JP4535227B2 - ターボ過給機のケーシング部品の連結装置 - Google Patents

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、請求項1の前提部分に記載したターボ過給機ケーシングと、このようなターボ過給機ケーシングを備えたターボ過給機に関する。
【0002】
技術水準
ターボ過給機、特にターボ過給機のケーシングは一般的に、多数の個々の部品からなっている。ケーシングの3個の主構成部品は例えば圧縮機ケーシングとタービンケーシングと軸受ケーシングである。タービンケーシングと圧縮機ケーシングはそれ自体、ガス出口ケーシング、ガス入口ケーシング、インサート壁、タービンホイールの背後の背壁または圧縮機ホイールの背後の背壁のような複数の部品を備えている。個々の部品の連結は高度な要求を満足しなければならない。というのは、一方では大きな力がこれらの連結部に作用し、他方では多数のこの連結部が負荷下でも気密でなければならないからである。
【0003】
多数のターボ過給機部品、特にケーシング部分がターボ過給機軸線の周りに同心的に延設されているので、互いに連結される部品が半径方向外側に延びるリングフランジを備えていると有利であることが判った。このリングフランジの軸方向の端面がリング状に互いに接触する。このフランジはそれぞれ外周にわたって均一に分配配置された収容穴を備えている。この収容穴は互いに一致している。これにより、両部品はボルトまたはねじのような固定手段によって互いに固定連結可能である。独国特許第3642121号公報には、互いに連結されるターボ過給機部品、すなわち一方では軸受ケーシングの2個のケーシング部品並びに軸受ケーシングとタービンケーシング、他方では軸受ケーシングと圧縮機ケーシングが開示されている。ターボ過給機部品の連結範囲のこのような構造は、部品のきわめて簡単な製作を可能にするがしかし、半径方向の力が大きすぎるときにボルトが剪断されるという危険がある。
【0004】
この危険に対処するために、欧州特許出願公開第0248624号公報に開示されているように、部品はその連結範囲に半径方向の肩部とこの肩部に対応する凹部を備え、第1の部品のこの肩部と第2の部品の凹部が互いに軸方向においてオーバーラップし、半径方向において互いに形状拘束的に係合している。肩部と凹部は、半径方向の力を受け止めることができる、部品の間の形状拘束的で半径方向において固定保持された連結部を形成する。肩部と凹部の範囲に収容穴を形成することは、シール上の大きな問題をもたらす。従って、凹部を有する第1の部品が半径方向外側で凹部に隣接する、環状ビードのような材料肉厚部を備えている。この材料肉厚部は外周にわたって均一に分配配置された、固定手段用収容穴を備えている。形状拘束的な半径方向連結部を軸方向において確保するために、リング状の固定保持装置が軸方向において環状ビードに装着される。この固定保持装置は環状ビードから半径方向内側に突出し、凹部内にある第1の部品の肩部の背面に接触する。固定保持装置も収容穴を備えているので、固定保持装置はボルトまたはねじによって環状ビードに固定可能であり、その際固定保持装置は第2の部品の凹部内で第1の部品の肩部を軸方向において締付け固定する。ターボ過給機部品のこの構造の場合、固定手段の剪断が防止されるがしかし、ボルトまたはねじのほかに、軸方向固定のための付加的な固定保持装置が必要である。更に、肩部と凹部の製作にコストがかかる。というのは、要求されたシール性を達成するためには、肩部と凹部を非常に正確に加工しなければならないからである。
【0005】
上記の両実施の形態の場合には、組立てと分解のために、多数のボルトまたはねじを固定または取り外す必要がある。従って、保守整備作業の際、ケーシングの開放に時間がかかる。特にボルトまたはねじは負荷に基づいてしばしば動かなくなり、およびまたは腐食に基づいて取外しが困難である。
発明の開示
そこで、本発明の課題は、低コストで製作可能であり、組立ておよび分解が簡単である、簡単に相互連結可能なケーシング部分を備えたターボ過給機ケーシングを提供することである。
【0006】
この課題は請求項1記載の特徴を有するターボ過給機ケーシングによって解決される。
【0007】
