さく、かつ水中崩壊耐性が高くなるため、酸性廃液の中和処理剤の用途に特に好適な軽質粒状消石灰が得られる。水溶液に添加する炭素数1〜3のアルコール、糖アルコール類、グリコール類を上記割合に規定したのは、下限値未満では添加剤を用いた効果が得られず、上限値を越えると、得られた軽質粒状消石灰が粉化してしまったり、得られた軽質粒状消石灰が着色してしまう不具合を生じるからである。
本発明における塩類とは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を指す。具体的には、NaCl、CaCl2、KCl、AlCl3・6H2O、MgCl2・6H2O、BaCl2・2H2Oなどが挙げられる。添加剤に塩類を用いるとき、塩類の添加量は0.5〜2重量%の範囲内が好ましい。特に好ましくは0.5〜1重量%の範囲内である。添加剤として塩類を上記割合で添加させた水溶液を部分消化に使用することで、部分消化に水を使用して得られる軽質粒状消石灰に比べて、見掛け比重が大きく、かつ水中崩壊耐性が低くなるため、酸性廃液の中和処理剤及び排ガス処理剤の双方の用途に特に好適な軽質粒状消石灰が得られる。水溶液に添加する塩類を上記割合に規定したのは、下限値未満では添加剤を用いた効果が得られず、上限値を越えると、得られた軽質粒状消石灰が粉化してしまったり、得られた軽質粒状消石灰が着色してしまう不具合を生じるからである。
本発明の軽質粒状消石灰は、前述した製造方法により得られる軽質粒状消石灰であり、その特徴ある構成は、消石灰の粒径が0.6mm〜14mm、見掛け比重が0.5〜0.9、及び消化率が25%〜85%である。本発明の軽質粒状消石灰は、見掛け比重が小さく、消石灰粒子が多次凝集して形成されたポーラス状の軽質粒状消石灰である。また、多次凝集しているポーラス状消石灰中に生石灰が核として存在した構造を有するため、水が軽質粒状消石灰の内部に速やかに侵入可能であり、また崩壊し易い。そのため、水との親和性を示す活性度が大きく、水中崩壊耐性が低い結果が得られる。造粒などの工程を施さなくても所望の粒径とすることができるため、生産効率が高い。また粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、本発明の軽質粒状消石灰が封入された袋を開袋する際や作業時にも発塵することがない。また、鳥インフルエンザなどの発生により家畜の処分や消毒をする際に、本発明の軽質粒状消石灰を用いた場合、粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、風に巻き上げられることも少なく、作業環境が大幅に改善される。また、土壌改質や酸性雨対策について本発明の軽質粒状消石灰を用いた場合も、粒径が0.6mm〜14mmと大きい粒状であるため、風による飛散がなく空中から均一な散布を行うことが可能となる。また粉末状の消石灰とは異なり、本発明の軽質粒状消石灰を散布した森林では樹木の葉の表皮に過剰に堆積することはないので環境にも優しい。水に対して適度に崩壊して塊状のまま残存することがないので、環境にも優しい。また、活性度が大きいため、素早くアルカリ分を溶出でき、粒状消石灰であるため懸濁化もしない。そのため、本発明の軽質粒状消石灰を酸性廃液の中和処理剤に使用する場合、アルカリ上澄み液を得るために沈降させる工程を、従来の消石灰粉末を使用した場合に比べて大幅に短縮できる。更に、軽質粒状消石灰の核として存在する生石灰が大気中の湿気を捉えるため、本発明の軽質粒状消石灰を排ガス処理剤に使用した場合、塩化カルシウムの潮解を抑制する効果が期待でき、排ガス処理剤として使用することで、バグフィルタを目詰まりさせることなく酸性排ガスの中和及び浄化が可能となる。具体的な使用方法としては、本発明の軽質粒状消石灰は塊状であるため、先ず充填塔に軽質粒状消石灰を充填して充填層を形成し、この充填層の下層から上層に向かって排ガスを通煙することで、バグフィルタを目詰まりさせることなく酸性排ガスの中和及び浄化が可能となる。このように、上記物性を有することで農業用土壌改質に用いられる土壌改質材、酸性雨中和剤、描線材、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤、排ガス処理剤等に好適な材料となる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1〜4>
径が0.5mm〜2mm、見掛け比重が1.02に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が56.1%、粒径が0.6mm〜2.3mm及び見掛け比重が0.87の軽質粒状消石灰(実施例1)を作製した。
また、消化に使用する水を理論消化水量の1.0倍量、1.2倍量及び1.4倍量に代えてそれぞれ部分消化した以外は実施例1と同様にして消化率が57%、粒径が0.6mm〜2.3mm及び見掛け比重が0.78の軽質粒状消石灰(実施例2)、消化率が67.2%、粒径が0.6mm〜2.4mm及び見掛け比重が0.75の軽質粒状消石灰(実施例3)、消化率が84.1%、粒径が0.6mm〜2.5mm及び見掛け比重が0.58の軽質粒状消石灰(実施例4)をそれぞれ作製した。
