JP4533560B2 - 回転機械の振動診断システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回転機械の振動診断システムに関し、特に各種タービン、圧縮機等の回転機械の接触振動を検出する場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
各種タービン、圧縮機等の回転機械においては、その運転中に何らかの原因により回転軸が静止側に接触することがあり、この接触により振動を発生することがある。これは接触振動と呼ばれ、ラビリンスシール、油切り等の静止側と回転軸との間隙が狭隘な部分で発生することが多く、接触部の温度上昇により回転軸が曲がり、不釣り合いが変化することによりさらに振動が増幅されるという有害な現象の原因となる。
【0003】
したがって、回転機械の保守管理上、接触振動の発生及びその位置を知ることは極めて肝要である。接触振動の有無及びその発生位置を知ることにより、可及的速やかにその対策を高じる必要があるからである。
【0004】
このため、この種の接触振動を検出・監視する装置が従来より種々提案されているが、基本的には振動の大きさのみに着目して監視を行なうというものが多かった。これに対し、振動をベクトルの変化として直接把握することによりその発生を容易に検出するようにした振動監視装置も提案されている(特公昭62−52813号公報参照)。これは、当該回転機械の振動を計測する振動検出器の出力信号に基づき静的位置ベクトル、基本波成分ベクトル及び第2高調波ベクトルという3種類の振動ベクトルを生成し、これらのうちの基本波成分ベクトルの変化に基づき接触振動を検出するものである。また、このときの接触振動の発生位置は、回転軸の曲がり振動応答計算結果を実測振動ベクトル変化と比較することにより実施している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く振動ベクトルを利用する振動監視装置によれば、ある程度良好な接触振動の発生の有無及びその発生位置の特定はできるものの、なお十分ではなかった。特に、近年ターボ機械を始めとする各種回転機械では高性能化、高効率化の要求が強く、従来の設計条件に比して、より厳しい設計条件となりつつある。具体的には、次のような傾向にある。
1)性能改善のためのシール部を始めとする各部のクリアランスの削減。
2)性能向上及び高出力密度化による回転軸の高温化。
3)高速化及び高性能化のための軸受負荷の増大。
4)車室、ケーシングの大形化(熱変形の影響大)のためのアライメントの高精度化。
【0006】
上述の如き設計条件に対し、回転機械では各種の動的問題が発生する。特にこれらの条件では熱的振動が発生する可能性が高くなる。そこで、かかる熱的振動の一種である接触振動の発生及びその位置をより精度良く検出する振動診断システムの出現が待望されている。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、接触振動の原因となる回転側と静止側との接触の有無及び接触位置を容易且つ確実に検出することができる回転機械の振動診断システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0009】
1)回転機械の運転に伴う振動を検出してこれを表す振動信号を送出する振動検出手段と、
上記回転機械の1回転を検出してこれを表す基準信号を送出する基準信号発生手段と、
上記振動信号及び基準信号を処理して振動信号の振幅及び振動信号の基準信号に対する位相で特定される振動ベクトルを生成する振動ベクトル分析手段と、
上記回転機械の数値モデルを有するとともに、この数値モデルを実機である上記回転機械と同様の運転条件で駆動することにより実機の運転をシミュレートし、上記振動検出手段の配設部位で接触が発生した場合の上記振動ベクトルに対応するシミュレート振動ベクトルを生成する接触振動シミュレート手段と、
上記振動ベクトルの変化の態様と、上記シミュレート振動ベクトルの変化の態様とを比較して両者の相関関係を検出し、このときの相関度が所定値以上である場合に接触振動が発生していると判断する比較手段とを有すること。
【0010】
2)上記1)に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、
振動検出手段は回転機械の軸方向に分散して複数個配設するとともに、これに対応させて振動ベクトルも複数個生成し、さらに接触振動シミュレート手段でも実機に対応する複数のシミュレート振動ベクトルを生成し、比較手段では、上記各振動ベクトルの変化の態様と、各振動ベクトルに対応する上記各シミュレート振動ベクトルの変化の態様とをそれぞれ比較して両者の変化態様の相関関係をそれぞれ検出し、このときの相関度が所定値以上である場合に接触振動が発生していると判断するとともに相関度が最も高いシミュレート振動ベクトルが対応する位置に基づき接触振動が発生している回転機械の場所も特定するようにしたこと。