本発明によるターボ過給機ケーシングは、軸方向において同軸的に互いにオーバーラップする連結範囲を有するケーシング部分を備え、この連結範囲は半径方向において形状拘束的に互いに係合し、そしてほぼリング状の固定保持装置によって軸方向に固定保持されている。固定保持装置はリングセグメント状の少なくとも2個の固定保持要素を備えている。部品の連結範囲は互いに向き合う周溝を備え、この周溝内に、少なくとも2個のリングセグメント状の固定保持要素が挿入可能である。軸方向の固定のために、固定保持要素は同時に両周溝に係合し、固定保持要素を半径方向にスライドさせるためのスライド手段が固定保持要素に付設され、第1のターボ過給機部品の第1の周溝の半径方向の高さが少なくとも、固定保持要素の半径方向高さと同じ高さである。各々の固定保持要素のために、両ターボ過給機部品の少なくとも一方において、スライド手段を通過させるための半径補講の穴がそれぞれの周溝に付設されている。
【0008】
互いに向き合う周溝を有するターボ過給機部品は簡単に製作可能であり、リングセグメント状の固定保持要素によって簡単に相互連結可能であり、かつ軸方向において互いに固定可能である。スライド手段によって、固定保持要素は第1の周溝内のその非固定位置から、第1と第2の周溝の間の固定位置にあるいはその逆にきわめて簡単に移動可能である。これにより、いつでも取外し可能で、再び固定可能な軸方向固定部を形成することができる。固定保持装置を、ターボ過給機部品の外周に分配配置された複数の固定保持要素に分割することにより、この固定保持装置を任意の大きさの直径のターボ過給機部品のために使用可能である。ターボ過給機部品の形状は円筒形でなくてもよい。部品は例えば楕円形横断面またはその他の軸対称横断面を有していてもよい。異なる直径のターボ過給機部品の場合、連結範囲において部品の壁厚を適切に適合させることによって、オーバーラップ範囲において部品が互いに形状拘束的に係合するように直径を形成することができる。固定保持要素は充分に腐食防止され、そして大きな機械的負荷を受けてもそのセグメント構造に基づいて動かなくなることがない。半径方向の穴により、スライド手段は外側から容易に取扱操作可能である。この穴がシールされていると、腐食の危険が更に低下し、連結部の密封性が簡単に保証される。
【0009】
第2のターボ過給機部品の第2の周溝の半径方向高さが、固定保持要素の半径方向高さよりも低いと有利である。これにより、固定保持要素は第1の周溝内の非固定位置から固定位置にきわめて簡単にスライド可能である。このスライドは、固定保持要素が第2の周溝の溝底に当接するまで、スライド手段を操作することによって行われる。
【0010】
周溝全部がシール手段を備えることによっても、連結部の必要な密封性と、良好な腐食防止作用を達成することができる。
【0011】
スライド手段として、ねじまたはスライドピンを設けるときわめて有利である。ねじは簡単に入手可能であり、低コストであり、そして簡単に取扱可能である。スライドピンは例えばナットまたはボルトの頭がターボ過給機部品から突出することが不所望であるときに有利である。
【0012】
周方向に見て長い固定保持要素の場合、固定保持要素の全長にわたって周溝の間の固定位置での安定した位置決めを保証するために、付加的なスライド手段を設けることが望ましい。付加的なスライド手段として例えば押圧ねじを設けることができる。この押圧ねじは付加的な半径方向穴を通ってそれぞれの固定保持要素に連結可能である。
【0013】
付加的なスライド手段として、固定保持要素の周方向端部領域を、ばね端部の形に形成するときわめて有利であることが判った。これにより、固定保持要素はスナップファスナーのように作用する。この場合、例えばスライドピンによって連結解除可能である。
【0014】
両周溝が周方向において固定保持要素の長さに制限されると、固定保持装置は軸方向における固定だけでなく、周方向における固定も生じる。
【0015】
ターボ過給機部品が例えば他のターボ過給機部品に固定されているかまたは互いに連結されていることにより、ターボ過給機部品の相互位置が既に少なくとも部分的に定められているときには、周溝の側面を互いに少しだけずらすことができる。それによって、固定保持要素をその固定位置に押し込む際に、部品が軸方向において互いに締付けられる。このような場合、少なくとも、締付け力によって付勢された第2の周溝の側面を、溝底に対して鈍角に配置するときわめて有利である。というのは、固定保持要素を第2の周溝に一層容易に押し込むことができるからである。固定保持要素が対応する傾斜側面を備えていると有利である。
【0016】
部品、特にケーシング部分が本発明に従って形成されているターボ過給機は、簡単に組立て可能であり、例えば保守整備のために簡単に分解可能である。それによって、停止時間が短縮される。ターボ過給機部品の連結範囲と固定保持要素とスライド手段は簡単にかつ低コストで製作可能であり、それによってターボ過給機全体が低コストになる。
【0017】
他の有利な実施の形態は他の従属請求項に記載されている。
【0018】
図面の簡単な説明
次に、添付の図に示した好ましい実施の形態に基づいて本発明を詳しく説明する。