<実施例5〜8>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が53.9%、粒径が2.3mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.86の軽質粒状消石灰(実施例5)を作製した。
また、消化に使用する水を理論消化水量の1.0倍量、1.2倍量及び1.4倍量に代えてそれぞれ部分消化した以外は実施例5と同様にして消化率が58.2%、粒径が2.4mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.77の軽質粒状消石灰(実施例6)、消化率が66.5%、粒径が2.4mm〜4.8mm及び見掛け比重が0.73の軽質粒状消石灰(実施例7)、消化率が82.6%、粒径が2.5mm〜5.0mm及び見掛け比重が0.54の軽質粒状消石灰(実施例8)をそれぞれ作製した。
<実施例9>
径が4mm〜11.2mm、見掛け比重が0.84に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が53.6%、粒径が4.7mm〜13.1mm及び見掛け比重が0.74の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例10>
径が0.5mm〜2mm、見掛け比重が1.02に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温80℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が56.0%、粒径が0.6mm〜2.3mm及び見掛け比重が0.80の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例11>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温80℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が55.1%、粒径が2.3mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.78の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例12>
径が4mm〜11.2mm、見掛け比重が0.84に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温80℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が48.1%、粒径が4.6mm〜12.9mm及び見掛け比重が0.76の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例13>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、エタノールを5重量%添加して調製された5重量%エタノール水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の5重量%エタノール水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と5重量%エタノール水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が56.5%、粒径が2.4mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.76の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例14>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、エタノールを10重量%添加して調製された10重量%エタノール水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の10重量%エタノール水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と10重量%エタノール水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が57.8%、粒径が2.4mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.74の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例15>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、ソルビットを0.5重量%添加して調製された0.5重量%ソルビット水