【0011】
3)上記1)又は2)に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、
数値モデルは、回転機械の軸方向に関する特定位置での接触振動の発生をシミュレートするためのもの、当該特定位置における回転軸の接触部位の周方向位置を特定すべくシミュレートするためのもの、接触の深さをシミュレートするためのもの等、接触振動部位の絞り込み及び接触の態様の特定を順次行い得るよう階層的な複数種類のものを用意したこと。
【0012】
4)上記2)又は3)に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、
数値モデルは、別途検出した接触を発生している可能性が高い部位及び回転機械の軸方向に関して上記部位の両側の部位を表すモデルのみを駆動するようにしたこと。
【0013】
5)上記1)乃至4)に記載する何れか一つの回転機械の振動診断システムにおいて、
接触振動シミュレート手段は、振動ベクトルの基本波成分の振幅の大きさ、振動ベクトルの一定時間内における変化率、振動ベクトルの変化形態等、振動ベクトルの態様を表す要素の組み合わせ論理の結果に基づいて接触振動の発生の可能性を検出する一次診断手段により接触振動の発生の可能性が検出された場合に動作するように構成したこと。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態を示すブロック線図である。同図に示すように、振動検出器1は、回転機械2の運転に伴う振動を検出してこれを表す振動信号S1を送出するもので、基本的に各軸受3に対応させて配設してある。各軸受3部分には、隣接してラビリンスシール、油切り等、静止側と回転軸2aとの間隙の狭隘部分が形成されており、この部分で回転側と静止側との接触を発生し易いからである。ここで、振動検出器1はその複数個を回転機械2の回転軸2aの軸方向に分散させて配設してあり、その振動信号S1は、通常、相互に直交する方向であるXYの2方向に関する成分を含むものとなっている。基準信号発生部4は、回転機械2の1回転を検出してこれを表す基準信号S2を送出する。
【0016】
振動ベクトル分析部5は、上記振動信号S1及び基準信号S2を処理して振動信号S1の振幅及び振動信号S1の基準信号S2に対する位相で特定される振動ベクトルS3を生成する。この振動ベクトルS3は、各振動検出器1にそれぞれ対応するものを個別に生成する。
【0017】
回転機械2の回転軸2aがその運転中に静止側に接触した場合、次のような現象を生起することが知られている。すなわち、回転軸2aの一部が静止側に接触するとその部分の温度が接触摩擦熱により上昇する。このため、円周方向及び軸方向に不均一な温度分布が発生し、回転軸2aに曲がりを生じる。通常、不釣り合いがある周方向位置と振動が最大振幅となる周方向位置(接触位置)とは一致しないので、この曲がりによる不釣り合い変化により回転軸2aの振動ベクトルが変化する。この振動ベクトルの変化により回転軸2aの静止側との接触位置が変化し、接触摩擦熱による温度分布も変化する。この結果、軸曲がりも変化し、振動ベクトルがさらに変化することになる。このことは、振動ベクトルを観察し、それが変化しているという事実をもって回転側と静止側との接触の発生を検知し得ることを意味している。
【0018】
接触振動シミュレート部6は、上記回転機械1の各部の数値モデルを有するとともに、各数値モデルを実機である回転機械1と同様の運転条件で駆動することにより実機の運転をシミュレートし、上記振動検出器1の各配設部位で接触が発生した場合の各振動ベクトルS3に対応するシミュレート振動ベクトルS4をそれぞれ生成する。ここで、シミュレート振動ベクトルS4は、各モデルにおいて接触を発生した場合の振動ベクトルであって時間の経過とともに変化する各モデルに固有の振動ベクトルとしてそれぞれ生成される。そして、かかるシミュレート振動ベクトルS4の変化は、実機で同様の接触を発生している場合に振動ベクトル分析部5で生成される振動ベクトルS3の変化と高い相関がある。そこで、振動ベクトルS3の変化とシミュレート振動ベクトルS4の変化との相関を調べれば実機の振動ベクトルS3の変化が接触によるものか否かを判定することができる。
【0019】