【0019】
図において使用する参照符号とその意味は、符号の説明にまとめてリストアップしてある。基本的には、図において同じ要素には同じ参照符号が付けてある。実施の形態は本発明対象の例示的なものであり、本発明を限定するものではない。
【0020】
発明の実施の形態
図1は圧縮機ホイール3を備えたターボ過給機1の圧縮機側の一部を、ターボ過給機1の縦軸線14に沿って切断した断面を示している。この圧縮機ホイールは圧縮機ケーシング5内で軸4に固定されている。圧縮機ホイール3は軸4を介してターボ過給機1のタービンホイール(図示していない)によって駆動可能である。インサート壁6は半径方向外側から吸込み通路7を画成している。この吸込み通路は圧縮機ホール3とディフューザ8を経てガス流出通路9に開口している。ガス流出通路9は図示した実施の形態では、本発明による2個の部品10,12によって画成されている。すなわち、半径方向内側が内壁部品10によって画成され、半径方向外側がガス流出ケーシング12によって画成されている。両部品10,12は圧縮機ケーシング5の構成部品である。両部品10,12はその連結範囲11,11′において、互いに軸方向14にオーバーラップし、互いに半径方向に形状拘束的に係合している。連結範囲11,11′は同じ幅の対向する周溝18,20を備えている。この周溝の開放側は互いに向き合っている。軸方向に固定保持するために、周囲にわたって規則的に分配配置されたリング状の複数の固定保持要素24が、固定保持装置22として周溝18,20内に設けられている。
【0021】
図2aには、本発明によるターボ過給機の両部品10,12の外周の部分が、図1においてII−II線で示した線に沿った断面で示してある。この場合、外周にわたって分配配置された固定保持要素24が1個だけ示してある。固定保持要素24はその固定位置が示してある。すなわち、固定保持要素は第1の部品10の第1の周溝18のエッジ領域26にかぶさり、そして第2の部品12の第2の周溝20に係合している。第1の部品10には半径方向穴28が設けられ、この穴には、固定保持要素24を半径方向に摺動させるためのスライド手段30としてのスライドピン56が挿入案内されている。スライドピン56は、図2bの拡大図から一層明らかなように、溶接継目25によって固定保持要素24に固定連結されている。連結部をシールするために、スライドピン56は、Oリングシールとして形成されたシール要素72を収容するための、周溝として形成されたピン溝16を備えている。第1の部品10内の第1の周溝18の半径方向高さh1 は、固定保持要素24の半径方向高さhs よりも幾分高いかあるいは同じである。従って、固定保持要素24はスライド手段30によって非固定位置に移動可能である。この非固定位置では、固定保持要素24は全体が第1の周溝18内で位置決めされている(図示していない)。これに対して、第2の部品12の第2の周溝20の半径方向高さh2 は固定保持要素24の半径方向高さよりも低い。固定保持要素24を非固定位置から固定位置に半径方向29にスライドさせる際に、固定保持要素24は第2の周溝20の溝底32に当接するまで簡単にスライド可能でなければならない。固定保持要素24を固定位置から非固定位置にスライドさせる際に、固定保持要素24は逆に、第1の部品10の第1の周溝18の溝底34に当接するまで簡単にスライド可能でなければならない。図示した特別な実施の形態では、固定保持要素24の周方向端領域がばね端部54として形成されている。このばね端部は第1の周溝18の溝底34に支持されている。ばね端部54は付加的なスライド手段46としての働きをし、固定保持要素24の中央の領域53を固定位置に押圧する。その際、全体がスナップファスナーのように作用し、スライドピン56をスライドさせることによって半径方向内側にスナップ移動可能である。更に周方向35において固定保持するために、第1と第2の部品10,12の周溝18,20は図示した実施の形態では周方向35においてほぼ固定保持要素24の長さに一致するように制限されれている。
【0022】
圧縮機ケーシング5の内壁部品とガス排出ケーシングのほかに、互いに連結すべきターボ過給機1の他の部品10,12も本発明に従って形成可能である。この他の部品は、独国特許第3642121号公報記載の例と同様に、例えば軸受ケーシングと同じ側の圧縮機ケーシングと軸受ケーシング、いろいろな軸受ケーシング部品、軸受ケーシングとタービンケーシングである。更に、欧州特許出願公開第0248624号公報に同様に示されているような圧縮機ケーシングの部分とインサート壁、タービンホイールまたは圧縮機ホイールの背壁が、本発明に従って形成されると、容易に相互連結可能であり、必要時に問題なく分解することができる。