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の0.5重量%ソルビット水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と0.5重量%ソルビット水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が59.7%、粒径が2.4mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.68の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例16>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、ソルビットを1.0重量%添加して調製された1.0重量%ソルビット水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の1.0重量%ソルビット水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と1.0重量%ソルビット水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が58.9%、粒径が2.4mm〜4.7mm及び見掛け比重が0.74の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例17>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、DEGを0.5重量%添加して調製された0.5重量%DEG水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の0.5重量%DEG水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と0.5重量%DEG水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が61.8%、粒径が2.4mm〜4.8mm及び見掛け比重が0.72の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例18>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、DEGを1.0重量%添加して調製された1.0重量%DEG水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の1.0重量%DEG水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と1.0重量%DEG水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が62.3%、粒径が2.4mm〜4.8mm及び見掛け比重が0.74の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例19>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、NaClを0.5重量%添加して調製された0.5重量%NaCl水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の0.5重量%NaCl水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と0.5重量%NaCl水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が51.4%、粒径が2.3mm〜4.6mm及び見掛け比重が0.76の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例20>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が0.97に調整された軟焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持され、NaClを1.0重量%添加して調製された1.0重量%NaCl水溶液をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の1.0重量%NaCl水溶液を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と1.0重量%NaCl水溶液とを180秒間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が52.6%、粒径が2.3mm〜4.6mm及び見掛け比重が0.77の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例21>