また、上記数値モデルは、回転軸2aの軸方向における特定位置での接触振動の発生をシミュレートするためのもの、当該特定位置における接触部位の周方向位置を特定すべくシミュレートするためのもの、接触の深さ(接触の程度)をシミュレートするためのもの等、接触振動部位の絞り込み及び接触の態様の特定を順次行い得るよう階層的な複数種類のものを用意した。したがって、先ず最上位のモデルを駆動して接触が発生している軸方向位置を特定し、その後その位置における下位のモデルを駆動してその特定位置の周方向のどの部分で接触しているかを特定し、最後に最下位のモデルを駆動してそのときの接触深さを特定するというように順次モデルを切り換えて接触位置及び接触態様の特定を行うことができるようなモデルとなっている。ただ、このように3層構造とすることは必須ではない。
【0020】
パラメータ設定部7は、接触振動シミュレート部6のモデルで実機の運転をシミュレートする場合に、この実機と同様の運転条件となるように各種のパラメータを設定してその情報を接触振動シミュレート部6に供給する。この場合のパラメータとしては、実機(回転機械2)の回転速度、回転軸2aの温度、回転軸2aの材質、シールの材質、周囲温度等、実機の状態を表す全ての物理量が含まれる。
【0021】
比較部8は、各振動ベクトルS3の変化の態様と、各シミュレート振動ベクトルS4の変化の態様とをそれぞれ比較して両者の相関度を最小二乗法等を用いて演算し、その結果相関度が所定値以上である場合に接触が発生していると判断する。これは接触振動シミュレート部6の駆動されている各モデルに関して行う。
【0022】
ここで、比較部8では、振動ベクトルS3を参照して接触が発生している可能性が高い実機の軸方向部位を検出し、当該部位とその両側のモデルのみを駆動するよう、モデル駆動信号S5で接触振動シミュレート部6を制御するとともに、このモデル駆動信号S5で、接触部位の軸方向位置の特定用、接触部位の周方向位置の特定用及び接触深さの特定用の各モデルを切り換えて順次駆動するように制御する。このように、モデル駆動信号S5で駆動するモデルを選択することで、必要最小限度の情報処理で所望の接触情報を得ることができ、その分比較動作の迅速化を図ることができる。
【0023】
診断結果出力部9は、比較部8における処理結果を受けて、その診断結果、すなわち接触の有無、接触の位置、接触の深さ等を表示・出力する。
【0024】
一次診断部10は、振動ベクトルの基本波成分の振幅の大きさ、振動ベクトルの一定時間内における変化率、振動ベクトルの変化形態等、振動ベクトルの態様を表す要素の組み合わせ論理の結果に基づいて接触振動の発生の可能性を検出するもので、この一次診断部10で接触の発生の可能性が検出された場合に接触振動シミュレート部6を動作させるとともに接触の発生を表示部11に表示する。このように、接触振動の発生の可能性が検出された場合に限って、接触振動シミュレート部6が動作するように構成することで、接触振動シミュレート部6の無駄な動作を回避することができる。
【0025】
図2は一次診断部10をEMCYNEの方法に用いる論理回路で形成した場合の実施例を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例では、実機の回転数Nと同期した振動成分に基づく振動ベクトルの振幅であるN成分の値、所定の長時間(本例では20分)に検出される振動の変化率の値、所定の短時間に検出される振動の変化率の値及び振動ベクトルの変化形態(変化形態が円形であるか否か)を確信度で数値化した値を各入力信号として用いており、その論理素子としてはイベントトリガ付のものを用いている。勿論、これに限るものではない。
【0026】
アンドゲート12は、N成分大又は長時間変化率大の何れかであることをトリガ条件として、N成分大及び長時間変化率大のアンド論理の成立を検出する。アンドゲート13は、アンドゲート12におけるアンド論理の成立をトリガ条件として、このアンドゲート12のアンド条件の成立を表す出力信号とインバータ14で反転した短時間変化率大、すなわち短時間変化率小のアンド論理の成立を検出する。アンドゲート15は、アンドゲート13におけるアンド論理の成立をトリガ条件として、このアンドゲート13のアンド条件の成立を表す出力信号とベクトル変化形態のデータとのアンド論理の成立を検出する。ここで、各アンドゲート12,13,15は単に「1」状態又は「0」状態の何れかを出力するものではなく、「0」状態から「1」状態へ任意の評価関数で連続的に変化するようにしたもので、出力としては、入力の両方が正の値を採る場合に、各値を掛け合わせたものとする。この結果、各出力値は、各アンド論理が成立する確信度を数値化したものとなる。
【0027】