【0023】
他の図には、本発明によるターボ過給機部品10,12の連結範囲が示してある。この場合、図示したターボ過給機部品10,12はすべて、互いに連結され少なくともその連結範囲においてターボ過給機軸に対して同軸に延びているターボ過給機1の部品である。この部品の連結範囲はそれぞれ互いに同軸に、軸方向において互いにオーバーラップするようにそして半径方向において形状拘束的に形成されている。図3a,4,5の図示はそれぞれ図2aの図示に対応している。第1の周溝18を有する第1の部品10はターボ過給機部品である。このターボ過給機部品の周溝は半径方向高さが高い。これは図1〜5に示すように半径方向内側に位置する部品であってもよいし、図6に示すように半径方向外側に位置する部品であってもよい。スライド手段30を収容するための半径方向の穴28は、第1のターボ過給機部品およびまたは第2のターボ過給機部品に配置可能であり、固定保持要素24の長さの好ましくはほぼ中央に設けられている。
【0024】
図3a,3bには、図1〜2bのように、ばね端部54を有する固定保持要素24が示してある。このばね端部は第1の周溝18の溝底34に支持され、固定保持要素24の中央領域53を固定位置に押す。周溝18,20はそれぞれ、前述の実施の形態と異なり、連続するように形成され、固定保持要素24の長さに制限されない。周溝18,20を一層簡単に製作することができるこのような解決策は、部品10,12が例えばターボ過給機1の他の構成要素(図示していない)にそれを固定することによって既に周方向35で固定されているときに常に可能である。すなわち、周溝が制限されていないにもかかわらず、ターボ過給機部品10,12は周方向における相対回転が防止される。
【0025】
図3a,3bに示した実施の形態では、スライド手段30として、スライドピン56が設けられている。このスライドピンはしかし本実施の形態では、半径方向外側から第2の部品12の半径方向穴28を通過している。スライドピン56は連結を解除するためにのみ穴28に挿入され、そうでないときにはこの穴から外される。固定保持要素24の中央領域53はスライドピン56によって非固定位置、すなわち第1の周方向溝18に押し込み可能であり、両部品10,12は互いに分離可能である。この実施の形態の場合の利点は、固定位置でスライドピン56が取り外され、それによって両ターボ過給機部品10,12から要素が突出しないことにある。図1〜2bに示したターボ過給機部品と異なり、本実施の形態の部品は、図3bから判るように、反対方向から来て軸方向にオーバーラップしている。
【0026】
図4に示した実施の形態は図2a,2bに示した実施の形態にほぼ一致している。両ターボ過給機部品10,12の周溝18,20は周方向35において固定保持要素24のほぼ全長に制限され、図示した実施の形態では外周に沿って適当な長さの溝セグメントをフライス加工することによって形成されている。しかし、例えば連続する周溝内の適当な個所にストッパー要素を挿入することによって、周溝18,20の画成部37を設けることができる。ストッパー要素として例えばピン、ストップねじ等を設けることができる。固定保持要素24の中央において更に、第1の部品10に半径方向穴28が設けられている。スライド手段30としてのねじ36がこの半径方向穴を通過している。このねじ36は一条右ねじ44を備えている。この右ねじは固定保持要素24の対応するめねじ44′および穴28と協働する。ばね端部54の代わりに、付加的なスライド手段46として2本の押圧ねじ48が設けられている。この押圧ねじは対応するめねじを有する半径方向の穴50を通過し、固定保持要素24を押圧している。半径方向の穴50は周方向35において離隔されて穴28の両側に配置されている。周溝18,20は本実施の形態では全体がシール手段72を備えている。このシール手段は例えばゴムコーティングの形をし、溝の内壁に取付けられている。周方向35における溝18,20の画成部37は、周方向35における部品10,12の固定作用のほかに、次のような他の利点を有する。すなわち、ねじ36を弛めて固定保持要素24から引き抜くときに、固定保持要素24が周溝18,20内で周方向35に摺動不可能であるので、いわば紛失防止上の利点がある。ねじ36はいつでも固定保持要素24に再びねじ込むことができる。
【0027】
上記のねじ36の代わりに勿論、脚部領域38に左ねじ40を有し、頭領域42に右ねじ44を有するねじ36をスライド手段として使用することができる。このねじ40,44は図5に示すように、固定保持要素24と第1部品10の穴28内の対応するめねじ40′,44′と協働する。これにより、ねじ36を少し回転するだけで、固定保持要素24を固定位置から非固定位置に移動させることができ、そして再び戻すことができる。本実施の形態では固定保持要素が短いので、ばね端部または押圧ねじの形をした付加的なスライド手段46が不要である。