径が0.5mm〜2mm、見掛け比重が1.26に調整された硬焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを9分間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が48.6%、粒径が0.6mm〜2.2mm及び見掛け比重が0.86の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例22>
径が2mm〜4mm、見掛け比重が1.18に調整された硬焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを9分間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が48.0%、粒径が2.2mm〜4.4mm及び見掛け比重が0.84の軽質粒状消石灰を作製した。
<実施例23>
径が4mm〜11.2mm、見掛け比重が1.05に調整された硬焼生石灰からなる粗粒生石灰と、液温15℃に維持された水をそれぞれ用意し、図2に示すように、この粗粒生石灰を定量フィーダ23によって消化室21内部のベルトコンベア22上に1kg/分の割合で定量供給するとともに、供給された粗粒生石灰に理論消化水量の1.0倍量の水を噴霧器28から均一に噴霧して粗粒生石灰と水とを9分間反応させて粗粒生石灰を部分消化し、消化率が41.9%、粒径が4.4mm〜12.2mm及び見掛け比重が0.81の軽質粒状消石灰を作製した。
<比較例1>
径が0.5mm〜4mm及び見掛け比重が0.70に調整された不純物混入の少ない市販品の顆粒消石灰を用意した。
<比較例2>
径が0.5mm〜4mm及び見掛け比重が0.78に調整された不純物混入の多い市販品の顆粒消石灰を用意した。
<比較例3>
消化率が100%の消石灰粉末及びエタノールを50重量%添加して調製された50重量%エタノール水溶液をそれぞれ用意し、この消石灰粉末600gに対して50重量%エタノール水溶液を300gの割合で練合わせ、この混練物を3mmの円形孔より押出して成形した。成型物を105℃に保持された乾燥機にて1時間乾燥した。得られた乾燥物を粒径を0.5〜4mmに調整して造粒消石灰を得た。
<比較例4>
消化率が100%の消石灰粉末を用意し、この消石灰粉末600gに対して水を120gの割合で練合わせ、この混練物に対して45kg/cm2の圧力を加えて厚さ3mmの板状消石灰を成形した。得られた板状消石灰を105℃に保持された乾燥機にて1時間30分乾燥した。乾燥した板状消石灰を破砕して、粒径を0.5〜4mmに調整して造粒消石灰を得た。
<比較例5〜7>
径が0.5mm〜2mm及び見掛け比重が1.02にそれぞれ調整された軟焼生石灰を用意した(比較例5)。
また、粒径が2mm〜4mm及び見掛け比重が0.97にそれぞれ調整された軟焼生石灰(比較例6)、粒径が4mm〜11.2mm及び見掛け比重が0.84にそれぞれ調整された軟焼生石灰を用意した(比較例7)。
<比較例8〜10>
径が0.5mm〜2mm及び見掛け比重が1.26にそれぞれ調整された硬焼生石灰を用意した(比較例8)。
また、粒径が2mm〜4mm、見掛け比重が1.18にそれぞれ調整された硬焼生石灰(比較例9)、粒径が4mm〜11.2mm及び見掛け比重が1.05にそれぞれ調整された硬焼生石灰を用意した(比較例10)。
<比較試験1>
実施例1〜23でそれぞれ得られた軽質粒状消石灰及び比較例1及び2の顆粒消石灰、比較例3及び4の造粒消石灰、比較例5〜7の軟焼生石灰、比較例8〜10の硬焼生石灰について強熱減量及びR-CO2(rest CO2)をそれぞれ求めた。なお、本発明におけるR-CO2は、サンプル中に含まれるCO2の割合である。
また、実施例1〜23でそれぞれ得られた軽質粒状消石灰及び比較例1及び2の顆粒消石灰、比較例3及び4の造粒消石灰、比較例5〜7の軟焼生石灰、比較例8〜10の硬焼生石灰をサンプルとして、次のような活性度試験及び水中崩壊耐性試験を行った。
(1)活性度試験
一定粒度の生石灰を温水に投入してHClで中和し、このHClの消費量を測定する方法(粗粒滴定法)のうち、活性度50g法を用いた。具体的には、先ず、液温40℃に保持した水2リットル中にサンプルを50g投入した。次いで、4規定のHClを用いて中和滴定を行い、5分間で消費したHCl量を読取った。この数値が大きいほど水との活性が大きく、反応が早いことを示す。
(2)水中崩壊耐性試験
先ず、篩目0.5m/mの篩上に所定量のサンプルを置いた後、篩を水中に静置した。次いで、所定時間(1時間及び24時間)の間、篩を水中に静置した後、水中でサンプルを篩ってから篩を水中から引上げた。次に、篩に残った残分を105℃にて1時間乾燥させ、その重量を測定した。続いて、篩目に置いたサンプル量と残分量から残分率を求めた。この数値が大きいほど、水中での膨潤崩壊が小さいことを示す。
実施例1〜23の軽質粒状消石灰の強熱減量、R-CO2及び評価試験結果を表1に、比較例1及び2の顆粒消石灰、比較例3及び4の造粒消石灰、比較例5〜7の軟焼生石灰、比較例8〜10の硬焼生石灰の強熱減量、R-CO2及び評価試験結果を表2にそれぞれ示す。