図3にベクトル変化形態に関する評価関数の一例を示す。同図に示すように、この場合にはベクトル変化形態を円近似した場合の円の半径により接触の有無を判断するものである。すなわち、接触が発生している場合、振動ベクトルS3の変化の形態は円形となることが知られているが、当該形態を円近似、具体的には、例えば15秒毎に60点のデータを採り、これを最小二乗法により円近似することにより、このときの円の半径を求めている。同図の例では、半径が100μm以下のとき「1」、すなわち100%の確信度で接触を発生していると判断し、半径が300μm以上のとき「0」、すなわち100%の確信度で接触を発生していないと判断するとともに、半径が100μmと300μmとの間では、確信度が直線的に低減していくとしてその程度を数値化している。したがって、表示部10には、この確信度が「1」に至る迄の少数値として表示される。また、本実施例では、アンドゲート15の出力である確信度が0.3以上のとき接触振動シミュレート部6を駆動する。
【0028】
なお、上記実施の形態では、複数の振動検出器1を配設し、これに対応させて後の信号処理系統も構成したが、原理的には、振動検出器1を一個のみとし、これに対応させて後の信号処理系統を構成することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、[請求項1]に記載する発明は、回転機械の運転に伴う振動を検出してこれを表す振動信号を送出する振動検出手段と、上記回転機械の1回転を検出してこれを表す基準信号を送出する基準信号発生手段と、上記振動信号及び基準信号を処理して振動信号の振幅及び振動信号の基準信号に対する位相で特定される振動ベクトルを生成する振動ベクトル分析手段と、上記回転機械の数値モデルを有するとともに、この数値モデルを実機である上記回転機械と同様の運転条件で駆動することにより実機の運転をシミュレートし、上記振動検出手段の配設部位で接触が発生した場合の上記振動ベクトルに対応するシミュレート振動ベクトルを生成する接触振動シミュレート手段と、上記振動ベクトルの変化の態様と、上記シミュレート振動ベクトルの変化の態様とを比較して両者の相関関係を検出し、このときの相関度が所定値以上である場合に接触振動が発生していると判断する比較手段とを有するので、振動ベクトルとシミュレート振動ベクトルとの相関関数を利用して回転側と静止側との接触を検出し得る。この場合、実機における上記接触は接触振動シミュレート手段のシミュレート振動ベクトルの変化で良好にシミュレートできる。
この結果、実機における上記接触を確実に検出することができる。
【0030】
[請求項2]に記載する発明は、[請求項1]に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、振動検出手段は回転機械の軸方向に分散して複数個配設するとともに、これに対応させて振動ベクトルも複数個生成し、さらに接触振動シミュレート手段でも実機に対応する複数のシミュレート振動ベクトルを生成し、比較手段では、上記各振動ベクトルの変化の態様と、各振動ベクトルに対応する上記各シミュレート振動ベクトルの変化の態様とをそれぞれ比較して両者の変化態様の相関関係をそれぞれ検出し、このときの相関度が所定値以上である場合に接触振動が発生していると判断するとともに相関度が最も高いシミュレート振動ベクトルが対応する位置に基づき接触振動が発生している回転機械の場所も特定するようにしたので、接触の発生とともにその軸方向の位置も確実に検出することができる。
この結果、接触を発生している部位の補修等、事後の作業を迅速且つ合理的に行うことができる。ちなみに、例えば高圧、中圧、低圧のタービンとともに発電機を有する発電システムにおける振動診断システムとした場合、軸受は少なくとも8個必要であり、これに各ラビリンスシール部におけるラビリンスの段数(例えば4段)を掛け合わせると32個の部位の接触を判定する必要があるが、この様な場合、接触の発生のみが検出されてもその位置が特定できないとすると、全ての部位のケーシングを開いて補修を行わなければならない等、非常に手間のかかる作業となる。
【0031】
[請求項3]に記載する発明は、[請求項1]又は[請求項2]に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、数値モデルは、回転機械の軸方向に関する特定位置での接触振動の発生をシミュレートするためのもの、当該特定位置における回転軸の接触部位の周方向位置を特定すべくシミュレートするためのもの、接触の深さをシミュレートするためのもの等、接触振動部位の絞り込み及び接触の態様の特定を順次行い得るよう階層的な複数種類のものを用意したので、接触発生部位の絞り込み及びその接触の態様までも特定し得る。
この結果、[請求項2]に記載する発明よりもさらに合理的に事後の補修作業を行うことができる。
【0032】
[請求項4]に記載する発明は、[請求項2]又は[請求項3]に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、数値モデルは、別途検出した接触を発生している可能性が高い部位及び回転機械の軸方向に関して上記部位の両側の部位を表すモデルのみを駆動するようにしたので、他のモデルは駆動されずその分、処理する情報が少なくて済む。