【0028】
図6には、ターボ過給機1の中実円筒体として形成された軸58が示してある。この軸は半径方向内側に位置する第2のターボ過給機部品12を形成している。軸に連結される第1の部品10はその連結領域11が管60を形成している。この管は軸58に軸方向から嵌められている。この連結領域において、第1の部品10は半径方向高さh1 の高い2つの第1の周溝18,18′を有し、第2のターボ過給機部品12としての軸58は第1の周溝18,18′に向き合う、半径方向高さh2 の低い2つの第2の周溝20,20′を有する。軸58の端領域62にある周溝18,20は互いに正確に向き合っていて、軸方向固定のために、ねじ36を備えた固定保持要素24を収容している。これに対して、管状連結領域60の端領域64の周溝18′,20′は、互いにややずらして配置されている。軸端部62′の方に向いた、軸58の周溝20′の側面66は、第2の溝20′の溝底32に対して鈍角αをなして配置されている。周溝20′のこの側面66と協働する固定保持要素24′の側面68は、傾斜部70を備えている。固定保持要素24′を半径方向にスライドさせるために、ねじ36′が設けられている。このねじの頭領域42は第1の部品10の半径方向穴28から突出し、この頭領域にはナット52が螺合されている。ねじ36′の脚部領域38において、このねじは溶接連結部25を介して固定保持要素24′に固定連結されている。ナット52を回転させることにより、固定保持要素24は固定位置と非固定位置の間で半径方向29にスライド可能である。固定保持要素24′が管60の第1の周溝18′から固定位置にスライドさせられると、固定保持要素24′の側面68の傾斜部70は、溝底32に対して角度αをなして配置された周溝20′の側面66に沿ってスライドする。固定保持要素24′は軸58の第2の周溝20′内に押し込まれ、第1のターボ過給機部品10は軸58の形をした第2のターボ過給機部品12に対して軸方向14に締付けられる。
【0029】
すなわち、スライド要素30は押圧作用およびまたは引張り作用することができ、半径方向内側にあるターボ過給機部品にも半径方向外側にあるターボ過給機部品にも配置することができる。図に示した実施の形態において、固定保持要素24,24′はそれぞれ円弧セグメントとして形成されている。しかし、固定保持要素24,24′を多角形または2つの脚部を有する簡単なアングル部材として形成することもできる。大きな直径を有する部品10,12のためには、棒の形をした固定保持要素24,24′が望ましい。しかし、この固定保持要素は、その端領域が内側に位置する部品10,12の表面から大きく離れないようにするために、長くなりすぎないようにすべきである。このような棒状の固定保持要素24,24′の場合、1個のスライド手段30を固定保持要素24,24′の中央に配置する代わりに、2個のスライド手段30を固定保持要素24,24′の端領域に配置すると有利である。固定保持要素24,24′は好ましくはばね鋼あるいは高い降伏点を有する鋼から作られる。熱処理鋼または適当な特性を有する他の材料も使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による2個のターボ過給機部品を備えたターボ過給機の一部の、その縦軸線に沿った断面図である。
【図2】 図2aは、図1のII─II線に沿った、本発明による両ターボ過給機部品の連結領域の断面図である。
図2bは、スライド手段を備えた図2aの一部の拡大図である。
【図3】 図3aは本発明によるターボ過給機部品と所属の固定保持装置の第2の実施の形態の、周溝を通過する断面図である。
図3bは図3aの第2の実施の形態を、ターボ過給機の縦軸線に沿って切断した図である。
【図4】 ターボ過給機部品と所属の固定保持装置の他の実施の形態の、図3aと同様な図である。
【図5】 ターボ過給機部品と所属の固定保持装置の他の実施の形態の、図3aと同様な図である。
【図6】 本発明に従って互いに連結され、本発明によるターボ過給機部品の特別な構造によって軸方向において互いに締付け固定されている、互いに形状拘束的にオーバーラップする2個のターボ過給機部品を、周溝を通過するようにターボ過給機の縦軸線に沿って切断した図である。
【符号の説明】
1 第1の溝の半径方向高さ
2 第2の溝の半径方向高さ
s 固定保持要素の半径方向高さ
α 溝底と側面の角度
10 第1の部品
12 第2の部品