Figure 0004535824
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表2より明らかなように、従来より主に土壌の酸性改善に用いられている比較例1の顆粒消石灰は、廃液中和処理剤として使用するには、活性度が小さすぎるため、その用途には適さない。
また比較例2の顆粒消石灰は、R-CO2(炭酸カルシウム)量が多いため、土壌改質材として使用した場合には、この炭酸カルシウムが雨水で崩壊せずに塊のまま残存してしまい、また廃液中和の際には、スラッジとしてタンク底部に堆積してしまうため、これらの用途には適さない。また、廃液中和処理剤として使用するには、活性度が小さすぎるため、廃液中和の用途には適さない。
また比較例3の造粒消石灰は、24時間静置後における水中崩壊耐性が大きすぎるため、土壌改質の酸性中和においては適さない。また廃液中和処理剤として使用するには、活性度が小さすぎるため、その用途には適さない。更に、薬剤として大量のエタノールを使用し、また乾燥工程が必要であるためコストが高い問題もある。比較例4の造粒消石灰は、比較例3の造粒消石灰と同様、活性度が低く24時間静置後における水中崩壊耐性が大きすぎるため、土壌改質の酸性中和においては適さない。更に、乾燥工程が必要であるためコストが高い問題もある。
また比較例5〜7の軟焼生石灰は、活性度(アルカリの解離度)が非常に高く、24時間静置後における水中崩壊耐性が小さいため、廃液中和の際には乳化してしまい排水を乳濁させてしまい問題を生じる。また生石灰であるため、水や湿分で発熱するおそれがあり、土壌改質等の用途には適さない。比較例8〜10の硬焼生石灰は、活性度が低く、24時間静置後における水中崩壊耐性が小さいため、廃液中和の際には乳化してしまい排水を乳濁させてしまい問題を生じる。また生石灰であるため、水や湿分で発熱するおそれがあり、土壌改質等の用途には適さない。
一方、表1より明らかなように、実施例1〜23の軽質粒状消石灰では、見掛け比重、活性度及び水中崩壊耐性がバランス良く、実施例1〜8、10、11、13〜16、21及び22の軽質粒状消石灰は土壌改質材の用途に特に好適であり、実施例3及び4の軽質粒状消石灰は描線材の用途に特に好適であり、実施例5、6、11、13〜16及び19〜22の軽質粒状消石灰は屎尿消毒処理剤の用途に特に好適であり、実施例3及び4の軽質粒状消石灰は酸性雨中和剤の用途に特に好適である。実施例1〜4、7、8及び13〜18の軽質粒状消石灰は酸性廃液の中和処理剤の用途に特に好適であり、実施例3、4、7、8、17及び18の軽質粒状消石灰は排ガス処理剤の用途に特に好適であることが判る。
具体的には、実施例1〜4の軽質粒状消石灰では消化水量を大きくすると、軽質粒状消石灰の強熱減量が大きくなり、見掛け比重は原料である粗粒生石灰の見掛け比重よりも小さくなる傾向がみられた。また活性度は消化水量が大きくなるにつれて小さくなる傾向がみられた。また水中崩壊耐性は消化水量が大きくなるにつれて大きくなる傾向がみられた。実施例5〜8の軽質粒状消石灰では実施例1〜4と同様に、消化水量を大きくすると、軽質粒状消石灰の強熱減量が大きくなり、見掛け比重は原料である粗粒生石灰の見掛け比重よりも小さくなる傾向がみられた。また活性度は消化水量が大きくなるにつれて小さくなる傾向がみられた。また水中崩壊耐性は消化水量が大きくなるにつれて大きくなる傾向がみられた。
また、実施例9の軽質粒状消石灰では、同一条件で粗粒生石灰の粒径のみを変化させた実施例2及び実施例6に比べて軽質粒状消石灰の強熱減量は小さくなり、水中崩壊耐性も小さい結果が得られた。これは粒径が大きい実施例9は、粒径が小さい実施例2及び実施例6よりも軽質粒状消石灰の中心部に生石灰が存在している割合が高いことが影響していると考えられる。実施例10〜12の軽質粒状消石灰では、同一条件で消化水の液温のみを変化させた実施例2,6及び9に比べて軽質粒状消石灰の見掛け比重は大きくなり、強熱減量は小さくなる傾向がみられた。また活性度はやや大きくなる傾向を示し、水中崩壊耐性は小さくなる傾向を示していた。
また実施例13及び14の軽質粒状消石灰では、添加剤にエタノールを用いた水溶液により部分消化した軽質粒状消石灰であるが、見掛け比重が小さく、水中崩壊耐性が大きくなっているため、土壌改質材、屎尿消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤の用途に適用可能であることが判る。また、粒径を0.6〜2.5mmとした場合には、描線材としても適用可能である。実施例15及び16の軽質粒状消石灰では、添加剤にソルビットを用いた水溶液により部分消化した軽質粒状消石灰であるが、見掛け比重が小さく、水中崩壊耐性が大きくなっているため、土壌改質材、屎尿消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤の用途に適用可能であることが判る。また、粒径を0.6〜2.5mmとした場合には、描線材としても適用可能である。実施例17及び18の軽質粒状消石灰では、添加剤にDEGを用いた水溶液により部分消化した軽質粒状消石灰であるが、見掛け比重が小さく、水中崩壊耐性が大きくなっているため、土壌改質材、屎尿消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤の用途に適用可能であることが判る。また、粒径を0.6〜2.5mmとした場合には、描線材としても適用可能である。