この結果、接触に関する所定の判定を迅速且つ合理的に行うことができる。
【0033】
[請求項5]に記載する発明は、[請求項1]乃至[請求項4]に記載する何れか一つの回転機械の振動診断システムにおいて、接触振動シミュレート手段は、振動ベクトルの基本波成分の振幅の大きさ、振動ベクトルの一定時間内における変化率、振動ベクトルの変化形態等、振動ベクトルの態様を表す要素の組み合わせ論理の結果に基づいて接触振動の発生の可能性を検出する一次診断手段により接触振動の発生の可能性が検出された場合に動作するように構成したので、接触の発生の可能性が高い場合のみ、接触に関するシミュレート動作を行う。
この結果、常時シミュレートを行う場合に比べ、当該振動診断システムを合理的に動作させ、ランニングコストの低減等に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転機械の振動診断システムを示すブロック線図である。
【図2】一次診断部をEMCYNEの方法に用いる論理回路で形成した場合の実施例を示すブロック線図である。
【図3】図3に示す一次診断部で用いる評価関数の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 振動検出器
2 回転機械
2a 回転軸
4 基準信号発生部
5 振動ベクトル分析部
6 接触振動シミュレート部
8 比較部
10 一次診断部
Claims (5)
- 回転機械の運転に伴う振動を検出してこれを表す振動信号を送出する振動検出手段と、
上記回転機械の1回転を検出してこれを表す基準信号を送出する基準信号発生手段と、
上記振動信号及び基準信号を処理して振動信号の振幅及び振動信号の基準信号に対する位相で特定される振動ベクトルを生成する振動ベクトル分析手段と、
上記回転機械の数値モデルを有するとともに、この数値モデルを実機である上記回転機械と同様の運転条件で駆動することにより実機の運転をシミュレートし、上記振動検出手段の配設部位で接触が発生した場合の上記振動ベクトルに対応するシミュレート振動ベクトルを生成する接触振動シミュレート手段と、
上記振動ベクトルの変化の態様と、上記シミュレート振動ベクトルの変化の態様とを比較して両者の相関関係を検出し、このときの相関度が所定値以上である場合に接触振動が発生していると判断する比較手段とを有することを特徴とする回転機械の振動診断システム。 - [請求項1]に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、
振動検出手段は回転機械の軸方向に分散して複数個配設するとともに、これに対応させて振動ベクトルも複数個生成し、さらに接触振動シミュレート手段でも実機に対応する複数のシミュレート振動ベクトルを生成し、比較手段では、上記各振動ベクトルの変化の態様と、各振動ベクトルに対応する上記各シミュレート振動ベクトルの変化の態様とをそれぞれ比較して両者の変化態様の相関関係をそれぞれ検出し、このときの相関度が所定値以上である場合に接触振動が発生していると判断するとともに相関度が最も高いシミュレート振動ベクトルが対応する位置に基づき接触振動が発生している回転機械の場所も特定するようにしたことを特徴とする回転機械の振動診断システム。 - [請求項1]又は[請求項2]に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、
数値モデルは、回転機械の軸方向に関する特定位置での接触振動の発生をシミュレートするためのもの、当該特定位置における回転軸の接触部位の周方向位置を特定すべくシミュレートするためのもの、接触の深さをシミュレートするためのもの等、接触振動部位の絞り込み及び接触の態様の特定を順次行い得るよう階層的な複数種類のものを用意したことを特徴とする回転機械の振動診断システム。 - [請求項2]又は[請求項3]に記載する回転機械の振動診断システムにおいて、
数値モデルは、別途検出した接触を発生している可能性が高い部位及び回転機械の軸方向に関して上記部位の両側の部位を表すモデルのみを駆動するようにしたことを特徴とする回転機械の振動診断システム。 - [請求項1]乃至[請求項4]に記載する何れか一つの回転機械の振動診断システムにおいて、
接触振動シミュレート手段は、振動ベクトルの基本波成分の振幅の大きさ、振動ベクトルの一定時間内における変化率、振動ベクトルの変化形態等、振動ベクトルの態様を表す要素の組み合わせ論理の結果に基づいて接触振動の発生の可能性を検出する一次診断手段により接触振動の発生の可能性が検出された場合に動作するように構成したことを特徴とする回転機械の振動診断システム。
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