14 軸方向
16 ピン溝
18,18′ 第1の周溝
20,20′ 第2の周溝
22 固定保持装置
24,24′ 固定保持要素
25 溶接継目
26 第1の溝のエッジ
28 半径方向穴
29 半径方向
30 スライド手段
32 第2の溝の溝底
34 第1の溝の溝底
35 周方向
36,36′ ねじ
37 周溝の画成部
38 ねじの脚部領域
40 左ねじ
40′ 左めねじ
42 ねじの頭領域
44 右ねじ
44′ 右めねじ
46 付加的なスライド手段
48 押圧ねじ
50 半径方向穴
52 ナット
54 ばね端部
56 スライドピン
58 軸
60 管
62 軸の端領域
62′ 軸端部
64 管の端領域
66 第2の溝の側面
68 固定保持要素の側面
70 側面の傾斜部
72 シール手段

Claims (9)

  1. 軸対称の外壁を有する第1のケーシング部品(10)と、軸対称の内壁を有する第2のケーシング部品(12)を備え、第1のケーシング部品(10)が半径方向内側で、第2のケーシング部品(12)が半径方向外側でガス流通路(9)を画成し、第2のケーシング部品(12)の内壁が第1のケーシング部品(10)の外壁を半径方向において形状拘束的に取り囲み、形状拘束的な連結部の範囲内に軸方向固定保持のためにほぼリング状の固定保持装置(22)が設けられている、ターボ過給機ケーシングにおいて、連結範囲(11,11′)が互いに向き合う周溝(18,18′,20,20′)を備え、この周溝内に、少なくとも2個のリングセグメント状の固定保持要素(24,24′)が固定保持装置(22)として挿入可能であり、この固定保持要素が軸方向の固定のために同時に両周溝(18,18′,20,20′)に係合することと、第1の部品(10)の第1の周溝(18,18′)の半径方向の高さ(h 1 )が、固定保持要素(24,24′)の半径方向高さ(h s )と同じかまたはそれよりも高いことと、固定保持要素を半径方向(29)にスライドさせるためのスライド手段(30)が固定保持要素(24,24′)に付設され、この場合対応する周溝(18,18′,20,20′)に付設された、スライド手段(30)を通過させるための半径方向穴(28)が第1およびまたは第2のケーシング部分(10,12)に設けられていることを特徴とするターボ過給機ケーシング
  2. 第2の部品(12)の第2の周溝(20,20′)の半径方向高さ(h2 )が、固定保持要素(24,24′)の半径方向高さ(hs )よりも低いことを特徴とする請求項1記載のターボ過給機ケーシング
  3. 固定保持要素(24,24′)のためのスライド手段(30)として、スライドピン(56)およびまたはねじ(36,36′)が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のターボ過給機ケーシング
  4. 好ましくは固定保持要素(24,24′)に形成されたばね端部(54)の形をした付加的なスライド手段(46)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のターボ過給機ケーシング
  5. 固定保持要素(24,24′)が所定の長さを有し、周溝(18,18′,20,20′)が周方向(35)において固定保持要素(24,24′)の長さに制限されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のターボ過給機ケーシング
  6. 互いに連結された状態で、固定保持要素(24,24′)がその固定位置で第2の部品(12)を第1の部品(10)に対して軸方向(14)に締付けるように、第1の周溝(18,18′)の少なくとも1つの側面が第2の周溝(20,20′)の側面(66)に対して軸方向にずらして配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のターボ過給機ケーシング
  7. 締付け力で付勢される第2の周溝(20,20′)の側面(66)が、溝底(34)に対して鈍角αをなし、固定保持要素(24,24′)の対応する側面(68)が好ましくは対応する傾斜部(70)を備えていることを特徴とする請求項6記載のターボ過給機ケーシング
  8. 周溝(18,18′,20,20′)がシール手段を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のターボ過給機ケーシング。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載のケーシングを備えたターボ過給機。
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