また実施例19及び20の軽質粒状消石灰では、添加剤に塩類を用いた水溶液により部分消化した軽質粒状消石灰であるが、見掛け比重が大きく、活性度が大きく、かつ水中崩壊耐性が低くなっているため、酸性廃液の中和処理剤及び排ガス処理剤の双方の用途に適用可能であることが判る。更に実施例21〜23の軽質粒状消石灰では、実施例1〜20で原料とした見掛け比重が小さい軟焼生石灰よりも見掛け比重が大きい硬焼生石灰を原料とした軽質粒状消石灰であるが、粗粒生石灰の粒径が大きくなると、見掛け比重は小さくなり、水中崩壊耐性も小さくなる傾向がみられた。また、同一条件で原料のみを変化させた実施例2,6及び9に比べて、活性度は大きくなる傾向を示していた。
実施例1〜23の軽質粒状消石灰を作製する過程での様々な条件変更から次のような傾向がみられた。
・ 消化水量を高めた場合では、(a1)強熱減量及び消化率が上昇し、(a2)軽質粒状消石灰の見掛け比重が小さくなる。また(a3)活性度は小さくなり、(a4)水中崩壊耐性が大きくなる。
・ 消化液温を高めた場合では、(b1)強熱減量及び消化率が低下し、(b2)軽質粒状消石灰の見掛け比重が大きくなる。また(b3)活性度は大きくなり、(b4)水中崩壊耐性が小さくなる。
・ 原料である粗粒生石灰の粒径を大きくした場合では、(c1)原料である粒状消石灰の見掛け比重が小さくなるため、得られる軽質粒状消石灰の見掛け比重が小さくなる。(c2)活性度が小さくなる。(c3)水中崩壊耐性が小さくなる。(c4)消化したときには強熱減量及び消化率が低くなる。この(c4)に見られる傾向の理由としては、消化反応は原料である粗粒生石灰表面から中心部に向かって消化されるが、粒径が大きくしたことで、中心部が生石灰のまま残存しているためと考えられる。
<比較試験2>
実施例6で得られた軽質粒状消石灰、比較例1及び2の顆粒消石灰をサンプルとして、X線回折装置を用いて各サンプル中に含まれる組成について定量分析を行った。実施例6で得られた軽質粒状消石灰及び比較例1及び2の顆粒消石灰のX線回折データを図3〜図5にそれぞれ示す。
比較例1の顆粒消石灰のX線回折データを示す図4では、大部分が水酸化カルシウムを示すピーク強度であり、ほぼ全量が消化されていることが判った。また、一部酸化カルシウム及び炭酸カルシウムのピークが存在した。比較例2の顆粒消石灰のX線回折データを示す図5では、大部分が水酸化カルシウムを示すピーク強度であるが、酸化カルシウム及び炭酸カルシウムを示すピークが多く存在した。これは、不純物の混入によるものである。これに対して図3より明らかなように、炭酸カルシウムのピークは存在せず、水酸化カルシウムと酸化カルシウムのピークがほぼ消化率の割合となるようなピーク強度が検出されていた。
本発明の製造方法により得られる軽質粒状消石灰は、農業用土壌改質に用いられる土壌改質材、酸性雨中和剤、描線材、家畜の屎尿及びウイルスや細菌消毒処理剤、酸性廃液の中和処理剤、排ガス処理剤等の用途に適用できる。
本発明の軽質粒状消石灰の製造方法における部分消化の過程を示す説明図。 本発明の軽質粒状消石灰の製造方法に用いる消化装置を示す図。 実施例6の軽質粒状消石灰のX線回折データを示す図。 比較例1の顆粒消石灰のX線回折データを示す図。 比較例2の顆粒消石灰のX線回折データを示す図。
10 軽質粒状消石灰
11 生石灰
11a 細孔、脱炭酸孔
12 生石灰領域
13 消石灰領域

Claims (6)

  1. 径が0.5mm〜11.2mm、見掛け比重が0.8〜1.3に調整された粗粒生石灰に理論消化水量の0.7倍量〜1.4倍量の水を均一に噴霧して、前記粗粒生石灰と前記水とを攪拌することなく5秒〜20分間反応させることにより、前記粗粒生石灰を消化率25%〜85%に部分消化することを特徴とする軽質粒状消石灰の製造方法。
  2. 部分消化に使用する水が添加剤を含む水溶液であり、前記添加剤が炭素数1〜3のアルコール、糖アルコール類、グリコール類又は塩類である請求項1記載の製造方法。
  3. 添加剤が炭素数1〜3のアルコールであるとき、
    前記炭素数1〜3のアルコールの添加量が5〜20重量%である請求項2記載の製造方法。
  4. 添加剤が糖アルコール類であるとき、
    前記糖アルコール類の添加量が0.5〜2重量%である請求項2記載の製造方法。
  5. 添加剤がグリコール類であるとき、
    前記グリコール類の添加量が0.5〜2重量%である請求項2記載の製造方法。
  6. 添加剤が塩類であるとき、
    前記塩類の添加量が0.5〜2重量%である請求項2記載の製造方法。
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